縄文人口シミュレーション
著者 小山 修三, 杉藤 重信
雑誌名 国立民族学博物館研究報告
巻 9
号 1
ページ 1‑39
発行年 1984‑03‑31
URL http://doi.org/10.15021/00004436
小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミ ュ レー シ ョン
縄 文 人 ロ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
小 山 修 三 * 杉 藤 重 信 **
A Study of Jomon Population Computer Simulation Analysis
Shuzo KOYAMA and Shigenobu SUGITO
This paper applies techniques of computer simulation to the analysis of Jomon demographic patterns. The computer programs are based on the following assumptions: (1) Population grows ex- ponentially, with the equation Nt=No*eri; (2) there is an upper limit to population size in a given area, termed carrying capacity (K); and (3) at the level K, population growth stops. In this pro- gram, we divided Japan into nine regions, such that when population reaches the level K, the surplus migrates to other areas, according to probablistic models.
In dealing with carrying capacity, we initially assign the constant M, a hypothetical population maximum for an area; subsequently M is converted to K as a consequence the impact of climate and technology.
Pollen analysis indicates significant climatic change during the Jomon Period. This was precipitated by a warming trend, which began after the last glacial, and continued until about 6000 B.P., followed by a cooling trend which lasted until about 2000 B.P.
This climatic wave caused significant change in the vegetation of the Japanese archipelago. In the East during the warming trend, coniferous forests were replaced by deciduous Fagus-Quercus forests, comprised of a variety of nut-bearing trees, which constituted an important food source for the Jomon people. However, the nut- bearing trees are sensitive and often succumb in cold weather. Based on these facts, we assume that carrying capacity increased during the warming trend and decreased during the cooling trend in the regions of East Japan. In West Japan, however, Yasuda [1980] suggests
*国立民族学博物館第 4研究部
* *甲南大学文学部 ,国立民族学博物館共同研究員
1
国立民族学博物 館研究報告 9巻 1号
that during the warming trend the environment deteriorated owing to dry summers. So here we assume that carrying capacity declined during the warming trend and then remained constant.
The technology of Jomon food production, including the tool elements used for hunting, fishing and gathering, are well known from an early stage in East Japan. Thus we assume that although tools must have been refined and systematized as Eastern Jomon technology developed, they were not powerful enough to influence carrying capacity, because the system did not prevent population decline in the cooling period. By contrast, farming, the true technological inno- vation, introduced from the Asian continent to Kyushu, changed Jomon society into an agricultural one. In this simulation we stipu- late that when rice is introduced into a region it not only doubles the ratio of population growth but also increases carrying capacity
(five times).
The results were compared with earlier estimates [KoYAmA 1978]
based on the number of sites. Both data coincide well, especially with respect to the population curve throughout the Jomon period.
In the East this curve shows a sharp increase of population until the Middle Phase, where a rapid decline is observed (Late Phase). In the West population remained almost constant throughout the entire period. During the Jomon, the distribution of pupolation was high in the East, whereas in the Yayoi it was high in the West—representing a complete reversal between the two periods.
1. は じめ に I I. これ ま で の 研 究
皿1 . 『 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 構 成 要 素 1. 人 口 増 加 の 公 式
2. 人 口 量 3. 増 加 率 4. 人 口 許 容 量 5. 最 大 人 口 密 度 6. 地 域
7. 移 動 8. 疫 病
I V. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 構 成 1 . 構 成
2. メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム 3. サ ブ ル ー チ ン ・プ ロ グ ラ ム
3. 1. 人 口移 動
3. 2. 人 口 許 容 量 ( K )の 操 作 3。2.1. 環 境 変 化 . 3,2.2. 技 術 革 新
3. 3, そ の 他 の サ ブ ル ー チ ン 4. 地 域 リ ン ケ ー ジ ・デ ー タ V . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 1 ( S1 )
1 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 1の 条 件 2. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 1の 分 析 2・ 1・ ロ ジ ス テ ィ ッ ク 曲 線 2. 2. 開 始 人 口 の 問 題 W ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2 ( S2)
1 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2の 条 件 2 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2の 分 析 2. 1. 概 観
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小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミ ュ レー シ ョン
