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女 性 差 別 撤 廃 委 員 会
通報番号 1 / 2 0 0 3
離婚後の経済的取決めに関する法規定が,長期の婚 姻の後に離婚した女性に差別的であるという申立に ついて,国内救済手続未了および時間的管轄を理由 に不受理と判断された事例
通 報 者 Ms.B.‑J.
当 事 国 ドイ ツ
通 報 日 2002年 8月20日 見 解 採 択 日 2004年 7月14日 条 約 発 効 日 1985年 8月 9日
事案の概要
1 通 報 者 は,2004年4月当 時57歳 の女 性 で あ る。1969年 に夫 と結婚 す る際 に看護 師 と
しての教育 を断念 して,専業主婦 として夫 のキ ャ リアを支 えるこ とに合意 し,3人 の子 どもを 育 てた。1984年 と1998年 に通報者 は 自身 の教 育 の再 開 を希望 したが,夫 が これに反対 したた め実現 しなか った。1999年5月 に は夫 か ら離 婚 が 申立 て られ,2000年7月 に離 婚 成 立。離 婚 に際 し,年金分割 については決定 されたが, 財産分与お よび離婚後 の生活費 については何 ら 決定 されなか った。
2 2000年7月10日,通 報 者 は,連 邦 憲 法 裁判所 に対 し,離婚 の法的結果 に関す る法規則 は,憲法第3条2項 お よび3項 に定 め られた平 等権 を侵害す るもので ある とい う申出書 を提 出 した が,却 下 され た。2004年4月, ゲ ッテ ィ ンゲ ン (市)裁判所 が,元夫か ら通報者へ の生 活費 の支払い を認 める決定 を下 したが,通報者 は これに対 し上訴。 また,通報者 は,2001年7 月か ら2003年2月にか けて,連邦 お よび州政 府大 臣 らに州 内の裁判所 における結婚 と家族へ
の配慮不足 とジェンダー差別 を訴 える手紙 を出 した。 なお,離婚後 の生活費 お よび財産分与 に ついての裁判 は継続 してい る。
3 通報者 の主張 は,以下 の とお りで ある。
1) 離婚 の法的結果 (財産分与,年金分割,離 婚後 の生活費) に関す る法規定 は,結婚 や家 族 の実態 を考慮 してお らず,長期 の婚姻 の後 に離婚 した,子 を持つ高齢女性 を制度的 に差 別 してい る。財産分与 に関す る法 は,婚姻 中 に得 たあるい は失 われた "人的資本" を考慮 してい ないため,決定 に妻 の無償 の貢献 が反 映 されない。年金分割 や離婚後 の生活費 に関 す る規定 も差別 的かつ あい まいで,差別 的 な 運用 を容認 してい る。通報者 は, こ うした法 の差別的 な結果 を個人的 に経験 してお り, そ の影響 は今 も続いてい る。
2)離婚 の法的結果 に関す る規定 において,憲 法 の平等待遇規定 が満 た されてい ないのは, 立法者 の怠慢 に よる もので ある。 この点 につ いて,通報者 は憲法裁判所 に違憲審査 を申請 したが却下 されてお り,国内救済手続 は完 了 した と考 え られ る。
3) 通報者 は,数 回にわた り,政府 に国内の法 手続 に必要 な経済的支援 を求 めたが拒否 され, 国内救済措置 を尽 くす こ とを阻害 された。
4) 離婚 については迅速 に結論 が出 されたに も かかわ らず,離婚後 の生活費 を計算す るため の情報 を元夫か ら得 るための訴訟で さえ数年 か か って い る。2002年8月以 降,元 夫 か ら は生活費 を受 け取 ってい ない。
4 これ に対 し,当事 国政府 は,本通報 の受 理許容性 について以下 の よ うに反論 した。
1) 通報者 の離婚命令 (divorce decree)は年 金分割 について しか定 めてお らず,離婚後 の 生活費 と財産分与 について は係属 中で ある。
よって,現段階では,通報者 は生活費 と財産 分与 に関 して具体 的 な侵害 を受 けた とはい え
神奈川ロージャーナル 第2号
ず,選択議定書第2条 の被 害者 に当た らない。
また,通報者 が, 自身 に適用 された法律 につ い ての違憲審査 を求 め るこ とがで きるのは, 結論 が出てい る離婚 に関 してのみで あ る。
2)離婚手続 におけ る経済的取決 めの結果,過 報者 が どの よ うな経済的不利益 を被 ってい る のか,十分 に立証 されてい ない。条約 の どの 権利 が侵害 されてい るのか を判 断す るための 情報 が ない。
