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水嚥下時の舌運動と舌圧発現様相との関係

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Academic year: 2021

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学 位 研 究 紹 介

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水嚥下時の舌運動と舌圧発現様相との関係

Relationship between lingual motion

and pressure production during

swallowing

新潟大学大学院医歯学総合研究科 包括歯科補綴学分野

設樂 仁子

Division of Comprehensive Prosthodontics, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences

Satoko Shitara

【緒   言】

 舌は,ヒトが生命と QOL を維持する上で大切な機能 である咀嚼,嚥下,発話において重要な役割を担ってい る。舌の緻密でダイナミックな動きは口腔機能を発揮す る上で必要不可欠であるが,口腔内に存在するため,そ の動態を直接観察することはできない。これまでに舌機 能評価として,舌運動解析や舌圧測定が行われてきたが, 単独の計測では評価できる範囲に限界があった。またこ れらの同時計測はこれまで行われておらず,両者の関係 性についてもほとんど知られていない。  評価として,舌運動解析や舌圧測定が行われてきたが, 単独の計測では評価できる範囲に限界があった。またこ れらの同時計測はこれまで行われておらず,両者の関係 性についてもほとんど知られていない。  そこで,本研究では舌運動と舌圧を同時に計測するこ とで,単独の計測では評価できなかった,より詳細な水 嚥下時の舌運動解析を行い,舌運動と舌圧発現様相との 関係を評価することを目的とした。

【方   法】

 被験者は健常成人男性 12 名(平均年齢 30.8 ± 4.2 歳) とした。  舌運動解析には,舌運動を3次元にモーションキャプ チャすることが可能な電磁アーティキュログラフを,舌 圧測定には5か所の感圧点を持つ舌圧センサシートシス テムを用いた。舌前方部と後方部の2点に電磁アーティ キュログラフのマーカーを,口蓋にセンサシートを貼付 して計測を行った(図1)。測定タスクは,3㏄水嚥下と し,口腔底に水を注入して嚥下させる Dipper type とし た。舌運動軌跡と舌圧の同期波形図を製作し,各被験者 間で共通して認められる舌運動の上下方向成分の波形上 の変曲点をタイムイベントとして定義し,定性的評価を 行った(図2)。そして,嚥下時舌運動と舌圧発現との 時間的関連性について級内相関係数を用いて評価を行っ た。  本研究は新潟大学歯学部倫理委員会の承認を受けて 行った(28-R49-11-15)。 71 タイムイベント S:嚥下動作開始点 B1:最降下点① P:最上昇点 B2:最降下点② CS:口蓋接触開始点 CE:口蓋接触終了点 G:安静位復位点 図2 ‌‌分析例 舌運動と舌圧の同期波形図および舌運動の タイムイベント 図1 A:電磁アーティキュログラフの測定風景 B:舌上へ貼付したマーカー C:舌圧センサシートシステム D:口蓋へ貼付したセンサシート

(2)

新潟歯学会誌 49(2):2019 - 26 - 72

【結   果】

 舌前方部と後方部ともに波形上で共通した変曲点が認 められた。すなわち,嚥下のために舌は S(嚥下動作開 始点)から降下を開始し,B1(最降下点①)に達した 後挙上に転じ,P(最上昇点)で一旦停止した後,さら に再度降下して B2(最降下点②)に至ると,再度急速 に挙上して CS(口蓋接触開始点)に至る。そして上下 方向にはほとんど変化のないプラトーな状態がしばらく 継続した後,CE(口蓋接触終了点)から降下し始め, R(安静位復位点)で安静位に復位した(図2)。また, 舌前方部と後方部の B2 と CS の発生するタイミングに は大きな時間差を認めた。級内相関係数を用いた分析の 結果,舌前方部と後方部の S,B1,P,CE どうしでは 時間的関連性が非常に強かったが, B2 と CS は時間的関 連性が弱かった。一方,舌前方部の B2 と後方部の P, 舌前方部の CS と後方部の B2 との時間的関連性は非常 に強かった。つまり,口蓋接触前の上下運動である B2 と CS では,前方部と後方部における発生のタイミング に時間的ずれがあることが示唆された。  舌圧の各 Ch. の Onset は,舌後方部の CS とほぼ同じ タイミングでみられた。一方,舌圧の Offset は舌前方 部と後方部の CE よりも有意に早かった(図3)。級内 相関係数を用いた分析の結果,前方部と後方部の P と 舌圧の Onset との間の時間的関連性は弱かったが, 前方 部と後方部の CS との間では強い結果となった。特に後 方部の CS は舌圧の Onset との間に非常に強い時間的関 連性が認められた。一方,舌圧の Offset と前方部と後 方部の CE の時間的関連性はともに弱かった。

【考   察】

 舌前方部と後方部が同じタイミングで起こる S(嚥下 動作開始点)から P(最上昇点)の上下運動は,口腔底 の水をすくう動作,舌前方部と後方部で時間的差が生じ る B2(最降下点②)と舌圧発現と同じタイミングで起 こる CS(口蓋接触開始点)の上下運動は咽頭へ水を送 り込むための蠕動様運動,そして舌圧消失後,同じタイ ミングで生じる CE(口蓋接触終了点),R(安静位復位 点)は安静位へ戻る様子を表していると考えられた。

【結   論】

 Dipper type の水嚥下における一連の舌運動のパター ンが明らかとなり,舌前方部と後方部の運動と舌圧発現 との間には時間的な関連性があることが示された。 図3 ‌‌Dipper‌type の水嚥下時における舌運動・舌圧の タイムイベント タイムイベント S:嚥下動作開始点 B1:最降下点① P:最上昇点 B2:最降下点② CS:口蓋接触開始点 CE:口蓋接触終了点 G:安静位復位点

参照

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