第二部 証明商標制度
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(2) 高い技術力を持っている中小企業への振興策としても証明商標制度の導入は望ましい」と 判断して米国の要求を承諾した1。 米国連邦商標法(ランハム法、Lanham Act)は、州際通商そして外国貿易に使われている 商標、サービス商標、団体商標、証明商標の四つの商標カテゴリーに、連邦知的財産権の 保護を与えている。証明商標とは、言葉、名称、シンボル、図形又はその組合せであって、 商標権者ではない者によって使用され、その者の商品又はサービスの地域若しくはその他 の出所、材料、製造方法、品質、精度若しくは特徴を、又はその商品又はサービスについ て作業若しくは労働が組合若しくはその他の組織の構成員によって行われたことを証明す るものをいう(第 1127 条)。証明商標と通常商標との異なる点は、証明商標の所有者は証明 商標を使用できない、そして、証明商標は商品又はサービスの商業的出所を表示するもの ではないということである。しかし、証明商標の目的は、同商標を付した商品・サービス が一定の品質等を有していることを、当該商品・サービスの生産者以外の者(証明商標者) により検査、試験されていることを消費者に知らせることであるため、通常商標の目的で ある消費者の商品についての情報の強化及び消費者の信頼に対応という趣旨に一致すると 理解されている2。現在、米国特許商標庁(USPTO)には、3,758 件の証明商標が登録されてい て、商品又はサービスの広範にわたって使われている3。 英国では、1905 年商標法から商品の特徴を証明する標章が明示されている。そして、1994 年商標法で、「証明商標とは、当該商標が使用される商品又はサービスについて、その原 産地、原材料、製造方法若しくは提供方法、品質、精度又はその他の特徴が、商標の所有 者によって証明されていることを表示する商標をいう(第 50 条)」と定義されている。米国 の証明商標と異なる特徴は、米国証明商標の第三類型(ある特定組合で、商品が作られてい る、又は役務が実行されていることを証明)が明示されていない点、そして、証明商標の保 護対象の一つである原産地表示は、団体商標による保護も含めて、欧州地理的表示理事会 規則(EEC 2081/92)によりも保護されている点である。現在、英国知的財産庁(IPO)には、 198 件の証明商標が登録されている4。 日本でも、地理的表示の保護制度として証明商標制度が紹介されたことがある5。しかし、 ほとんど議論されないまま、地理的表示の保護手段として、既存の団体商標制度を拡張す る形の地域団体商標制度が採用された。そのため、現在も証明商標というと産地証明商標 と認識される場合もある6。 韓国制度については、FTA締結時に検討された項目をもとに、証明商標制度と関連する制 度として、商標制度、地理的表示保護制度、認証制度を取り上げる。商標制度と関連して、 証明商標は通常商標より商標の品質保証機能の充実が期待されている。そのため、証明商 標の導入には、現行商標法で同機能がどのように規定及び運用されているか、そして、証 明商標の品質保証機能は商標法で如何に具体化され得るかを分析しなければならない。又、 韓国には地理的表示の保護制度として、既に、特許庁管轄の地理的表示団体標章制度と農 林水産食品部管轄の地理的表示登録制度が並存している。この状況下で、産地証明商標を 35.
(3) 追加すると理論上三つの制度が並存することになる。今後、これらの制度の法的・実務的 な運用の研究は欠かせないものになる。同時に、証明商標制度は、他人の商品又はサービ スの品質等を証明する表示であるため、公的な認証制度との関係を検討しなくてはならな い。ところが、認証制度は、分野ごとに様々な特徴を持っているため、検討対象を絞る必 要がある。そのため、消費者にもっとも知られている韓国産業標準(KS)表示認証制度と証 明商標との関係を対象として分析する。 研究方法は次の通りである。証明商標制度をもつ主な国として米国と英国の制度を研究 対象として分析する7。米国と英国の証明商標は通常商標と異なる特徴があるものの、基本 的には通常商標と同一審査過程を経て登録され同一効力を持つ。ただし、証明商標の異な る特徴は、証明商標として機能するという意味の解釈、証明商標の識別力の判断、証明商 標権者の管理統制と責任の解釈問題を残している。そのため、本稿は、米国と英国の制度 を記述しながら上記の解釈問題をともに扱うこととする。 次に、韓国の制度に関連しては、まず、現商標制度での商標の品質保証機能の関連規定 を分析する。そして、事例として真正商品の並行輸入の問題と地理的表示標章制度での品 質保証の意味を分析する。さらに、地理的表示保護制度として、多数の制度が並存される ようになった背景と争点、そして、制度間の並存可能性を分析する。又、KS 表示認証制度 と証明商標制度とを分析するために、韓国国内の認証市場の状況と KS 表示認証制度と証明 商標制度との運用について精査する。 以上の分析を踏まえて、最後に、証明商標制度が韓国へ導入される際予想される法的問 題として、商標の保護対象拡大の必要性、証明商標出願人適格能力と登録後の責任、証明 商標第三類型の導入可能性、三つの地理的表示保護制度の並存と実効性、商標法一部改正 法律案の一私案を、検討課題として設定する。. 第2章 第1節. 米国の証明商標制度 総説. 一 意義 証明商標とは、言葉、名称、シンボル、図形又はその組合せであって、(1) 商標権者で はない者によって使用され、又は、(2) 商標権者が、善意で、商標権者以外の者に取引上 使用させる目的で、本法律により設けられた主登録簿へ登録を出願して、その者の商品又 は役務の地域若しくはその他の出所、材料、製造方法、品質、精度若しくは特徴を、又は その商品又は役務について作業若しくは労働が組合若しくはその他の組織の構成員によっ て行われたことを証明するものをいう(商標法第 1127 条)。証明商標の目的は、同商標を付 した商品又は役務が一定の特徴を有し又は一定の品質若しくは基準に合致していることが 当該商品又は役務の生産者以外の者(証明商標権者)により検査、試験され、証明されてい 36.
