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サルコペニアおよびフレイル

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 45 巻第 6 号 417 ∼ 421 頁(2018 年) サルコペニアおよびフレイル. 417. 講  座 シリーズ 「ロコモティブシンドロームと理学療法」. *. 連載第 2 回 サルコペニアおよびフレイル. ─ロコモの概念との相違およびその介入方法について─. 荒 井 秀 典 1). はじめに  平均寿命が徐々に延伸し,元気な高齢者が増えている といわれているが,平均余命から健康寿命を引いた日常 生活に制限のある“不健康な期間”は男性で約 9 年,女 性で約 13 年とされており,依然として長い。したがっ て,要介護期間を短縮し,健康寿命を延伸することは世 界一の長寿社会である我が国にとって喫緊の課題であ る。厚生労働省の統計によると前期高齢者の要介護原因 の 1 位は脳卒中であるのに対し,後期高齢者の要介護の 原因の 1 位は老衰であるが,この老衰には介入可能な病 態として加齢に伴う恒常性,生理的予備能の低下により. 図 1 フレイルの転帰. ストレスに対する脆弱性を示す“フレイル”が含まれ る。また,関節疾患や転倒・骨折も主要な要介護要因で あり,フレイルとともに,サルコペニアの予防が重要と なっている。. フレイルとは.  しかしながら,フレイル,サルコペニアといった病態.  フレイルとは,加齢に伴う様々な臓器機能変化や予備. は自覚症状も乏しく,適切な診断,介入が行われていな. 能力低下によって外的なストレスに対する脆弱性が亢進. いため,要介護の高リスクであるにもかかわらず,予防. した状態である。フレイル高齢者では日常生活機能障. 策についてはほとんど周知されていない。また,近年ロ. 害,施設入所,転倒,入院,認知症をはじめとする健康. コモティブシンドローム(以下,ロコモ)という運動器. 障害を発症するリスクが高く,死亡リスクも高くなるこ. の症候群も提唱され,介護を必要とするリスクが高い高. とが知られており(図 1),生活習慣病や薬剤の多剤服. 齢者の早期発見・早期介入の考えが広まり,ますます介. 用のリスクも高くなるが,要介護状態には陥っておら. 護予防に対する関心は高まりを見せている。本稿では,. ず,自立した生活も可能である。フレイルには身体的な. いずれも要介護のリスクであるフレイル,サルコペニ. 加齢変化だけではなく,精神・心理的な病態,社会的な. ア,ロコモの病態を明らかにし,その相違点についてま. 要因があり,それぞれが負のスパイラルを形成して,要. とめるとともに,予防・介入法にも踏みこんでみたい。. 介護状態に陥りやすくなる。ただ,フレイルには適切な 介入により再び健常な状態に戻りうるという可逆性もあ り,早期発見・早期介入が重要である。  フレイルの発症メカニズムについては,加齢が主たる. *. How to Prevent and Intervene Sarcopenia and Frailty: Difference with Locomotive Syndrome 1)国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (〒 474‒0038 愛知県大府市森岡町 7‒430) Hidenori Arai, MD, PhD: National Center for Geriatrics and Gerontology キーワード:高齢者,健康寿命,握力,歩行速度,運動器. 因子であるが,各種疾病,免疫異常,神経内分泌異常な どもその発症・進展に複合的に関与する。また,栄養の 重要性も指摘されており,低タンパク質,ビタミン D の摂取不足などがフレイルの進行と関連する。さらには 薬剤による影響もあるため,Polypharmacy に対する適.

