岐路に立つ観光都市と地域再生の課題
著者 川瀬 憲子
雑誌名 地域研究
巻 2
ページ 13‑36
発行年 2011‑03‑01
出版者 静岡大学人文学部
URL http://doi.org/10.14945/00005728
岐路に立つ観光都市 と地域再生の課題
川瀬憲子
はじめに
I 日本型地域政策の特徴 と土建国家か らの転換
Ⅱ「内発的発展」論 と「維持可能な発展」論
Ⅲ 観 光都市の現状 と課題 一熱海市の事例
おわ りに一サステイナ ビリティとセーフテ ィネ ッ トの構築に向けて
はじめに
本稿 は、現代 日本にお ける地域再生のあ り方 を考察す ることを課題 としている。本稿で特にケース スタデ ィとして対象 としているのは、伊豆地域における観光都市である。観光都市の地域経済は、バ ブル期か ら2000年代の10年間に大きな構造的変化を遂げた。例えば、熱海市の人 口の推移 をみると、
1965年に5万 4,540人とピークを迎えるが、その後年々減少 し、2007年には4万人余にまで減少 した。
40年間に人 口比にす ると4分の1にあたる人 口が減少 したのである。さらに入湯税か らみた観光客入 込み客数では、1988年度の810万人か ら1996年度の910万人 をピークに年々減少傾 向を示 し、2005 年度には730万人 とピーク時の 180万 人 もの減少がみ られ る。宿泊者 も年々減少 してお り、1988年度 の425万人か ら2005年度には291万人にまで減少 した。その結果、1999年 度か ら2000年度の1年間 だけで も50軒ものホテルや旅館数が減少 し、2000年度か ら2005年度の5年間には、503軒か ら378 軒にまで100軒以上もの急激な減少 をみたのである*ち
ところで、バブル崩壊後の 10年 間は失われた10年と呼ばれ、2000年代半ばの景気回復期 には、新 自由主義的構造改革の影響で地域間格差、所得格差が社会問題化 した。地域切 り捨ての時代 ともいわ れ、地域政策の大幅な転換が迫 られ るようになってきた。 これまで、 日本の地域政策の中心は全国総 合開発政策にみ られ るよ うな、国家的プ ロジェク トを中心 とした巨大公共事業や駅周辺の市街地再開 発事業等にあつた。 とくに 1990年 代か ら2000年代半ばにかけては年間30兆円か ら50兆円もの巨額 の公共投資が行われてきた。2010年度末には国 と地方の長期累積債務が約830兆円にも達す ることが 見込まれてお り、従来型 の地域政策のあ り方が問われているといつてよい。つま り、グローバル化、
サー ビス経済化、少子高齢社会への転換に伴つて、土建国家型財政か らの脱却 とアメニテ ィ中心の地 域再生をどうす るのかが、地域づ くりやまちづ くりの焦点になつているのである・2。
イギ リスでは1960年代後半に議会報告書において、不動産開発主導型の都市再生のあ り方が厳 しく 批判 され、市民アメニテ ィ法 (Civic Amenties Act,1967)の 制定へ とつながつていつた。その市民アメ ニテ ィ法では、市民のアメニティ権 を保障す るために 「しかるべき場所 に しかるべきものをつ くる」
( ■c nghtthing in the Hght place")と 定義 してい る。また、R・ グラッツ (1989)は『都市再生』の なかで、 ロン ドンの中世以来の街並みや建造物、歴史、文化 を尊重 し、それをアピールす ることで真
*1 詳 しくは、拙著 (20H)『 「分権改革」 と地方財政一住民 自治 と福祉社会の展望』 自治体研究社など を参照。
中2 アメニテ ィの経済学規定については、宮本憲― (2007)『 環境経済学』岩波書店 を参照。
に豊かな成長 を期待できると主張 している°3。
また、アメ リカでは都市成長管理政策をとつている自治体が多い°4。 ぃゎゅるスマー トグロース運 動がきつかけとな り、緩やかな成長 こそが さらなる雇用機会の創 出につながるとい う報告書も出され ている。地域づ くりにおいて、農地、雑木林、湿地を開発か ら保全 し、水辺環境 を再生 し、既存市街 地の土地利用規制 とマイカー規制を行 うと同時に、歩道や公共交通の整備 などをすすめていくことこ そ、都市の真の豊かさにつながつてい くこととなるとい うものである。
従来の地域再生をめぐる議論の中心は、産業構造の転換に伴 う工業都市の衰退 と再生に関わる議論、
大都市圏における中心都市の再生論、農 山村地域の内発的発展論などが中心であった。観光都市をい かに再生す るのかといつた課題 に対 しては、観光産業の再生論な どはあるものの、広範な視点にたつ 本格的研究はまだ端緒的なもので しかない。都市の発展形態において、当初か らサー ビス経済化が進 行 し、第3次産業に特化 した産業構造 を有する観光都市の再生 とい う課題 に応 えるためには、単に観 光産業の再生 とい う側面のみな らず、まち並み保全など地域におけるアメニティの構築、サステイナ ブル・ ソサイエテ ィ・5や地域におけるセーフティネ ッ トの構築 もまた、新たな課題 として浮上 しつつ ある。そこで本稿では、 日本型地域政策の特徴 と地域再生の新たな潮流について概括 し、 「内発的発 展」論 と「維持可能な発展」論 についての検討 を踏まえて、観光都市の地域再生に向けた課題につい て考察す ることにしたい。
I 日本型地域政策の特徴 と土建国家か らの転換