(4) ることを消費者に知らせることにある。消費者のための情報の強化、そしてその信頼へ対 応するという趣旨は、通常商標と同じであることで、いくつかの例外を除いて、通常商標 に関するすべて規定が証明商標にも適用されている(同法第 1054 条)。例外は、次の二つが 挙げられる。一つは、通常商標が使われている方法で証明商標権者によって証明商標が使 われていないということである。証明商標の使用行為は証明商標権者ではなく、証明商標 権者から使用権を受けたライセンシーによって行われる。したがって、証明商標制度にお いてライセンス契約は選択的な要素ではなく、本質的な要素になる。もう一つは、証明商 標の目的は品質等を証明することにあり、通常商標のように商業的出所を表示していない ということである8。通常商標の場合なら、その一次的機能は商業的出所を表示することに あるが、証明商標の場合は、商品が一定の基準に合致することを証明商標権者が確認し、 それを表示するという意味では証明商標権者と結びついているものの、誰でも証明基準に 適合すれば証明商標を使用する権利を有するので、特定の事業者の出所を表示するもので はない9。そのため、証明商標権者には厳格な基準設定と統一的な管理が求められている。 二 類型 1 原産地を証明する類型 第一類型は、原産地を証明する類型である。通常商標の場合は、原則として主に地域を 表示する記述的商標については、 識別力を備えない限り商標登録を認めてない(第 1052 条)。 しかし、団体商標又は証明商標に該当する場合には地理的出所表示であっても例外的に登 録することができる(第 1054 条)。例えば、 「Grown In Idaho」10及び「Idaho」11は Idaho Potato Commission の証明商標である。これらの商標は、消費者に、その表示が付されているじゃ が芋は一定の品質を持ちアイダホ州から生産されていることを証明する。 2 材料、製造方法、品質、精度その他の特徴を証明する類型 第二類型は、材料、製造方法、品質、精度その他の特徴を証明する類型である。例えば、 証明商標「UL」(Underwriters Laboratories、保険業者安全試験所)は、UL 社が決めている 安全基準を充たす製造業者(使用権者)の電気設備等を証明する12。 3 ある特定組合で商品が作られている、又は役務が実行されていることを証明する類型 第三類型は、ある特定組合又は個人によって、作業(Labor)が行われたことを又は役務が 実行されていることを証明する類型である。例えば、「 ASE CERTIFIED 」 13 は National Institute for Automotive Service Excellence co.の証明商標で、同標章を使用する自動 車修理工は、証明商標権者が設定した一定基準と試験・再試験に合格していることを証明 する。 三 証明商標と認証制度との関係 証明商標の使用が増加した理由の一つは、一般の職場で使っている機械製品の適合性評 価制度の変化と、認証制度との関連が挙げられる14。具体的には、米国では、従来から職場 で利用されている製品について、労働省労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration, OSHA)の規則と証明が義務とされている。OSHA は 1988 年から民間機関が 37.
(5) 国家認定試験所(Nationally Recognized Testing Laboratory, NRTL)として認定できる NRTL 制度を運用している。そして NRTL 機関は、連邦規格に基づいて様々な製品の安全試験及び 認証を行っている。NRTL 制度の制定は、MET Laboratiories, Inc(MET)と米国労働省長官と の訴訟に関わっている15。同訴訟は、労働省が労働安全衛生法(OSHAct)に従って NRTL の認 証手続規則を制定しようとした 1973 年に遡る。労働省は、機械製品試験に関する一般基準 を作成したが、この基準を満す機関は、当時の MET の競争機関である UL16と FM(FM Approvals LLC、現在 NRTL)17だけであった。MET は労働省の選考基準が不公正であることを理由に訴訟 を起こした。1987 年、裁判所は MET の請求を認めて、労働省に 120 日以内に新しい制度を 作るようと命じた。労働省は、29 C.F.R(連邦規則集) §1910 で NRTL 制度と関連する労働 安全に関する基準を定めた。その結果、外国ベースの認証機関(TUV SUD Product Service GmbH(TUVPSG)18、Canadian Standards Association (CSA)19)も含めて、18 機関が NRTL にな っている。そして、認証後の表示として証明商標を使うことで、製造業者間で同商標につ いての認識が拡大されている。 証明商標の使用が増加したもう一つの理由は、商品市場に関連している。小売業者から 消費者が購入する大部分の製品の証明は、政府の規則が義務づけられていない任意基準が 適用されている。しかし、第三者認証と認証後証明商標を付することは、保険加入及び販 売において有利に作用されているため、製造業者は、認証に積極的に取り組んでいる20。 第2節. 登録出願手続. 一 出願人要件 出願人要件について、商標法は、 「自然人又は法人及び国、州、又は地方公共団体等であ って、たとえ工業的又は商業的営業所を有していないとしても、その標章の使用について 正当な統制力を行使するものは証明商標の出願人になる。但し、証明商標の場合において その標章の所有者又は使用者がその標章の使用される商品を製造し若しくは販売し又はサ ービスを提供する旨を虚偽に表示するように使用されるときは、この限りでない」と定め て(第 1054)21、標章使用における証明商標権者の管理能力を重視している。 しかし、出願人は、証明商標が使用される商品若しくはサービスの生産若しくは販売に 従事してはならない。ただし、出願人が、自己の商品を販売(サービスの提供)する等の営 業活動することだけで、証明商標の取得が不可能になることではない。商品(サービス)を 販売する者が、証明プログラムを実施するとしても、個々の活動が「別々に区別できる標 章」で区分できるなら登録できると実務上解釈されているからである22。例えば、デュ=ポ ン(Du Pont)社は、商標 TEFLON をもって焦げ付きのないコーティングを生産している。そ の上で、デュ=ポン社の基準に合わせる他社のコートされた調理機器を証明するために背景 デザインをもつ TEFLON DU PONT APPROVED FINISH23という証明商標が登録された。 地理的表示を対象にする出願は、当該地理的表示の使用を管理する権限として、同地域 の全ての人々が自由に使用する権限を保障できるか否かと、同標章の差別的又不法的な使 38.
(6) 用を防止できるか否かを確認しなければならない。この管理権限を満たすものは、通常、 政府機関又は政府機関から許可されて運営される団体である。 二 出願対象要件 1 証明商標機能を遂行できる表示 証明商標の表示は、通常商標と同様に、言葉、名称、シンボル若しくは図形又はその組 合せである(第 1127 条)。但し、証明商標は、商品が一定基準に適合することを証明するの で、「approved by」、「inspected」、「conformed to」、「certified」等の言葉を含む場合が 多い。又、円形のデザインを含めることで認証印としての表示機能を強化していることが ある。産地証明商標であっても、産地名が必ずしも証明商標に含まれている必要はない。 例えば、フロリダ産のシトラス商品を証明するために「SUNSHINE TREE」という証明商標が 使われている。そして、産地名は単独であっても、又は産地名と他の語との組み合わせで も、産地を証明する商標であれば登録が認められている。例えば、 「Idaho」及び「Grown In Idaho」は先述の通り Idaho Potato Commission の証明商標として使われている。 記述性(descriptiveness) 24、混同の可能性がある標章25は、証明商標として機能しない 標章として登録できない。そして、個人に授与する学位、称呼又は地位であり、個人の地 位等として使われているものは、証明商標の対象にならない26。但し、証明商標の第 3 類型 (ある特定組合で商品が作られている、又は役務が実行されていることを証明する類型)と 関連して、出願商標が学位、称呼又は地位を表すために使用されていても、 「適当な方法で 使用される場合」は証明商標として機能すると解釈されている27。 2 提出資料 出願人は、証明商標が証明する内容を詳細に説明する供述書、当該商標の使用許可基準 のコピー、出願人が当該商標の使用について合法的なコントロールをしている主張と出願 人自身が当該証明商標に係る商品や役務の生産や販売を業としていない主張の供述書を提 出しなければならない 28 。証明商標の管理基準について、国は何ら関与していない。 FTA(Federal Trade Commission)によって証明商標について管理基準を作ろうとしたことが あったが29、議会で否認されたため、証明商標権者に任されている。 三 その他 1 出願審査段階への登録取消理由の反映 商標法第 1064 条には、一般登録取消理由以外に、証明商標に関する登録取消理由として 四つを定めている。これらを出願審査段階に反映すると、以下のようになる。(A) 願書中 に、出願人が当該証明商標の使用に関し合法的なコントロールを有している旨の供述があ った場合は、審査官がそのような事実がない旨の事実を認識していない限りに受け入れる。 (B). 出願人自身が当該証明商標に係る商品(役務)の生産又は販売を行っていない旨の供. 述をしたときは、審査官がそのような事実がない旨の事実を認識していない限りに受け入 れる。(C) 当該証明商標が証明以外の目的で使用されているか否かについては、出願時に は何らの供述を求めず、審査官も判断しない。(D) 当該証明商標が証明する基準や条件を 39.
