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令和 年度前期 中国語科目の遠隔授業に関して

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令和 年度前期 中国語科目の遠隔授業に関して

荒 木 雪 葉

.はじめに

本稿は、令和 年度前期に実施した福岡大学における 中国語科目の遠隔授業についての記録と考察である。

令和 年 月 日(月曜日)に厚生労働省より中国・

武漢市で「原因不明肺炎」が発生していると報告 され、

月 日に初めてこの肺炎の原因が「新型コロナウイル ス」であると言及 、さらに 月 日に日本国内に 名 の感染者が報告 されて以降、新型コロナウイルスへの 感染は日本国内にも広がり、令和 年 月 日時点(

年 月 日までの累計)で陽性者数 , 人となってい る 。

感染の広がりにともなって、福岡大学でも本来 月 日の予定だった令和 年度前期の開始が 週間延期され て 月 日となった。共通教育中国語科目についても遠 隔授業の可能性もあるとして、 月 日に中国語を担当 する専任教員による会議が開催され、シラバスに記載さ れた前期の範囲の遠隔授業用教材の作成が開始された。

これは非常勤講師にも提供されたものである。また 月 日に政府から発令された緊急事態宣言を受け、福岡大 学では 月 日付で遠隔授業(インターネット環境を用 いたリアルタイム配信型、オンデマンド型、教材配信型 等)を実施することを決定した。

さらにリアルタイム配信型授業に用いるウェブ会議シ ステムとしては当初 Zoom の利用が検討されていたが、

月 日に CISCO Webex Meetings の導入が決定され た。専任・非常勤も含むほぼすべての中国語担当教員が ウェブ会議システムを用いた遠隔授業を行うのが初めて であったため、 月 日と 日の両日に Webex トライ アル会議を開催した。これらを経て 月 日(金曜日)

に前期授業が開始されることとなった。

前期授業の準備段階から前期終了までの期間中には、

準備期間が短かったことによる問題や想定外のトラブ ル、 月に発生した令和 年豪雨災害による影響など、

遠隔授業ならではの様々な問題が発生した。また半期の 授業を通して、学生側からの様々な要望を得ることもで きた。そこで本稿では福岡大学としての遠隔授業準備や 筆者個人の工夫、Moodle や福岡大学独自の学生教育・

生活支援関連システム、また福岡大学公認ストレージ サービスである FU̲Box を活用した授業の方法につい て記録し、前期終了時に収集した学生の声を反映した改 善点を提示して、今後の遠隔授業に資することとする。

福岡大学における共通教育中国語の概要

福岡大学の共通教育中国語科目には「中国語Ⅰ A」

「中国語Ⅰ B」「中国語Ⅱ A」「中国語Ⅱ B」の 科目が ある。中国語Ⅰ A・中国語Ⅰ B は初学者向けであり、

主に一年次生が受講する。ほとんどの学部でⅠ A・Ⅰ B を両方受講することになっている。つまり中国語の授業 を週に 回受講することになる。中国語Ⅱ A・中国語

Ⅱ B は中級中国語で、前年度以前に中国語Ⅰ A・中国 語Ⅰ B を受講した学生が受講する。Ⅰ・Ⅱのいずれも

「A」は会話中心、「B」は文法と文章読解中心の授業で ある。

また中国語Ⅰ A と中国語Ⅰ B はそれぞれ独立した科 目であるが、同じ教科書を用いている。これは福岡大学 のオリジナル教科書であり、 年から使用され始め、

年から福岡大学中国語教科書研究チームが毎年改訂 を重ね、毎年改版して出版されている。 年度の教科 書は『漢語課本 』 である。この教科書は、クラス 担当が専任であるか非常勤講師であるかに関わらず、中

福岡大学教育開発支援機構共通教育研究センター外国語講師

厚生労働省 中華人民共和国湖北省武漢市における原因不明肺炎の発生について 令和 年 月 日、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage

̲08767.html(参照: 年 月 日)

厚生労働省 中華人民共和国湖北省武漢市における原因不明肺炎の発生について(第 報) 令和 年 月 日、https://www.mhlw.go.jp /stf/newpage̲08873.html(参照: 年 月 日)

厚生労働省 新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について( 例目)令和 年 月 日、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage

̲08906.html(参照: 年 月 日)

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708̲00001.html(参照:

年 月 日)

福岡大学中国語教科書研究チーム『漢語課本 』金星堂、 年

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国語Ⅰ A と中国語Ⅰ B 全てのクラスで使われている。

中国語Ⅱ A と中国語Ⅱ B もそれぞれ独立した科目で あり、中国語Ⅱ A は共通テキスト『漢語課本Ⅱ』 を用 いている。また中国語Ⅱ B は共通テキストの準備中で あり、 年度は専任教員と一部の非常勤講師のみが『漢 語課本Ⅱ B 中国語で読む福岡物語 福岡旅情故事 試 用版第三版』 を用いている。