日本はこれまで土建国家 とも呼ばれ、地域開発においても高い公共投資が実施 されてきた。公共投 資 とは国や地方 自治体が社会資本の建設のために行 う投資であ り、社会資本 とい う場合にはヽ道路、
港湾、上下水道、教育施設、公園、公営住宅な どをさしている。社会資本 には大きく、社会的二般生 産手段 (産業基盤)と社会的共同消費手段 (生活基盤)に分類 され、生産や生活の社会化への対応 と
して、社会資本の形成は不可欠である。地域の経済活動を活発化 させ、地域経済の発展に貢献 し、都 市的生活様式の定着や住民の 日常生活の安定性 とい う面においても重要な役割を果た している。
宮本憲一氏は『 社会資本論』のなかで、社会資本 を社会的一般生産手段 と社会的共同消費手段に分 類 し、高度経済成長期の 日本 において、前者に重点がおかれたことが市民の生活難を引き起 こした と
して痛烈に批判 している°6。
近年では、総需要の拡大 とい う景気対策の手段 としてさらに拡大 されて きた。景気対策は本来は国の役割であって、地方公共事業は景気対策 としては二義的なものである。
*3 Roberta Bra■ ldes Gratz(1989)rttθ z″ぁりgC′ク:〃ο″И″αたαtt C7rたsИ″′Bιttg Rの7ra″zθ′″7カ″λ力りgS″α″滋 αBな Zη(『都市再生』富 田靱彦・宮路真知子訳、林泰義監訳、晶文社)。 グラ ッツは都市を養育すべきと 主張 している。
*4 矢作弘・大野輝之 (1990)『 日本の都市は救 えるか―アメ リカの「成長管理政策」に学ぶ』開文社出 版、小泉秀樹・西浦貞継 (2003)『 スマー トグロ スーアメ リカのサステイナブルな都市圏政策』学芸者 出版、C Lalldry,(2002)勁a Cra 惚C″ノ%ο滋″レ レ励 I″α″οお,E田加can(『創造的都市政策 一都市 再生のための道具箱』後藤和子監訳、 日本評論社)な どを参照。
■5サステイナブル・ ソサイエテ イを中心 とした地域再生論 については、宮本憲― (1999)や同 (2007) を参照。また、地域経済の再生 をめぐっては、佐々木雅幸 (1997)、 同編 (2007)や中村剛治郎 (2004)、
同編 (2008)などにも、ボ ローニアの事例な ど国際比較を交えた新 しい動向が紹介 されている。また、近 年の 日本 における小規模町村の再生に向けた取 り組みについては、岡田知弘 (2005)が参考になる。
ネ6 宮本憲― (1967)『 社会資本論』有斐閣
総務省 は、『行政投資』のなかで、産業基盤投資 (国県道、港湾、空港、工業用水、工業用地等)、
生活基盤投資 〈市町村道、街路、都市計画、住宅、環境衛生、厚生施設 (病院、公立大学付属病院、
国民健康保険事業を含む)、 文教施設、水道、下水道等、農林水産投資 (農林水産業関係投資 :農 道、
潅漑な ど)、 国土保全投資 (治山治水 :ダ ム建設等)、 海岸保全等、その他の投資 (失業対策、災害 復 旧、官庁営繕、鉄道、地下鉄、電気・ガス等)に分類 してお り、大半の事業が地方 自治体の深い関 わ りをもつている。
ところで、日本の地域政策は、全国総合開発計画にみ られ るよ うな公共投資を中心に展開 してきた。
第1次全国総合開発計画 (1全総 :拠 点開発方式)か ら第5次全国総合開発計画 (21世紀国上のグラ ン ドデザイン)までの流れをみると、新産業都市、 リゾー ト開発政策に典型にみ られ るよ うに、外来 型開発が中心であった。外来型開発の問題点は、工場等の誘致地域における公害の発生、資源の浪費 な どの社会的損失の発生、地元経済には付カロ価値、雇用、租税な どの面において相対的に低い寄与度 であったこと、地元所得や租税が本社機能の集 中・集積す る東京へ と還元 され る傾向にあること、産 業構造や経済環境の変化 に伴 う誘致企業の撤退により、地域経済が破綻に追い込まれ るケースが多い こと、地元独 自の経済・文化が消失 され ること、ひいてはそ うした ことが地方 自治の衰退につながる 側面があることな どがあげ られ る。
さて、日本において 1990年 代か ら2000年代にかけて公共投資が拡大 したが急増 した最大の要因は、
1989年の 日米構造協議 を受けた形で内需拡大を目的 として、翌1990年に430兆円にものぼる 「公共 投資基本計画」 (10カ 年計画)が閣議決定 されたことによる。当初 は1991年度か ら2000年度までの 10年間の計画であつたが、バブル経済が崩壊 した 1995年にはさらに630兆円に上方修正 された。財 政構造改革により実施期間が10年間か ら 13年 間に延長 されたが、いずれに しても大規模な公共投資 計画に変わ りはない。その結果、1990年 代以降、公共投資が拡大 してい くこととなる。具体的には、
「H次道路整備 5ヶ 年計画」76兆円(地方単独事業25兆2000億円)、 「第9次港湾整備 5ヶ 年計画J 7兆 4900億円 (地方単独事業6700億円)、 「第9次治 山事業5ヶ年計画J24兆円 (地方単独事業 3 兆円)、 「第8次下水道整備5ヶ午計画」23兆7000億円 (地方単独事業6兆 8300億円)、 「第8次 廃乗 物処理施設整備計画J5兆500億円 (地方単独事業2兆 2900億円)などとい う枠組みが設定 さ れ、国の整備計画に沿つた形で地方単独事業が定められた7。