(7) 満たしている第三者の商品(役務)について、出願人が差別的に証明を拒絶しているか否か については、特許商標庁は判断せずに、当事者間の手続で調査又は監視される。審査官に は、証明商標の実体面についての職権審査が認められていないため、(C)(D)について審査 することができない30。 2 商品又は役務の指定 商品又は役務の指定について、通常商標の場合は、実際の使用に係る商品・役務を表示 して各区分(商品は class1~34,役務は class35~45)に基づき出願登録を行う。証明商標 の場合は、より広漠な表示で class A(商品)又は class B(役務)のいずれかに出願・登 録される。証明商標の対象となるべき商品や役務の範囲が、個人が商標登録する商品・役 務の範囲ほどに、狭義に限定されないようにするためである31。 第3節. 商標権の効力. 証明商標には、通常商標と同一効力が与えられている。証明商標の登録は、当該標章の 有効性(validity)、当該登録の有効性、そして指定商品役務についてその登録に記載され た条件又は制限に従い、商標権者の排他的権利を推定させる証拠となる32。そして、権利者 の同意を得ないで使用する者は、民事訴訟における救済措置である損害賠償、差止及び侵 害標章の廃棄の責に服される33。 第4節. 登録取消事由. 証明商標権者又はその使用者が、その商標の使用される商品を製造し若しくは販売し又 は役務を提供する旨を虚偽に表示するように使用される場合は、証明商標の登録は取消さ れる(第 1054 条)。又、商標法は、一般登録取消事由以外にも、証明商標に関する登録取消 理由を付加している(第 1064 条)。即ち、証明商標権者が、(A)当該標章の使用を統制せず 若しくは正当に統制権限を行使することができないとする理由、(B)証明商標が使用されて いる商品若しくはサービスの生産若しくは販売に従事しているとする理由、(C)証明行為以 外の諸般の目的のために証明商標の使用を許可するという理由、又は(D)当該標章の証明基 準若しくは証明条件を維持している者の商品若しくはサービスを証明し若しくは引き続き 証明することを差別的に拒否するという理由によっては、いつでも、同標章の登録により 損害を被っていると又は損害を被るであろうと信じる何人も、当該標章の登録を取り消す べき旨の請願をすることができるようにしている。連邦取引委員会も、上記理由を基に、 取消請求することが可能である。この規定によって商標法は、証明商標についての管理基 準を強化している。そして、この基準の維持に多大な利害を有する競合業者及び消費者は、 証明権利者が当該要求基準を維持しているか否かを監視する役割を有する。しかし、如何 なる場合も、登録人が、証明プログラム又は登録人の証明基準を満たすような商品若しく は役務を宣伝するために、又はその認識を促すために、自らの証明商標を用いることにつ いては禁止してはいないと解されている34。 40.
(8) 第3章 第1節. 英国の証明商標制度 総説. 証明商標は、1994 年英国商標法の第 50 条と附則 2 で定められている。証明商標とは、当 該商標が使用される商品又はサービスについて、その原産地、原材料、製造方法若しくは 提供方法、品質、精度又はその他の特徴が商標の所有者によって証明されていることを表 示する商標をいう(英国商標法第 50 条)。 英国で商品の特徴を証明する標章が商標法で明示されたのは、1905 年商標法からであり (第 62 条、standardisation marks)、1938 年商標法でも規定されている(第 37 条)35。両法 での証明商標認可機関は取引委員会(the Board of Trade)であり、権利付与における公衆 の利益が判断された。しかし、1994 年英国商標法では特許庁の登録官により通常商標の要 件と附則 2 証明商標に従って審査登録されているという点で違いがある。 英国証明商標の特徴の一つとして、証明商標の登録出願人は、商標法附則 2 第 6 項によ り、証明商標の使用を管理する規約を登録官に提出しなければならないことがある。規約 には、(1)商標の使用を許可される者、(2)商標により証明されるべき特徴、(3)認証機関が、 当該特徴を試験する方法及び商標の使用を管理する方法、(4)商標の運用と関連して納付す べき手数料(ある場合)、並びに(5)紛争を解決するための手続を表示しなければならないと している。この点を米国の証明商標登録出願と比較すると、米国では、証明商標の管理基 準が証明商標権者に任されているため、英国の方がより厳しく審査されていうようである。 また、証明商標の定義も、米国の定義と異なり、第三類型(ある特定組合で商品が作られて いる、又は役務が実行されていることを証明する類型)について明示されていない。 さらに、英国では、原産地表示が、証明商標だけでなく、団体商標によっても保護され ている。そして、欧州地理的表示理事会規則(EEC) No 2081/92 により、環境食品地方対策 省 (Department for Environment, Food and Rural Affairs) 所 管 で PDO(protected designations of origin、原産地保護呼称)及び PGI(protected geographical indications、 地理的保護表示)の登録によっても原産地表示が保護されている点が特徴である。例えば、 The Stilton Cheese Makers' Association は、Stilton と Stilton Cheese36の証明商標を もちながら、White Stilton と Blue Stilton37を共に PDO として登録している38。 第2節. 登録出願手続. 一 出願人要件 証明標章登録出願は、法人により行われなければならない。法人格を有する団体(会社登 録簿又は共済組合登録簿に登録された有限会社や協会等)は、証明標章の所有者となること ができる。しかし、政府部局は、証明標章の所有者となることはできないので、そのよう な場合の出願は担当大臣の名で行われる。登録されていない団体や法人格を有さない団体 の場合、その団体の「会長」、「事務局長」又はその他の何らかの責任者を、個人名ではな 41.
(9) くその役職名において証明標章の所有者として指名する。例えば、Stilton と Stilton Cheese の証明商標の出願者は The Chairman of The Stilton Cheese Makers' Association である。 二 出願対象要件 1 証明商標機能を遂行できる表示. 証明標章を構成することができる標識とは、証明標章に関し、商標法第1条(1) 39にお いて、ある事業の商品又はサービスを他の事業の商品又はサービスから識別するという ときは、証明に係る商品又はサービスをそうでない商品又はサービスから識別すること をいう(附則2第2項)。もし、当該標章の特徴又は意味について公衆が誤認するおそれがあ る場合、特に、証明標章以外のものと誤認するおそれがある場合は、登録されない(附則2 第5項)。登録官は、登録出願に係る標章に、それが証明標章であるとの何らかの表示を含 ませるよう要求することができる。 関連事例40として、Legal Aid Board が登録出願した「Legal Aid」という標章について、 登録官は、消費者は Legal Aid を政府支援財政助成スキーム(the State Assisted Financial Aid Scheme)として認識している。しかし、この認識は Legal Aid Board の証明商標として の認識とは異なり、当該標章は消費者に法的サービス等の特徴を証明するマークとして認 識されていないとして商標法第 3 条(1)41により登録拒絶した。ところが、上訴では、該当 標章は使用による識別力を獲得されていて、消費者が Legal Aid Board により運営されて いるスキームとして理解しない理由がないと認められた。 2 使用規則の提出と適格能力の宣言 1) 使用規則の提出 証明商標の出願は、通常商標として絶対的及び相対的拒絶理由に関する審査と使用規則 の審査がある。出願人は、出願日から9ヶ月以内にその商標の使用規則を提出しなければ ならない(附則 2 第 6 項) 使用規則は、その証明標章に係る証明プログラムがどのように規律され維持されている かを示すとともに、その証明標章は指定商品又は指定役務に関して如何なるものを証明す るかを示す。具体的に、(a)証明される商品の特性、(b)生産に対する監督及び管理の内容(ど のような試験が行われるかも記載されなければならない。また、検査結果の評価は誰が行 うかも示されなければならない)、(c)非差別条項(そのための資格を満たす申請者は誰でも 証明標章の使用が許可される旨を示す規定)、(d)商標の使用及び貼付の方式、(e)認証(証 明)に関係する各種事項の手数料、(f)紛争解決に関する方針(独立した専門家又は法律家等 の適切な仲裁人の指定を含む)、(g)使用規則の改正を行う際には商標登録官の承認が必要 なこと、(h)使用規則を遵守する旨の保証書の提出を使用者に義務付けること(例えば、係 る内容を含む使用申請書を添付する)、(i)証明標章の使用許可証明書の書式を使用規則に 添付すること(同証明書には、有効期間、例えば一年間、が記載されていなければならない)、 (j)商標所有者は、使用者名簿を維持し、それを閲覧に供することを約束しなければならな 42.