2.2. 地 域 性 の 成 立 2.3. 地 域 性 の 検 討 W . シ ミ ュ レー シ ョ ン 3 ( S3)
1. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2の 検 討 2. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 3の 条 件 3. シ ミュ レ ー シ ョ ン 3の 分 析 3・1. 東 日 本 の 状 況
3.2. 西 日 本 の 状 況 生 縄 文 時 代 の 生 産 技 術
4.1. 狩 猟 4、 ・ 2.漁撈 4.3. 採 集 4.4. 農 耕
5. 人 口 密 度 と K 密 度 V 皿. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 4 ( S4)
1 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 4の 条 件 2. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 4の 分 析 D(. ま と め
1 . は じ め に
文 化 ( c Ul t ur e) とは あ る特 定 の 集 団 が も って い る 固有 の ライ フ ・ス タ イル だ と定 義 す る こ とが で き る。 そ の社 会 の ライ フ ・ス タ イ ル に は, 人 々の考 え方 や 行 動 に特 有 の パ タ ー ンが み と め られ る。
歴 史 書 に は世界 の各 地 に おお くの 文 化 が あ った こと が しる され て い る。 それ らの 文 化 は, 栄 えた り,衰 退 した り, お お きな 変容 を みせ た り, あ ま り変 化 もな く細 々 とつ づ いた り, 消 滅 した り, さ ま ざ まの 動 きを み せ る。 そ して 文化 の分 布 域 を地 図 上 にあ らわ す と, あ る時 点 で, 広 大 で あ った もの が , の ち の時 点 で は, せ ば ま る, あ る い は 消滅 す る とい う事 実 もあ る。
この よ うな例 か らみ る と, 文 化 とそ れ を支 え る集 団 ( po pul at i on) と人 ロ量 の間 に は何 らか の 相 関 関係 が 予想 され る。 そ こで, も し, そ の相 関 関係 が た だ し く充 分 にた か い もので あれ ば , 文 化 の 消 長 や変 容 の過 程 ( pr o ce s s )は, それ を 支 え る集 団 の人 口 動態 増 減 ( 増 加 率), 他 集 団 との交 流 ( 移 出, 移入 率 ), 人 口構 成 ( 性 , 年 令 別 コ ー ホ ー ト , 生 命 表 ) に よ って 量 的 に観 察 す る こ とがで き る。 また量 的 に把 握 す る こ とに よ り性 質 の ま った く異 な る文 化 を比 較 す る こ と も可 能 で あ る。 そ して , 人 口動 態 は と りわ け, 文 化 を 支 え る集 団 の生 業 や 社 会 構 造 そ の もの に直 接 か か わ って お り,
社 会 の組 織 や 活 動 の 解 明 を主 た る 目的 とす る民族 学 に とって か か す こ とので きな い重 要 な項 目で あ る はず で あ る。
しか しなが ら, 民 族 学 で は これ まで 人 口の 調 査 は しば しば無 視 され た り, あ ま り深 く追 求 され な か った 傾 向 が あ る。 そ れ は集 団 の 総 数 や構 成 が つ ね に変 化 し, 正 確 に把 握 す る作 業 が 意 外 に 時 間 や労 力 が かか る こ と, と くに歴 史 的 資 料 に は人 口 に関 す る情 報 が ま った く残 って いな い とか, 残 さ れて いて も不完 全 で あ る こ とが が お お い た め で あ る。 さ らにつ け くわ え るな らば, 前 述 した 文 化 と人 口 との相 関 関 係 が は っ き り と し
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国立民族学博物館研究報 告 9巻 1号 た 係 数 と して 決 定 で き な い と い う い ら だ ち が 調 査 者 に あ っ た た め だ と お も わ れ る 。 人 間 の 文 化 や 社 会 は ま こ と に 複 雑 で 変 化 に と み , 何 らの 方 向 性 や 規 則 性 を も た な い か の ご と くみ え る。 しか し, そ れ を 維 持 す る集 団 の 動 き や メ カ ニ ズ ム に は つ ね に 法 則 性 が み と め られ , 集 団 の 増 加 や 変 動 は基 本 的 に は 公 式 や 数 式 に よ っ て 表 現 す る こ と が で き る 。 Popul at i on Ecol ogy の 分 野 で , 人 間 集 団 の 人 口 動 態 が トナ カ イ や シ ョ ウ ジ ョ ウバ エ , バ ク テ リア な ど と ほ と ん ど 同 じ レ ベ ル で あ つ か わ れ , 説 明 さ れ て い る
[ PI ANKA l978] こ と か らみ て も, 人 間 の 社 会 が 一 見 ど ん な に 複 雑 に み え よ う と も,
根 本 的 に は 法 則 性 を も ち , 科 学 的 な 方 法 で あ き ら か に し う る こ と を し め して い る。 こ の 点 で も民 族 学 や 先 史 学 の 分 野 が 人 口 動 態 を つ ね に 視 野 に 入 れ て お く こ と の 重 要 性 が あ る と い え る 。
皿 . こ れ ま で の 研 究
人 間 の 社 会 や 文 化 を 研 究 す る た め に 人 口 の 算 出 が 不 可 欠 な も の だ と す れ ば , 先 史 時 代 は も っ と も困 難 な 状 況 に あ る と い え る。 集 団 の 実 態 は す で に 消 滅 し て お り , 人 ロ の 数 量 的 な 記 録 も な い 。
考 古 学 資 料 は , 良 好 な 条 件 下 で 偶 然 保 存 さ れ た わ ず か の 遺 骸 や , か れ ら の 行 動 の 痕 跡 で あ る住 居 な ど の 遺 構 や 道 具 類 食 糧 残 倖 な ど が わ ず か な 手 が か り と して しか 残 さ れ て い な い 。 そ の た め 先 史 学 の 分 野 で の 人 口 に 関 す る 研 究 は か な らず し も活 発 で は な く , 中 近 東 や ヨ ー ロ ッパ で 農 業 開 始 期 の 人 口規 模 や 密 度 が 論 議 さ れ た り, エ ス ノ グ ラ フ ィ ー と考 古 学 の 境 界 が 重 な る ア メ リカ 大 陸 で の 人 口 復 元 が 注 目 さ れ る程 度 で あ っ た 。 しか し, 最 近 で は , 考 古 学 が 自 然 科 学 の 分 野 に ま で 研 究 領 域 を ひ ろ げ て い る こ と , コ ン ピ ュ ー タ の 普 及 に よ り , 大 量 デ ー タ の 処 理 や モ デ ル 作 成 や 計 算 が 簡 単 に な った こ と な ど の 理 由 で 先 史 時 代 の 人 口 研 究 の 分 野 が 重 視 さ れ つ つ あ る 。
日本 で は , 先 史 (縄 文 )時 代 の 人 口 が 論 じ ら れ る こ と は 従 来 ほ と ん ど な か っ た 。 た と え ば , 遺 跡 の お お ま か な 分 布 と, 面 積 が よ く似 た カ リ フ ォ ル イ ンデ ィ ア ン の 人 口 を 目 安 に し た 山 内 清 男 の 15万 お よ び 25万 説 [山 内 1964], あ る い は30万 説 [山 内 1969],
北 海 道 の ア イ ヌ 人 口 を 参 考 に し た 芹 沢 長 介 の 12万 説 [ 芹 沢 1 968] が あ り , ほ か に 塚 田 松 雄 の 等 比 級 数 に よ る B. C .8000,3000,1 000年 時 点 で の 人 口 推 算 [ 塚 田 1974b]
が み ら れ る程 度 で あ っ た 。 こ れ ら は 目 算 や , 簡 単 な 公 式 に よ っ て 算 出 した も の で 本 格 的 な 研 究 と い え る も の で は な か っ た 。
小 山 修 三 は 〜 Jom on Subs i s tence and Popul at i on [ K oYAMA 1978]で 縄 文 一 弥
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小 山 ・杉藤 縄 文人 ロシミュレーシ ョン
表 1 時代 区分 別 C1 4年 代 ( B. P. )の 平 均 と 標 準偏 差
件 数 平 均 標準偏差 縄文草創期
早 期 前 期 中 期 後 期 晩 期 弥生
4 11 32 22 24 16 28
11837.5 8130.0 5157.8 4339.4 3328.8 2915,6 1846.7
1029.4 943.1 367.9 377.5 342.0 468。0 287.4
生 期 の人 口推 計 を お こな った。 そ の方 式 は基 本 的 に は一 定 の期 間 , 一 定 の範 囲 に存 在 す る遺 跡 数 を か ぞ え, そ こ にす む人 数 を一 定 の 手 続 きで きめ る こと に よ り, 人 口量 を 求 め る とい う もの で あ る。