以下、筆者個人が行った遠隔授業の準備と実施につい て、

.事前準備

.実際の授業

.前期授業の振り返り

.結論

という構成で考察を進める。

.事前準備

‐ .遠隔授業用教材の作成

‐ ‐ .共通教材の準備

「はじめに」で言及したように、福岡大学の中国語担 当専任教員により、 月 日から遠隔授業用教材の作成 が開始された。教材はどの教科も 課を つのパワーポ イントファイルにまとめることとなった。筆者の担当は 中国語Ⅱ B 用の教材であったため、ここでは中国語Ⅱ B 用教材に関してのみ触れる。

教材は製本された教科書、教科書の練習問題の解答が 掲載された教授用資料、教科書付属の音声(本文、練習 問題[ ])の 点が準備されていた。教材の作成に際 しては、教授用資料に掲載されていなかった作文課題の 模範解答、また本文と練習問題[ ]以外の音声ファイ ルを福岡大学共通教育研究センターの外国語講師である

王毓雯講師が作成し、それらを用いて筆者がパワーポイ ント教材を作成し、王講師が最終的にチェックを行うと いう方法で行った。またパワーポイントのスライドは基 本的に教科書に掲載されている順で作成した。ただし教 科書では本文の次に本文の新出単語が、また ! 法の次に

!法の新出単語が掲載されているが、本文を読んだり!

法に取り組んだりする際にはまず単語を学習したほうが 効率的だと考え、「本文の新出単語」「本文」「说一说 (設 問、模範解答)」「 ! 法の新出単語」「 ! 法」「練習問題(大 問 問ごとに解答を掲載)」の順でスライドを作成した。

以下、実際の作成において工夫した点を挙げる。

①本文に関して

本文は各課 文字前後で作成されているため、一度 に 枚のスライドに掲載することができなかった。そこ で各課において本文を 〜 分割し、大きな文字で見や すくした。

本文部分のスライドは、「本文 」「本文 と日本語 訳」「本文 」「本文 と日本語訳」……の順で作成し た。本文の内容は王講師から渡されていた教科書データ を PDF 化し、パソコンの Print Screen 機能を利用して PDF ファイルを表示した画面を撮影することで画像 データを作成して用いた。また教科書付属の音声ファイ ルを加工して、「本文 」のスライドには当該箇所の音 声ファイルを添付し、クリックすれば音声が流れるよう にした。以下すべての「本文 n」スライドは同様に行っ た。

「本文 と日本語訳」スライドには、本文の内容を表 示させたまま下部に日本語訳を表示した。こうすること で中国語文と日本語文とを対照することができるように するねらいである。以下全ての「本文 n と日本語訳」

趙葵欣・董玉婷『漢語課本Ⅱ 改訂版』朝日出版社、 / 年

福岡大学中国語教科書研究チーム 漢語課本Ⅱ B 制作班 王毓雯・荒木雪葉・宮下尚子『漢語課本Ⅱ B 中国語で読む福岡物語 福岡旅 情故事 試用版第三版』卿雲堂、 年

図 中国語Ⅱ B 共通教材 本文 n と日本語訳スライド例

左が「新出単語」、右が「本文 と日本語訳」。

「本文 と日本語訳」にも本文の音声を付し、日本語訳を見ながら中国語の発音を確認するなど様々な使い 方ができるようにした。

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スライドは同様に作成した。

②䈪ж䈪に関して

「说一说」は本文の内容を中国語で問われ、それに中 国語で解答する問題で、各課 問準備されている。解答 は本文の中にあるため、この部分では解説をせず、解答 のみを提示した(図 )。

③䈣⌋に関して

語法は教員によって説明に差が出る可能性があるた め、必要最低限の説明にとどめた(図 )。

④練習問題に関して

練習問題の進行方法についても教員によって差が出る ことが予測された。例えば完全オンデマンド方式であれ ば詳細な解説を掲載することが必要となるが、リアルタ イム配信型授業であれば教員からの説明があれば済む。

そこで準備する教材には問題と解答のみを掲載し、教材 を使用する教員が必要と判断した場合には各自解説を書 き込むという方式にした。図 は練習問題のスライドの 一例である。

なお毎課の練習問題[ ]はリスニング問題であるた め、教科書付属音声を付し、スライド上で問題を確認で

図 中国語Ⅱ B 共通教材 語法のスライド例

上は教科書の語法部分 。簡単な解説と追加事項、例文が記されている。

下の 枚の画像のうち、左が語法 の 枚目、中が語法 の 枚目、右が語法 の 枚目。視覚的に分か りやすいように文字に色をつけた。例えば語法 では間接目的語を黄色で、直接目的語を赤で表し、教員が 口頭で説明する部分を青文字で表現した。また例文にはもともと音声が付属していなかったため、王講師が 録音したものを用いて音声を付した。

図 中国語Ⅱ B 共通教材 「䈪ж䈪」の出題と模範解答スライド例

『漢語課本Ⅱ B 中国語で読む福岡物語 福岡旅情故事 試用版第三版』、 ページ。

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きるようにした。

⑤共通教材の準備についてのまとめ

共通教材は教員による改変が可能となるよう、汎用性 の高い教材を作成するように心がけた。具体的には、語 法解説はシンプルで煩雑にならないようにし、練習問題 は解答のみを提示し解説は加えないという点に注意し た。

