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小型プロペラ風車から発生する周期性騒音の空力音源に関する研究

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Title

小型プロペラ風車から発生する周期性騒音の空力音源に関する研究

Author(s)

佐々木, 壮一; 坂田, 涼

Citation

長崎大学大学院工学研究科研究報告, 44(83), pp.1-6; 2014

Issue Date

2014-07

URL

http://hdl.handle.net/10069/34563

Right

http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp

(2)

小型プロペラ風車から発生する周期性騒音の

空力音源に関する研究

佐々木壮一

・坂田涼

**

Study of Aerodynamic Noise Source of Periodical Noise

Generated from a Micro Wind Turbine

by

Soichi SASAKI* and Ryo SAKADA**

In this study, the relationship between the periodic noise and the aerodynamic noise source of a

wind turbine is discussed. The aerodynamic characteristics and the noise of the actual wind turbine

were measured by wind tunnel; the flow around the impeller immersed in the uniform flow was solved

by numerical simulation. In the observed wind turbine, when the mainstream velocity was 7.4 m/s or

more, the power coefficient became the maximum at the tip speed ratio 8. When the mainstream

velocity became fast in the driving condition of the maximum power point, the aerodynamic noise

became large due to the periodical noise in the vicinity of the 1000 Hz and the broadband noise in the

high frequency domain. The noise sources were concentrated at the leading edge and the trailing edge

on the suction surface side. We indicated that the pressure fluctuation of the leading edge was the noise

source of the periodical noise.

Key words : Aerodynamic Noise, Wind Turbine, Renewable Energy

1.はじめに 小型のプロペラ風車には,災害時の非常用電源,公 共の場所における補助電源,離島や山岳地帯における 電源など,その風車固有の役割がある.また,平成24 年7 月から実施されている再生可能エネルギー固定買 い取り制度の対象にもなるため,スマートグリッドの 電源としても期待されている.しかし,一般的な構成 で定格運転されるこの風車の空力騒音は 80dB 以上に も上り,その普及には騒音の問題を克服することが一 つの課題となる. 大型の風車から発生する騒音の課題では低周波音が 採り上げられるが(1),この種の騒音は小型のプロペラ 風車から発生する空力騒音の主因とは異なる.長崎大 学の研究グループは,小型のプロペラ風車から発生す る空力騒音と羽根車周りの流れの関係を実験的に調査 している(2-4).同研究グループは,その風車から1000Hz 以上の高周波数の帯域に分布する広帯域騒音と 1000 Hz 近傍における周期性騒音が発生することを実証実 験で確認している.前者の広帯域騒音は後縁騒音の性 質に近く,この騒音に関する初期の解析モデルはR. K. Amiet や M. S. Howe によって 1970 年代に研究されて いる(5-6)M. Roger と S. Moreau は Amiet の後縁騒音モ

デルを有限な翼弦長のモデルに拡張し(7),高周波数帯 域の広帯域騒音が後縁騒音と密接に関係することを示 した(8).さらに,飯田らは小型風車から発生する広帯 域騒音を翼の表面加工によって 30dB 低減させた事例

平成26年7月3日受理

システム科学部門(System Science Division) ** 総合工学専攻(Department of Advanced Engineering)

(3)

