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全文

(1)

全 歌 集

(2)

  一

本 書は︑一条兼良の現存する和歌を︑管見の及ぶ限り集成し︑かつその各句索引を付し︑解説・略年譜を加    へたものである︒

  二

兼 良 は 生 前︿家集﹀を撰しなかつたと思はれる︒従つて︑本書では︑他者詠と共に伝はる多人数百首歌・歌

    会詠草等を収集し︑諸書に点在する和歌を︑その真偽を検討し︑以上を可能な限り編年に配列した︒

  三

本 文は︑作品ごとに編者が善本乃至は代表的な伝本と認定した一本を底本とし︑他に重要と考へられる若干

   の伝本によつて︑適宜校異を示した︒なほ︑底本・校合本は︑各項の冒頭に一括して掲げた︒伝本の書誌・

    系統等は解説を参照されたい︒また︑歌会・歌合等の呼称は︑私にこれを定めた︒

  各

底本は︑次の規準に従ひ翻刻した︒

 1 本文は︑底本の書写形式を残すことを主眼とし︑漢字・仮名遣・畳字等は︑すべて底本のままとしたが︑

   

  漢 字の字体は通行の字体に︑変体仮名は︑通行の平仮名に改めた︒また︑歴史的仮名遣を︵︶に入れ      て︑右傍に注記した︒

 2 底本の書写形態にかかはらず︑和歌はすべて︑上句と下句との間に一字分の空白を設けて︑原則として一

     

行 組

とした︒

 3 便宜上︑和歌に通し番号を附した︒

 4 虫損等による欠損で︑判読不能の箇所は︑その字数分を﹇川︺で示した︒また︑有効な残画があり︑推定

   

  可

能 な箇所は︑固の如く示した︒

 5 判読が困難で︑疑問の残る箇所は︑とりあへず私案を翻刻し︑右傍に︵?Oを附した︒

  五

底 本と校合本との校異は︑漢字と仮名︑畳字等の相違はとりあげず︑仮名遣・字体・表記等の相違等も︑原

  則として省略した︒

(3)

3全歌集篇

︿注V以下は省略した︒

1

永 享 五 年︵一四三三︶三月二十七日足利義教邸歌会

厨U囹静嘉堂文庫蔵﹃瑠璃壼百首﹄︿82・43>所収本

   

・桜花あかぬにほひに万代を いはふ心の色やみゆらん       ︵む︶   春日詠花万春友  和歌       従一位兼良      2 永享百首︿永享五年﹀

         

[ 噛川困百首部類所収本           囲囹困内閣文庫蔵﹁後花園院御百首﹂本︿201・317>    ︵内︶

                宮 内庁書陵部蔵﹁詠百首和歌﹂本︿伏・45>       ︵書︶

                神宮文庫蔵﹁後花園院御百首﹂本く3・696V      ︵神︶

                続 群書類従﹁後花園院御百首﹂本       ︵群︶

  詠 百 首 和 歌     春二十首

   

  立 春

2春はきぬ霞の衣しろたへの

      霞

      ︿注﹀

   

   

   

   

   

   

    従一位兼良 雪

か けほすあまのかく山

(4)

4

O 打きらしーうちきえし︵書神群︶

O え ーか︵﹁枝欺﹂と傍記あり︶

( 書内神︶ Oおりーおも︵書神︶

O 物1も︵群︶

砧 群︵解説参照︶

O 出てーいてし︵書門神︶

       ︵む︶ 3春の色の今一しほやこれならん みとりにかすむいその松原

      鶯

       ︵を︶ 4打きらし雪ふる里の梅かえに おりしる物とうくひすそ鳴

      残 雪

5よし野山つれなくきえぬ白雪や また初春のあり明の月

      野 若 菜

衣 手にかつふる雪をはらふとて 野への若菜はつむひまそなき

 砧はる毎に君かためにと野へに出て わかなとともに年をつむ哉

     

里 梅

7朝日影にほへる山の春風に ふもとのさとは梅かsそする

   

  蒼

  ︵ほ︶ 8とをつ人軒端の梅の花の香に さそはれぬ春は松風そふく

     

      ︵ほ︶ 9春の日のかけみし空もとをからて 光のとけきタつくよ哉

      春 曙

       ︵む︶

血 心 なき難波のあまも忘れては なかめやすらんはるのあけほの

 仙山の端にややわかれ行く横雲の 跡よりかすむ春のあけほの

(5)

5全歌集篇

   

  帰

江 うらみ荏たのむの雁もいまはとて かへす玉つさかけて行覧       春 雨

そ め 残 す しるしもみえす春雨の ふるのにたてる杉のみとりは           ︵む︶   柳 B 青 柳のうちたれ髪やうつるらん 池の玉もにはる風そふく       待 花 u 咲やらぬ花をまつちの山のはに 人たのめなる春のしら雲           ︵む︶   初花

色 ふ か くいつ馴ぬらん山桜 初花そめのころもへすして       見 花

い や しきもよきもさかりの桜花おなし心にあかすとや見る       盛 花 w 有明の空にかさなる雲見れは 月のさかりそ花にうつれる       落 花

       ︵ママ︶      ︵む︶

路 あたにちる花をもかつはうらみなて なと風のみのうきになすらん

(6)

6

O まするーますか︵内︶

21c 21b

み なそこに岸の山吹かけ見えて ふかくなりゆく春の色かな       藤

      ︵む︶

20 松の葉に色こきまする藤の花春の錦のゆかりとや見ん       暮 春

      む 

臨 い か に してもろこし舟も行春を 袖のみなとにしはしとsめん

 鋤はなちりし後はかひなき日数さへ せめてとしたふ春の別路          ︵を︶  恥聞もうし春の別のおしき日に 花さへさそふ入相のかね

    夏十五首    

  更

      ⌒む︶

2

花の色をかふる挟はにほはぬを けさはかとりのなにやたつらん       卯 花

幻 卯花の垣ねやいつこ榊葉に しらゆふかけて神まつるころ             ︵む︶ 待 郭公

つ れ もなき心は見えつ時鳥何たのむらんくるs夜ことに       聞郭公

に またれてきなく初音とも ぬしさたまらぬ郭公かな

(7)

