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脈管学55巻8号 pp

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孤立性ひらめ筋内静脈血栓の抗凝固療法:血栓変化と右心負荷変動

應儀 成二1  應儀 長子2 要 旨:下腿型と筋内型で抗凝固療法の治療効果を検討した。対象は,筋内型 24 例,下腿型 21 例とし た。血栓変化では,有効率(消失,縮小)は遠位型 63%で,筋内型 61%と下腿型 65%で有意差がなかっ た。右心負荷変動では,右室収縮期圧は有意に低下し,40 mmHg 以上の肺高血圧は筋内型と下腿型で, また,30 mmHg 以上の右室負荷は筋内型で有意に減少した。抗凝固療法により,筋内型では下腿型より 広範な右心負荷の軽減効果が期待できる。(J Jpn Coll Angiol 2015; 55: 131–139)

Key words: soleal vein classification, soleal vein thrombosis, crural vein thrombosis, ultrasonography, risk factor

序  言  急性下肢深部静脈血栓症において,還流障害が明白な 近位型では国内外のガイドラインの治療選択が適応され るが1, 2),還流障害が明白でない遠位型では,近位進展や 重症肺塞栓症の頻度も低いことから,そのままでは適応 され難い。遠位型では,主要な発生部位であるひらめ筋 内静脈に局在する血栓(筋内型)から下腿静脈への進展(下 腿型),さらには膝窩静脈より近位への進展(近位型)を回 避する対策が必要である。筋内型から下腿型への進展や 塞栓化の病態は,未だ十分に解明されていないが3~5),筋 内型における反復性再発との関連が指摘されている6) 現状では,抗凝固療法は肺塞栓症に限定し,肺塞栓症が 明確でない場合には運動療法を選択するのが一般的であ る7)。しかし,筋内型に運動療法を施行した場合,再発 が 30%以上で続発することが判明している6, 8)。肺塞栓症 は,遠位型でも少なくないことから9),抗凝固療法に肯 定的な報告が増加している10, 11)  この研究では,遠位型において,抗凝固療法の治療成 績と共に,導入前後の血栓変化と右心負荷変動を筋内型 と下腿型で検討した。 対象と方法  対象は,2011 年 6 月から 2013 年 9 月の期間に,フォ ンダパリヌクスにより抗凝固療法を導入した遠位型 45 例 とした。遠位型では,膝窩静脈より遠位の下腿静脈(腓骨 静脈,後脛骨静脈,前脛骨静脈)に血栓の中枢端が存在す る場合に下腿型,下腿筋内静脈に血栓の中枢端が存在す る場合に筋内型とした。筋内型 24 例,下腿型 21 例で あった。平均年齢は,筋内型 79±8 歳,下腿型 79±7 歳で あり,両群間に有意差がなかった。男女比は,筋内型 8:16,下腿型 5:16 であり,両群とも女性で 2 倍以上多 かった。  検査では,下肢静脈エコー,心エコー,血液検査(D ダ イマー,抗核抗体,他)を施行した。胸部症状から肺塞栓 症が疑われる場合には,造影 CT により肺動脈の充填欠 損から肺塞栓症を診断した。下肢静脈エコーでは,超音 波診断装置(東芝,SSA-660A)を使用し,7.5 MHz のリニ ア探触子を用いた。断層法にカラードプラ法を併用し て,静脈圧迫法により血栓を診断した12)。体位は,座位 での下腿下垂とした。両下肢において,下腿筋内静脈を 含む全ての深部静脈を検索した。下腿筋内静脈として は,腓腹筋では,内側静脈,外側静脈,また,ひらめ筋 では,近位静脈,外側静脈,中央静脈,内側静脈,遠位 内側静脈,遠位外側静脈を区別した13)(Fig. 1)。血栓が存 在する場合,病型(筋内型,下腿型,大腿型,腸骨型), 性状(退縮度–軽度,輝度–低,硬度–軟から急性期血栓, 2015年 5 月 16 日受付  2015 年 7 月 30 日受理 1日立記念病院血管外科 2日立記念病院内科 第 55 回日本脈管学会総会(2014 年 10 月,倉敷)にて発表 doi: 10.7133/jca.15-00019 ●原  著●

