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< 目次 > Ⅰ. 背景 目的... 1 Ⅱ. 調査内容 機器の使用時漏洩等に対する措置に関する調査 経済的措置に関する調査... 3 Ⅲ. 調査方法 文献調査等の実施 報告書素案の作成 報告書素案にもとづく現地ヒアリン

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(1)

平成22年度化学物質安全確保・国際規制対策推進等

(フロン等中期温暖化対策(フロン類等の実態に関する海外調査))

報告書

平成 23 年 3 月

(株)野村総合研究所

(2)

<目次>

Ⅰ.背景・目的 ... 1

Ⅱ.調査内容 ... 2

1.機器の使用時漏洩等に対する措置に関する調査 ... 2

2.経済的措置に関する調査 ... 3

Ⅲ.調査方法 ... 4

1.文献調査等の実施 ... 4

2.報告書素案の作成 ... 4

3.報告書素案にもとづく現地ヒアリングの実施 ... 4

4.報告書の作成 ... 4

Ⅳ.調査実施期間 ... 4

Ⅴ.調査の結果 ... 5

1.機器の使用時漏洩等に対する措置 ... 5

A)EU ... 10

B)ドイツ ... 34

C)オランダ ... 50

D)デンマーク ... 64

E)カリフォルニア州 ... 76

2.経済的措置 ... 94

A)デンマーク ... 98

B)ノルウェー ... 116

C)米国 ... 134

Ⅵ.附録 ... 152

参考文献 ... 152

ヒアリング先一覧 ... 161

(3)

Ⅰ.背景・目的

我が国では、フロン類についてフロン回収破壊法(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の 実施の確保等に関する法律:2001 年施行)やその他の各種支援施策等を通じ、排出抑制のため の取り組みが進められてきた。しかしながら、オゾン層破壊物質であるCFC、HCFCから代替フロン であるHFCへの転換が進行しており、今後民生部門を中心にHFCの排出が大幅に増加すること が見込まれている。そのため、今後は一旦市中に排出された機器や冷媒が、使用時・廃棄時を通 じて長期間にわたって主要排出減となっていく見込みである。

一方で、EU や米国においては、既にフロン類排出抑制のための積極的な取り組みが実施ある いは検討されているものの、制度の詳細な点までは必ずしも明らかになっていない。

そこで本調査においては、EU や米国におけるフロン類排出抑制のための積極的な取り組みの 実態について調査を行い、最新の状況を明らかにすることを目的とする。また本調査の目標は、調 査対象地域や国の担当者から、調査の結果について、最新情報であるとの認識を得ることとする。

(4)

Ⅱ.調査内容

1.機器の使用時漏洩等に対する措置に関する調査

EU におけるF ガス規則、オランダにおけるSTEKプログラム、ドイツにおけるフロン類の使用時 漏洩や使用に関する規制、米国におけるクリーン・エネルギー安全保障法案(ワクスマン・マーキ ー法案)、カリフォルニア州における高 GWP 冷媒を使用した定置用冷凍空調機の管理規則につ いて、制度の詳細、運用実態及びその背景を具体的に明らかにする。調査項目の整理は下記の とおり。

(1)制度の設立背景 ①排出状況

②制度設立の背景

(2)制度の内容 ①基本情報

②制度の対象

③違反者への罰則規定

④罰則適用の実績

⑤モニタリングの仕組み

(3)実施体制 ①実施体制

②履行状況

(4)制度の効果 ①フロン類排出削減の効果

②漏洩の防止効果

③効果の評価手法

④その他導入によるインパクト

(5)行政の対応状況 ①EU法との関係

②合意形成

③今後の制度改正予定など

(5)

2.経済的措置に関する調査

デンマークおよびノルウェーの環境税におけるフロン類への課税に係る経済的措置について、

より細かな制度設計や運用の詳細、その効果を調査する。また米国におけるクリーン・エネルギー 安全保障法案(ワクスマン・マーキー法案)について、現在の規定から想定される制度に対する産 業界の反応や検討状況について調査する。調査項目の整理は下記のとおり。

(1)制度の設立背景 ①排出状況

②制度設立の背景

(2)制度の内容 ①基本情報

②制度の対象

③モニタリング

④執行体制

(3)他制度との関係 ①制度の安定性を担保する仕組み

②回収・破壊規則との関係

③管理点検規則との関係

(4)制度の効果 ①課税効果

②削減効果

③評価手法

(5)行政の対応状況 ①合意形成

②今後の動向

(6)

Ⅲ.調査方法

各種公開情報の整理・分析をした上で、関係機関や業界団体等へのヒアリング調査を行う。

1.文献調査等の実施

本調査の対象となる施策の条文を特定し、日本語に仮訳する。加えて経済産業省・NEDO・環 境省の過年度調査のうち海外調査を行った報告書、委員会資料、海外で発行されている各種レポ ート等を入手し、本調査の項目に関する情報を特定する。入手した各文献から本調査の対象とな る施策に関連する内容について探し、本調査の項目に関する情報を抜き出してまとめる。

2.報告書素案の作成

本調査の対象となる施策について、【調査の内容】に示した項目に関する情報を日本語・英語の 両方でまとめ、ヒアリング用資料として活用する。

3.報告書素案にもとづく現地ヒアリングの実施

文献調査を行った国の中から、4 ヵ国程度を選定し、ヒアリング調査を実施する。各施策の監督 当局に対するヒアリング調査では可能な限り、現場を把握している担当者と面談できるようにする。

ヒアリング調査では、手順②で作成した報告書素案(英語版)を示し、その内容が最新情報である との認識を得る。さらに、文献調査のみでは得られなかった情報についても可能な限り収集する。

なお、現地調査は文献調査による十分な情報の入手が期待でき、ヒアリングによって実際の運用 実態について調査することで、より密度の高い調査が可能になることが期待される国を対象とする。

具体的にはドイツ、オランダ、米国(カリフォルニア州)、デンマーク、ノルウェー、の 5 ヵ国を想定し ている。

4.報告書の作成

ヒアリング調査で得られた最新の情報を上記3.で作成した報告書素案に追記し、整理すること で報告書をとりまとめる。

Ⅳ.調査実施期間

委託契約締結日から平成23年3月31日。

(7)

Ⅴ.調査の結果

1.機器の使用時漏洩等に対する措置

以下の表に、機器の使用時漏洩等に対する措置の調査結果をまとめた。

A)EU B)ドイツ C)オランダ D)デンマーク E)カリフォルニア州

根拠法

特定のフッ素化温室効果ガス に関するEC規則 842/2006 Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases

