• 検索結果がありません。

下肢に好発した膿庖性乾癬の1例

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "下肢に好発した膿庖性乾癬の1例"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

69

轡購1第購56劉言)

下肢に好発した膿庖性乾癬の1例

東京女子医科大学第二病院皮膚科学教室(主任:平野京子教授)

   安田 和正・酒井弥寿子・鈴木久美子

   ヤスダ  カズマサ  サカイ ヤ ス コ  スズキ ク ミ コ

(受付 昭和55年10月27日)

        L はじめに

 膿漏性乾癬は1910年Zumbusch1)が P30riasis und pustu16ses Exanthem として始めて記載し,

その特徴は,それまで典型的な乾癬病巣を有する 患者が突然高熱とともに全身症状が悪化し,それ

まで存在していた乾癬局面に無菌性膿血が生じ,

解熱とともに全身状態は改善し,全身の落屑とと もに数日で乾燥し,典型的な乾癬に移行するもの であり,今回われわれも両下肢にのみ小膿庖が生

じた本症の1例を経験したので報告し,あわせて 若干の文献的考察を試みた.

        n.症  例

 患者:鴻○き○子,41歳,主婦  初診:昭和55年5月29日

 主訴3両下肢の廣痒と画面をともなう紅斑上の小三

連.

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴:2年二二から膀胱炎と扁桃炎が度度みられ た.閉経は1年前.

 現病歴310年程前に左前腕に紅斑が出現し,町医にて ステロイド内服にて軽快したが,内服を中止直後より全 身に白色鱗屑付着した紅斑が生じ,某大学病院にて尋常 性乾癬と診断され,以後は両下肢を中心に紅斑が散発し ていたが,2年程前何の誘因もなく突然両下肢の紅斑上 に小膿庖が出現し,以後現在まで4回の急性増悪がみら れている.今回は2週間程前より両下肢に疹痛を伴った 小膿庖が紅斑上に出現し,近医にて治療を受けていたが 軽快しないため当科を受診.

 現症:身長162cm,体重57kg,体温36.8℃,胸 腹部理学的所見に異常はない.皮疹は,両下肢特

に右下腿屈側部の粟粒大小膿庖が有痛性潮紅局面 上に環状又は連圏状に生じ,一部では融合して膿 海を形成している(写真1).また両上腕には白 色枇糖様鱗屑の付着した紅斑局面が散在し,口腔 粘膜や爪には変化を認めない.

 臨床検査成績(表1)

 CRP(1+),白血球増多以外特に異常は認めな

い.

 病理組織学的所見=右下腿伸側の小膿庖を生検

写真1 右下腿屈側部の小膿庖

  ㎞朋aY▲SUD▲, Y麗dヒ。 SAK▲】1鋤d】1㎞皿皿監。 SUZUK】l Depa麗ment of Dermatology(Director=

Prof. K. HIRANo), Toky。 women s Medical c。11ege second Ho3ptia1, Toky。, Japan・Acase of P嘘ular Ps(ト riasi3曲ich was mainly di3tributed on the lower extremities

一69一

(2)

70

表1 臨床検査所見

血液一般

 RBC  Hb  Ht

 Reticulo  Plate

 WBC

 E  St  Seg  Ly  Mono

生化学  Total Pmtein  Alb  α1  α2  β  γ BUN  Ca  P

 GOT  GPT  LDH  ALP  LAP

 Tota1・Bili 肝機能  CRP

466×104mm3

  14.2g/dl

  44%

   6%

23,8×104mm3   9800mm3    1%

   7%

  66%

  24%

   2%

6,19/d1 65.9%

3.3%

8.4丁 目10%

10.7%

 10mg/d1 3.4mg/d1 3.4mg/d1  15K. U.

12K. U.

1261.U.

7.OK.U.

111G.R.U.

0,6mg/d1

4.0

 T.T. T.

 C.C. L.F.

血清学

 CRP  ASLO  RA  ASK

血清脂質  総コレステロール  総脂肪

 中性脂肪  リン脂肪  β・リボ蛋白  遊離脂肪

凝固検査  出血時間  凝固時間  トロンボテスト  プロトロンビン時間 免疫学的検査  1gG  lgA  璽gM

 lmmune Complex 尿一般

 蛋白  糖

 膿庖内容からの細菌検査  陰性

4.0 1.2

(1+)

(12)

(一)

320 181mg/d1 504mg/d1 118mg/d1 196mg/d1 406mg/dI O,41mEq/1

2分 8分30秒 62%

60%

860mg/d1 256mg/d1 100mg/dl L7mg/d1

(一)

(一)

した.軽度の角質増殖があり,穎粒層は一部消失 し,有棘層への好中球の遊走著明で,ところどこ ろ角層直下より有棘層中層にわたり主として好中 球を容れたいわゆるKogojの海綿状膿萢がみら れ,また角層内に好中球の充満した巨大な知歯や Munroの微小膿瘍の如き外観を呈するものも存

写真2H・E染色×40

在する.真皮では全層にわたって一般に浮腫性 で,血管拡張とリンパ球,好中球,組織球よりな

るびまん性細胞浸潤がある(写真2,3)。

 治療および経過

 臨床的に膿庖性乾癬を疑い,局所に抗生剤添加 ステロイド軟膏使用し,DDS 75mg/dayセファレ

〆へ》

         雛

写真3 H・E染色×400

一70一

(3)

71

キシン1,000mg/dayの内服により,第5病日よ り小膿萢の新生はなくなり,第18病日には一部に 色素沈着を残して治癒した.またその間に急性膀 胱炎および急性扁桃炎に罹患したが,皮疹に対す

る影響はみられなかった.