(10) いこと、(k)更新に関する規定も記載されていなければならない(商標審査便覧 12. 3.3、. 商標ハンドブック 113.3.2)。 2) 適格能力の宣言. 出願人は、出願標章と関連する商品又はサービスを証明できるという適格能力の具備 について宣言しなければならない。宣言には、(a)出願人の組織についての説明(その性 質及び証明商標管理能力に関するもの)、(b)証明商標の目的(それが保証するのはどの ような品質又は特性であるか)、(c)証明商標により証明される品質を備えた商品を生産 する者は誰でも使用規則に従いその商標を使用できる旨の保証が示される必要がある。 さらに、宣言には、出願人の組織は当該製品の製造又は販売に携わっていないことの確 認、証明プログラムが非営利で運営されていることを内容に含めることもできる(商標審 査便覧 12 3.5、商標ハンドブック 113.4)。 第3節. 商標権の効力. 証明商標権者は、自らが証明商標を使用することは禁止されているが、その商標を移転、 譲渡、質権の設定をすることはできる。この場合、商標権者の変更には使用規則を変更す ることが必要になる。そして、証明商標権者及びその構成員や使用者は、侵害に対して差 止め、損害場合を請求することができる(第 14 条、第 30 条)。 第4節. 登録取消事由. 証明商標には、一般登録取消事由(第 46 条)の他、証明商標に関する登録取消事由を付加 している(附則 2 第 15 項)。即ち、証明商標の登録は、(a)標章の所有者が第 4 項にいう営 業を開始したこと、(b)標章の所有者による当該標章の使用の態様が、当該標章を第 5 項(1) にいう態様において公衆を誤認させる虞があるものになったこと、(c)標章の所有者が当該 標章の使用を管理する規約を遵守せず又は遵守を確保することができなかったこと、(d) 規約が修正された結果、規約が、(i)第 6 項(2)及び規則により課されるその他の条件を満 たさなくなったこと、若しくは(ii)公の秩序又は容認された道徳原理に反するものとなっ たこと、又は(e)標章の所有者が、もはや標章の登録に係る商品又はサービスを証明する資 格を有さなくなったことの理由に基づき取り消すことができる。. 第4章 第1節. 韓国の現行制度と法律案 現行関連制度. 一 商標制度上の品質保証機能 1 理論的課題 商標の機能は、一般に、出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能が挙げられる。と ころが、商標の機能は、社会経済的に商品に付されている商標をどのように認識するかと 43.
(11) いうことと関係するので、変化する相対的な概念であると言われている42。沿革的には、最 初は出所表示機能が重視されたが、その後、社会経済環境の変化及び商品取引の急速な増 加に従い、品質保証機能、広告宣伝機能及びその財産的機能が重視されるようになった。 これらの機能についての商標法上の規定を次に考察する。まず、出所表示機能については、 商標法の目的が一定の商標を付した商品(役務)の出所を識別することにあるので、同機能 は消費者の直接保護法益として認められている。ところが、品質保証機能に関しては、ど の範囲までその効力を認めるかは未だ確定されていない。商標法上の規定は、品質誤認を 防止するにとどまっている(第73条1項)。ところが、真正商品並行輸入問題の商標機能論、 そして地理的表示団体標章と商品品質との関係等、商標の出所表示機能だけでは理論上充 分な説明が得られない場合がある。さらに、証明商標の導入目的として証明商標の品質保 証機能の充実さが期待されている。そのため、品質保証機能を巡る理論上の分析は次のよ うに二つに分けて考える必要がある。一つは、現行商標法において品質保証機能が如何に 規定及び運用されているかである。もう一つは、証明商標制度における品質保証機能は如 何に具現されるかである。前者については以下で分析する。後者については法的諸問題と 関連して後述する。 2 関連規定 商品品質と関連する規定は商標法に多数ある。登録出願においては、商品の品質を誤認 させるおそれがある商標は登録を受けることができない(第7条1項11号)。そして、商標登 録後に、商標権者は自分又は使用権設定契約による他人に商標を使うようにすることがで きるが、商品の品質誤認を防ぐために商標権者には正当な使用義務及び使用権者の使用に ついて相当な注意義務を負わせている(第73条1項2号、8号)。そして商標権の移転において も商品の品質誤認が生じないように制限している(第73条1項9号)43。これらの関連規定は商 品の品質誤認を防止するための規定であり、商標の品質保証機能を直接保護法益として認 めてはいない。 3 事例検討 商標権者以外の者が当該商標権の指定商品について、その登録商標と同一の商標を付し た物を輸入する行為は、国内商標権者の許諾を受けない限りその商標権を侵害することに なる(商標法第2条1項6号)。しかし、真正商品の並行輸入に同規定を適用するか否かについ ては、反対が多数であり、学説として規定上の輸入行為には真正商品の並行輸入は含まれ ないという解釈論として、国際的消尽理論と商標機能理論が展開されている。二つの理論 のうち、商標機能論がより有力である。同理論では、商標の機能は商標権者の利益だけで なく公共の利益をも合わせて保護すべきである。それゆえ、真正商品の並行輸入は、事実 上商品の出所混同及び品質誤認のおそれがない限りは、商標法上真正商品の並行輸入及び 販売を禁止する理由がないとしている。そして、商標機能論は韓国でも有力である。さら に、1995年関税庁の「知的財産権保護のための輸出入通関事務処理規定」では、商品の品 質が保証されると、あえて出所表示機能の適用範囲を「出所の同一性」に限らず、「出所 44.
