英語(リスニング)
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第3 問題作成部会の見解
1 問題作成の方針
大学入試センター試験(以下「センター試験」という。)の外国語〔英語(リスニング)〕問題
(以下「リスニング問題」という。)は、高等学校の基礎的学習の達成度を判定することを基本方 針として、学習指導要領(『高等学校学習指導要領(目標)』、以下「指導要領」)に準拠し、コ ミュニケーションを重視する英語教育の成果を問うものとした。基本方針は、「外国の言語や文化 を理解し、情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケ ーション能力を養う」という外国語教育の目的に基づくものである。出題に当たっては、特に「指 導要領」の中の「言語の使用場面」と「言語の働き」に配慮した。自然なコミュニケーションの特 徴である「やり取り」を重視し、単に聞いて理解するにとどまらず、それにどう反応するかについ て問うことにも留意した。
第1問から第4問までの問題内容は次のとおりとする。
第1問 比較的平易な英語を聞いて、内容を正しく理解することができるか否かを見る。(絵、図、
表などを使用)
第2問 比較的平易な対話を聞いて、場面、目的、言語の働きなどを理解し、適切に反応するこ とができるか否かを見る。(文字を使用)
第3問A 対話を聞いて、情報、場面、話し手の意向などを適切に理解することができるか否か を見る。(文字を使用)
第3問B 少し長い対話を聞いて、情報、場面、話し手の意向などを適切に理解することができ るか否かを見る。(絵、図、表などを使用)
第4問A 対話以外のまとまりのある語を聞いて、要点や概要をつかむことができるか否かを見 る。(文字を使用)
第4問B 少し長いまとまりのある話(対話以外)を聞いて、要点や概要をつかむことができる か否かを見る。(文字を使用)
2 各問題の出題意図と解答結果
第1問 第1問の出題の意図は、絵、図、表などが用いられた比較的平易な英語を聞いて、内容 を理解できるか否かを見るものである。第1問全体としては、おおむね高い正答率であり、全 体の平均点を押し上げる結果になった。しかし、この程度の平均点の獲得は当初より予定して いたことであり、今後の課題事項として特記すべきこととしてとらえる必要はないと思われる。
個々の設問を見れば、正答率がかなり高い設問とかなり低いものが混在したことである。正答 率に著しい格差が見られる設問が混在したことについては今後の対処・検討の余地があろう。
第2問 第2問の出題意図は、比較的平易な対話を聞いて、場面、目的、言語の働きなどを理解 し、適切に反応することができるか否かを見るということにあり、正答を導くためには、コミ ュニケーション能力の文法的能力、社会言語的能力、談話的能力、方略的能力を短い時間で駆 使する必要がある。第2問全体としてはやや難易度が高めであったが、個々の設問においては
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項目弁別がうまく行われており、錯乱肢が適切に機能した結果だと考えられる。
第3問 第3問Aの出題意図は、比較的平易な対話を聞いて、その場面や話者の意図を理解でき るかどうかを問うものである。問いに対する答えとして最も適切なものを選ぶためには、文脈 にそった推測力を十分に働かせるとともに、対話中に出てくる語句を的確に理解しているかど うかも不可欠である。正答率はおおむね予想どおりであったが、設問によっては予想をやや下 回るものもあった。第3問Bの出題意図は、比較的長い対話を聞いて、その場面や話者の意図 を理解する能力を問うものである。正答率はおおむね予想どおりであったが、設問によっては やや低いものもあった。これは、対話の場面は受験者に身近なものであったが、対話をしてい る人物を把握した上で写真に写っている人物の位置関係を理解することがやや難しかったもの と思われる。
第4問 第4問の出題意図は、上記の如くまとまった量のモノローグを聞いて、重要な情報や、
自分の必要とする情報を聞き取れるかを見る問題であり、Aが比較的短いもの、Bが長めのも のとなっている。いずれも、受験者の常識的な知識だけでは正解を予測できない問題を出題し た。正解に至るためには、重要な情報や必要とされる情報を押さえながら、全体としての話の 流れをとらえる必要がある。予想以上に正答率が高かった問題は、受験者が比較的慣れている だろうと思われる題材を扱っていた。一方、正答率が低かった問題は、話の流れの中で複数の 情報を正しく理解し、総合的に判断して解答しなければならない種類のものであった。しかし ながら、全体的には、出題意図は達成されたものと考える。
3 出題に対する第三者評価
リスニングの試験に対して各方面から様々な意見が寄せられた。そのなかから、高等学校関係者 及び教育研究団体の見解の要点をあげ、当分科会の立場を述べておきたい。
⑴ 高等学校関係者
〔大問ごとのコメント〕
第1問 「短い対話の中で話題を瞬時に把握できるかどうかが重要となる。今年度は、締め切り 日や形状などを問うものが出題されたが、昨年度と大幅な変更はなかった。問6のアイスクリ ームのイラスト選択問題も違和感のないものであると言える。また、解答についても、計算を 伴うものや位置関係を示す語句を伴うものは昨年度と同様であった。」という評価を得た。出題 意図をよく理解していただいて、好意的な評価をいただいたと考えている。次年度に向けて検 討すべき点は、正答率に格差の見られる問題が混在した点である。正答率の低かった設問も、
実生活でもよく出くわす場面設定であったが、次年度に向けてはより身近な話題をより具体的 にとりあげるなどの工夫を凝らす必要があると考えている。