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退縮度–高度,輝度–高,硬度–硬から慢性期血栓),中枢 端(浮遊,固定)を評価し,症候と D ダイマーを考慮し て,病期(急性,慢性)を判定した1, 12)。心エコーでは, 3.5 MHzのセクタ探触子を用いた。断層法にカラードプ ラ法を併用して,胸壁法により右心負荷を評価した。体 位は,左側臥位・仰臥位とした。右室収縮期圧は,三尖 弁圧較差に下大静脈から推定される右房圧 10 mmHg を加 えた値とし14),右心負荷の重症度(正常 30 mmHg 未満, 右室負荷 30∼39 mmHg,肺高血圧 40 mmHg 以上)を判定 した6)。血液検査では,D ダイマーはラテックス免疫比 濁法(カイノス社の LATECLE D ダイマー試薬)により,1 μg/ml以上を異常と判定した。抗核抗体は蛍光抗体法に より,抗体価 40 倍以上を陽性と判定した。血栓傾向が疑 われる場合には,抗リン脂質抗体,プロテイン S,プロ テイン C,アンチトロンビンを測定した。  治療では,抗凝固療法は,下肢症状か胸部症状があ り,病期が急性の場合に適応とした。抗凝固療法は, フォンダパリヌクスで導入し,ワルファリンで維持し た。 フ ォ ン ダ パ リ ヌ ク ス は, 体 重 50 kg 以 上 で は 7.5 mg,50 kg 未満では 5.0 mg を 24 時間毎に PT-INR が 1.5 以上になるまで皮下注した。ワルファリンは,急性肺塞 栓症では治療的投与として PT-INR を 2.0–2.5 に調整し, 急性肺塞栓症でない場合には予防的投与として PT-INR を 1.5–2.0 に調整し,3 カ月以上の継続とした1, 2, 8, 11)。運 動療法は,運動器疾患による歩行障害や運動器疾患以外 による歩行困難を除き,1 日 5 時間以上の立位時間を指 導し,伏在静脈瘤や浮腫には中圧の圧迫療法を併用し た。NYHA 機能分類の II 度以上,あるいは急性増悪の場 合には,強心利尿薬(アミノフィリンなど)を併用した。  治療開始後の経過観察では,1 カ月毎に診察し,定期 検査を行った。下肢静脈エコーと血液検査は,1 カ月,3 カ月,6 カ月,以後 6 カ月毎,心エコーは 6 カ月,12 カ 月,以後 12 カ月毎とした。下肢静脈エコーでは,病型と 血栓変化(消失,縮小,不変,増大),心エコーでは,右 室収縮圧と重症度変化(正常,改善,不変,悪化)を評価 した6)。血液検査では,D ダイマー 0.5 μg/ml 未満から 0.5 μg/ml以上への増加を再発の指標とした1, 6, 15)。再発は, 症候と D ダイマーを考慮し,下肢静脈エコーの中枢進 展,あるいは造影 CT の新たな充填欠損から診断して, 抗凝固療法の治療的投与を 3 カ月以上追加した。経過観 察 で は, 終 点 は,2 年 以 内 の 再 発(中 枢 進 展, 肺 塞 栓 症),副作用(出血・アレルギー),離脱,死亡を中止と し,2 年以上の継続を完了とした。  統計処理には,StatMateV(株式会社アトムス,Micro-soft Excel 医療統計アドインソフト,スタットメイト 5)を 使用した。平均値は平均 ±1 標準偏差で示し,等分散の 2 群間の比較には t 検定を,また,非等分散の 2 群間の比 較には Cochran-Cox 検定を施行した。2 群間の比率の比 較には,カイ 2 乗検定を施行した。経過観察の累積生存 率や累積回避率は,Kaplan-Meier 法で Logrank 法を施行 した。検定の有意水準は,全て P<0.05 とした。 結  果 1.危険因子と検索理由  危険因子として,問診・診察から,初発に関与した最 も強い危険因子(初発因子),ならびに診断時の発生に関 与した最も強い危険因子(発生因子)を選別した(Table 1a, 1b)16)。さらに,選別した初発因子と発生因子が,片下肢 血栓に関与した危険因子(局所因子)か,両下肢血栓に関 与した危険因子(全身因子)かを判定した16)  初発因子としては,全体では,局所因子や全身因子は 両群間に有意差がなかった。個別では,全身因子は心不 全が筋内型で下腿型より有意に多かったが(P<0.05),局 所因子は両群間で有意差がなかった(Table 1a)。  一方,発生因子としては,全体では,局所因子は筋内 型より下腿型で有意に多かったが(P<0.05),全身因子は 両群間に有意差がなかった。個別では,全身因子や局所 因子は両群間で有意差がなかった(Table 1b)。  検索理由では,下肢症状では腫脹,また胸部症状では

⑦ ⑧ ⑫ ⑨ ⑩ ⑪

Figure 1 Six groups of veins in the 6 circulatory areas of soleal muscle and their drainage veins.

① proximal soleal vein, ② lateral soleal vein, ③ central soleal vein, ④ medial soleal vein, ⑤ distal medial soleal vein, ⑥ distal lateral soleal vein, ⑦ medial gastrocnemial vein, ⑧ lateral gas-trocnemial vein, ⑨ popliteal vein, ⑩ posterior tibial veins, ⑪ peroneal veins, ⑫ anterior tibial veins