7全歌集篇

o さ

ゆ り

は 1

ゆ か は 葎

o

1け

り 稀

O 岩 瀬 ーいはふち︵内書神群︶

お あま人のしほたれ衣ほしあへすみなとの小田に早笛とる也            ︵む︶   橘

27

い つ となく忍ふむかしを橘の さつきのみとはなににほふらん      

五 月雨

五 月雨はこけのした行山水の 岩こすまてになりにける哉       夏 草

      ︵ほ︶

四 まとふりてふみ見ぬ庭のさゆりはに なをくさかくれ残る灯       夏 月

30 夏の夜はいかなるときそ有明の ころをもまたてのこる月影    

  鵜川

鵜 飼 舟 月もをくらの山かけに やみをしたひてかsりさす也       螢

32

わ きかへる思ひをしれと山川の 滝津岩瀬にとふほたるかな    

  夕立

田 夏の日の入のsすsきうちなひき 二村すきぬ夕たちの雲       蝉

34

吹 はいそへの波もうつ蝉の ねにあらはるs松のかけ哉

(8)

8

35

O 群 夏 ーかせ︵群︶

葺ξ みo

 霞

  巳

 ?  を

  註   e

o か は 1

か と 内

   

  納涼

蹴 川 風

に なひくやなきのいなむしろ しく物なしとすsむ暮哉

 誕おもふとち木の下かけにまとゐして 千年をまつの風そ涼しき

      夏 祓

鈴 さらぬたにたつことやすき秋風に けふのみ夏の御祓せし哉     秋二十首    

  初秋

敷 妙の枕のみこそ白露の 袖にもかよふあきのはつ風       七 夕

38

待 わ た る雲井はるかに思ふ哉あふはほとなきかさsきのはし       荻

       ︵む︶

葉 を な に と嵐のしほるらん 秋の草木はこれはかりかは       萩

    ︵お︶      ︵む︶

秋 風のをとをはけしみたかまとの 尾上の真萩ちりや過なん       虫

但 鳴虫のなみたはしらす秋の野の 草のたもとに露そこほるs

(9)

9全歌集篇

さむけさーさむけき︵内群︶ か O りほーかりいほ︵書内神︶

O 夕つけ鳥もーゆふつけとりは

内書神群︶

0

⑫ 白露の木の葉色とる夕暮に 秋風さむみ雁そなくなる       鹿

娼 ま萩ちるをのs露霜さむからし 妻とふしかのさ夜更てなく      

      ︵お︶

4

津の国のいくたひそてに露かをくしつくもsりの秋の夕暮      

      ︵お︶

萄 秋の田のかりほのま萩ちらまくもをしねいうつく露のさむけさ

      山月 か ひ か ね の 雲 を 嵐のはらふより 月もさやけきさよの中山       野 月

露 む す ふ た まくらの野s夜半の月 床は草葉と影そやとれる

      関月

娼 関の戸も明かたちかくなりぬとや夕つけ鳥も月に鳴らむ       橋月

ω

か しなからの秋の月 いく代をかけてすみわたるらむ

浦 月

品 しほかまの浦の煙は風に消て 月のくまなるうきしまのまつ

(10)

ヱθ

O

秋 風のーあきかせに︵内書神群︶

O まかきーふかき︵書神︶

O もる﹀ーもれぬ︵書︶

 跣月影の雪もつもりの浦風に 猶秋寒し住吉のまつ

      菊

秋風の吹あけの菊の匂はすは 花をも波とみてやすきまし       揺 衣

       ︵を︶       ︵ほ︸

Ω うちすさふしつか衣のおさをあらみ まとをにつちの音そ聞ゆる       霧

      ︵む︶

53

秋 風になひく庵のくれ竹や 霧のまかきのたえま成らん       杜 紅 葉

      ︵ほ︶

囹 舟よする渚のもりの紅葉はs 色そふまsになをそこかるs       河

紅 葉

弱 となせ川紅葉はかりはしくれぬを にしきにもるs滝のしらいと       暮 秋

       ︵む︶

騎 神かきにぬさとちりかふ紅葉哉 しめをもこえて秋や行らん     冬 十五首       時 雨

       ︵ほ︶

十 三 あまりのかみな月 なをや時雨のふりまさるへき

(11)

1ヱ全歌集篇

O 露 ーしも︵群︶

O た え まーたみま︵書神︶

O をたえせてーをたえして︵内書

神群︶ O こすけーこすゑ︵群︶

田 はsそ原ちるとやいはむ時雨とや いはたのをのs木からしの風       霜

59 霜さゆるまのsかや原うつもれて 秋見し露の面影もなし       寒 草

60

秋 まてはみさりし花や桜あさの かれても残る霜のした草      

村 雲

の た え まの空に影見えて 時雨をいつる夜半の月哉       氷

銘 よとsもにさえし嵐の山川に うかふみなはそ氷はてぬる       霰

臼 こほりゐし滝の白玉をたえせて 山の岩ねにふる霰かな             ︵む︶ 千 鳥

鈎 月影はおきに出にけり友千鳥 磯の浪分よるとなくらん       水 鳥

砧 はらひえぬ夜のまの霜はあしへ行かもの羽かひも色かはる迄       浅 雪

今 朝のまにふる白雪はあさはのs こすけも草もそれとみえつs

(12)

12

ーふりつつ⌒内書神群︶ O ましろーふしろ︵神︶

O ふ る也

O まさらんーわたらん︵内書神群︶

O なるらんーなりけん︵内書群︶

なるけん︵神︶

      深 雪

宙 山風もはらふ程こそはらひけめ 尾のへの松の雪のした折       神 楽

       おり

臨 たきすさむ庭火のまへにをく霜は 星の光そさえまさりける

鋤 星 うたふ庭火のまへの霜よりも 神の心のとけやしぬらω       鷹 狩

69

ぬ れ に けりやとsはならぬやかたをの 鷹もましろにあられふる也    

      ︵ほ︶         ︵む︶   炭竃

70

人 しれすさむさをこふる炭竈の 煙もなをやしたこかるらん

   

  歳 暮

力 筏しのさすともいはす杣川に なかれてはやきとしの暮哉     恋

二 十

首             わたイ ︵む︶ 寄 月恋

乃 この夕ほのみか月のよひくに 影そふことくこひやまさらん       寄 雲 恋

      ︵む︶

か あたり いこまの山の雲となるらん

(13)