以上が共通教材の作成についてである。この教材を筆 者の担当する授業で用いるにあたっては、さらに使いや すく、学生に意欲的に取り組んでもらえるように独自の 改変を行った。次節では独自教材の準備について紹介す る。

‐ ‐ .独自教材の準備

筆者は授業形態としてオンデマンド授業を主とし、

CISCO Webex Meetings(以下 Webex)によるリアル タイム配信型授業を副として用いる方法を選択した。

月の前期開始時点で、学生の通信状況がいかなるものか 掴めなかったためである。学生によっては用いることの できる通信機器がスマートフォンのみである可能性があ り、しかも家庭によっては Wi-Fi 環境が無いことも考え られたため、リアルタイム配信型授業だとパケット通信

量が膨大になる恐れがあった。学生は中国語の授業のみ を受講するわけではなく、 週間に コマ以上の講義を 遠隔授業で行うことになるため、通信料を節約できる部 分は節約させてあげるという配慮を行った。以下に述べ る独自教材は、全てオンデマンド教材として作成したも のである。

中国語Ⅰ A・Ⅰ B、また中国語Ⅱ A クラスの教材は、

すでにほかの教員によって準備されていた教材を用いて 作成を行った。なお教科書の内容や付属音声の使用につ いて、著作権に抵触することが考えられたが、教科書出 版社に問い合わせたところ、教科書を購入する学生には 教科書の内容をコピーして作成した教材を提供すること が許諾された。以下、初級クラスである中国語Ⅰ A・

Ⅰ B と、中級クラスである中国語Ⅱ A・Ⅱ B とに分け て紹介する。

①中国語Ⅰ A・Ⅰ B 教材

中国語Ⅰ A・Ⅰ B の前期前半の授業は発音編である ため、オンデマンド授業で中国語の発音をいかに教える かがポイントとなった。共通中国語教科書『漢語課本

』に付属している音声を活用して教材を作成した。

特に基本となる母音・子音の発音については、例年だ と学生の目の前で実際に発音するときの口の形を見せら

図 中国語Ⅱ B 共通教材 練習問題と解答スライド例

図 中国語Ⅱ B 共通教材 リスニング問題と解答スライド例

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中国語Ⅰ A・Ⅰ B 独自教材における発音説明の例

・単母音 e の説明:日本語の「え」ほどハッキリした音で はありません。「え」の口の形のまま「おー」と言うと、

きれいな音になります。

・単母音 ü の説明:日本語の「う」を言う口の形のまま、

口の中では「いー」と言います。

・子音 x の説明:「静かに!」の意味の「しー!」と出すと きの音が「x」。

・子音 zh+単母音 i の説明:日本語の「ぢ」の発音を、舌 全体を センチほど奥に引っ込めた状態で発音します。

(「無気音」です)

・子音 r+単母音 i の説明:「zh」「ch」「sh」の発音のときの 舌の位置、口の形を動かさないまま「りー」と言ってく ださい。それが「ri」の音です。

・鼻母音‐n と‐ng の違いの説明:「n」とあれば、舌を上あ ごの内側にピタッとつけて発音をとめる。

「ng」とあれば、「ng」の直前の音を発した口の形のま ま、のどの奥だけで「ん」と言う。

れるので、学生もそれを真似れば何となく発音できてい たが、今年度は実際に口の形を見せることができないた めに文字で説明することとした。そこで「いかに中国人 と同じような発音をするか」よりも、「日本語の 音を ベースに、いかに中国語の発音に近づけるか」のほうに 重点を置いて説明を行った。以下に例を示す。

また第 回から第 回の 回分の授業(第 課〜第 課、 回の授業で 課分進む)では、中国語Ⅰ A クラ スは会話練習と簡単な文法解説、中国語Ⅰ B クラスは 詳細な文法解説と短い文章の読解練習が予定されてい

た。そこで教材作成においては、以下の点に留意した。

・中国語Ⅰ A:教科書に提示された会話文を確実に発音 できるようになることを目標とした。 課分に費やす 回の授業のうち、最初の授業では会話文について簡 単に文法解説をし、教科書に記載された設問について 会話文中から答えを作文する問題に取り組ませること にした。また 回目の授業では、会話文を見ながら録 音を聞かせて確認した後に、「中国語と日本語訳を見 ながら録音の後について発音」「中国語を見ながら録 音の後について発音」「日本語訳のみを見ながら録音 の後について発音」をして、日本語から中国語を連想 する練習をした。この方法は 年度までにも授業で 用いていた。

・中国語Ⅰ B:教科書の語法解説部分には文型と例文の みが掲載されており、詳細な語法の説明は無いため、

語法の詳細な解説を行う必要があった。さらに本文の 読解においては、 文ずつ詳細な解説をつけた。図 に文法解説の一例と本文の読解の例を提示する。

作成したスライドは Microsoft PowerPoint の機能を 用いて動画にした。学生の通信事情をなるべく圧迫しな いように、ファイルサイズは 件 MB 未満となるよ うに心がけ、また動画の長さは 分程度に抑えるように した。