図表1は、一般政府総固定資本形成 (対 GDP比)の国際比較 を示 したものだが、 日本が 1990年 代 か ら2000年代半ばにかけて非常に高い水準の公共投資が推進 されてきた事実が窺 える。1995年の約
64%をピークとし、アジア経済危機 が勃発 した 1997年 か ら1999年を境 にそのシェアは低下 し続 けて いるが、2007年時点では3%とフランスに次 ぐ高水準にある。公的固定資本形成 には、用地費が含ま れていないため、それ を含めると、 さらに大きい数値 となる。
7国の長期計画による。詳 しくは、拙著 (2006)「 国 と地方間の財政関係」『セ ミナー現代地方財政I』 勁 草書房、119‐144頁 を参照。
図表 1 ‑般政府総 固定資本形成 (対 GDP比)の推移 (1989〜2007年度)
図 一般政府総 固定資本 形成(対GDP比)の推 移 (1989‑2007年度)
驀 アメリカ
‐ イギリ
‥Ⅲl―「レッ
1989年 度 1993年 度1997年度 2001年 度 2005年 度 年度
(注)日 本は「国民経済計算」 (内閣府、年度ベース)、 諸外国はOECD,Nα′Jο4α′Иε
̀ο
24お2θθ∂ による。
(資料)財務省『 日本の財政関係資料』 (2009年)による。
図表2によ り、行政投資額 の実績 について検証 してお くと、1990年頃までは、約 30兆円までの水 準で推移 してきたが、1990年 代以降 に急増 し、1997年 か ら2000年の ピー ク時 には50兆円を超 える公 共投資が行 われ てきた*8。 1991年 度 か ら2000年度 までの公共投資額 の合計額 は、当初計画 の430兆円 よ りも多い465兆円に ものぼ る。また、1995年 度 か ら2007年度 までの 13年間の合計額 は485兆円に も達 してお り、当初計画 の630兆円に比べ る と抑制気味だが、少 な くとも2000年代 半ばまでは、ほぼ
「公共投資基本計画」に沿つて事業が推進 してきた事実が窺 えるも2000年代半ば以降、行政投資額 は 減少傾 向にあ り、2007年度実績 で は23兆円 と金額 的 には ピー ク時のほぼ半分 の水準 になってい る。
(注)専売・ 電電 (1984年度)、 国鉄 (1986年度)を含 む推移。
1972年度 か らは沖縄 を含 む。
(資料)総務省『 行政投資実績 (2007年 度)(2010年 3月)によ り作成。
図表2 行政投資額 の推移(1958〜2007年度)
図 行政投資額 の推移 (1958‑2007年 度)
60,000,000 50,000,000 40,000,000
§0,000,000 20,000,000 10,000,000
0 X
ヽ卜 0
□
□ Z X
﹂ト ー 0ロ マ
⁚
x卜 2 日上 年度
X ヽ r Q リ ハ V i
*8 行政投資 については、総務省 (2010)『行政投資実績』 による。
で は、公共投資 の内訳 は ど うか。財政投融資改革 によつてかな り構 図は異 なってきては
い るが、図表3によ り、2007年度 の行政投資実績 (約23兆円)の構成比 をみ る と、道路 のシェア28
%とが最 も高 く、国土保全 (10%)、 下水道 (9%)、 文教施設 (8%)、 農林水産 (7%)、 水道
(5%)、 都 市計画 (6%)、 住宅 (4%)、 厚生福祉 (4%)、 環境衛生 (3%)、 港湾・空港 (3
%)などとなってい る。2009年度 に道路特定財源 が廃止 となったが、2008年度 「道路特定財源 の見直 しにつ いて」 (2008年 12月 政府・与党)では、税 率水準の維持 、国及 び地方 の道路特定財源 につい ては、2008年度以降 10年間、暫定税率 に よる上乗せ分 を含 め、現行 の税率水準 を維持す る との見解 が示 され 、 さらに、2009年度予算 では、地方 にお いて道路整備 を実施す るための財源 として、1兆円 程度 の 「地域活力基盤創 造交付金」が創設 され た*9
国の一般会計予算 に占める公共事業関係 費(1989〜2009年度)の 推移*10をみ る と当初予算 に比べ て、
毎年 の よ うに補正予算 が計上 され て、公共事業 関係 費が上乗せ され てきた点が窺 える。公 共事業 関係 費 の内訳 をみ る と、1999年 度 (一般会計 当初予算9兆4,307億 円、補正予算 で 12兆 2,000億 円に嵩上 げ)では道 路 が29%と 3分の1近くを占め、治 山・治水 16%、 住宅・市街 地整備 12%、 下水道 12%、
農 業・農村整備 12%、 港湾・空港5%などとなっていた。2009年度 の公共事業 当初予算 (7兆 701 億 円、補正予算 で9兆 4,000億 円に嵩上げ)の内訳 は、道路24%、 住 宅・市街地整備 14%、 治 山・治 水 13%、 地域活力基盤整備 13%、 下水道 8%、 農 業・農村整備 8%、 港湾・空港5%なつてい る。 こ の10年間で道路 の 占める割合 が、3分の1から4分の1にまで縮小 してい るが、依然 として高い比重 を占めてい るこ とがわか る。
図表3 行 政投資額 (23兆 円)の構成比 (2007年 度)
図 行政投資額 の構成比(2007年度)
その他 工 業用水 下 水 道
水 道
文 教 施 設
―港湾
`空港 国土保 全
囲都市計画
□環境衛生
■厚生福祉 囲文教施設
□水道
田
■
■
下水道 工 業用水
鼈 その他
厚鎮
