経営 セ キ ュ リ テ ィ 業務 ア プ リ イ ン ダ ス ト リ ー
終わりが見えてきた「電子メール時代」、ソーシャルツールで代替は可能か
ソーシャルコラボレーションソフトウェアの利用機会が増えるのに伴い、企業と従業員にある共 通の認識が生まれている。それは、この技術がビジネスにおける時代遅れの連絡方法に取って代 わることだ。 どのテクノロジーにも寿命はある。メールは依然として企業における主要な連絡方法となってい るが、今後数年の間に大きな変化が訪れる可能性がある。 米テキサス州の各地に50カ所以上の看護施設と高齢者介護施設を持つCreative Solutions in Healthcareでメールは従業員が連絡手段として使用する主力プラットフォームの座から陥落し つつある。Creative Solutions in Healthcareの最高情報責任者(CIO)であるショーン・ウィオーラ 氏は次のように話す。「ソーシャルコラボレーションソフトウェアは非常に好評を博しており、問題 ないと考えている。私は既にメールを使わなくなっており、他の従業員もどちらかというとメール を使わなくなっているようだ」
脱電子メール で生産性向上、
実現の裏側には何がある?
今までコミュニケーションの主力プラットフォームだった電子メールの時代の終わりが近づい ている。脱メールで生産性向上を果たした2つの企業の事例を紹介する。経営 セ キ ュ リ テ ィ 業務 ア プ リ イ ン ダ ス ト リ ー ソーシャルコラボレーションソフトウェアの動向に注目してきたIT担当者にとって、この展開は 当然の結果といえるだろう。企業での活用は遅々として進まないが、従業員は既にこうしたツール を好んで使用し、その特性をよく理解している。
Creative Solutions in Healthcareでは、ソーシャルコラボレーションソフトウェアを導入し
て変わったことがある。メールを使用していたときと比べて、従業員の生産性は向上し、より協力
的になったという。こうした変化が後押しとなって、同社では米harmon.ieの「Collage」のよ
うなソーシャルツールの導入を検討した。Collageは、米Microsoftの「Microsoft Office 365」 や「Yammer」、米Salesforce.comの「Chatter」をはじめとしたクラウドサービスに点在して
いるソーシャル情報を単一の通知画面にまとめて見やすくするツールだ。 Collageを使用すると、あらゆる話題について話し合うことができる。同じネットワークに所属 する他のユーザーのプロファイルを見ることもできる。また、そのネットワークでどのようなトピッ クに「関心が集まっている」のかも分かる。 「ユーザーの視点に立ち、出入りする雑多な情報の山に目を向ける必要がある。そうすることで 多くの可能性の道が開かれる。恐らく次の大きな変化は、このような各種コミュニケーションを1 つに統合することだろう」(ウィオーラ氏)
また、Creative Solutions in Healthcareの従業員は、「Microsoft SharePoint」のような
標準的なプラットフォームでブログやWikiといったツールを駆使することで、創造や協力、革新 を生み出すための独自の方法を編み出している。この変化によって、IT部門は、従業員が抱える 小規模な問題の解決に時間を使うのではなく、もっと大きな問題に注力することができるように なった。 同社の従業員は標準的なプラットフォームでこのような機能を自力で見つけている。 「このような短期間で従業員が何かに飛び付いているのは喜ばしいことだ。従業員は自分たちで 小規模なWikiを作成している。このような機能をどうやって見つけたのか私には分からない」 (ウィオーラ氏) 消費者向けのソーシャルメディア技術が主導となって、今後も企業向けの技術は進歩していくだ ろう。現時点では、メールに取って代わるほどの技術は出てきていないが、米Facebookをはじ めとする複数の企業が、その境地を獲得すべく乗り出そうとしている。また、2015年中には企業
向けの「Facebook」である「Facebook at Work」が、この市場に本格参入すると報じられて
経営 セ キ ュ リ テ ィ 業務 ア プ リ イ ン ダ ス ト リ ー だが、ビジネス界がすぐさまソーシャルメディアに触発された形のコラボレーション技術を受け 入れることは期待すべきではないだろう。 米J.Gold Associatesのアナリストであるジャック・ゴールド氏は次のように語る。「企業は Facebookが用意するものを全て疑って掛かるだろう。少なくとも私がIT管理者ならそうする」
メール不達に
CEO
が激怒、メール廃止 企業 決断の裏側は
1世紀を超える歴史のある大手旅客会社の仏Keolis Commuter Services(Keolis)はメー
