大 村 湾 内 小 ア ジ の 魚 群 組 成*
山 田 鉄 雄
Observation on the grouping of young Jack mackerel in Omura-Bay
Tetuo YAMADA
Tab玉e 1. Sampling data of young Jack:mackerel i110mura−Bayわy Nuikiri 。seille
一Efroup
1丑皿WV耽
Ship s
name Hamamoto
Tomioka
TitOSe Sin Yamasita Otomiバ
Moto
No. of oper&一 t三〇n
亡﹂戸0=04−︵0714︑
Total catch in
LC汲≠氏f1
1灘i・kiig
eateh of the正st time in
kane)
Time
70 140 300 140 50 30 100
O.30・一一1.OO
1.30・一2.00 1.00t・一1.30
1.3e・一2.oo O.30一一1.00
1 .30・一一2. 00
2.00・一2.30
Locality
O/o of catch of each fish
J.m.
Kametake E3/i80 Sonogi s3ノ !80
・ffM・tub・ra l 95
舗畿鑑y臨
Mi・im・NW訓g7
1.S−awatapa S−W. 一2/ go
An.鴫・ blcldie figlh
C×C××X×○○×××××○○○×○×○○○○○×○○○○○OxOOOOOOOOO11031121rD5仁﹂つり5QJ− oi×1×
x
9Rl
)く ×
[×
×io
×io
× 1・o
■■巳Ji
::1181i8
k11 m
××××○××××○○○○○×××××○○
× ××××○××××××○○
Date : Sept. 28, 1954 Lunar date : 1・ 1
Note l:」.飢……Young Jack mackerel An.……Anchovy Sar.……Young sardine a…Konesiro b…Ibodai ct・・Sabafugu d…Sappa e ・・Madai f…T6goroiwasi g…KisuL h…Sayori i…Eso j…Tobiuo k…Isaki 1一・・small Squids m…Crabs る.長崎水畔2)の推測では,湾の南方に存在していた らしい.富岡網は暁方に再三N3ノで操業し,漁獲物は vイワシ55%,豆アジ41%,コノシロ.3.%その他イボ ダイ,小イカなどであっアこことは,イワシの南方説の 一証拠とも言えよう.然し叉,前日の夕方漁船団が伊 浦水道を湾に向けて航行中,水道内各所でイワシの浮 上群を見ているので,一部はすでに湾外に逸出申であ つたとも考えられる.
描 旦 V−1一一 7t
縫切網は,みの状の網に両袖のついた形をなし,打 廻140K内外,魚捕部はモジ網105経高さ25K:,荒手(袖)
は4〜5尺目のわら叉はしゅろ長さ40K高さ20K,胴 網は綿糸6;本6〜23節蛙叉で,口に至るほど太目にな る.身網の浮子綱58K,しゅろ6分野はマニラ5分.
:Fig.1. Sampling stations in 6mura−Bay. 漁具の構造からは敷網に似,用法からは旋網に似た,
=いわば旋敷網とでも称すべきものである.
1統の縫嚢網には,網船2隻(3屯8馬力〜5屯16馬力,乗組[船10〜13人),耳垂2隻(1屯6馬力2・
人i乗),運搬船1隻(8屯15馬力3人乗)が附属し・集魚灯は機関直結1K:Wの水上灯である・
魚 体 測 定 結 果 1 体 長
全長(TL)尾二二(F】の体長
(BL)をm拠単位で測った. BL f87〜116mmの範囲では次のような 麗係式が得られた.
TL =1 .265B.L FL =1 .146BL この他に,下顎先端から腹部二品
:鯨中の前面基部までの長さを測り,
S・IAとした.(Fig・2参照)BL及 びS・IAの測定値をそれぞれTab.2
とコTab・3に示した。
二:Fig.3はS・IAの頻度分布図である
Fig・ 2・
L
77L
Several body parts of young Jack mackerel measured for the present analysi$r
62
Table 2. Distribution of body length in 7 groups
Group
BL(mm)
∩◎OU∩∪19ム880﹂∩ごOJりQ五﹁567一∩﹂9∩﹂OJQ︶
98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 Tota1
1
14且量●4ρ0ρ07一9乙00Qり84
1
41Qりn乙
65
(3)
(36)
(46)
(15)
皿
1 2 45Q﹂Qり7罐一∩∠りOQU−∩∠ − 民﹂−りム
1
80
皿
1
QJハ∠∩∠5五TGO6ρ0 1 0瓜Uロ﹂農UO︾1 1 =﹂4−4噌1
1
100
W
−∩∠51ρ0
11+皿
+rv
(8)
−乳oJ41つり111η∠n∠6∠ ∩U4−01ρ00乙 −1
2
150
(47)
(38)
(7)
v 1
1 5
0018に﹂7 つム 一
12 12 3011 12
−︻﹂口﹂
1
2
n乙n∠
170
班
1 6 8
1 1
4∩∠4
0り∠=﹂りOnU
1
1
t
ハ0ρ◎五丁4︑7 1 ∩∠−∩∠−一 ∩∠74︑4︐ρ0 1 11 9ご∂4且ρOQU 2 −り010乙馨1
1
90 120
v+vr
+皿
(1)
(9)
(37)
(42)
(10)
(1)
Note:Figures in parenthesis show O/e.
