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腹部 巨大腫癌の診断 と治療 の経過観察 に 6 7 Ga シンチ グラフィが有用であった症例
高山 輝彦 利波 紀久 久 田 欣‑
要 旨
小 児頭大の 巨大腹部腫壇 を有す る
5 9
歳女性 が入 院 した。超音波検査,CT
,血管造影 を総合 した画 像診断は, 肉腫でかつ予後不良 と考 えられた。 しか し,ガ リウムスキャン上は,腹痛に一致 して集積著 明で,悪性 リンパ腫が疑われた。生検の結果 は,悪 性 リンパ腫 (非 ホジキン病)であった。腫癌 は治療 の途 中一時肩 などに転移 を認めた ものの,放射線療 法,Hype r t he r mi a
,化学療法 によ く反応 して全 く 消失 した。患者は,退院 し外来 にて経過観察 中である。ガ リウムスキャンは,診断お よび治療の経過観 察上,非常 に有用であった。
は じめに
巨大な腹部腫痛の診 断 お よび治療 の経過 観 察 に
6 7 Ga
スキャンが非常に有用であった症例 を経験 した ので報告す る。症 例
5 9
歳女 性 で主 訴 は腹痛 で あ る。 家族 歴 , 既 往 歴には特記すべ きものはない。 現病 歴 として5 9
年8
月よ り左下腹部 に鈍痛 を自覚す るこ とが あったが 放置 していた。5 9
年1
1月初 め腹痛で夜 中に覚醒す ることが あった。1 1
月1 5
日近 医受診 し, 胃透視 で 胃の外部か らの圧排 を指摘 され,紹介入院 となる。現 症 と し て,身 長
1 4 3c m
,体 重3 9kg
,平 熱, 左腹部 に小 児頭大の腫癌 を触知す る。 リンパ節は触 れない。血圧正常。検査成績 では,尿,便 ともに正常,赤血球
3 6 9×
Fi g.1 Abdo p ki e dn r i r e e y i na ls s r pa mi e c na ma eo lCTs r ft ka hel ho wsagi e f tki d a ne ntmas y.Thel si nt e he f t bl y c o mp r e s s e d t o t h e ve nt r a ls i debyt hegi a ntm
a s s .
1 0
4, 白血球7, 0 0 0
,Hb
ll. 3 g/ dJ
‑マ トク リッ ト3 2. 6 %
,血 小 板5 0. 5×1 0 4 ,TP6. 8 ( A154. 8,
α1
2. 1 ,α21 2. 1 ,β1 4 . 6 ,γ1 6. 8
ー 7 6‑
・J;;:;: .= ..:., " .",.. ,∵ ∴ 1
Fi g.2 6 7 Ga s c i nt i gr a p hy s ho ws mar ke d ac ‑ c umul a t i o ni nt hegi a ntmas s .
Fi g.3 Abdo mi na lCT af t e r
i r r a di a t i onof1 9. 9 Gy and hype r t he m i a of 4 t i me s s h
o ws de c r e a s ei ns i z eof
t hemas s .
影
( 5 9
年1 2
月6
日)が施行 され たが,超音波検査,
CT
,血管造影を総合した結果,左腎動脈より分岐する被膜動脈を栄養血管とするhypervascular
な肉腫と診断された。しかし
, 67Ga
スキャン(Fig . 2 , 59
年1 2
月15
日)では,腫壇に一致した嘗 峯 . 書 Fig. 4 67Gascintigraphysho wsdecr e a seinsize oftheabdo minalmass, butnewmultiple metas tasesinpelvis,righthil usandleftshoul‑ der.
著明な集積を認め ,その程度は悪性リンパ腫あるいは未分化癌を疑わせた。その後,手術を目的に転科した泌尿器科で左頚部リンパ節の生検が行われ,その結果
, 1
回目(12
月13
日)は試料不十分であったがmalignant丘brous histiosarcoma
の疑い, 2
回目(12
月21
日)malignantlymphoma 54 . 4Gy(28
回分割)の放射線療法の疑いという結果を得た。そこで5
週間にわたり とHyperthermia(10
回)を受けた。
Fig . 3
は放射線19 . 6Gy
,malignantlympho Hyperthermia
その後も治療を続けていたところ左鎖骨上寓の軟部組織に転移とおもわれる腹痛が出現した。 60
年2
月25
日,同塵癌に生検をおこないを4
回受けた時点(60
年1月1
1日)でのCT
像であるが腹痛は明らかに縮小している。ma, (nonHodgkin , diffuse
嘗轟巌
Fi g.5 6 7 Gas c i nt i gr aphyaf t e rc he mo t he r ap hy s ho wsdi f fus e ac c umul a t i on i n t hebi l at e r a l c he s t ,butnoa bno r mala c c umul a t i o n i nt he ot he rr e gi o n.Thi s丘ndi ngsa r es u gge s t i ngt he pr e s e nc e of i nt e r s t i t i al pne umoni a and di s appe a r a nc eoft hemas s .
学療法が開始 され た。Fi
g. 5
は,化学療 法3
クール 終 了 した60
年7
月1日の 6 7 Gaスキャンで あるが,
両肺野に間質性肺 炎 を示唆す るび慢性 の集積 を認め るほかは,前 回認めた異常集積 はすべ て消失 しており,治療 の効果 を明示 してい る。
核医学画像診断
Vo l . 1No. 21 9 8 6 .1 2 ‑ 7 7‑
なお,退 院直前 の
7
月1 5日にお こなわれ た腎生
検 の結果 では悪性 の所見は認め なか った。考 察
微小 な腫痛 は,画像診断上存在診断が困難 で ある が,逆 に巨大 にな りす ぎた場合,質的診断が必ず し も容 易 にな る とは限 らない。 この症例 もその例 で, 質的診断は容 易で なか った。超音波検査,腹部
CT
お よび血管造 影 を稔合 した結 果, 肉腫 が疑 われ た が,実際 は,67 Gaス キャンで疑 われ た悪性 リンパ
腫 で あった。超音波検査やCT
が主 に形態上 の情報 を提供 す るに対 して,67 Gaス キャンは機 能 を反映
す る点が有利 であ る。悪性腹痛 の中で も悪性 リンパ 腫 は6 7 Gaをよ く集 積 す るものの一つであ り1
),2),質 的診断す ら可能 にす る。 また, この症例 では治療 に 対す る経過観察 として6 7 Ga
スキャンが用 い られた が,67 Gaス キャンは全 身 を くまな く観 察 し,かつ
治療効果 も反映 しうる。本症例 は当初 肉腫 と考 え ら れた こ ともあ り,腫痛の 巨大 さ とあわせ て予後 は き わめ て不 良 と考 え られ た。 しか し,放 射 線 療 法,Hyper t her mi a
,化学療 法 を含 め た治療 に よ く反応して腺癌 は全 く消失 した。
現在外来 にて経過観察 中である。 初 診 時 治 療 抵 抗性 と考 えられ る腺癌 で も本例の ご とく,治療 に反 応す る例 もあ り臨床医 としては最後 まで希望 を失 わ ずに診断治療 に専 念すべ きであ る。
文 献