ルに限界を感じ、企業内コラボレーションの在り方の見直しを行った。同社はパリに本社を置く
国際的な旅行会社だ。全世界に5万5000人以上の従業員を抱え、創業から100年以上にな
る。同社のビジネスを支えているのは、提案依頼書(RFP)と異なるタイムゾーンで働いている
個人や部門間のコラボレーションである。
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メールが業務の支障になっていた
2015年5月中旬に行われた「Gartner Digital Workplace Summit」のセッションに、Keolis の子会社米Keolis Transit Americaで最高技術責任者(CTO)を務めるダーク・シュナイダー
マイヤー氏が登壇した。同氏は、従業員の変化も一因となってKeolisがSaaS(Software as
a Service)や一般消費者向けのテクノロジーを導入したことを語った。 「このようなデジタル世界のテクノロジーの導入には消費者の影響があった」とシュナイダーマ イヤー氏は語る。 このままメールを使い続けていると業務に支障が出ると分かり、Keolisは新しいコラボレー ションツールが必要だと判断した。この判断を決定的にしたのは、同社の最高経営責任者(CEO) が送信した1通のメールだ。そのメールには重要なRFP関連のファイルが添付されていた。だ が、サイズが大きすぎたため配信不能でメールが戻ってきたのだった。 「メールだけでは不都合なことはたくさんある。メールは対話的ではなく、バージョン管理もで きない。これはコラボレーションにおける問題の一例だ」とシュナイダーマイヤー氏は話す。
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コラボレーションツールの力で大口契約を獲得
Keolisは、顧客である行政機関が求める高いセキュリティと従業員が求める使いやすさを兼ね 備えたコラボレーションプラットフォームを探した。また、シュナイダーマイヤー氏によれば、ブラ ウザとOSのどちらにも依存しないプラットフォームであることも重要だったという。同社が導入 を決めたのは、英Huddleの製品だった。同社のSaaSコラボレーションプラットフォーム「Huddle」は、2014年にKeolisが契約を
獲得するのに貢献した。この契約は英国のインフラサポート企業Amey Plcと共同で英
Docklands Light Railwayシステムを運営するという内容で、その規模は7億英ポンド(1400
億円)以上にも上る。さまざまな部門や地域で働くKeolisのビジネス専門家に加え、外部のパー トナーがHuddleを通じて協力し、契約を勝ち取った。ユーザーにはインタフェースが非常に好 評だったという。 シュナイダーマイヤー氏は「当社はこの契約を遂行するための中心リポジトリとしてHuddleを 使用している」と述べている。さらに、契約に関わる行政機関もHuddleのコラボレーションに 参加している。
シュナイダーマイヤー氏によると、KeolisがHuddleを導入する際、既存のMicrosoftの
「Microsoft SharePoint」環境への統合に課題があったという。だが、その移行を補助するAPI がHuddleから提供されたとのことだ。
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SaaS
は
IT
部門の評価を上げる
SaaS製品の使用を通じて、KeolisのIT部門と事業部門はより緊密に連携するようになった。 IT部門は「門番」と見なされることが減り、「支援者」と考えられることが多くなっている。 「当社にとってSaaSは即戦力になるツールで、IT部門の負担軽減につながっている」とシュナ イダーマイヤー氏は語る。 オンプレミスのインフラやメールのような長年使ってきたビジネスツールからSaaSや一般消 費者向けのコラボレーションツールに移行するとなると、IT部門による管理が及ばなくなると懸 念するかもしれない。だが、シュナイダーマイヤー氏はIT担当者に対してそうした考えを捨てるよ うアドバイスする。 「CTOである私がクラウドベースの製品の発達を恐れていたとしたら、それは図書館員がイン ターネットを恐れているようなものだ。これはどうしようもない」とシュナイダーマイヤー氏は語る。経営 セ キ ュ リ テ ィ 業務 ア プ リ イ ン ダ ス ト リ ー
Huddleと同じようなエンタープライズツールには、米Boxの「Box」、米Dropboxの 「Dropbox」、米Amazon Web Servicesの「Amazon Zocalo」、米Googleの「Google
Drive」、Microsoftの「OneDrive for Business」などがある。
TechTargetジャパンプレミアム
脱電子メール で生産性向上、実現の裏側には何がある?
