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ロシア東欧経済速報平成 14 年 1 月 15 日発行第三種郵便物認可 2002 年 ( 平成 14 年 )1 月 15 日 No.1215 目次ロシアの経済成長は今後も続くか 高橋浩 年を占う キーパーソン 9 プリマコフ氏がロシア商工会議所会頭に就任 /9 CIS 中東欧

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2002年(平成14年)1月15日 No.1215 目 次

ロシアの経済成長は今後も続くか

··· 高橋浩 1

−2002〜2003年を占う−

キーパーソン ···9 プリマコフ氏がロシア商工会議所会頭に就任/9 CIS・中東欧諸国通貨の為替レート ···9

ロシアの経済成長は今後も続くか

−2002〜2003年を占う−

1.経済成長の原因

ロシア経済は1998年8月の金融経済危機の後、1999年は5.4%、2000年は8.3%、ソ連解 体後のマイナス成長が基調となっていた時代と比べると高い成長を記録している。2000 年の8%をこえる成長というのは、ソ連時代を含めても希にみる高い成長である。2001 年も5.5%程度の成長となる見込みであり、工業生産も5%強の伸びとなりそうであり、 3年続けて5%以上の成長を記録している(第1図参照。2001年は推定あるいは1〜11 月の実績を援用、農業生産は省略)。5%成長というのは、2000年に策定された現在の経 済発展貿易省の大臣であるグレフ氏を中心とするグループが策定したロシア経済の長期 プログラムに合致した数字である。 はたして、この経済成長は今後も続くのであろうか。本『経済速報』(2001年5月15 日号)でも触れたいわゆる2003年危機は起きないのであろうか。 この経済成長の原因としては、以下の対外経済要因2点を指摘することが一般的である。 ①1998年の金融経済危機後に生じた大幅なルーブルの切り下げによる輸入代替の促進 ②原油価格の大幅上昇等のロシアの輸出産品の価格上昇による輸出収入増 これらに加えて、危機直後は、政府の政策によって電気料金や鉄道料金等の価格が抑制 され、また、賃金上昇も抑えられたことによる企業収益増も回復の要因にあげられる。し かし、これらの要因も2000年後半までにその効果は減退しつつある。3番目のコスト要因

(2)

は完全に消え去り、原油価格は、2000年のピークを過ぎ、下降局面に入っている。ただ、 2001年は、原油とタイムラグで生じる天然ガス価格の上昇もあって原油価格下落を補い、 2001年の天然ガス輸出は2000年を上回りそうである(第2図および第1表参照、輸出価格 は税関統計をもとに試算)。しかし、2002年は、双方とも価格は下降局面あるいは安定局 面に入るであろう。 ロシアの経済は、上記のような対外成長要因、国内成長要因が後退し、以下のような投 資の回復、加えて個人所得の回復というものが、2000年後半ぐらいから成長牽引の主役と して登場してきた。とりわけ、危機後の成長の特徴は投資の回復である。

2.危機後の成長の特徴 −投資の回復−

ロシア経済がソ連解体後にはじめてプラス成長となったのは1997年であったが、その時 でも固定資本投資は5%ものマイナスであった(第1図)。ソ連解体後続いた著しい投資 の減少の結果、ロシアの機械・設備、インフラの老朽化は著しく進んだ。この設備の老朽 化が、喧伝されている2003年危機説の背景である。それが、1999年にソ連解体後はじめて の投資の増加があり、2000年に17%も投資が増加、2001年も8%以上の投資の増加が予想 されている。固定資本投資の増加というものが、ロシア経済の転換を示す兆候である。し かしながら、このような大幅な投資の増加があっても、1990年代初頭の投資の減少があま りにも凄まじかったために、老朽化の程度はそれほど改善しているようにみえない(第3 図参照)。2000年に大幅投資増があっても、逆に農業、建設、運輸の老朽化が一層進んで いる。実は、この固定資本投資の中味をみると、工業部門のほぼ半分が燃料部門で占めら れている。また、輸送部門の投資も伸びているが、このかなりの部分が石油およびガスパ イプライン輸送網であると推察され、投資のなかで、燃料部門の占める割合が非常に大き い。燃料部門以外への投資は少ないのが実状である。 とはいえ、機械工業部門の生産が危機後、好調であり、1991年の6割まで回復してきて いるのは、投資需要増にも支えられているとみていよいだろう(第4図参照)。 投資需要を考えれば、もっと大きな投資増があってもしかるべきであるという意見もあ る。シャポバリアンツ元ロシア経済大臣は、老朽化した機械・設備、インフラを更新する ためには、今後年間10〜15%の成長が必要であると述べている(当会主催で東京で2001 年12月18日に実施された講演会での発言)。ところが、投資需要が大きくても、資金調達 に難がある。2001年上半期のデータをみると、投資資金の84.9%が自己資金であり、銀行 融資というのはわずか2.5%しかない。燃料エネルギー部門の巨額の外貨収入が他の部門 への投資資金として活用できるメカニズムが存在しないのだ。

