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第1回スピリチュアルケア研究会 「金子みすゞのスピリチュアリティと精神病理」報告(2015年度 聖学院大学総合研究所 スピリチュアルケア研究室 主催) 利用統計を見る

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第1回スピリチュアルケア研究会 「金子みすゞの スピリチュアリティと精神病理」報告(2015年度  聖学院大学総合研究所 スピリチュアルケア研究室  主催)

著者 小森 英明

雑誌名 聖学院大学総合研究所Newsletter

巻 Vol.25

号 No.1

ページ 53‑53

URL http://id.nii.ac.jp/1477/00002823/

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Title

第1回スピリチュアルケア研究会 「金子みすゞのスピリチュアリティと 精神病理」報告(2015年度 聖学院大学総合研究所 スピリチュアルケア 研究室 主催)

Author(s)

小森, 英明

Citation

聖学院大学総合研究所

Newsletter

, Vol.25No.1, 2015.9 :53-53

URL

http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/detail.php?item_i d=5420

Rights

聖学院学術情報発信システム : SERVE

SEigakuin Repository and academic archiVE

(3)

53   7 月22日の水曜日に、駒込の聖学院新館にて本

年度第 1 回目のスピリチュアルケア研究会が開催 された。参加者は 5 名であり、発題者は研究室長 の窪寺俊之教授であった。

 窪寺先生は本発表の目的を<若くして自死へと 至った詩人、金子みすゞ(1903 ~ 1930)の生涯に 焦点を当て、彼女の精神病理を分析し、宗教の果 たした役割を明らかにすることにある>と謳われ ている。ともすれば、礼賛一辺倒に偏りがちな一 女流詩人の境涯を、醒めた視点から、しかも無私 のメスを入れることにはかなりの勇気が要る。今 回、私は、その鮮やかなメス捌きを目の当たりに できた幸運に感謝している。

 まず、<金子みすゞのスピリチュアリティは、

宗教的感覚に優れているが信仰心にはなっていな い>という指摘が印象的である。これは、一般的 な多くの日本人が、来世や霊魂の不滅等を信じて いるにもかかわらず、信仰の有無をいざ自らに問 われると、咄嗟に言葉を濁す態度に通じてはいな いだろうか。この点で、キリスト教プロテスタン トの牧師でもあられる窪寺先生が、<宗教的感覚

>と<信仰心>との峻別に関して、極めて厳しい 態度で臨んでおられることがこの私にも感じとら れた。浄土真宗の篤信地帯に育ったみすゞではあっ たが、事実、‘救済’ ‘慈悲’ ‘浄土’ などの教理的要 素に彼女が言及した作品は見られないという。

 また、窪寺先生は、みすゞに見られる<精神病 理の特徴>を<自己愛性パーソナリティ障害

(DSM-V)>として捉え、彼女の諸作品との照合 を試みた上で、<彼女の作品にはDSM-Vが指摘す る自己愛性人格傾向が散見される>と喝破されて いる。この<自己愛性人格傾向>とは、(先生への 確認を怠ったが)一般に言う ‘ナーシシズム’ のこ とだろか。

 結論として、<金子みすゞのスピリチュアリティ は彼女の精神病理と重なって、自己満足的、自己 中心的、自己絶対化的傾向をもっていた>と締め くくられている。これは、<病的スピリチュアリ ティ>に与するもので、一方の<超越的存在への 謙遜、他者と自己の相対化>等の特性を伴なった

<健康なスピリチュアリティ>とは、明らかに質 的に異なるものとされる。

 さて、この発表の後、梅雨明け直後の猛暑もあっ てか、当日の参加者は 5 名といささか少なかった が、ゼミさながらの活発な議論が交わされた。

 会場からは、「みすゞの内的世界を育んだ宗教と は、父性的宗教か、あるいは母性的宗教か」の発 言もあり、それは今後の研究に俟たねばならない こと、また、みすゞ同様、自死に至ったオランダ 出身の画家ゴッホ(1853 ~ 1890)の作品と生涯を めぐっての解釈がやはり難しいこと、とりわけ創 造性の横溢こそが彼の作品(例えば“ひまわり”)

の魅力の中核を成しており、それが同時に自死の 伏線ともなっていることなども話し合われた。

 

(文責:小森英明[こもり・ひであき]浄土真宗僧 侶、作家)

2015 年度 聖学院大学総合研究所 スピリチュアルケア研究室 主催

第 1 回スピリチュアルケア研究会

「金子みすゞのスピリチュアリティと精神病理」報告

報 告

発題者:窪寺俊之先生(上段中央・下段右)

参照

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