(12) 先の同等性」までに拡大解釈して真正商品の並行輸入を許容している。関連事例として、 POLO事件(大法院1997.10.10宣告、95ド2191判決)とBURBERRY事件(大法院2002.9.24.宣告、 99ダ42322判決)等がある。もっとも、商標機能論には並行輸入品を巡る独占禁止的な政策 が含まれている44。そのため、純粋な解釈論として同論の内容である出所表示機能、品質保 証機能が別々に議論されているというより、結論の妥当性から正当化を導くという手法で、 出所表示機能の同一人判断がより重視されてきている。 地理的表示団体標章制度と関連して、韓国は地理的表示を団体標章で保護している (2004.12.31.法律第7290号)。「地理的表示」とは単純な地名ではなく、特定品質、名声又 はその他の特性を持っていて、その品質等が当該地域の気候、土壌、地形等の地理的環境 に起因した場合にその商品が生産、製造又は加工された地域をあらわす表示をいう。地理 的表示団体標章制度において、他の地域と区別される品質や名声等の特性は、地理的表示 を保護するための前提事実として、地理的表示団体標章とその商品品質とは相互に密着さ れている。この密着関係について、韓国商標法は、商標登録出願において地理的表示の定 義に合致することを立証できる書類を提出するように義務づけている(第9条3項)。そして 商標登録後も、通常の登録取消事由の他、品質誤認混同を防止するために地理的表示団体 標章の取消事由を定めている(第73条5項、10項、11項、12項)。しかし、これらの関連規定 は既存商標法上の規定と同様に品質誤認を防止することまでその保護態度を留めているた め、地理的表示団体標章の品質保証機能は法律上直接保護法益として認められていない。 二 地理的表示保護制度 韓国は、地理的表示保護制度として、農水産物品質管理法(1999年制定、法律第5667号)45 上の地理的表示登録制度と、商標法上の地理的表示団体標章制度(2005年商標法改正)を持 っている。前者の制度趣旨について、農産物品質管理法案審査報告書には46、WTO/TRIPs協 定の地理的表示保護の履行規定のため、韓国·EU基本協力協定47での地理的表示保護制度の 導入合意のため、そして韓国の農水産物を保護育成するために必要であると説明されてい る。そして、後者の制度導入趣旨について、特許庁報告書は48、最近の農産物輸入開放等に 対応するためには地理的表示を利用して商品の差別化を図り、地域特産品の販売を促進さ せる必要があるとしている。又、地域特産物と関連する我が国の地理的表示が外国でも積 極的に保護されるために、当該商品の育成及び制度を事前に確立することが、WTO/DDA(ド ーハ開発アジェンダ)交渉と自由貿易協定等の地理的表示に関する国際的議論に積極的に 対応できると説明されている。しかし、両制度は共通する部分が多かったため、特許庁の 2005年商標法改正案については重複制度ではないかという批判をあった。これに対して、 特許庁は、農水産物品質管理法の地理的表示登録制度では、商品の種類ごとに法律(農産物 品質管理法、水産物品質管理法、高麗人参産業法、酒税法等)があって管理されるため、保 護体系の非一元化、保護要件及び保護効果の非一貫性、対象品目の非包括性及び品質認証 的性格等の不合理が生じるので、商標法による一貫する地理的表示の保護制度が必要であ ると主張した。又、地理的表示は「表示」に該当するため、商標法により保護することが 45.
(13) 望ましいという態度を示した。このように、地理的表示保護制度を巡る議論が合意に至ら なかったため、特許庁は、政府業務調整規定により財政経済部に業務調整を申請した。財 政経済部は両制度が並存するためには、各制度の登録要件及び効力が異なる必要があると 説示した。特許庁は、両制度の異なる点を提示しながら、農水産物品質管理法の地理的表 示登録対象品目について地理的表示団体標章の登録出願がある場合は、その該当有無につ いて当時の農林部長官又は海洋水産部長官に義務的に意見聴取しなければならないという 修正案を提示して制度作りに至った。 三 認証制度 1 認証制度の現況 韓国の認証制度は法定認証制度と民間認証制度とに区分されている49。法定認証制度は、 技術標準院「品質経営及び工産品安全管理法」の工産品安全認証等、政府18部署で64法令 により98種類が運営されている。民間認証は韓国生活環境試験院のQマーク等約60種類が運 営されている。 韓国の国内認証市場は、品質マネジメントシステムISO 900050が導入されて以来、認証産 業と言われるほど急速に発展しており、総認証制度のうち半数が1990年代以来に導入され ている。そして、産業の細分化、専門化、サービス産業の拡大等にあわせて、認証産業も 多様化、専門化、細分化の様子を見せている。しかし、多様な認証制度の混在で、企業の 負担過重、消費者の混乱、国内試験認証機関についての国内外の高い信頼度の取得問題等 が解決すべき課題として指摘されている。そこで、国の認証制度についての総合管理体制 を整えるため、「国家標準基本法」が改正され、国家の全部署に適用される標準認証審査 制と国家統合認証マークであるKCマークが導入された(2009.7.1)。具体的には、強制認証 制度の統合化、法定任意認証制度の改善、民間認証の制度的管理をその内容としている。 2 KS表示認証制度と証明商標制度との関係 KS 表示認証制度と証明商標制度の第二類型(商品の品質等を証明)とを比較すると、両制 度は第三者認証機関による適合性審査後の表示制度という点で類似する。しかし、前者は 韓国産業標準(KS)に関する法定任意表示であり、後者は民間認証表示として安全規格表示 取得等のためのサービスを提供するものである。 具体的に、KS 表示認証制度は、国家標準である韓国産業標準(KS)に適する製品を継続的 に生産できる体制であることを、認証機関を通して審査を受けて認められる第三者製品認 証制度で、KS 表示認証を受けた業者は KS マークを製品や包装に表示できる。そして、認証 された商品は、政府調達時に優先購買される等を受ける、また、電気用品等の 13 ヶ法令に よる強制認証の免除される。これに対して、証明商標制度を利用している UL(Underwriters Laboratories)機関を例にすると、UL は、材料・装置・部品・道具類及び製品に至るまで、 その機能や安全性に関する標準化を目的にした製品安全規格(任意規格)を策定して、評価 試験に合格したものに UL 認証マークの使用を認めている。UL 規格は任意規格であるが、米 国 の 機 械 安 全 と 関 連 団 体 の 労 働 安 全 衛 生 庁 (Occupational Safety and Health 46.