図 中国語Ⅰ B 独自教材 語法と本文スライド例

左の教科書をもとに作成したスライド

左の教科書をもとに作成したスライド

『漢語課本 』、 ページ。

『漢語課本 』、 ページ。

教科書の「動詞述語文」解説箇所

教科書掲載の「本文」

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②中国語Ⅱ A・Ⅱ B 教材

中国語Ⅱ A と中国語Ⅱ B は中国語Ⅰ A 及びⅠ B を前 年度までに履修した学生が受講する科目である。中国語

Ⅰ A・Ⅰ B の教科書は福岡大学の統一教科書であり、

改訂事項も把握しているため、発音はもちろん、どの文 法を学んできたのかということは、教員は把握すること ができている。そこで教材も、既習の事項を復習をしつ つ、新規学習事項を分かりやすく解説することに努め

た。また中国語Ⅰ A・Ⅰ B と同じく動画形式で準備し た。

中国語Ⅱ A・Ⅱ B ともに単語の音声は Moodle に準備 し、必要な学生が各自アクセスできるようにした。また 教材作成においては、以下の点に留意した。

・中国語Ⅱ A:教科書の構成は「会話文」「語法」「練 習」から成っている。まず会話文の発音と解釈に取り 掛かるために、新出語法を指摘する必要があった。そ

図 中国語Ⅱ A 独自教材 会話文スライド例

日本語訳を確認。文中で(??)としてある箇所は、当日の課題として出題した。

図 中国語Ⅱ B 独自教材 練習問題スライド例

各解答に対する詳細な解説。通常の授業時に言及する事項を記入した。

会話文の発音を確認 新出語法を確認

第 課練習問題

〇がついているものは当日の課題として出題。

解答一覧

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・BGM や効果音の作曲:テキスト音楽「サクラ」(https://

sakuramml.com/)

・テキスト付属の音声を含む既存音声の編集・wave 形式で の保存:

Sazanami(細 波 庵 http://hp.vector.co.jp/authors/VA0270 69/)

・midi ファイルの wave 形式での録音:

WaveClipper ( http : / / t-ishii. la. coocan. jp / hp / wc / index.

html)

WaveClipper の「ループバック録音」機能で、midi ファ イルを再生しつつ録音した。

・wave ファイルから mp ファイルへの変換:

えこでこツール(https://ja.osdn.net/projects/ecodecotool /wiki/FrontPage)

こで図 のように 段階で本文を学ぶこととした。

さらに図 に示した練習問題においては、第 課まで は模範解答のみを提示していたが、第 課以降は各解 答に対する詳細な解説も提示することとした。

・中国語Ⅱ B:共通教材とし準備したものに改変を加 え、動画化して準備した。共通教材との違いは以下の 通りである。

共通教材では 課を ファイルとして作成したが、シ ラバスでは授業 回で 課進むとしてあるため、「本 文の購読と本文中における語法解説」「語法の詳細な 解説」「練習問題」の 回に分割した。さらに練習問 題部分においては、中国語Ⅱ A の資料と同様に各解 答に対する詳細な解説を付した。

③教学内容以外で気を付けた点

どの科目においても学生が興味をもって学んでもらえ るように、音楽やイラスト、色彩を多用した。イラスト は基本的にフリーで使うことができる「いらすとや」

のものを使用した(図 参照)。また動画の BGM や効 果音ファイルは筆者の創作物を用いた。以下に音声編集 等のために筆者が使用したソフトウェアを記載する。い ずれもフリーソフトである。

‐ .CISCO Webex Meeting を用いた授業の可能性 福岡大学ではリアルタイム配信型授業ツールとして CISCO Webex Meeting を採用した。どの教員も Webex を用いた授業は初めてであるため、 月 日・ 日の両 日、筆者の主催で中国語担当専任教員と非常勤講師が参 加する Webex トライアル会議が開催された。ここでは Webex を用いてどのような授業が実施できるかの説 明、実際の授業にあたっての注意事項などが共有され、

最終的な授業方法として Webex で 分間完全に授業す るというのは現実的ではないため、ゴールデンウイーク 明け頃までにオンデマンド授業に Webex ライブ授業を

適宜用いるというような授業方法を模索するということ が確認された。

そこで筆者は、次のような授業方法を設定した。

・教員は授業日の 日前までには授業資料を準備し、学 生がアクセスできるようにしておく。同時に後述する

「授業支援」機能で学生に一斉メールを送る。

・学生は基本的に教科書と準備した動画のみによってそ の日の学習内容を学ぶ。

・教員は授業時間には必ず Webex クラスをオープン し、パソコンの前に待機しておく。

・学生が発音の確認をしたい場合、また教員への質問が ある場合は、授業時間内であればいつでも Webex ク ラスにアクセスし、教員とやり取りすることができ る。

‐ .Moodle の準備

‐ では授業で用いる教材について、また ‐ では リアルタイムライブ授業も含めた授業方法を述べた。こ こでは学生とやりとりする場所となる Moodle の準備に ついて触れる。

‐ ‐ .毎回の授業の準備

Moodle 上に各科目のコースを作成し、各回の授業ご とにトピックを作成、動画の PDF 版と課題を準備し た。前期授業開始前には Moodle への同時アクセス数が 制限されていたため、動画は Moodle 上には置かず、後 述する FU̲Box にのみ格納した。なお動画の PDF 版を 準備したのは、通信環境の問題で動画を見ることができ ない学生がいることを想定したからである。

