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画像診断の重要性:CT 所見に基づく臓器損傷分類と治療法選択
聖マリアンナ医科大学救急医学1),独立行政法人国立病院機構災害医療センター放射線科2), 聖マリアンナ医科大学放射線医学3) 松本純一1)2),中島康雄3),一ノ瀬嘉明2),服部貴行2),山下寬高1)3), 濱口真吾1)3),箕輪良行1),平 泰彦1)は じ め に
画像診断機器の進歩,特に Multi-detector row CT (以下,MDCT)の登場と進歩により,外傷診療にお ける画像診断の位置づけは格段に上がった1)。MDCT は,短時間での全身撮影を可能とし,2相撮影を行う ことで,広範囲の活動性出血の検索も可能となってい る。また,MDCT で得られるデータからは,さまざま な再構成画像の作成も可能で,短時間でより正確に診 断することにも寄与している。 本稿では,外傷初期診療における治療方針決定に際 して Key となる CT 所見を解説し,これらを加味して 作られた「CT 所見に基づく臓器損傷分類」を紹介す るとともに,肝損傷の治療法選択について述べた。Ⅰ.鍵となる CT 所見
1. 造影剤の血管外漏出像:extravasation(図 1) 損傷した血管からの活動性出血を示す所見で,文字 通り血管損傷部から造影剤が血管外に漏れ出る様子を 指す。 CT では,動脈優位相と実質相の 2 相撮影を行うと, 血管外に漏れ出た造影剤は実質相で形を変えて広がっ ていく様子が捉えやすく,活動性出血の存在と程度を 認識しやすくなる。多部位にある場合など,出血量の 最も多い場所がどこであるのかも把握しやすくなる。 2 時相間で肉眼的に観察できる広がりゆく造影剤の量 がその時間あたりの出血量を反映していることになる (撮影のタイミングが 40 秒後と 100 秒後であれば,そ の間隔は 60 秒= 1 分となり,1 分あたりの活動性の 出血量が画像で認識できるわけである)。造影剤が血 管外に出ているということだけを確認するのであれば 実質相のみの撮影でよいが,実質相のみでは後述する 仮性動脈瘤を見逃す可能性があり,また,動脈優位相 の画像は迅速に安全に治療を行うための治療計画を練 る際,血管解剖を正確に把握するのに有用である。 2. 仮性動脈瘤:pseudoaneurysm(図 2) Extravasation 同様に血管損傷を示唆する所見であ る。壁の破綻した血管から漏れ出た造影剤が,周囲の 血腫や結合織などに囲まれて周囲へ広がっていかない ため,CT や血管撮影上血管と連続した瘤状構造のよ うにみえるため,「仮性」動脈瘤と名付けられている。 この語の定義に関して時に混乱が見られることがある ため強調すると,仮性動脈瘤は画像上瘤状構造を呈し てみえるものをそう呼んでいるだけであって,その周 囲は血管壁で覆われておらず,extravasation 同様, 血管損傷を示す所見である。順調に血栓化が進む状況 であれば,仮性瘤の大きさはどんどん小さくなり,最 後には仮性瘤は消失して,血腫が「かさぶた」となっ て損傷部をカバーするようになるわけである。 仮性動脈瘤は,CT 上,動脈優位相ではさまざまな 形状の瘤状構造物として血腫や臓器損傷部内に描出さ れ,近隣の血管と同様の造影効果を示す。実質相にお いては形状が変化しないまま,近隣の血管と同様に造 影効果が弱くなる。そのため,撮像タイミングによっ ては仮性動脈瘤は認識できないことがあり,動脈優位 相が推奨される所以の一つはここにある。仮性動脈瘤 は,近隣血管と同様の造影効果を示す瘤状構造物とし て描出されるが,血管構造との鑑別が困難なことも多 要旨:Multi-detector row CT:MDCT の登場と進歩により,外傷診療における画像診断の位置づけは格段に上 がった。適切な利用により,短時間での正確な診断が可能となっただけでなく,治療方針決定から治療の段階で も,正確に病態を捉え,治療に必要な解剖の確認もでき,大変有用である。CT 所見に基づく臓器損傷分類では 血管損傷の所見を重視した分類が行われ,治療方針決定の場面での応用が望まれる。MDCT のメリットを最大 限に生かすためには,ハード面としての施設の物理的環境整備に加え,医師,看護師,診療放射線技師など関連 部署のスタッフが,外傷診療に関する共通認識を形成し,チームとしての連携や個人としての能力の向上を図る ことが必要である。 【索引用語】 肝損傷,CT,臓器損傷分類,TAE特集:肝損傷に対する Non-operative management
特集:肝損傷に対する Non ─ operative management