(14) Administration、OSHA)の基準(強制規格)で参考されている民間基準でもある。又、UL は OSHA による国家認定試験所(NRTL)の一機関でもある。そして世界主要輸出市場の国家別安 全規格マーク取得のためのトータルサービスをも提供している。 第2節. 証明商標に関する規定案. 一 導入趣旨 韓国商標法一部改正法律案(2008.10.13)では、証明商標制度の導入を提案している(案第 2 条 1 項 4 号新設)。提案の理由は、 「『大韓民国とアメリカ合衆国間の自由貿易協定』の協 議事項を反映する。そして、商品に関する正確な品質情報を提供できる」とされている。 主要内容には、 「(1)現行商標の機能は、自己の業務と関連する商品を他人の商品と識別す るに重点がおかれており、品質認証機能が制限されている。(2)『大韓民国とアメリカ合衆 国間の自由貿易協定』の合意により商品又はサービス業の品質、原産地、生産方法等の特 性を証明する証明標章制度を導入して、商標の品質保証機能を強化し、消費者に商品又は サービスについて正しい情報を提供することができるようにする」が盛り込まれている。 二 主要内容 1 定義 証明商標とは、商品又はサービスの品質、原産地、生産方法又はその他の特性の証明を 業とする者が、商品の生産・製造・加工又は販売を業とする者の商品、又はサービスを営 む者のサービスが、一定の品質、原産地、生産方法又はその他の特性を充足することを証 明するために使う標章をいう(第 2 条 1 項 4 号)。地理的表示証明商標とは、商品の品質、 原産地、生産方法又はその他の特性の証明を業とする者が、商品の生産・製造又は加工を 業とする者の商品が一定の地理的特性を充足することを証明するために使う地理的表示の 証明商標をいう(第 2 条 1 項 4 号の 2)。地理的表示証明商標に関してはこの法律で特別に規 定する場合を除いて地理的表示団体標章に関する規定を適用する(第 2 条 3 項 4 号)。 2 登録手続 1) 出願主体 商品又はサービスの品質、原産地、生産方法又はその他の特性を業として証明し管理で きる者は、商品の生産・製造・加工又は販売を業とする者又はサービスを営む者の営業に 関する商品又はサービスが、一定の品質、原産地、生産方法又はその他の特性を充足する ことを証明するのに使えるように、証明商標の登録を受けることができる。但し、自己の 業務に関する商品又はサービスに使用する場合は、証明商標の登録を受けることができな い(第 3 条の 3 の 1 項)。第 1 項にも関わらず、商標・サービス標・団体標章・業務標章の 登録出願人又は商標・サービス標・団体標章・業務標章の登録を受けた者は、その出願商 標・サービス標・団体標章・業務標章又は登録商標・サービス標・団体標章・業務標章と 同一又は類似の標章を、その指定商品・サービスと同一又は類似の商品・サービスについ て証明商標として登録を受けることができない(第 3 条の 3 の 2 項)。証明商標の登録出願 47.
(15) 人又は証明商標の登録を受けた者は、その証明商標と同一又は類似の標章を、その指定商 品・サービスと同一又は類似の商品・サービスについて商標・サービス標・団体標章・業 務標章の登録を受けることができない(第 3 条の 3 の 3 項)。 2) 出願書類 証明商標の登録を受けようとする者は、第 1 項各号の一般出願書類の他に大統領令で定 める証明商標の使用に関する事項の書類(法人の場合は定款を、法人でない場合は規約をい う。以下定款又は規約)と証明する商品又はサービスの品質、原産地、生産方法又はその他 の特性を証明し管理できることを立証する書類を添付して証明商標登録出願書を提出しな ければならない(第 9 条 5 項)。 3) 出願の承継と分割移転 証明商標登録出願はこれを移転することができない。ただし、当該証明商標について第 3 条の 3 により証明商標の登録を受けることができる者にその業務と一緒に移転する場合は、 特許庁長官の許可を得て移転することができる(第 12 条 10 号)。 4) 拒絶理由 証明商標登録出願においてその証明商標を使用できる商品を生産・製造・加工又は販売 することを業として営む者やサービスを営む者に対して、正当な理由なしに定款又は規約 で使用を許諾しない場合又は規約に充足しにくい使用条件を規定する等実質的に使用を許 諾しない場合には、審査官はその商標登録出願について商標登録拒絶をしなければならな い(第 23 条 1 項 8 号)。 5) 登録商標の移転制限 証明商標権は移転できない。ただし、当該証明商標について第 3 条の 3 により登録を受 けられる者にその業務と一緒に移転する場合には、特許庁長の許可を受けて移転すること ができる(第 52 条 10 項)。 6) 商標登録の取消審判 登録商標が次に掲げる場合はその商標登録の取消審判を提起することができる(第 73 条 1 項 13 号)。 ア.証明商標権者が第 9 条 5 項により提出した定款又は規約に違反して証明商標の使用を 許諾した場合、 イ.証明商標権者が第 3 条の 3 第1項の但書きに違反して、証明商標を自己の商品又はサ ービスに使用する場合、 ウ.証明商標の使用を許諾された者が定款又は規約に違反して他人に使用させる場合、又 は使用許諾を受けた者が定款又は規約に違反して証明商標を使用することで需要者に商品 又はサービスの品質、原産地、生産方法又はその他の特性に関して誤認を生じさせる場合。 但し、証明商標権者が使用許諾を受けた者に対してその監督において相当な注意をした場 合は、この限りでない、 エ.証明商標権者から使用を許諾されなかった第三者が証明商標を使用したことによっ 48.
(16) て、需要者に商品又はサービスの品質、原産地、生産方法又はその他の商品の特性につい て誤認を生じさせるにも関わらず、証明商標権者が故意に相当の措置を取らなかった場合、 オ.証明商標権者が当該証明商標を使用することができる商品を生産・製造・加工又は販 売することを業として営んでいる者又はサービスを営んでいる者に対して、正当な事由な しに定款又は規約でその使用を許諾しない場合、又は定款又は規約に充足しにくい使用条 件を設定する等実質的に使用を許諾していない場合。. 第5章 第1節. 検討課題 商標保護機能の拡大の必要性. 本節では、証明商標制度という固有制度なしに、従来の通常商標制度だけでは対応でき ない場合を分析して、商標保護機能の拡大の必要性があるかについて検討する。 商標登録を受けることができる商標は、自他商品・役務識別力を有する商標だけである。 自他商品役務識別を目的としない標章又は自他商品役務識別機能を営まない態様における 標章の使用行為に対しては、原則的に商標権の効力は及ばない51。一方、認証制度では、国 の行政機関等が一定商品についてその品質又は安全性等が特定規格を充たすか否かの適合 検査をして認証マークを付している。そのため、商標制度と認証制度とは、互いの保護対 象及び効力が異なり比較対象として考えられていなかった。しかし、1995 年新しい国際ル ール(WTO/TBT)が締結された後は、両制度を巡る状況に変化が生じている。WTO/TBT では、 国の規制ではなく、民間の第三者認証制度が中心となり、購入者(消費者)に代わって民間 の第三者が規格適合性を評価して認証マークを与えることを認めている。そして、WTO/TBT 以来の認証市場の拡大は、認証マークの保護及び利用の必要性という需要の変化をもたら し、新しい商標制度による保護までも求めている。自由貿易協定等で証明商標制度導入が 議論されている理由であると考えられる。 証明商標制度を持っていない国では、証明商標を団体商標として登録可能にしていると ころもある。しかし、証明商標の類型によっては、団体商標と馴染みやすいものとそうで ないものとがある。 「WOOLMARK」と「UL」を想定して分析すると次のようになる。 WOOLMARK は 1964 年国際ウール事務局と言われたウールマーク社製品のシンボルマークで ある。ウールマークはさまざまなアイテムの品質基準を厳しく設けて維持しているため、 消費者に正しい品質の高級ウール製品を提供している 52 。韓国及び日本には、複数の WOOLMARK が通常商標として登録されている53。一方、UL は、安全の証として認識されてい る。UL マークが付着されている製品は、消費者に、同製品は厳格な UL 安全規格に適合した 製品であることを示す。それと共に、UL 表示は強力な販売促進のツールでもあり、米国の 大規模小売業者の中には販売に際して UL 認証を指定しているところもある54。米国では WOOLMARK と UL は証明商標として登録されている。 49.