また毎回の出席は課題の提出の有無で判断することと した。課題提出には Moodle の「課題」機能を用いた。

課題には基本的に点数をつけ、期末試験が実施できない 場合には課題の点数で成績評価ができるようにした。課 題内容は昨年度までの定期試験 の内容を鑑み、教科書 に出てくる会話文や例文、本文、また練習問題から出題 するようにした。また中国語Ⅱ A は動画による教科書 の解説の一部を伏せておき、その内容を答える問題にし た。中国語Ⅱ B は練習問題中に自由記述の作文があり、

学生が自分で採点するのは難しいと思われたため、そこ を課題として提出させることとした。

さらに前年度までにも、全ての科目で Moodle を利用 して教科書の内容を受けたワークプリントを配布してい た。これは今年度も継続して行うこととした。

‐ ‐ .小テスト作成

中国語Ⅰ A・Ⅰ B では第 回授業(第 課)以降に

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福岡大学の中国語Ⅰ A・Ⅰ B では、教育内容の平等化を図るために共通定期試験問題を採用している。非常勤講師が共通試験を採用する かどうかは自由であるが、専任教員は同じ科目で原則的に同じ試験を行っている。

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Moodle の「小テスト」機能を用いた課題を課すことと した。小テストの形態はそれぞれ以下の 種類である。

〈 〉内には Moodle の問題タイプを記載した。

①中国語Ⅰ A

・提示された日本語単語に合うピンインで書かれた中国 語単語を選択肢から選ぶ〈組み合わせ問題〉

・提示された日本語単語に合う簡体字で書かれた中国語 単語を選択肢から選ぶ〈組み合わせ問題〉

・録音された中国語文の発音を聞き、ピンイン・簡体 字・日本語訳を選択する〈多肢選択問題〉

②中国語Ⅰ B

・提示された日本語単語に合うピンインで書かれた中国 語単語を選択肢から選ぶ〈組み合わせ問題〉

・提示された日本語単語に合う簡体字で書かれた中国語 単語を選択肢から選ぶ〈組み合わせ問題〉

・提示してある中国語単語を並べ替えて、日本語に合う 中国語文を作成する〈ミッシングワード選択問題〉

③中国語Ⅱ A・Ⅱ B について

Moodle による小テスト作成は自動的に点数計算を行 うことができるため便利であるが、事前に設定した解答 と一言一句合致していないと正答判定を出すことができ ない。中国語Ⅱ A、Ⅱ B の課題は自由作文が多く、ま た学生の語彙も増えているため解答のバリエーションが 予測された。そこで Moodle の課題機能を用いて手書き した解答を撮影して提出、あるいは打ち込み形式で解答 させることとした。

‐ ‐ .発音課題の提出

第 回授業以降に Moodle 小テストを導入するため、

Webex クラスにアクセスしない学生とのやり取りの機 会が無くなってしまう。また Webex クラスへのアクセ スが無い学生の発音のチェックをする必要もあった。そ こで指定された課題の発音をスマートフォンなどで録音 して Moodle の課題機能を通じて提出させる発音課題を 課すことにした。

‐ .FU ポータル「授業支援」の活用

福岡大学独自の教学システム「授業支援」には、次の 機能がある。

・小テスト:単一選択式、複数選択式、自由記述式の小 テストが作成できる。

・課題:定められた形式のファイルを提出させる課題を

作成できる。

・意見交換:意見交換用 BBS を作成できる。

・授業管理:学生に対する伝達事項を書き込み、同時に メールを送ることができる。

・講義内容:各回の授業内容を詳細に書き込むことがで きる。

これらの機能のうち「授業管理」では、履修者の大学 メールアドレスへのメールが送信できる。これは学生個 人に対して送信することも、クラスごとに一斉に送信す ることもできるものである。そこで筆者はこの機能を使 用し、授業の 日前までに、当日のために準備した授業 教材の格納場所等を記載したメールを送信することとし た。

‐ .FU̲Box の活用

福 岡 大 学 公 認 ス ト レ ー ジ サ ー ビ ス で あ る FU̲Box は、クラウド・コンピューティングサービスである。ユー ザはあらゆる形式のファイルを自分の割り当てられた保 存場所に格納しておくことができる。

格納したファイルは「共有」機能で他者と共有するこ とができる。遠隔授業教材を格納し、「共有」機能を用 いて共有リンクを取得、上記「授業支援」の一斉メール 送信機能で各回の教材へのリンクを送信することとし た。

また FU̲Box には他者から自分の領域にファイルを アップロードしてもらう「ファイルリクエスト」機能が あり、課題の提出に使うことができるということであっ た。しかし − で後述するように、実際の授業におい て用いたところ、筆者にとっては不便であることが分 かったので、 日限りで使用するのをやめた。

.実際の授業

‐ .遠隔授業用教材の提供方法

教材の提供は ‐ に記述したように FU̲Box を通じ て行うことができたため、授業開始時には FU̲Box を 主とし、Moodle を副として用いた。しかし毎回の授業 前メールの作成を負担に感じたため、途中から Moodle による提供に切り替えた。