13全歌集篇

O な に ーなほ︵内書神群︶

  はイ O 夕暮のーゆふくれは︵内書神群︶

O すらしーすすし︵群︶

なこそーなからそ︵神︶ O うちねーうきね︵内書神群︶

O

       ︵む︶

か くはかりうはの空なる秋風を 我身にしめてなに思ひけん       寄 雨 恋

       む 

ぬ れつsも我やゆかんのよひの雨に やすらふ程をとふ人もかな       寄 露 恋

       はイ

% 袖の露をこはきかうへと思ひせは たs夕暮の風やまたまし       寄山恋

竹 夢にさへあふともみえすうつの山うつsにまさる人のつらさは       寄原恋

殆 わきもこかきぬにはすらしま萩原 うつろふ色にならひもそする       寄 海 恋

乃 しらせはやうさもつらさもありそ海の 浜の真砂のかすをつくして            ハむ    寄橋恋

80

お く山の谷のしはsしまれにたに あふ人なしにこひや渡らん       寄 関恋

81 関守のうちねのよはsあつまちの なこそとゆふそとふにまされる       寄 木 恋

舵 あふ坂はなのみなりけりひとこsう つれなき色に杉たてる山

(14)

O とふーこふ︵群︶

       せイ

O み せ す ーみえす︵書︶みえす︵群︶

     寄草恋

の へ の

尾 花 か もとの名もつらし わか恋草のしけき心に           ︵お︶   寄虫恋

別 されはとてけたぬ思ひにをのか身を徒になす夜半のなつ虫       寄鳥恋

田 明ぬるか君かこぬ夜の数そへて 門田のしきの百羽かく也           ︵む︶   寄獣恋

夜 もすから妻とふしかよ我こひに たれかまさるとなく音くらへん       寄 玉 恋

田 涙こそまつせきあへねうき数を とへとしら玉いはぬたもとに           ︵ほ︶   寄鏡恋

田 草ふかき野守の鏡かりにこし かけたにみせすとをさかりつs       寄 枕 恋

89 あかさりし人の契りのあさねかみ 我手枕にまたもみたれす       寄 衣 恋

      ︵ほ︶

90 しかのあまのしほやき衣かけてなを 思ふもかなしうらみはてなて

寄 糸恋

(15)

15全歌 集 篇

鳥のねにー鳥音︵書神︶

   ときイ

O

ときーあき︵群︶

音イ O ζゑーおと︵内書神群︶       ︵ほ︶       ︵え︶

田 うきふしはなをしけ糸のとしをへて たへぬ思ひにむすほsれつs     雑 十 首       暁 鶏

       ︵む︶

92 誰しかもあふさか山の鳥のねに 旅ねあけぬとおきわかるらん       松

み ちのくのあこやの松もひとならは 忍ふ昔のことやとはまし       竹

       ︵を︶

紅 葉にも花にもあらぬ竹のよの 色にはかはるおりふしもなし      山家

我 庵

は た え す 嵐のならしはに なれはまさらてすみうかれつs    

田家

96

小 山田のひたのかけ縄引結ひ かり庵つくるときそきにける       旅

      ︵ほ︶       音イ

ふ るさとのとをくなり行むまや路に 重ても聞すsのこゑ哉      

浦 鶴

98

の 浦や芦辺のたつの代々をへて 更に雲井に遊ふけふ哉

(16)

16 も oo 内

0 あし原のーあしはらや︵内書神︶

1

      ︵む︶

人 なみに世をや渡らんさほ川の すみにごるをも分ぬみにして    

  神砥

た の む 三 の

 蜘なみならぬあくみそふかき石清水 むすふちきりや代々をかけsん  も        む  社 もてらしみよ 御代を祈るに二心なし       祝 皿 君 か 代

は 浪 しつかなるあし原の やまと島ねそけにうごきなき

   

3 永享六年三四三四︶十月一日宋雅七回忌品経歌

    厨口困宮内庁書陵部蔵﹃品経和歌﹄︿501・816>所収本

      詠 方 便 品 其 知

恵 門

錐 解 難 入 和 歌                 従一位兼良

m い りかたきむくらの門もすむ月の 光のみこそさはらさりけれ       ぐミ︵懐旧︶

へ た

こ し月日なからにうき雲の 又めくりあふ空そしくるs

4 永享六年十二月二十一日新玉津島社法楽歌

    回口幽﹈新続古今集・夏・三〇五

       

[ 園 困宮内庁書陵部蔵吉田兼右筆二十一代集本︿510・13>

(17)

」7全歌集篇

      左 大臣よませ侍し新玉津島社三十首歌に江螢  前摂政左大臣

       ︵む︶

靱 螢とふほり江の波のよることに しくてふ玉の数やそふらん

   

5 室町亭行幸和歌︿永享九年︵一四三七︶十月二十二日﹀

     同囹高松宮蔵有栖川宮旧蔵﹃行幸和歌御会﹄

      端 作 同︵冬日侍 行幸室町第同詠鶴有遽齢和歌︶

                                                従一位藤原兼良

    ︵お︶

皿 ちきりをくよはひやさらに久かたの くもゐのけふのやとのともつる

 ︿参考﹀

        冬日侍 行幸室町第同賦

池上宴群臣一首醐歓為                                                 従一位藤原兼良      

  竜

衰 宴 時 池 上 寛  横流鳳桐載衣冠         吾 僻 湖 海 昇 平日  同沐恩波承此歓

 く注V次歌・序のみ︑以下の伝本と校合した︒

     閥囹困群書類従所収﹁室町殿行幸記﹂本       ︵群︶

             

経 尊

文 閣

庫 蔵

室 「

殿

行 幸 記﹂︿7・13>本     ︵尊︶

(18)

ヱ8

同﹁仙洞三席御会詩歌井序 附永享九年室町亭行幸三船和歌一首井序﹂

〈 13・2V本      ︵仙︶

O

冬日−冬︵仙︶

支 O

流 ー又流︵仙︶

O 臥 −以︵群尊仙︶ O比ー此︵群︶

O 閑 −開︵仙︶

細 O −佃⌒仙︶O定策之ー定策ミ

( 仙︶ O更ー×︵仙︶

O 緑ー保︵仙︶ O巡−退︵群︶ O 索 ー素︵群尊仙︶ O鵡ー我︵群︶

o か も 1も 尊

柿 o

1

仰 仙

o

1

仲 仙

  冬日侍 行幸室町第同詠松色映                       池和歌一首井序                   従一位藤原兼良   東 京 城 外 勝 境 左 相府中名園水引鴨川之支流   山移驚背之品字戯乎大液何臥過比積翠末足比焉   吾 后 乗 万 機 之 余 閑 動  六竜之遊幸漢文駐躍   之 地 再回細柳営之春宋祖定策之時更下韓王   堂 之 雪 不 菅 継 累 聖 之 遺 美 亦 得 観 永 徳