第2問 「様々な場面設定のもとに、相手の予定を尋ねたり、感謝したり、依頼や質問に答えた りといった対話がなされており、単純に最後の応答が正答を導き出さないように工夫がなされ ている。そのため、全体のやりとりを正確に把握した上で、選択肢の表現をも正確に解釈しな いと正答を選び出すことができないので、受験者には比較的高度な英語力が要求される。」とい う評価を得た。出題意図をよく理解していただいて、好意的な評価を得たと考えている。
第3問A 「買い物や携帯電話の利用に関する話題は身近であったが、観光バスの乗車場所に関
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する話題は、聞き慣れない固有名詞が複数登場し、受験者にはややなじみのないものであった。
少し長めの対話を聞き、対話の流れが変化する中で登場人物それぞれの意見をとらえることが 重要となる。読まれる英文の内容と選択肢の言い換えにも注意する必要がある」との評価を得 た。次年度も、問題作成の際には、話題、場面設定及び語いレベルなどに留意し、総合的に判 断したい。
第3問B 「昨年度の室内の家具の位置関係を尋ねる内容から、今年度は同窓会の集合写真の人 物を特定する内容に変更されたが、人物の身に付けているものや位置関係から容易に人物を特 定できる問題であった」との評価を得た。出題意図の正当な理解に基づいた、適切な評価を得 たと考えている。次年度においても特に変更の必要はないものと判断する。
第4問A 「読まれた情報量が多いことや、[略]英語圏でよく使用される表現が多用されたこと で、多くの受験者はとまどったのではないかと思われる。[略]1回目のリスニングが有効に利 用できなかった可能性があり、結果的に難易度の高い問題となったと思われる」という指摘を 得た。状況設定と情報量の多さについては、できるだけ生の英語に近いものとなるよう配慮し た結果であり、このような問題を織り込むことは妥当であると判断する。同じセクションに比 較的なじみ深く平易な問題もあり、得点分布からもバランスのとれた問題であったと言える。
第4問B 「読まれたbrackish water と①のblack-colored waterを混同し、また、その後に続く
which is の言い換えに相当する③との間で迷った受験者が多かったのではないかと思われる高
校の授業でもlとrの音については指導するが、brackishはなじみの薄い語なので、難易度が高 くなったと思われる」という指摘を得た。特定の音の聞き取りのみを要求する問題ではないが、
分析の結果、最上位群でも①を選択する比率が高いことを考えると、backwash effectsが期待さ れる適切な問題であったと言えよう。
選択肢の長さに関する指摘もあったが、これは今後の課題として受け止めたい。
〔要望〕次のような意見・要望・提案が寄せられた。
① 出題形式・内容など、非常によく工夫されている。次年度に向け、さらに良い試験問題とな るよう検討・改善をお願いしたい。
② 「英語(リスニング)」は、昨年度同様、試験日の最後に実施されたが、全科目受験者にとっ てはかなり疲労が重なった状態での受験であったと思われる。このため、受験者にとって過度 の負担とならないよう、試験日程の工夫を重ねて要望したい。
③ 機器の異常については、今年度も多くの事前交換・再開テスト・再試験が発生しており、次 年度に向け引き続きその原因の解明と適切な改善をお願いしたい。特に、リスニング実施上の 不適切な対応等でも多くの再試験者が出ていることは大変残念である。さらに、イヤホンにつ いては耳から外れやすく、また、終了後には机上に置く際に受験者に配慮を要求するなど、使 いやすいとは言い難い。柔らかく耳から外れにくいものにするなどの改良も重ねてお願いした い。
④ 読まれる英文については、受験者にとって十分に対応できる速度や発音等の明瞭さを維持し ていただきたい。また、選択肢の語数については、昨年度・今年度の第4問のように2行に渡 るものが次年度以降はないよう要望したい。
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⑤ 来年度以降については、今年度と同様の理念及び方針等に基づき、学校現場等におけるリス ニングの指導及び「英語(リスニング)」の問題形式・内容等が着実に定着しつつあるという観 点から、一層難化することがないよう十分な配慮をお願いしたい。
これらの要望などについて次のように対処したい。
① についてはそのように鋭意努力したい。
②③ については実施に関することで、本分科会の権限外のことであり、大学入試センター全 体の管轄部署での検討をお願いする。
④ についてはそのように鋭意努力したい。
⑤ についても十分に留意したい。
⑵ 教育研究団体
教育研究団体からの意見は残念ながら当報告書作成時までには提出されず、ここに反映させる ことはできなかった。
4 まとめと今後の課題
⑴ 平均点 昨年度の本試験の平均点よりもやや低めが望ましいとの要望を踏まえて作題を行い、
ほぼ目標の数値通りの結果を得たことから、本来の目的を達成したと結論付けられる。多くの受 験者が正答を出す平易な問題もあれば、正答率が低い問題もあり、全体としては受験者の英語力 を評価するのに適切な問題であったと言える。
⑵ 問題形式と問題間における難易度の調整 第1問から第4問まで、6形式の構成であったが、
それぞれに判別しようとする英語能力が異なっており、全体として総合的な力を見る構成になっ ていたと考える。ただし、第1問から第4問まで難易度順に並んでいるとは言えず、正答率の点 からは特に第2問がやや低く、第3問Aがやや高いという結果となっている。この点については、
受験者の混乱を避けるために、即座に順番を変えることは好ましくないと考えるが、将来の検討 課題としたい。
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