Moodle に動画を置く場合に留意すべきはファイルサ イズである。これに関してはポータルサイトに 月 日 に掲載された「お知らせ」によれば、 MB を越える データは FU̲Box のみを利用するようにとあった。筆 者が準備した動画は全て 件につき MB 以内であっ たため問題ないと判断し、教材提供は Moodle を主と

なお並べ替え問題については〈ドラッグ&ドロップテキスト問題〉の形式で作成するほうが手軽であると判明したため、一時は後期から この形式で作成することにした。ただし 名のみではあるが、〈ドラッグ&ドロップテキスト問題〉で作成された小テストを回答中にドラッ グできなくなったと相談してきた学生がいたため、〈ミッシングワード選択問題〉形式に戻した。どの形式で作成された問題が最も個々人の 通信環境に左右されないかという点についてはさらに検討する必要がある。

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し、Moodle の動画掲載箇所に FU̲Box 上のファイルへ のリンクを記入しておく方法に切り替えた。

Moodle に動画を掲載するメリットは、複数のサービ スにアクセスする必要がなく、教材の閲覧から課題提出 までの全ての学習を Moodle 上で完結できる点である。

また FU̲Box にも同 じ 動 画 を 置 い て お く メ リ ッ ト は、動画の再生速度を変更して閲覧することができる点 である。教員としては再生速度を変更せずに閲覧してほ しいのではあるが、学生は再生速度を速めて閲覧したい ようであった。これは筆者がたまたま複数の学生が、FU

̲Box は再生速度が変えられないのが良くない点だと言 い合っているのに遭遇したために知ることができた情報 である。この学生は FU̲Box 上で再生する場合に速度 を変えることができるのを知らなかったと思われる。の ちに FU̲Box 上で確認してみたところ速度を変更でき ることが判明したため、Moodle に動画を置くことにし た後も学生の需要を考えて FU̲Box にも動画を置くこ ととした。

‐ .Webex による授業

実際の授業では、各科目とも初回授業は可能な限り Webex クラスにアクセスしてもらい、イントロダクショ ンを行った。通信環境の関係でアクセスできない学生も いると予測し、読めば理解できる PDF 資料を作成、あ らかじめ Moodle や FU̲Box で提供した。Webex クラ スではその資料をファイル共有機能で示しながら話を進 めた。

回以降は完全に ‐ に述べた授業方法に切り替え た。学生からのアクセスについては次のとおりである。

多い時で 回の授業につき 人の学生のアクセスがあっ たが、平均すればほぼアクセスは無かった。アクセスの 理由について、文法に関する質問はほとんど無かった が、発音の確認のために複数回アクセスしてきた学生が いた。また筆者が中国語Ⅰ A を担当しているクラスの 学生が中国語Ⅰ B クラスで分からなかった点を質問に 来る場合もあった。他に課題の提出方法や課題に対する 解答内容の事前確認のためのアクセスがあった。

‐ .Moodle での学生とのやりとり

‐ ‐ .課題

中国語Ⅰ A・Ⅰ B では第 回から第 回(第 課〜

第 課)に、また中国語Ⅱ A・Ⅱ B では全ての回にお いて課題を提出させた。いずれのクラスに対しても、課 題提出は授業日の 日後の : までとし、次回授業日 の前日までには採点を済ませ、誤答があればコメント機 能で解説を行うことを心掛けた。

‐ ‐ .小テスト

小テストは自動で点数を集計し、学生は受験後その場 で自分の解答の正誤と点数が分かるため、小テストによ る課題開始後はこの機能による学生とのやりとりは無 かった。小テストで懸念されるのが不正行為である。完 全な不正行為防止はできないものの、小テストには時間 制限を設けて、問題が表示されてから教科書を開いて解 答を探していると時間が足りなくなるようにした。その 代わりに小テストは 回まで受験可能とし、 度目の受 験の点数に不満がある場合は一旦教科書を復習しなおし てから再度受験できるようにした。

‐ ‐ .発音課題に関して

発音課題の提出は、パソコンからは難しくないであろ うと想像できた。しかし iPhone でも Andriod 端末でも 可能かどうかを事前に自分で試したところ、スマート フォン内の録音データの場所がスムーズに探せない場合 もあることが分かった。そこで「ファイルを選択」ボタ ンで現れる「写真またはビデオを撮る」でビデオ撮影(画 面は真っ暗なままやノートなどを撮影しつつで良いの で、声はきちんと録音する。もちろん発音中の口の形が チェックできるので、顔を映しても良い)で提出するこ とも可能であることを発音課題の詳細に記載しておい た。その結果、発音課題の提出はスムーズに行われ、提 出できないという連絡は 件も無かった。提出ファイル 形式は .m4a、.mov、.wav、.mp3 ファイルが主であった が、.pptx ファイルや.amr ファイル、.aac ファイルで提 出する学生もいた。