Table 3. Distribution of length df S−IA of Jack mackerel in 7 groups S.・A(m齢喚・up
8∩﹂010乙4五τ=﹂55 34只﹂戸075﹃︶=﹂=JK︶ 80σ04−0∠=﹂=﹂ρObQρ0 qU45貧U£UなU
Tota1
1
00リム﹃QQ︾4べ∠4・ 11 nU疲﹂哩1
1
(8)
(68)
(24)
65
翌
9ムーρ◎∩∠R︶ΩUりQ 1111 83つム
(4)
(80)
(1 6)
80
皿
−∩Un∠4−4−
(11)
18 1413 15 19
五τ4−4−
(77)
(12)
102
W
一0ρ0710乙 2 170Q87−Q90乙∩乙− ∩∠−
(24)
(74)
(2)
150
v
1
4L788 1 ︵UO40RJりムー1−−
(1)
〈37)
1(59)
1 2
(3)
更
1
(1)一 1
1
︶2 一︵4
QU民﹂∩Uρ04 1 1 OOOハOR︶り014匡■●−
1
4
(52)
(5)
3 113 17 16
ドD60∩Un◎4︑りゐ11
2
(2)
100 90
(42)
(54)
(2)
119 Note: Figures in parenthesis show e/o.
A虞 50)
S0 A 工
30
2σ 0 o 50 V0 B
」0 V+M硝
20
7σ
O
・
50 C
〃0
50 H剛
2
0
0 90 ノα7 〃0 20 α㎜)
釦・鎮(り品s血1燗 Fig.4.. Distribution of body lellgth Fig・ 3. Distribution of length of S−IA. in 3 classes.
Note : 50mm == 48mm一一52mm Note :90ram=88mm−v92mm
が,これによれば7群をA(1),B(V,VL W), C( ll,M,IV)に三大別することができる.さらにこれを BしについてとりまとめたのがFig・4である. Aと。は明かに分たれ, Bは両者の混合群と考えられる.
lCは最も小型.で湾の東寄りに, Aは:大型で湾北に, Bはその中間の湾央やや西寄りに在つアこことがわかる.
却ち体長による棲み分けがあっfcものと言えよう.
2体 重(BW)
体重はgram単位で示した.体:重についても体長の場合と同様三大別できることは, Tab・4及びFig・5 Table 4. Distribution of body weight in 7 groups
BW(g) Group
00RJ7一∩﹂111ーー∩∠ り0︻﹂7∩﹂一∩∠229ムリO
1
3
4−6RU∩∠5−111
(5)
(21)
(25)
(23)
(18)
(8)
Tota1 i 65
fi 8007−00 りムOQ−
3
89 皿 ∩◎4−10 6∠λマりO OO−
102
Ii,r
∩∠Q︶On∠4 1£U区﹂雀
3
150
皿+皿
+rv
(9)
(33)
(38)
(17)
(3)
v
り02りQ 24 00∩UO11︻﹂OO−
168
班
1 13 19 17
∩UOORU−り乙−
90 11リム7 ∩∠4 ρ0800∩乙
3
120
v+vr+靱
︶︶︶︶−只︶7−00︵︵−リム ︵︵
(30)
(13)
(5)
(1)
Note : 13g一一 12. Og−v13. 9g
Table 5. Mean lengths of several body parts, measured in mm
Item Group
BL FL TL
H/BL,刈00 DIBL×100 S/E No. indiv,
1 U
108.7 122.7 136.9 30.0 27.3 1.05ce
65
97,9 112.5 124.2 30.4 26.6 1.00
89
皿 i
100.1 112.1 124.7 29.8 27.1 1.00ee lOO
rv
96.O MO.9
,121 .9
30.4 26.7 1.00
150 V 103.7 120.1 131.5
29.3 27.O O.98 100
vr J
102.3 117.4 130.2 29.9 26.3 1.03 90
103.2 120.伊
131 .1
29.7 26.5 1,00ee 120 Note:BL=body length FL==fork length TL=total length H=head length D ==body depth S一一一snout length E=diameter of eye ee…30 indiv・
64
によって明かである.