(17) 韓国で WOOLMARK は通常商標として登録されている。同標章は羊毛製品業たちを会員とす る特定事業者の商業的出所を表示するため、団体商標としても登録できると考えられる。 しかし、UL マークは通常商標として登録されておらず、第三者試験認証機関の認証マーク として使われている。WOOLMARK が通常商標として登録された理由は、特定事業者の商業的 出所を表示しているからである。ところが、UL マークの場合は、商品が一定基準に合致す ることを確認して品質等表示するという意味では証明商標権者が関わっているものの、特 定事業者の出所を表示してはいないため、通常商標として登録され難い。そして、もしも 団体商標として登録されると、品質等の証明を営業手段として利用しようとする主体の目 的に合わないことになる。 この需要(必要性)には、通常商標制度(団体商標も含む)だけでは対応できないため、証 明商標制度の創設まで求められていると分析できる。 第2節. 出願人適格能力等の審査と証明商標権者の責任. 一 出願人適格能力等の審査 証明商標登録出願の審査には、出所識別力等の一般審査の他に、出願人適格能力及び証 明商標使用規約の審査(以下出願人適格能力等)がある。通常商標と異なって、証明商標の 場合は商標の品質保証機能が直接保護法益になるので、出願者に出願標章についての管理 能力があるか否かと、使用規約の審査が重要性をもつ。出願人適格能力等に関する特許庁 の関与の程度についての立法例は、米国商標法とオーストラリア商標法がある55。英国の場 合は、1905年、1938年商標法では、取引委員会が証明商標の認可機関であったが、現1994 年商標法からは特許庁の審査だけ認められている。 米国では、証明商標の管理能力等の基準について国は何ら関与をしていない。 FTA(Federal Trade Commission)によって基準を図ろうとしたことがあるが議会で否認され たため56、証明商標権者に任されている。したがって、審査官は、出願人が願書に当該証明 商標の使用に関し合法的な管理能力を有するという旨を供述すると、そのような事実がな い旨を認識していない限り出願書を受入れている。 一方、オーストラリア商標法は、証明商標に関する審査業務を二分して、一般審査は特 許庁で担当しているが、出願人適格能力等については公正取引の側面までも審査する必要 があり別機関である競争消費者委員会57が担当している。具体的には、特許庁の登録官は証 明商標の登録出願があると、(a)出願が商標法に従ってされており、かつ (b)それを拒絶す る理由はないと認めたときは、出願及び所定の書類の写しを委員会に送付しなければなら ない(第 174 条)。委員会は、受領した出願及び書類について、(a)ある者が承認証明者にな るための特性が、商品及び/又はサービスが証明要件を満たしているか否かをその者に適 格に評価させるのに十分であること、及び(b)証明商標の使用を規整する規約が、(i)公衆 の不利益にならず、かつ、(ii)本号の適用上定められた基準を考慮したときに満足するこ とができるものであることを規則に従って検討しなければならない(第 175 条)。 50.
(18) 韓国の商標法改正案には、出願人適格能力等を審査するために、別機関を設置するとい う規定は置かれていない。ただし、知識経済部の産業標準審議会で国家標準・認証制度が 整備されているので、同部の知識財産主務部署である特許庁と産業標準審議会間で意見聴 取が行われると考えられる。 二 証明商標権者の責任 商標の使用契約は証明商標の選択的要素でなく本質的な要素である。そのため、証明商 標権者には証明商標使用における管理能力が求められている。そして、証明商標を信じて 商品を購入した消費者の利益も保護され、もし消費者が当商標商品から損傷を受けた場合 は、使用権者だけでなく証明商標権者をも相手に訴訟を起こすことができる。ところが、 証明商標権者の責任に関しては米国商標法では、 特別な取消規定はあるものの(第 1064 条)、 その他に商標権者(ライセンサー)としての特別な責任規定はなく、通常の使用権者に対す る商標権者の責任問題として扱われている。韓国の改正法律案でも、商標権者に、使用契 約を基に使用権者による同商標の使用に充分な管理能力を発揮することと、同商標が付さ れている商品の品質が保たれることを求めていることだけに留まり(第 73 条 1 項 8 号)、特 別な取消規定はおかれていない。しかし、証明商標の特性により、解釈上、証明商標権者 には通常商標権者に求められている相当な注意義務より、さらに厳格に義務が付せられる と考えられる。 第3節. 証明商標の第三類型の導入. 一 異なる定義 米国商標法には、証明商標の第三類型について「その商品又は役務について作業若しく は労働が組合若しくはその他の組織の構成員によって行われたことを証明するもの」と定 められている(第 1127 条)。これに対して、韓国改正案には、通常の証明商標(第 2 条 1 項 4 号)と地理的表示証明商標(第 2 条 1 項 4 号の 2)58についての規定はあるが、第三類型が定義 に含まれているか否かは明確でない。また、英国商標法でも、証明商標の定義に第三類型 が含まれているか否か明確でない。 本稿では、その理由を証明商標の第三類型の特性から探し、第三類型の登録が登録主義 を基に商標出願を認めている国にも馴染むか否かを検討する。以下第三類型が明示されて いる米国商標法の関連審決例を通じて分析する。 二 関連審決例 証明商標の第三類型について、「証明商標権者は、提供した作業の品質を証明しない。 ただ、その作業が一定の基準を満たす組合若しくはグループ、又は特定個人によって実行 されたことを証明する(In re National Institute for Automotive Service Excellence, 218 USPQ 744, 747 (TTAB 1983)、American Speech-Language-Hearing Association v. National Hearing Aid Society, 224 USPQ 798 (TTAB 1984))」とされている 59 。そして、National Institute for Automotive Service Excellence の事件で、審査部は、National Institute 51.
(19) for Automotive Service Excellence の登録出願について、「同標章は、証明商標として使 用されず、個人がとった資格又は地位で一定のサービスができることを表すだけであり、 実際に出願者の基準に充たす自動車修理技術の質を表してはいない。テストに合格した者 は、実際に彼が実行するサービスの質が如何であるかについて出願者の関与なしに、自由 に使うことになっている。そのため、証明商標権者に求められている法的監督が発揮でき なくなる」を理由に、その証明商標登録を認めなかった。これに対して、審判部は、 「記録 によると、同マークを使用するために、自動車修理工は、一定基準を満たし、テストに合 格し、5 年ごとの更新テストに合格しなけらばならない。出願者が、修理について直接監督 することは不可能である。そして、第三類型の証明商標権者には商品又はサービスの品質 を証明すべきであるという要件はない。証明商標の第三類型は、単に、商品又は役務につ いて作業若しくは労働が組合若しくはその他の組織の構成員によって行われたことを証明 する表示である」を理由に、拒絶査定を棄却した。また、American Speech-Language-Hearing Association の事件では、通常、AUDIOLOGIST(聴覚学者)は、聴覚学で尐なくとも高等教育 機関のマスター学位レベルをとっている者であると公衆に認識されている等を理由に、拒 絶査定を確認した。さらに、出願書類の記録使用例(specimens)が、実行される作業若しく は労働の特徴を証明せず、単に個人の人事情報又は成果についての特徴を伝える場合、例 えば、Professor, Professional Engineer, Certified Dietician, JD, CPA, and MD は、 証明商標として機能しない標章としてその登録は認められていない。ところが、マークが 単純に資格又は地位を表しても、適当な方法で使用されると証明商標として機能する可能 性はあると解されている(In re Council on Certification of Nurse Anesthetists, 85 USPQ2d 1403(TTAB 2007))。 三 検討 ある標章が、証明商標として機能するか否かは、出願者の標章使用方式の妥当性とその 具体的な作業における消費者の証明商標としての使用認識で判断される 60 。そして、 National Institute for Automotive Service Excellence の 事 件 と In re Council on Certification of Nurse Anesthetists の検討で、 消費者の証明商標としての使用認識とは、 社会的専門性についての認識ではなく、 「技術的専門性についての認識」であると判断でき る。その上で、韓国法律改正案と同様に第三類型が明示されていない英国商標法の前述し た関連事例、Legal Aid 事件61を分析すると以下の様である。同事件の標章は、提供された サービスの品質を証明しない。ところが、一定基準を満たすグループ又は特定個人によっ て実行されることを証明することができる。さらに、使用による識別力を獲得しているた め、USPTO TMEP§1306.05 で解釈されている第三類型に該当することがわかる。すなわち、 英国商標法では第三類型が明示されてはいないものの、事実上登録されていると考えられ る。 この結果を基に、韓国商標法において第三類型の導入が困難である理由を三つに分けて 分析する。(1)証明商標は、その登録要件として、出願者の標章使用方式と消費者の使用認 52.
