ミクロ経済学
II
(3)
貿易と関税丹野忠晋
拓殖大学政経学部
2018
年10
月10
日
消費者余剰は取引による消費者の利益
生産者余剰は取引による生産者の利益
消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間
生産者余剰は供給曲線と水平な価格線の間
価格の上昇によって生産者余剰は増える
元から売っている生産者は価格上昇分だけ利益を 得る
新たな売り手は価格上昇分よりも小さい生産者余 剰が発生する
総余剰は消費者余剰と生産者余剰の和
均衡点では総余剰が最大化される余剰と経済厚生のまとめ
消費者余剰と生産者余剰
価格
数量
Q
P
供給曲線
生産者余剰 消費者余剰
需要曲線
貿易政策
鎖国あるいは自足自給経済
自由貿易
貿易制限
国内と国外(
海外)
需要曲線は国内需要曲線
供給曲線は国内供給曲線鎖国をしているときの均衡価格
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
Q
鎖国をしているときの経済厚生
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
Q
経済厚生
経済厚生=消費者余剰+生産者余剰
鎖国から開国へ
鎖国を止めて貿易を開始した
鎖国時の国内均衡価格P
> 国際価格P*
この国は小さな国で国際価格に影響を与えな いとする.この仮定を小国の仮定という.
国の規模の違い小国
:
貿易取引量が国際価格に変化を与えない 大国:貿易取引量が国際価格に変化を与える
鎖国時の国内均衡価格を自給自足価格という
この国際価格を世界価格とも言う開国して,世界価格が P*
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*Qs Qc
国内消費量 国内生産量
輸入量
P
貿易の効果
小国の自給自足価格が世界価格より高い時
国内均衡価格の下落
国内価格=世界価格
国内消費の増大
国内生産の減少
輸入量の増加国際価格
P * の余剰
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P*
Qs Qc
国内消費量
国内生産量 輸入量
消費者余剰
生産者余剰
国際価格
P * の経済厚生 ( 総余剰 )
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P*
Qs Qc
国内消費量
国内生産量 輸入量
経済厚生 経済厚生の増加
輸入の効果
世界価格が低いとき輸入が増える
国内価格は下落→国内価格=世界価格
経済厚生(
総余剰)
は増加
国内で利害関係が発生
消費者余剰は増える
生産者余剰は減る
消費者は得
生産者は損
生産者余剰の減少を上回る消費者余剰の増加世界価格
P * が国内価格よりも高 い
P * >P 場合を考察
この場合も小国での効果を見る
貿易開始後、国内価格は上昇する
国内価格は世界価格に一致する開国して,世界価格が P*
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*Qs Qc
国内消費量 国内生産量
輸出量
P
貿易の効果
小国の自給自足価格が世界価格より低い時
国内均衡価格の上昇→国内価格=世界価格
国内消費の減少
国内生産の増加
輸出量の増加輸出産業の消費者・生産者余剰
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*Qs Qc
国内消費量 国内生産量
輸出量
P
生産者余剰消費者余剰
輸出の効果
世界価格が高いとき輸出が増える
国内価格は上昇
消費者余剰は減る
生産者余剰は増える
消費者は損
生産者は得輸出の総余剰
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*Qs Qc
輸出量
経済厚生
経済厚生の増加
輸出の経済全体の効果
経済厚生は増加
消費者余剰は減るがそれを上回る生産者余 剰の増加
国内での利害対立
消費者は反対
生産者は賛成鎖国よりも自由貿易は望ましい
国内価格と世界価格の比較で輸入と輸出のパ ターンが決まる
輸入と輸出の双方で経済厚生は増加した
しかし,消費者と生産者の間で利害の不一致
貿易を制限する事で経済厚生を高める事がで きるか?通商政策
財の輸出入に影響を与える政策を通商政策(commercial policy )
様々な通商政策を見ていきます.
その極端な政策としてこの2つがあります
自由貿易(free trade)
-貿易障壁をまった く設けていない
保護主義(protectionism)
-何らかの方法で輸入を制限している
貿易障壁
貿易障壁には大きく分けて
関税(tariff)
数量割り当て
輸出自主規制
非関税障壁 があります.関税
関税tariff
とは単に輸入に課される税金のこと
外国製品を割高にさせて競争上不利に追い込む ことができる
小国の場合を考える
ここで輸入量1
単位当たりt
円の関税を課した とする
国際価格が100
円で関税が10
円ならば消費者 の購入する価格は110
円 10
円は政府収入世界価格 P* ,財 1 単位当たりtの関税
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*Qs Qc
関税後の国内消費量 関税後の国内生産量
関税後輸入量
P
*+t
Qs’ Qc’
自由貿易に比べ関税を課すと
価格の上昇
消費の減少
国内生産の増加
輸入量の減少
消費者は損
生産者は得
政府は関税収入を得る関税収入=関税
×
輸入量
関税10
円で100
個輸入だと関税収入は10×100=1000
円になる財 1 単位当たりtの関税の関税収入
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*Qs Qc
関税後の国内消費量 関税後の国内生産量
関税後輸入量
P
*+t
関税収入
Qs’ Qc’
貿易の効果
経済全体の望ましさはどうなるか?
経済全体の望ましさは経済厚生経済厚生=消費者余剰+生産者余剰
政府の税収が入れば経済厚生=消費者余剰+生産者余剰+税収
関税によって経済厚生は増加するだろうか?
関税が課された場合の各余剰
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*関税後の国 内消費量 関税後の国内生産
量
関税後輸入量
P
*+t
関税収入
消費者余剰
生産者余剰
Qs’ Qc’
関税政策の経済厚生
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
*関税後の国 内消費量 関税後の国内生産
量
関税後輸入量
P
*+t
Qs’ Qc’
経済厚生
関税と他の制度との比較
関税によって税収が増えた
鎖国と比べて消費者余剰が増えた
明らかに鎖国経済よりも経済厚生が増加
自由貿易と比べてどうだろうか?自由貿易が望ましい
自由貿易の経済厚生>鎖国の経済厚生
価格
需要曲線 供給曲線
P*
Qs Qc
国内消費量
国内生産量 輸入量
消費者余剰
生産者余剰
経済厚生の増分
数量
自由貿易が望ましい
自由貿易の経済厚生>関税賦課後の経済厚生 経済厚生の損失を死荷重という
価格
需要曲線 数量 供給曲線
P*
関税後輸入量P*+t
関税収入消費者余剰 生産者余剰
経済厚生の損失
Qs’ Qc’
米国側から見た輸出自主規制
自由貿易時の価格
P
1.輸出自主規制後の価格P
2 米国の経済厚生は輸出自主規制で下がる
価格
数量 需要曲線
供給曲線
P
1輸出自主規制後の輸入量
P
2消費者余剰
生産者余剰
経済厚生の損失
Qs’ Qc’
自由貿易の輸入量
結論
自由貿易が一番厚生が高い
保護貿易的な関税は厚生を低くする
しかし鎖国よりは望ましい
関税の厚生損失を死荷重(
しかじゅう)
と 言う
関税は総余剰を最大にせず,死荷重を発生 させてしまうまとめ