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高分子異種相界面の力学物性制御による機能設計

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

高分子異種相界面の力学物性制御による機能設計

下村, 信一朗

http://hdl.handle.net/2324/1654841

出版情報:Kyushu University, 2015, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

(様式2)

氏 名 :下村 信一朗

論 文 名 :高分子異種相界面の力学物性制御による機能設計 区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

近年、高分子は構造材料としてはもちろん、機能性材料としても広く用いられている。これら材 料は用途に応じ様々な異種媒体と接した環境下で使用されることから、材料特性を最大限発現させ るためには、バルクのみならずその界面における高分子の基礎科学を理解し材料設計に反映させる ことが重要である。従来の研究により、材料表面における高分子鎖の凝集状態および熱運動性がバ ルクのそれとは異なることが広く理解されている。一方、高分子と固体との界面、また、より複雑 な系である高分子と生体との界面に関しては、対象が材料内部に埋もれていることから実験的アプ ローチが制限され、ひいては、基礎物性の理解が進んでいる材料は限定されている。

本論文では、上述の背景を鑑み、固体および生体界面における高分子材料に着目し、分子鎖凝集 状態および熱運動性を評価することで、埋もれた相界面における高分子の構造・物性と機能発現の 相関について明らかにすることを目的とした。

第1章では、本研究の背景および目的を述べた。

第2章では、-N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)プロピルアミド基を末端変性基として導入したポ

リスチレン(PS-N)を用い、固体界面におけるポリスチレン(PS)の凝集状態および熱運動性に及ぼす 末端変性基の影響を評価した。参照試料としては、水素終端したPS (PS-H)を用いた。モデル無機固 体として用いた SiOx基板上に調製したPS-H薄膜は、所定条件下における熱処理で脱濡れしたが、

PS-N薄膜は脱濡れせず安定であった。鎖に変性基を導入することで固体界面における分子鎖凝集状 態は変化した。側鎖フェニル基ならびに末端変性基は界面に対して垂直方向に配向していた。また、

良溶媒で洗浄後に基板上に残存した層(吸着層)は、PS-N の方がPS-H 膜よりも厚かった。以上の結 果に基づき、固体界面における分子鎖凝集状態の変性基導入に伴う安定化機構を提案した。

第 3 章では、固体界面における架橋ポリイソプレン(PI)薄膜の凝集状態を評価した。光架橋を施 したPI薄膜は、重水素化ヘキサン中において膨潤したが、膜厚方向に膨潤度の傾斜があった。固体 界面近傍にはほぼ膨潤しない層が形成され、また、膨潤度の高いバルク層と界面層の間に中間層も 存在した。この結果は、膜厚方向に架橋点密度は一定でないことを示している。参照として作製し た未架橋 PI膜の場合、固体界面には吸着層が存在した。このため、固体界面層における PI の膨潤 度の低下は熱運動性の低下した吸着層に起因すると結論した。

第 4 章では、PS の界面力学応答が細胞の初期接着に及ぼす影響を評価した。PS単層スキャホー ルドに対するL929線維芽細胞の接着は、膜表面 10 nm程度における力学特性の差異に依存しなか った。PI膜にPS膜を積層したPS/PI二層膜の場合、PS層が薄くなるとPI層からの力学応答が顕在 化する。この現象を薄化に伴う力学不安定性と命名した。二層膜スキャホールド上への細胞接着性 はPS層の力学不安定性発現により低下した。一方、血清タンパク質の吸着特性はPS層の力学不安 定性と無関係であった。以上の結果から、ガラス上高分子の薄化に伴い発現する力学不安定性によ

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り線維芽細胞の初期接着挙動を制御できる可能性を見出した。

第5章では、ガラス状高分子としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いPMMA/PI二層膜にお ける細胞接着性、ならびにPI単層膜における細胞接着性を評価した。PMMA/PI二層膜においても、

PMMA層の薄化に伴う力学不安定性、および、力学不安定性に依存した細胞接着性を見出し、第4 章で述べた概念の一般性を確立した。ガラス基板上に作製した PI 単層膜において、PI 層の薄化に 伴い細胞接着性が向上した。これは、薄化に伴い下地基板の影響がスキャホールドの力学特性に反 映されたことによる。有限要素シミュレーションに基づき、細胞は接着斑を介して牽引力をスキャ ホールドに伝達するとともに、その結果発生するせん断応力を感知し応答することを示した。

第 6章では、ラインアンドスペース基板上に PS 薄膜を積層することで、力学物性が 2次元にパ ターン化されたスキャホールドを作製した。PS膜の薄化に伴い、凹部上の PS上での細胞接着性お よび増殖性は、凸部上のそれらと比較して低下した。以上より、ガラス状高分子の力学特性を細胞 機能制御に利用する新規スキャホールドの設計指針を提案した。

第7章では、第 1章から第6章までを総括した。

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