  儀 数 張 釣 天 乎 階 前治世之音盈耳方賦湛露   乎 池 上 嘉 賞 之

燕 楽

波 為侶者

寿

載 皇恩陪廊御宴錐謝逸興於

什柳伸雅懐於楮尾之余其詞日

池 水のなみもいうそふ松かけに なひく玉もは千世のかすかも

(19)

19全歌集篇

6

永 享 十 年︵.一四三八︶二月二十八日宮中歌会始

[ 咽

U

囹 宮 内庁書陵部蔵﹃禁裏御会和歌永享+年﹄︿501・290>

   

  春 日詠松有春色和歌      従一位兼良 皿 み とりそふまつにちきりてわか君の ときはのかけもいくはるかへむ

7 ﹃新続古今集﹄︿永享十一年︵一四三九︶∨所収歌

         ﹇脚U囲新続古今集・恋一・一〇一五          ﹇咽山巴宮内庁書陵部蔵吉田兼右筆二十一代集本

   

      ︵む︶ 題 しらす       前摂政左大臣

珊 なひかすはいかにせんとかすまのあまの たくもの煙思ひたつらむ

8 前摂政家歌合︿嘉吉三年︵一四四三︶二月十日﹀出詠歌

          厨U困続群書類従︵巻第四百十︶所収本         ﹇閥囹困河野信一記念文化館蔵本︿356・967>        ︵河︶

    同﹃歌合集﹄所収本︿123・956>       ︵集︶

(20)

20

O た つ さはらさるはーた﹀さはら

さるは︵河︶

O 永 承々暦ー永承暦︵集︶

ら︵河集︶

O 等 ー

O い くはくーいくそはく︵集︶

O 中ーうち︵集︶

河︶

○ 花 は ーはな

一 番

初 春         左

      女房

鵬 春 風に消る氷のとsめあへす むへも年とは岩そsくなり      

  右

                                    権大納言資広卿         ︵わ︶ 春 きぬとたれ岩代の雪に猶 むすほsれ行松の下草     や まと歌は天地ひらけし神代より︒わか国のならひ︒人のしはさと     成にけれは︒是を好もてあそへは︒名をくちせぬ世に残し︒これを          ︵お︶   まなひたつさはらさるは︒なさけしらぬ人といはる︒かsりけれは     ならの葉の名におふ都には︒万葉集をえらはれて勅撰とはしめをか     れ︒芦原の代々の御門はもsのすへらきにあまり給ぬれとも︒此道  

  今

に た え さるへし︒しかのみならす︒亭子の聖代にはひたり右のつ     か ひ を む す は れ︒村上の御時にはかちまけのこと葉をしるさる︒そ     れ より此かた永承々暦等の内裏歌合︒ならひにわたくしの家くに    

た るまて︒時にのぞみ事にふれて︒つとめきたれる跡︒しらすい

 くはくそや︒或時はあさかの沼のあやめ︒なかくみしかきねをひき

        ⌒を︶ ・   か け︒或時は吹上の浜のきく︒ふかきあさき露をかことsせり︒閨

   の中の夏の扇はおりくの風をあらそひ︒前栽の秋の花はさまく

(21)

21全歌集篇

O 唐のうたーあるひはからのうた

( 河

集︶

O ありけりーありける︵集︶

O な に か は ーなにsかは︵河集︶

O た え に た るーたえわたる︵集︶

O

侍れとーはんへれと︵集︶

O か

sることーかsることを︵河 集︶ Oくせーよ︵集︶

O

をよほさsれはーをよほされは

集︶

O た とひたれはーたとひされは

( 河︶たかひされは︵集︶

つ た つ さはるーた﹀さはる︵河︶

色 を つ くす︒抑六くさのすかたにかなふをとり︒八のやまひをさ

るをよしとする事は︒そのおもむき同しけれはとて︒唐のうたに        ︵お︶ もあはせたる成へし︒こsに春日山の麓のちりをつきては数世にを

よひ︒わかの浦の人なみにたちましりては︒四そちの齢にすきぬる          へえ︶ まて︒春の花のさかへをわすれ︒秋の草とおとろへたる︒あやしの

ひ とりのおきなありけり︒もとよりほたるの窓にむつひす︒雪のつ

くえにうとけれは︒なにかは心の泉みなもと浅からす︒こと葉の花

匂ひふかsらむ︒いはんや歌合は浦のはまゆふかさなれるあとあり

      ︵む︶

といへとも︒あまのあしかきまちかき世にはたえにたるを︒まめや

か に

思        ︵む︶ ひ くはたて侍る事は︒春のあら田かへすくかたはらいたく 侍       ︵お︶ さけりをかへりみさるなるへし︒事ひろきにをよほさsれは︒わつ       ︵お︶ れ と︒かsることおもひとsむるくせなんあやにくにて︒後のあ

か に 三 十 よめり︒この道にすsめ入れんことをこひねかへは︒きのふけふは        ︵む︶ 人 をえたり︒歌はかすをたとひたれは︒をのく二十首を

しめてまなふともからをものぞかす︒かのふみにもたつさはる事を

しらしめむとなれは︒ものsふのたけき家とてもこれをきらはす︒

の よしあしをわかち︒しかまの市のかちまけをさたむる

(22)

22

O ことをもーことを︵集︶

O

か れ これのーかれこれ︵集︶

O わ れ らーわれく︵河︶

O といひあしーナシ︵集︶

O い さsかーいさ〜かはいさsか へ

河︶

O 難 せらるー難をしらる︵集︶

事は︒いにしへの先達もかたきわさにいふめるを︒このたひかくお

こし給へ侍れは︒この道かへりてあさくおほえ侍れと︒たs昔のか

sみ︒ちりの世の末に悌をたにのこさむの心さしなれは︒こsにい        お 

た りて又さしをくへきにあらす︒おほよそひとりの判をもちゐすし

て︒衆の議をとふらふ事は︒われしらぬことをも人しる︒人のいは

さる事も我いふ︒かれこれのこと葉をかよはして︒ほめそしる道を

   ︵む︶

       ︵む︶ つ くさんとなり︒われらかことくは︒詞につけ心につけ︒いまたそ の さかひにいらされは︒たとひよしといひあしといはんも︒なんぞ

まことをとらむや︒あたのいつはり悦ふ事なかれ︒きすなきそしり        ︵む︶

い た む       ︵お︶ 事 なかれ︒いかにいはんや︒その座にあたりては︒いそのか み ふ るのくさくひきみるにをよはねは︒本歌といひ同類といひ︒

見 し事聞しこと︒ゆふへの雲のあとかたなく侍るは︒いとくちをし

きわさならし︒たまくもいひかはせる事ともは︒みなものおほえ        ︵む︶

ぬ ひ        ︵む︶ か ことのみそあるへきを︒もしほくさかきあつめん事は︒はs       ︵お︶     ︵む︶ か りの関のはsかりおほく侍れと︒たsにやみなんことのさすかな