佐々木壮一・坂田涼 を報告している(9).一方,後者の周期性騒音について は不明な点が多く,その実験的性質に関する先行研究 もほとんどない.今後,生活に密着した環境における 風力エネルギーの積極的な利用を勘案すると,1000Hz 近傍の可聴周波数帯域における周期性騒音の物理的な メカニズムの解明も一つの課題となる. 本 研 究 で は , 小 型 の プ ロ ペ ラ 風 車 か ら 発 生 す る 1000Hz 近傍の帯域における周期性騒音の空力音源と 流れとの関係が議論される.実機の空力特性と騒音が 風洞試験によって測定され,一様流速によって回転す る羽根車の後流が熱線流速計によって測定されている. その数値シミュレーションによる翼面上の圧力変動量 の解析に基づいて,中間的な周波数帯域における周期 性騒音の空力音源について考察する. 2.実験装置および測定方法 図1 には,性能試験の対象となるプロペラ風車の概 要が示されている.その装置の仕様が表1にまとめら れている.羽根車の直径は1170mm,羽根枚数は 3 枚, 発電機の定格出力は400W である.性能試験装置には 反動トルクを与えるための三相誘導電動機(三菱電機, SF-JR, 400W)とトルク計(小野測器, SS-020)が取り 付けられており,実機の出力係数を計測することがで きる.羽根車の回転数は光電式回転計によって計測さ れる. 図2 は吸い込み型風洞の概略図を示したものである. 風洞は集合胴,測定胴,縮流胴,異形胴,軸流送風機 およびディフューザ で構成されて いる.集合胴に は 25mm×25mm の メ ッ シ ュ の 防 護 金 網 , 整 流 格 子 , 1mm×1mm の整流金網が 2 段取り付けられており,風 車に流入する流れが整流されている.測定胴の断面は 一辺1800mm の正方形であり,その全長は 5000mm で ある.集合胴と測定胴の間には,風車の羽根車を回転 さ せ る た め の 十 分 な 一 様 流 速 を 得 る た め に , 直 径 1200mm の絞り機構が設けられている.この絞り機構 によるせん断流れが風車性能に与える影響は,予備実 験により小さいことがわかっている.風洞内の主流風 速は,軸流送風機の回転数をインバータにより制御す ることで調整される.風車の出力特性は式(1)の周速比 λ と出力係数 Cpによって定義される.

Table 1 Specifications of the wind turbine

Motor

Torque

Meter

Generator

Electrical

Impeller

Diameter of Impeller

1170 mm

Number of Blades

3

Specific Power

400 W

Initial Velocity

(for rotation)

1.51 m/s

Initial Velocity

(for power generation)

3.58 m/s

Torque Meter

Ono-Sokki

SS-020 (2.0 Nm)

Fig. 1 Experimental apparatus of a micro wind turbine

26

00

φ

1

20

0

φ

1

00

0

2200

5000

1800

1500

1230

1000

1800×1800

Collector

Measurement Part

Nozzle

Variation

System

Axial

Fan

Partition

(4)

V

R

,

2

3

AV

T

C

P (1) ここで,R は風車翼車の半径(m),ω は角速度(rad/s), V は風車の主流風速(m/s),T はトルク(N m),ρ は空 気密度(kg/m3),A は風車の受風面積(m2)である.空 力騒音は羽根車の回転中心から 1m 上流の位置で 1/2 インチマイクロホンが取り付けられた精密騒音計(小 野測器;LA4350)によって計測される.騒音計からの 出力信号はFFT アナライザ(小野測器, CF5210)へ入 力され,その空力騒音が周波数分析される. 図3 には,後流の測定方法が示されている.後流の 測定には,X 型熱線プローブが用いられている.熱線 プローブは床面から 900mm の位置で,トラバース装 置により移動させる.羽根車の後方50mm の位置から, スパン方向に540mm,主流方向に 600mm を 20mm 間 隔で計測した.この装置の可動範囲では流れ場全体を 一度に計測することができないため,その流れ場は計 測範囲全体を 15 のブロックに分割することで計測さ れている. 図4 には,流れの数値シミュレーションで用いられ た風車のモデルが示されている.数値シミュレーショ ンにはCradle の SCRYU/Tetra が使用されている.入り 口境界の流量は風車の実測値の流入風速と等しくなる ように設定されており,出口境界には大気圧が与えら れている.風車全体の流れ場が約750 万要素の格子で 構成されている.羽根車の回転はスライディングメッ シ ュ に よ っ て 解 析 さ れ る . タ イ ム ス テ ッ プ は , 3.125×10-5 sec に設定されており,この時間間隔では 2000Hz の周期的変動現象を 16 点で解析することがで きる. 3.結果および考察 図5 は風車の周速比と出力係数の関係を主流風速毎 に比較したものである.主流風速が7.4m/s 以上になる と,出力係数は周速比8 近傍で最大となる.以下の考 察では,最大出力点である周速比8 の特性と無拘束条 件近傍の特性を比較しながら議論する.図6 は周速比 と空力騒音の関係を示したものである.周速比8 近傍 では,主流風速が速いほど羽根車が高速回転するため 180 50 180 120 600 540

