IRUCAA@TDC : 歯周病源性細菌
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(2) ―――― カラーアトラス ――――. 歯周病原性細菌 いし. はら. かず. ゆき. 石 原 和 幸 東京歯科大学微生物学講座.
(3) カラーアトラスの解説 バイオフィルム:ヒト口腔には700種にも及ぶ細. ることが観察される(図4) 。本菌は定着因子として. 菌が認められている。これらの細菌は口腔の部位ご. 2種類の線毛を持ち,その一つである FimA は,. とにそれぞれ特有の細菌叢を形成している。歯の表. 免疫担当細胞を刺激する活性も有する。本菌は,糖. 面に形成されるバイオフィルム“デンタルプラー. 分解性を持たないかわりに強いタンパク分解活性を. ク”もその一つである(図1) 。. 持つことが知られている。この活性の中心となって いるのが gingipain と呼ばれるプロテアーゼ(タン. 歯周病原菌:口腔の2大疾患である齲蝕,歯周病. パク分解酵素) である。gingipain にはタンパクをア. の病因の一つは口腔のデンタルプラークを構成する. ルギニンの後ろで切断する arg-gingipainA(RgpA). 細菌である。齲蝕は,mutans streptococci をはじ. と arggingipain B(RgpB) とリシンの後ろで切断す. めとする細菌により産生された酸による歯質の脱灰. る lys-gingipain (Kgp) がある。これらのタンパク分. により起こる。これに対し歯周炎のメカニズムにつ. 解酵素は図5に示すように遺伝子レベルで見ると複. いてはまだ齲蝕のように明らかにされていない。そ. 数のドメインにより形成されている。RgpA と Kgp. の病因としては,細菌,喫煙等の生活習慣,宿主の. はシグナルペプチド・プロペプチド,触媒ドメイン,. 1). 体質の3つの因子が考えられている。 Teles ら は,. 付着ドメインにより構成されている。RgpB は付着. 従来の文献から細菌の歯周炎への関与の強さを考察. ドメインをもたないことを除けば RgpA と同一構. している。表1にその一部を示した。歯周炎との間. 造といえる。RgpA と Kgp の間では付着ドメイン. にコンセンサスが得られているものとしては,侵襲. が極めて類似している。これらのプロテアーゼは,. 性歯周炎に関わるとされる Aggregatibacter. actino-. 付着ドメインによる付着,血液凝固に関わるタンパ. mycetemcomitans,慢性歯周に関わるとされる Por-. クの分解による血液凝固機転のかく乱,菌の発育に. phyromonas gingivalis, Tannerella forsythia が上げら. 必要なヘモグロビン由来のヘム獲得,サイトカイン. れている。コンセンサスには達していないが関与が. の分解や補体の活性化を通じた免疫攪乱による宿主. 強く示されているものとして Prevotella intermedia,. 防御からの回避等の作用を持つ。さらに本菌は細胞. Treponema denticola, Fusobacterium nucleatum 等の. 内に侵入する能力があることも示されている。図6. 菌が上げられている。これらの多くはプラーク形成. に示すように P. gingivalisとFusobacterium nucleatum. 後期にすでに歯の表面にバイオフィルムを形成した. をヒト歯肉上皮細胞に感染させると一部は細胞外に. 菌群に付着することによってプラーク内に定着して. 認められるが(黄色の菌) ,一部は細胞内に認められ. くる。. る(赤色の菌) 。これらの作用は本菌の歯周病原性に 重要な役割を果たしていることが示唆されている。. P. gingivalis の病原性:P. gingivalis は,偏性嫌気 性菌であり,血液平板で培養すると図2のように黒 色コロニーを形成する。グラム染色による観察では 図3のようなグラム陰性で楕円形の短桿菌として認 められる。本菌は,慢性歯周炎病変から T. forsythia, T. denticola と共に高頻度で検出される2)。免疫染色 によっても P. gingivalis と T. denticola が共存してい. 文. 献. 1)Teles RP, Haffajee AD, Socransky SS. Microbiological goals of periodontal therapy. Periodontol 2000 2006;42: 180∼218. 2)Socransky SS, Haffajee AD, Cugini MA, Smith C, Kent RLJ. Microbial complexes in subgingival plaque. J Clin Periodontol 1998;25:134∼144..
(4) 歯周病と細菌 石 原 和 幸 東京歯科大学微生物学講座 表1 コンセンサスがあるもの A. actinomycetemcomitans P. gingivalis T. forsythia. 歯周病に関わる細菌 関与が示唆されるもの 強 中 E. nodatum C. rectus F. nucleatum D. pneumosintes P. intermedia E. corrodens P. nigrescense F. alocis T. denticola P. micros Selenomonas sp. Streptococcus milleri group T. soccransky. 文献1) より,一部改変. 図1. デンタルプラークの電子顕微鏡像 木暮隆司博士のご厚意による。. 図3. P. gingivalis のグラム染色像. 図5. Gingipain のドメイン構造. 図2. P. gingivalis の血液平板状でのコロニー. 図4. デンタルプラーク中の P. gingivalis と T. denticola の免疫染色 デンタルプラーク中に P. gingivalis は ピンクに T. denticola は黄色に染まって いる。木暮隆司博士のご厚意による。. 図6. P. gingivalis と Fusobacterium nucleatum のヒト歯肉上皮細胞への侵入 齋藤 淳博士のご厚意による。.
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