画 住宅 農林水産
(資料)総務省 (2010)『 行政投資実績(2007年度)』 により作成。
近年 、 国家 的 プ ロジ ェ ク トと して推 進 され て き た 巨大 地域 開発 の破 綻 もま た。1980年代 以 降 、民活 路線 の下 で第3セクター 方 式 に よ る民活型 大規模 プ
た 目立つ よ うになって き ロジェク トが推進 されて
*9 道路特定財源の見直 しと地域活力基盤創造交付金 については、国土交通省資料 による。
*10 国の公共事業関係費 (一般会計予算 と決算)については、財務省資料による。
きたが、バブル崩壊以降の1990年代か ら2000年代にかけて、民活型臨海部開発事業の経営破綻が相 次いだ。1997年に大阪府の第3セクター泉佐野 コスモポ リス (負債額607億円)が破綻 した。大阪市 の第3セクター大阪ワール ドトレー ドセンター ビルディング (WTC:負債額982億円)、 アジア太 平洋 トレー ドセ ンター (ATC:負債額 1,263億 円)は 2003年に1次破綻 し、2009年に2次破綻 し た。膨大な累積債務は市民の負担 として残 された・1ヽ 横浜みなとみ らいの未利用地についても土地開 発公社借金が 1,500億 円も残 されたままになつてお り、金額では全国最高である。 さらに東京臨海副 都心についても、6つの公社が軒並み累積赤字を抱えた状態が続いてきた。2005年に東京都の第3セ
クター東京 ファッションタウン (負債額898億円)、 タイム24(負債額497億円)が民事再生を行つ たのに続いて、2006年には東京テ レポー トセンター (負債額 1,170)億 円、東京臨海副都心建設 (負
債額 1,440億 円)、 竹芝地域開発 (負債額 1,190億 円)な どが相次いで民事再生に入つてお り、いず れ も負債総額は膨大である■2。
1998年に策定 された「21世紀の国上のグラン ドデザイン」では、北東国土軸、日本海国土軸、太平 洋国土軸、西 日本国土軸に対 して、高速交通インフラの整備、大都市 リノベーシ ヨンの推進、地域連 携軸、広域国際交通圏を形成す るとい う膨大な計画であ り、1990年 か ら実施 された公共投資基本計画 (10カ 年計画)は、430兆円から630兆円に上方修正 された'B。 全国いたるところで開発が行われる 一方、 自治体財政難が深刻化 し、 リゾー ト開発な どの相次 ぐ破綻を受けて、全国で住民投票条例を求 める動 き、市民オンブズマンによる財政チェック機能の強化、市民参加の要求の高ま りといつた動き が活発化 した。こ うした状況を受けて、2008年には、国土形成計画全国計画閣議決定 された。その後、
財政投融資計画の見直 し、道路公団民営化、道路特定財源の一般財源化な どがすすめられ、行政投資 額は大幅に縮小 されたが、 日本型公共事業の構図は変わ らず、選択 と集 中のもとで、巨大公共事業が 推進 され る傾向は続いている。多 くの公共事業において、甘い需要予測、環境アセスメン トの有名無 実化、事業推進 を前提 とした費用便益分析が行われてお り、市民サイ ドか らの再検証の必要性が求め
られていつたのである。
こうして、全国の地域で従来の外来型開発 中心の地域政策に代わる内発的発展を模索す る動きが展 開 してい くことになる。
Ⅱ 「内発的発展」論 と「維持可能な発展J論
(1)内発的発展論の提唱 (1970年 代)
ここで、地域再生をめぐる議論の展開について紹介 しておこう。「内発的発展」論は、発展途上国 の新たな発展モデル として提唱 されてきた。スウェーデンのタグ ッヽマーシ ョル ド財団報告書 (1975)
*11 全国で第 3セクターによる累積債務は8兆円 (2009年度)にものぼる (総務省資料 による)。 第 3
セクターの一つである大阪市のワール ドトレー ドセ ンター ビルデ ィング (WTC)の場合、2003年 に 982億 円の負債 を抱えて1次破綻 し、2009年 3月 に2次破綻 した。今後、金融機 関に対す る債務残高 491億 円に は公的資金が投入 され る予定になっている。総事業費 1,200億 円をかけて建設 されたが、テナ ン トの入居 がすすまず に、床面積 の7割に大阪市の部局が入居 している (大阪市資料 による)。
中12 帝国データバ ンク、東京商エ リサーチ等の調べによる。
中13 「21世紀の国土のグラン ドデザイ ン」では、 「多軸型国土の形成」が提示 され、 「自立の促進 と誇 りの持てる地域の創造」な ど5つの基本的課題 を設定 し、基本的課題の達成に向け、 「多 自然居住地域の 創造」、 「大都市の リノベーシ ヨン」、 「地域連携軸の展開」、「広域国際交流圏の形成」の4つの戦略
『 なにをすべきか』では、 「も う一つの発展」を提起 している14。 欧米中心の近代化方式 とい うひ と つの価値観による発展ではなく、それぞれの地域の文化に根 ざし、その地域の住民達の倉」意工夫、協 力 による発展が必要だ とい う、発展途上国や非同盟国の認識か ら生まれた理論であつた。
こうした発展途上国の内発的発展モデル を地域 に応用す る形で、議論 を発展 させてのが社会学者鶴 見和子氏である。鶴見和子氏は『 内発的発展論』の中で以下のよ うに述べている。
「目標 において人類共通であ り、 日標達成への経路 と、その 日標 を実現す るであろ う社会のモデルに ついては、多様性 に富む社会変化の過程である。共通 目標 とは、地球上のすべての人々お よび集団が、