      ︵お︶ れ は︒いさsかにさせてふむしのつsりをけるになんありける︒

左 右の歌︒講頚の後︒をのく難せらるへきよし申侍しかは︒人

(23)

23全歌集篇

ーきさらき︵河集︶ O 右 ーひたり︵集︶

O

きさらきの

O あたーあえか︵河集︶

O

梅の花のーうめのはなのいろの

( 河

集︶

    く一同に申され侍しは︒左歌︒むへもとしとはいはそsくと侍     る︒本歌のより所たよりありてきこえ侍り︒右の歌又すかたあしか    らす︒た\し岩代のむすひ松︒公宴にはあらされと︒はしめのつか

      ︵む︶

    ひ に は 猶こひねかふへくやあらさらんとて︒左の勝にさためられ侍

  り︒

    二

十 番  ︵中春︶

            ︵む︶   左

      法印尭孝

  青 柳 もわつかになひく比よりや うす花さくら匂ひそむらん                ︵を︶       ︵む︶ 右

      女房

m けふまつる三笠の山の梅かsは 神のおとめこ袖やふれけん           む  右 は源氏物語に女楽の日女三宮の御かたちをたとへ侍るとて︒きさ     らきの十日はかりの青柳の︒わつかにしたりはしめたらん心地し         ︵を︶   て︒鶯の羽風にもみたれぬへく︒あたにみえ給ふとあり︒此事を思    

ひ       ︵を︶ て よめるにや︒いとおかしくこそ侍れ︒右は求子のうたに︒梅の     花のことみかさの山のおとめをはすてsとうたひ侍れは︒その事と    は聞え侍れと︒青柳の糸のしなひには立ならふへくもあらさるを︒

       ⌒む︶

 なとてか持とつけられ侍らん︒いとおほつかなくこそ侍れ︒このつ

(24)

24

O 神 威 ー神感︵河︶ Oとはーと

( 河︶ O侍りけりーはへりける

( 河

集︶

O

つ 〜ちーつsら︵河集︶

O といへる歌のーとの︵集︶

O

つ sちーつらs︵河︶

O つ

sちーつ〜ら︵河集︶

O な くーすくなく︵集︶

    か ひ        ︵む︶ を 判せられ侍しは︒きさらき十日の事なりけり︒時こそありけ     れ︒その日しも春日のおほんまつりにあたりて侍りしかは︒神の納     受 うたかひなきよしを人々申侍りて︒かつは永年の例にまかせつ     s︒神威をもて持とはしるされ侍りけり︒

    三 十

番  ︵後春︶

        左        右衛門督  咲藤のわかむらさきのかさしにも かくれぬ老の浪そかひなき                ︵ひ︶ 右

      女房

皿 浅 み とり野原のつsち末つゐに 春のいやおひと成にける哉

    ︵を︶

  左

は        ︵ひ︶ お りてかさsむ老かくるやといへる歌の心をとりて︒かくれぬ     老

浪 そ か ひ な きといへり︒右はひき野sつsちすゑつゐにといへ     る歌の詞をかりて︒春のいやおひと成にける哉とよめり︒ともに本     歌 を 忘 す といへとも︒若紫の藤猶色ふかくして︒あさみとりのつs     ち︒さらにみ所なく侍るに︒持にさため侍るはいかなることにかあ     りけむ︒

    五 十 番

( 初 夏︶

      女房

(25)

25全歌集篇

O な よーなき︵集︶

O 万 葉のー万葉︵集︶

O なしーなく︵河集︶Oかなーか

は︵河集︶

めしとやーためしもや︵集︶ O か くへきーかへへき︵集︶ Oた

O 勝 負ー勝劣︵河︶

O かへすくもーかへすく︵河︶

春 m

過 て 夏 箕の河になくかもの あをはにしける山の陰かな         右        持和朝臣   忍 ふ な よ卯月のものと時鳥 空にもしめをゆふくれのこゑ     右歌︒空にもしめを夕くれの声なと優に聞え侍り︒左は万葉の古風     を 存せるはかりにて見所なく侍を︒勝とさためられ侍るは︒ひとへ    

に あたのいつはりに侍るへし︒

    六 十蕃H ︵中夏︶

        左        女房

皿 さ月とて咲や橘まひなしに たsなのるへきほとsきすかな                ︵む︶ 右       入道二位   挟にも千代をかくへきためしとや ぬま江の菖蒲けふは曳らん     左 歌︒あやしの翁か歌に侍りけり︒風情のつきぬるにより︒みs遠     き旋頭歌をさへひきゐて侍れは︒勝負なとの事は思ひもかけ侍ら     ぬ を︒右の歌のさたに不及︒左右なく勝字を付られ侍りぬる︒かへ     すくも片はらいたくこそ侍れ︒

    七 十 七

番  ︵後夏︶

  左        常秀

(26)

26

O

左 歌 −左の歌︵河︶

の 歌︵河︶

O 右

歌 ー右

O ほ りーほか︵河集︶ O思ー思給

( 河

集︶

O よ しーよしとり゜︒<歎︵集︶

O す﹀みてーすsめて︵河︶

O 奇 語 −寄語︵集︶

O まとひーまよひ︵集︶

〇 ーおほゆるを︵集︶ 一 番 ー百番︵河︶ O覚へ侍るを

O い へるーいへるや︵河集︶

  み そ きするかもの川浪いつとかは たsすの杜にかよふあき風         右

      女房

取 み な月の照日のあせの流出て かへらぬは身のよはひなりけり     左 歌︒たsすの森にかよふ秋風なと︒優に宜しくきこえ侍り︒右歌    は例のつたなき詞に侍りけり︒あせのなといへるたくひ︒古人も詠           む  せ さるにはあらされとも︒ほりもとめたる躰裁なからあやしく思侍     るを︒いかなる事にか有けん︒勝へきよし申人々も侍りしを︒尭孝     法 印すsみて申侍りしは︒此たひの歌合は上世のまつりことをした    ひ︒中興の業をこひねかはれ侍れは︒いかにも正しき風をあふき︒