まず 1 9 74 年 の レベ ルで全 国 ( 北 海 道 ・西 南諸 島 を除 く)の遺 跡 調査 表 か ら縄文 時代 の 遺 跡 数 を 集 計 した。 それ に弥 生 時 代 と土 師器 の時 代 ( 土 師 期 )の遺 跡 も ふ くめた。 遺 跡 調 査 表 で はふ つ う縄 文 遺 跡 は, 草 創期 ・早 期 ・前 期 ・中 期 ・後 期 ・晩期 の 六 期 に わ け て 記 述 され て いる。 そ こで これ ら六 期 に つ いて 期 別 にC 1 4年代 デ ー タ を ま とめ , 各 期 の 中央 値 を T 検定 ( 表 1)し, 各 時 期 が重 複 しな い独 立 した 期 で あ る こと を証 明 して 時 間 を 固 定 した 。 そ の結 果 弥 生 時 代 も独 立 した一 期 と して あ つ か え る こ とが わか った。
つ ぎ に, 全 国を 9地 域 に わ け, 時 期 ・地 域遺 跡表 をつ くった 。
日本 で もっ と もふ る く, か つ比 較 的 信頼 性 の たか い人 ロデ ー タ は, 沢 田吾 一 [ 沢 田 1 927]の奈 良 時 代 (8世 紀) の人 口 で, 延 喜 式 の 国別 租 税 高 に よ り推算 されて い る。
沢 田の デ ー タ は時 間 的 に は, 考 古 学 で も ち い る土 師期 に ほぼ 一 致 す る。 そ こで , 沢 田 の入 ロ デ ー タ を 9地 域 に再 集 計 し, これ と土 師 期, 弥生 , お よび 縄 文各 期 の遺 跡 数 を 比較 す る こ とに よ りそ れ ぞ れ の 時 期 の人 口数 を算 出 した 。 算 出 にあ た って は, 遺 跡 調 査 の精 度 が も っと もた か く,各 時 点 で の遺 跡 数 も平 均 して 豊 富 な 関 東 地方 の遺 跡 あた り人 口率 を基 準価 ( V)と した。
V は
v=P/ T=943 , 0001 5, 5 49≒ 1 7 0 ( P= 土 師 期 の 人 口 , T= 遺 跡 総 数 ) で あ る。
また, 土 師期 と各 期 との 遺 跡 規模 を 比較 し,各 期 の一 遣 跡 あた りの 対 8世 紀 人 口 を
制 限 す る定 数 ( 0)を きめ た [ KoyAMA l 978:54−55] 。 そ れ に, 各 期 の地 方 別 遺 跡
数 を か け あわ せ て 各 期 の地 域 別 人 口 を も とめ た。 た と え ば縄 文後 期 ( ブ4)の人 口 は ,
5
国立民族学博物館研究報告 9巻1号 Pj4= V*Ci4* TA
で求 め る ことが で き る(表2)。
こ う して仮 説 的 に算 出 され た人 口値 の妥 当 性 を説 明 す るた め に,各 時代 の遺 跡 の 立 地 を検 討 し,土 地 利 用 に は地 形差 の あ る こと に注 目 した。 地 形 は そ こに分 布 す る 自然
表2a先 史 時 代 の 人 口 と 人 口 密 度
早 期 前 期 中 期 後 期 晩 期 弥 生 土 師
東 北 関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州
全 国
2000 (0.03)
9700 (0.30) 400 (0.02) 3000 (0.10)
2200 (0.16) 300 (O.01) 400 (0,01) 200 (0,01) 1900 (0.05)
20100 (0.07)
19200 (0.29) 42800
(1.34) 4200 (0.17) 25300 (0.84)
5000 (0.36)
1700 (0.05)
1300 (0.04) 400 (0,02) 5600 (0.13)
46700 (0.70) 95400
(2.98) 24600
(0.98) 71900
(2。40) 13200
(0.94) 2800 (0.09)
1200 (0.04) 200 (0.01) 5300 (0.13)
43800 (0. 65) 51600
(1.61) 15700
(0.63) 22000
(0.73) 7600 (0.54)
4400 (0.14)
2400 (0.07)
2700 (0.14) 10100
(0.24)
39500 (0.59)
7700 (0.24)
5100 (0.20)
6000 (0.20)
6600 (0.47)
2100 (O. 07)
2000 (0.06) 500 (0.03) 6300 (0.15)
33400 (0.50) 99000
(3.09) 20700 (0.83) 84200
(2.81) 55300 (3.95) 108300
(3.38) 58800 (1.84) 30100 (1.58) 105100
(2.50)
288600 (4.31) 943300 (29.48) 491800
(19.67) 289700
(9.66) 298700 (21.34) 1217300
(38.04) 839400
(26.23) 320600
(16.87) 710400
(16.91)
1055002613001603007580059490◎5399800 (0.36)(0.89)(O.55)(0.26)(2.03)(18.43)
註)()内 は 人 ロ 密 度 。
[KoYAMAl978:56]に 訂 正 を 加 え た 。
表2b人 口 増 加 率
地域 時期
東 北 関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州 全 国
早 期1 前 期 0.0008 0. 0005 0. 0008 0. 0007 0. 0003 0. 0006 0.0004 0. 0002 0. 0004
0. 0006
前 期 1 中
期 0.0011 0. 0010 0. 0022 0. 0013 0.0012 0.0006 -0 . 0001 -0 . 0008 -0 . 0001
中 期 1 後
期 -0 . 0001
-0 . 0006 -0 . 0004 -0 .0012 -0 . 0005
0. 0004 0. 0007 0. 0026 0. 0006
後 期 1 晩 期 -0 .0003 -0 . 0046 -0 . 0027 -0 . 0031 -0 .0003 -0 .0018 -0. 0004 -0 . 0041 -0 . 0011
晩 期 1 弥 生 -0 . 0002
0. 0024 0. 0013 0. 0025 0.0020 0. 0037 0. 0032 0. 0038 0. 0026
弥 生 1 土 師 0.0021
0.0022 0. 0030 0.0012 0. 0016 0. 0023 0. 0025 0.0023 0. 0018
0. 0011 - 0. 0005 -0.0018 0. 0019 0. 0021
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小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミ ュ レー シ ョン
食 糧 資 源 の 産 量 や 分 布 と か か わ り が ふ か い か ら で あ る 。 そ こで 地 域 別 に 人 口 量 に 対 し て , 山 地 , 丘 陵 , 山 麓 , 台 地 , 低 地 の 地 形 別 面 積 [国 土 地 理 院 1972] と河 川 お よ び 海 岸 線 の 長 さ を 変 数 に し, 重 回 帰 分 析 を お こ な い, そ の 寄 与 率 に よ っ て 推 計 人 口 量 の 妥 当 性 の 証 明 と した 。 そ の 結 果 , 日本 の 先 史 時 代 人 口 は 全 国 的 に み る と, 縄 文 時 代 の 人 口 は 早 期 ( 8000 B.C . ) か ら 前 期 ( 5000 B.C . ) に か け て ゆ る や か に 増 加 し, そ の 後 急 速 に 増 加 し て 中 期 ( 4300 B. C. )に ピー ク に 達 す る が , そ の 後 減 少 し, 弥 生 時 代 か ら
ふ た た び 増 加 す る と い う結 果 が え られ た 。
ま た , 人 口 の 分 布 を み る と縄 文 時 代 に お い て は 東 日 本 に濃 く, 西 日 本 に淡 い 。 そ れ に た い して 弥 生 時 代 以 降 は そ れ が 逆 転 す る こ と が わ か っ た 。 し か し, 縄 文 人 口 の 分 布 を 地 域 別 に くわ し く み る と西 日本 (九 州 , 四 国 , 中 国 , 近 畿 ) で は 人 口 量 が 時 代 を と お して す くな く, か つ 微 増 を つ づ け る。 中 部 日 本 (中 部 , 東 海 , 関 東 ) は 人 口 量 が お お く 中 期 に そ れ が ピ ー ク に 達 し, そ の 後 急 激 な 減 少 が お き る。 北 日本 (東 北 , 北 陸 ) で は 中 部 日 本 と 似 た 傾 向 が み ら れ る が , 後 一 晩 期 に は 減 少 す る と い う よ り む しろ 停 滞 す る と い っ た , 地 域 に よ っ て 異 な る 三 つ の 類 型 が あ らわ れ る こ と が あ き らか に な っ た 。
遺 跡 数 か ら人 口 を 推 定 す る 方 法 は , 考 古 学 的 に は , た と え ば SR P 法 [ A MMERMAN,
CAvALLI − SFoRzA & W AGENER 1 973] な ど が 知 られ て お り, か な り定 着 した 手 法 だ と い え る 。 考 古 学 で は 時 間 ス ケ ー ル の 粗 放 さ ( 入 口 調 査 は 本 来 あ る一 時 点 で 切 っ て お こ な わ れ る べ き で あ る の に 対 して , 考 古 学 の 時 間 は 土 器 形 式 や 測 定 年 代 の 偏 差 値 な ど の 幅 が お お き い ) を 資 料 の 性 質 上 無 視 す る と し て も, 基 準 と な る べ き遺 跡 の 調 査 が 特 定 地 に 集 ま る 傾 向 に あ り ラ ンダ ム で な い こ と や , す で に 破 壊 さ れ た も の や 未 発 見 の 遺 跡 の お お い こ と が 予 想 で き る。 小 山 の 人 口 推 計 に 対 す る お も な 批 判 の 一 つ も未 発 見 の 遺 跡 を ど う 考 え る か , 推 計 以 降 発 見 され た 遺 跡 を ど う す る か , と い う も の で あ った 。 現 に 1974年 以 降 , 遺 跡 の 発 見 が 相 次 い で お り , と くに 西 日本 で は , や や 過 少 に 推 計 し た き ら い の あ る人 口 数 の 修 正 の 必 要 を 感 じて い る。 しか し, これ は 既 存 の デ ー タ に も と づ き 分 析 を す す め る分 野 の 研 究 が 内 在 して い る 問 題 で , 新 し い 発 見 が あ る た び に 仮 説 を 修 正 しな が ら仮 説 の 精 密 化 を は か る ほ か に 途 は な い と お も わ れ る 。