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(第2表)ロシアの対外債務返済予定 (単位10億ドル) 2001 2002 2003 2004 2005 対外債務返済予定額 うち;元本 利払い 13.1 6.2 6.9 13.5 6.8 6.8 18.1 11.8 6.3 11.8 6.0 5.8 13.6 8.1 5.5 (出所)ロシア経済省ヴォルコフ・マクロ経済分析局次長提供資料。ただし、原 典は民間のCENTREINVEST社の資料であり、政府の資料ではない。

3.2003年の対外債務返済問題

2003年危機説の直接的な背景は、ロシアの対外債務返済が2003年に大きなピークを迎え るということにある。推定では第2表のように、2003年に181億ドル弱の対外債務返済を する必要があり、ロシアの連邦政府予算の半分近くが債務返済に当てられるというような 見通しもあった。確かに、2000年当時の予算規模というものをドル換算すると約400億ド ル弱となり、181億ドル弱の対外債務返済というものは、非常に大きな負担となる。しか し、2001年末に成立した2002年予算は歳出が1兆9,470億ルーブルで、これを予算の前提 となっている1ドル=31.5ルーブルで換算すると618億ドルとかなり大きくなる。これが、 2003年も同様だとすると、仮に180億ドル返済するとしても歳出の30%を占めるに過ぎず、 最近の予算規模の拡大というものを考慮に入れると債務負担というものは、以前に考えら れていたほど大きくないようである。 ちなみに、2002年予算案の説明書で組み込まれている対外債務返済は74億ドルであり、 第2表の推定の規模よりもかなり小さい。また、2002年予算で黒字予算が見込まれ、黒字 部分を優先的に債務返済に当てることが想定されている。2003年の返済分の繰り上げ返済 も考慮されており、実際の2003年の対外債務返済負担は過去に考えられていたよりもかな り小さくなりそうである。2002年予算案の説明書のなかに、20億ドルを上限とするユーロ 債発行が予定されているが、これもひとえに2002年中に、2003年の対外債務負担を繰り上 げ返済するための手当と考えるとわかりやすい。 しかし、これも原油価格があまりに下がり、歳入が大きく減少してくると、この予想も 狂うであろう。2002年予算の原案で考えられていた原油価格の水準は1バレル18.5ドル〜 23.5ドルであり、最終的には23.5ドルが採用され、その意味では楽観的見通しで予算が決 定された。 ただ、2002年年初の原油価格(Urals)は20ドル前後であるので、このままであると、 予算の遂行は厳しい。さらに、1バレル18.5ドルを大幅に割り込むことが長期に続くよう なことがあると、対外債務返済のリスケジュールの可能性も否定できない。日ロ経済委員 会主催で2001年11月に開催された講演会でヴォルコフ経済省マクロ経済分析局次長は、個

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人的見方としてこの可能性を否定しなかった。しかし、ロシア政府は、十分な対策をとり つつあるので、少しぐらいこの水準を下回っても問題はないと述べている。また、仮にリ スケジュールに追い込まれても、一時期ロシアが主張していた債務削減提案に固執しなけ れば、交渉自体に大きな問題はないであろう。

