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(1)

認知症の理解と

認知症高齢者への関わり方

2014年2月1日(土) 製鉄記念広畑病院 老人看護専門看護師 森山 祐美 第7回 製鉄記念広畑病院市民公開講座

(2)

認知症とは・・・

何らかの原因によって、

大脳の神経細胞が広範囲に障害され、 本来あった認知機能が著しく低下

(3)

生理的加齢によるもの忘れ と

病気からくるもの忘れとの違い

自覚していないことが多い 自覚している 生理的加齢によるもの忘れ 病気からくるもの忘れ 記憶の一部が思い出せない (ヒントがあれば思い出す) 記憶の全部が思い出せない (ヒントがあっても思い出せない) あまり進行しない 徐々に進行する 時間・場所・人は分かる 時間・場所・人が分からなくなる 生活に支障は出にくい 生活に支障が出てくる

(4)

“家族が作った”

認知症、早期発見のめやす

*もの忘れがひどい  今切ったばかりなのに電話の相手の名前を忘れる  同じことを何度も言う・問う・する  しまい忘れ置き忘れが増えいつも探し物をしている  財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う *判断・理解力が衰える  料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった  新しいことが覚えられない  話しのつじつまが合わない  テレビ番組の内容が理解できなくなった *場所・時間が分からない  約束の日時や場所を間違えるようになった  慣れた道でも迷うことがある 公益社団法人「認知症の人と家族の会」作成

(5)

“家族が作った”

認知症、早期発見のめやす

*人柄が変わる  些細なことで怒りっぽくなった  周りへの気遣いがなくなり頑固になった  自分の失敗を人のせいにする  「この頃様子がおかしい」と周囲から言われた *不安感が強い  ひとりになると怖がったり寂しがったりする  外出時持ち物を何度も確かめる  「頭が変になった」と本人が訴える *意欲がなくなる  下着を替えず身だしなみをかまわなくなった  趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった  ふさぎこんで何をするのも億劫がりいやがる 公益社団法人「認知症の人と家族の会」作成

(6)

「認知症」の診断基準

 記憶障害  実行機能障害・失行・失認・失語(いずれか1つ) 実行機能障害:計画を立てたり、順序立てるなど、物事を具体 的に進めていく能力が損なわれる 失行:運動機能が損なわれていないのに、動作を行うことがで きなくなる 失認:視知覚機能が損なわれていないにも関わらず、対象物 などを理解したり把握することができなくなる 失語:発語や言葉の理解の障害  上記のため社会生活に支障をきたす  上記の状態が主に脳の変化によって起こっている  意識障害はない

(7)

認知症には原因となる病気

が存在します

1.アルツハイマー型の認知症 2.レビー小体型の認知症 3.脳梗塞、脳出血による脳血管性の認知症 4.脳挫傷、慢性硬膜下血腫 5.脱水、ビタミンB12欠乏症 6.甲状腺機能低下症 7.アルコール中毒、薬物中毒 8.正常圧水頭症 などなどなど・・・

(8)

認知症の診断のための検査

 画像診断(CT、MRI、SPECT、PET)  血液検査(一般、ホルモン、ビタミン、感染症)  認知機能検査  行動評価尺度  神経心理検査 などなど・・・

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アルツハイマー型認知症

 記憶障害を中心とする進行性の病気  認知症の50~60%を占める  原因は十分解明されているわけではないが、 「βアミロイドたんぱく」が脳に蓄積し、神経細胞が死ん でしまうことで起こるとされている  神経細胞が死んでしまうことで、脳がどんどん萎縮して いく

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(13)

アルツハイマー型認知症の症状

 物忘れ  日にちや時間、場所、人が分からなくなっていく  精神症状 物とられ妄想、幻覚 など  言葉が思い出せなくなっていく

(14)

レビー小体型認知症

 認知症の中で10数%~20%を占める  日本人が明らかにした病気  中枢神経を中心にレビー小体が出現することで起こる 認知症  65歳以上の高齢者に多くみられるが、パーキンソン症 状によって発症する例では、40~50歳代も少なくない

(15)

もしかしてレビー小体型認知症!?