以 上 の 小 山 の 方 法 は 既 存 の デ ー タ の み か ら現 象 を 分 析 す る 立 場 で , い わ ゆ る ボ トム ァ ッ プ 的 手 法 で あ る。 そ こ で こ の 論 文 で は 最 近 コ ン ピ ュ ー タ 民 族 学 の 分 野 で 杉 田 繁 治 が 提 唱 して い る ト ップ ダ ウ ン 的 方 法 , す な わ ち ,デ ー タ を 生 み 出 す 潜 在 構 造 (モ デ ル ) を 仮 定 し, そ れ に よ っ て 生 成 さ れ る デ ー タ と 実 際 の デ ー タ を 比 較 しな が ら モ デ ル を 変 形 して い く「合 成 に よ る 分 析 ( A nal ys i sby s ynt hes i s )」に よ る ア プ ロ ー チ [杉 田 1984]
を と る こ と に す る 。
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国立民族学博物館研究報 告 9巻 1号 人 口 動 態 は , シ ス テ マ テ ィ ッ ク で 法 則 性 の つ よ い 性 格 を も つ こ と が 知 られ て お り,
ト ップ ダ ウ ン的 方 法 を と る に は 適 して い る 分 野 と い え る 。 そ こ で , は じ め に 縄 文 時 代 人 口 動 態 を 生 態 学 的 な 一 般 法 則 , 確 率 な ど を ふ くむ シ ス テ ム と して モ デ ル を つ く り,
コ ン ピ ュ ー タ に よ る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を お こ な っ た 。 そ して そ の 結 果 を 小 山 の 分 析 結 果 と比 較 し, 当 初 の モ デ ル を 変 形 しな が ら考 察 を くわ え て い っ た 。 つ ま り こ の 論 文 の め ざ す と こ ろ は , 「合 成 に よ る 分 析 」 に よ っ て 縄 文 時 代 の 人 口 動 態 を 推 計 す る こ と に あ る 。
皿 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 構 成 要 素
1. 人 口 増 加 の 公 式
生 物 の 個 体 群 ( popul ati on) の 増 加 は
ハ「 (の 一 N (t o) *et 「 ( 指 数 関 数 的 増 加 ) ま た は
2 V( t )= N (t o ) *(1十 r)t ( 幾 何 級 数 的 増 加 )
( N (t o ):開 始 時 の 個 体 数 , N ( の :t時 間 後 の 個 体 数 , t:時 間 , r:増 加 率 , e:自 然 対 数 の 底 )
の 式 で あ ら わ さ れ る 。 こ れ は 時 間 の 経 過 に つ れ て は じ め は ゆ る くの ち 急 速 に 無 限 大 に む か っ て の び る 曲 線 で あ る (図 1)。
た だ し こ れ は 制 限 の な い , 安 定 した , 良 好 な 環 境 に あ る と い う非 現 実 的 な 状 況 下 の 増 加 で あ る。
よ り 現 実 的 に は , あ た え られ た 環 境 下 で は , 人 口 許 容 量 ( Carryi ng Capaci t y) と い う飽 和 点 が あ り , 個 体 数 の 増 加 は こ の 点 に 近 づ い た 時 , 停 滞 す る と い う, い わ ゆ る ロ ジ ス テ ィ ッ ク 曲 線 が 考 え ら れ て い る (図 2)。
ハ1( 。)
図 1 指数関数人 口増加曲線 図 2 ロ ジ ス テ ィ ッ ク 曲 線
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小 山 ・杉藤 縄 文人 ロ シ ミ ュ レー シ ョン
そ の式 は
2 >(t )=
1+ K
N(to)
K
—1
*e—^(t—to)( K :人 口 許 容 量 ) で あ ら わ さ れ る 。
2. 人 口 量 (N ( t) )
以 上 に の べ た よ う に , 人 口 量 は 時 間 (の と増 加 率 ( γ) に よ って か わ る 変 数 で , 人 口 許 容 量 ( K )の 影 響 も う け る。 ま た ,特 定 の 時 点 で の 人 口 量 ( N (t )) は 開 始 期 の 人 口 量
( N (彦 o )) に よ って き ま る 。 こ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ンで は N ( t ・ ) は 定 数 と し, 設 定 条 件 に した が っ て お き か え る こ と に し た 。
3. 増 加 率 の
増 加 率 ( r) は , い わ ゆ る 内 在 増 加 率 ( i nt ri ns i c rat e ofi ncrease) で 定 数 で あ る 。 実 増 加 率 ( true rat eofi ncreas e) は 出 生 率 (b) に移 入 率 ( i ) を 加 え た 値 か ら死 亡 率 ( d)
移 出 率 ( e ) を 加 え た 値 を 減 じた 変 数 ( (b十 i )一 ( d十 e) ) で あ る。 縄 文 社 会 を 概 観 す る と 島 国 で あ る 日 本 の 立 地 条 件 か ら, 巨 視 的 に は 移 出 入 率 は ほ ぼ 無 視 で き る だ ろ う。 実 増 加 率 を も と め る た め の 死 亡 率 , 出 産 率 は 個 体 群 の 年 令 階 層 別 の 期 待 寿 命 , 年 令 別 出 産 率 な ど を 知 る 必 要 が あ る 。縄 文 時 代 の 性 別 ・年 令 別 人 口構 成 と生 命 表 ( l i f et abl e)は , 出 土 入 骨 を つ か っ た 小 林 和 正 の 研 究 [ 小 林 1979] が あ る が , そ れ が 1万 年 以 上 に わ た る 縄 文 時 代 を 通 じて の 一 般 値 と な り う る か ど う か に 不 安 が の こ る こ と , ま た , こ れ が 初 歩 的 な シ ミ ュ レ ー シ ョ ンで あ る た め な る べ く簡 単 な 構 造 に し た い な ど の 理 由 か ら,
実 増 加 率 を つ か う よ り 内 在 的 増 加 率 を 定 数 と し て つ か い , そ れ が ど の よ う に 人 口 に 影 響 を あ た え る か を み よ う と し た 。
4. 人 口 許 容 量 ( K )
人 口許容 量 は非 常 に複雑 で と らえ に くい概 念 で あ る。 人 口が 一定 量 まで 達 した 時 , 増 加 率 が に ぶ り, 停 滞 す る ロ ジス テ ィ ック曲 線 を つ くる上 限 線 が 人 口許 容 量 と定 義 さ れ て い る。 」 て は簡 単 にい え ば一 地 域 内の 人 口密 度 の 上 限 で あ る。 しか し κ は場 所 に よ り異 な り, 時 間 に よ って も変 化 す る。 しか も, 人 口密 度 と増 加 率 の間 に は フ ィー ド バ ックの 時 間 的 ず れ が お こる こ とが お お い。
9
国立民族学博物館研究報告 9巻 1号 自然 経 済 の 社会 で は, あ る地 域 の 人 口許 容 量 は そ こで生 産 され る食 物 の 量 に よ って 決 定 され る と い う考 え方 が あ る。 つ ま り人 口許 容 量 と はそ の地 域 の植 物 相 ( f l or a)と 動物 相 ( f auna)の 生 産 量 だ とい え る。 しか し, 植 物 の生 産 量 は温度 ,湿度 , 日照 時 間 な どの 気 候条 件 に よ って 左 右 され る こと がお お く, 動 物 は植 物 に依 存 す る と ころが お お いの で ほぼ 同 じよ うな 動 きを す る。 また 突 然 の 災 害 に よ り動 植 物相 が一 変 した り壊 滅 して しま う場合 もあ る。 さ らに た とえ地 域 の 生 産 量 が安 定 して い る と仮定 して も,
そ こ にあ る人 間 社 会 が その 環境 か らど の程 度 食 糧 資 源 を搾 取 す る知 識 や技 術 を も って い るか も無 視 す る ことの で きな い 問題 で あ る。 した が って人 口許 容 量 を あ らわす 値 κ は定 数 で はな く, お お くの 要 因 を ふ くむ 変 数 だ と考 え る ことが で き る。
5. 最 大 人 口 密 度 ( M )
この シ ミュ レー シ ョ ンで は κ の 基 準 値 とな る もの に か わ る 定 数 と して 最 大 人 口密 度 ( M )を設 定 した 。 した が って M と地 域 面 積 を 乗 じ る ( K= M * S) こ とに よ り その 地 域 の 最大 人 口量 の 値 ( κ)が 決 め られ る。 こ こで は シ ミュ レー シ ョ ンの条 件 ( 環 境 変 化 ・技術 革 新 ) に応 じて 時 間 を 設定 して M の値 に定 数 を 乗 じ,M の 値 を変 化 させ K 値 とす る こ とに した 。