また発音課題は 週に 度課しており、次の発音課題 が課される前には全員のチェックを終え、文字によるコ メントを返すようにした。

‐ .FU ポータル「授業支援」の実際の活用方法 福岡大学独自の教学システム「授業支援」では、大学 からの要請に応じて授業内容と評価方法の変更点を「授 業内容」に記入した他は、「授業管理」によるメール送 信機能以外は用いなかった。授業開始前には「授業支援」

の「課題」機能を用いた発音チェック課題を課そうと考 えていたが、「授業支援」システムでは音声ファイルの 受け付けができなかったため断念した。

「授業管理」によるメール送信機能の使い方として、

授業の連絡を行った以外には、 月初旬に発生した豪雨 災害に際しての連絡も行った。

‐ .FU̲Box の実際の使用方法

FU̲Box は授業のための教材を格納する以外には用い なかった。

授業開始日に行った クラスのみ、FU̲Box のファイ

ルリクエスト機能を用いて課題を収集したが、この方法

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だとどの学生がいつ提出したか、どのファイルがどの学 生のものかが一目で判別できず、また提出していない学 生の有無の判別のために つ つファイルを開いて確認 する必要があった。そこで課題の収集は提出日時や提出 の有無が一目瞭然であり、かつ課題ファイルに学籍番号 と氏名を付した状態でダウンロードできる Moodle での み行うこととした。

.前期授業の振り返り

中国語Ⅰ A・Ⅰ B の学生に対して、前期最終講義の 課題として前期の授業の感想を書いてもらった。ここで は学生の感想をもとに、前期授業の振り返りを行う。

‐ .遠隔授業用教材について

遠隔授業用に準備した教材一覧は下記の通りである。

・教材動画(全科目)

・動画の PDF 版(全科目)

・各課の内容に対応したワーク(中国語Ⅰ A・Ⅰ B)

・分かりにくい文法事項の詳細な解説プリント(中国語

Ⅱ A・Ⅱ B)

この他に、Windows での中国語簡体字入力設定方 法を解説した PDF ファイルも全科目の Moodle コース 上に準備した。

これらに対し、中国語Ⅰ A・Ⅰ B の学生からは次の ような感想が得られた。

オンデマンド形式であることについては、良かった点 は「音声が途切れるなどが無く、また動画を巻き戻して みることもできた」「授業日より前に教材が提示され、

また課題提出までに余裕があったため、自分に都合の良 いタイミングで受講できた」「後期も遠隔授業ならば同 じ形式が良い」等が挙げられる。反省点としては「パソ コンに詳しくない学生はきつかったと思う」「直接のや り取りがないので発音に不安が残った」等の感想があっ た。改善を要求する意見としては「通信環境の問題で動 画のダウンロードに 分以上かかった。動画、動画の PDF 版のほかに音声のみのファイルを準備してほし い」という意見があり、これは後期授業でぜひ準備した いと考えている。

‐ .Webex での授業について

‐ の「直接のやり取りが無かった」という意見を くれた学生は複数名いたが、直接のやり取りの場として Webex クラスを開講していたことをもっと分かりやす く伝えるべきであった。後期には発音の確認や質問を気 軽に行えるような雰囲気づくりをしたい。また通信環境 が原因で Webex クラスにアクセスできない学生もいる 可能性があるため、これは改善策を練る必要がある。

‐ .Moodle について

Moodle に関する一番の問題点は、アクセスが集中す ることによってログインや教材閲覧ができなくなること であった。これに関しては授業日の夜遅くに学生から Moodle にアクセスできず課題がどうしても授業当日中 に提出できない旨を知らせるメールを受け取ることも あった。深夜 時を過ぎてからメールが送られてくるこ ともあったが、学生の不安を解消することが大切である と考え即時返信を心がけていた。これは教員側の負担と なるため、大学のサーバに起因するトラブルは未然に防 止する方法を考えなければならない。

‐ ‐ で述べたように、 月 日の授業開始時には Moodle への同時アクセス数が非常に少なく制限されて いた。実際、福岡大学のポータルサイトには、授業開始 日である 月 日 : 時点で Moodle にアクセスが集 中しログインできにくい状況になっているという情報が 掲載された。これに対しては 月 日夜間に緊急メンテ ナンスが行われて改善が図られたものとみられる。ただ し 月 日、 月 日、 月 日、 月 日にもアクセ スが集中しログインできにくくなっていた。特に 月 日と 日は学期末であり、学生が課題に集中してアクセ スしたことが原因だと思われる。これらに対し、情報基 盤センターによって 月前半にシステム更新が行われ た。

‐ ‐ .毎回の授業の課題

前述のとおり、提出された課題に対しては必ず次回授 業までに採点を行い、コメントを返していた。これは発 音課題においても同様である。これに対しては、「先生 のコメントが楽しみだった」という感想を複数受け取っ た。

また発音課題については、Webex クラスで発音指導 を受けたくないという学生も満足したようである。We- bex クラスでの発音指導はほかの学生にも聞こえるから 望ましくないが、発音課題であれば教員にしか発音が聞 かれないので安心できたという旨の感想を書いた学生が いたのである。確かに対面授業における教室での発音指 導は学生と教員との距離が近く、無理に大声で発音させ たりマイクを用いて発音させたりしない限り全ての学生 に発音が聞こえることは無いため、発音を聞かれたくな い学生への配慮ができる。この点が Webex クラスにお ける発音指導に欠けているところだと思われるため、後 期も課題提出による発音指導は引き続き行うこととす る。