―608― い。通常その領域で想定される血管径よりも大きく描 出されることで鑑別されるが,冠状断像,矢状断像を はじめとする適切な断面での観察が必要なこともあ り,さらに,多断面での再構成画像でしか認識できな いものも存在する。 3. 被膜断裂:capsular disruption(図 3) 実質臓器の被膜が一定の範囲にわたって裂けている 状態である。小さなもので,いわゆる II 型損傷に伴 う様なものは重要度が高くはないが,III 型損傷でみ られる場合,というより,III 型損傷を認識する上で, 重要な所見である。 CT 画像上被膜断裂部では,非損傷部実質よりも低 吸収に描出される損傷部が,末梢部に向かってもしく は末梢部で幅広く描出される。この様子は多断面再構 成画像で観察しないと捉えられないことがあり注意が 必要である。損傷部が末梢部まで延びていても被膜直 下で終わっているか達していてもその幅が狭い場合に は,被膜断裂はないか小さいはずで,損傷部自体が複 雑な形状である程度の大きさで描出されていたとして も,それは Ib + II 型損傷(日本外傷学会分類)2)とし て捉えることができ,III 型損傷(日本外傷学会分類)2) とは区別すべきである。ときにこのタイプの損傷が III 型損傷として認識され,「保存的に治療し得た IIIb 型 損傷の一例」などと報告されることがあるが誤りであ る。III 型損傷では,創が深いだけでなく,この被膜 断裂のために,損傷部が(肝損傷の場合)腹腔に露出 することとなり,(被膜断裂がないタイプの損傷に比 べて)止血がより遅延したり,出血量が増加すること 図 1 extravasation:被膜下血腫内に,動脈優位相で認められる不正形の 造影剤濃度の溜まりは,実質相において広がりをみせ,extravasation と言える(黒矢印)。同領域では,この他に,右副腎と右腎からも extravasation を認める(おのおの点線白矢と実線白矢印)。 a b 図 2 pseudoaneurysm:動脈優位相(a)で損傷部に結節状の造影剤濃度を認 める(矢印)が,遅延相(b)では形状は変わらないものの濃度が薄くなっ て不明瞭となっており(矢印),仮性瘤と判断できる。 a b ―609― となるわけである。通常,損傷臓器周囲だけでなく, より広範囲に血腫が広がることとなり,Douglas 窩に も 相 当 程 度 の 血 腫 が 観 察 さ れ る。 し た が っ て, Douglas 窩に相当程度の血腫を認めた場合,被膜断裂 を伴った実質臓器損傷や腸管・腸間膜損傷の存在を意 識する。
Ⅱ.CT 所見に基づく臓器損傷分類(肝)
2005 年から 2007 年の文部科学省科学研究費補助研 究で,中島ら3)が作成した「腹部外傷に対する CT 所見に基づく臓器損傷分類」から,肝損傷を抜粋する (表 1)。分類の骨子は,造影 CT で描出される血管損 傷の所見を重視し,血管損傷の位置や程度から手術, 経カテーテル動脈塞栓術,厳重な経過観察による保存 治療などのその後のマネージメントの方向性を示唆す る内容となっているのが特徴である3)4)。分類作成に 当たっては,日本救急放射線研究会やメリーランド大 学ショック・トラウマセンターの画像診断医が意見交 換や症例検討を重ねており,現段階では専門家のコン センサスレベルのものとなっている。本分類の妥当性 の評価については,今後多施設での検討が待たれる。Ⅲ.肝損傷における治療方針決定
損傷の診断から治療方針決定に際しては,患者の年 齢,受傷機転,受傷から CT 検査までの時間および臨 床経過(循環動態の推移),既往歴・薬物服用歴(特 図 3 capsular disruption:被膜断裂部で,末梢に向 かって広がるような形状を示す損傷部と実質外 に広がる血腫を認める(丸印)。 表 1 CT 所見に基づく肝損傷分類(文献3)Grade Description of Injury
I 被膜下血腫,裂傷または実質内血腫・損傷 < 1cm ( 深さまたは最大径 ) II 裂傷または実質内血腫・損傷 > 1cm ( 深さまたは最大径 ) III 被膜断裂を伴わない実質内もしくは被膜下の活動性出血,仮性動脈瘤および動静脈瘻門脈, 肝静脈ないしは IVC 周囲に達する血腫・損傷 IV 被膜断裂部の実質内活動性出血,仮性動脈瘤および動静脈瘻 V 腹腔内へ注ぐ活動性出血 離断型損傷 門脈または肝静脈一次分枝以内の損傷
―608― い。通常その領域で想定される血管径よりも大きく描 出されることで鑑別されるが,冠状断像,矢状断像を はじめとする適切な断面での観察が必要なこともあ り,さらに,多断面での再構成画像でしか認識できな いものも存在する。 3. 被膜断裂:capsular disruption(図 3) 実質臓器の被膜が一定の範囲にわたって裂けている 状態である。小さなもので,いわゆる II 型損傷に伴 う様なものは重要度が高くはないが,III 型損傷でみ られる場合,というより,III 型損傷を認識する上で, 重要な所見である。 CT 画像上被膜断裂部では,非損傷部実質よりも低 吸収に描出される損傷部が,末梢部に向かってもしく は末梢部で幅広く描出される。この様子は多断面再構 成画像で観察しないと捉えられないことがあり注意が 必要である。損傷部が末梢部まで延びていても被膜直 下で終わっているか達していてもその幅が狭い場合に は,被膜断裂はないか小さいはずで,損傷部自体が複 雑な形状である程度の大きさで描出されていたとして も,それは Ib + II 型損傷(日本外傷学会分類)2)とし て捉えることができ,III 型損傷(日本外傷学会分類)2) とは区別すべきである。ときにこのタイプの損傷が III 型損傷として認識され,「保存的に治療し得た IIIb 型 損傷の一例」などと報告されることがあるが誤りであ る。