3) 特定 の法 その ものが憲法 に反 してい る とい う違憲審査 は,当該法 の発効 か ら1年以 内に 請求 されな くて はな らない。 また, どの条項 が憲法 に反 してい るのか を明示す るこ と,請 求前 に裁判所 で救済措置 を尽 くしてい るこ と が必要 で あ るが,通報者 の請求 はいずれの要 件 も満 た してい なか ったた め,受理 されなか
った。
4) 通報者 は,離婚命令 の うち離婚 の宣言 のみ につい て上訴 してお り,年金分割 について は 上訴 の対象 に含 めてい ない。 よって,必要 か つ合理 的 な上訴 を行 ってい ない た め議 定書4 条 1項 に定 める国内救済措置 が尽 くされた と はい えない。 また,生活費 の裁判 に関 して は, 通報者 はすでに法律扶助 を受 けてお り,弁護 士 4)選任 されてい るが,判決 は まだ出てい な い。通報者 は,判決後上訴 す るこ とがで きる ので,連邦憲法裁判所 へ の請求提 出はその後 とな る。財産分与 について は,通報者 か らの 法律 扶助 申請 が現在検討 されてい る。 よって, 国内救済措置 が尽 くされた とはい えない。
5)時 間的管轄 (rationetemporis)に関 し, 本件 は,離 婚命 令 が決 定 され た2000年7月 28日,す な わ ち ドイ ツに対 して選 択 議 定 書 が発効 す る以前 に発生 した と考 えるべ きで あ る。
委員会の見解
1) 本件 において問題 とな ってい るのほ,離婚 の結果,す なわち財産分与,年金分割,婚姻 終 了後 の生活費 で あ る。 この うち,離婚 その
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もの と年金分割 につい て は, ドイ ツに対す る 選択義定書 の発効以前 に決定 されていた事項 で あ り, その影響 が現在 も続 いてい る とい う 説得 力 のあ る議論 が通報者 か ら提 出 されてい
ない ので,年金分割 に関す る部分 は,時間的 管轄 に よ り検討対象か ら除外す る。 また,過 報者 は離婚 につい て は上訴 した ものの,年金 分割 について は,離婚 に関す る上訴 の際 に も, 憲法裁判所 へ の 申立 におい て も取 り上 げてい ない た め, 国内救済 を尽 くした とはい えない。
2) 憲法裁判所 へ の 申立 は, 申立 の要件 を満 た してい ない た めに受理 され なか った もので あ り, これ に よ り国内救済措置 を尽 くした とは い えない。
3) 財産分与 お よび生活費 について の裁判 は未 了で あ る。 また,当該手続 の不 当 な遅延 お よ び救済 の見込 みな しとい う点 につい て は,過 報者 か ら説得力 あ る議論 が提 出 されてい ない。
よって,本事案 について は, 国内救済措置 が未 了で あ るこ と,選択議定書 が当該締約 国 に対 して発効 す る以前 に起 きた事 実で あ るこ
とか ら,不受理 と決定 す る。
KrisztinaMo「vai,MeriemBelmihoub‑Zerdani
委員による反対意見
離婚 お よび年金分割 に関す る申立 が不受理 で あ るこ とには同意す るが, 国内救済手続 が "不 当 に遅延= してい るか ど うか は,通報 内容 の性 質 に よって ケ ース ・バ イ ・ケ ースで判 断 され る べ きで ある。
通報者 の財産分与 お よび生活 費 に関す る検討 で焦 点 とな るべ きは,通報者 の生存 のた めの経 済的 ・物質 的資源 に関す る決定 お よび付与 で あ る。世界 中の多 くの女性 が そ うで あ る よ うに, 通 報者 が30年 間 にわた り主婦 として家族 のた めにア ンペ イ ドワークを担い, その結果,現在 で は労働市場 におい て収入 を得 る方法 が非常 に 限定 された状況 に あ るこ とを考 える と,5年 も の間,通報者 が経済的 に非常 に不安定 な状況 に 置 かれてい るこ とは恥 ずべ きこ とで あ る。 しか
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ち, この状態 は, 当該締約 国の議定書批准 の後 り,不 当 な遅延 として選択議定書第4条1項 の も継続 してい る。離婚 について の裁判 が1年 間 例外 に該 当す る と考 え られ る。
で決着 した ので あれ ば,5年 間 もかか ってい る (担当 :近江美保) 国内救 済手続 はそれ 自体 が深刻 な人権侵 害 で あ