化学物質気候保全令

Verordnung zum Schutz des Klimas vor Veränderungen durch den Eintrag bestimmter fluorierter Treibhausgase

Fガス環境保護法

Besluit gefluoreerde broeikasgassen milieubeheer

Fガス禁止令

Bekendtgørelse om regulering af visse industrielle drivhusgasser

GWP冷媒を使用した定置用 冷凍空調機器の管理規則

High-GWP Refrigerant Management Regulations for Stationary Sources

施行年 200774日(付属文書Ⅱ

200664日から施行) 200881 20071121 2002715 2011年 11

目的

京都議定書に規定されている 温室効果のある F ガスの排出 量を削減し、環境を保護するこ

許容漏洩率を規定し、回収・引 き取り制度を法制化すること

F ガス規則のオランダ国内で の実施と、規則の中でオランダ が独自に制定することを求め られている罰則について、既存 環境刑法を改正し、資格認定基 準に関する省令の制定権限を 環境大臣への付与すること

温室効果ガスの排出を削減す ること

・既存の冷凍・冷蔵システムか ら年間800トン(CO2換算)の 冷媒を削減すること

・既存および将来のシステムか らの冷媒漏洩を削減し、冷凍・

冷蔵および空調機器からの高 GWP 冷媒の回収・リサイクル を最大化すること

対象物質

京都議定書の附属書 Aに記載 されているフッ素化温室効果 ガス

EC規則 842/2006の対象物質

(代替フロン)に同じ

EC規則 842/2006の対象物質

(代替フロン)に同じ HFC、PFC、SF6 CFC、HCFC、HFC、PFC

義務内容

FガスあるいはFガスを含む 機器を年間 1トン以上製造ま たは輸出入する業者に対する 充填量の記録の義務、機器への ラベル表示義務

・機器運転者に対する排出削減 措置(漏洩修理・機器の密閉度 の点検)、記録、冷媒回収義務

・3kg以上の冷媒を使用するす べての冷凍・冷蔵機器および消 火設備、配電機器について漏洩 上限率(1~8%)を遵守すること

・Fガス規則に準拠

・FガスあるいはFガスを含む 機器を年間 1 トン以上製造ま たは輸出入する業者に対する 充填量の記録の義務、機器への ラベル表示義務

・機器運転者に対する排出削減 措置(漏洩修理・機器の密閉度 の点検)、記録、冷媒回収義務

・2.5 kg以上のFガスが利用さ れた機器の利用者は密閉度検 査を実施し、使用済みFガスの 回収を行うこと

・HFC、PFCおよびSF6を用い る製品の輸入、上市、使用の禁

・未使用および再生HFC、PFC およびSF6の輸入、上市、使用 の禁止

GWP冷媒を50ポンド(約 22.65kg)以上含む非家庭用機 器の所有者、運用者、修理業者、

卸売業者、回収・破壊業者は、

登録、漏洩の検出、モニタリン グ、漏洩修理、設置あるいは廃 棄計画、記録保持を行うこと

(8)

A)EU B)ドイツ C)オランダ D)デンマーク E)カリフォルニア州

罰則規定 200874日までに各国法 で定める

以下の場合5万あるいは20 ユーロの罰金

①表示義務の不履行、②漏洩率 基準からの逸脱防止措置の不 履行、③漏洩点検の不履行、④ 自動車エアコンに漏洩を発見 したにもかかわらず修理を行 わずに冷媒の補充を行った場 合、⑤Fガス規則の規定にもと づく回収不履行、⑥資格認定な しに冷凍空調設備の保守点検 業務を提供した場合、⑦引き取 り義務者が、ガスの引き取りを 行わなかった場合

違反した場合は刑法典の環境 罪に該当するが、罰金額は他国 の動向を判断し、今後決定する

①法に規定されている定期的 漏洩検査が実施されていない 場合、②有資格者以外の者が検 査を行った場合、③記録の不備

・Fガス禁止令における第2 および第 3 条の規定に対する 違反に対して、罰金を科す

・自己または他人に対する経済 的利益の追求を目的とする違 反は 2 年までの自由刑により 処罰

機器所有者あるいは運用者、認 定技術者、非認定技術者、認定 回収業者、冷媒卸売業者、卸売 販売業者による違反あるいは 本規則が定める要求に違反し た者が発見された場合には、禁 止命令が下されるか、連邦健康 安全法 に基づき罰則が課され

適用除外

・冷媒充填量3 kg以下の設備 は回収および定期的点検の義 務から除外

・自動車用空調機器はMAC 令の対象分野であり、その実施 は各国国内法に委ねられてい

なし

・Fガス規則に準拠(冷媒充填 3 kg以下の設備は回収およ び定期的点検の義務から除外)

・生産プロセスにおける対象物 質の使用

・冷媒の切り替えによる事業者 の新規投資が過大になると考 えられる領域における F ガス 使用禁止の除外、

・①ライフサイクル排出による 除外、②経済的困難による除 外、③自然災害による除外が定 められている

運用実態

・実際には立ち入り検査はほと んど行われていない。

・義務の履行について現時点で は特定の担保方法は規定され ていないが、事業者から報告さ れたデータと税関などの申告 データの突き合わせが実施さ れている。

・州ごとに監督体制が異なり、

かつ連邦機関はその実施に責 任を持たないため、連邦政府は 各州の体制については認知し ていない。また、担当機関内に 独立した組織が存在するかに ついても把握していない。

・本法令では、規定の台帳記録 等の記録保管義務のほかに、事 業者の報告義務は存在しない。

信頼性の担保方法については 連邦機関では把握していない

・国レベルでは毎年重点検査計 画を定め、冷媒検査が対象とな る年には不法生産および流通 を把握するため回収業者、冷媒 販売業者、ユーザーに対する抜 き打ち検査を実施する。

・地方自治体はFガスの規制に 関して①記録簿の検査、②規制 物質の有無の検査を行ってい る。

・地方自治体および国の監督機 関は検査記録簿の抜き打ち検 査を行うことがある

・KMOメンバー企業は1 kg 上の冷媒の補充に際しては補 充を行った設備と補充量のデ ータを毎月1KMOに報告す ることで漏洩実態が把握され ている。

・しかし報告の信ぴょう性を担 保する仕組みはなく、Fガス禁 止令、KMOプログラムともに、

履行についてはサービス事業 者の指導に任せられている。

・また再補充が行われていない 冷凍・空調機器の状態について は 把 握 さ れ て い な い 。 ま た KMOから環境省への報告は制 度としては行われていない。

