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プリント配線基板内蔵用高容量薄膜コンデンサの開発

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Academic year: 2021

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(1)

*1 化学繊維研究所

プリント配線基板内蔵用高容量薄膜コンデンサの開発

チタン酸バリウムナノ粒子の超音波による解砕

有村 雅司*1 牧野 晃久*1 藤吉 国孝*1 山下 洋子*1

Development of a Film Capacitor Embedded Print Wiring Board with a High Capacitance Density

Disaggregation of Nano-Sized Particles of Barium Titanate Using Ultrasonic Masashi Arimura, Teruhisa Makino, Kunitaka Fujiyoshi, Yoko Yamashita

超微粒子の凝集体への超音波の照射は,装置および操作の手軽さに加えてコンタミネーションが少ないため,解 砕手法として頻繁に用いられている。超音波による解砕は,超音波出力および超音波周波数の影響を受けると考え られるが,解砕に対する超音波周波数の効果に関する報告例は少ない。そこで本研究では,高濃度ゾルゲル法1)に よって調製したチタン酸バリウムナノ粒子ゲルに様々な周波数の超音波を照射し,周波数がナノ粒子の解砕に与え る影響について検討を行った。その結果,超音波の解砕能力は周波数依存性があり,検討を行った周波数 で は 50kHzにおいて最も効果が高くなっていた。

1 はじめに

ナノ~サブミクロンの超微粒子の製造方法には大別 してブレークダウン法とビルドアップ法がある。ブレ ークダウン法は,大きな粒子を機械的に強粉砕するこ とで超微粒子を製造するため,メディアあるいは容器 等からのコンタミネーションが多い。そのため,純度 を必要とする超微粒子の製造には,原子あるいは分子 から直接的に粒子を生成する事ができるビルドアップ 法が用いられている。しかし,超微粒子は容易に凝集 を起こすため,ビルドアップ方式であっても単分散の 超微粒子を得るための機械的な凝集体の「ほぐし」す なわち解砕作業が必要となる場合が多い。種々ある解 砕手法の中で超音波の照射は,装置および操作の手軽 さに加えてコンタミネーションが少ないことから,超 微粒子の解砕手段として適していると考えられる。

著者らは,チタン酸バリウム(BaTiO3)ナノ粒子が 分散したナノ粒子分散溶液を塗布することで,薄膜コ ンデンサの作製を行っている1)。分散溶液の作製は,

高濃度ゾルゲル法により調製したBaTiO3ナノ粒子ゲル を分散媒中に投入し,超音波によってこれを解砕およ び分散することによって行っている1)。薄膜コンデン サの特性向上のために,分散溶液中のナノ粒子は単分 散性が高い必要性があり,また,分散溶液の量産化を 検討する上で,解砕効率の向上が必要不可欠である。

よって分散溶液作製時の超音波照射条件の最適化を図

る必要がある。一般的に超音波による解砕処理は,凝 集体に照射する超音波強度および再凝集の防止のため の粒子濃度の最適化が重要であると言われている2),3)。 しかしこれらの検討は,ミクロンオーダーの粒子に関 して行われたものであり,ナノ粒子への適用性は不明 である。また,超音波の重要な因子であると考えられ る周波数に関する検討はほとんどなされていない。

そこで本研究では,BaTiO3ナノ粒子分散溶液の作製 を様々な周波数の超音波で行い,周波数がナノ粒子凝 集体の解砕に与える影響について検討を行った。

2 研究,実験方法

2-1 BaTiO3ナノ粒子ゲルの調製

図1にBaTiO3ナノ粒子ゲルの調製フローチャートを 示す。先ず,等モルのバリウムジエトキシド(高純度 化学研究所製)とチタンテトライソプロポキシド(高 純度化学研究所製)を,乾燥窒素雰囲気中においてメ タノールと2-メトキシエタノールの混合溶媒へ溶解し て , 1.0mol/Lの 前駆 体 溶 液 を 調 製 し た 。 前 駆 体 溶 液 を-30℃まで冷却した後,撹拌しながら水/メタノー ル混合溶媒(体積比1:1)を滴下し加水分解を行った。

水/メタノール混合溶液の滴下量は,水の添加量が前 駆体溶液中のTiに対して20モル倍となるようにした。

加水分解終了後,30℃で1週間の熟成(エージング)

処理を行うことで,結晶子径(単一粒径)が約25nmの BaTiO3ナノ粒子から構成されるゲル体(BaTiO3ナノ粒

(2)