III 型損傷では,創が深いだけでなく,この被膜 断裂のために,損傷部が(肝損傷の場合)腹腔に露出 することとなり,(被膜断裂がないタイプの損傷に比 べて)止血がより遅延したり,出血量が増加すること 図 1 extravasation:被膜下血腫内に,動脈優位相で認められる不正形の 造影剤濃度の溜まりは,実質相において広がりをみせ,extravasation と言える(黒矢印)。同領域では,この他に,右副腎と右腎からも extravasation を認める(おのおの点線白矢と実線白矢印)。 a b 図 2 pseudoaneurysm:動脈優位相(a)で損傷部に結節状の造影剤濃度を認 める(矢印)が,遅延相(b)では形状は変わらないものの濃度が薄くなっ て不明瞭となっており(矢印),仮性瘤と判断できる。 a b ―609― となるわけである。通常,損傷臓器周囲だけでなく, より広範囲に血腫が広がることとなり,Douglas 窩に も 相 当 程 度 の 血 腫 が 観 察 さ れ る。 し た が っ て, Douglas 窩に相当程度の血腫を認めた場合,被膜断裂 を伴った実質臓器損傷や腸管・腸間膜損傷の存在を意 識する。
Ⅱ.CT 所見に基づく臓器損傷分類(肝)
2005 年から 2007 年の文部科学省科学研究費補助研 究で,中島ら3)が作成した「腹部外傷に対する CT 所見に基づく臓器損傷分類」から,肝損傷を抜粋する (表 1)。分類の骨子は,造影 CT で描出される血管損 傷の所見を重視し,血管損傷の位置や程度から手術, 経カテーテル動脈塞栓術,厳重な経過観察による保存 治療などのその後のマネージメントの方向性を示唆す る内容となっているのが特徴である3)4)。分類作成に 当たっては,日本救急放射線研究会やメリーランド大 学ショック・トラウマセンターの画像診断医が意見交 換や症例検討を重ねており,現段階では専門家のコン センサスレベルのものとなっている。本分類の妥当性 の評価については,今後多施設での検討が待たれる。Ⅲ.肝損傷における治療方針決定
損傷の診断から治療方針決定に際しては,患者の年 齢,受傷機転,受傷から CT 検査までの時間および臨 床経過(循環動態の推移),既往歴・薬物服用歴(特 図 3 capsular disruption:被膜断裂部で,末梢に向 かって広がるような形状を示す損傷部と実質外 に広がる血腫を認める(丸印)。 表 1 CT 所見に基づく肝損傷分類(文献3)Grade Description of Injury
I 被膜下血腫,裂傷または実質内血腫・損傷 < 1cm ( 深さまたは最大径 ) II 裂傷または実質内血腫・損傷 > 1cm ( 深さまたは最大径 ) III 被膜断裂を伴わない実質内もしくは被膜下の活動性出血,仮性動脈瘤および動静脈瘻門脈, 肝静脈ないしは IVC 周囲に達する血腫・損傷 IV 被膜断裂部の実質内活動性出血,仮性動脈瘤および動静脈瘻 V 腹腔内へ注ぐ活動性出血 離断型損傷 門脈または肝静脈一次分枝以内の損傷
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に既存の凝固障害の有無)を念頭に置き,さらに合併 損傷の有無,損傷がある場合にはその部位と数,およ びその程度を意識する。鈍的外傷では線溶系亢進型 disseminated intravascular coagulation(DIC) の 存 在を意識することも重要で,一見循環動態が安定して いるようにみえても不顕性に凝固障害が進行している と考え,secondary survey において CT などで緊急 の処置が必要な損傷がないことがわかるまでは特に診 療のスピードを緩めてはいけない。先に紹介した臓器 損傷分類を参考に,患者の状態,施設の事情に応じて 治 療 法 を 選 択 す る こ と に な る が,transcatheter arterial embolization(TAE)と開腹術は二者択一的 な治療法ではなく,相補的な利用を考慮することも重 要 で あ る。Damage control surgery の 概 念 同 様, Interventional radiology(IVR)においても damage control interventional radiology(DCIR)という考え 方を持ってその時の状況に応じた手技のアレンジが求 められる。以下参考に上記臓器損傷分類を基本とした 治療方針の例を示す(表2)3)。あくまでも先にあげ たさまざまな要素を検討し統合した上で治療方針は決 定されるべきであり,本表に示された方針は個々の症 例においては再検討されるべきではある。
お わ り に