・20111月に施行されたば かりであり、今後運用実績を積 み重ねることになる。

・州政府は主に①規則やプログ ラムの開発と導入(報告用の電 子システムの構築も含む)、お よび②事業者の教育を担い、実 施に当たっては地方大気局が モニタリング、現場技術者の教 育を行うことになる予定であ る。

・事業者の報告の信ぴょう性を 高めるために、現在、ウェブ上 での申告システムを構築して いる。

(9)

A)EU B)ドイツ C)オランダ D)デンマーク E)カリフォルニア州

その他の施策

F ガス規則の規定の具体化の ため、200712月から2008 4月にかけて10件の共同体 規則が制定された

従来民間団体が実施してきた STEKプログラムは 20101 月よりEC規則303/2008の国 内法である「フッ素化温室効果 ガスおよび規制物質を使用す る冷凍・空調設備設置に関する 環境省令」の枠に取り込まれた

・KMOプログラム

・「LEED program」;米国グリ ーンビルディング協会が開発 した環境配慮基準。

「Greenchill program」;EPA 導入した食材品店を対象にし たプログラムで、各企業の二酸 化炭素の排出量を測定し、当プ ログラムの認証基準を満たし た場合、グリーンチル認証を取 得できる。

制度改正に向 けた議論

20117月にFガス規則の次 の見直しが予定されており、見 直しに向け、現在EUレベルで 議論が進められている。

・連邦制による各州の実施体制 の違いから、実効性の担保のア イデアがあっても統一的に実 行できないことが運用上の課 題である。

2011年夏に発表されるEU F ガス規則の中間評価の結果 を待って、化学物質気候保全令 の改正についても検討するこ とになる予定である。

201011日にFガス規則 のオランダ国内での発効を受 けてSTEKからFガス環境法へ の移行があり STEK、政府機関 の改組があったため、現場レベ ルでも20113月時点で、ま だ実働について混乱が生じて いる状況である。そのため現状 制度の運用についての考察が できる段階ではない。

・Fガス課税と回収プログラム が連携していない点が指摘さ れている。

・KMOプログラムについては 政府への報告制度がないこと が課題である。現在、環境省に 対してKMO制度に対する財政 支援の働きかけとともに報告 制度の提案が行われている。

HFC 排出の抑制対策のタイム ラインを決める必要があり、カ リフォルニアエネルギー委員 会は、事業者が小規模な冷凍・

冷蔵機器を事業者が自発的に 使用するように推進する取り 組みを行う予定である。

2008 年 排 出 量(二酸 化 炭 素 換算)

HFC 6,300万トン 1,150万トン 190万トン 76万トン 116~200万トン

※2004

PFC 300万トン 50万トン 30万トン 2万トン -

SF6 900万トン 580万トン 20万トン 0.8万トン -

(10)
(11)

1.機器の使用時漏洩等に対する措置 A ) EU

特定のフッ素化温室効果ガスに関する EC 規則 842/2006

( Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases )

(12)

A)EU

(1)制度の設立背景

①排出状況

EU15ヵ国におけるHFC排出量は、1995年に二酸化炭素換算で4,100万トン排出されており、

1998 年まで緩やかに上昇した後、一度減少した。その後再び緩やかに上昇を続け、2008 年時点 のHFC排出量は1995年時点のおよそ1.5倍まで増加している。

PFC の排出量は、1995年の1,100万トンから2008年の300万トンまで緩やかに減少を続け、

2008年の排出量は1995年時点のおよそ4分の1である。

SF6の排出量もPFC同様、1995年の1,500万トンから2008年の900万トンまで緩やかに減少を 続け、2008年時点のSF6の排出量は1995年時点のおよそ5分の3まで減少している。

図 1 EU15ヵ国における3ガスの排出状況

注)EU15ヵ国:アイルランド、イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スウェーデン、

スペイン、デンマーク、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルグの 15ヵ国は、1995年からのデータがそろっている

出所)Annual European Union greenhouse gas inventory 1990–2008 and inventory report 2010よ りNRI作成

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

HFC 41 46 52 53 46 45 43 46 49 51 54 56 60 63

PFCs 11 10 10 9 9 7 6 8 7 5 4 4 3 3

SF6 15 15 13 13 11 10 10 9 9 9 9 9 9 9

(13)

②制度の設立背景

◆代替フロン排出量の今後の見通し

Fガス 排 出 量の 今後 の見通 しと しては、2010 年に「Preparatory study for the Review of Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases」(以下、Fガス規則評価中 間報告1

Fガス規則を導入しなかった場合、排出量は増加し続け、2050年には二酸化炭素換算で2億ト ンに達すると推計されている。

と表記)により、Fガス規則を導入した場合と、導入しなかった場合のそれぞれのケースに おける1995年から2050年までのFガス排出量が推計されている。

一方でFガス規則を導入した場合には、2050年時点でおよそ1億2,000万トンまで排出量を抑 制できると推計されている。

図 2 Fガス規則を導入した場合と導入しなかった場合のEU27ヵ国における全Fガス排出量 推移推計

注)without measuresは何ら対策を取らなかった場合、with measuresは2006年よりFガス 規則およびMAC指令を導入した場合、with additional measuresはFガス排出削減に効 果のある更なる施策のことを指すが現時点(2010年9月)では具体化されていないた め、推計されていない

出所)Preparatory study for the Review of Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases

◆規則を制定するに至った経緯

欧州委員会は 1991 年以降、多くの気候変動に関するイニシアチブを策定してきた。しかし、京 都議定書に定められている2008年から2012年の間に1990年比で二酸化炭素の排出量8%を削 減するという目標を達成するためには、EU 各国および欧州委員会の取り組みがさらに強化される べきであると認識された。

1欧州委員会による共同体規則(EC) No 842/2006の定期評価のための調査はエコ・リサーチ社(ドイツ)と協力機関 によって実施されている。調査研究は200912月にスタートし、20109月に欧州委員会で中間報告が行われた。

(14)

そこで欧州委員会は、京都議定書の目標である二酸化炭素排出量8%の削減を達成するための 政策パッケージを策定するプログラムとしてEuropean Climate Change Programme (ECCP;欧州気 候変動プログラム)を2000年8月に立ち上げた。こうした経緯の中で、欧州委員会はECCPおよび その他の研究にもとづいて、二酸化炭素換算で約2,300万トンのフッ素化ガス排出量を2010年ま でに削減することを目的とし、2003 年に複数の基本法案を立案した。特定フッ素化温室ガスに関 する法律:Regulation (EC) No 842/2006(以下、Fガス規則)は、それらの基本法案の中の法令の1 つである。