3 丁丁(H)丁丁(D)二丁(S)眼径(E)
・これらの値は何れもmm単位とし,Tab.5に表示した. H:及 びDでは分散範囲が広く,群別特長は見られない.D/Bしが 0.26以下のものはやせ型で,一見して他と区別され,Vにはか かるやせ型が約20%存在した.
SはEとぽとんど同長で,両者ともA,B,Cの順に小さくな
つている.
4 鯉 }巴 (GR)
GRの数は, B:L60mn1以上では生長に伴う増加は認められ ないメ上下肢合計47〜留の間に分散し,53にモードがあるが,
班別特長は明かでない.
5 磐鰭軟条数(AF) 、 、、 Fig・5・
28をモードとして25〜31の間に分散し,これによる班別は認 められない.
6 脊椎骨数(V)
urostyleを除き24で,一定している.
.7 斑 .紋.
A
︵隷︸山砂
m
幣⊥
B 四咽
C
く
50
カ70 凹w
iJ t5 t7 tP 2t 25 ab 27 ts St 一 BU(gny
Distribution of body weight
in 3 classes (A,B,C).
Note : 13g =12・Og一一13・9g
体に面面の幅広い横紋(Fig・2)を有するケ体がかなり沢山あった.群によって異るが,1群の観察を逸 したのは惜しいことであった.
.8.生殖 腺
全部夫熟で,♀の判別は明かであっだが,6ではかなり困難で,不明と記載しだものは8のケ体が大部分 を占めていたと考えられる.
Sex composition of each group
Sex Group
Female Male Uncertain Tota1
1
−貫JQ﹂に﹂りQ 9ムRu
1皿
一∩U∩﹂OQり 4﹂8
1m
62 3 37 102
v
5?
,gii 56 4 40 100
vr 4凸4ワ乱0∩∠ ∩∠=﹂ 65
1 34 100
食 性 調 査
豆アジはcarnivoroqs crus重acean−feeder3)である.群別に摂餌:量を調べて次の結果を得た.
Number of young Jack mackerel in each group divided by their feeding states
Food Group
abundant comlnon rare no tota1
の
mam specles
1 20
8 1 1
30 L, Le
鉦01260880P
・皿・
1
13
15 1
30
L, Le, P
IV
1 38 49 12 100 L,C亨
V W
3 8
17
2
30 L, Cy
1 .
4
15 18 13 50 L, Ca 1
1 33 64 2 100
L
.Note 1 : abundant・…t・1・O・yl・5g common・・・…O・5一一〇・9g tare・・・…O・4g {1;
Note 2 : L・・・…Lucifer raynaudyii Le・・・…LePtochela sp. P・・・…Pontella surrecta Cy・・・…CptPriaina noctiluca Ca・・・…CalanoPia spp.
輪 調査ずみ,未発表.
1に飽食の多いのが目立ち,その他の群では少食が多い.IVでは全然摂餌していないものが26%もあっ た.LuciferとLePtochelaが当夜の豆アジの最重要な天然餌料で,北部沿岸に多く分布していたことがう かがわれる.Luciferを300尾以上も食って,胃が破れんばかりに膨脹していfこケ体があった. Calanopia,
CyPridinaは全般的に見られ,前二種に次いで重要餌料であった.4)この二種は体内に燈紅色油球を多:量 に包蔵して居り,魚の油脂源とし注目される.湾央のL皿にPontella surrecta 4)がかなり多量に見られ たが,研浦水道を通って湾内に侵入した対馬暖流系外洋水の影響が,この辺りにまで及んでいたものと考え
られる.この他,赤エビ,Alima, Megalopa, Brachiuran zoea, Calanus helgolan4icus, Acartia spp .Pseudo4. iaptomus marinus, Sagitta,稚魚などが蝉吟されていた.
混 獲 魚 の 食 餌
摂思量は豆アジが最も多量であって,同時混獲物であるカタクチイワシ,コノシロ,イボダイ,Vイワシ などは一般に少食であったことが注目をひいた.
