• 検索結果がありません。

本組/pdf納品用_表1~4

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "本組/pdf納品用_表1~4"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

はじめに インドは,国際収支危機に陥ったことを契機に 1991 年から経済自由化を開始した1 .折しも,ヒト・モノ・ カネ,そして情報までもが国境を越えて容易に移動でき るようになり,市場が一つに統合されるかのようなグ ローバル化が加速し始めた時期であった. インドは,グローバル化,特にアメリカの IT 革命の 恩恵を受けて,ソフトウェア産業が伸長した.具体的に は,「2000 年問題」を控えて,アメリカ企業から既存ソ フトウェアの改修作業を請け負ったことで,IT 技術者 の高い技術水準と低い開発コストを世界に知らしめるこ とになり,以降,ソフトウェアやコールセンターなどビ ジネスサービスの輸出が増大した.他方,製造業は 1980 年代の部分的自由化の下で先行して規制緩和が行われて いた自動車産業や電子産業といった資本集約的な産業を 除いた産業では,その豊富に賦存する労働力という生産 要素を十分に活用できていないのが現状である. 国連の推計によれば,インドは 2030 年までに中国の 人口を抜いて世界一の人口規模になる.人口動態につい ても,働く世代である 15∼64 歳までの生産年齢人口が 増加を続ける一方で,年少人口と老年人口からなる従属 人口を生産年齢人口で割った従属人口比率も低下するた め,扶養負担が減り経済活動が活発になる可能性がある. つまり,生産年齢人口の増加率が総人口の増加率を上回 る人口ボーナス期間を 2040 年頃まで享受できる.人口 ボーナスと経済発展の関係について成長会計を用いて説 明すると,下記の式のように,経済成長率は労働と資本 の投入量の伸び率の加重平均に全要素生産性の伸び率を 加えたものに等しくなる. ΔYt+1 Yt =α Δ Lt+1 Lt +β Δ Kt+1 Kt + Δ At+1 At ここで,Y は GDP,L は労働,K は資本ストック,A は全要素生産性,α と β はそれぞれ労働分配率と資本分 配率を示している.式では,ヒックス中立的な技術進歩 を仮定している.こうして人口ボーナスは,①豊富な低 賃金労働力を活かした労働投入量の増加を通じて,②税

インド製造業の成長を阻害している要因(1)

二階堂 有子

a 要 旨 インドの経済発展プロセスは,東アジアの経済発展プロセスと比べ,ユニークである.つまり,これまで 途上国の発展モデルの典型とされてきたペティー=クラークの法則,ルイスやフェイ=ラニスモデル,トダ ロモデルがインドには当てはまらず,農業部門に余剰労働力を残したまま,サービス部門が経済成長を牽引 している. 本稿の目的は,インドの製造業が比較優位を活かせず停滞している諸要因を明らかにすることである.今 回はとくに中小零細企業支援政策と厳格な労働関連法に焦点を当て,制度の整理と先行研究のレビューを行 う.次回で残る諸要因について同様に検討し,こうした諸要因が組織部門の製造業のパフォーマンスに統計 的に有意な影響を与えているかどうかを検証するのが最終目標である.

JEL Classification Codes: O

キーワード:インド,中小企業,労働法,経済発展,人口ボーナス,成長会計 a 武蔵大学経済学部 〒176−8534 練馬区豊玉上 1−26−1 1 1980 年代の既存の体制のもとで実施した部分的な経済自由化は,外国企業との提携や資本財の輸入を通じて技術の近代化を もたらし,自動車産業では乗用車の生産台数が,IT 産業ではソフトウェア輸出がそれぞれ増大した.また対外借款を通じた 公共投資の拡大は GDP の上昇に寄与した.だがその一方で,それらは 1950 年代から続く慢性的な貿易赤字や対外債務を悪 化させることになった.そのような状況下で 1990 年 8 月の湾岸戦争の発生は,石油関連製品の価格を押上げ,貿易赤字をさ らに膨らませたほか,湾岸諸国へ出稼ぎに出ていた労働者からの送金が減少し,経常収支を悪化させた.こうしたインド経 済の状況に鑑みて,真っ先に非居住者インド人(NRI)が預金を引き揚げ,続いて公共投資を下支えしてきた商業的な借款 も激減し,インドは国際収支危機に陥った[二階堂 2010].ただし,IMF・世銀から構造調整融資を受けるまでの間に日本が 3 億円のつなぎ融資をしていたことは日本ではあまり知られていない.

(2)

金など扶養負担の低下により貯蓄が増大し,生産的な物 的資本へ投資される(資本蓄積が増大する)ことを通じ て,③年少人口の減少が教育への投資を量的にも質的に も高め,全要素生産性の向上を通じて,経済成長率を高 めることができる2 . しかしながら,表 1 の 2009 年度の GDP と総就業者 に占める各部門・産業の構成比率をみると,こうした人 口ボーナスを活かしきれていないインドの現状がデータ からも裏付けられる.まず,付加価値についてみると, 経済発展とともに農業部門の GDP の構成比は低下して きたが,その代わりに構成比を伸ばしているのは,工業 部門ではなく,サービス部門である.サービス部門は GDP の 57.1% を占めているのに対し,工業部門は 26.0 %,特に製造業のそれは 16.2% に過ぎない.次に,就 業者ついてみると,農業部門が就業者全体の 52.4% と もっとも大きな構成比を占めており,サービス部門が 26.3% で続いている.しかし,製造業をサポートするた め高い教育や技術水準が必要なフォーマル・サービス部 門でも,参入が容易で技術水準が低いインフォーマル・ サービス部門でも家族経営が中心であることから,サー ビス部門全体での雇用創造には限界がある.本来ならば 工業部門,とりわけ製造業での雇用創造が期待されるが, 特に労働集約的な産業が停滞しているため,就業者の大 半がいまだに農業部門にとどまっている. 表 2 は,各産業の就業者の年率平均成長率を付加価値 の年率平均成長率で除した雇用の生産弾力性を計算した ものである.インド経済全体の雇用の生産弾力性は,1993 年度∼1999 年度の 0.22,1999 年度∼2004 年度の 0.47, 2004 年度∼2009 年度の 0.01 と,1990 年代後半から 2000 年代前半に一度は改善されたものの,2000 年代後半は 再び「雇用なき成長(Jobless Growth)」が悪化してい る.とりわけ製造業をみると,1993∼1999 年度におい