(15)

(2)制度の内容

①基本情報

調査対象とする制度

特定のフッ素化温室効果ガスに関するEC規則 842/2006 Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases

成立時期 2006年6月14日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2007年7月4日(ただし付属文書Ⅱは2006年6月4日から施行)

目的 京都議定書に規定されている温室効果のある F ガスの排出量を 削減し、環境を保護すること

対象 京都議定書の附属書Aに記載されているフッ素化温室効果ガス

F ガス規則の規定の具体化のため、2007年12月から2008年4月にかけて以下の10件の共 同体規則が制定された。これらは F ガス規則と同様、国内法の制定を必要とせず、加盟各国にお ける対象分野を直接規制する。以下、関連する施策の概要を示す。

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスの生産者、輸入者、輸出者による 報告の形式を定めるEC規則 1493/2007

Commission Regulation (EC) No 1493/2007 of 17 December 2007 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, the format for the report to be submitted by producers, importers and exporters of certain fluorinated greenhouse gases

成立時期 2007年12月18日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2007年12月18日の公示から20日目に発効

目的 Fガス規則に規定されている生産者、輸入者、輸出者による報告 の書式を規定する。

対象 Fガス規則の報告義務の対象となる生産者、輸入者、輸出者

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを使用する製品および設備の表示 の追加要件を定めるEC規則 1494/2007

Commission Regulation (EC) No 1494/2007 of 17 December 2007 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, the form of labels and additional labelling requirements as regards products and equipment containing certain fluorinated greenhouse gases Text with EEA relevance

(16)

成立時期 2007年12月18日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月1日より発効

目的 製品および設備の表示の形式と内容を定める。

対象 Fガス規則の表示義務の対象となる製品および設備

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを使用する定置式消火システムの 密閉度の検査に対する基本要件を定めるEC規則 1497/2007 Commission Regulation (EC) No 1497/2007 of 18 December 2007 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, standard leakage checking requirements for stationary fire protection systems containing certain fluorinated greenhouse gases Text with EEA relevance

成立時期 2007年12月19日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2007年12月19日の公示から20日目に発効 目的

使用中または一時的に使用を中断している、単一もしくは複数 の相互に連結するフッ素化ガス容器によって構成される定置式 消火設備の密閉度検査の内容と標準的要件

対象 3 kg以上のフッ素化温室効果ガスを使用する消火システム

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを使用する定置式冷凍・冷蔵設備、

空調設備およびヒートポンプの密閉度試験に関する基準を定め るEC規則 1516/2007

Commission Regulation (EC) No 1516/2007 of 19 December 2007 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, standard leakage checking requirements for stationary refrigeration, air conditioning and heat pump equipment containing certain fluorinated greenhouse gases Text with EEA relevance

成立時期 2007年12月20日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2007年12月20日の公示から20日目に発効 目的

使用中または一時的に使用を中断している、3kg以上のフッ素化 ガスを使用する定置式冷凍・冷蔵設備、空調設備およびヒート ポンプの密閉度検査の内容と標準的要件

対象

3kg以上のフッ素化ガスを使用する定置式冷凍・冷蔵設備、空調 設備およびヒートポンプ。ただし、対応する表示がなされた密 閉式設備であって、フッ素化ガスの使用量が 6kg 以下の設備は 対象に含まない。

(17)

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを使用する定置式冷凍・冷蔵設備、

空調設備およびヒートポンプに関与する事業者と従事者の認証 の最低要件とその認証書の相互認定の基準を定める EC 規則 303/2008

Commission Regulation (EC) No 303/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, minimum requirements and the conditions for mutual recognition for the certification of companies and personnel as regards stationary refrigeration, air conditioning and heat pump equipment containing certain fluorinated greenhouse gases Text with EEA relevance

成立時期 2008年4月3日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月3日の公示から20日目に発効

目的 定置式設備の設置、保守、点検を行う事業者と従事者の資格認 証の条件と加盟国相互の資格証明書の認定の条件を規定する。

対象 定置式冷凍・空調設備の設置、保守ならびに点検を行う事業者 および従事者

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを使用する定置式消火システムお よび消火器に関与する事業者と従事者の認証の最低要件とその 認証書の相互認定の基準を定めるEC規則 304/2008

Commission Regulation (EC) No 304/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, minimum requirements and the conditions for mutual recognition for the certification of companies and personnel as regards stationary fire protection systems and fire extinguishers containing certain fluorinated greenhouse gases Text with EEA relevance

成立時期 2008年4月3日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月3日の公示から20日目に発効

目的 定置式設備の設置、保守、点検を行う事業者と従事者の資格認 証の条件と加盟国相互の資格証明書の認定の条件を規定する。

対象 消火設備の設置、保守ならびに点検を行う事業者および従事者

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスの回収業務に従事する事業者と従 事者の認証の最低要件とその認証書の相互認定基準を定める EC規則 305/2008

(18)

Commission Regulation (EC) No 305/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, minimum requirements and the conditions for mutual recognition for the certification of personnel recovering certain fluorinated greenhouse gases from high-voltage switchgear Text with EEA relevance

成立時期 2008年4月3日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月3日の公示から20日目に発効

目的 回収事業者および従事者の資格認定と加盟国相互の証明書の相 互認定の基準を定める。

対象 フッ素化ガスの回収を行う事業者および従事者

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを含む溶剤を設備から回収する事 業者と従事者の認証の最低要件とその認証書の相互認定基準を 定めるEC規則 306/2008

Commission Regulation (EC) No 306/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, minimum requirements and the conditions for mutual recognition for the certification of personnel recovering certain fluorinated greenhouse gas-based solvents from equipment Text with EEA relevance

成立時期 2008年4月3日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月3日の公示から20日目に発効。

目的 溶剤を回収する事業者および従事者の資格認定とその加盟国間 における相互認定の基準を定める。

対象 フッ素化温室効果ガスを含む溶剤を設備から回収する事業者と 従事者

制度名

特定のフッ素化温室効果ガスを使用する特定車両用空調設備に 関与する従事者の訓練プログラムの最低要件と修了証明書の相 互認定の条件を定めるEC規則 307/2008

Commission Regulation (EC) No 307/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, minimum requirements for training programmes and the conditions for mutual recognition of training attestations for personnel as regards air-conditioning systems in certain motor vehicles containing certain fluorinated greenhouse gases Text with EEA relevance

(19)