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2.血栓分布と塞栓分布  病型と血栓性状の関係としては,筋内型 24 例は,全て ひらめ筋内静脈の急性期血栓であった。しかし,下腿型 21例では,下腿静脈に急性期血栓を認めた 15 例と,下 腿静脈は慢性期血栓で,ひらめ筋内静脈に急性期血栓を 認めた 6 例であった。  導入前の急性期血栓の血栓分布において,筋内型で は,片下肢血栓は 13 例 13 肢(右 2 肢,左 11 肢),両下肢 血 栓 は 11 例 22 肢(右 11 肢, 左 11 肢)で あ っ た(Table 3a)。ひらめ筋内静脈に関して,片下肢血栓は単発 12 肢 (中央静脈 8 肢,内側静脈 4 肢),多発 1 肢であった。両 下肢血栓は単発 18 肢(中央静脈 12 肢,内側静脈 6 肢), 多発 4 肢であった。単発の左下肢血栓は,両下肢血栓よ り片下肢血栓で有意に多かった(P<0.05)。単発の左下 肢・内側静脈血栓は,両下肢より片下肢で有意に多かっ た(P<0.05)。  一方,下腿型では,片下肢血栓は 13 例 13 肢(右 7 肢, 左 6 肢),両下肢血栓は 8 例 8 肢(右 4 肢,左 4 肢)であっ た(Table 3b)。下腿静脈に関して,片下肢血栓では,腓 骨静脈 9 肢(右 4 肢,左 5 肢),後脛骨静脈 2 肢(右 2 肢, 左 0 肢)であった。左下肢では,腓骨静脈は後脛骨静脈よ り有意に多かった(P<0.01)。両下肢血栓では,腓骨静脈 3肢(右 2 肢, 左 1 肢), 後 脛 骨 静 脈 1 肢(右 1 肢, 左 0 肢)であった。ひらめ筋内静脈に関して,片下肢血栓で は,単発 5 肢(中央静脈 4 肢,内側静脈 1 肢),多発 5 肢 であった。両下肢血栓では,単発 11 肢(中央静脈 10 肢, 呼吸困難が最も多く,下肢症状の下腿筋のだるさは筋内 型で有意に多かった(Table 2a)。右心負荷疾患として は,心疾患では,僧帽弁閉鎖不全と三尖弁閉鎖不全が両 群とも多く,肺疾患では,急性肺塞症は 3 例で,筋内型 1例,下腿型 2 例であった(Table 2b)。慢性心不全の重症 度としては,NYHA 機能分類では,II 度以上の有症状 は,筋内型 50%,下腿型 57%,III 度以上の重症は,筋 内型 21%,下腿型 38%であり,両群間に有意差がなかっ た(Table 2c)。このうち,3 カ月以内の急性増悪が,筋内 型 58%,下腿型 65%存在し,急性肺塞栓症の重症度とし ては,Society for Vascular Surgery(SVS)分類 III 度以上の 重症は,下腿型の 2 例となった17)

Table 1a Initial risk factors

Risk factor Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type Local factor  Saphenous varix  Gait disorder  Leg operation  Leg trauma General factor  Heart failure  Bed rest  Surgical rest  Raynaud** 13 (54)  5 (39): r-0, l-4, b-1  3 (23): r-0, l-0, b-3  3 (23): r-0, l-0, b-3  2 (15): r-0, l-1, b-1 11 (46)  5 (45)*: r-1, l-1, b-3  3 (27) : r-0, l-0, b-3  2 (18) : r-0, l-1, b-1  1 ( 9) : r-1, l-0, b-0 12 (57)  1 ( 8): r-1, l-0, b-0  5 (42): r-2, l-0, b-3  4 (33): r-1, l-1, b-2  2 (17): r-0, l-1, b-1  9 (43)  0 ( 0):  3 (33): r-0, l-0, b-3  4 (44): r-1, l-1, b-2  2 (22): r-1, l-1, b-0 Total No. 24: r-2, l-7, b-15 21: r-6, l-4, b-11 r: right, l: left, b: both, *: P<0.05, **: Raynaud’s phenomenon

Table 1b Occurrence risk factors

Risk factor Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type Local factor  Gait disorder  Saphenous varix General factor  Heart failure  Raynaud  Hypercoagulability  Bed rest 16 (67)  9 (56): r-0, l-2, b-7  7 (44): r-0, l-4, b-3  8 (33)  5 (64): r-0, l-2, b-3  1 (12): r-0, l-0, b-1  1 (12): r-0, l-0, b-1  1 (12): r-0, l-0, b-1 19 (90)* 13 (68): r-3, l-2, b-8  6 (32): r-3, l-1, b-2  2 (10)  0:  2 (100): r-1, l-1, b-0  0:  0: Total No. 24: r-0, l-8, b-16 21: r-7, l-4, b-10 *: P<0.05, r: right, l: left, b: both

Raynaud: Raynaud’s phenomenon, hypercoagulability: female hor-mone

Table 2a Symptoms in leg and chest

Symptoms Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type Leg : thrombus  Swelling  Cyanosis  Calf pain  Calf heaviness  Calf cramp  No Chest : embolus  Dyspnea/ short breath  Palpitation  Oppression/ pain  Cough/ hemoptysis  Hypotension/ syncope  No  16 (67)  2  4  5*  3  3 (13)  8 (33)  4  3  1  0 12 (50) 15 (71)  5  2  0  1  3 (14) 10 (48)  4  2  4  2  9 (43) *: P<0.05

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内側静脈 1 肢),多発 5 肢であった。  造影 CT を施行した 10 例(22%)では,3 例で急性肺塞 栓症と診断した。導入前の塞栓分布において,筋内型 3 例では,非広汎型 1 例(充填欠損),肺塞栓症疑 2 例(壁不 整),また,下腿型 7 例では,非広汎型 2 例(充填欠損), 肺塞栓症疑 3 例(壁不整),正常 2 例であった。 3.抗凝固療法の導入  導入は,入院 28 例 62%,通院 17 例 38%であった。入 院は,筋内型 50%(12/24),下腿型 76%(16/21)で,両群 間 に 有 意 差 が な か っ た。 投 与 量 は,5 mg 投 与 28 例 62%,7.5 mg 投与 17 例 38%であった。5 mg 投与は,筋 内型 63%(15/24),下腿型 62%(13/21)で,両群間に有意 差がなかった。投与回数は,平均 8.4±9.1 回で,筋内型 7.7±8.2回,下腿型 9.1±10.3 回で,両群間に有意差がな かった。   導 入 は 45 例 全 例 で 達 成 し た。 導 入 中, 発 熱 10 例 22%, 関 節 痛 5 例 11%, 咳 1 例 2%, 皮 下 血 腫 1 例 2%,鼻出血 1 例 2%が出現した。筋内型では発熱 6 例, 関節痛 3 例,咳 1 例,鼻出血 1 例で,下腿型では発熱 4 例,関節痛 2 例,皮下血腫 1 例であり,両群間に有意差 はなかった。対症療法にて軽快した。 4.導入後の血栓変化  導入後の下肢静脈エコーは,筋内型 23 例では平均観察 期間 9.4±2.5 月の期間に平均回数 2.5±2.9 回,下腿型 20 例では平均観察期間 7.5±2.2 月の期間に平均回数 1.9±2.1 回施行した。両群間に有意差はなかった。  導入後,遠位型では,血栓変化は,消失 51%,縮小 12%,不変 21%,増大 16%で,消失と縮小を合計した有 効が 63%であった(Table 4a)。筋内型では,消失 39%, 縮小 22%,不変 17%,増大 22%で,有効は 61%であっ た。下腿型では,消失 65%,縮小 0%,不変 25%,増大 10%で,有効は 65%であった。有効率としては両群間に 有意差がなかったが,縮小は筋内型で有意に高かった (P<0.05)。不変や増大は,両群間で有意差がなかった。 5.導入後の右心負荷変動  導入後の心エコーは,筋内型 19 例では平均観察期間 Table 2b Right heart load diseases