*5個以上該当すればレビー小体型認知症の可能性あり  もの忘れがある  頭がはっきりしているときと、そうでないときの差が激しい  実際にはないものが見える  妄想がみられる  うつ的である  動作が緩慢になった  筋肉がこわばる  小股で歩く  睡眠時に異常な行動をとる  転倒や失神を繰り返す 小阪憲司「レビー小体が型認知症」 メディカ出版,2009,p29

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脳血管性認知症

 脳血管障害によって起こり、認知症の中の15%を占め ると言われる  原因は、高血圧や糖尿病など  脳血管障害の発症から2週間~1ヶ月過ぎた後で出 現  脳血管障害の再発を繰り返すことで、認知症が段階 的に悪化することも少なくない  「まだら認知症」・・・知的機能の一部は保たれているこ とも多い  アルツハイマー型認知症との合併例も多い

(17)

脳血管性認知症の進行例

三宅貫夫「認知症全部図解」 メディカ出版,2011,p32

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脳血管性認知症の症状

 物事を計画立てたり、関連付けたり、順序立てたりすることが できにくくなる・・・的確に、要領よくできなくなる  集中力が切れやすい  思考の切り替えがうまくいかない  物事に対する興味が薄くなり、自発性と意欲が低下する  場違いの場面で起こったり笑ったりする  どんな刺激を受けても、同じ反応が出てしまう  病変を特定できる症状、例えば、片麻痺、失語症、などがある  飲み込みにくさ、うまく発声できないこともある

(19)

認知症の治療について

4.脳挫傷、慢性硬膜下血腫 脳外科的手術など 5.脱水、ビタミンB12欠乏症 水分補充、ビタミン剤投与 6.甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモン剤投与 7.アルコール中毒、薬物中毒 点滴投与、解毒剤使用、アルコール禁止 8.正常圧水頭症 頭に溜まった髄液を流す処置

(20)

3.脳梗塞、脳出血による脳血管性の認知症 ① 再梗塞を防ぐ、再出血を防ぐ →血圧をコントロールする (降圧剤の内服、運動・食事・休息など生活の整え) ② 血流の改善をはかる →動脈硬化に対する薬の投与 ※病前のレベルに回復することは、困難

認知症の治療について

(21)

1.アルツハイマー型認知症 2.レビー小体型の認知症 現在日本で使用されているのは、治す薬ではなく 進行をゆるやかにする薬です。 アリセプト® (3mg~10mg)

認知症の治療について

(22)

副作用

食欲不振

悪心

下痢

腹痛

まれに対応が難しい症状の出現や悪化

不整脈がある場合は慎重投与

(23)
(24)

現在承認されている

アルツハイマー型認知症に関する治療薬

アリセプトと働きはおおむね 同じだが、貼り薬である 中等度 イクセロンパッチ® (リバスチグミン) カルシウムイオンの神経細胞 への流入を防ぎ、神経細胞を 守る 中等度以上 メマリー ® (メマンチン) 上記の働きに加え、神経伝達 物質の放出量を増やす 軽度~中等度 レミニール® (ガランタミン) 神経間の伝達を阻害する酵 素の働きを妨害する 軽度~中等度 アリセプト® (塩酸ドネペジル) 働き 対象 田中元「認知症ケアができる人材の育て方」ぱる出版,2011,p51

(25)

対応が難しい症状について

何が問題となっていますか?

何故起こっていますか?

どのような状況で起こっていますか?

何が引き金となっていますか?

(26)

記憶障害・

見当識障害

(人や場所、日時が分からない)  大切なことをメモし、目のつく場所に貼る  ものを片付ける場所を定める  話をはじめてのように聞く  安心できる人との関わりを多くする ***してはいけないこと*** 否定・訂正・叱る・責める・無視

(27)

失語・言語障害

 簡潔な声かけをする  筆談を交えながら会話する  馴染みのある話題を出す  話したい内容を察する ***してはいけないこと*** 早口・話題をころころ変える・急かす 会話をおろそかにする

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実行機能障害

(一人で入浴や着替えが出来ない)

 どこまで一人で出来て、何処からが一人でで きないかを観察する  混乱しないよう手伝う ***してはいけないこと*** 叱る・責める・指示・全面介助 乱暴に手を出す

(29)

幻覚

 見えている物に合わせる  恐怖心を抱いていたら、環境や話題を変え るなどして不安の軽減に努める ***してはいけないこと*** 否定・叱る

(30)

妄想(もの盗られ妄想)

 ものを片付ける場所を定める  「ものがない!」と探している時は、自分で見つけら れるよう配慮する ***してはいけないこと*** 見つけてあげる・叱る・無視

(31)

興奮と攻撃性

 安全の確保をする  別の人が対応する  他に気を散らす  つかず離れずの位置で見守る  興奮の原因を明らかにする ***してはいけないこと*** 逆らう・無視・制止・抑制

(32)

徘徊・荷造り行動

 一緒に散歩する  気が済むまで荷造りを見守る  緊急用に名前や住所の分かるものを持っ てもらう ***してはいけないこと*** 制止・叱る・逆らう

(33)

今までお話しした症状が急激に

悪化して出てきたら・・・

 体調を崩しておられるのかもしれません 便秘? 下痢? 脱水? 食欲低下? 不眠? ・・・  気がかりなことや心配なことがあるのかもしれません

(34)

認知症の人ってどんな人?