成立時期 2008年4月3日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月3日の公示から20日目に発効

目的 自動車用空調設備からのフッ素化温暖化ガスの回収に従事する 技術者の資格訓練基準および相互認定について定める。

対象 自動車用空調設備

制度名

F ガス規則にもとづく加盟国の訓練プログラムおよび認定プロ グラムの報告形式を定めるEC規則308/2008

Commission Regulation (EC) No 308/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, the format for notification of the training and certification programmes of the Member States Text with EEA relevance

成立時期 2008年4月3日Official Journal of the European Union(EU官報)

に公示

施行時期 2008年4月3日の公示から20日目に発効 目的

加盟各国が F ガス規則により委員会に提出を義務付けられてい る訓練プログラムおよび認定プログラムに関する報告の内容を 定める。

対象 加盟各国

◆各国の下位法の制定状況

Fガス規則 6 条の(4)に、加盟各国はFガス規則の対象となる関係産業分野について、潜在的排

出に関するデータを取得することを目的とした報告制度を整備することが定められている。2010 年 9月に発表されたレポート

表 1 EU各国のFガス国内規制制定状況(2010年9月時点)

によれば、EU各国のFガス規制に対する下位法の制定状況は下記のと おり。

国内法を制定 済の国

EUのFガス規制よりも厳し い規制を制定した国

エストニア、オーストリア、オランダ、スウ ェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニ ア、チェコ共和国、デンマーク、ドイツ、ハ ンガリー、フィンランド、フランス、ベルギ ー、ポーランド、ポルトガル、マルタ共和国 EUのFガス規制よりも緩い

基準の規制を制定した国

アイルランド、英国、キプロス、ブルガリア、

リトアニア、ルーマニア

国内法を制定中の国 ギリシャ、イタリア、ルクセンブルグ、ラト ビア

出所)Preparatory study for the Review of Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases Working Document 1 - covering preliminary results from ongoing analysis (Tasks 1-3)

(20)

なお、以下参考として、EUの法体系について示す。EUの法には規則、指令、決定、勧告、見解 の5種類があり、その種類によって拘束力が異なる。以下、EC法の249条(Article 249 of the EC)

および環境委員会報告(2006)2に示された内容に基づき記載する。

① 規則: Regulation

EU規則は欧州連合の加盟国の法令を統一するために制定され、加盟国に直接の効力を持ち、

個々の国に効力をもたらすための国内法を必要としない。すべての国内法に優先する。例として

REACH、Fガス規則などが挙げられる。

② 指令: Directive

EU 指令は、含まれている目的が国内法に置き換えられたときにのみ各国に効力を持つ。EU 加 盟国によって作成された、相互に束縛される集団的決定であり、欧州閣僚理事会と欧州議会にお いてその国の閣僚により可決する。

なお、国内法への置き換えに際し、加盟国にはある一定の裁量権が与えられている。そのため、

すべての加盟国の法令が完全に同一になるわけではない。指令は、国内法の統一ではなく、調整 を目的とするのはそのためである。指令は、加盟国に一定の判断権限を与え、緩やかな統合を実 現するために適した法令であり、国内法の統一が困難な場合に制定されるともいえる。特に、域内 市場の分野において多用される傾向にある。

また指令は、定められた期間内に国内法に置き換えられなければならない(EC 条約第 249 条 第3 項および第10 条第1 項参照)と定められている。加盟国が置き換えを怠っており、規定が無 条件かつ明確にさだめられている場合は直接的効力を持つ。例として RoHS、WEEE、ELV などが 挙げられる。

③ 決定: Decision

EU 決定は、特定の当事者(加盟国、会社又は個人)を対象にして具体的な行為の実施あるい は廃止等が直接的に適用される。決定の採用のための立法手続きは課題となる事項により、共同 決定、賛成、コンサルテーションの3つに分類される。

④勧告: Recommendation

EU 勧告は加盟国、企業、個人等に一定の行為の実施を期待することを欧州委員会が表明する ものであるが。拘束力はない。単に義務的な力の欠如で指令と異なっているだけであり、加盟国の 立法の準備を目的とする間接的な法律文書にすぎない。

2 http://www.neca.or.jp/control/green/PDF/kank0610.pdf

(21)

⑤ 見解: Opinion

特定のテーマについて欧州委員会の意思を表明したもので、拘束力はない。

②制度の対象

◆義務の対象とその範囲

特定のフッ素化温室効果ガスに関するEC規則 842/2006の第6条は、義務の対象者としてF ガスあるいはFガスを含む機器を1トン以上製造または輸出入する業者を定めており、毎年3月末 までに欧州委員会に前年度分の報告をするよう義務付けている。また、対象者は加盟国の所轄官 庁に対しても同様の報告義務がある。なお、欧州委員会に属さない関連会社は個別に報告するこ とになっている。通常、報告は施設単位ではなく、企業単位で行われる。

【充填量の記録の義務、機器へのラベル表示義務、製造業者および輸出入業者の報告義務内 容】

報告の義務はFガス規則第6条に定められている。フッ化温室効果ガスの生産者、輸入者およ び輸出業者は2008年3月31日までに、それ以降の年については毎年3月31日までに、欧州委 員会および加盟国の所轄機関に対し、前年度の以下の事項を報告書の形で報告することが求め られている。

a)年間に1トン以上のフッ化温室効果ガスを生産する生産者3

・ 欧州共同体内におけるすべて種類のフッ化温室効果ガスの総生産量およびその物質に想 定される用途の大分類(例:移動式空調設備、冷凍・冷蔵機器、空調機器、発泡剤、エアゾ ール、電気機器、半導体製造、溶剤ならびに消火)

の義務

・ 欧州共同体内において出荷したすべての種類のフッ化温室効果ガスの総量

・ 再利用、精製、または破壊されたすべての種類のフッ化温室効果ガスの総量

b)年間1トン以上のフッ化温室効果ガスを輸入するすべての輸入者(輸入を行う生産者を含む)

の義務

・ 欧州共同体に輸入または域内において出荷したすべての種類のフッ化温室効果ガスの総 量およびその物質に想定される用途の大分類(例:移動式空調設備、冷凍・冷蔵機器、空 調機器、発泡剤、エアゾール、電気機器、半導体製造、溶剤ならびに消火)

・ 再利用、精製または破壊する目的で輸入された、全ての種類の使用済みのフッ化温室効 果ガスの総量

c)年間 1 トン以上のフッ化温室効果ガスを輸出するすべての輸出業者(輸出を行う生産者を含 む)の義務

3 原文では「producer」であり、Fガスそのものの生産およびFガスを利用した製品の製造者を指す。

(22)