Co-existent disease Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type Cardiac disease

 Aortic valve regurgitation (2/4≤*)  Aortic valve stenosis (25 mmHg≤**)  Mitral valve regurgitation (2/4≤*)  Tricuspid valve regurgitation (2/3≤*)  Chronic atrial fibrillation

 Post-acute myocardial infarction Pulmonary disease

 COPD  Acute PE  Bronchial asthma Collagen related disease  Raynaud’s syndrome 6 1 5 (21) 7 (29) 2 0 1 1 (4) 1 1 3 1 6 (29) 5 (24) 0 2 3 2 (10) 1 2 *: grade, **: pressure gradient

PE: pulmonary embolism, COPD: chronic obstructive pulmonary disease

Table 2c Clinical grades of heart failure

Clinical grade Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type Chronic (NYHA) I (no) II (palpitation, et al) III (dyspnea) IV (orthopnea) Acute (SVS*) I (growing edema) II (tachycardia, et al) III (shock) IV (cardiac arrest) 24 12–6**  7–5 12 (50)  4–2  5 (21)  1–1 14 (58)  9  5  0  0 21  9–5  4–3 12 (57)  7–6  8 (38)  1–1 15 (65)  6  7  2  0

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9.2±11.0月の期間に平均回数 2.2±2.4 回,下腿型 17 例で は平均観察期間 8.2±11.6 月の期間に平均回数 2.2±2.5 回 施行した。両群間に有意差はなかった。  導入後,遠位型では,NYHA-II 度以上の有症状は, 53%から 24%へ有意に減少した(P<0.01)(Table 5a)。 NYHA-III度以上の重症も,26%から 0%へ有意に減少し た(P<0.01)。有症状は,筋内型では 50%から 21%へ有意 に減少したが(P<0.05),下腿型では 57%から 28%の減少 は有意ではなかった(Table 5b)。重症は,筋内型では 17%から 0%へ有意に減少し(P<0.05),下腿型でも 38% から 0%へ有意に減少した(P<0.01)。  導入後,右室収縮期圧測定ができた 36 例では,右室収 縮期圧は,36.1±5.4 mmHg から 30.8±5.3 mmHg に有意に 低下した(P<0.001)。筋内型 21 例では 35.9±5.2 mmHg か ら 30.1±4.7 mmHg へ有意に低下し(P<0.001),また,下腿 型 15 例でも 36.3±5.8 mmHg から 31.9±6.0 mmHg へ有意 に低下した(P<0.01)。  導入後,右心負荷重症度としては,肺高血圧は 28%か ら 3%へ有意に減少し(P<0.01),右室負荷も 94%から 61%へ有意に減少した(P<0.001)(Table 5c)。右室負荷 は, 筋 内 型 で は 95% か ら 53% へ 有 意 に 減 少 し た が (P<0.01),下腿型では 94%から 71%の減少は有意ではな かった。肺高血圧は,筋内型では 21%から 0%へと有意 に減少し(P<0.05),下腿型でも 35%から 6%へ有意に減 少した(P<0.05)(Table 5d)。肺高血圧の正常化は,筋内 型 50%(2/4),下腿型 0%(0/6)であったが,右室負荷の 正常化は,筋内型 43%(6/14),下腿型 40%(4/10)であっ た。正常化は,両群間に有意差がなかった。 6.抗凝固療法の治療成績  導入 45 例のうち,3 カ月以内の未受診 2 例を除外し て,3 カ月以上継続できた 43 例を分析した。完了 1 例 2%,継続 33 例 76%,中止 9 例 22%であった。中止は, 出 血 関 連 5 例, 再 発 2 例(死 亡 2 例), 死 亡 2 例 で あ っ Table 3a Acute thrombus distribution in muscular type

Acute thrombus distribution

Unilateral thrombi Bilateral thrombi right leg left leg right leg left leg Single thrombus

 Proximal vein  Central vein  Lateral vein  Distal lateral vein  Medial vein  Distal medial vein Multiple thrombi 2 0 2 0 0 0 0 0 10* 0 6 0 0  4* 0 1 10  0  6  0  0  4  0  1 8 0 6 0 0 2 0 3 *: p<0.05

Table 3b Acute thrombus distribution in crural type Acute thrombus

distribution

Unilateral thrombi Bilateral thrombi right leg left leg right leg left leg Single thrombus

