2005年1月29日 富山大学人文学部国際文化学科 卒業研究成果報告会 比較社会論コース4年 米持 なほ子
マニラ湾沿岸漁村における生活環境悪化に関する分析―サント・ニーニョ村を事例に―
はじめに 序論
第
1
章 ナボタス町サント・ニーニョ村の概要 第1節 ナボタス町第2節 サント・ニーニョ村
第3節 サント・ニーニョ村でのNGOの活動
第
2
章 サント・ニーニョ村を取り巻く問題 第1節 現状(1)漁獲高の減少
(2)ゴミの堆積 (3)貧困
第2節 最優先課題
第
3
章 ゴミの問題と商業漁船の乱獲問題 第1節 ゴミの問題(1)フィリピン政府のゴミ政策
(2)NGOのゴミ政策
(3)漁民のゴミに対する意識 第2節 商業漁船の乱獲の問題
(1)現状と漁業制度
(2)フィリピン政府の取り組み
(3)地方自治法と環境
(4)NGOと漁民の活動 第3節 各問題の要因とまとめ
(1)ゴミの問題の要因
(2)商業漁船の乱獲問題の要因
(3)まとめ
第
4
章 結論 おわりに(参考文献・参考資料一覧)
(巻末資料)
<はじめに>
目的意識。
2003
年8
月、フィリピンへのスタディツアーに参加。→マニラ湾沿岸漁村の現状に強い関心を抱く。
<序論>
目的・・・・・マニラ湾沿岸漁村において、漁獲量の減少を引き起こしている と考えられる
2
つの主要な問題を明らかとし、その問題を構成 している要因を整理することにある。調査方法・・・
NGO
スタッフへのインタビュー調査。文献調査。<第
1
章>事例の紹介。
事例:フィリピン、マニラ首都圏ナボタス町にあるサント・ニーニョ村
第
1
節 ナボタス町の概要マニラ首都圏に属し、マニラ湾沿岸に広がる町。フィリピン漁業の中 枢。
第
2
節 サント・ニーニョ村概要村の現状を組織長の話をもとに記述。
第
3
節 サント・ニーニョ村でのNGO
の活動PRRM
はナボタス地区での活動をしていない。<第
2
章>事例の現状を、図を用いて整理。
第
1
節3
つの問題①漁獲量の減少②ゴミの堆積③貧困 第
2
節 最優先課題の決定『漁獲量の減少』 (理由)
・漁民自身が行動を改めることで改善可能。
・漁業が生活の生業であるため、深刻な問題。
・ゴミの堆積と関連があるため、この問題を考える ことは現状改善に有効。
『マニラ湾の汚染』『商業漁船の乱獲』
<第
3
章>ゴミ問題・商業漁船の乱獲問題について現状記述。
第
1
節 ゴミ問題政府→ゴミ焼却禁止。処理方法は堆積のみ。
NGO
→ゴミに関してのプロジェクトを実施している、また政府に政 策提言をしているNGO
は見つからず。漁民→
NGO
が活動している地域の漁民は、ゴミがマニラ湾環境汚染 の一要因であると自覚。第
2
節 商業漁船の乱獲問題漁業法:マニラ湾沿岸
15
キロメートル以内での商業漁船の操 業禁止→遵守されていない。政府→
Fisheries Sector Program
の開催(漁業資源・環境調査、沿岸 の漁業管理、禁漁区域の設定など)。地方自治体→行政地域内の自然環境バランスの管理と維持に責任を負 う(中央政府から一定の権限が与えられている)。
NGO
と漁民→PRRM
がバターン州オリオン町で開始したプロジェクトにより結成された
SUGPO
の活動を紹介。第
3
節 各問題の要因とまとめ (ゴミ)① 資金不足
② 漁民・企業のゴミ投棄
③ スカベンジャーと行政の関係
④
NGO
が活動可能な行政環境の欠如⑤ ゴミ処理に関する地方自治体の法的強制力の欠如
(商業漁船の乱獲)
①漁業管理の不徹底
②
NGO
の活動地域の限定③大型商業漁船に関する地方自治体の法的拘束力の欠如
(まとめ)
ゴミ問題、乱獲問題を構成していると考えられる要因は複数のアクター に関連しており、複雑に絡み合っている。
<第
4
章> 結論 サント・ニーニョ村を事例に、村が抱える漁獲量の減少という事態の主な要因はマニラ湾の汚染と、商業漁船の乱獲であるということがわかった。
2
つを構 成していると考えられる要因は複数あり、しかも複数のアクターに関連してい るため非常に複雑である。漁獲量の減少を解決するためには、このような複雑 に絡まりあった問題を正確に捉え、整理することが必要である。<参考文献・参考資料一覧>
新津晃一『現代アジアのスラム 発展途上国都市の研究』明石書店、1989年 中西徹『スラムの経済学―フィリピンにおけるインフォーマル部門』東京大学出 版会、1991年
ジョセフ・Y・リム ・野沢勝美編『フィリピンの経済開発と地方分権政策』アジ ア経済研究所、1993
シンシア・D・ノラスコ『フィリピンの都市下層社会』明石書店、1994
山本忠・真道重明編著『世界の漁業管理 下巻』財団法人海外漁業協力財団、1994 年
今村奈良臣編『アジア漁業の発展と日本―漁業大国から国際連帯へ―』社団法人 農村漁村文化協会、1995年
野村好弘・作本直行編「地球環境とアジア環境法」作本直行『第 8 章 アジア諸 国の環境影響評価制度の課題と地域協力の可能性』アジア経済研究所、1996年 日本環境会議「アジア環境白書」編集委員会『アジア環境白書1997/98』東洋経済 新報社、1997年
財団法人自治体国際化協会『フィリピンの地方自治』(財)自治体国際化協会、
1998年
佐竹眞明『フィリピンの地場産業ともう一つの発展論』明石書店、1998年 山本忠・真道重明編著「世界の漁業第2編 地域レベルの漁業動向」山本政博『東 南アジアの沿岸漁業管理と漁村開発』財団法人海外漁業協力財団、1999年 日本環境会議「アジア環境白書」編集委員会『アジア環境白書2000/01』東洋経済 新報社、2000年
川中豪『第 5 章 フィリピン―代理人から政治主体へ―』重冨真一編著「アジア
の国家とNGO―15カ国の比較研究―」明石書店、2001年
中西徹・小玉徹・新津晃一編著「アジアの大都市4 マニラ」『第3章 都市化と 貧困 マニラの人口と雇用』『第4章 都市貧困層の変容 労働・居住・政治』日 本評論社、2001年
田淵洋・松波淳也編「東南アジアの環境変化」細田亜津子『第 9 章 インドネシ アのゴミ問題』財団法人法政大学出版局、2002年
寺山俊一・石弘光編「岩波講座環境経済・政策学 第 4 巻環境保全と公共政策」
松本泰子『第7章 環境政策とNGOの役割―気候変動問題を中心に―』岩波書店、
2002年
財団法人世界経済情報サービス(WEIS)編『ARCレポート 2002 フィリピン』
財団法人世界経済情報サービス(WEIS)、2003年
日本環境会議「アジア環境白書」編集委員会『アジア環境白書2003/04』東洋経済 新報社、2003年
安成哲三・米本昌平編「岩波講座 地球環境学2」『地球環境とアジア』岩波書店、
1999年
財団法人自治体国際化協会『ASEAN諸国の地方行政』財団法人国際化協会 2004 年
(参考資料)
草の根援助運動『貧困と環境問題』草の根援助運動 2002年 PRRMからいただいた英文資料