6. 地 域
北 海道 と沖 縄 を の ぞ く日本 全 土 を 9地 域 にわ け た。 各 地 域 は それ ぞ れ の面 積 ( S)を 定数 と して もつ 。 縄 文 時代 に は海 進 海 退, 地盤 変 動 , 沖 積 層 の生 成 な ど に よ り面 積 に 変化 が み られ た と考 え られ るが, 比 率 的 に は微 少 な もの と考 え 定 数 の入 れか え は しな か った。
7. 移 動 ( di spersa1 )
こ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は 9地 域 の そ れ ぞ れ で 独 立 して 人 口変 動 が お こ っ て い る と い う条 件 を 設 定 して あ る 。 そ こ で , あ る地 域 で 人 口 量 が 人 口 支 持 力 を こ え 人 口 爆 発 が お こ った と き , そ の 集 団 の 一 部 が 他 の 地 域 へ 移 動 す る と い う モ デ ル を 考 え た 。 移 動 先 は 地 域 リ ンケ ー ジ ・デ ー タ ( 後 述 ) に し た が い 確 率 に よ っ て 選 択 す る 。 移 動 の 具 体 的 な モ デ ル に つ い て は サ ブ ル ー チ ンの 項 で く わ し く の べ る 。
8. 疫 病 ( epi dem i c and di sease)
人 口量 が 人 口許容 量 に近 づ くと停 滞 す る ロジ ス テ ィ ック曲線 的状 況 の ほか に, 現 実
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小 山 ・杉藤 縄文人 ロシミュレーシ ョン
に は, そ の 時 人 口 が 急 激 に 崩 壊 す る現 象 が し られ て い る。 ア ラス カ , セ ン トポ ー ル 島 に 移 入 さ れ た トナ
カ イ の 例 は 有 名 な 例 で あ る が , 人 間 社 会 の 場 合 で も , 瀬 戸 内 海 島 填 の 江 戸 時 代 の 人 口 , 中 世 ヨ ー ロ ッパ ,
ア メ リカ ・イ ンデ ィ ア ンや オ ー ス トラ リ ア ・ア ボ リ ジ ニ 社 会 (図 3) な ど の 人 口 動 態 が そ れ に ち か い 例 だ と い え る だ ろ う。
そ の 場 合 , ま ず 環 境 変 化 が お こ り, 食 糧 不 足 や 栄 養 不 良 の 状 態 が ひ き が ね と な り, 伝 染 病 が 慢 延 し,
死 亡 率 が 出生 率 を お お き く うわ ま わ る こ と に な る。
こ の よ う な 地 域 内 の 人 口 の 自 壊 現 象 も, 状 況 に よ り あ る確 率 で お こ る こ と を 考 え る 必 要 が あ る だ ろ う。
図 3 オ ー ス ト ラ リア ・ア ボ リ ジ ニ の 入 口変 動
([ PETERs oN 1 981:2;Row LEy l 972:384]を も と に 作 成 )
こ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は 移 動 モ デ ル の な か に カ タ ス ト ロ フ ィ ー 的 な 要 素 を も つ サ ブ ル ー チ ン を つ く っ た 。
I V ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 構 成
1. 構 成
シ ミ ュ レー シ ョ ン は , メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム と 8種 の サ ブ ル ー チ ン ・プ ロ グ ラ ム と か ら構 成 さ れ る 。
な お , コ ン ピ ュ ー タ は, 国 立 民 族 学 博 物 館 の IBM 4341− PO2 を 使 用 し, 対 話 型 モ ニ タ ー シ ス テ ム (CM S) に よ り操 作 を お こ な っ た 。 ま た , 相 関 係 数 を 算 出 す る さ い に
は , SPSS (St at i st i cs Pr ogram f ( ) r Soci al Sci ence) を 使 用 した 。
2. メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム (図 4a, b, c)
[定 数 の 入 力 ]
開 始 人 口 値 ( N ( t ・) ) お よ び 人 口 増 加 率 ( r)最 大 人 口密 度 ( M ) を 各 地 域 ご と に 定 数 と して 入 力 す る。 各 地 域 の 人 口 許 容 量 は 最 大 人 口 密 度 に地 域 面 積 ( S) を 乗 じ る ( K = M *S) こ と に よ っ て 求 め られ る 。
[ 人 口増 加 計 算 ]
人 口増 加 は ,指 数 関 数 的 増 加 で あ っ た と 仮 定 す る 。 す な わ ち ,一 般 に 開 始 人 口 亙 (・ ),
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国立民族学博物館研究報告 9巻 1号
図 4 メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム の フ ロ ー チ ャ ー ト
人 口 増 加 率 rの と き t年 後 の 人 口 N ( t) は , 次 式 で あ た え られ る 。 2 V( t)= 2 >(t o )*et 「
メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム で は , 1年 毎 に 計 算 を お こ な うの で , 1年 後 の 人 口 N ( t) は 次 式 で あ た え ら れ る 。
1 >( の = 2 V( t− 1)*〆
[サ ブ ル ー チ ンの 引 用 ]
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ って メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム は 若 干 こ と な る。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 1 と シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2 の メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム は 共 通 で あ る (図 4a) が , た だ 開 始 人 口 値 が こ と な る (後 述 )。 シ ミ ュ レー シ ョ ン 3で は 人 口 移 動 の サ ブ ル ー チ ン と して M O V E 3 が も ち い られ る 。ま た ,許 容 人 口 値 ( K )を 操 作 す る サ ブ ル ー チ ン ・ M IH EU
が 引 用 さ れ る ( 図 4b)。
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 4 で は , シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 3 に お け る メ イ ン ・プ ロ グ ラ ム に , サ ブ ル ー チ ン ・RO U TE お よ び TECH NI が くわ え られ , 技 術 伝 播 が シ ミ ュ レ ー ト さ れ る (図 4c)。
[結 果 の 出 力 ]
シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果 は , 端 末 画 面 も し く は , ラ イ ンプ リ ン タ ー に 出 力 さ れ る。
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小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミ ュ レー シ ョン
3. サ ブ ル ー チ ン ・プ ロ グ ラ ム
3.1. 人 口 移 動
そ れ ぞ れ の 地 域 で 人 口 が 許 容 量 ( K ) に達 し た と き , 人 口 移 動 が お こ る と 仮 定 す る 。 そ の と き , 以 下 の サ ブ ル ー チ ン の い ず れ か を 実 行 す る。
[サ ブ ル ー チ ン ・M O V E l]
サ ブ ル ー チ ン ・M O V E l (図 5) は , 「浸 み だ しモ デ ル 」 と よ ぶ 。 許 容 人 口 値 を こ え た 地 域 の 現 在 人 口値 (N m(t )) の 一 定 割 合 ( X)の 人 口 ( lm= 2 V.(の*X) が 人 口 移 動 を お こ な う。 そ の さ い サ ブ ル ー チ ン ・TR Y (後 述 )を 呼 び , ど の 地 域 に 移 動 す る か ラ ン ダ ム に選 択 す る 。 た だ し, 移 動 可 能 な 地 域 は , あ ら か じ め , 地 域 リ ン ケ ー ジ ・デ ー タ
(後 述 ) と して 入 力 さ れ て い る 。 サ ブ ル ー チ ン ・M O V E 1 の 場 合 , リ ンケ ー ジ ・デ ー タ の マ ト リ ッ ク ス (表 3) 中 の 3.0で あ らわ さ れ る地 域 が , 移 動 先 候 補 地 域 で あ る 。 サ ブ ル ー チ ン ・TRY に よ り移 動 先 が 確 定 す れ ば , 移 動 先 地 域 の 現 在 人 口 値 2 % 1( t ) か ら一 定 割 合 ( X) を 減 じた あ と, そ の 値 と 移 動 人 口 値 ( 1m( t )) を 加 え た 値 が , そ の 地 域 の 入 口 許 容 量 ( . Km 1 ) を 越 え な け れ ば ,移 動 は 成 功 裏 に お わ り, も し越 え れ ば , 移 動 人