衣・食・住・医療の基本的必要を充足 し、それぞれの個人の人間 としての可能性 を十分に発言できる 条件を創 り出す ことである。それは、現在の国内お よび国際的な格差を生み出す構造を、人々が変革 して行動す ることを意味す る。そこへ至 る経路 と、 日標 を実現す る社会の姿 と、人々の暮 らしの流儀 とは、それぞれの地域の人々お よび集団が、固有の 自然生態系に融合 し、文化遺産 (伝統)に基づい て、外来の知識・技術・制などを照合 しつつ、 自律的に創 出す る、地球規模での内発的発展が展開 さ れれば、それは他系的発展 となる。そ して先発後発を問わず対等 に、相互に手本交換す ることができ
る」・150鳴 見 1989)。
ここでい う内発的発展 とは、政治権力や経済権力の奪取 を目的 とす るものではな く、人々が 自分 自 身を発展 させ、 自分たちの持っているものを発展 させ るために、 自分たち自身を組織す るとい う第 3
システムの,つであると位置づけているところに最大の特徴がある。
また、西川潤氏は、内発的発展 とは、①経済学のパラダイム転換 を必要 とし、経済人に代え、人間 の全人的発展を 目的 として想定 し、②参力日、協同主義、 自主管理の組織的形態をとり、③地域分権、
生態系重視、自立性 と定常性 を特徴 とす るような経済発展 (西川1989)であると述べている°
̀。 経済
学その もののべの挑戦状 ともいえる議論であ り、興味深い。
さらに保母武彦は、内発的発展 を以下のように定義づけている。
「 (内発的発展 とは)欧米が工業化 していつた経験をもとに構築 された近代化論が公認す る単一の価 値観ではなく、宗教・歴史 。文化・地域の生態系な どの違いを尊重 して、多様な価値観で行 う、多様
な社会発展であるJ*′
「①環境・生態系の保全及び社会の維持可能な発展を政策の枠組み としつつ、人類の擁護、人間の発 達、生活の質的向上を図る総合的な地域発展を目標 とする。②地域にある資源、技術、産業、人材、
文化、ネ ッ トワークな どのハー ドとソフ トの資源 を活用 し、地域経済振興においては、複合経済 と多 種の職業構成を重視 し、域内産業連関を拡充す る発展方式 をとる。地域経済は閉鎖体系ではないため、
地域主義に閉 じこもるのではなく、経済力の集 中・集積す る都市 との連携、その活用を図 り、また、
必要な規制 と誘導を行 う。国家の支援措置については、地域の 自律的意思によりその活用 を図る。③ 地域の 自律的な意思に基づ く政策形成 を行 う。住民参カロ、分権 と住民 自治の徹底による地方 自治の確 立を重視す る。同時に、地域の実態に見合つた事業実施主体の形成 を図る。」 (保母1996)
を推 進 して い く こ とが示 され て い た (国 土 交 通 省 資 料 に よ る)。
・ The Dag HarmarttOld Fomdalion,(1975),Dag Hal― arsttold Repo■ ∞ Development and lntemationd corporation, ̀澪ゝα′フVο″,'prcparcd on the occasion oftho Unied N/atlons General Assembly,New YOrk,the Dag Halmllarsttold fOundation
*15鶴見和子ほか編 (1989)『 内発的発展論』東京大学出版会による。その他、鶴見和子 (1996)『 内発 的衣発展論の展開』筑摩書房などを参照。
*16 西り│1潤 (1989)〈 同上書所収の論文)に よる。
*17保母武彦 (1996)『 内発的発展論 と日本の農山村』岩波書店。
ここでい う内発的発展論は、閉鎖的な地域主義 とい う議論ではなく、経済力の集 中・集積す る都市 との連携やその活用を図ることな どを盛 り込んだ新 しい議論であることが うかがえる。 こうした内発 的発展論 に立脚 した地域再生の試みは、全国の 自治体で試み られ よ うとしている。近年、こ うした内 発的発展論にカロえて、維持可能な発展論が結合 し、新たなる展開を見せ始 めている。
(2)「維持可能な発展」論 との結合 (1980年 代以降)
ナステイナブル・デ ィベ ロプメン ト論(維持可能な発展論)は 、環境 と開発 に関する世界委員会(1984) での『我 ら共有の未来』での定義か ら紹介 され ることが多 く、同委員会での提起が最初であるとされ る・18。
「持続的発展 とは、将来の世代が自らの欲求を充足する能力を損な うことなく、今 日の世代の欲求を 満たす ことである。持続開発の概念にはい くつかの限界で内包 されている。それ らは絶対的な限界で はなく、今 日の科学技術の発展の状況であるとか環境をめぐる社会組織の状況あるいは生物圏が人間 活動の影響 を吸収す る能力 といつたものである。 しか し経済成長の新たな時代への道を開 くための技 術社会組織 を管理 し、改良す ることは可能である。」
さらに、国連環境開発会議 (1992)において も、人類共通の課題 として地球環境の維持可能な発展 (S 五mble Dcvelopnlentlが 承認 された。内発的発展論 と環境 をキー ワー ドとする地球規模での維持可 能な発展論が結合 して、新たなる展開がみ られ るようになってい くこととなる。宮本憲一氏は、維持 可能な社会をめざすべ き理由として以下のように説明 している。