Fig. 3 Measurement method of the wake

inlet

outlet

wall

rotate

impeller

main flow

Fig. 4 model for the computational fluid dynamic

4

6

8

10

12

14

0

0.1

0.2

0.3

λ

v = 4.94 [m/s] v = 6.25 [m/s] v = 7.44 [m/s] v = 8.65 [m/s] v = 9.80 [m/s]

C

p λ = 8

Fig. 5 Aerodynamic characteristics

4

6

8

10

12

14

70

80

90

L

A ,

dB

(A

)

λ

v = 4.94 [m/s] v = 6.25 [m/s] v = 7.44 [m/s] v = 8.65 [m/s] λ = 8 λ = 11

(5)

佐々木壮一・坂田涼 に,風車の騒音レベルが大きくなる.一方,周速比11 近傍では,羽根周りの流れが強く乱れるために,その 騒音レベルに大きな違いが生じなかった. 図7 では,騒音のスペクトル分布が比較されている. 図(a)が主流風速による比較であり,図(b)が周速比によ る比較である.図中の破線は,主流風速8.7m/s の場合 における風洞の暗騒音である.図(a)のスペクトルでは, いずれの主流風速においても 1000Hz 近傍に周期性騒 音が発生している.主流風速が大きくなると,その周 期性騒音の周波数は高くなり,その騒音レベルも大き くなることがわかる.図(b)の比較では,その主流風速 が8.7m/s に設定されている.周速比 11 の騒音レベル は周速比8 のものより広帯域騒音の影響で 5.7dB 大き くなる.周速比11 の風車の 1000Hz 近傍における周期 性 騒 音 は 小 さ い . 一 方 , 周 速 比 8 の風車におけ る 1000Hz 近傍の周期性騒音の騒音レベルは,周速比 11 のものよりも大きくなる. 図8 は後流の速度分布を示したものである.図(a)が 周速比8 の分布であり,図(b)が周速比 11 のものであ る.ハブ側では羽根の周速度が遅いために,主流がい ずれの周速度でも後流へ通過する.図(a)の周速比 8 の 場合,翼スパンの広い範囲に渡って5m/s の後流が分布 する.一方,図(b)の周速比 11 の場合,翼スパン中央 近傍の速度はなく,主流が後流へ通過しないことがわ かる.このため,主流は翼先端側から後流へ通過する と考えられる.これに応じて,主流が翼先端に偏流す るために,周速比11 における翼先端の速度は周速比 8 のものよりも高速になると考えられる.

10

2

10

3

10

4

20

30

40

50

60

70

80

V = 8.7 m/s ( 82.9 dB ) V = 7.4 m/s ( 80.46 dB ) V = 8.7 m/s, BGN ( 77.9 dB )

L

A

,

dB

(A

)

f ,Hz

λ = 8

(a) Mainstream velocity

10

2

10

3

10

4

20

30

40

50

60

70

80

λ = 10.9 ( 88.6 dB ) λ = 8.2 ( 82.9 dB ) BGN ( 77.9 dB )

L

A ,

d

B

(A

)

f , Hz

V = 8.7 m/s (b) Tip speed ratio

Fig.7 Comparison on the noise spectra generated from the wind turbine 180 280 380 480 580 680 0 100 200 300 400 500 600 Y 1 2 3 3 3 4 4 5 5 5 6 6 4 1 3 1

blade tip

(a) λ=8 180 280 380 480 580 680 0 100 200 300 400 500 600 1 1 1 2 2 2 3 3 3 4 4 4 4 5 5 5 6 6 7 7 8 1 5

blade tip

(b) λ=11

(6)