図 5 人 口 移 動 の サ ブ ル ー チ ン・M O VE l の フ ロ ー チ ャ ー ト
図 6 人 口 移 動 の サ ブ ル ー チ ン ・ M O VE 2 の フ ロ ー チ ャ ー ト
13
国立民族学博物 館研究報告 9巻 1号 口は 消滅 す る と みな す 。
人 口移 動 した と き, 当事 者 とな った地 域 の 人 口値 は次 式 で あ らわ され る。
Nm( t )= 2 >m( 彦 )*x I V.1( t)= 2 >ml (t )*x十 1m (た だ し, 1m= 」 ? Vm( 彦) *x)
ml は 人 口 爆 発 した 地 域 , m2 は 移 動 先 地 域 で , xの 値 は 試 行 の う え , こ こ で は0.1 と した 。
[サ ブ ル ー チ ン ・M O V E 2ユ
サ ブ ル ー チ ン ・M O V E 2 (図 6) は , 「疫 病 モ デ ル 」 と 名 づ け ら れ , M O V E 1 よ り も 人 口 の 変 動 が 大 き な モ デ ル で あ る。 人 口許 容 量 を こ え た 地 域 の 現 在 人 口値 ( N (t ))
に 一 定 割 合 ( ク)を 乗 じた 値 を 残 留 さ せ , の こ り を 移 動 候 補 ( 塩 = N m( の切 と す る。 こ の モ デ ル で は ,3回 の 移 動 を 試 行 させ る。 地 域 リ ンケ ー ジ ・デ ー タ 中 の 3.0, 2,0, 1.0 の 数 値 を も つ 地 域 が , そ れ ぞ れ , 第 一 候 補 地 群 , 第 二 候 補 地 群 , 第 三 候 補 地 群 と な り,
そ の な か か ら移 動 先 地 域 が 求 め られ る 。 ま ず は じ め に, サ ブ ル ー チ ン ・TR Y に よ り 第 一 候 補 地 群 の な か か ら適 当 な 一 地 域 を 選 択 し, そ の 地 域 の 現 在 人 口 (N (の) か ら一 定 割 合 ッ を 乗 じ た 値 を 減 じ, 移 動 人 口 ( lm) を 加 え た 値 が 移 動 先 の 人 口 許 容 量 ( K mi ) を こ え な け れ ば 移 動 が 成 功 す る, と い う 点 は, M O V E l と 同 様 で あ る。 も し,移 動 に 成 功 しな け れ ば , サ ブ ル ー チ ン ・TRY に も ど り , 第 二 候 補 地 群 の な か か ら あ らた め て 適 当 な 一 地 域 を 選 択 す る。 こ の 場 合 , 移 動 人 口 値 ( lm) に ノ の 自 乗 を 乗 じた 値 が 移 動 す る と し, 人 口 が 減 少 した 分 の 人 口 は , 移 動 先 を 捜 す う ち に 損 傷 し た と み な す 。 移 動 の 手 続 き は 上 記 と 同 様 で あ る。 も し, 第 二 候 補 地 群 に お い て も移 動 で きな け れ ば , 第 三 候 補 地 群 の な か に 移 動 先 を 求 め る 。 こ の さ い , 移 動 人 口 は , 当 初 の 値 ( lm) に ノ
表 3 地 域 近 接 度 の マ ト リ ッ ク ス
東北 関東 北陸 中部 東海 近 畿 中国 四国 九州 東 北
関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州
3. 0 3. 0 2. 0 1. 0 2.0 1.0 0.0 1.0
3. 0
3. 0 3. 0 3.0 2. 0 0. 0 1.0 1.0
3.0 3. 0
0.0 3.0 3.0 2.0 0. 0 1.0
2.0 3.0 0.0
3.0 3.0 0.0 2.0 1.0
1.0 3. 0 3.0 3. 0
3. 0 0. 0 0. 0 0.0
2. 0 2. 0 3. 0 3.0 3. 0
3. 0 3. 0 2.0
1.0 0. 0 2.0 0.0 0.0 3.0
3. 0 3.0
0. 0 1.0 0.0 2.0 0.0 3.0 3. 0
3.0
1.0 1.0 1.0 1.0 0.0 2. 0 3.0 3. 0
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小 山 ・杉 藤 縄 文人 ロ シ ミュ レー シ ョン
の 三 乗 を 乗 じた 値 とす る 。 同 様 の 手 続 き に よ り , 移 動 可 能 か ど うか を チ ェ ック し, 移 動 の 手 続 き を と る。 も し そ れ で も成 功 しな け れ ば , こ の 移 動 人 口 は 消 滅 した と み な す 。 人 口 移 動 成 立 後 の 人 口 値 は 次 式 で あ らわ さ れ る。
1回 目 ハT m( の = 1 V餌( のツ
鵡 1 (の = . Z Vm 1( t)*x十 1解 暫 (た だ し, 1。 ・ =2 >m( t) ツ ,x は M OV E 1 の 値 )
2 回 目 以 降 は , 移 動 人 口 が こ と な る が そ の 他 の 式 は 1回 目 と 同 じ で あ る 。 2 回 目 Im=: ハT m( 彦 )* 22
3 回 目 Im :. ? Vm( t ) * J V 3
な お , 試 行 の う え , こ こで は ク の 値 を 0.5と した 。
[サ ブ ル ー 一 一チ ン ・M O V E 3]
サ ブ ル ー チ ン ・M O V E 3 (図 7) は , M O V E l お よ び M O V E 2 を 並 用 す る も の で 「混 合 モ デ ル 」 と よ ぶ 。 t l ま で は M O V E 1 が も ち い られ , t 2 か ら t 2に か け て は , サ ブ ル ー チ ン ・R AN D を 引 用 し 2分 の 1の 確 率 で M O V E l か M O V E 2 が 選 択 さ れ る。 t l か らふ た た び M O V E 1 に も ど る。
3.2. 人 口 許 容 量 (K )の 操 作
シ ミ ュ レ ー シ ョ ンで は , 以 下 の 2種 の サ ブ ル ー チ ンを 選 ん で 人 口 許 容 量 の 数 値 を 操 作 す る こ と が で き る。
3.2.1. 環 境 変 化
[サ ブ ル ー チ ン ・M ILIEU ]
サ ブ ル ー チ ン ・M IH EU (図 8) は, 所 定 の 時 間 (t l , t 2) に な る と 特 定 の 地 域 の 人 口 許 容 量 ( 」 κの に あ ら か じ め入 力 して お い た 数 値 ( κ)を 乗 じて , 人 口 許 容 量 ( κ )に
図 7 人 口 移 動 の サ ブ ル ー チ ン ・M O VE 3 の フ ロ ー チ ャ ー ト
図 8 環 境 変 化 の サ ブ ル ー チ ン M ILIEU の フ ロ ー チ ャ ー 」 ト
15
国立民族学博物館研究報 告 9巻 1号 代 入 し変 化 を お こ す 。 な お , κ の 値 に つ い て は ,
の ち に の べ る。
3.2.2. 技 術 革 新
[サ ブ ル ー チ ン ・TECH N I]
サ ブ ル ー チ ン ・TECH N I (図 9) は , 技 術 革 新 の 結 果 を シ ミ ュ レー ト した も の で , 人 口許 容 量
( κ ) と人 口 増 加 率 ( γ) に 変 化 を くわ え る 。 技 術 革 新 の 伝 播 経 路 は , サ ブ ル ー チ ン ・R O U TE に お い て 決 定 さ れ , 順 に技 術 革 新 を ひ き お こ す 。 所 定 の 時 間 ( t l) 以 降 , 所 定 の 確 率 ( x) に した が い , 入 口 許 容 量 ( κ )に 所 定 の 倍 率 ( ク) を 乗 じ, 人 口 増 加 率 を 之 に お き か え る 。 な お , 具 体 的 な 数 値 に つ い て は, の ち に の べ る。
[サ ブ ル ー チ ン ・R O U TE]
サ ブ ル ー チ ン ・R O U TE は, サ ブ ル ー チ ン ・ RAN D を 引 用 し, 確 率 に よ り 各 試 算 ご と に ひ と
つ の 伝 播 経 路 を 選 択 す る。 そ の 経 路 は つ ぎ の 6通
図 9 技 術 革 新 の サ ブ ル ー チ ン ・ TECH NI の フ u 一 一チ ャ ー ト
り で あ る 。 な お , つ ぎ の 組 み 合 わ せ は , 地 域 リ ンケ ー ジ ・デ ー タ に よ る 。 1. 九 州 一 四 国 一 中 国 一 近 畿 一 東 海
2. 九 州 一 四 国 一 近 畿 一 中 p a− 一東 海 3. 九 州 一 四 国 一 近 畿 一 東 海 一 中 国 4. 九 州 一 中 国 一 四 国 一 近 ee− 一東 海 5. 九 州 一 中 国 一 近 畿 一 四 国 一 東 海 6. 九 州 一 中 国 一 近 畿 一 東 海 一 四 国
3.3. そ の 他 の サ ブ ル ー チ ン
[サ ブ ル ー チ ン ・TRY ]
現 在 人 口 が 人 口 許 容 量 を こ え た と き , 9地 域 の な か か ら移 動 可 能 な 地 域 を 確 率 的 に
=選 択 し よ う とす る 。 サ ブ ル ー チ ン ・M O V E 1,サ ブ ル ー チ ン ・M O V E 2 に お い て 引 用 さ れ , 移 動 先 の 地 域 を 確 率 的 に 選 択 す る 。 確 率 は サ ブ ル ー チ ン ・R AN D に よ っ て え られ る 。
[サ ブ ル ー チ ン ・RA ND ]
サ ブ ル ー チ ン ・RA ND は 正 i 整数 を 入 力 す る と 0 か ら 1の 間 の 一 様 舌L数 RND を 発
16
小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミュ レ ー シ ョン