2 人口ボーナスと経済発展については,Bloom and Williamson(1998)や大泉(2007)のアイディアを参考にしている.成長

会計については Solow(1957)や Jones(1998)を参照のこと. 就業者の年率増加率 付加価値の年率増加率 雇用の生産弾力性 産業 1993∼ 1999 年度 1999∼ 2004 年度 2004∼ 2009 年度 1993∼ 1999 年度 1999∼ 2004 年度 2004∼ 2009 年度 1993∼ 1999 年度 1999∼ 2004 年度 2004∼ 2009 年度 農林水産業 0.5% 1.4% −1.7% 3.3% 1.6% 3.2% 0.14 0.91 −0.54 鉱業 −2.6% 2.8% 0.9% 5.4% 4.6% 4.1% −0.49 0.62 0.23 製造業 2.1% 4.8% −1.3% 7.3% 6.0% 10.0% 0.28 0.81 −0.13 電力,ガス,水道業 −1.3% 3.1% −1.1% 6.9% 4.3% 7.1% −0.18 0.73 −0.16 建設業 6.7% 8.0% 11.2% 6.4% 9.3% 9.1% 1.06 0.85 1.22 卸売・小売,ホテル, レストラン 6.7% 3.6% 0.9% 9.3% 7.9% 9.4% 0.72 0.46 0.09 輸送,倉庫業,通信業 6.0% 4.6% 2.1% 10.3% 10.9% 12.5% 0.58 0.43 0.17 金融・保険業,不動産 業,ビジネスサービス 5.0% 10.1% 5.6% 7.7% 6.8% 12.0% 0.65 1.49 0.46 公共サービス −0.9% 1.9% 1.0% 8.2% 4.6% 8.1% −0.11 0.42 0.13 経済全体 1.5% 2.7% 0.1% 6.7% 5.8% 8.7% 0.22 0.47 0.01 注:1)ここでの就業者とは,専業的労働者と副業的労働者の合計(UPSS)である.各産業の就業者は,NSSO(1997, 2001, 2006, 2011) に基づいて,農村・都市別の産業別就業者分布(1000 人当たり)に農村・都市別就業者数をかけて算出した.なお,農村・ 都市別の就業者数は Sundaram(2007)の方法にそって事前に推計している. 2)付加価値は,2005−05 年実質価格 出所:表 1 に同じ 表 2 雇用の生産弾力性 GDP 就業者 農業部門 16.9% 52.4% 農林水産業 14.6% 51.8% 鉱業 2.3% 0.6% 工業部門 26.0% 21.3% 製造業 16.2% 11.4% 電力・ガス・水道業 2.0% 0.3% 建設 7.8% 9.6% サービス部門 57.1% 26.3% 卸売・小売,ホテル,レストラン 16.5% 11.2% 輸送,倉庫業,通信業 10.0% 2.2% 金融,保険業 7.8% 4.4% 不動産業,ビジネスサービス 9.3% 公共サービス 13.5% 8.5% 合計 100.0% 100.0%

出 所:Central Statistical Organization(CSO),Economic

Cen-sus; National Sample Ssurvey Organization(NSSO),

National Sample Surveyより筆者作成.算出にあたっ ての詳細は表 2 の注を参照のこと.

(3)

て付加価値額は年平均 7.3% の成長を記録した一方,同 期間の就業者の年平均成長率は 2.1% にとどまり,雇用 の生産弾力性は 0.28 であった.1999∼2004 年度に雇用 の生産弾力性は 0.81 へ改善されたが,2004∼2009 年度 では,付加価値額の年平均成長率は 10.0% にさらに拡 大したのにもかかわらず,就業者の年平均増加率は−1.3 %とマイナスに転じ,雇用の生産弾力性も−0.13 へ低下 した3 . このようにインドでは,台湾や韓国など東アジア諸国 で共通にみられてきた,経済発展とともに産業と就業構 造が農業から工業へ,そしてサービス部門へシフトする ペティー=クラークの法則,労働者が伝統的部門(農業 部門)から都市近代部門(工業部門)への移動するルイ スやフェイ=ラニスモデル,さらに言うと,農村からま ずは都市インフォーマル部門へ移動が起こったのち都市 近代部門へ移動するというトダロモデルも当てはまらな い. こうしたインドのユニークな経済発展プロセスを前提 として,二回に渡る論考では,インドの製造業が比較優 位を活かせず停滞している諸要因を政策や法律の概要や 先行研究のレビューを通じて明らかにすることである. そして,諸要因について整理した後に,組織部門の製造 業のパフォーマンスにそのような諸要因が統計的に有意 な影響を与えているか実際に検証することが最終的な目 標である. 1 節では,製造業,特に労働集約的な産業の成長を阻 害しているといわれている諸要因について簡単に説明す る.2 節以降では,そのうちの 2 つの要因について具体 的に検討する. 1.製造業の発展を阻害している諸要因 インドの経済発展パターンは,東アジア諸国の経済発 展パターンと異なっている.すなわち,経済成長の源泉 を GDP の需要面からみると,東アジア諸国では通貨安 を活かして輸出(外需)が経済を牽引したのに対し,イ ンドでは民間消費支出(内需)が牽引している.同様に, GDP の生産面からみると,東アジア諸国では一人当た り所得の上昇に伴い農業部門の構成比が低下する一方 で,工業部門の構成比が上昇するなかで経済発展を遂げ たが,インドでは,工業部門ではなく,サービス部門の 構成が上昇するなかで経済発展を遂げている. こうした東アジア諸国との経済発展パターンの相違, あるいは,インドの工業部門の停滞とサービス部門の台 頭は,どのような要因に求められるのだろうか.本節で は,①小規模工業に対する留保品目政策による製品市場 の分断,②労働や土地などの生産要素市場の硬直性,③ 物的・人的資本の蓄積の欠如,④グローバル化の進行, などの諸要因が寄与していると考え,これらの要因につ いて,簡単に説明する. 具体的には,労働集約的な消費財の生産が小規模工業 へ排他的に留保されてきたことや非効率な登記制度や用 途制限など厳格な土地政策に起因して大規模な工業用地 取得が困難であること,労働者寄りの労働関連法により 労働者の解雇が困難であること,電力や道路などインフ ラが未だ十分に整っていないこと,そして高等教育を優 先し基礎教育の普及が遅れたこと,などが大規模な民間 企業による労働集約的産業への参入障壁となってきたと 思われる. そして,このような改革に着手する前にインドは経済 自由化を開始し,グローバル化の加速する世界に統合さ れ始めた.ソフトウェア産業はその優位性を期待されて, 1980 年代からいち早く部分的な自由化の対象になった ほか,インドにとっては比較的新しい産業であったため, 上述のような規制や制約の影響が少ないため,グローバ ル化の恩恵を享受し成長を続けた.他方,これまで長い 間保護されてきた製造業,特に労働集約的な消費財の製 造を留保されてきた小規模工業は,経済自由化後も国内 外企業からの投資が制限されるなど保護が続き,技術水 準や生産性が低いまま,突如輸入製品との競争にさらさ れることになった. NIEs が輸出志向工業化を開始した時期の世界経済で は,基本的に生産が国内で行われ,比較優位にある製品 を輸出しあうという水平分業体制が主流だった.しかし, グローバル化が進行するにつれて,企業は世界のどこで 生産を行うことが効率的かを判断しながら,工程間分業 (産業内垂直貿易)と呼ばれるような新しい国際分業体 制が構築され,深化している.インドでも対外直接投資 規制が緩和されため,国内地場企業は海外の製造業企業 を買収したり,海外から原材料や中間財を調達したりと いう国内をバイパスする動きがみられる. しかしながら,いまだ識字率が 7 割にとどまり未熟練 労働者が多いインドが,通称『BRICs レポート』の予 測の根拠でもある人口ボーナスを活かして経済成長を続 けていくためには,製造業の発展を通じた雇用創出が必 要だと思われる.より強調するならば,グローバル化の 時代においても,人口の大半が未熟練労働者であるイン ドのような発展途上国が先発国にキャッチアップするに は工業部門の発展を同時に伴う必要があるのではないだ 3 建設業における雇用の生産弾力性が近年上昇している要因については後述する.

(4)