「多国籍企業が主導す るグローバ リゼーションによつて、国際的・国内的な貧富の格差、環境問題、
労働条件の悪化な どの社会問題 を引き起 こしている。グローバル・スタンダー ドはアメ リカン・スタン ダー ドであ り、大量消費のアメ リカ型生活様式 と文化が世界を覆いつつある。その背後には、新 しい 帝国主義 と呼んでもいい ような軍事力によるアメ リカの覇権主義がある。 どのように して人類が平和 共存 し、絶対的貧困か ら脱却 し、それぞれの多様な生活習慣や文化 を維持 していくかが今我々に問わ れている課題である。その課題 を解決す るためには、今の新 自由主義による市場原理主義 を修正 しな ければな らない。さらに進んで維持可能な社会 (SustJnabに Sode")をつ くらねばならないであろ う」
'19
さらに、宮本 憲一氏 は、内発的発展 については、「 (内発 的発 展 とは)地域 の企業・組合 な どの団 体や個人 が 自発 的 な学習 に よ り計画 を立て、 自発 的な技術 開発 を も とに して、地域 の環境 を保全 しつ つ資源 を合理的 に利用 し、地方 自治体 と住民組織 のパー トナー シ ップで住 民組織 をこ う以上 させ る地 域発展」 である*20と 定義 し、 目的 の総合性 、開発 の方法、主体 について以 下の よ うに述べ てい る。
① 目的の総合性……これまでの開発は所得・雇用・人 口などの増大を目的 としてきた。それは結果 と して実現するものであ り、安全、健康、自然の保全、美 しい景観・歴史的文化財の保全、福祉・教育・
文化の向上、何 よりも住民の人権の確立を目的にしなければならない。
*18 World Conllnissim oll EIlvronment alld Development,(1984),②′働 ″″ 乃 ″″σ,Oxford Paperback Reference都 留 重 人 氏 は 「持 続 可能 な発 展 」 とい う訳 につ い て、 主体 的 に開発 を持続 す るた め に環 境 を保 全 することを示 しているとして、 「維持可能な発展」 と訳すべき と主張 してお り、宮本憲一氏 もまたこの訳 を指示すべきであると論 じている。ここでは、両者の見解 を支持 して、維持可能な発展 と訳 しておきたい。
Ⅲ19 宮本憲一監修 (2008)『 環境再生のまちづ くり』 ミネル ヴァ書房。
Ⅲ20 宮本憲― (2000)『 日本社会の可能性』岩波書店 ほかを参照。
②開発の方法……地域内の資源 をできるだけ利用 し、技術や知恵で付加価値をつけ、地域内産業連 関をつ くりだ し、社会的剰余を地域内に再投資 し、 とくにそれにより地元の福祉、教育、文化、学術 の発展 に寄与す る。
③主体は地元の自治体・社会組織・住民……地域の企業、個人協同組合、NGO、 31POなどが主体であ る。内発的発展 といつてもツト外主義ではなく、人類の叡智や資金 を広 く活用する。 しか しあくまで主 体は地元にあ り、先の 目的を果たすために外部の資金や人材の応援 を求める (宮本2008)。
宮本憲一氏の内発的発展論 と維持可能な社会論は、21世紀において地球規模 での環境問題が課題 と なつていく時期 において、従来の外来型開発 中心の地域政策に対す る新 しい論点を提示 しているとい える。
さらに、岡田知弘氏は、地域衰退要因分析か ら地域再生の課題 を提起 している。経済のグローバル 化が進行す るとともに、 「二重の国際化J、 つま り「海外直接投資の急増に象徴 される資本蓄積の国 際化」 と「多国籍企業のグローバルな蓄積 を支援す る政策の国際化Jによつて、地域衰退がカロ速 して いる実態を解 明 し、地域 内再投資力 を高めることによる地域再生の方向性 を打ち出 してい る (岡田 2005) ・21。
歴史 を振 り返ってみると、 すでに1936年に関‑422は 、『都市政策の理論 と実際』のなかで 「住み 心地 よき」都市づ くりを提唱 してお り、いわゆるアメニティ都市論の先駆者でもあつた。関一は、 ド イツの ビスマル ク的国家社会主義や英米流ナシ ョナル・ ミニマム とも異なる 「都市社会政策」の必要 性を説 き、 「住宅問題 と都市計画」の中で、フランス王宮中心の都市美観主義・23ゃ集 中主義の都市建 設を批判 し、イギ リスの住宅中心の都市政策を重視する見解を示 していた。衛生・実用主義の重要性 を説きなが らも、中心部の街路においては都市美観 と実用主義、街路沿いの銀杏並木 も重視 してお り、
郊外の未開発地では田園都市の思想 を取 り入れ、住宅中心の開発 を行 うべ きと主張 していた。また、
地方行財政を中央集権主義か ら地方分権主義に改めるべきと主張 していたのである。現代では、グロ ーバル化、少子高齢社会への転換 に伴 う新たな都市政策の課題が浮上 しているが、関一思想のもつ現 代的意義は大きい。
では、観光都市の再生 といった場合に、いかなる課題があるのか。本稿では、内発的発展論、維持 可能な社会論に加 えて、地域セーフティネ ッ ト論 を提唱 したい。そのためにはナシ ョナル・ ミニマム を保障す るための国による財源保障機能 を強化す ることを前提 とした 自治体財政再建論や 「新 しい公 共」の担い手であるhlPOや市民 との連携 な どといつた課題 も重要な論点 となる。以下、熱海市の地域 経済 と財政を取 り上げて、地域再生の課題 を探 ることに したい。