図 1 0 地 域 リ ンケ ー ジ (サ ブ ル ー チ ン ・M OV E l の 場 合 )
生 す る 。
4. 地 域 リ ン ケ ー ジ ・デ ー タ
日本 を 東 北 , 関 東 , 北 陸 , 中 部 , 東 海 , 近 畿 , 中 国 , 四 国 , 九 州 の 9地 域 に わ け , そ れ ぞ れ の 地 域 の 「近 さ 」 を あ ら わ した もの で , 現 在 人 口 が 許 容 人 口 量 を こ え , 人 口 移 動 が お こ る と き , そ の デ ー タ が 引 用 さ れ る ( 図 10, 表 3)。
こ こで は 「近 さ 」 の 程 度 を 3種 類 に わ け た 。 3.0の 値 で あ ら わ さ れ る の は, 陸 上 で 隣接 し て い る 地 域 で , 2.0 は , ひ と つ お い て と な り の 地 域 で あ り, か つ 隣… 接 地 域 を 経 由 す る こ とな く海 上 を 通 じて 交 通 可 能 と み な した も の , 1・ 0 で あ ら わ さ れ る地 域 は,
前 者 よ り も遠 隔 地 と み な さ れ る も の で あ る。 ま た ◎. 0 の 場 合 , 陸 上 で も 海 上 で も遠 隔 す ぎ て , 交 通 が 不 能 な 地 域 と み な し た 。
V . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 1 (S1)
1. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 1の 条 件
第 一 回 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン は も っ と も条 件 の 簡 単 な モ デ ル で お こ な っ た 。 定 数 で あ る 人 口 増 加 率 ( r) を 0.5パ ー ミル ( 0.OOO5), 最 大
人 口 許 容 量 ( K ) を 1平 方 キ ロ あ た り 1人 と し,
開 始 人 口 を 9地 域 に そ れ ぞ れ 1000人 と し た 。 あ る 地 域 で 人 口 量 が 許 容 量 に 達 した と き, 他 地 域 へ の 移 動 が お こ る と 仮 定 して , そ の 移 動 モ デ ル に は
「浸 み だ しモ デ ル 」 の サ ブ ル ー チ ン (M O VE l)
増 口 人 の ー ン ヨ シ
一
レ
ユ 線 ミ 曲 シ 加
11 図
17国立民族学博物館研究報 告 9巻 1号 を も ち い た 。 以 上 の 条 件 で 10000年 の 計 算 を お こ な い , 各 地 域 で の 人 ロ の 動 き を み る
こ と に した 。
2. シ ミ ュ レ ー シ 。 ン 1の 分 折
2.1. ロ ジ ス テ ィ ッ ク 曲 線
100回 試 算 を お こ な い , 1000年 ご と に 平 均 値 と 標 準 偏 差 値 お よ び 人 口増 加 率 を も と め た も の が 表 4 で あ る 。 人 口 の 動 き は 全 国 的 に み る と6000年 代 ま で は 順 調 に の び , そ の 後 ゆ っ く り と増 加 を し め す が , 10000年 に は 減 少 し て い る 。 偏 差 値 は実 数 に 対 して
表 4 シ ミュ レー シ ョン 1の結 果 ( 100試 算 に よ る年代 別 人 口量 の平 均 と標 準 偏 差 ) a. 平均 値 と標 準偏 差 値
年代 地域
1 1001 2001 3001 4001 5001 6001 7001 8001 9001 10001
東 北 関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州
10(0) 10( 0) 10( 0 ) 10( 0) 10( O) 1 0( 0) 10( 0) 1 0( 0) 10( 0)
16(0) 16( 0) 16( 0 ) 1 6( 0) 1 6( 0) 1 6( 0) 1 6( 0) 1 6( 0) 16( 0)
27( 0) 27( 0) 27( O) 27( 0) 27( 0) 27( 0) 27( 0) 27( 0) 27( 0)
44( 0) 44( 0) 44( 0) 44( 0) 44( O) 4 4(0) 44( 0) 44( 0) 44( 0)
73( 0) 73( 0) 73( 0) 73( 0) 73( 0) 73( 0) 73( 0) 7 3( 0) 7 3( 0)
121( 0) 121( 0)121( 0)121( 0) 121( 0)121( 0) 121( 0) 121( 0) 12 1( 0)
200( 0) 198( 2)198( 3)198( 2)131( 0)197( 2 ) 200( O) 18 0( 0) 20 0( 0)
328( 3)297( 12)235( 9)285( 10) 126(4)296( 12 ) 298( 12) 175( 3)31 7( 8)
5 15( 21)300( 10)234( 8)282( 10)128( 9)306( 14 ) 296( 1 6)168( 7)392(1 8)
633( 20)291( 15)227( 12)280( 10)126(8)303( 13)293( 1 4)17 6(1 2)3 97(1 1)
634( 20) 289( 16) 229( 12) 279( 12) 127( 6)305( 12)292( 1 5) 169(1 2)39 0(1 0)
全 国
90( O)
1 48( 0)
244( 0)
403( 0)
66 4( 0)
1 096(0)
1707( O)
2359(2 9)
2626( 44)
2730( 42)
2717( 43)
註 ) 平 均人 口の 単位 は百 人 。 ( ) 内 は標 準 偏 差 で百 分 の一 の値 で 表示 。 b.人 口 増加 率
年代 地域
0− 1 1− 2 2− 3 3− 4 4− 5 5− 6 6− 7 7− 8 8− 9 9−10
東 北 関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州
0.5 0。5 0,5 0.5 0.5 0.5 0.5 0. 5 0. 2 0.0
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4 0.0
− 0.0
− O.0 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.2
−−O。0
−−O.0 0.0
0,5 O.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4
− 0,0
− 0.0
− 0.0 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.1
− 0.0 0.O
− 0.0 0.0
0.5 0.5 0.5 0。5 0.5 0。5 0.4 0.0
− 0.0 0.0
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4
− 0.0
− 0.0
− 0.0 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4
− 0.0
− 0.0 0.0
− O.0 0.5 0.5 0.5 0.5 0。5 0.5 0.5 0.2 0.0
− 0.0
全 国
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4 0.3 0.1 0.0
− 0.0
註 )年 代 は千分 の一 の 値 で表 示 。 表 中 の数 字 はパ ー ミル ( %の。
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小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミ ュ レー シ ョン
ひ く い の で , こ の モ デ ル で は 100の 試 算 を 通 じ て , 極 端 な も の は ほ と ん ど な く安 定 し た 数 値 を だ し て い る こ と が わ か る 。
こ こ に あ らわ れ た 状 態 は 人 口 が 初 期 の 段 階 で は 順 調 に の び , そ の 量 が 人 口 許 容 量
( κ ) の ラ イ ン に ち か づ い た と き ,安 定 状 態 に な る と い う ロ ジ ス テ ィ ッ ク 曲 線 に ほ か な らな い 。
2.2. 開 始 人 口 の 問 題
各 地 域 内 で の人 口動 態 は, 総 体 的 に は全 国総 計 と軌 を一 にす るが, 個 別 に は その 動 きに こま か な ズ レが み られ る。 それ は1 0 00年 ご と に実 増 加 率 を求 め て, 人 口の 伸 び率 が実 質 的 に停 止 また は減少 す る飽 和 点 を求 め る と 中部 , 東 海, 四 国 が5 00 0年 代 , 関 東,
北 陸 で60 00 年 代 , 近 畿 , 中 国, 九州 で7 00 0年 代 , 東 北 で は8 00 0年 代 で は じめて お こ る とい う差 に な って あ らわ れ て い る。 その はや さ は地 域 の 面 積 とほ ぼ反 比 例 して い る ことが わ か る 。 そ れ は この モ デ ル で は各 地 域 の 人 口許 容 量 ( K)を最 大 人 口密 度 ( M ) で決 めた こ とに帰 因 し, そ の た め人 [ ]許 容 量 は面 積 が大 き けれ ば 大 き く, 小 さ けれ ば 小 さ くな って い る。 と こ ろが 開始 人 口を 各 地 域 に等 し く ( 1 0 00人) と り, そ れ が一 定 率 で増 加 す る と仮定 した た め地 域面 積 に比 例 した は や さで人 口爆 発 ( 人 口 が一 定 量 に
図 12 地 域 面 積 と 人 口 爆 発 開 始 年