ろうか. 次節以降では,インド製造業の成長を阻んできたと言 われる上述の諸要因のうち,小規模工業支援政策と労働 関連法がインド経済ひいては工業部門に与えている影響 を検討する. 2.小規模工業(中小零細企業)政策による製品市 場の分断と企業規模の二極化 2.1 インドの社会経済開発における小規模工業の役割 インドの工業部門は伝統的に大・中工業と小工業 2 つ に分類されてきた.1951 年産業(開発・規制)法は民 間部門の投資と生産を国の開発計画に沿うよう誘導する ために,一定規模以上の民間企業に対して新製品の製造, 生産規模拡大や立地の変更に関し,事前にライセンスを 取得することを義務付けた.この法律は,大・中工業に は公企業とともに資本財や中間財の生産を,小工業には 地域の資源を活かして消費財の生産をという製品分業体 制の,言い換えれば,留保品目制度導入の法的基盤を与 えた4 .小工業は,さらに伝統的工業(カーディー村落 工業(KVI),手織機,絹産業,手工業,ヤシ繊維産業) と近代的工業(力織機,小規模工業)に細分類され,小 規模工業は伝統的工業に属さない近代的な製造業全般か ら構成され,設備や機械への資本投下額によって定義さ れてきた. 小規模工業は,労働集約的であるため雇用創造が期待 できること,国全体を通じて立地していること,社会的 な後進階級による経営が多いこと,などの特徴を有すた め,インドの開発戦略に重要な役割を与えられてきた. すなわち,独立後のインドの開発戦略は「自立的な経済 発展とその恩恵が国民や地域に均整に行き渡る社会経 済」の達成であり,輸入代替による重化学工業化を通じ て経済的な自立を目指すとともに,その発展の恩恵が国 民・地域間に公平かつ均整に行き渡るように小規模工業 政策が同時に開始された. 一般的に,操業の初期段階において,小規模な企業は 大規模な企業に比して,情報の非対称性のために十分な 信用を得られなかったり,原材料調達や販売において規 模の経済を享受できないため大企業と対等な価格設定が 不可能となり,生産物市場で互角に競合できなかったり する可能性がある.そのため,商業銀行融資の優先的な 配分制度が操業における資金制約を緩和し,投入財への 優先的なアクセスや物品税の免税・譲歩措置が小規模企 業の生産物価格を低めることを助け,加えて消費財の生 産留保や政府による優先的買付制度が市場の保証や拡大 を促すものと期待され,実施されてきた. ただし,これらの政策は,重化学工業化が成功するま での移行的な措置で,経済が発展し雇用が拡大した暁に は,上述の企業規模から生じる問題も解決され,その必 要性は低下するものと考えられていた.しかし実際には, 工業化の停滞と最大の社会問題である失業が解消されな いため,これらの政策は現在まで継続されている. こうした支援政策の中で最も保護主義的な政策が一定 の消費財の生産を排他的に小規模工業に留保するという 留保品目制度であった.これにより,小規模な企業は輸 入品ばかりでなく,国内の大・中企業との競争からも保 護されることになった.留保品目の指定は,1967 年か ら始まり,法定諮問委員会が定期的に品目の見直しを 行ってきた.品目の採用に明確な基準はなく,あるとす れば,小規模工業が技術的に製造できるものは全て小規 模工業が製造すべきだという基準のみであった.留保品 目数は 1967 年の 47 品目から始まり,1972 年には 172 品目,1978 年には急激に 807 品目へ引上げられた5 .さ らに 1984 年のピーク時には 873 品目が指定されてい た6 .経済自由化以降の 1998 年時点でも 821 品目が指定 されていたが,インドは WTO との取り決めで 2001 年 4 月までに輸入数量制限の撤廃を決定していたため,そ れ以降は,留保品目であっても輸入は自由化されている. また,輸入数量制限の撤廃に合わせて,留保品目数も段 階的に削減され,2012 年 12 月時点で留保品目として指 定されているのは(つまり国内大企業が製造できないの は)20 品目のみである. 2.2 2006年中小零細企業法制定に伴うパラダイムシフト インドでは,垂直的な所得階層ばかりでなく,文化や 宗教と言った水平的な社会階層も並存しているため,消 費財市場もそれらに応じて細分化されてきた.このよう な状況のため,経済自由化以前は,小規模工業は地域の 資源を活かし,地域の市場に向けて生産を行えば需要が 少なからず存在していた.留保品目や政府による調達で 市場が確保されていたこともある.しかし,1991 年の 経済自由化以降,小規模工業は流入する安価な中国製品 との競争にさらされるようになった.また,グローバル 4 近藤(2003) 5 この時期の留保品目数の急増は,1977 年に政権についた社会主義,ガンディー主義を標榜するジャナタ政権下であったこと や,1978 年に品目分類が変更されたことにある[近藤(2003)]. 6 留保品目は,化学・化学製品,ゴム・プラスチック製品,金属製品,機械類,自転車・自動車部品などに多かった.

(5)

化に伴う欧米の文化や情報が流入するにつれて,市場の 一体化や製品の標準化が進んでおり,小規模工業はこれ まで生産してきた製品の需要不足に直面するようになっ た. その一方で,東アジア諸国の経験のように,大企業の 裾野産業として,あるいは本来小企業が持ち得る柔軟性 や技術革新的な性質を活かし輸出企業としても期待され るようになってきた.こうした小規模工業を取り巻く環 境変化に合わせて,2006 年に中小零細企業開発法(the Micro, Small and Medium Enterprises Development (MSMED)Act)が制定された.この法律によって起こっ

たパラダイムシフトは以下の 3 つに要約できる. 第一に,これまで工業部門の分類として利用されてき た「工業(Industry)」から世界的に良く用いられてい る「企業(enterprise)」という概念が用いられるように なり,「小規模 工 業(small scale industries)」が「中 小 零細企業(micro, small and medium enterprises)」と再 定義されたことである. 第二に,再定義に伴い対象範囲が中企業まで拡大した ほか,これまで異なる省庁下で管轄された KVI,手織機, 手工業,ヤシ繊維産業といった全ての小工業が中小零細 企業省という一つの省の傘下にまとめられた7 . さらに, これまでは製造業企業を中心としていたが,小売業など サービス業に属する企業も対象に含まれるようになっ た.つまり,非農業部門の様々なセグメントが一つに統 合されたことになる. 第三に,小規模工業はこれまで,国内外の他企業の所 有やコントロール下にあったり,その子会社であったり してはならず,他企業による出資比率が 24% に制限さ れてきたが,この規制が撤廃され,外資系企業でも定義 に当てはまれば支援政策を享受できるようになった. 表 3 は中小零細企業開発法前後の定義を比較したもの であり,表 4 は新しい定義に基づき,2006 年度を参照 年度として 2008 年 5 月に実施された全国中小零細企業 センサスの結果である.製造業の場合,設備と機械への 資本投下額が 1 億ルピー未満の企業,サービス業の場合, 機器への資本投下額が 5000 万ルピー未満の企業が中小 零細企業と定義され,このような条件を満たす企業は県 工業センター(DICs:District Industries Centres)へ登 録することが推奨されているが,義務ではない.表 4 に よると,中小零細企業数は 2610 万 797 社で,うち DICs 登録企業数は 152 万 492 社,未登録企業は 2454 万 8305 社である.中小零細企業全体の雇用人数は 5946 万 703 人で,DICs 登録企業は 920 万 3664 人,未登録企業 は 5025 万 7039 人を雇用する.企業数の観点からみれば サービス業に属する企業が全体の 71.4% を占めている が,雇用人数の観点からみれば製造業が全体の 51.1% を占めている.すなわち,一企業当たりでみれば製造業 企業のほうが雇用への貢献が大きいことが分かる. 中小零細企業省によると,この部門は GDP の 8%, 製造業生産高の 45%,輸出の 40% に貢献しているとい う.新規登録企業の自己申告データや工業生産インデッ クスに該当する産業のサンプル調査を利用して,毎年小 規模工業(中小零細企業)全体の企業数,雇用人数,生 産額,輸出額の推計が行われているが,これらの集計量 の推計にあたっては企業の閉鎖・退出は考慮されること なく,各変数がある一定の成長率のもとに計算されてお り,過大評価は免れない.これらの推計は不定期に行わ ⑴制定前 小規模工業 製造業 (設備と機械への資本投下額) 小規模工業(零細企業含む) 1 千万ルピー未満 (うち,ニット,スポーツ,製薬製品) (5 千万ルピー未満) ⑵制定後 中小零細企業 製造業 サービス業 (設備と機械への資本投下額) (機器への資本投下額) 零細企業 250 万ルピー未満 100 万ルピー未満 小企業 250 万ルピー以上 5 千万ルピー未満 100 万ルピー以上 2 千万ルピー未満 中企業 5 千万ルピー以上 1 億ルピー未満 2 千万ルピー以上 5 千万ルピー未満 出所:Ministry of MSME(2009) 7 同じ小工業でも,手織機や絹産業,手工業,力織機は繊維省の管轄下にあった一方,小規模工業や KVI,ヤシ繊維産業は商 工業(その後小規模工業,農業関連・農村工業省)の管轄下にあった. 表 3 2006 年中小零細企業開発法前後の小規模工業と中小零細企業の定義