大脳の神経細胞が広範囲に障害されたこと

により、

通常の日常生活をおくることに「不自由さ」や

(35)

認知症の治療について

日常生活上の「不自由さ」や 「不確かさ」に対

して、可能な治療とは?

★「認知症の人」を治す(変える)の?

★「認知症の人」を取り巻く環境

(人を含む)を変えていくの?

(36)

認知症看護/介護の迷路

記憶力の低下 生活動作の失敗 怒り 焦り 不安 自信喪失 何もしなくなる 何もできなくなる 何もしたくなくなる 言い訳をする 相手を責める 「注意する」 「指摘する」 「説明する」 「元に戻そうとする」 「問い正す」 「理由を尋ねる」 「期待しなくなる」 「あきらめる」

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認知症の人が感じていること

 「どんなに頑張って努力しても、物事や言葉は意識 からすぐに消えていく。私のザルのような頭はどんど ん漏らしてしまう。」  「暗闇の中にいて、動くことも何もできなくなったよう な感じがする。」  「私は自分自身を失ってしまうのだろうか?」  「人として崩壊してしまうのだろうか ?」  「認知症の人にとって一番つらいのは、自分が消え ていく、自分が自分としてなくなっていく恐怖です。」 Christine Bryden

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★断片的な思い出を紡ぎ、新たな思い出を作る 記憶力の低下から、「出来事」を覚えておくことは 困難です。しかし、「楽しい」「うれしい」という

“快感情”は積み重なることで残っていきます。

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認知症看護/介護の「いい循環」

記憶力の低下 生活動作の失敗 自信を回復 精神的に安定 何かをしたくなる 何かをしようとする 何かができる 楽しみができる 相手を信頼する 「物忘れの 程度を知る」 「“できる”よう に生活環境を 変える」 「一緒に何かしよう」 「一緒に過ごそう」 「“認知症”の その人を理解 する」 「できる面を見つけられる」 「期待を持てる」

(40)

出口が見えない“介護”

 家族の今までの歴史が影響し、感情的になりやすい  しがらみや周りの目、義務感もある  認知症に関する知識不足  頼れる人がいない  介護サービスを受けることに関する抵抗感  主介護家族は身体面より精神面の健康関連QOLが 損なわれている (杉山智子,他:身体合併症を持つ認知症患者の介護家族の負担感の変化,認知症ケア学会 誌,9(2),2010) などなど・・・

(41)

一緒に作っていく介護

 認知症の介護はストレスフル  認知症の介護は先が見えない →大切なことは 1)介護を一人で抱え込まない 2)完璧な介護にこだわらない 3)介護する人が“健やか”であること 4)介護する認知症の人と一緒に生活を作る

(42)

認知症の相談は・・・

 病院の「もの忘れ外来」  精神科  心療内科  脳外科  神経内科  老年病科 などなど・・・ *かかりつけのお医者さんから専門医を紹介してもらうの も良い方法です。

(43)

認知症の診断を受けることのメリット

 治療可能な認知症やその他の病気などとの鑑別 ができ、すぐに治療を開始することができる  お年寄りの変化が認知症という病気からくるものだ と分かると、気持ちの向け方や関わり方が変わっ てくる  認知症の種類が分かると、今後の経過の予測が つけられる  介護の方法がみえてくる

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様々なサポート

 公益社団法人・認知症の人と家族の会 *家族の集い、電話相談、会報 が3本柱 *要望活動、調査活動、啓発活動、国際交流なども *兵庫県支部(神戸市)  レビー小体型認知症家族を支える会もいくつか  若年認知症サポートの会もいくつか  認知症関連のwebサイトも(認知症ケア学会、日本老年 精神医学会、認知症ラボ・・・)  虐待に関する相談 姫路市福祉総務課・介護保険課、各地域包括支援セン ター、警察など

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 認知症サポーター100万人キャラバン *認知症に対する正しい知識を持ち、地域や職場で認 知症の人やその家族を支援する人材を増やしています *姫路市でもサポーターやキャラバンメイトを養成中  認知症地域見守り訪問員 *認知症サポーターの中で追加研修(実習含む4日)を 受講した人が行なう *認知症高齢者の話し相手、見守り等を行なう *利用者の負担金は、最初の1時間までは600円。 その後30分につき300円。

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参照

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