・ 欧州共同体から輸出されたすべての種類のフッ化温室効果ガスの量

・ 再利用、精製または破壊する目的で輸出したすべての種類の使用済のフッ化温室効果ガ スの総量

【報告の対象外となる場合】

輸出入の量は貨物輸送を含み、また機器へのフロン充填目的での輸送も含まれるが、事前に F ガスが充填済の機器などは数量には含まれない。

EU 加盟国内の製造業者あるいは配給業者からの購入、また EU 加盟国内の製造業者や配給 業者から購入し備蓄している分については、輸入業者の報告義務はない。F ガスの輸出入量につ いては、EU加盟国外の国々からの輸入、あるいはそれらの国々への輸出のみが報告対象となる。

◆規制の対象となる事業者の種類とその規制内容

【運転者の義務】

①排出削減のための措置の実施

定置式の冷凍・冷蔵機器、空調設備、ヒートポンプおよび消火システムの運転者(付属文書 I に 記載されているFガスを使用するもの)については、Fガス規則3条により、排出削減のために技術 的・経済的に可能である範囲で以下の措置を講じることを義務付けられている。

・ 漏洩箇所からの気体の漏洩防止

・ すべての漏洩箇所の迅速な修理

認証の基準はFガス規則第5条に規定されており、認証を受けた技術者による該当設備の密閉 度の点検を受ける。点検の基準は下記のとおり。

表 2 Fガス規則における点検基準

対象 密閉度の点検基準

3 kg 以上のフッ化温室効果ガスを使用する設 備(ただし、密閉型設備については6kg以上の 冷媒を使用する設備)

12ヵ月に1回

30 kg以上のフッ化温室効果ガスを使用する設

6ヵ月に1回(漏洩検知システムが設置さ れている場合には12カ月に1回)

300 kg 以上のフッ化温室効果ガスを使用する

設備

3ヵ月に1回(漏洩検知システムが設置さ れている場合には6ヵ月に1回)

漏洩箇所の修理を行った場合 1ヵ月以内に密閉度の点検 出所)特定のフッ素化温室効果ガスに関するEC規則 842/2006

密閉度の点検に際してはFガス規則3条7項に規定されており、直接または間接測定法により、

(23)

特に漏洩が発生しやすい場所について漏洩箇所の確認を行う。

漏洩検知システムの設置は下記のように定められている。

・ 300 kg以上のフッ化温室効果ガスを使用する設備の運転者は漏洩検知システムを設置す

る。漏洩検知システムの機能の点検は少なくとも12ヵ月に1回実施。2007年7月4日以前に 設置された消火システムでは、2010年7月4日までに漏洩検知システムの設置を義務付けら れている。

・ 消火システムにISO 14520に適合する検査体制が確立されている場合、これにもとづく検査 を同じ頻度で実施することで上記の点検に代えることができる。

②記録義務

3 kg以上のフッ化温室効果ガスを使用する設備の運転者は使用されているフッ化温室効果ガス の種類と量、補充量について、保守、整備および設備の廃棄に際しては回収量ならびに検査の結 果と日時を記録する。これらの記録には他の関連事項(保守整備を実施した事業者または技術者 の同定に必要な情報、固定式設備の同定に必要な情報)を併記する。記録は所轄機関または欧 州委員会の要求があった場合には提出しなければならない。

欧州委員会は2007年7月4日までに12条2項の手続きに基づき密閉度点検の要件を規定す る。

③冷媒の回収

以下の種類の定置式設備の運転者は、使用済みのフッ化温室効果ガスが再利用、再生または 破壊のために、第5条の基準を満たす従事者によって適切に回収されるよう必要な措置を取る。対 象設備は下記のとおり。

・ 冷凍・冷蔵機器、 空調機器およびヒートポンプの冷却サイクル

・ フッ化温室効果ガスを原料とする溶剤を使用する設備

・ 消火システムおよび消火器

・ 高圧開閉器

【フッ化温室効果ガス容器の使用者(保管者)の義務】

再充填可能なフッ化温室効果ガス容器または再充填不可能なフッ化温室効果ガス容器の耐用 期間が過ぎた場合、そのような容器を輸送および貯蔵に使用する者は容器の内部に残留している ガスを再利用、再生または破壊の目的で適正に回収するため適切な措置が実施されることに責任 を負う。

【その他のフッ化温室効果ガスの使用者の義務】

上記以外の製品および移動式設備を含む設備に使用されているフッ化温室効果ガス(軍事目 的での使用を除く)は再利用、再生または破壊のため、技術的・経済的に可能な場合に専門技術

(24)

者が回収する。

再利用、精製または破壊を目的とするフッ化温室効果ガスの回収は該当する設備の最終的な 廃棄の前に、場合によっては保守整備作業に際して実施する。

◆規制の対象となる事業者の数・カバー率

対象となる事業者数は把握されていない。ただし EPEE(European Partnership for Energy and

the Environment;エネルギー・環境のための欧州パートナーシップ)は、EU域内の商業用・工業用

冷凍・冷蔵機器の数はおよそ3,000 万ヵ所あると推定している。また 2010年9 月に公表されたF ガス規則の中間評価には、EU27ヵ国内におけるセクター別のFガス販売量示されている。

表 3 報告データにもとづくEU27ヵ国内におけるセクター別Fガス販売量(2007~2009)

セクター 2007年 2008年 2009年 冷凍冷蔵・空調機器 64,600 64,176 60,000 フォーム 14,578 10,664 11,799 エアゾール 9,545 11,614 8,572 電子機器 1,568 2,386 1,384

消火剤 685 598 735

溶剤 209 173 162

半導体製品 129 312 184

マグネシウム鋳物 31 8 7

原料 9 2 2

その他・不明 1,773 4,110 2,269

総計 93,127 94,043 85,114

HFC-134のみ 51,693 48,123 41,984

出所)Preparatory study for the Review of Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases

◆適用除外

F ガス規則の対象物質・設備に関しては、充填量 3kg 以下の設備が回収および定期的点検の 義務から除外されている。充填量 3kg 以下が対象外である理由として、小規模の設備では点検の 実施が手法的に困難であること、また費用対効果の点で実施が困難であることが挙げられている。

Fガス規則の対象外の分野では、自動車用空調設備がある。自動車用空調設備はMAC指令の 対象分野であり、その実施は各国国内法に委ねられている。自動車用空調設備からの冷媒の回 収は、技術的実現可能性と費用の問題から対象外とされた。しかしこの分野は欧州域内における HFC(134a、32、125、143a合計)の出荷量合計8万1,000トンのうち2万5,000トンと、二酸化炭素