(6)

れている全国小規模工業(中小零細企業)センサスの結 果を用いて微調整されるが,小規模工業の定義の上限改 定やカバーする業種の拡張と相まって,全ての変数が時 系列で右肩上がりになっている8. いずれにしても,上述した支援政策の多くが現在も従 来の小規模工業に相当する製造業の零細小企業を対象と しているので(表 3 の網掛部分),以降も製造業を対象 に話を進める. 2.3 小規模工業支援政策のインド経済および工業部門 へ与えた影響

Katrak(1999)や Mazumdar and Sarkar(2013)に よ れば,排他的な留保品目制度や一定の売上高未満の企業 に対する物品税の免税・軽減措置,優先的な信用割り当 て,政府による製品の優先的な調達などの小規模工業支 援政策は,小規模工業に中企業や大企業へと規模を拡大 していく垂直的な成長ではなく,もう一つ別の小規模な 企業を設立するといったような,水平的な成長を促すイ ンセンティブを与えてきた.そのため,インドの企業規 模分布は,小規模な企業と大規模な企業に分布が二極化 する‘missing middle’の現象がみられてきた. 小規模工業政策のなかで最も保護主義的であった留保 品目制度の小規模工業への影響について,1987 年度の 産業レベル・データを用いて分析を行ったのは Katrak (1999)である.彼は,①留保品目がある産業では(需 要増大に合わせて)企業数が増えたこと,②留保品目を 生産している企業は生産能力を拡大するも,それを下回 る非効率な生産を行っていること,③留保品目制度は企 業の経営不振化や閉鎖を防ぐにはほとんど役に立ってい ないこと,など明らかにした.そして,大規模生産によ る規模の経済を犠牲にした留保品目制度は,小規模企業 の生産や雇用を高めていないばかりか,消費者の余剰も 高めていないと結論づけた. 表 5 は,インドの企業規模別分布と相対的労働生産性 を示したものである.Mazumdar and Sarkar(2013)は 企業規模を雇用人数で定義しているが,1984 年度にお いて,50 人未満の小企業,50 人以上 500 人未満の中企 業,500 人以上の大企業が雇用人数全体に占める割合は, それぞれ 49.8%,20.1%,30.2% であった.特に,小企 業のうち次節で説明するような各種規制の対象にならな い非組織部門である 10 人未満の企業が 40.3% と最大の 雇用分布を占める.2000 年以降,中企業の割合は 2000 年度の 23.0% を経て 2004 年度の 22.7% と数パーセント 増加しているが,小企業の割合が同期間で 55.6% から 57.0% へとさらに増加し,大企業の割合が 2000 年度の 21.5% から 2004 年度の 20.3% へと低下している.つま り,経済自由化以降,留保品目の大幅な撤廃や政府によ る調達品目の減少,税制改革などにより支援政策の恩恵 が減少しているのにもかかわらず,雇用人数の分布でみ た企業規模の二極化の現象は解消されていない. 表 5 から,大企業の労働生産性に比した最も小規模な 企業の相対的生産性を確認しておくと,1984 年度の 19 8 Mohan(2001)は,「政府によって公表されているデータが一般認識として広まっているので小規模工業のパフォーマンスは あたかも良好のように見えるが,それは政府が自己を正当化しているのに過ぎない」の指摘している.また,インドの社会 経済開発において重要な部門と位置づけられながら,全国小規模工業(中小零細企業)センサスは定期に実施されていない ばかりか,これまで 4 回しか実施されていない.それぞれの全国センサスの参照年ないし年度は 1972 年,1987 年度,2001 年度,2006 年度である. 登録企業 未登録企業 中小零細企業計 1.稼働企業数 1,552,492 100.0% 24,548,305 100.0% 26,100,797 100.0% ⒜製造業 1,035,102 66.7% 6,418,294 26.1% 7,453,396 28.6% ⒝サービス業 517,390 33.3% 18,130,011 73.9% 18,647,401 71.4% 2.雇用人数 9,203,664 100.0% 50,257,039 100.0% 59,460,703 100.0% ⒜製造業 7,984,321 86.8% 22,422,264 44.6% 30,406,585 51.1% ⒝サービス業 1,219,343 13.2% 27,834,775 55.4% 29,054,118 48.9% 3.1 企業当たり雇用人数(2/1) 6 2 2 ⒜製造業 8 3 4 ⒝サービス業 2 2 2 注:登録企業は,2007 年 3 月 31 日までに県工業センター,あるいはこれまでの管轄省・局に登録していた 企業を示す.未登録企業は,中小零細企業の定義に当てはまるものの,同時点で登録していない企業 出所:表 3 と同じ 表 4 中小零細企業の概要(2006 年度)

(7)

(大企業の 5 分の 1)から 2004 年度の 8(大企業の 12 分 の 1)へ低下している.中小企業に対して大企業の労働 生産性がさらに上昇したことが大きな要因と思われる. しかし,46% を超える労働者が 1 人当たり賃金の低い セグメントに留まっているということは,彼らによる工 業製品の需要も低いということにもなり,工業製品市場 の懐を深いものにせず,成長の源泉たる内需にも影響を 与える9 . 経済自由化以降,保護主義的な小規模工業政策による 恩恵が低下しているのにも関わらず,‘missing middle’ 現象が現在も続いている背景として,いくつかの要因が 考えられる.まず,経済自由化を本格的に実施する以前 に小規模工業の競争力を高めながら成長を促進する効果 的な政策が実施されなかったことである.特に,小規模 工業は経営者の教育水準が低いことや明確な所有権をも たないため信用市場へアクセスが困難と言われている. また,取引相手である大企業との(支払いの遅れなど) 従属的な関係のために,小規模工業は成長する機会を奪 われているとも言われている10 .そのほか,次節で検討 するように,労働者を動力使用で 10 人以上,動力未使 用で 20 人以上雇用する企業から構成される組織部門が 遵守しなければならない労働関連法の存在も影響してい ると言われている. 3.硬直的な労働関連法の影響 3.1 インド労働関連法の起源と特徴 労働市場に関する規制は,インド憲法において,中央 政府と州政府による共同管轄リストに挙げられている. すなわち,中央と州がともに法律を制定する権利を有し ており,中央政府による 45 にのぼる法律(law)と州政 府による 170 もの法令(statue)があると言われている. ただし,中央で制定された法律でも,中央が定めた基準 内で州政府によって運用・履行されるため,州ごとに詳 細や規制の程度が異なることが多い[WB(2010)]. インドの労働関連法は,最低賃金や労働時間,福利・ 厚生,安全・衛生,労働条件,解雇,労働組合といった 諸側面を規定している.表 6 は主要な労働関連法をまと めたものである.これらの法律が適用されるのは,主に 従業員規模が一定数以上の組織部門の労働者であるが11 , 対象となる事業所(establishment)や労働者(worker, ⑴雇用分布(%) 雇用人数による分類 1984/85 1989/90 1994/95 2000/01 2004/05 小 6−9 人 40.3 44.9 41.5 45.4 46.6 10−49 人 9.5 10.3 10.4 10.2 10.4 中 50−99 人 6.1 6.9 8.0 6.6 5.7 100−199 人 5.7 6.4 7.4 7.0 7.1 200−499 人 8.3 8.6 9.5 9.4 9.9 大 500 人以上 30.2 22.9 23.2 21.5 20.3 ⑵相対的労働生産性(500 人以上大企業を 100 とした生産性) 雇用人数による分類 1984/85 1989/90 1994/95 2000/01 2004/05 小 6−9 人 19 12 10 9 8 10−49 人 42 35 37 39 24 中 50−99 人 45 38 45 41 34 100−199 人 62 58 54 56 43 200−499 人 86 77 84 84 57 大 500 人以上 100 100 100 100 100

出所:Mazumdar and Sarkar(2013)より筆者作成

9 その一方で,富裕層の購買意欲はとどまることを知らない.