4.はたして、ロシア経済は変わったか

このようにみてくると、やはり、「結局、ロシア経済は原油価格次第」というシニカル な見方が優勢になりそうである。確かに、1998年危機を最終的に招いたのは、原油価格下 落であったし、過去のソ連時代においては1986年、ゴルバチョフのいわゆるペレストロイ カ改革の初期段階に大きなつまづきの石となったのも原油価格下落であった。確かに、ロ シア経済には産油国としての特徴が色濃く染みついている。 しかし、原油価格次第というのは、物事の半分ぐらいしかみていないことも事実である。 忘れがちであるが、1998年の経済危機後、農業部門も成長を続けている。とくに、2000 年は畜産部門がソ連解体後初めてプラス成長となった。また、いわゆる農民経営(日本的 には専業農家といってよいだろう)も農地面積が1996〜2000年の4年間で約20%増加し、 一方、経営体自体は28万戸から26万戸に減少して、1戸あたりの農地面積は大幅に増大し たことになる。ようやく独立した農民経営が農業においても力をつけはじめている所作で あろう。 また、危機前の1997年のわずかであるが経済成長を達成した事実というのも過小評価す べきではないと私は考える。当時は、経済の実力を大幅に超えたルーブル高経済であって、 ロシア企業は安価な輸入品と厳しい競争をして、そのなかで成長を達成したわけである。 危機後の成長は、1997年の成長の延長上にあるとみてよいだろう。 実は、1998年の危機前に固定資本投資は、ある程度回復していたという説を主張するロ シアの学者も存在する。1997年の投資がマイナスでプラス成長を達成するというのは、ど うにもおかしい。したがって、投資が危機後に大幅に伸びているのは、それまで隠されて きたのが表にでてきた部分もありそうである。

5.成長は続くか −みるべきポイントは何か−

ロシア経済は原油価格次第の側面は強いものの、企業自体の力強さもみる必要があると いうことであろう。原油価格動向というものをみつつ、投資の伸びをみるということが大 きなポイントとなる。ロシア経済の注意信号の目安としては、 ①原油価格動向− 1バレル18ドルを下回ることが長期に続くとき ②投資の伸び− 10%に近い伸びが確保されないとき

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というあたりであろうか。これがクリアされている限り、当面の成長軌道は続くであろ う。しかし、本格的成長軌道までの道程は、まだまだ先である。 (ロシア東欧経済研究所 研究開発部次長 高橋浩)

●キーパーソン

プリマコフ氏がロシア商工会議所会頭に就任 ロシア連邦商工会議所は12月14日にモスク ワで開催した総会で、プリマコフ元首相を新会頭に選出した。プリマコフ新会頭は挨拶の なかで、自らの役割は財界と政府の協力関係を促進すること、ビジネス・エリート間の紛 争を仲裁すること、ロシアの経済的国益を対外的に推進することであると述べた。プリマ コフ氏はまた、ロシアがWTOへの加入を果たせば、商工会議所の役割はさらに重要になる との見解を示した。 ◆CCEEEEDDSS ROTOBO人事データベースより CCEEEEDDSS◆

プリマコフ・ロシア商工会議所会頭(PRIMAKOV, Yevgeny Maksimovich):1929年キエフ生ま れ(ロシア人)。ソ連ラジオ・テレビ国家委員会勤務、『プラウダ』中近東特派員、東洋学 研究所所長、世界経済・国際関係研究所所長を歴任。1989〜1990年、ソ連最高会議連邦会 議議長。1991年、ソ連中央諜報局長官。1991年12月〜1996年1月、ロシア対外情報局長官。 1996年1月〜1998年8月、外相。1998年9月〜1999年5月、首相。1999年12月の下院選挙 では選挙ブロック「祖国・全ロシア」を率いて戦い、当選後には会派「祖国・全ロシア」 の会長を務めた。2001年12月、ロシア連邦商工会議所会頭に就任。

●CIS・中東欧諸国通貨の為替レート

(2002年1月10日現在) 国・通貨単位 $1= Eur1= 国・通貨単位 $1= Eur1= ロシア・ルーブル ウクライナ・グリブナ ベラルーシ・ルーブル モルドバ・レイ カザフスタン・テンゲ キルギス・ソム ウズベキスタン・スム トルクメニスタン・マナト タジキスタン・サマニ アゼルバイジャン・マナト アルメニア・ドラム グルジア・ラリ 30.58 5.311 1,602 13.10 151.0 47.72 688.2 5,200 2.55 4,791 563.7 2.225 27.29 4.738 1,431 11.69 135.5 42.84 617.4 4,627 2.304 4,273 502.2 1.983 モンゴル・トゥグリク ・・・ ・・・ ポーランド・ズオティ チェコ・コルナ スロバキア・コルナ ハンガリー・フォリント ルーマニア・レイ ブルガリア・レバ アルバニア・レク ユーゴスラビア・ディナール ボスニア・ヘルツェゴビナKM マケドニア・ディナール クロアチア・クーナ スロベニア・トラール エストニア・クローン ラトビア・ラッツ リトアニア・リタス 3.930 36.12 47.78 274.1 33.26 2.198 146.2 66.48 2.193 68.08 8.310 249.7 17.52 0.636 4 3.504 32.21 42.61 244.4 29.66 1.960 130.4 59.28 1.956 60.72 7.410 222.6 15.65 0.568 3.569

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