 Anterior tibial vein   Proximal vein  Peroneal vein   Central vein   Lateral vein   Distal lateral vein  Posterior tibial vein   Medial vein   Distal medial vein Multiple thrombi 3 0 0 4 3 0 0 2+1* 0 0 2 2 0 0 5** 1 0 0 0+1* 1 0 3 5 0 0 2+1* 5 0 0 1 0 0 3 6 0 0 1+1* 5 0 0 0+2* 1 0 2 *: 6 cases with old crural thrombi and new soleal thrombi, **: P<0.01

Table 4a Changes of local thrombi Thrombus

change Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type case No. (%)Distal type Disappearance Decrease Same Increase Total No.  9 (39)  5 (22)*  4 (17)  5 (22) 23 13 (65)  0 ( 0)  5 (25)  2 (10) 20 22 (51)  5 (12)  9 (21)  7 (16) 43 *: P<0.05

Table 4b Changes of local thrombi and risk factors Thrombus change

Risk factor Muscular typecase No. (%) case No. (%)Crural type Same:

 Local factor   gait disorder   leg ope./ trauma  General factor Increase:  Local factor  General factor   heart failure   warfarin/ steroid 4 (17) 4 4: r-3, l-0, b-1 0 0 5 (22) 0 5 3: r-0, l-2, b-3 2: r-1, l-0, b-1 5 (25) 5 3: r-1, l-1, b-1 2: r-1, l-1, b-0 0 2 (10) 0 2 0 2: r-1, l-1, b-0 r: right, l: left, b: both

(6)

た。出血関連は,調整困難 2 例,出血不安 1 例,脳出血 1例,脳梗塞 1 例であった。再発は,中枢進展 1 例,肺 塞栓症疑 1 例であった。死亡原因は,再発 2 例では呼吸 不全,死亡 2 例では拒食と自殺であった。累積生存率 は,遠位型 88%で,筋内型 84%,下腿型 94%となり有 意差がなかった。死亡を含む中止の累積回避率は,遠位 型 43%で,筋内型 53%,下腿型 42%となり有意差がな かった。  抗凝固療法中,血栓変化の不変では,筋内型 17%,下 腿型 25%で両群間の有意差はないが,局所因子の歩行障 害が存在した(Table 4b)。また,血栓変化の増大では, 筋内型 22%,下腿型 10%で両群間の有意差はないが,全 身因子の心不全と薬剤性凝固亢進が存在した。筋内型で は,増大 5 例から進展再発 1 例と症候性肺塞栓疑 1 例が 発生した。血栓分布としては,右下肢の中央静脈の慢性 期血栓から内側腓骨静脈の急性期血栓に進展し,また左 下肢の中央静脈の急性期血栓から呼吸困難発作が発症し た。下腿型では,増大 2 例から進展再発や肺塞栓は発生 しなかった。 考  察 1.筋内型と下腿型の病態  遠位型において,筋内型が初発血栓で,下腿型は筋内 型からの進展血栓であることが病理学的にも考察されて いる3, 5)。新旧血栓を含めて血栓分布を分析すると,筋内 型では,初発血栓より再発血栓が多い16, 18)。筋内型の発 生過程,あるいは筋内型から下腿型への進展過程は,未 だ十分に解明されていないが,危険因子と静脈還流を規 定する下腿筋ポンプや心肺機能が複合的に関与すると考 えられる16)。診断時の危険因子,血栓分布,右心負荷 は,治療選択の指標となる可能性がある。  危険因子に関して,下肢深部静脈血栓症の経時的要因 (初発因子,発生因子)と部位的要因(局所因子,全身因 子)から解析した1, 16)。筋内型では,大部分が診断時の危 険因子による再発血栓であり6, 16),初発血栓は疾患や外傷 による歩行不能の時期に発生することから,問診や診察 から初発時の危険因子を判断できる。初発時の危険因子 を初発因子,診断時の危険因子を発生因子として,選別 Table 5a Alterations of clinical grade in distal type

NYHA

grade Pre-anticoagulantcase No. (%) Anticoagulantcase No. (%) Total No. I II III IV 45 21 (47) 12 (27) ・・・24 (53) 10 (22) ・・・12 (26)  2 ( 4) 45 34 (76) 11 (24) ・・・11 (24)**  0 ( 0) ・・・ 0 ( 0)**  0 **: P<0.01

Table 5b Alterations of clinical grade in muscular and crural types

NYHA

grade Pre-anticoagulantcase No. (%) Anticoagulantcase No.(%) Crural type I II III IV Muscular type I II III IV 21  9 (43)  4 (19)・・・12 (57)  7 (33)・・・ 8 (38)  1 ( 5) 24 12 (50)  8 (33)・・・12 (50)  3 (13)・・・ 4 (17)  1 ( 4) 21 15 (71)  6 (19)・・・6 (28)  0 ( 0)・・・0 ( 0)**  0 24 19 (79)  5 (21)・・・5 (21)*  0 ( 0)・・・0 ( 0)*  0 *: P<0.05, **: P<0.01

Table 5c Alterations of RVSP grade in distal type RVSP (mmHg)

grade Pre-anticoagulantcase No. (%) Anticoagulantcase No. (%) Total No. Normal (30>) RV load (30-39) PH (40≤) 36  2 ( 5) 24 (67)・・・34 (94) 10 (28) 36 14 (39) 21 (58)・・・22 (61)***  1 ( 3)**

RVSP: right ventricle systolic pressure, RV: right ventricle, PH: pulmonary hypertension