10 詳しくは Nikaido et al.(2012)

11 太田(2011a)によれば,労働の文脈では,‘organized’‘unorganized’と言えば,労働組合の有無が基準で,それぞれ「組織」/

/「未組織」と訳される.インドの場合,‘organized sector’の定義は,従業員規模によるもので,動力使用で 10 人以上,

動力未使用で 20 人以上の事業所を指し,‘unorganized sector’はそれ未満の企業を指す.そのため,本稿では,太田(2011a)

や木曽(2012)にならい,後者を「非組織部門」と呼ぶ.労働関連法には非組織部門も対象となる法律もあるものの,分散 して立地していることや企業数が多いため,これまでは履行が困難等の問題などから軽視されてきた.しかし,近年では, 後述のように労働市場の現況を背景に,中央労組の政府への要求も非組織部門の最低賃金や年金など社会保障問題がメイン になってきた[Business Standard, 30 April, 2013].

(8)

労使関係(Industrial relations)

1947 年 産業紛争法(the Indutrial Disputes Act(IDA),1947) 1926 年 労働組合法(the Trade Union Act, 1926)

労働・雇用条件(Working conditions) 1948 年 工場法(the Factory Act, 1948)

1946 年 産業雇用(就業規制)法(the Industrial Employment (Stading Order)Act, 1946)

1970 年 請負労働(規制・廃止)法(the Contract Labour(Re-gualation and Abolition)Act, 1970)

賃金(Wages)

1937 年 賃金支払法(the Payment of Wages Act, 1937) 1948 年 最低賃金法(the Minimum Wages Act, 1948) 1963 年 賞与支払法(the Payment of Bonus Act, 1963) 社会保障(Social Security and Insurance)

1923 年 労働者補償法(the Workmen’s Compensation Act, 1923) 1948 年 被雇用者国家保険法(the Employees State Insurance

Act, 1948)

1952 年 被雇用者積立基金法(the Employees Provident Funds Act, 1952)

出所:Ministry of Labour and Employment(http://labour.nic.in/ content/) 表 6 主要な労働関連法 workman)の定義が各法律で異なっていることやホワ イトカラーの一部や管理職はこの労働者の定義には当て はまらないため,会社と別途雇用契約書を結ぶ必要があ ることなど,複雑である.また,整理解雇(retrenchment) やレイオフ(lay-off),事業所の閉鎖が困難であったり, 労使紛争の解決に時間が掛かったりするなど,取引費用 が高いことが問題視されてきた. インド労働関連法の起源は,古いものではイギリス植 民地時代の 19 世紀にまで遡る.独立後に,それらは幾 度かの見直しや法改正が行われる一方で,新たな法律も 制定されて,表 6 のような労働関連法が整備されてきた. 特に,1960 年代中葉以降の政治経済危機以降,独立運 動をリードしてきた国民会議派の分裂とその一党優位体 制が崩壊したのを契機に,社会の弱者層に対するポピュ リスト的な政策が顕著になるにつれて,労働関連法も労 働者を保護する方向で法改正されてきた.先発国の経験 と比較すると,工業化の初期からこうした労働関連法が 整備されていた国は珍しいと言える.一般的に,先発国 の経験では,経済発展とともに,劣悪な労働条件・環境 の改善を巡って労働者からの要求が繰り返され,それに 伴って法体系が徐々に整備されてきた.しかし,インド では,比較的早い時期から近代的工業が発展していたこ ともあり,工業化のかなり早い段階で労働関連法が確立 した[木曽(2003)]. ただし,閉鎖経済体制のもとで形作られた,一度雇用 された労働者を守ることに重点を置き,労使紛争の解決 に時間がかかる労働関連法は,世界的なグローバル化と インドの経済自由化が進行する現在では,企業が対外変 化に柔軟に対応することを困難にしている.本節では, 製造業の発展を阻害していると指摘されている労働関連 法について,主要な法律について概観し,その影響を明 らかにする. 3.2 労働関連法の概要12 ①労使関係 労使関係に関わる法律で,重要な法律は,The Indus-trial Dispute Act(IDA),1947(1947 年 産 業 紛 争 法)と The Trade Union Act, 1926(1926 年 労 働 組 合 法)で あ る. 1947 年産業紛争法は,労使紛争を解決するプロセス と制度を提供することや,労働者のリクルートや解雇な どに関わる諸条件を規定することを目的に制定された. 前者について,IDA は,multi-tier からなる紛争解決シ ステムを定めている.まず,紛争は州政府によって任命 された調停官や調停委員会によって解決が図られ,それ が失敗に終わった場合,労働裁判所(labor court)や産 業裁判所(industrial tribunal)での裁決に委ねられる. 後者について,IDA は労働者の整理解雇やレイオフ, 事業所の閉鎖に関して,雇用主に厳しい規制を課してい る.特に,1976 年に導入された第 5 章 b(Vb)により, 100 人以上の労働者を雇用する事業所(industrial estab-lishment)13 は,労働者の整理解雇やレイオフ,事業所の 閉鎖に際して,州政府からの許可を要することになり, 労働者の解雇が困難になった14 .表 7 は整理解雇やレイ オフ,事業所の閉鎖がインド全体で何件認められたかを 示したものだが,とりわけ整理解雇やレイオフについて は,許可を得ることが難しいことがわかる.万が一これ らが認められた場合でも,一年以上継続して雇用してい 12 各法律は労働・雇用省のホームページに掲載されており,それらを参照した[http://labour.nic.in/content/]. 13 IDA の対象となる事業所とは,1948 年工場法第 2 条⒨で定義された工場,1952 年鉱山法第 2 条第⑴項⒥で定義された鉱山, 1951 年プランテーション労働法第 2 条⒡で定義されたプランテーション,中央政府が払込資本の 51% 以上を保有する企業 を指す. 14 第 5 章 b(Vb)は,当初 300 人以上の労働者を雇用する事業所を対象としていたが,1980 年に 100 人以上の労働者を雇用する 事業所に下方修正された.

(9)