    す た れ        ︵む︶ ぬ る路をすくはるへきを︒かへりて耳なれぬ僻字をもとめ︒

    目をおとろかす奇語をえらはれ侍らはいかsはせん︒初学いよく     このみちにまとひ︒後輩さらにかの非をさとることなからむ︒其故     は六百番歌合に後京極摂政の詠︒あら玉のとしを雲井にむかふとて     けふ諸人にみき給ふなりと読給へるを︒判者五条三品は︒あら玉の

    ︵お︶       ︵え︶

   

な とをかれたる︒一番のつかひとは覚へ侍るを︒下句のみき給ふな

 りといへる︒無下にたs詞に侍らむと申き︒部のはしめの左の歌に

れ は︒かたく勝のよしを申へかめれと︒かの三品は此みちの

(27)

27全歌集篇

O い た は るーいたはり︵集︶

    本 意 を 存せしによりて︒ことはの中にも猶詞をいたはる躰を執せら            ︵む︶ れ しにや︒照日のあせなと︒作例あるへき事は申に及す侍れとも︒

    此 歌 勝         ︵わ︶ 侍 りなは︒道のため心もとなくや侍らんとありしかは︒かの  

  直

言 誠 に ことはりをせめておほえ侍れは︒まけに付られ侍るへきよ     し申侍りしを︒猶折中の儀をもてなためられしにや︒持とつけられ     ぬ るこそかたはらいたくおほえ侍れ︒

    九 十一番 ︵初秋︶

        左

      女房

鵬 山かけや秋とあらしの吹なへに 聞もかなしき日くらしの声               ハむ  右        常秀   古郷の秋は誰にか忍ふらん またほに出ぬ荻の上かせ     左︒日くらし︒聞よくも侍らぬうへ︒かなしきなといふ詞︒いたく     さのみ用へきに︐あらさるをや︒右︒又穂に出ぬ荻の上風なと優にき     こえ侍り︒尤勝侍るへきを持と付られ侍るは︒こsうもとなくこそ     おもひ給れ︒

    百 番

中秋︶

  左

      女房

(28)

28

O し侍るへきーしはるへきに︵河

集︶

O するましきーさるましき︵河集︶

O 左 歌 ー左の歌︵河集︶

○ 後日1後日に︵河集︶

鵬 常盤山色もかはらて光そふ こよひの月に秋は見えつs         右                                            中納言

       ︵む︶

  露ふかき浅茅か原によもすから いかなる人のころもうつらん     常盤山の色もかはらぬ風情︒めつらしからぬ事なれとも︒名月を賞     せ るにや︒勝とつけられ侍り︒

    百 十五番 ︵後秋︶

             ︵わ︶   左

      女房

田 長 月は残る霜夜の有明に よはりはてたるむしの声かな         右

      氏数

  夕くれの秋こそあらめ雁鳴て さむきあしたもうちしくれつs     右歌︒雁鳴てさむき朝は︒殊にしくれもこそし侍るへき夕暮の︒秋            ︵わ︶ な らてはするましきやうに聞え侍るは︒いかsとおほえ侍れと︒左     歌

       ︵お︶ 下 句︒俊成卿のさりともと思ふ心もむしのねもよはりはてぬる

  秋の暮哉と侍るに︒おもかけ思ひいてられ侍るよし︒をのく申侍

       ︵わ︶   て︒右の勝とさためられ侍り︒後日勘見侍れは︒六百番歌合定家卿

歌 に︒あり明の名はかり秋の月かけによはりはてたる虫のこゑ哉と

侍 りけり︒ことの外の不覚にこそ侍りけれ︒

(29)

29全歌集篇

O うきーうさ︵河集︶

O 歌 にーた〜︵河集︶

O か けるーかけ︵河︶

O た とへはーたとへ︵河︶

    百

二 十

七 番

初 冬         左

      女房

鵬 か ら錦けさより冬や立田姫 染あへぬ枝にしくれ降なり         右       小宰相   寝 覚して聞は時雨の音す也 これさへ秋のうきをのこして     左歌︒宮内卿かちりあへぬ枝にあらしふくなりと侍る歌に同し心詞  

    ︵む︶   なり︒存内の不覚にや︒右歌勝へきに︒なとてか持とつけられ侍り     つ らん︒

    百 四十一番 中冬         左

      女房

四 山あひにすれる衣のたけのふし いくよに成ぬかものみつかき         右

      持房

  ちはやふる神もさこそはみたらしや 河風さゆる山あひの袖

か ものりんしのまつりは寛平の比よりはしまれるにや︒事の子細

  は︒貞治の歌合にみえ侍れは︒かさねて申におよはす︒源氏若菜の

       ︵む︶ み よしまうての事に︒山あひにすれるたけのふしとかける詞の

侍りしやらん︒たとへは臨時のまつりの舞人︒あをすりの抱は竹を

(30)

30

O 事こそーことにこそ︵河集︶

O 勝 劣 −勝負︵河集︶

O こ とーかこと︵河集︶

O 枕 草 ー枕草子︵河︶

O あさ〜ーあさし︵集︶

O 覚 ー芙之︵集︶

O 女 房 −底本なし︒

補ふ︒

( 河 集︶により

    文にすれる事こそ︒右︒山あひの袖も︒十入の中をいて侍らし︒行     粧の勝劣さたかにみえわかれ侍らねとも︒たs左にたち侍るはかり     を

こ とにて︒勝になされ侍にこそあらめ︒

    百 五 十五番 後冬         左

      女房

脚 む か しよりすさましき物といひ置し 霜夜の月にとしの暮ぬる         右

      経清

  明はまた霞こむへき山の端を こよひはとしのへたてけるかな     左 歌

清 少 納 言       ︵む︶ 枕 草に︒すさましき物はしはすの月よと申侍る心に     や︒たsし紫式部はすさましきためしにいひ置けん人のこsろあさ     sよと︒朝かほの巻にかきのせ侍るそかし︒ひとへに少納言か方人     を し侍るこそあやしく覚侍れ︒右歌︒霞こむへきと侍るも︒思ひた     きにや侍らむ︒いかさま此番持とそ侍りし︒

    百 七 十

番  ︵春待恋︶

               ︵む︶ 左

      女房

皿 春の日を正木の綱のうちはへて くるしやくれを何たのめけん

       近衛

(31)