**: P<0.01, ***: P<0.001

Table 5d Alterations of RVSP grade in muscular and crural types RVSP

grade Pre-anticoagulantcase No. (%) Anticoagulantcase No. (%) Crural type Normal RV load PH Muscular type Normal RV load PH 17  1 ( 6) 10 (59)・・・16 (94)  6 (35) 19  1 ( 5) 14 (74)・・・18 (95)  4 (21) 17  5 (29) 11 (65)・・・12 (71)  1 ( 6)* 19  9 (47) 10 (53)・・・10 (53)**  0 ( 0)*

RVSP: right ventricle systolic pressure, RV: right ventricle, PH: pulmonary hypertension

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した16)。また,下腿筋ポンプ障害など片下肢血栓に関与 する危険因子を局所因子,そして心肺機能障害など両下 肢血栓に関与する危険因子を全身因子として,区別し た16)。筋内型と下腿型では,初発因子として,局所因子 と全身因子は,頻度差がなく,同等の関与と考えられ る。また,発生因子としては,局所因子は全身因子と 2 倍以上の頻度差があり,局所因子の関与が強いと考えら れる。局所因子の歩行障害と伏在静脈瘤は,筋内型と下 腿型に共通する発生因子,また全身因子の心不全は,筋 内型に特異な発生因子として関与する可能性がある16) 診断時の発生因子として,回避困難な歩行障害や心不全 は抗凝固療法を選択する根拠となりうる。  血栓分布に関して,下肢静脈エコーによる両下肢のひ らめ筋内静脈・下腿静脈の血栓部位から決定して分析し た1, 12)。ひらめ筋内静脈において,筋内型では,片下肢血 栓は右下肢より左下肢に多く,両下肢血栓は左右差がな いという特性を再確認した16)。下腿型でも,筋内型から の同時進展であれば,この特性が確認できるはずである が,確認できないことから,異時進展が多いと考えられ る。一方,下腿静脈において,片下肢血栓は後脛骨静脈 より腓骨静脈に多いことを確認した3, 5)。筋内型から下腿 型への進展では,ひらめ筋・内側静脈から足部静脈環流 の流出路である後脛骨静脈への内側経路より,ひらめ 筋・中央静脈から下腿筋ポンプの中心である腓骨静脈へ の中央経路の進展が多く,反復性再発による中央経路の 異時進展が塞栓化に関係するものと考察される6, 16)。診断 時の血栓分布として,筋内型の中央静脈血栓や下腿型の 腓骨静脈血栓は抗凝固療法を選択する根拠となりうる。  右心負荷に関して,心エコーによる右室収縮期圧から 右心負荷の重症度を判定して分析した1, 6)。筋内型と下腿 型では,両下肢腫脹は 60%以上,NYHA-II 度以上の有症 状 も 50% 以 上 で あ り, 右 心 不 全 の 症 候 と 考 え ら れ る6, 9, 10)。右心負荷の重症度としては,両型とも,右室負 荷 90%以上,肺高血圧 20%以上が判明した。右心負荷の 基礎疾患としては14),心疾患の僧帽弁閉鎖不全や三尖弁 閉鎖不全,肺疾患の COPD は,筋内型より下腿型で高率 ではあるが,有意差がなかった。基礎疾患による右心負 荷に反復性の肺塞栓が発生すると,遠位型でも肺高血圧 に進展する可能性が予測される。診断時の右心負荷とし て,右室負荷や肺高血圧の存在は,抗凝固療法を選択す る根拠となりうる。 2.遠位型の抗凝固療法  抗凝固療法は,近位型では,投与法の確実性から,ヘ パリンとワルファリンが第一選択である1, 2)。しかし,遠 位型では,近位進展や重症肺塞栓症の予防と考えられ, 投与法の侵襲性や調整検査の必要性を考慮して選択する ことになる3, 4, 6, 8, 10, 11)。調整検査を必要としない Xa 阻害 薬やトロンビン阻害薬が普及しつつあるが19, 20),抗凝固 作用を微調整できるワルファリンの利点も少なくない。  抗凝固療法の外来導入は,わが国では一般化していな い1, 20)。フォンダパリヌクスとワルファリン 3 mg で開始 して,PT-INR 1.5 以上で導入完了としたが,体重 70 kg 以上やワルファリン抵抗性の患者では,投与回数が 14 回 以上になる場合があった。過剰体重には,ワルファリン の開始時増量で対応できるが,ワルファリン抵抗性で は,ワルファリンの中途増量などの工夫が必要となる。 皮疹と掻痒により,フォンダパリヌクスを 2 例で中止し たが,重篤な出血や HIT はなかった20)。発熱や関節痛は 因果関係が明確ではなく,発熱と共に,胸水を認める場 合には,肺塞栓症を考慮するが,肺高血圧の場合には再 灌流障害の可能性もある。フォンダパリヌクスによる外 来導入は,歩行障害や心不全のない遠位型に適した方法 と考えられる。  抗凝固療法の短期成績として,累積生存率 88%,中止 の累積回避率 43%であり,筋内型と下腿型の相違はな かった。主な中止理由は,出血関連と死亡であった。出 血関連では,脳出血では片麻痺が残存した。死亡では, 病死 2 例は COPD とパーキンソン病による呼吸不全であ り,剖検がないため肺塞栓症の関与を排除できない。抗 凝固療法中の再発は,増大を再発に含めると,局所再発 7例となり,筋内型 1 例で腓骨静脈への進展再発,他の 筋内型 1 例で肺塞栓様症状が発生した。再発率は,遠位 型 16%で,筋内型 22%,下腿型 10%となり,筋内型に やや多い傾向にある。再発因子として,全身因子の心不 全や薬剤性凝固亢進の関与が考察される6, 16)。抗凝固療法 により,回避できない再発因子を 84%まで抑制可能と なる。 3.抗凝固療法の治療効果  遠位型に対する抗凝固療法の治療効果を検証するに は,導入前後の血栓や塞栓の変化を定量的に評価する必 要がある6)。筋内型と下腿型を対比して,導入前後の血 栓変化と右心負荷変動を分析した。  経時的な血栓変化は,下肢静脈エコーの性状評価によ り定量的に判定できる1, 12)。経時的な急性期血栓の形態変 化を消失,縮小,不変,増大に区別した6)。消失は溶 解,縮小は退縮,不変は局所再発疑,増大は局所再発・ 進展再発に対応すると考えられ,治療効果として,消 失・縮小は有効,不変・増大は無効と判定した。遠位型

