ニ ュ ー ・ ブ リ ッ ジ を 活 用 し た
橋 梁 維 持 管 理 技 術 者 の 臨 床 型 人 材 育 成 プ ロ グ ラ ム
○中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋㈱ 正会員 田名瀬 寛之
中日本高速道路㈱ 正会員 築山 有二 名古屋大学橋梁長寿命化推進室 正会員 国枝 稔 名古屋大学橋梁長寿命化推進室 正会員 中村 光
1.はじめに
インフラの維持管理において,点検結果の判断や BMS の運用も含め,技術者の経験や知識に依存する場 合が多く,日常の業務の中で効率的に経験や知識の蓄積を補助するプログラムが望まれている.また,地方 公共団体が策定している橋梁長寿命化計画の多くでは,インハウスエンジニアによる点検の占めるウエイト が大きくなっており,技術者養成プログラムへのニーズが高まっている.
名古屋大学,中日本高速道路,中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋では,さまざまな劣化・損傷 が生じ撤去された橋梁の部材を全国から集め研修施設 (「 ニュー・ブリッジ( N2U-BRIDGE 「NEXCO-
Central and Nagoya University-Bridge model with Restoration and Integrated Deterioration for
Global Engineers」) として再構築した.この施設を活用して,橋梁の維持管理技術者の養成プログラムを
構築し,H24年度から逐次運用を開始する予定である.当該プログラムは,できるだけ実物を用いて学習す ることができる臨床型研修を最大の特徴としている.ここでは,当該プログラムの概要を紹介する.
2.橋梁の維持管理技術者育成のための研修施設-ニュー・ブリッジ-
ニュー・ブリッジに導入されている橋種,劣化の現出等は下記のとおりである(図-1 ). これらより臨 床的研修を行うことにしている.
3.ニュー・ブリッジにおける研修の仕組み
中部地域の技術者のレベルアップを共通認識として,国をはじめとする道路管理者,大学,業界団体が参 画する「橋梁保全技術研修協議会 」, 「橋梁保全技術者認定審査会 」, および名古屋大学橋梁長寿命化推進 室が有機的に関係する事業スキームとすることができた(図-2 ).
表-1に,「橋梁保全技術研修協議会」に参画する機関等を示す.
研修の実施は,基本的に名古屋大学橋梁長寿命化推進室が行うが,具体的なプログラムの内容等について,
「橋梁保全技術研修協議会」がサポートする.また,「橋梁保全技術者認定審査会」は,研修受講者のうち キーワード:橋梁維持管理技術研修、集合研修施設、産官学協力、劣化、点検、診断
連絡先:〒 460-0003 名古屋市中区錦1-18-11 DNI錦ビル9F ℡ 052-212-4551 Fax052-203-5106 図―1 ニュー・ブリッジの劣化の概要
土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)
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の希望者に所定の試験を行い技術力 認定を支援する組織であり、主に大 学の教員により構成されている.
4.臨床型研修の内容
研修は,①名古屋大学橋梁長寿命化推
進室が実施し,希望者が誰でも受講できる常設研修,②国,県等の道路管理者が自らの技術力向上のために 独自に実施するオーダーメイド研修,③常設研修を受講し,ある一定の要件を満足した技術者が,地域へ戻 って,自らが講師となって行う地域(県域)研修の3種類を予定している.いずれもニュー・ブリッジを活 用した臨床型のプログラムである.
(1) 常設研修(一般公募、3コース)
表-2 常設研修の概要(予定)
コース名 対象者 研修での達成目標の例 開催頻度,定員 基 礎 コ ー ス
学 生 , 実 務 経 験 の 少 な い 社 会 人
・ 橋 梁 の 維 持 管 理 の 重 要 性 が 説 明 で き る .
・ 橋 梁 の 劣 化 , 損 傷 の 種 類 が 説 明 で き る .
・ 代 表 的 な 非 破 壊 試 験 の 原 理 を 説 明 で き る .
年 3回 / 延 べ300 名
検 査 点 検 コ ー ス
橋 梁 業 務 実 務 経 験 5 年 以 上 の 技 術 者
・ 橋 梁 の 劣 化 , 損 傷 の 種 類 が 説 明 で き る .
・ 橋 梁 の 点 検 調 書 が 作 成 で き る .
・ 橋 梁 の 劣 化 機 構 が 推 定 で き る .
【 試 験 に よ り 橋 梁 点 検 士 (Bridge Inspector
(BI )) 認 定 】
年 5回 / 延 べ150 名
診 断 評 価 コ ー ス
検 査 点 検 コ ー ス 受 講 後 , 橋 梁 保 全 業 務 の 実 務 経 験 2 年 以 上 の 技 術 者
( ・ 検 査 点 検 コ ー ス の 内 容 に 加 え て )
・ 橋 梁 の 性 能 評 価 、 対 策 、 維 持 管 理 計 画 の 提 案 が で き る .
【 試 験 に よ り 橋 梁 診 断 士 ( Senior Bridge Inspector( SBI )) 認 定 】
年 2回 / 延 べ60名
(2)オーダーメイド研修
国,県等の道路管理者は,独自のインハウスエンジニア育成の研修システムを持っていることから、ニ ュー・ブリッジが有する数多くの変状事例を当該研修で活用することが可能となる.
年間スケジュールを調整のうえ,道路管理者が独自の方法で実施することになっている.
(3) 地域(県域)研修
ニュー・ブリッジでの研修は,臨床型研修であるがゆえに、場所の制約があり,受講できる人数が限ら れている.そこで,中部地域の各県内の地域で,県・市町の職員,地域の民間技術者を対象に,常設研修 の一部(ニュー・ブリッジで発生している劣化は画像でカバーする)について地域で研修ができるように,
常設研修の受講者が地域へ戻って,自らが講師となれるような講師養成も実施することにしている.
5.まとめ
ニュー・ブリッジは、平成23年9月に完成し、この3月末までの間に研修、研究、学習、視察、見学な どで、延べ42機関、約800名に来ていただいている.平成24年度から本格的に運用を始めるが、その 状況は報告する予定である.
図―2 研修事業スキーム 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)
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