画像診断機器の進歩は目覚ましく,CT 保有数,CT 検査数とも諸外国を大きく上回る「CT 大国」日本に おいては MDCT の導入が格段に進んでいると考えら れる。しかし日本の外傷診療においては画像診断の質 は高いとは言えず,また環境整備も不十分な施設が多 いのが現状である。画像診断機器の進歩によるメリッ トを生かして外傷診療に質を上げるためには,ハード 面としての施設の物理的環境整備に加え,医師,看護 師,診療放射線技師など関連部署のスタッフが,外傷 診療に関する共通認識を形成し,チームとしての連携 や個人としての能力の向上を図ることが必要である。 表 2 CT所見に基づく肝損傷分類とマネージメント(文献3) Grade Management I 保存的,経過観察不要 II 保存的,経過観察 III 厳重な経過観察または IVR を考慮 IV IVR(開腹術)を考慮 V 開腹術(IVR)を考慮1) Huber-Wagner S, Lefering R, Qvick LM, et al: Working Group on Polytrauma of the German Trauma Society: Effect of whole-body CT during trauma resuscitation on survival : a retrospective, multicentre study. Lancet 2009 ; 373 : 1455-1461. 2) 日本外傷学会臓器損傷分類委員会:肝損傷分類 2008
(日本外傷学会).日外傷会誌 2008 ; 22 : 262. 3) 中島康雄:文部科学省科学研究費補助金、萌芽研究
(研究課題番号:17659376)、研究成果報告書(平成 19 年度)2008.
4) Marmery H, Shanmuganathan K, Mirvis SE, et al: Correlation of multidetector CT findings with splenic arteriography and surgery : prospective study in 392 patients. J Am Coll Surg 2008 ; 206 : 685-693.
論文受付 平成 23 年 5 月 16 日 同 受理 平成 23 年 5 月 17 日
参 考 文 献
―611―
Importance of Diagnostic Imaging : Classification of Organ Damage and Choice of Treatment based on the CT Findings
Junichi Matsumoto1)2), Yasuo Nakajima3), Yoshiaki Ichinose2), Takayuki Hattori2), Hirotaka Yamashita1)3), Shingo Hamaguchi1)3), Yoshiyuki Minowa1), Yasuhiko Taira1)
Department of Emergency Medicine, St. Marianna University of Medicine1) Department of Radiology, National Hospital Organization Disaster Medical Center2)
Department of Radiology, St. Marianna University of Medicine3)
The place of diagnostic imaging in trauma care has increased dramatically as a result of the advent and advances in multi-detector row CT(MDCT). MDCT is very useful, because utilizing it appropriately has not only made accurate diagnosis in a short time possible, but based on treatment policy determinations at the treatment stage it has enabled accurate identification of lesions, and even the anatomical confirmation required for treatment. Classification that emphasizes the vascular damage findings has been performed in the classification of organ damage based on the CT findings, and application to treatment policy determinations is desired. In order to make the most of the advantages of MDCT, in addition to maintaining the physical environment of institutions in terms of their hardware aspects, it is also necessary for the staff of the departments involved, including physicians, nurses, and clinical radiology technicians, to form a common understanding of trauma care, and to attempt to improve their collaboration as a team and their competence as individuals.