(8)

では,有効 63%で,筋内型 61%と下腿型 65%で有意差 はなく,筋内型では縮小が優位,下腿型では消失が優位 な傾向にあった。筋内型では再発血栓の退縮,下腿型で は進展血栓の溶解が多いと考えられる。一方,無効で は,増大は下腿型より筋内型に多い傾向にあり,筋内型 の再発傾向が推察される18)  一方,経時的な塞栓変化では,肺塞栓症の頻度を検討 した研究はあるが9~11),右心負荷の変動を検討した文献は 確認できなかった。経時的な右心負荷変動は,心エコー の右室収縮期圧に反映される6)。NYHA 機能分類の重症 度と右室収縮期圧により,治療効果を分析した。導入に より,筋内型では,右室収縮期圧は有意に低下し,かつ NYHA-II度以上や右室負荷が有意に減少した。運動圧迫 療法が約 90%を占める先行研究では6),右心負荷に有意 差がなかったことから,抗凝固療法による治療効果と判 断されうる。右心負荷の軽減効果から,肺血管床の改善 が推定される4, 6)。一方,下腿型では,NYHA-II 度以上や 右室負荷が有意に減少せず,また肺高血圧の正常化はな かった。筋内型単独と比較して,異時性の下腿型では進 展前の筋内型からの経過が長いため,肺血管床の改善効 果が乏しいと考えられる3, 5, 6, 10)。抗凝固療法による筋内 型から下腿型への進展抑制の重要性が示唆される。  右心負荷の病態が基礎疾患により異なることから,抗 凝固療法による治療効果にも相違がある。とくに,弁膜 症において,僧帽弁閉鎖不全や三尖弁閉鎖不全などの右 心系疾患では,大動脈弁閉鎖不全などの左心系疾患よ り,治療効果の発現が遅延する傾向にあった。右心系疾 患では,より厳格な対策が必要と考えられる。 4.遠位型の治療選択  日本循環器学会のガイドラインでは,急性下肢深部静 脈血栓症の病型として,中枢型(近位型)と末梢型(遠位 型)が記載されているが,治療選択の相違には言及してい ない1)。遠位型では,外科的血栓摘除術やカテーテル血 栓溶解療法の適応はなく,抗凝固療法や運動圧迫療法が 中心となる1, 2)。抗凝固療法は,重症肺塞栓症の合併例で は適応となるが4),未だ賛否両論がある3, 6~8, 10, 11)。肺塞栓 症は,造影 CT や肺血流シンチグラムにより診断され, 広範型,亜広範型,非広範型に分類される1, 2)。しかし, 画像検査では,予後を規定する右心負荷の重症度評価が 困難である。遠位型では,抗凝固療法の適応を判定する 指標として,心エコーによる右心負荷の重症度評価を先 行させ,造影 CT の必要性を判断するのが妥当と考えら れる。また,抗凝固療法の適応を判断する指標として は,診断時の血栓分布や再発因子も有用である16)。近位 型の経過観察において,D ダイマーの 0.5 μg/ml 以上への 増加は再発の指標となりうることが示された15)。また, 筋内型では,D ダイマーの 0.5 μg/ml 以上の陽性率は,血 栓変化の縮小で 15%,増大では 90%と有意に高率とな り,反復性再発の可能性が示唆された6)。D ダイマーの 正常は除外診断に有用であるが,下肢静脈エコーで血栓 が存在する場合には,D ダイマーの正常からの増加によ り急性発生を予測できる可能性がある。  遠位型の治療選択においては,急性期血栓と D ダイ マー 0.5 μg/ml 以上を必要条件とし,血栓分布,右心負 荷,再発因子を十分条件として,遠位型+肺高血圧,下 腿型+右室負荷,筋内型+右室負荷+再発因子,の場合に は,抗凝固療法を考慮する必要がある6, 16) 結  論  1.遠位型において,抗凝固療法による血栓変化では, 有効率は 63%で,筋内型 61%と下腿型 65%で有意差が なかった。  2.抗凝固療法による右心負荷変動では,右室収縮期圧 が有意に低下し,40 mmHg 以上の肺高血圧は筋内型と下 腿型で,また,30 mmHg 以上の右室負荷は筋内型で有意 に減少した。  3.抗凝固療法により,筋内型では下腿型より広範な右 心負荷の軽減効果が期待できる。 利益相反  著者,共著者に開示すべき利益相反はありません。 文  献 1) 安藤太三,伊藤正明,應儀成二, 他:肺血栓塞栓症およ び深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイド ライン(2009 年改訂版).循環器病の診断と治療に関す るガイドライン(2008 年度合同研究班報告),日本循環 器学会,東京,2009