㻓 㻔㻓㻏㻓㻓㻓 㻕㻓㻏㻓㻓㻓 㻖㻓㻏㻓㻓㻓 㻗㻓㻏㻓㻓㻓 㻘㻓㻏㻓㻓㻓 㻙㻓㻏㻓㻓㻓 㻚㻓㻏㻓㻓㻓 㻛㻓㻏㻓㻓㻓 㻜㻓㻏㻓㻓㻓 㻔㻜㻜㻘 㻔㻜㻜㻙 㻔㻜㻜㻚 㻔㻜㻜㻛 㻔㻜㻜㻜 㻕㻓㻓㻓 㻕㻓㻓㻔 㻕㻓㻓㻕 㻕㻓㻓㻖 㻕㻓㻓㻗 㻕㻓㻓㻘 㻕㻓㻓㻙 㻕㻓㻓㻚 㻕㻓㻓㻛 㻕㻓㻓㻜 㻕㻓㻔㻓 㻕㻓㻔㻔 㻕㻓㻔㻕㻍 㻓 㻕㻓㻓 㻗㻓㻓 㻙㻓㻓 㻛㻓㻓 㻔㻓㻓㻓 㻔㻕㻓㻓 㻔㻗㻓㻓 䜽䝌䝭䜨䜱 䝱䝇䜳䜦䜪䝌 ⤄ྙᩐ た労働者には,事前通達と解雇補償金の支払いが義務付 けられている. 1926 年労働組合法は,労働組合の登録ならびに登録 労働組合の権利や義務について定め,1926 年の制定以 降,労働組合活動を一貫して促進してきた.2001 年の 改正法(the Trade Union(Amendment)Act, 2001)以前 の規定では,7 人以上の組合員で構成される組合が登録 申請可能であったため,弁護士や政党員などの外部組合 員が組合に加入できる根拠となっていた.そして,政治 的労働組合運動の展開や外部指導者の介入,企業内に複 数の組合が併存する,といった問題をもたらしてきた. WB(2010)によれば,1926 年にこの法律が制定された 時,外部組合員の参加を許可した背景には,「労働者の 組織ではなく,労働者のための組織」というアイディア があったからだという.その結果,1950∼60 年代にか けて特定の政党の支配下にある中央労組(ナショナル・ センター)が誕生すると,組合運動は政党のイデオロギー に大きな影響を受けた.そして,政党およびその支配下 にある中央労組が分裂すると,組合も分断するという現 象を繰り返してきた. しかし,近年では,政党から独立した組合が増加して いるほか,請負労働者など非正規労働者の増加や労働組 合運動が活発だった公企業における希望退職制度の導入 などにより組織率が低下していると指摘されている[太 田(2006),WB(2010),木曽(2012)]. また,2001 年の法改正によって,組合の複数化や外 部者の加入を制限するため,同じ事業所に雇用されてい る 7 人以上の組合員から構成される労働組合であるこ と,当該事業所に雇用されている労働者の 10% または 100 人(のいずれか少ない方)が組合員であることを組 合の登録申請の条件とした. 図 1 は労働組合法に基づいて登録した労働組合数とス トライキやロックアウトなど労働争議件数の推移を示し たものである.この図から登録している組合数が減少し ていることのほか,労働者によるストライキや企業によ るロックアウトが年々減少傾向にあることがわかる.し かし後述するように,近年では,「正規労働者と雇用主 (事業所)」間ばかりでなく,「非正規労働者と雇用主 (事業所)」間での問題が増加しており,図の件数(量) では測ることができない内容(質)の悪化が見受けられ る. ②労働・雇用条件

労働・雇用条件で重要な法律は The Factory Act, 1948 (1948 年工場法)と The Contract Labor(Regulation and Abolition)Act, 1970(1970 年請負労働(規制・廃止)法) である. 1948 年工場法は,労働者が雇用主から搾取されるこ とを保護するために制定された法律で,労働者の健康, 安全,福利,労働時間,14 歳未満の児童労働の禁止な どが定められている.同法の対象となるのは,動力使用 で 10 人以上の労働者を雇用している(あるいは過去 12 整理解雇 レイオフ 閉鎖 2007 23 43 91 2008 19 52 58 2009 29 49 68 2010 13 23 41 2011 8 16 83 2012* 3 7 29 注:*Jan-Sep の暫定値

出所:Ministry of Labour and Employment, Annual Report 2012− 13

表 7 インドで整理解雇,レイオフ,事業所の閉鎖が許 可された件数

注:*Jan-Sep

出所: Ministry of Labor and Employment, Annual Report ; Indian Labor Year

Book; Indian Labor Statistics, various issues.

図 1 労働組合法の下で登録されている組合数と労働争議件数

(10)

カ月のいずれかの日に 10 人以上雇用していた)企業, 動力未使用で 20 人以上の労働者を雇用している(ある いは過去 12 カ月のいずれかの日に 20 人以上を雇用して いた)工場とプランテーションであり,これらの定義に 該当する事業所は,主任監督官(chief inspector)か州 に登録を申請し,ライセンスを取得する必要がある. 東アジア諸国では,とりわけ労働集約的な工場で働く 女性労働者の姿がよくみられたが,インドは対照的に, 工場で働いているのは男性労働者が多い.これは男性優 先の文化的背景のほか,工場法によって女性の夜勤禁止 や危険な工程での女性の従事が禁止されていたためであ る.しかし,2005 年 3 月に中央で法案が提出されて以 降,IT 関連サービス業や輸出向け衣類産業,経済特区 などで女性の夜勤を認める州が増加している[木曽 (2012)]. 1970 年請負労働(規制・廃止)法は,請負業者や派 遣された事業所(establishment)15 において請負労働者 が搾取されることを防ぐために制定された.請負労働者 の雇用を禁止する特定のプロセスやオペレーションのほ か,請負労働者の賃金や労働時間,福利,健康などの労 働条件について定めている. 同法の対象は,① 20 人以上の請負労働者を雇用して いる(あるいは過去 12 カ月のいずれかの日に 20 人以上 の請負労働者を雇用していた)事業所,② 20 人以上の 請負労働者を雇用している(あるいは過去 12 カ月のい ずれかの日に 20 人以上の請負労働者を雇用していた)派 遣元の請負業者,である.ただし,過去 12 カ月に 120 日未満の労働の場合や季節的な性質をもつ 60 日未満の 労働の場合は,この法律の適用外になる. この対象下にある事業所の主たる雇用主は,register-ing officer において登録申請する必要がある.同様に, 請負業者も登録を行ってライセンスを取得する必要があ る.そして,登録を行っていない事業所は請負労働者を 雇用出来ず,ライセンスを取得していない請負業者は労 働者を派遣することができない.請負業者に対するライ センスは上述した労働時間や賃金などに関する労働条 件,食堂やトイレ,飲料水,救護室などのアメニティに 関する条件を満たすことを前提として付与されるが,請 負業者がその責任を果たさない場合は主たる雇用主(事 業所)が負担しなければならない. この法律は,中央と州政府とによって実施されており, 中央政府は鉄道,銀行,鉱山など公共部門の事業所,州 政府は州内に立地する事業所を管轄する. 同法 10 条(Section10)では,その事業所の中核的エ リアでの請負労働者を使用することと 120 日以上を越え て請負労働者を雇用することを禁じており,この期間を 越える場合,請負労働者は正規労働者になることを要求 することができる.請負労働者を使用することができな いプロセスやオペレーションに関しては,1960 年 Stan-dard Vacuum Refinery Company に対する最高裁判決に 由来している.請負労働者の使用を禁止する詳細なルー ル は,中 央・州 政 府 が 任 命 し た labour commissioners や政府関係者から構成される Central Advisory Board / State Advisory Board によって,本来ならば正規労働者 がすべき仕事かどうか,工場内で不可欠な仕事かどうか, などの基準に照らし合わせながら検討・特定されて,中 央・州政府に指示し,各政府が規定することができる. 1970 年請負労働(規制・廃止)法は段階的に請負労 働者の雇用を禁止することを目的として制定されたもの の,皮肉なことに同法では請負労働者の完全な廃止を規 定してないため,雇用主やいくつかの州では,既存の法 体系枠内で労働市場の柔軟性を高める手段として利用さ れている16 .加えて,100 人以上を雇用する事業所に就 業規制(雇用条件)を定めることを義務付ける 1946 年 産 業 雇 用(就 業 規 制)法(The Industrial Employment (Standing Order)Act, 1946)にお い て,常 用 や 臨 時 と いった就業形態の一つとして有期の契約労働者を認める 中央での改正が 2003 年になされたことも,労働市場の 柔軟性を高める手段になっている[太田(2006)]. こうして,厳格な労働関連法を合法的に逃れる対策と して請負労働者や契約労働者など非正規労働者を活用す る企業が増加している.図 2 は組織部門の労働者に占め る請負労働者の推移であるが,2004 度以降さらに増大 していることがわかる. しかし,正規労働者と請負労働者との待遇の格差から, 請負労働者が改善を求めて暴動を起こすなどの事例が自 動車産業を中心にみられるようになってきており,事業 所はこれらの新たな課題にも直面している17. 3.3 労働市場とインド経済に与えた影響 このように,既存の労働者の雇用を保護することを主 眼とした労働関連法は経済自由化後も抜本的な改革がな

15 請負労働(規制・廃止)法が対象とする事業所は,①中央や地方公共団体のオフィス,② industry, trade, business, manufacture,

occupation が行われる場所,と定義されている.