        HL 考  按

 乾癬と肉眼的膿庖の合併について特記したのは 1910年Znmbuschである.しかしそれ以前にも 両者の合併は1893年Kap・si,1898年Hallopeau・

et Michaux2)によって記載されている.近年膿 癒性乾癬の分類についても多くの報告があるが,

その代表的なものと思われるGordonら3)(1969)

およびBakerら4)(1968)の分類における自験例 の位置づけを試みることにする.

 1.Gordonら3)の分類

 (1) Pustular Psoriasis of the soles and palms

(Baber5))

 (2) Psoriasis with pustules (Schuppener6))

 (3) Pustular psoriasis of Zumbusch(Zumbu−

sch1))

 (1)は近年Pustulosis palmaris et plantarisと して一括して呼ぶ傾向にある.

 (2)はZumbuschの記載した4つの主症状の うち,全身症状を伴わないものである,

 (3)は・Zumbuschの記載に代表される乾癬を 有する患者が突然重篤な全身症状を伴って全身に 膿庖を形成し,これを繰返えすという特徴をも つ.以上3型のなかでは,自験例は(2)のSchup−

pener型に入るものと考える.

 ∬.Bakerら4)の分類  (1) Zumbusch type  (2)  annular type  (3) exanthemat量。 type  (4)  Iocalized type

 (1)はGordonら3)の分類の(3)に一致する.

 (2)は全身症状が比較的軽く,亜急性であり,

蛇行状あるいは環状の小膿庖が潮紅の上に並び,

その内方は乾癬様であり,移動性で,限局しても 汎発してもよく,Zumbusch速筆痕性乾癬に合併 することがしぼしぼある.

  (3)は上気道炎などの炎症に続発して,突如孤 立性,細菌性の表皮から盛り上がる膿庖が四肢末 端から始まり,直ちにほぼ全身に拡大するもの で,個疹は2〜4mm,炎症性紅量を有し所によっ ては融合して紅皮症へと発展する例もあるが,2 ないし3週間で寛解する.

 (4)は当初尋常性乾癬の局面内に限局して膿庖 が生じ,以後局面外にも膿癒が出現するもので,

Gordonら3)の分類の(2)に一致する.

 以上の4型のなかでは(4)の型に最も近いが 一時期環状〜蛇行状の膿庖の配列もみられている 点など,(2)の型も合併していると考えられる.!

 本痒の皮疹の増悪因子には種々のも㊥が考えら れており,例えば感染,ステロイドホルモンの内 服,妊娠,低Ca血症,ストレスなどであるが,

自験例は膿庖が出現し始めた時期より膀胱炎や扁 桃炎がみられていたが,今回治療中に偶然にも膀 胱炎と扁桃炎に罹患したが,皮疹の増悪には無関 係であり,検査上からもはっきりとした増悪因子 を推定することはできなかった.

        W・ まとめ

 幣串性乾癬の1例を報告した.自験例は10年程 前より乾癬病巣を有し,2年程前より両下肢の乾 癬病巣上にのみ小帯庖が,前駆症状なく過去に4 回発作性に出現するという特徴的な臨床経過をと った興味ある1例と考えた.

 稿を終るに当り,ご校閲を賜った平野京子教授に深謝 いたします.

 本症例は第9回日本皮膚科学会静岡地方会(昭55.

10.25)において報告した.

        文  献

1)Zumbusch重しR.3 Arch Derm 99335(1910)

2)Kaposi, Ha1且opeau et Michaux=Kis−

 smeyer, A。:Psoriasis Bullosa. Derm Zschr  24397(ig17)より引用]

3)Gordon, M., H.H. Pearlstein禽nd C.F.

 3urgoon=Dermatologica 13865(1969)

4)Ba1【er, H・and J.工Ryan;Brit J Derm 80  771 (1968)

5)Ba即ber, H:.W。3 Brit J Derm Syph 42500  (1930)

6)Sc11叩pener, H.G.;Arch Klin Exp Derm  209 600 (1960)

一71一

参照

関連したドキュメント

前 頂部 上眼瞼 頚部 複数 腫瘤. 発生し

A case of systemic acquired myasthenia gravis of dog that happens in succession to idiopathic megaesophagus.. 考

部乳 複数 しこ

右側第 ~ 乳 複数 大豆大腫瘤 体表 ンパ節 腫大 し.. 浅鼠径

小体明瞭 やや大 い 形異型 広い好酸性 細胞質を す 癌細胞 腫瘍境界 規則

移行 皮様 配列 顕著 層化を示す層状配列や 規則 中小 胞巣状増生巣. 腫瘍境界

[r]

脾臓.. 除標本 病理組織検査所見. Malignant Fibrous