(20) 識という、現に証明商標として機能していると判断できる標章を証明商標として認めてい る。しかし、韓国商標法は、商標の登録要件として、原則的に、出願された商標が現に使 用されているか否かという使用事実が求められていない。(2)証明商標の第三類型を登録す るためには、要件として商品又はサービスの品質を証明する必要はなく、組合(その他の組 織の構成員)によって行われている「認識できる技術的専門性」を証明すればいいと解され ている。しかし、この解釈は技術的な業務を行っている特定組合の商標的出所を表示する と解釈することができ、現行商標制度でも十分な保護ができることになる62。(3)第三類型 は、 英国の場合のように、 実際の運用で、証明商標でも団体商標でも保護ができると判 断される。英国では、証明商標制度は自発的に存在されてきたものの(1905 年)、団体商標 制度は比較的に最近導入されている(1994 年)。これに対して、韓国では、登録主義に基づ いて商標出願を厳格に認めている。以上三つの理由で、証明商標制度は馴染み難く、第三 類型の明示は困難であったと考えられる。 第4節. 三つの地理的表示保護制度の並存と実効性. 一 多数の地理的表示保護制度 韓国には、地理的表示保護制度として、すでに農水産物品質管理法上の地理的表示登録 制度と、商標法上の地理的表示団体標章制度がある。これに、今後、証明商標制度が導入 されると、三つの保護制度が並存するようになる。各制度の目的及び機能等が異なるなら ば並立可能性はあり、立法例もある63。ところが、各制度は限られた地理的表示を保護対象 とすることで実際上区別つかない場合がある。以下では、いかなる理由で多数の制度が並 存されるようになったのか、それを巡る国際的論争を考察する。そして、地理的表示保護 制度として多数の制度が並存されることが、実際上如何なる影響を与えるかを検討する。 二 国際的論争 地理的表示の保護制度として多数の制度が並存するようになった背景は、WTO/TRIPs の地 理的表示保護規定を巡る国際的論争に遡る。WTO/TRIPs に地理的表示の保護規定が置かれる ようになり、各加盟国はその法的手段を確保する必要があった。しかし、どのような形式 で保護するかについては各国に任せられていた。そのため、国により保護の形式は異なり、 それらは商標制度と商標制度ではない独自の地理的表示保護制度に大別されている。しか し、この保護手段があるにも関わらず、WTO/TRIP の地理的表示保護規定を巡って米国や豪 州側と欧州諸国側間の激論があり WTO パネルまで開かれるようになった(詳細は、第Ⅲ部第 2章第3節で後述)。その理由は、両制度の保護範囲が異なり衝突する側面があるためであ る。商標制度は、他人による商標の使用を禁じる要件として「混同又は誤認させる行為」 を定めている。しかし、独自の地理的表示保護制度は、混同の有無にかかわらず、たとえ ば、type、style 等の言葉を付加した使用行為までも禁止する排他的権利を登録者に与えて いる。他に、普通名称化の問題についても、地理的表示が商品の原産地を示すものではな く、商品の種類を示す名称として使われるときにも、両制度間では抵触が起こる。 53.
(21) 三 各制度の並存可能性と制度の実効性 各制度の並存は二分して考えられる。一つは、商標法上の地理的表示団体標章制度と産 地証明商標制度の並存である。もう一つは、商標法上の制度と農水産物品質管理法上の地 理的表示登録制度の並存である。 商標法上の地理的表示団体標章制度と産地証明商標制度の並存については、アメリカの 制度から考えてみる。米国の団体商標は、特定団体の構成員によって使用されるものをい う場合と、特定団体のメンバーシップを表示する場合があるが64、出願基準又は権利効力は、 当該標章の商標権者に関する要件を除き、通常の商標登録と同様の基準と効力が適用され ている65。団体商標と証明商標との関係については、団体商標は商品(役務)の製造者・提供 者と団体との関連を示すことに対して、証明商標は商品(役務)の特徴・性質を証明する点 で両商標は相違する。しかし、両者の関係に区別がつかない場合があることは、古くから 議会、裁判所、そして学者の間で認識されてきた66。特に、団体商標の構成員の資格条件を 緩和すればするほど両商標は近づく。団体商標の構成員条件を広く認めると、本来の団体 商標機能だけでなく、団体商標が使われている商品はある団体によって行われたことを証 明することになるためである67。しかし、それにも、証明商標は、上記の相違点と管理統制 の程度が団体商標と異なるため、両商標に対する市場からの需要は異なっている。例えば、 Colorado Potatoes は Colorado の San Luis Valley and Greeley 地域の 175 の小規模の生 産者及び流通業者グループの活動のため、団体商標(Collective trademark)68を登録して使 用している。しかし、Idaho Potatoes は、ジャガイモが Idaho で生産されるものであるこ と、同ジャガイモは一定基準(品質等級、サイズ、重さ、色等)を満たしていることを証明 するために証明商標を登録して使用している69。 商標法上の制度と農水産物管理法上の地理的表示登録制度の並存については、韓国では 両制度の相違を考慮した後、意見聴取の調整規定(法第 22 条の 2)を定めて並存を認めてい る(第Ⅲ部第4章で後述)。 以上のように、各制度は理論上、並立可能である。残された問題は、これらの制度が国 内実情を反映する制度として実効性を持つか否かである。この点を日本の地域団体商標制 度の分析を通じて検討する(第Ⅲ部第3章で後述)。日本は、地理的表示保護制度として、 主に地域団体商標制度(2006 年施行)を利用している。現在、日本特許庁には、関連商標と して 428 件が登録されている70。本制度が制定される当時、日本は地理的表示の概念の普及 に困難さを抱いていた。WTO/TRIP の義務遵守のために、酒税法(酒税の保全及び酒類組合等 に関する法律)等の改正を図ったが、法改正が国内需要を基とする自主的なものではなかっ たため、5 件だけ登録するに留まっていた。一方、地域団体商標制度が創設されるきっかけ になったのは、国内外からの模倣行為が大きく議論されたことと関連する。絶えずに行わ れている模倣行為が大きく話題になり、地域生産者と消費者に、各地理的表示の価値につ いての従来の考え方を変えることになった。この動きを反映する制度作りに、最初は、農 林水産省で地理的表示の登録業務が始まった。ところが、地理的表示という標章の業務は 54.
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