31全歌集篇

O ものーものと︵河集︶

O 給 けむーたまへれ︵河集︶

O 本 歌 ー本︵河︶

    ︵?︶

O 行 ー断︵河︶斯︵集︶

( 河

集︶

O 取ー座

O 侍るによりーはへるより︵集︶

O けりーける︵河集︶

  けふいくか詠くらして人まては なみたそ春のものなりぬる     左

後 撰に︒てる月を正木のつなによりかけてあかすわかるs人を

     ︵む︶

    つ なかんと侍るを思ひてよめるにや︒右は又在中将の余風をした     ひ︒涙そ春のものと成ぬるなと︒艶にきこえ侍れは︒尤勝侍るへき     を︒かの思ひもかけぬ正木のつなにかたひく人やありけむ︒勝とつ    けられ侍るこそ︒かたはらいたくおもひ給けむ︒

    百 八 十 九

番  ︵夏逢恋︶

        左

      入道二位

  恋 くてあふ坂山のさねかつら くるさへつらきみしか夜の空         右

      女房

    ︵お︶

辺 む す ひ をけ蓮の糸のあふ事も 此世の露のちきりのみかは     左 歌 は 後 撰 に︒名にしおはsあふ坂山のさねかつら人にしられて来         ︵お︶   るよしもかなと侍るをとれるにや︒た\し恋の歌をやかて恋にとり     て︒しかも文字のをき所なと︒いたく本歌にかはらす侍るは念なく    

侍 む︒右は鶏糸難行の事に興して︒蓮取再会の縁を契れる計な

  り︒勝へきよしおのく申され侍しを︒この歌遍身の病侍るよし申

  出侍るにより︒持とは付られけり︒

(32)

32

O あけくれにーあけくれは︵河集︶

O

つ きにけるーつきける︵集︶

O

へ きとーへきよし︵河集︶

O なりーなる︵集︶

    二 百

番  ︵秋別恋︶

        左

      女房

     ︵む︶

m

い か に

せ ん 手 を わ か るへき折しもあれ 人に扇の風そ秋なる         右

      右衛門督

 袖の露もおきわかれ行あけくれに 尾花かもとに思ひ消めや

        ︵む︶ ︵お︶

    左 は い か に せ ん とをけるより︒風情つきにけるにやと聞え侍れは︒

    尤 右 を もて勝とさためらるへきと申き︒

    二 百 十 四

番  ︵冬恨恋︶

        左

      女房

皿 さ夜千鳥ひとりあかしの浦なりと 我計なるねをはなかしを

   

   

       定衡

   ︵を︶

  風しほる霜の岡へのくすかつら くるしやかれて残るうらみは     左 歌︒浦なりといへる詞︒聞にくsやと申されしかとも︒後鳥羽院     御 製に︒たのめすは人をまつちの山なりとなと侍れは︒かsること     葉つかひはことなる難は侍らしと覚侍り︒しかれとも右のくすかつ    ら︒下句なと優に聞え侍れは︒猶勝へきにやと申侍り︒

   

二 百

三 十

番  ︵春述懐︶

(33)

33全歌集篇

O きかんーきかは︵河集︶

O ほ とのーほとも︵河集︶

ーうた﹀ねは︵河集︶

O

けりーける︵集︶Oうたsねに

O 白雨ーゆふたち︵河集︶

   

  左

      女房

随 うき身にも四十年の春は過にけり なれにし花よ哀ともみよ  

   

  右                                     従三位仲方卿   誰 た め に 咲ともきかん山さくら うき身は花をよそにてやみむ     左 歌はあやしの愚老か述懐の歌に侍りけり︒あはれといへる人のな    きほとのしられて︒花をかこち侍るさへものはかなく聞え侍り︒右     歌 もおなしうき身の花なるうへ︒こ\ろの色の浅深もわかたれかた     く侍るを︒とりわき左の勝とさためられ侍るとそかたはらいたく覚     え 侍 れ︒

    二 百 四 十 七

番  ︵夏懐旧︶

               ︵む︶ 左        女房

随 すきにけり親のいさめを思はすは 此短夜もうたsねにせん  

   

        ︵お︶ 右

      入空

 白雨の雲のは遠くなる神の をとにたに聞むかしなりせは     左︒親のいさめのうたsね︒めつらしからぬふる事なるうへ︒この     み しか夜なとは︒たとへは五条三品のうたに︒この一ふしをおもひ

  ︵お︶      ︵お︶

を くかなと︒父子の心にことはをかれる︒讃例とも申へけれとも︒

(34)

34

O

るーとはへる︵集︶

O 世の中ーよのこと︵集︶

O てらすーてらせ︵河集︶

O 侍 れ は ーはへれと︵河集︶

O あまりーあまち︵河︶

      ︵マ  マ︶

  お

      ︵お︶ ほ よそ此一首の心︒あまりいふくろなるもねかはしからさるに            ︵ゑ︶   や︒右歌︒をとにたに聞むかしなりせは侍る︒いさsかおほつかな  

        お    く侍り︒そのゆへは上古の縄を結し世の中も︒典籍はしまりてより     此 か た は︒をとにきかぬはかりの事はありかたく侍るにや︒いか     s︒しからはしはらく持とすへくや︒

    二 百 六十五番⌒秋神舐︶

        左

      時繁

  光 を や 神もそふらむ春日山 みねたちのほる秋のよの月         右

      女房

惚 久 方の空に光は猶てらす さてそくもらぬ月よみの杜     右 歌の月よみの森︒さきに同類のさたの侍しやらむ︒又さてそなと     い へる詞︒古人も読侍る事は︒子細に及はす侍れは︒いたくこのみ     もちゆへきにあらさるよし︒申さるsかたノ\も侍りて︒左の勝に     付 られ侍りぬ︒

    二 百 七 十 八 番 ︵冬釈教︶

              ︵ゆ︶ 左

      女房

今 も猶草の莚やしきしのふ しもといふ月の廿日あまりに

(35)

全歌集篇

O 左の歌ー左歌︵集︶

ーおもひつる︵集︶

O お もへる    ︵ママ︶

   

    左

      近衛

  春よりも西のかたへを待身には 御名をとなふる年の暮哉

      ︵お︶

    左の歌の草むしろ︒なにことそなとs︒をのくうたかひおもへる    

に や︒たとへは十一月廿四日は天台智者大師の忌日そかし︒その日

   

      ⌒お︶ に あたりて大僧正慈恵のよみ給へるうた︒そのかみのいもゐの庭に     あまれりし草のむしろもけふやしくらむと侍るは︒続後撰に見をよ

   