2015年11月9日 編集:TechTargetジャパン 発行:アイティメディア株式会社
限界
メール起点
の
業務プロ
セスの非効率
さ
素早いナ
レッジの共有
社内SNSの採用
クラウドを利用したツールで
1人から大多数へ
素早く情報を発信
課題に対する解決策
「Office 365 with KDDI」のSNS機能『Yammer Enterprise』で社員のモチベーションを向上させ
ライフデザイン提案型の『総合サービスショップ』を盛り上げる。
KDDI プリシード 代表取締役社長 甘田 純一氏 KDDI直営店を運営するKDDI プリシード株式会社。全国約2,500店舗あるauショップに先駆けて、新しいビジネスモデルの開 発を進めている。東京と大阪、名古屋、福岡にある直営店は、従来型の『ケータイショップ』ではなく、通信サービスに加え、決済、 電気、保険・金融などのさまざまなサービスを通し、お客さまの日常生活を支え、提案する『総合サービスショップ』として位置づ けられ、そこで働くショップスタッフはプランナーとして活躍する。その同社が、ナレッジの共有を推進するために導入したのが 「Office 365 with KDDI」の機能の一つである、社内SNS『Yammer Enterprise』だ。シフト勤務のためプランナー同士がスムー ズにコミュニケーションできないなどの課題も解決し、意思疎通の円滑化、プランナーのモチベーション向上にもつながっている。 お客さまインタビュープランナー同士のコミュニケーション活性化と
店舗の枠を超えた素早いナレッジ共有が課題でした。
導入前の課題 BEFOREプランナーの自発性とモチベーションが向上。
成功事例を全国約2,500店のauショップへ迅速に展開できました。
課題を解決するためのツールとして社内 SNS『Yammer Enterprise』を採用した同社。同様のサービスはほかにもあるが、使い勝手とセ キュリティを考慮したところ「Office 365 with KDDI」の1ツールとしてパッケージ化された『Yammer Enterprise』がベストだと判断し た。『Yammer Enterprise』の 導 入 に よって、ま ず、プ ラン ナ ー 同 士 のコミュニケーション が 活 発 に なった。例 え ば『Yammer Enterprise』を使った業務日報。従来はマネージャーらがチェックするに過ぎなかったが、プランナー同士でも見られるようにした。する と「よく頑張ったね」といったコメントが寄せられるようになり、プランナーのモチベーションが向上し、プランナーと本社スタッフのコミュ ニケーションも円滑になった。『Yammer Enterprise』を使った業務日報によって、本社スタッフがプランナーたちの現状を素早く把握で きるようになったからだ。またナレッジも共有できるようになった。例えば、『au SHINJUKU』が始めた卓上 POPを写真付きで『Yammer Enterprise』に投稿した ところ、他店のプランナーから数多くの『いいね』とコメントが付いた。「2カ月後には直営店だけでなく、全国約2,500 店のauショップに も展開されるようになりました」と服部マネージャーは語る。 プランナーの長沢氏は「業務日報に称賛やアドバイスなどをもらえるようになり、モチベーションが上がりました。また、ほかのプランナー の投稿や日報を見ることで、同じような事例に直面した際に参考にすることができ、とても勉強になりますし、接客にも生かせていると思 います」と話す。『Yammer Enterprise』が導入されたことで、プランナー同士がより協力し合える環境になったと実感しているそうだ。 『Yammer Enterprise』を活用することで、従来型の『ケータイショップ』にイノベーションを起こしたKDDI プリシード。甘田社長は「今
後は『Office 365 with KDDI』のほかのツールも利用し、さらなる革新を推し進めていきたいです」と意欲を見せる。
導入後の効果 AFTER (左から) 経営管理部 管理グループリーダー マネージャー 服部 辰実氏 「プランナーはシフト勤務で働いているため、一堂に会して話し合うことができませんでした」甘田社長は こう話す。また、プランナーと本社スタッフもコミュニケーションが取りにくい状況にあった。さらに直営 店は全国に 4 店舗あり、店舗の枠を超えた素早いナレッジ共有も難しかった。同社に託された『新しい顧 客の創造』というミッションを実現するためには、社員のコミュニケーションの質と量を上げると同時にモ チベーションも向上させ、従来型の『ケータイショップ』にイノベーションを起こす必要があった。 業務中、空き時 間にスマート フォンやタブ レットを使って 『Yammer
本社スタッフとプランナーは異なるオフィスやフロアに 勤務しており、コミュニケーションが取りにくい状況に あった。 『Yammer Enterprise』を使った業務日報によって、本社ス タッフがプランナーたちの現状を素早く把握可能になり、プ ランナーと本社スタッフのコミュニケーションが円滑化した。 東京、大阪、名古屋、福岡にある直営店。物理的に離れ た場所にあるため、店舗の枠を超えたリアルタイムなナ レッジ共有が難しかった。 『Yammer Enterprise』の導入で、スピーディに全社でナレッジを共有 できるようになった。ある直営店での成功事例がほかの直営店だけで なく、全国約2,500店舗あるauショップにも展開されるようになった。 社名 本社所在地 設立 従業員数 URL KDDI プリシード株式会社 東京都新宿区新宿 3-25-1 ヒューリック新宿ビル 4F 2014 年10 月 200人 http://www.k-pcd.com/ お客さまプロフィール
当社は KDDI の100%子会社で、KDDI の直営店 4 店舗を運営しています。直営店では通信サービスだけでなく、au WALLET やじぶん銀行など多様な サービスを用意し、その中からお客さまに合うサービスのプランニングを行っています。最近では、日用品や食品など通信商材以外のアイテムの紹介や販 売も始めており、お客さまから好評を得ています。
KDDI プリシードの『Yammer Enterprise』活用イメージ
新たな取り組みや現場のナレッジを素早く共有しやすくなり、成功 事例の横展開がスムーズに行えるようになった。 『Yammer Enterprise』上の業務日報は、社長や本社スタッフ、店 舗マネージャーだけでなく、店舗のプランナー同士でも閲覧し、コ メントできる。 プランナーが『Yammer Enterprise』に上げた業務日報とそ れに対するコメント。自分が書いた日報に共感や激励、アドバ イスなどがコメントされることで、仲間との一体感を感じ、モチ ベーションも向上する。
『au WALLET Market』をアピールする卓上POPに関する投 稿とそれに対するコメント。この投 稿がきっかけとなり、卓 上 POPは全国約2,500店舗あるauショップにも展開されるように なった。
『Yammer Enterprise』で成功事例を素早く共有 『Yammer Enterprise』でモチベーションが向上