図9 には,後流の速度変動の分布が示されている. 周速比8 の翼端近傍の速度変動は,周速比 11 のものよ りも大きくなる.周速比8 の場合,主流が後流へ通過 するために翼端側で軸方向の速度せん断層が形成され やすく,これに応じて構造的な翼端渦が形成されると 考えられる.翼端側の速度変動量の関係は,1000Hz 近傍における空力騒音のスペクトルの傾向と一致する. 図10 には,翼負圧面側の圧力変動の分布を羽根のス パン位置毎に解析したものである.翼先端側の圧力変 動は前縁と後縁に集中した分布となっている.主流風 速が大きくなると,これらの圧力変動は大きくなるこ とが確認されている(図省略).文献(7)を参考にすれ ば,この後縁の圧力変動が高周波数帯域における広帯 域騒音を形成する因子であると考えられる. 図 11 は前縁側の圧力変動をフーリエ解析したもの である.主流風速が大きくなると,その周期的変動現 象は高周波の強い変動になり,これは空力騒音のスペ クトル分布の傾向と一致する.一方,後縁近傍での圧 力変動には,周期的な変動現象がないことを確認して いる(図省略).以上のことから,前縁側の圧力変動が 1000Hz 近傍の周期性騒音を形成する因子であると考 えられる. 4. 結 言 本実験の対象となる小型のプロペラ風車では,主流 風速が7.4m/s 以上になると,その出力係数は周速比 8 近傍で最大となった.最大出力点における風車の空力 騒音は,主流風速が大きくなると1000Hz 近傍の周期 性騒音と高周波数の領域における広帯域騒音の影響で 大きくなった.翼端側の圧力変動は翼の前縁と後縁に 0 0.5 1 0 1 2 3 4 5 a (Tip Side) b c (Mid Span)

Σ

p'

(

f

i

)

, P

a

ξ

/C ,( - )

V = 7.4 m/s λ = 7.9 T.E. L.E.

Fig. 10 Pressure fluctuation distribution on the blade chord

10

3

0

0.2

0.4

0.6

0.8

V = 7.4 m/s V = 8.7 m/s

p'

(

f

i

)

, P

a

f , Hz

λ = 8 V = 8.7 m/s V = 7.4 m/s

Fig. 11 Spectral distribution of the pressure at the leading edge 180 280 380 480 580 680 0 100 200 300 400 500 600 0.4 0.4 0.4 0.4 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 0.8 0.8 0.8 0.8 1 1 1 1 1.2 1.2 1.2 1.4 1.4 1.4 1.6 1.8 1.6 0.6 0.4 0.4 1

blade tip

(a) λ=8

180

280

380

480

580

680

0

100

200

300

400

500

600

0.5

0.5

1

1

1

1.5

1.5

1.5

blade tip

(b) λ=11

(7)

佐々木壮一・坂田涼 集中して形成された.前縁側の圧力変動が1000Hz 近 傍の周期性騒音の空力音源であることを明らかにした. 文 献 (1) 二井義則,他7名,アップウィンド型風車の低周 波音,日本音響学会誌, Vol. 52, No. 5 (1996), pp. 341-347. (2) 鈴木康太,他3名,マイクロプロペラ風車の広帯 域騒音に関する研究,日本機械学会 2013 年度年 次大会講演論文集,(2013),DVD. (3) 佐々木壮一,他2名,プロペラ型風車から発生す る後縁騒音に関する一考察,日本機械学会流体工 学部門講演会講演論文集,(2013),USB. (4) 坂田涼,他2名,小型プロペラ風車から発生する 広帯域騒音の空力音源に関する研究,日本機械学 会九州支部第 67 期総会講・演会講演論文集, (2014),CD-ROM.

(5) R. K. Amiet, Noise due to Turbulent Flow Past a Trailing Edge, Journal of Sound and Vibration, Vol. 47, No.3 (1976), pp. 387–393.

(6) M.S. Howe, A Review of the Theory of Trailing-edge Noise, Journal of Sound and Vibration, Vol. 61, No.3 (1978), pp. 437–465.

(7) M. Roger, S. Moreau, Back-scattering Correction and Further Extensions of Amiet’s Trailing Edge Noise Model. Part I: Theory, Journal of Sound and Vibration, Vol. 286 (2005), pp. 477–506.

(8) S. Moreau, M. Roger, Back-scattering Correction and Further Extensions of Amiet’s Trailing Edge Noise Model. Part II: Application, Journal of Sound and Vibration, Vol. 323 (2009), pp. 397-425.

(9) 飯田誠,他2名,小型風力発電機における騒音低

減について:サイレントディスラブターブレード

小型風車Z-501(OWL),日本ガスタービン学会誌,

Fig. 2 Suction type wind tunnel
Fig. 5 Aerodynamic characteristics
Fig. 11  Spectral distribution  of the pressure  at the leading  edge 18028038048058068001002003004005006000.40.40.40.40.60.60.60.60.60.80.80.80.811111.21.2 1.21.41.41.41.81.61.60.60.40.41blade tip(a) λ=8  180280380480580680 0 100 200 300 400 500 6000.50.5

参照

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