(2) 418. 理学療法学 第 45 巻第 6 号. 表 2 簡易フレイル・インデックス(文献 3 より). 表 1 フレイルの評価方法(J-CHS 基準 *) 項目. 評価基準. 体重減少. 6 ヵ月で,2 ∼ 3 kg 以上の体重減少 (基本チェックリスト #11). 筋力低下 疲労感. 握力:男性< 26 kg,女性< 18 kg (ここ 2 週間)わけもなく疲れたような 感じがする (基本チェックリスト #25). 歩行速度. 通常歩行速度< 1.0 m/ 秒. 身体活動. ① 軽い運動・体操をしていますか? ② 定期的な運動・スポーツをしていますか? 上記の 2 つのいずれも「していない」と回答. * 長寿医療研究開発費事業 25-11「フレイルの進行に関わる要 因に関する研究」班. ・6 ヵ月間で 2 ∼ 3 kg の体重減少がありま したか. はいで1点. ・以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと 思いますか. はいで1点. ・ウォーキング等の運動を週に 1 回以上し ていますか. いいえで1点. ・5 分前のことが思い出せますか. いいえで1点. ・(ここ 2 週間)わけもなく疲れたような感 じがする. はいで1点. う基本チェックリストや生活機能に関する質問をもとに 5 つの質問からなる簡易フレイル・インデックスを作成 3) した(表 2) 。そして 5 つの質問のうち,3 つ以上満た. 切な介入も有効である。. す場合には,要介護,転倒,死亡リスクが有意に高くな ることが明らかとなった。このような簡単なスクリーニ. フレイルの診断法. ングにより,フレイルかどうかを判定し,その後のケア.  地域や医療現場においてフレイルを評価し,適切な介. につなげることができる。すなわち,地域においては簡. 入を行うことが重要である。これまでの研究からフレイ. 易フレイル・インデックスや KCL を用いてスクリーニ. ルの指標について様々な尺度や評価方法が提唱されてい. ングを行い,臨床現場ではこれらのスクリーニングとと. るが,移動能力,筋力,認知機能,栄養状態,バランス. もに J-CHS 基準を用いたフレイル診断を行うことを推. 能力,持久力,身体活動性,社会性などの構成要素につ. 奨したい。フレイルの診断についてはフレイル診療ガイ. いて複数項目をあわせて評価する場合が多い。Fried ら. 4) ドに詳しい 。. は,体重減少(1 年間に 4.5 kg 以上) ,易疲労感,筋力 低下(握力による評価が一般的),歩行速度低下,身体 活動性低下のうち 3 項目以上該当した場合をフレイル,. サルコペニアの概念  加齢とともに骨格筋量は減少し,筋力は低下する。20. 1). 1 ∼ 2 項目に該当した場合をプレフレイルと定義した 。. ∼ 30 歳代と比べ,70 ∼ 80 歳代では約 30 ∼ 40%の骨格. 彼女らの解析によるとフレイルと判定された人はその後. 筋量が減少するともいわれている。また,骨格筋量とと. の追跡で死亡率が上昇している(5 年生存率は約 70%) 。. もに減少する歩行速度や握力と予後との間には密接な関. 表 1 に 日 本 人 用 に 改 変 し た J-CHS(Cardiovascular. 係が見いだされている。当初サルコペニアの診断は骨格. Health Study)規準を示す。. 筋量の低下のみにて行われていたが,握力,歩行速度の.  フレイルの評価には,身体的側面のみならず,精神心. 重要性が認識されるとともにその概念は修正され,骨. 理的,社会的側面に対する評価も含む指標が必要とされ. 格筋量の低下とともに握力,歩行速度の低下を合わせ. ているが,我が国で導入された基本チェックリスト(以. てサルコペニアの診断を行うべきであるという考えが. 下,KCL)は,フレイルについての包括的な評価を含. でてきた。このような背景から,ヨーロッパの研究グ. む優れた指標であり,2006 年の介護保険制度の改定の. ループにより,歩行速度,握力および筋肉量を指標と. 際に,近い将来介護が必要になる高齢者を抽出するスク. したサルコペニアの診断基準が提唱された。すなわち. リーニング法として,KCL が厚生労働省の研究班によっ. The European Working Group on Sarcopenia in Older. て開発された。KCL の質問は,生活機能状態を尋ねる. People(以下,EWGSOP)によれば,サルコペニアは. 25 個の質問からなり,「はい・いいえ」で回答するも. 「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられ. のである。その質問項目は,7 つの領域にわたり IADL. る症候群で,身体機能障害,QOL 低下,死のリスクを. (#1 ‒ 5),身体機能(#6 ‒ 10),栄養状態(#11, 12),口 腔 機 能(#13 ‒ 15), 閉 じ こ も り(#16, 17) ,認知機能 (#18 ‒ 20),気分(#21 ‒ 25)と簡便に総合機能評価がで. 5) 伴うもの」と定義されている 。. サルコペニアの診断. きるが,この中にも栄養,口腔機能の評価が含まれる。.  EWGSOP では,骨格筋量低下,筋力低下,身体機能. Satake らにより 25 項目中 8 点以上のものは有意に自立. 低下から構成される臨床的な診断手順が示された。そ. 性の喪失や死亡のリスクが高くなることが示されてい. こでは 65 歳以上の高齢者を対象とし,骨格筋量低下. る. 2). 。我々は,より簡便にフレイルをチェックできるよ. が必須条件とされ,それに筋力低下または身体機能低.