‐ ‐ .小テスト

発音編の学習が終わると同時に採用した小テストは、

学生と教員とのやりとりが失われることで教員の存在が

感じられなくなることが懸念された。しかし発音課題を

(11)

課すようにしたおかげか、学生の小テストに対する不満 は見られなかった。むしろ小テスト形式が取り組みやす いため、後期も遠隔授業だった場合も続けてほしいとい う声が聞かれた。

‐ .FU ポータル「授業支援」について

「授業支援」機能では − に述べたように授業情報 メールを送信した他に、 月初旬の豪雨災害時の対応を 行った。具体的には、全クラスに向けて豪雨の被害に遭っ た場合は避難を最優先すること、また授業に取り組めな くなった場合は教員に知らせることという内容のメール を送った。果たして豪雨被害によってインターネットが つながりにくくなったために課題提出が遅れる可能性が あることを伝えてきた学生がいたため、同じことを教務 課にも伝えるように指示したところ、教務課の当該学部 担当者から再度筆者へ連絡があった。

‐ .FU̲Box での教材配布について

前期途中から教材配布に際して FU̲Box と Moodle と を併用したことについて、Moodle に統一しても良いか とは考えていた。しかし学生から、動画の速度を変更し て見られるので FU̲Box で閲覧していたという感想が 届き、やはり FU̲Box での教材配布は必要であること が分かった。

また教材の配布方法に関する要望として、FU̲Box だ けで全ての教材を見られるようにしてほしいというもの があった。FU̲Box にはフォルダ内を閲覧し、格納され ているファイルをダウンロードすることができるという 共有方法がある。この方法も案内し、学生はフォルダを 見ればそこに提供される全ての教材が格納されるように もすると便利である。

.結論

本稿では令和 年度前期に実施した中国語科目の遠隔 授業について、準備と実際の授業、また学生の感想を反 映した振り返りを行った。

総じて、 月 日の中国語担当専任教員による会議で 遠隔授業用の教材作成が決定し、 月 日に大学が前期 の遠隔授業を決定してから 週間後に前期が開始したこ とを考えると、中国語科目として最低限行うべきことは 行ったと言うことができよう。しかし本来であれば実施 すべき定期試験は中止され、シラバスに記載された通り の成績評価が不可能となってしまった。定期試験の実施 法は今後模索していく必要がある。

また筆者自身の授業については、前期を通じて授業方 法や課題の設置場所などの大きな変更はしなかった。こ れに対しては学生から評価を得ることができた。

遠隔授業は教員の苦労もさることながら、学生側の負

担は計り知れない。 週間で 以上の授業を受講し、そ れぞれの教員から大量に課題が出題され、授業ごとに講 義や課題の実施方法が異なっていた。これに関しては、

せめて語学科目の教員同士が情報を共有し、講義の形式 を統一する努力をするべきではないかと思われる。なお 実際の授業において、例えば大学のサーバにアクセスが 集中して Moodle にアクセスすることが難しかったり、

個々の通信環境やブラウザの違いなどの問題で小テスト に取り組むことができなかったりした場合、学生がまず 頼りにするのはその科目の担当教員である。これに対し て教員側は自分が用いている講義システムや学生が用い る可能性があるパソコン・iPhone・Android 端末の扱 い、各端末上での講義システムの見え方や動作をあらか じめ把握しておくことによって、トラブルに直面した際 に学生の質問にしっかりと回答できるようにしておくこ とも必要であろう。こうすることで、問題が起こった際 の学生の時間的また心理的負担を軽減することができる からである。

また授業ごとに出された大量の課題をこなすのに必死 で時間が取れず、オンデマンド方式で行われた筆者の授 業を前期終了間際にまとめて受講した学生もいた。学生 個々人の事情がなかなか教員にまで伝わらないため、学 生の事情を知る方法を確保すること、課題提出や小テス ト受験の遅れをどこまで許容するかについて考えておく ことが課題として挙げられる。

さらに、現時点で最低限行うべき教育は行ったという ことと、学習の質を落とさないということは同義ではな い。しかし対面授業と全く同じ教育を目指していたので は、いつまでたっても遠隔授業の質は向上しないと思わ れる。遠隔授業には対面授業とは異なる強みがあるはず だ。例えば教室での対面授業であれば時間制限もあり、

学生個々人の課題に丁寧なコメントを返すことは難しい が、遠隔授業であればそれが可能となる。また教室では 発言がしづらい学生も、遠隔授業であれば Moodle や メールによる教員とのやり取りで質問や要望を提出しや すくなるといった点である。

現在のような遠隔授業の状況は一時的なものかもしれ

ないが、教室での対面授業ができるようになっても、諸

事情により教室での授業を受けられない学生へは引き続

き遠隔教材の提供をすることもできる。遠隔授業を通じ

て身につけた様々な知識と技術を用いて、遠隔授業の可

能性をさぐり、より良い教材開発や授業方法を模索する

ことが今後の課題である。

参照

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