Ⅲ 観光都市の現状 と課題 ―熱海市の事例
(1)熱海市地域経済の現状
熱海市は、訓司県最東部に位置する伝統的な温泉を中心として形成 。発展 してきた観光都市で、2007年 10月
*21 岡田知弘 (2005)『 地域づ くりの経済学入門』 自治体研究社。
中22関―は、1873年 静岡県生まれ。社会資本整備 、社会政策の理論 に詳 しい。 もと東京高商 (一橋大学)
教授。大蔵省 を経て23歳で新潟商業高校校長、1897年 東京高商教授 となる。東京高商では、交通政策、
商業政策、工業政策、社会政策な どH冊の政策論の著書がある。
*23 フランスオスマ ンの美観主義 をさす。
1日現在の人 口41,286人を擁する地方小都市でもある 。地理的には南は相模灘に面 し、三方を山に囲まれた 総面積約61.55平方hの都市だが、その うち33.3%が 山林 となってお り、急峻な地形のために平地が少なく宅地 面積は10.8%、 農地面積は7.3%とい う特徴を有 している。 したがつて、中心市街地も海岸線から山腹にかけて 階段状に形成 されてお り、熱海の東海岸地区におけるす り鉢状の見事な景観を醸 し出している。南東約 10キ ロ メー トルの海上には初島があり、伊東市、大仁町、韮山町t函南町、神刻 │1県湯河原町 と隣接 しているが、熱海
とい う強い地域的アイデンティティをもち、合併せずに単独市 として存続する道を貫いている自治体でもある
+25
熱海市の人 口の推移をみると、1965年 に5万4,540人とピークを迎えるが、その後年々減少 し、2007年 には 4万人余にまで減少 した (図表4)。 人 口比にすると4分の1に あたる人 口が減少 したのである。人口動態の 誘因は、大きく分けて自然動態 と社会動態に区分 される。自然動態では出生数が死亡数を下回つているため、人 口の自然減 とい う特徴がみ られるが、その一方で社会動態では転入数が転出数を上回るといった現象がみられ る。これはのちにみるように、リゾー トマンションを購入 した現役世代が定年後に移住 しているケースが多いた めと考えられる。また、高齢化率も高 く、1980年 の高齢化率はH.5%だつたが、2005年度には実に31.8%0005 年国勢調査)にまで達 している。 この数値は、静岡県下23市中で最も高く、県内市平均の 20.3%を 大きく上回 つている 。
市の人 口推言―Hこよると、2020年 には3万人にまで減少するとされる一方、高齢化率は45%以上になると予測 されている 。国立社会保障 0人 口問題研究所の全国推計では、2005年 をピークに減少を続け、2015年 には4 人に 1人が 65歳 以上 とな り、2055年 には高齢化率が約40%に達するとされるが 、熱海市の場合にはそれをは
る力ヽこ上回る勢いで高齢化が進展 しているとい う事実が窺える。いわば、超高齢社会の実験場でもある。
図表4 熱海 市 にお ける人 口の推移 (1960〜2005年度)
図1 熱海市 における人 口の推移
60000 50000 40000 く 30000 20000 10000 0
r●
ξ ξ ξ
Ψ
KttT轟
申 智ざゞ冷ヾ
ざ´ ぎ`
ぎ´ ド`
ご´ ざ´
ヾ
年 度
*24熱海市の名前の由来は、温泉が海の中か ら湧き出し、海水がお湯のように熱 くわきかえつた為、 「あつみが崎」と いわれるようにな り、 「あつ水」の略 とも「あつ うみ」の転 じたものともいわれている。1885年には温泉の科学的効 能についての研究が行われ、大湯に浴医局、温泉取締所、大湯運動場などがあ り、入湯療養の患者を診察治療すると 共に、吸入療法や浴法の指導が行われた。 これはヨーロッパの温泉場を真似たもので、当時 としては最先端の近代施 設で、日本における初めての本格的温泉療養施設であったという(熱海市市史編纂室編(1980)『熱海市史』による)。
±25最近熱海市が実施した市民アンケー トによると、8害J以上の市民が合併に反対であると回答したという(熱海市 ヒアリング調査による)。
*26熱海市『熱海市統計書 平成 18年度側 による。
*27静岡県内市町村の比較については、静岡県『市町村の指標』各年度版による。
*28熱海市観光戦略室『熱海市観光の現状について』2007年7月 13頁添付の表による。
*29全国の人口推計に関しては、国立社会保障・人口問題研究所の推計値による。
(資料)熱海市 000 M市 統計書 祠或18年周測 により掏曳
次に市の産業別就業人目 的 2月ヽ の構成についてみると、2CX15年現在では、第1次産業の比率がオ刃→か
17%しかなく、第2次産業が13%、 第3次産業が85%も占めていることがわかる。第3嘲 時 的 1万
7KX10ノ八0のうち「飲食店、宿泊当 に分類される雇用者は3割、 「卸・ガ濃 」は2割と、観光関連産業の比 率が5割を超えているという状況が浮かび上がってくる。サービス経済化が極度に迫熙した地域であるとの見方 もできる。
図表5により、産業別人口の推移についてみると、1986年 の事業所数4,784、 従鯰 t2万 8,000人、であ つたのが、鈴01年 には事業所数3,713、 従業者数約2万 4000人、21X6年には事業所数 写郎、従業者数2万却ω 人にまで減少 していることがわかる。産業別生産額では、旅鮪が最も高く全体の4分の 1を 占めており、次いで 不動産 (9%)、 医療・保健・衛生 (7%)、 建築 (7%)などとなつている。つまり、 隣 Jに代表される 観光畔 に大きく依存 した産業構造になつているのであり、観光業の衰退は地域経済の衰退と強く結びりい ているという機 が窺える。市の試算では、旅館部門へ 10億円の投資に対して 16億 円の中 が生み出 されるとさオu多くの地元産業への影響がみられる 。