子ゲル)を調製した。

CH3OH+CH3OC2H4OH(3 : 2) Ba(OC2H5)2 Ti(O-isoPro)4 BaTiO3前駆体溶液 乾燥窒素雰囲気

加水分解

BaTiO3ナノ粒子ゲル エージング

30℃まで加熱 -30℃

30℃,7日間

H2O/MeOH ( 1 : 1(vol) ) H2O/Ti = 20

図1 BaTiO3ナノ粒子ゲルの調製プロセス

2-2 超音波照射によるBaTiO3ナノ粒子の解砕

分散媒である2-メトキシエタノール5ml中にBaTiO3 濃度が約0.1M(約2wt%)となるようにBaTiO3ナノ粒子 ゲルを投入し,超音波を所定時間照射してナノ粒子の 解砕を行った。分散媒に投入したBaTiO3ナノ粒子ゲル の粒径(凝集径)は数mm~1cm程度である。超音波発 生装 置 には , 投込 型 の発 振 子を 有 する 超 音波 発 生器

(カイジョー製,TA-4021)を使用した。超音波の照 射は,図2に示すように,分散液容器を超音波振動子 が入った水槽中へ配置して間接的に行った。超音波の 周波数は19.5k,28k, 50k及び 100kHzを用いた。超音 波出力は,超音波制御器上の設定で200Wとした。超音 波照射時の水槽の温度は,20℃一定となるように恒温 水循環装置によって調整した。

超音波振動子

BaTiO3 分散液 5mm

30mm

水温:20℃

水槽

図2 超音波照射系の概略図

2-3 超音波出力の評価

超音波出力は解砕へ大きな影響を与えるため2),超 音波の周波数の効果を厳密に検討するためには,分散

溶液に伝わった超音波出力を把握しなければならない。

本研究では,超音波エネルギーが熱エネルギーに変換 されることを利用し,それぞれの周波数について次に 示す方法により分散液容器内へ伝わった超音波出力の 評価を行った。図2に示す超音波照射系において,分 散液容器の中に分散液の代わりに水10mlを入れ,超音 波照射による水温上昇を測定した。分散液容器中に伝 わ る 超 音 波 の 出 力 I ( W ) は , 水 温 上 昇 率 dT/dt ( ℃ /sec)を用いて式(1)より求めた。

I=dT/dt・Cp・M (1) ここで,Cpは水の熱容量(4.2J/g)であり,Mは水 の液量(10g)である。

2-4 ナノ粒子解砕状態の評価

ナノ粒子の解砕状態の評価は,超音波照射による凝 集径の変化を測定することで行った。凝集径の測定は,

動的光散乱方式による粒度分布測定装置(マルバーン 社製,Nano-ZS)によって 行い,キ ュム ラント法4)に より算出された平均粒径を凝集径と定義した。

3 結果と考察

3-1 分散液容器内の超音波出力の評価

超音波照射による分散液容器内の水温変化を図3に 示す。水温の変化は超音波の周波数によって異なって いるが,いずれの周波数においても超音波照射初期は 照射時間とともに水温が線形的に増加し,その後,温 度上昇率が低下する傾向があった。これは,分散液容 器の断熱を行っていないため,系外に放熱されたこと が原因である。そこで,放熱の影響が無視できると考 えられる超音波照射初期の水温上昇率dT/dtから,式 (1)を用いてそれぞれの周波数における容器内に伝わ った超音波出力Iを求めた(表1)。

20 25 30 35

0 20 40 60 80 100 120

温度/℃

照射時間/秒 50kHz 28kHz

100kHz 19.5kHz

図3 超音波照射による分散液容器内の水温変化

(3)

表1 分散液容器内へ伝わった超音波出力

分散液容器内へ伝わった超音波は,周波数によって 大きく異なり,例えば28kHzは50kHzの約10倍となって いる。超音波制御器上ではすべて200Wに設定をしてい るが,超音波振動子における電気-機械エネルギー変 換効率,超音波の媒体となっている水あるいは分散液 容器壁の超音波伝達効率が周波数によって異なること が原因と考えられる。前述したように,解砕に与える 周波数の影響を厳密に検討するためには,これらの出 力の差を考慮しなければならない。