16 アーンドラ・プラデーシュ州やマハーラーシュトラ州の経済特区での緩和の事例が報告されている[太田(2006),木曽

(11)

㻓 㻔㻏㻓㻓㻓㻏㻓㻓㻓 㻕㻏㻓㻓㻓㻏㻓㻓㻓 㻖㻏㻓㻓㻓㻏㻓㻓㻓 㻗㻏㻓㻓㻓㻏㻓㻓㻓 㻘㻏㻓㻓㻓㻏㻓㻓㻓 㻕㻓㻓㻓㻐㻓㻔 㻕㻓㻓㻔㻐㻓㻕 㻕㻓㻓㻕㻐㻓㻖 㻕㻓㻓㻖㻐㻓㻗 㻕㻓㻓㻗㻐㻓㻘 㻕㻓㻓㻘㻐㻓㻙 㻕㻓㻓㻙㻐㻓㻚 㻕㻓㻓㻚㻐㻓㻛 㻰㼄㼏㼈㻃㻺㼒㼕㼎㼈㼕㼖㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢 㻩㼈㼐㼄㼏㼈㻃㻺㼒㼕㼎㼈㼕㼖㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢 㻦㼒㼑㼗㼕㼄㼆㼗㻃㻺㼒㼕㼎㼈㼕㼖㼢㼢㼢㼢㼢㼢㼢 㻓㻑㻓㻈 㻕㻓㻑㻓㻈 㻗㻓㻑㻓㻈 㻙㻓㻑㻓㻈 㻛㻓㻑㻓㻈 㻔㻓㻓㻑㻓㻈 ௛ຊ౮ೋ ᑯᴏ⩽ ௛ຊ౮ೋ ᑯᴏ⩽ 㛓 㒂 ⧂ ⤄ 㟸 㛓 㒂 ⧂ ⤄ 㻔㻜㻜㻖ᖳᗐ 㻔㻜㻜㻜ᖳᗐ 㻕㻓㻓㻗ᖳᗐ 㻕㻓㻓㻜ᖳᗐ されていないため,インドは毎年増加している労働力人 口に質・量ともに充分な仕事を提供できていない.特に 労働関連法の対象となる組織部門の製造業企業では,① 労働節約的な生産方法を採用する,②生産工程の一部を 中小零細企業に委託したり,企業規模を拡大せずに中小 零細企業をもう一社設立したりする,③請負労働者など 非正規労働者を活用することで市場の状況に合わせて雇 用調整を行う,などにより労働関連法に起因する高い取 引費用を回避しようと試みている.こうして,既存の労 働関連法は,むしろ企業規模の二極化(‘missing middle’) を深刻化させ,企業が最適な生産規模で生産することを 妨げている.図 3 は製造業全体に占める組織部門と非組 織部門の付加価値と就業者の比率を示している.非組織 部門では付加価値の構成比が低下しているのにも関わら ず,就業者の構成比はむしろ増大している. Basu(2005)は,インドの事例をベースとして理論 モデルを構築し,政府による多数の法律を通じた労働市 場への介入,特に IDA が全ての労働者の厚生を低めて いることを示した. 労働関連法がインド経済へ与えた影響を分析した先駆 的な実証研究としては,Fallon and Lucas(1991)が挙 げられる.彼らは,1976 年に IDA に第 5 章 b が導入さ れて以降,つまり整理解雇やレイオフが困難になって以 降,労働需要が低下したことを示した.また,上述のよ うに労働関連法の運用・履行の程度は州毎に異なるた め,近年では州毎の労働関連法の差異に注目した研究が 17 自動車産業では請負労働者によるストライキやプロテストが激化し,生産停止ばかりでなく管理職が殺害されている事件が

相次いでいる.2008 年にイタリアの自動車部品メーカー Graziano Transmission India 社の CEO が 200 人の労働者グループ に殺害された事件,2010 年に自動車部品メーカー Allied Nippon 社の Assistant General Manager が労働者の投石により死亡 した事件,2011 年に Graphite India 社の一部門である Powmex Steel の Deputy General Manager が乗用車に火をつけられて 殺害された事件のほか,2012 年にはスズキの現地法人マルチ・スズキでは暴徒化した請負労働者により General Manager (HR)が死亡し,約 100 人の職員が負傷を追って病院に運ばれた事件があった[FICCI(2013)]

出所:Ministry of Labor and Employment(Labor Bureau),http://labourbureau.gov.in/schemes.html

図 2 組織部門の労働者に占める請負労働者の推移(人)

注:付加価値額は 2005 年基準実質価格

出所:CSO, Economic Census, various issues; Ministry of Finance, Economic Survey, various issues; NSSO, NSS , various issues より筆者作成

(12)

増えている.たとえば,Besley and Burgess(2004)は, 1958∼1992 年の期間を対象に,州毎の IDA(の改正)の 程度が労働者寄りか(+1),どちらでもないか(0),雇 用主寄りか(−1)というように指標化し,IDA が厳格 な州ほど,組織部門製造業の付加価値や雇用に負の影響 を与えていることを示した.また,Lall and Mengistae (2005)は,世界銀行が 2003 年にインド主要 40 都市で 行った事業所レベル・データを用い,不十分な投資環境, 特に電力不足と厳格な労働関連法が低生産性やその州の 製造業の未発達の要因となっていることを示した. Besley and Burgess(2004)が法改正の内容から労働関 連法の厳格さを指標化したのに対し,Lall and Mengistae (2005)では,雇用主(Manager)による労働関連法が ビジネスの障害になっているかどうかという認識を指標 化した.さらに,Ahsan and Page(2007)は,1959∼1997 年の期間を対象に,IDA の改正を雇用調整に関する改正 か,労働争議に関する改正かに分類し,Besley and Bur-gess(2004)と同様に三段階に指標化した.その結果, 解雇を困難にする調整コストを高める法改正や労働争議 を解決するコストを増大させる法改正は,組織部門の製 造業企業の生産や雇用に負の影響を与えている一方,非 組織部門の拡大をもたらしていることを明らかにした. 特に,雇用調整コストの増大は繊維産業など労働集約的 産業の生産や雇用,賃金に負の影響を与えていた.彼ら は,請負労働者のシェアを独立変数に含めることにより, 請負労働者の活用がとりわけ生産面においての厳格な労 働関連法の負の影響を相殺していることも明らかにし た. 本来ならば,生産要素の中でももっとも豊富な低賃金 労働力を活かして生産活動を行うことが配分効率的であ り,それが人口の優位性を活かしたインドの持続的な経 済成長のシナリオを予想した『BRICs レポート』の根 拠でもある.しかし,こうした実証研究からも既存の労 働関連法により労働は固定費用化し,労働集約的産業に おけるインドの比較優位を損なう一因となっていると なっていることは否定できない. おわりに―政府による貧困削減政策としての雇用 創造プログラム 本稿では,インド製造業の成長を阻害している諸要因 のうち,中小零細企業優遇政策と厳格な労働関連法に焦 点を当て,制度の概要や先行研究のレビューを行った. 上述した現状を見る限り,インドでは,台湾や韓国など 東アジアの経済発展プロセスで見られてきた,一人当た り所得の上昇とともに,産業と就業構造が農業から工業 へ,そしてサービス部門へシフトするペティー=クラー クの法則や伝統的部門(農業部門)の余剰労働力が都市 近代部門(工業部門)へ移動するルイスやフェイ=ラニ スモデルが当てはまっていないことがわかる. 逆にインドでは,マハトマ・ガンディー全国農村雇用 保証計画(MGNREGS)18