(25)

換算で約30%を占めている4

③違反者への罰則規定

罰則規定は、Fガス規則13条に下記のように定められている。

(1) 加盟各国は F ガス規則への違反に対して課せられる罰則を決定しその適用に必要 な措置を講じる。

(2) 加盟各国は2008年7月4日までに欧州委員会に、罰則について報告する。その後 の変更については委員会に対して直ちに報告することとする。

◆法的義務を伴わない手法

法的義務を伴わない施策は、EC規則308/2008(Commission Regulation (EC) No 308/2008 of 2 April 2008 establishing, pursuant to Regulation (EC) No 842/2006 of the European Parliament and of the Council, the format for notification of the training and certification programmes of the Member States Text with EEA relevance;Fガス規則にもとづく加盟国の訓練プログラムおよび認 定プログラムの報告形式を定めるEC規則308/2008)により各国で定めることが規定されている。

◆違反取締を担当する部署

違反取締を担当する部署については公開情報が得られなかったものの、2011年3月23日に専 門家ヒアリング5(以下、3月23日ヒアリングと表記)を行った結果、EUのレベルでは違反取締は行っ ていないとされていることである。EU制度下における違反は、EU法の各国の国内における実施が 不適切である場合、もしくは不履行を確認した場合に当該国に対して罰則を適用している。

④罰則適用の実績

罰則適用の実績については、公開情報が得られなかったものの、3月23日ヒアリングによればF ガス規則への違反に対する罰則の適用事例はこれまでのところほとんどないとのことである。欧州 委員会の委託で中間評価を実施しているエコ・リサーチ社によるとオランダで1件の違反事例があ ったという報告がある。ただしその件に関するレポートや新聞報道などは入手できず、詳細は不明 である。

⑤モニタリングの仕組み

◆個別機器の使用時漏洩状況を把握する仕組み

4 http://www.clientearth.org/reports/draft-0311-overhauling-eu-regulation-of-fluorinated-gases.pdf および Preparatory study for the Review of Regulation (EC) No 842/2006 on certain fluorinated greenhouse gases Working Document 1 - covering preliminary results from ongoing analysis (Tasks 1-3)、p.101参照

5 323日、ドイツフランクフルトのエコ・リサーチ社で実施。参加者はエコ・リサーチ社(Schwarz氏)、環境庁

(Becken氏)、機械プラント(VDMA)の冷凍機器専門部会長(Jahn氏)、Fガス規制の制定とモニタリングに関与し ている研究者2名。詳細は巻末ヒアリングリスト参照。

(26)

個別機器の使用時漏洩状況の把握について、Fガス規則6条は、機器単位ではなくガスの生産 者、輸入者および輸出者に対して、委員会および加盟国の規制機関への報告を義務付けている。

報告は2008年3月31日を第一回として、毎年3月末にそれに先立つ1年間(暦年)の生産、輸 入および輸出について行われる。以下に義務者ごとの報告内容をまとめた。

表 4 義務者ごとの報告内容

義務者 報告内容

生産者 年間1トン以上の Fガスを 生産する事業者

・ 共同体内におけるすべてのFガスの生産量およ び想定される主用途(自動車エアコン、冷凍機 器、空調機器、発泡剤、エアゾール、電気設備、

半導体製造、溶剤、消火用)

・ 域内に出荷したすべてのFガスの量

・ 再利用、精製、または破壊処分されたすべての Fガスの量

輸入者 年間1トン以上の Fガスを 輸入する事業者(輸入を行 う生産者を含む)

・ 域内に輸入されたまたは域内において出荷され たFガスの総量と想定される主用途(分類は生産 者と同じ)

・ 再利用、精製、破壊の目的で輸入されたすべて の使用済みFガスの量

輸出者 年間1トン以上の Fガスを 輸出する事業者(輸出を行 う生産者を含む)

・ 域内から輸出されたFガスの総量

・ 再利用、精製、破壊の目的で輸出されたすべて の使用済みFガスの量

出所)特定のフッ素化温室効果ガスに関するEC規則 842/2006よりNRI作成

◆排出量の多い事業者に対して改善策の実施を促進させる仕組み

排出量の多い事業者に対して改善策の実施を促進させる仕組みについては、公開情報が得ら れなかったものの、3月24日ヒアリングによれば、EUレベルでの規定は存在しない。厳密にはFガ ス規則自体が、排出量の多い分野、すなわち定置式冷凍・空調設備を特定したうえで実施されて いることになっている。

(27)

(3)実施体制

①実施体制

◆担当者の数・予算規模

F ガス規則の実施のための予算規模について、2004年から2009年までの予算総額は 273万

6,000ユーロである。これは、欧州委員会が実施する業務に係る予算措置である。

気候変動対策総局6全体の人員数は委員会スタッフおよび外部の顧問を含め合計で 160 名で ある。気候変動対策総局の中でFガス政策の中心となっているのはC局のC2 課およびC3課である。

C局は規制や支援事業等により、エネルギー、製造業、運輸分野における大規模実証事業の実施 や低炭素技術や省エネルギー技術の普及を促進、加速するための政策のほか、Fガスおよびオゾ ン層破壊物質の排出削減を担当している。また国際的枠組みにおいてはモントリオール議定書に 関する交渉を担当する。以下に、C局およびその課の役割を示す。

表 5 欧州委員会におけるFガス規則運用部曲の課名と所管内容

課名 所管内容

Directorate C:

Mainstreaming Adaptation & Low Carbon Technology

(C局『気候変動適応および低炭素化』)

エネルギー、製造業、運輸分野における大規模実 証事業の実施や低炭素技術や省エネルギー技術 の普及を促進・加速するための政策立案、Fガス およびオゾン層破壊物質の排出削減を担当する。

C1. Low Carbon Technologies

(C1課『低炭素技術』)

低炭素技術の展開によりEUの気候変動政策に寄 与 す る こ と を 目 的 と し 、 決 定 事 項 の 啓 発 、 Directive for;炭 素確保・貯蔵の指令)の実行、実証プロジェクト への融資を担当する。

C2. Transport and Ozone

(C2課『運輸・オゾン』)

輸送技術の無炭素化の推進とともにオゾン層保 護および気候保全政策の策定、モントリオール議 定書に係る規制の枠組みに関する国際交渉を担 当する。

C3. Adaptation

(C3課『気候変動適応』)