3-2 超音波照射による凝集径の変化

超音波照射による凝集径の変化は,図4に示す様に,

いずれの発振周波数においても,超音波照射初期に著 しく減少,その後のなだらかな減少を経て概ね一定と なる傾向が見られた。図5に,図4の横軸を照射時間の 逆数としたグラフを示す。この図から,凝集径と照射 時間の逆数との間には概ね比例関係があることが分か る。つまり,凝集径と照射時間の間には反比例の関係 が成り立つ。それぞれの周波数における比例定数aを 求めた結果を表2に示す。この比例定数aは「解砕のし にくさ」を反映した値となっている。比例定数aが大 きい場合は凝集径の減少割合が小さく,解砕が進行し にくい状態であり,比例定数aが小さい場合は解砕が 進行しやすい状態であるといえる。よって,比例定数 aを解砕抵抗と定義した。比例定数の逆数1/aは,「解 砕しやすさ」を反映した値となるため,解砕推進度と 定義した (表 2)。算出 した 解砕推進 度は ,周波数 が 19.5k,100k,50kそして28kHzの順に高くなっており,

図4の結果を反映したものとなっている。

表2 解砕抵抗および解砕推進度

周波数 19.5kHz 28kHz 50kHz 100kHz

a(解砕抵抗) 110 25 27 46

1/a

(解砕推進度) 0.0091 0.040 0.037 0.022

35 40 45 50 55 60 65 70

0 10 20 30 40 50 60 19.5kHz 28kHz 50kHz 100kHz

凝集径/nm

超音波照射時間/min

図4 超音波照射による凝集径の変化

40 50 60 70 80

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

凝集径/nm

1/t /min-1 19.5kHz

100kHz

28kHz 50kHz

図5 超音波照射時間の逆数に対する凝集径の変化

0 20 40 60 80 100 120

解砕能力 /a.u.

超音波周波数/kHz

図6 解砕能力の超音波周波数依存性

3-3 解砕能力の超音波周波数依存性

表2の解砕推進度は周波数の影響だけではなく,表1 に記載した分散液容器内に伝わった超音波出力の影響 も含んでいる。東谷らの報告では,超音波によって解 砕した凝集体の粒径は,単位時間当たりに照射された 超音波の総エネルギーEt(=出力・時間/体積)により 決定されるとある5)。よって,解砕推進度を出力,時 間および体積で規格化することで,超音波周波数が持 つ解砕能力を評価できると考えられる。表1および表2 に記載した超音波出力および解砕推進度は,すでに時 間に対して規格化された状態である。そこで,表2に 記載の解砕推進度を,表1記載の超音波出力および仕 込みの分散液の液量(5ml)で除して規格化を行い,

周波数 19.5kHz 28kHz 50kHz 100kHz dT/dt

(℃/sec) 0.079 0.39 0.044 0.12 出力I

(W) 3.3 16 1.8 5.0

(4)

超音波周波数が有する解砕能力とした。図6に求めた 解砕能力の周波数依存性を示す。

解砕能力の周波数依存性は,50kHz付近で最大とな る傾向があった。一般的な超音波分散器に用いられて いる20kHz付近の周波数(19.5k,28kHz)と比較して,

50kHzは約7倍の解砕能力を有していた。従来の超音波 による凝集体の解砕に関する研究では,解砕能力の周 波数依存性は報告されていない2),3),5)。従来の研究で は,超音波出力を超音波制御器の設定出力で定義して いたが,本研究では,実際に分散液容器に伝わった超 音波出力を求めて,出力の効果と周波数の効果の分離 を行ったために,周波数の効果が明確になったと考え られる。

4 まとめ

本 研 究 で は , 高 濃 度 ゾ ル ゲ ル 法 に よ っ て 調 製 し た BaTiO3ナノ粒子ゲルに様々な周波数の超音波を照射し,

超音波の周波数がナノ粒子の解砕に与える影響につい て検討を行った。その結果,解砕能力は超音波の周波 数に依存しており,50kHzで最も高くなった。50kHzに おけ る 解砕 能 力は , 一般 的 な超 音 波分 散 器の 周 波数

(20kHz付近)と比較して,7倍程度あった。

5 謝辞

本研究は,NEDO技術開発機構平成17年度産業技術研 究助成事業の助成を受け実施しております。

6 参考文献

1) 桑 原 誠 ら : セ ラ ミ ッ ク ス , Vol.36, No.6, p.415- 416 (2001)

2)柳田博明ら:微粒子工学大系第1巻,p.821-825, フ ジテクノシステム(2001)

3)東谷公:微粒子工学,p.43-44,朝倉書店(1994) 4)日本工業規格:JISZ8826, P.8-P.9(2005)

5)K. Higashitami et al.:Colloids Surfaces A, Vol.81, p.167-170(1993)

参照

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