カタクチイワシ(体長75〜105mm)は,専ら動物質を食していたが,豆アジと異り,小型の甲殻類が多・
く,Copepoditeを主とし, Microsetella, Acartia,.Paracalanus,.Euterpe Centropages furcatus,
Calanus helgolandicus, CalanoPia thomPsoni CyPridina noctiluca juv., Penilia, Megalopa,
Alima, Bivalve larvae,小エビなどが見られた.豆アジに飽食されていたLuciferやLe/Ptochelaは,
カタクチの野々となっていなかった.カタクチは脂肪に富み,白色脂肪塊が腹腔を埋めていた.
マイワシ(体長120〜140mm)は摂餌量極めて少なく,動物質,植物質半kであった. Copepodids Microsetella, Calanopia juv・, CyPridina juv・のような小型の甲殻類, Lucifer, OikoPleura, Cera−
tium, PyroPhacusなども見られた.植物質ではDiatomが主で,このため胃内容物の外見は褐色塊状を 呈していた.表層に存在した小型のプランクトンを食っていたと言えよう.従来の大村湾マイワシの食性調 査eeでは,体長50mm位まではCopepodidsを主食し,それより生長するにつれ植物質のもの(Chaetoceros,
Coscinodiscusなど)が多くなり,11〜12月にはDiatolnが主餌ζなっていて,このころ体内に脂肪が最
も多くなる.
コノシロ(体長170〜200mm)の一十はマイワシによく似ていたが,更に少量で,かつ消化されたものが 多く,Chaet・のsetaeと思われるものが主に残っていた.動物質はMicroset.やCopepodidsが少し 見られた程度であった・擶
イボダイ(体長135〜160mm)の胃の内容は,クラゲ状の膠状物質で満たされ,甲殻類の存在は認められ
なかった.
サバフグとキスは,小エビ,小イカ,赤エビ,アミなど割合に大型のものを食し,サッパ,トウゴロイワ シは無食であった.
以上を通観すると,同じ水域で一の網にとれた魚が,種類の違いにより食性の異ることが明かで,叉豆ア ジの摂岬町が他魚に比し著しく多量であったことが注目される.
考 察
湾内の豆アジ群が地域的にsize compositionを異にすることが本調査で明かで,これはアジが若年魚 の時代には,同大のものが集団を作り易いことを示すものであろう.1はそのよい例で,体長,体重共に他 群より大であるのみならず,摂餌も活発であった,(この群は等等と異り,入湾の時期を異にする全く別の 群とも考えられる).
群形成の原因として,このような体長の差による分離は他にも多くの例があり6)f)荊,たとえば畑申は小 サバの飼育試験で,体長の等、じい・ものが単惣璋群を成し,それが夜間には一そう密にまとまることを観察して
いる.
物理的環境の変化も群形成の一一因としてあげられる.そこでこの調査時における大村湾の海況を あさぎ り で観測したdataeeeesによって推定して見ると,Fi g・6のようになる.即ち当時の海況はすこぶる単調:
x筆者,未発表
xx花岡5、はコノシロをbenthos eaterとしている.
esiee 1954年9月7〜9日と10月12〜14日の観測資料の平均をとって採集当日(9月28日)の観測値どした.
大 村 湾 内 にお い て,豆 アジ がsize compositionを 異 にす る三 つ の集 団 を形 成 していた 例 を あ げ,そ の 原 因 は無 機 的環 境 要 因 に よ る もの で は な く,主 に 湾 内天 然 餌 生 物 の不 均 一分 布 に 由来 す る 豆 ア ジ の摂 餌 本 能 か ら来 る成 群 反 応 又 は 自己 運 動 に よ る もの と解 釈 した.
主 要 な餌 となつ て い た の は,Lucifer ray.,Leptochela sp.,Calanopia spp,,Pontella sur.,Cyprid‑
ina noc.の 順 で,三 群 団 中最 も大 型 のAがLuciferの 最 も濃 密 な区 域 に 集 ま り,こ れ を飽 食 して い た.
この よ うに形 成 され た灯 付 魚 群(イ ワシ 類.小 サ バ,小 ア ジ な どの 小 型 魚)は,深 夜 に は集 魚 灯 を 中 心 と して 密集 して游 泳 緩 漫 とな り,余 り他 に移 動 し ない.こ れ を 灯 付 魚群 の深 夜 緩 動 現 象 Midnight dor‑
同 時 に漁 獲 され た マ イ ワシ,カ タク チ イ ワシ,コ ノシ ロ,イ ボ ダイ な どは,ア ジ に比 して 摂 餌 量 が 非 常 に 少 ない こ とが 注 目 され た.又 魚 種 に よ つ て食 性 がか な り異 な り,本 調 査 時 に お い て これ らの魚 の種 間 の摂 餌 競 争 は著 し くなか つ た もの と推 測 し た.