や Pradhan Mantri Grram Sadak Yojana(PMGSY)といったプログラムを農村で実施す ることにより,都市工業部門で吸収できない伝統的部門 (農業部門)の余剰労働力に職を与えるにプログラムを 実施している.具体的に,MGNREGS は 2006 年に開始 されたプログラムで,農村の各世帯 1 人に 100 日の単純 労働(未熟練,肉体労働)の雇用を保証するものとして 当初農村 200 県で開始された後,全県に適用が拡大され た.現在の MGNRES の最低日給は 100 ルピーで,就業 を希望して 15 日以内に仕事が与えられなければ,失業 手当の支給も規定されている.Pradhan Mantri Grram Sadak Yojana(PMGSY)は,2000 年に開始されたプロ グラムで,未舗装の農村に道路を建設していくプログラ ムである. こうしたプログラムが実施されていることにより,表 2 の 2004∼2009 年度にかけて建設部門での就業者が増 大しているわけである.しかし,これらプログラムの中 心的事業は灌漑施設や道路の整備などといったインフラ 整備で,公共事業で雇用創出を行う,農村部での一時的 な雇用・貧困対策にとどまる可能性がある. また,都市の労働集約的産業での雇用吸収が難しいイ ンドにおいて,トダロが提唱した二段階農村都市労働者 移動モデル,つまり農村からまずは都市インフォーマル (非組織)部門へ労働者の移動が起こり,次に都市フォー マル部門組織部門)へ移動するというモデルも当ては まっていない.アフマダバードを調査した木曽(2012) の研究でも,インフォーマル(非組織)部門から組織部 門への移動はあまり見られず,むしろ組織部門から非組 織部門への下方的な転職や非組織部門内でのより高賃金 職への転職が増加していることがわかる.製造業とサー ビス業の生産性を所得分位ごとに比較した Mazumdar and Sarkar(2013)でも,フォーマル(組織)部門ばか りでなく参入が容易なインフォーマル(非組織)部門で もサービス業の生産性が高いことが示されており,こう したインフォーマル・サービス業での賃金の高さもイン ドのユニークな経済発展パターンの要因となっている. 18 2006 年 2 月の開始時の名称は全国農村雇用保証計画(NREGS)であった.

(13)

参考文献 大泉啓一郎(2007)『老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わる とき』中公新書 太田仁志(2006)「インドの労働経済と労働改革のダイナミズ ム」内川秀二編『躍動するインド経済―光と陰』アジア 経済研究所 太田仁志(2011a)「連載フィールド・アイ―デリーから①」 『日本労働研究雑誌』No. 608/Feb−Mar. 2011 太田仁志(2011b)「連載フィールド・アイ―デリーから②」 『日本労働研究雑誌』N0. 609/April 2011 木曽順子(2003)『インド開発のなかの労働者―都市労働市 場の構造と変容』日本評論社 木曽順子(2012)『インドの経済発展と人・労働』日本評論社 近藤則夫(2003)「インドの小規模工業政策の展開」『アジア 経済』Vol. 44 No. 11 二階堂有子(2006)「市場開放後の小規模工業―社会経済開発 の行方」内川秀二編『躍動するインド経済―光と陰』ア ジア経済研究所 二階堂有子(2011)「グローバル化とインドの経済自由化」横 川・板垣編『中国とインドの経済発展の衝撃』御茶ノ水 書房

Ahsan, A. and C. Pages(2007)“Are All Labor Regulations Equal? Assessing the Effects of Job Security, Labor Dis-pute and Control Labor Laws in India,” World Bank Policy Research Working Paper, WPS4259.

Besley, T. and R. Burgess(2004)“Can Labor Regulation Hin-der Economic Performance ? Evidence from India, ” the Quarterly Journal of Economics, Vol. 119, No.1.

Bloom, D. E. and J. G. Williamson( 1998 )“ Demographic

Transitions and Economic Miracles in Emerging Asia, ” The World Bank Economic Review, Vol. 12, No. 3. Fallon, P. and R. Lucas(1991)“The Impact of Changes in Job

Security Regulations in India and Zimbabwe,” World Bank Economic Review, Vol. 5.

FICCI(2013).Industrial Relations and Contract Labor in India. Fei, J. C. H. and G. Rais(1975)“A Model of Growth and Em-ployment in the Open Dualistic Economy: The Case of Korea and Taiwan,” Journal of Development Studies, Vol. 11, No. 2.

Jones, C. I.(1998)Introduction to Economic Growth,(香 西 泰 監訳『経済成長理論入門』日本経済新聞社 1999 年) Katrak, H.(1999)“Small-Scale Enterprises Policy in

Develop-ing Countries: an Analysis of Reservation Policy,” Journal of International Development, Vol. 11.

Lall, S. and T. Mengistae(2005)“The Impact of Business En-vironment and Economic Geography on Plant Level Pro-ductivity : an Analysis of Indian Industry, ” World Bank Working Paper, WPS3664.

Lewis, W.A.(1954)“Economic Development with Unlimited Supplies of Labor,” Manchester School of Economic and Social Studies, Vol. 22, No. 2.

Mazumdar, D. and S. Sarkar(2013)Manufacturing Enterprise in Asia, Routledge.

Ministry of Micro, Small and Medium Enterprises. Govern-ment of India. 2009. Quick Result: Fourth All India Census of Micro, Small and Medium Enterprises 2006−07. Mohan, R.(2001)Small Scale Industry Policy in India: A

Criti-cal Evaluation, National Council of Applied Research. Nikaido et al.(2012)“Determinants of Access to Institutional

Credit for Small Enterprises in India” in Sato(ed)The BRICs as Regional Economic Powers in the Global

Econ-omy, Slavic Research Center, Hokkaido University.

NSSO(1997)Employment and Unemployment in India 1993−

94, NSS 50th Round, Report No. 409.

NSSO(2001)Employment and Unemployment Situation in In-dia 1999−2000, Part I & II, NSS 55th Round, Report No. 458.

NSSO(2007)Employment and Unemployment Situation in In-dia 2004−2005, Part I & II, NSS 61st Round, Report No. 515.

NSSO(2011)Employment and Unemployment Situation in In-dia 2009−2010, NSS 66th Round, Report No. 537. Solow, R. M.(1957)“Technological Change and the

Aggre-gate Production Function,” Review of Economics and Sta-tistics, Vol.39.

Sundaram, K. ( 2007 ) “ Employment and Poverty in India, 2000−2005,” Economic and Political Weekly, Vol. 42, No. 32

Thomas, J.(2012)“India’s Labor Market during the 2000s,” Economic and Political Weekly, Vol. 47, No, 51

Todaro, M. P.(1969)“A Model of Labor Migration an Urban Unemployment in Less Developed Countires,” American Economic Review, Vol. 59.

World Bank( 2010 )India’s Employment Challenge : Creating Jobs, Helping Workers.

表 1 2009 年度の産業別付加価値・就業者比率
表 5 インドの企業規模別雇用分布と相対的労働生産性
図 1 労働組合法の下で登録されている組合数と労働争議件数
図 2 組織部門の労働者に占める請負労働者の推移(人)

参照

関連したドキュメント

It follows from Remark 2.4.2 that, if G is totally aloof and verticially slim, then the construction given above of a covering of semi-graphs of anabelioids associated to an object of

The set of families K that we shall consider includes the family of real or imaginary quadratic fields, that of real biquadratic fields, the full cyclotomic fields, their maximal

The analysis presented in this article has been motivated by numerical studies obtained by the model both for the case of curve dynamics in the plane (see [8], and [10]), and for

On figures 2 and 6, the minimum, maximum and two of the intermediate free energies discussed in subsections 3.5 and 6.5 are shown for sinusoidal and exponential histories with n =

inter-universal Teichm¨ uller theory, punctured elliptic curve, number field, mono-complex, ´ etale theta function, 6-torsion points, height, explicit esti- mate, effective

We shall dis- cuss among others: the convergence of Newton’s method; iterated function systems and how certain fractals are fixed points of set-valued contractions; the

Regmi; Global weak solutions for the two-dimensional magnetohydrodynamic equations with partial dissipation and diffusion, Journal of Mathematical Study, 49 (2016) No. Wu;

We shall say that a profinite group G is a [pro-Σ] surface group (respectively, a [pro-Σ] configuration space group) if G is isomorphic to the maximal pro-Σ quotient of the ´