2013年を目途にEUレベルの統合・適応戦略を策 定し、UNFCCCに係る国際交渉を担当する。

NRI作成

特にFガス規制を含む温暖化対策を担当するC2課には計20名が在籍し、Fガスおよびオゾン層

6

(28)

破壊物質政策を専門とする担当官は5名である7。またC3課には合計12名が在籍するが、このう ちFガスおよびオゾン層破壊物質政策に関与するスタッフ数は不明である。

◆当該部署の業務範囲

欧州委員会は 2010 年 2 月、欧州委員会・気候変動対策総局8(Directrate General Action,

CLIM)およびエネルギー総局(DG Energy, ENER)を新設した9。気候変動対策総局は欧州委員会

環境総局(DG Environment)の気候変動対策関連部門(DG External Relations)、気候候変動対 策に関わる国際交渉関連部門および企業産業総局(DG Enterprise and Industry)の気候変動対 策関連部署をそれぞれの総局から分離・統合する形で設置された。

◆他の協力機関

2011年7月のFガス規則見直し報告に向け、欧州委員会の委託調査への協力、情報提供に対 しドイツに本社のあるエコ・リサーチ社(Öko-Recherche GmbH)をはじめ、デンマーク技術研究所、

エストニア環境リサーチ・センター(Estonian Environmental Research Center)、教授など、多くの専 門家が参加している。

報告を受領する機関として欧州委員会のほか、オーストリア連邦環境庁がEU全体からの報告を 受領する指定機関となっている。

②履行状況

◆規制対象者による義務内容の履行を把握するための方法

規制対象者による義務内容の履行を把握するための方法は、製造業者、輸出入業者からの報 告と、立ち入り検査がある。

Fガス規則にもとづく製造業者、輸出入業者の報告の形式はEC規則 No. 1493/2007(2007 年

12月17日制定、公示の20日目に発効)に規定されている10。報告は2008年3月31日を第一回 として、その後毎年行われる。報告対象年はその前年である。報告は、欧州委員会に直接メール にて報告することも可能であり、フォーマットが定められている11

一方で、3月23日ヒアリングによれば、実際には立ち入り検査はほとんど行われていないとのこと である。設備運転者の規模で見ると個々の設備は小さいため、規制の経済・人的コストとリスクを比 較すると網羅的な直接規制は割にあわないと判断されており、直接規制監督の対象は輸入業者と

7

8気候変動対策総局

9

10 http://www.umweltbundesamt.de/produkte/fckw/eu-verordnungen/1493_berichte.pdf

11 http://ec.europa.eu/clima/policies/f-gas/docs/fgasreporting_form_en.xls

(29)

大規模運用者(スーパー、冷凍倉庫など)を数年おきに見る程度に限定されているのが実情である とされている。

これは、F ガス規則に関しては、規制よりも認定技術者による保守点検によって漏洩率抑制の実 効を上げることが中核であり、それをしばらく継続した後に、実際にどれだけ漏洩率と排出量が減 ったのかということを評価し、今後の対策を練るという段階を踏むことになっているためであるとされ ている。

この考え方の背景として、EUではREACHをはじめとする国民の安全に直接関係する分野の規 制実施の方が重要だと考えられていること、規制体制を構築している間に代替技術が普及するで あろうと判断されていること、さらにどの国も官庁の予算・人員削減で人手が足りないことが挙げら れている。

◆報告の信ぴょう性の担保の仕方

現時点では特定の担保方法は規定されていないが、事業者から報告されたデータと税関などの 申告データの突き合わせが実施されている。

オランダでの規制物質の不正輸入摘発は、欧州委員会に対して報告されたデータと国の税関 に申告されたデータの突き合わせによって判明したものであると推定される。欧州委員会への報告 データは各国の管轄機関にも報告されており、国内データとの突き合わせが可能になっている。

◆義務を負っている事業者等における履行状況

義務を負っている事業者等における履行状況は、ヒアリング12

ヒアリングによれば、義務を負っている事業者等における履行状況の確認方法について各国共 通のルールは存在しない。Fガス規則には記録義務は存在するものの、記録義務に対し公的機関 による監視は F ガス規則では義務付けられていない。公的機関による確認は一般には自治体・州 レベルの事業監督機関が行っている。実施機関や確認方法は国によって異なっている。EU レベ ルでは違反事例のモニタリングはこれまでのところ実施されていない。

によれば、Fガス規則第 6 条に規 定される報告制度が各国において構築段階にあるため、現在までのところ把握されていないとのこ とである。

◆義務を負っている事業者等からの報告件数

3月23日ヒアリングによれば、EUレベルでは事業者レベルからの報告件数を把握していない。

規制監督は全く機能していないに等しく、統計は全く存在しないことが指摘されている。

理由として、第一に財政上の問題による行政機構の人員削減のため、危険化学物質など、公衆 衛生や危険防止などがどうしても優先されてしまう状況にある点が挙げられる。

第二に、代替冷媒技術の導入が今後進展すると各国規制機関・業界では見なしており、冷媒に ついて機材を購入したり、測定を制度化することは無駄との認識が強いことが挙げられる。

12 エコ・リサーチ社、Leisewitz氏へのヒアリング結果(2011323日)

(30)

第三に制度自体が新しく、ほとんどの国は完全に実施できていない点が挙げられる。そもそも一 部の国ではFガスの統計制度があっても、データはまだそろっていないという状況にある。

表  9  F ガス規則および関連規則とオランダの国内法制の対応
図  9 定置型空調機器からの二酸化炭素排出量(左)および冷蔵機器からの二酸化炭素排出量(右)
表  14  「高 GWP 冷媒を使用した定置用冷凍空調機器の管理規則」の対象
表  21  2010 年と 2020 年における排出量および排出削減量の予測値  (100 万t・CO 2 -eq)  機器種  排出量  削減量 2010年 BAU  2020 年BAU  2020 年規則導入後  HFC  他の温暖化物質  合計  商業用冷凍・冷蔵機 器(小)  1.3  1.4  0.5  0.8  0.1  0.9  商業用冷凍・冷蔵機 器(中)  5.7  7.9  4.6  3.0  0.3  3.3  商業用冷凍・冷蔵機 器(大)  5.0  6.5  2.6  3.3
+7

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参考文献 [1] European Commission, Proposal for a REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL concerning the respect for private life and the protection of personal

12 Regulation (EC) No 864/2007 of the European Parliament and of the Council of 11 July 2007 on the law applicable to non-contractual obligations (Rome II), OJ