そこで、近年における観光客の変化について検証 しておこう。図表6により入湯税からみた観光客入込 み客数の推移をみると、1988年 度の810万人から 1996年 度の910万人をピークに年々減少傾向を示 し、
2005年 度には730万人 とピーク時の 180万 人もの減少がみ られる。宿泊者 も年々減少 してお り、1988年度 の425万人から2CX15年度には291万人にまで減少 し、ホテルや旅館の経 営を直撃 した また、図表7によ
り、ホテル・旅館の数 でみると、入込
―
客の減少を受けて、ピーク時にあたる 1972年度には 298軒であつたのが、1988年度には182軒とな り、2005年度には 132軒 にまで3分の1にまで減少 してい る。特に、近年では 1999年 度か ら2KXXl年度の1年間だけでも50軒ものホテノメ働筒 場 潮 沙 してお り、
2000年度から2005年 度の5年間には、5 軒から378軒にまで loo軒以上もの急激な減少がみ られる。ま た、寮・保養所はピーク時の 1984年度629軒、1988年度544車R2005年度には246軒にまで半減 してい る。
以上のことから、これまで観光都市としての成長を続けてきた¨ が大きく転換し、人回の相対的衰 退 極端な高綱 ヒ 翻 業に特 ヒした赫 という特質 と観光業の相対劫隷助湖壇対騎斉に多大な影響を及ぼ
していることがわかる。
図表5 熱海市における産渫男」序業所数と従業者数の推移 l1986〜20%年度)
単位;車R人
産業分類
1986年 1996年 2001年
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 農業
漁業 建設業 製造業
4 6 318 166
31 138 2,081
1,030
3 6 355 118
15 121 2,150 812
5 5 8 4 うる 0
´ 3
25 76
1,801
610
*30熱海市観光戦略室の試算による。
電気・ ガス・
熱供給・水道業 運輸・通信業
卸業・小売業・ 飲食店 金融・保 険業
不動産業 サー ビス業 公務
ll
70 1,978 48 253 1,907 23
244
1,693 7,490 472 820 14,105 723
11
71 1,756 39 307 1,474 25
254 1,464 7,645 351 1,090 13,458 735
10
69 1,543 39 323 1,270 27
195
1,204 6,436 327 1,189 11,819 698
合 計 4,784 28,827 4,165 28,095 3,713 24,380
産業分類
2006均F 事業所
数
従業者数
農業 林業 漁業 建設業 製 造業
電気・ ガス・熱供 給・ 水道 業 情報通信 業 運輸業 卸・ 小売業 金融・保 険業 不動産業 飲食 店・ 宿泊業
医療 、福祉 教育 、学習支援業 複合サー ビス業 サー ビス業 公務
4
1
4 295 75
11
17 34 753 26 318 834 140 90 21 575 25
16 5 76 1,639
443 285 105 692 3,773 226
1,068 6,388 2,197 865 217 3,393 645
合 計 3,223 22,033
01986年は 7月 1日 現色 1996気 2X11年ヽ 知%年は10月 1日 現色
傷卦D― ・中 による。
図表6 熱海 市 にお ける観 光入 り込み客数 の宿泊客 の推移 (1973〜2005年度)
図 熱海市 における観 光入 り込み 客数と宿 泊客の推移
一 観光入り込み客数 警 宿泊客
(資料)熱海市『熱海市統計書』各年度版により作成。
図表7 熱海市におけるホテル・旅館、寮・保養所の推移 (1989‑2005年度)
単位 :軒 年 度 ホテル 0旅館 寮 ・保養 所 合 計 1989
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
726 720 710 699 679 663 655 627 588 570 552 503 448 422 412 394 378
182 182 181 179 171 170 168 161 152 149 150 139 133 132 136 136 132
544 538 529 520 508 493 487 466 436 421 402 364 315 290 276 258 246
(資料)熱海市財政部資料による。
(2)熱海 市財政 の現状 と課題
では、自治体財政にどのような構造転換がみ られたのか、検証 しておこう。まず、1990年代か ら2006年度ま での一般会計 目白甥1歳出決算額及び構成比の推移についてみると、1990年代に最 も突出している費 目が土木費 であった (図表8、 付表1)。 衛生費は、廃棄物処理施設整備の関係で2度ほど急激に上昇 した時期があり、1998
1∞00000 8000∞0
く 6000000 40∞∞0 2000∞0 0