人 口爆 発 は, 人 口量 が増 加 して 地 域 の許 容 量 を こえ た とき にお こる。 した が っ て あ る地 域 で いつ 最初 の人 口爆発 が お こ るか は , 開始 人 口と地 域 面積 の ひ ろ さで 規 制 され る。Slで は各 地 域 の 開始 人 口を等 し く1 000人 と したた め ,人 口爆 発 の初
発 点 は面 積 とほ ぼ比 例 して い る。上 図 で は ■ ・ = 5 9x+4630 の直 線 に 回帰 して お り,
そ の 寄与 率 ( R)は0.87とた かい 。 しか し各地 域 の人 口を観 察 値 [ KoyAMA 1 978]
にか え る と回帰 式 は ンー51 x+35 00 とで るが そ の 寄与 率 は O. 35とひ く くな るの で 人 口爆 発 の初 発 点 の 早 さ は面積 よ り開始 人 口数 (あ るい は初 期 の人 口密 度 ) に 規 制 さ れ る こ とがわ か る。
19
国立民族学博物館研究報告 9巻 1号 達 し, そ の 結 果 , 他 地 域 へ の 移 動 が お こ る) が お こ る 結 果 と な っ た ( 図 12)。
W . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2 (S2)
1. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 2 の 条 件
現 実 の 問 題 と して は ,そ れ ぞ れ の 地 域 は,面 積 が 異 な る と と も に 地 形 , 森 林 帯 , 水 資 源 の あ り 方 に 特 徴 を も つ 。 ま た 縄 文 時 代 遺 跡 も 内 容 , 時 代 変 化 に 地 域 的 な 差 が あ る こ と が し ら れ て い る 。 そ の よ うな 状 況 を よ り よ く反 映 さ せ る た め に , 第 1回 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で の , 各 地 域 の 開 始 人 口 を 等 し
く1000と す る か わ り に , 遺 跡 数 か ら推 算 した 小 山
[ K oYAMA 1978] の 縄 文 早 期 の 人 口 数 (表 2a)
(表 5)。
図 1 3 シ ミュ レー シ ョン 2の人 口増 加 曲線
を 入 れ て 第 二 の 試 算 を お こ な っ た
2. シ ミ ュ レ ー シ 。 ン 2 の 分 析
2.1、 概 観
結 果 を み ると, 全 国計 の 人 口の平 均 値 は前 回 の 試 み とほ ぼ 同 じで あ る。 しか し偏 差 値 はお お き くな り, と くに人 口が安 定 状 態 に達 す る以 前 の 段 階 で の 動 きが はげ しい。
地 域 別 に み る と開 始 人 口値 の お お い東 日本 で の変 化 が おお き い。 そ の 中心 とな って い る, 開 始 人 口値 が約 1万 とお お い 関東 地 方 で は20 00年代 にす で に人 口爆 発 が お こり,
その 影 響 が す ぐに近 隣… の 東 北, 北 陸, 中部 , 東 海 に お よぶ。 そ の た め これ らの 地 方 で は2 0 0 0− 4 00 0年 代 にか けて急 激 な人 口増 が み られ る。 さ らにそ の余 韻 は東 海 地 方 を 通 じて 開 始人 口値 の 少 な い近畿 , 中 国両 地 方 にま で お よん で い る。 そ れ に よ って これ らの 各地 域 の人 口飽 和 点 に達 す る時 期 が , 前 回 と く らべ て 1 0 00 − 40 0 0年 と はや ま って い る。 しか し中 国, 四 国 , 九州 地 方 で は開 始 期 の人 口量 の 少 な さの影 響 で 停 滞 期 に達 す る時 間 が お そ い。 開 始 人 口値 の差 に よ って 西 日本 と東 日本 に は停滞 状 態 に達 して 人 口爆 発 が お こる まで の 時 間 に顕 著 な地 域 差 が あ らわ れ る ( 図 1 2を 参照 ) 。
2.2. 地 域 性 の 成 立
各 地域 の人 口増 加 曲 線 を 時間 的 に比 較 して み る と, その パ ター ンに ほぼ 三 つ の段 階 が あ る こ とが わ か る。
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小 山 ・杉 藤 縄 文 人 ロ シ ミュ レー シ ョン
表 5 シ ミュ レー シ ョ ン 2の結 果 ( 100試 算 によ る時代 別 人 口量 の平 均 と標 準 偏 差 ) a.平 均値 と標準 偏 差 値
時代 地域
1 1001 2001 3001 4001 5001 6001 7001 8001 9001 10001
東 北 関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州
2◎(0) 97( 0) 4( 0) 30( O) 22( 0) 3( 0) 4( 0) 2( 0) 1 9( O)
32( 0 ) 159( 0) 6( 0) 49( 0) 36( O) 4( 0) 6( 0) 3( 0) 31( 0)
54( 0)263( 0) 10( 0) 81( 0) 5 9( 0) 8( 0) 1 0( 0) 5( 0) 51( 0)
109( 22 ) 316( 0) 47( 2 7) 151( 17) 113(1 3) 13( 0) 17( 0) 8( 0) 85( 0)
206( 37)301( 9)122( 51 ) 2 59( 20) 130( 4) 31( 11) 2 9( 0) 1 4( 0) 1 40( 0)
347( 5 6) 298( 12)196( 45) 283( 10) 12 9( 6) 8 9( 28) 48( 0) 24( 0)231( 0)
539( 70 ) 297( 11) 227( 2 0) 282(1 0) 126( 8) 1 84( 42) 80( 0) 40( 0)381( 0)
631( 22)29Q( 15)228( 12)281( 9) 126( 8)287( 36) 2 Q7( 29) 1 47( 26)41 2( 2)
636( 21)289( 15) 228( 1 3) 280( 10) 126( 7)305( 15) 293( 14) 171( 10)396( 10)
634( 18) 294( 16)225( 1 3)2 84(11 ) 128( 6)303( 13) 293( 15) 171( 11)393( 12)
631( 20)290( 17)227( 1 2)281(1 0) 127( 9)303(1 4) 291(1 6) 172( 10) 3 91( 14)
全 国
20 1(0)
331( 0)
54 6( 0)
86 5(2 0)
123 7( 48)
1 64 8( 64)
21 60(7 9)
2 61 2( 51)
272 9( 43)
272 9( 41)
2717( 52)
註 ) 平 均人 口の 単位 は百 人 。 ( ) 内 は標 準偏 差で 百 分 の一 の値 で 表示 。 b.人 口増 加 率
、 地 國
時代 東 北 関 東 北 陸 中 部 東 海 近 畿 中 国 四 国 九 州
0− 1 1− 2 2− 3 3− 4 4− 5 5− 6 6− 7 7− 8 8− 9 9−10
0,5 0.5 0. 7 0.6 0.5 0.4 0.2 0.0
− 0。0
− O.0 O.5 0.5 0.2
− 0.0
− 0,00
− 0.O
− 0.0
− 0.0 0.0
− 0.0 0.5 0.5 1.5 0.9 0.5 0.1 0.O O. O
− 0.0 0.0
0.5 0.5 0.6 0.5 0.1
− O.0
− 0,0
− 0.0 0.O
− 0.0 0.5 0.5 0.6 0.1
− O.0
− 0.0
− 0.0 0.0 0.0
− 0.0 0.5 0.5 0. 5 0.9 1.0 0.7 0.4 0.1
− O.0 0,0
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 1.0 0.3
− O.0
− 0.0 0 .5 0 .5 0 . 5 0.5 0.5 0 .5 1,3 0 . 2 0 .0 0.0
0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.1
− O.0
− 0.0
− 0.0
全 国
0.5 0,5 0.5 0.4 0.3 0.3 0.2 0.0 0.0
− 0.O
註 ) 時 代 は千 分 の一 の値 で 表示 。 表 中 の数 字 は パ ー ミル ( %・ )。
第一 は, 各 地 域 で人 口が 自然 増 加 して い る 時期 で あ る。
第二 は あ る 地 方 で人 口爆発 が お こ り, そ のた め 周 辺 地 域 が 影 響 を うけ る時 代 で あ る。
第三 は各 地 域 で人 口が停 滞 状 態 とな る 時期 で あ る。
上 に の べた 各 期 の人 口変 化 の 実 体 を 具体 的 に み るた め に, シ ミュ レー シ ョンの試 算 の な か か ら, 平 均 的 な例 を と りあ げ て み る。 人 口増加 の発 展 段 階 内 で ,任 意 に 5 00年 間 を と り, そ の間 の各 地 域 にお け る人 口量 の変 化 を み る こ とにす る。
第一 期 は1 5 01 − 20 00 年 の5 00年間 を と った ( 図1 4a) 。 この時 期 に は,各 地 域 が他 地 域 か らの干 渉 ( 人 口移 動) を うけ る こ とな くそれ ぞ れ独 立 に人 口が ふ え つ づ けて い る。
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国立民族学博物館研究報 告 9巻 1号
図 14 シ ミュ レー シ ョン 2に あ らわ れ た人 口動 態 の地 域 性
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