2) Kearon C, Akl EA, Comerota AJ, et al: Antithrombotic ther-apy for VTE disease: Antithrombotic Therther-apy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines. Chest 2012; 141: e419S-94S

3) Lohr JM, Kerr TM, Lutter KS, et al: Lower extremity calf thrombosis: to treat or not to treat? J Vasc Surg 1991; 14: 618–623

4) Ohgi S, Tachibana M, Ikebuchi M, et al: Pulmonary embo-lism in patients with isolated soleal vein thrombosis. Angiol-ogy 1998; 49: 759–764

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Online publication September 10, 2015

5) Kageyama N, Ro A, Tanifuji T, et al: Significance of the soleal vein and its drainage veins in cases of massive pulmo-nary thromboembolism. Ann Vasc Dis 2008; 1: 35–39 6) 應儀成二,應儀長子:孤立性ひらめ筋内静脈血栓と肺

高血圧との関連.脈管学 2012; 52: 353–359

7) Sales CM, Haq F, Bustami R, et al: Management of isolated soleal and gastrocnemius vein thrombosis. J Vasc Surg 2010; 52: 1251–1254

8) Gillet JL, Perrin MR, Allaert FA: Short-term and mid-term outcome of isolated symptomatic muscular calf vein thrombo-sis. J Vasc Surg 2007; 46: 513–519; discussion 519

9) Hughes MJ, Stein PD, Matta F: Silent pulmonary embolism in patients with distal deep venous thrombosis: systematic review. Thromb Res 2014; 134: 1882–1885.

10) Lautz TB, Abbas Farah, Walsh SJN, et al: Isolated gastrocne-mius and soleal vein thrombosis: Should these patients receive therapeutic anticoagulation? Ann Surg 2009; 251: 735–742 11) Horner D, Hogg K, Body R, et al: The anticoagulation of calf

thrombosis (ACT) project: results from the randomized con-trolled external pilot trial. Chest 2014; 146: 1468–1477 12) 應儀成二,金岡 保:肺塞栓と深部静脈血栓症の超音 波診断.Jpn J Med Ultrasonics 2004; 31: J337–J346 13) 應儀成二,岩井武尚,安藤太三,他:ひらめ筋内静脈 群の頻度と正常径.静脈学 2011; 22: 263–269 14) 中西宣文,安藤太三,植田初江,他:肺高血圧治療ガ イドライン(2012 年改訂版).循環器病の診断と診療に 関するガイドライン(2011 年合同研究班報告),日本循 環器学会,東京,2012

15) Cosmi B, Legnani C, Cini M, et al: D-dimer and residual vein obstruction as risk factors for recurrence during and after anti-coagulation withdrawal in patients with a first episode of pro-voked deep-vein thrombosis. Thromb Haemost 2011; 105: 837–845

16) 應儀成二,應儀長子:孤立性ひらめ筋内静脈血栓の分 布特性と危険因子との関連.脈管学 2013; 53: 159–166 17) Reporting standards in venous disease. Prepared by the

Sub-committee on Reporting Standards in Venous Disease, Ad Hoc Committee on Reporting Standards, Society for Vascular Surgery/North American Chapter, International Society for Cardiovascular Surgery. J Vasc Surg 1988; 8: 172–181 18) 應儀成二,應儀長子:孤立性ひらめ筋内静脈血栓と抗

核抗体との関連.脈管学 2010; 50: 417–422

19) Büller HR, Davidson BL, Decousus H, et al: Fondaparinux or enoxaparin for the initial treatment of symptomatic deep venous thrombosis: a randomized trial. Ann Intern Med 2004; 140: 867–873

20) 近藤克洋,渡部宏俊,大村淳一,他:静脈血栓塞栓症 に対する初期治療としてのフォンダパリヌクスの有効 性・安全性.静脈学 2013; 24: 410–418

Anticoagulant Therapy of the Soleal Vein Thrombosis:

Changes of Local Thrombi and Alterations of Right Heart Load

Shigetsugu Ohgi1 and Nagako Ohgi2

1Department of Vascular Surgery, Hitachi Memorial Hospital, Shimane, Japan 2Department of Internal Medicine, Hitachi Memorial Hospital, Shimane, Japan

Key words: soleal vein classification, soleal vein thrombosis, crural vein thrombosis,

ultrasonography, risk factor

Changes of local thrombi and alterations of right heart load by the anticoagulant therapy were investigated in the patients with soleal vein thrombosis (SVT) and crural vein thrombosis (CVT). The subjects were 24 in the SVT and 21 in the CVT. In the changes of local thrombi, the effective rate of disappearance and decrease in size was 63% and was not significant between the SVT and the CVT. In the alterations of right heart load, the right heart systolic pressure decreased significantly. The rates of the patients with pulmonary hypertension more than 40 mmHg were significantly reduced in both SVT and CVT, and the rate of the patients with right ventricle load more than 30 mmHg was significantly reduced in the SVT. Anticoagulant therapy could give more extensive reduction of the right heart load to the patients with SVT than those with CVT.

Figure 1  Six groups of veins in the 6 circulatory areas of soleal  muscle and their drainage veins.
Table 1a Initial risk factors
Table 2c Clinical grades of heart failure
Table 4b Changes of local thrombi and risk factors Thrombus change
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参照

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