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に既存の凝固障害の有無)を念頭に置き,さらに合併 損傷の有無,損傷がある場合にはその部位と数,およ びその程度を意識する。鈍的外傷では線溶系亢進型 disseminated intravascular coagulation(DIC) の 存 在を意識することも重要で,一見循環動態が安定して いるようにみえても不顕性に凝固障害が進行している と考え,secondary survey において CT などで緊急 の処置が必要な損傷がないことがわかるまでは特に診 療のスピードを緩めてはいけない。先に紹介した臓器 損傷分類を参考に,患者の状態,施設の事情に応じて 治 療 法 を 選 択 す る こ と に な る が,transcatheter arterial embolization(TAE)と開腹術は二者択一的 な治療法ではなく,相補的な利用を考慮することも重 要 で あ る。Damage control surgery の 概 念 同 様, Interventional radiology(IVR)においても damage control interventional radiology(DCIR)という考え 方を持ってその時の状況に応じた手技のアレンジが求 められる。以下参考に上記臓器損傷分類を基本とした 治療方針の例を示す(表2)3)。あくまでも先にあげ たさまざまな要素を検討し統合した上で治療方針は決 定されるべきであり,本表に示された方針は個々の症 例においては再検討されるべきではある。
お わ り に
画像診断機器の進歩は目覚ましく,CT 保有数,CT 検査数とも諸外国を大きく上回る「CT 大国」日本に おいては MDCT の導入が格段に進んでいると考えら れる。しかし日本の外傷診療においては画像診断の質 は高いとは言えず,また環境整備も不十分な施設が多 いのが現状である。画像診断機器の進歩によるメリッ トを生かして外傷診療に質を上げるためには,ハード 面としての施設の物理的環境整備に加え,医師,看護 師,診療放射線技師など関連部署のスタッフが,外傷 診療に関する共通認識を形成し,チームとしての連携 や個人としての能力の向上を図ることが必要である。 表 2 CT所見に基づく肝損傷分類とマネージメント(文献3) Grade Management I 保存的,経過観察不要 II 保存的,経過観察 III 厳重な経過観察または IVR を考慮 IV IVR(開腹術)を考慮 V 開腹術(IVR)を考慮1) Huber-Wagner S, Lefering R, Qvick LM, et al: Working Group on Polytrauma of the German Trauma Society: Effect of whole-body CT during trauma resuscitation on survival : a retrospective, multicentre study. Lancet 2009 ; 373 : 1455-1461. 2) 日本外傷学会臓器損傷分類委員会:肝損傷分類 2008
(日本外傷学会).日外傷会誌 2008 ; 22 : 262. 3) 中島康雄:文部科学省科学研究費補助金、萌芽研究
(研究課題番号:17659376)、研究成果報告書(平成 19 年度)2008.
4) Marmery H, Shanmuganathan K, Mirvis SE, et al: Correlation of multidetector CT findings with splenic arteriography and surgery : prospective study in 392 patients. J Am Coll Surg 2008 ; 206 : 685-693.
論文受付 平成 23 年 5 月 16 日 同 受理 平成 23 年 5 月 17 日
参 考 文 献
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Importance of Diagnostic Imaging : Classification of Organ Damage and Choice of Treatment based on the CT Findings
Junichi Matsumoto1)2), Yasuo Nakajima3), Yoshiaki Ichinose2), Takayuki Hattori2), Hirotaka Yamashita1)3), Shingo Hamaguchi1)3), Yoshiyuki Minowa1), Yasuhiko Taira1)
Department of Emergency Medicine, St. Marianna University of Medicine1) Department of Radiology, National Hospital Organization Disaster Medical Center2)
Department of Radiology, St. Marianna University of Medicine3)
The place of diagnostic imaging in trauma care has increased dramatically as a result of the advent and advances in multi-detector row CT(MDCT). MDCT is very useful, because utilizing it appropriately has not only made accurate diagnosis in a short time possible, but based on treatment policy determinations at the treatment stage it has enabled accurate identification of lesions, and even the anatomical confirmation required for treatment. Classification that emphasizes the vascular damage findings has been performed in the classification of organ damage based on the CT findings, and application to treatment policy determinations is desired. In order to make the most of the advantages of MDCT, in addition to maintaining the physical environment of institutions in terms of their hardware aspects, it is also necessary for the staff of the departments involved, including physicians, nurses, and clinical radiology technicians, to form a common understanding of trauma care, and to attempt to improve their collaboration as a team and their competence as individuals.