ひ 侍 りしよし申出し侍りしかは︒さる事ありとて勝の字をゆるされ     侍 りし︒

9 文安五年︵一四四八︶六月十八日五十首外様御歌始

     ﹇園日⁝囹宮内庁書陵部蔵﹃公宴続歌﹄︿153・208>第二冊

   

  旅 春 雨

       兼良

偽 旅 枕むすひたえにし霜かれの 草葉もよほす春雨そふる

   

  野 旅        兼良

即 さなへとるたこの入野の露わけて ぬれぬたもとはもすそならねと

(36)

36

O か

︿注V皿と続けて書写されてゐ た りーかくり︵先﹀

る︒

   

−o

  文 安六年︵一四四九︶七月二十二日禁裏月次歌会

     ﹇園U囹宮内庁書陵部蔵﹃類聚和歌﹄︿154・1>

     閥囹困同﹃先代御便覧﹄所収本       ︵先︶

         ︵む︶    

卯花盛       兼良

皿 限 あれは月のさかりとみるはかり 初うのはなの陰やそふらん  

   

炉 火        兼良

斑 うつみ火のきゆれは霜の置かへて よはにさえたる片敷の袖  

   

伝聞恋

       ︵へ︶

陶 世かたりに聞捨さりし言のはの 行ゑをたとる中そくるしき

11

元 年︵一四四九︶十一月十八日禁裏月次歌会

     ﹇園川困大束急記念文庫蔵﹃宝徳和歌集﹄︿41・24>

   

夏 雑        ︵?︶ ︵お︶ 物

       兼ー

皿 あつふすまさえし霜夜にいかなれ圃 一くもをもき夏のころもて

(37)

37全歌集篇

12

宝 徳 元 年 十

月十八日禁裏月次歌会

         口咽口困大東急記念文庫蔵﹃宝徳和歌集﹄

      稀 恋

      兼良

皿 今日ことにきみをみあれのもろかつら かけすはまつもかれやはてな

 ︵む︶

  ん

             ︵む︶ 互

恨恋       兼良

協 色 か はる真葛の露よいつ方か うらみの数はみたれそふらん       花 帯 露       兼良

ぽ はなの色に秋のあはれもかよひきて さらに露けき春のゆふくれ

   

13

  宝 徳二年︵一四五〇︶正月十八日禁裏月次歌会

     口咽口困﹈大東急記念文庫蔵﹃宝徳和歌集﹄

      照       ︵を︶ 射

      兼良

抽 なつ山にたつやまつおのともしつま あふもまれなるよはのさをしか

(38)

38

      田家       兼良

皿 あきはつるしつか山田のかりやかた かりにもとはぬくれそさひしき

   

       マ マ  夢

       兼良

蜘 た の み しをみたし枕の夢ならは いく夜もなかきねふりしてまし

   

14   宝

徳二年二月十八日禁裏月次歌会

     属巴巴大東急記念文庫蔵﹃宝徳和歌集﹄

     

夕花      兼良

皿 はなさそふあらしや雲にまよふらむ ねりゆくとりの声にほふなり

   

  志

賀花園      兼良

逸 あれはてsとふ人まれになりにけり 春もいく世のしかの花その

15

徳二年三月十八日禁裏月次歌会

     同困大東急記念文庫蔵﹃宝徳和歌集﹄

   

春       兼良

(39)

39全歌集篇

瑚 松はまたあさはのsへのあさ霞 たつみわこすけ雪もけなくに

   

  冬

      兼良

幽 あはれなるをしまかいそのうきねかな 月かたふきて千鳥なく也

16

徳二年十二月十八日禁裏月次歌会

    ﹇脚日困宮内庁書陵部蔵﹃公宴続歌﹄第二冊

      雪

月雁       兼良

蝿 くれし秋をしのふのころもかりなきて うちにみたる〜雪のいうかな

17

宝 徳 三年︵一四五一︶正月十八日禁裏月次歌会

     ﹇園口困宮内庁書陵部蔵﹃公宴続歌﹄第五冊

      春       し 曙        兼良

珊 か すむなり花うくひすはまたこらて 春とはかりの明ほのs空             ︵ほ︶ 嵐

       兼良

秋 といへと人の心のあらしこそ 毛をふて物のなをはけしけれ

(40)

40

︿注V愉と続けて書写されてゐ

る︒

︿注V鵬と続けて書写されてゐ

る︒

      別       む  恋        兼良

協 暁の空うらめしきわかれより木々のしつくもおちやそふらん       元       字落 服

      兼良

囎 ゆひたつるちひろの海のみるさまに いそひたひとへはへつるかな

   

18

  宝 徳

年二月十八日禁裏月次歌会

     属川困宮内庁書陵部蔵﹃公宴続歌﹄第五冊

      野 鶯

      兼良

  つ      ︵む︶        また

即 の へ か さに今やなくらんとはかりに 又里なれぬ春のうくひす

  ぺ      ぺ

     

海 霞

皿 けさまては見えし小嶋も霞たつ 浪まやいつく春の夕なき              ゐ 寄

名所恋      兼良

虚 玉 もかるいちこのしまのしほさぬに ぬれにし袖ととはsこたへよ

   

        ︵む︶ 寄

関述懐       兼良

皿 世々の跡にこえんことこそかけさらめ 名をたにとめよ関のふち川       寄 天 祝

      ︵お︶      ︵を︶

雌 雨かせも日かすたかへすをとつれて おさまる時そ空にたsしき

(41)

41全歌集 篇

︿注V二字分よみ難し︒

︿注V瑚と続けて写されてゐる︒

      大

日      兼良

皿 池 水のあはれいかなる口なれは 蓮のうへのもしとなりけむ

19

宝 徳

年三月十八日禁裏月次歌会

    陶U困宮内庁書陵部蔵﹃公宴続歌﹄第五冊

     

滝上桜       兼良

皿 さくら花おちてはあはとみよしのs 滝のかうちにsほふ春風       晩

月      兼良

       え      に

齪 あきの色はみへけるものをゆふつくよ さすや岡辺の松の梢は

       ζ       ぐ

      来不会恋       兼良

田 とはれしは夢かうつsか人こsろ うしみつまてはねすなりにけり       逐 日増恋 鵬 い か に せ む きのふにけふはまし水の あまるおもひもせきあへぬ身を       小 鷹 狩       兼良

蜘 はしたかのとやのs真萩露わけて はつかり衣花もするらし

参照

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