(3) サルコペニアおよびフレイル. 419. 図 2 アジアのサルコペニア基準(文献 6 を日本語訳). 下のどちらかが加われば,サルコペニアの診断に至る。. ると要介護状態に陥る危険が高いと考えられる。この概. な お, 骨 格 筋 量 の 評 価 に は DXA(dual-energy X-ray. 念もまた,フレイル,サルコペニアと同様に要介護高齢. absorptiometry) 法 が 推 奨 さ れ, 彼 ら は DXA に よ り. 者を増やさないように,運動器の障害を予防し,早期発. 求めた四肢骨格筋量を身長の 2 乗で除した値を SMI. 見・早期治療を国民に呼びかけようとするものである。. (skeletal muscle index)として用いた。そして,低筋.  ロコモの原因は加齢による運動器機能不全,運動器の. 肉量の定義は若年者(おおむね 20 ∼ 40 歳,男女別)の. 疾患に分けられる。加齢による運動器機能不全の中には. 平均値 ‒ 2SD 未満とした。日本をはじめとするアジア. サルコペニアおよびバランス能力の低下が挙げられる。. 各国では各コホートにおける 5 分位や若年者の平均値,. 運動器の疾患の中では特に下肢に影響するものが多く含. SD を用いた骨格筋量のカットオフ値が使われていた. まれる。特に変形性膝関節症,変形性股関節症,骨粗鬆. が,握力や歩行速度については欧米人の基準がアジア人. 症,変形性脊椎症,脊椎管狭窄症が挙げられる。これら. にそのまま適用できるかどうかについても明らかではな. の疾患により疼痛,関節可動域制限,筋力低下,麻痺,. いため,我々はアジアサルコペニアワーキンググループ. 骨折等を来たし,バランス能力,体力,移動能力の低下. (Asian Working Group for Sarcopenia;AWGS)を設. を来すこととなる。. 6). 立し,アジア人のための診断基準を提唱した(図 2) 。 我々の診断基準においてもヨーロッパの基準と同様に握. ロコモの診断. 力・歩行速度,骨格筋量を用いてサルコペニアと診断す.  ロコモの診断に際しては,移動能力が重視されている. るが,握力は男性 26 kg 未満,女性 18 kg 未満を握力低. ことから,立ち上がり動作と最大の歩幅(2 ステップテ. 2. スト)が用いられている。これらはいずれもふらつかず. 未満,女性 5.4 kg/m2 未満,バイオインピーダンス法. に行えることが重視されており,バランスも考えた測定. 下とし,筋肉量については DXA では,男性 7.0 kg/m 2. 2. (BIA) で は, 男 性 7.0 kg/m 未 満, 女 性 5.7 kg/m 未. である。さらに,身体機能のテストに加えて,ロコモ. 満を筋肉量低下としたアジア人独自の基準を定めた。な. 25 という 25 項目の質問を 5 段階で答える質問票が用い. お,サルコペニアの診断についてはサルコペニア診療ガ. られる。ロコモのはじまりである「ロコモ度 1」は立ち. 7) イドライン 2017 年版に詳しく述べられている 。. 上がりテストで片脚 40 cm ができない,2 ステップテス. ロコモの概念. トが 1.3 未満,ロコモ 25 が 7 点以上,のどれか 1 つで もあてはまるものと定義される。移動機能低下が進行し.  ロコモは日本整形外科学会が 2007 年に提唱した病態で. た「ロコモ度 2」は立ち上がりテストで両脚 20 cm がで. 身体的な臓器の中でも特に運動器に焦点をあてた概念で. きない,2 ステップテストが 1.1 未満,ロコモ 25 が 16. ある。身体機能についても立ったり,歩いたりといった. 点以上,のどれか 1 つでもあてはまるものとした。ロコ. 移動能力に注目している。すなわちロコモは運動器の障. モは身体機能障害のなかでも特に移動能力の低下に焦点. 害のために移動能力の低下を来した状態であり,進行す. をあてており,関節,脊椎疾患が主となるが,高齢者に.

(4) 420. 理学療法学 第 45 巻第 6 号. 図 3 サルコペニア,ロコモ,フレイルの関係(文献 8 より). おいては筋力の低下,すなわちサルコペニアがロコモの. からは必要かもしれない。フレイルは主として,65 歳. 重要な要因のひとつとなる。しかしながら,ロコモで. 以上の高齢者が対象となるが,サルコペニアの場合,疾. はすでに述べたように骨格筋量の評価を行うことはな. 患に合併する二次性サルコペニアの場合には早期からタ. く,サルコペニアとその概念は完全に一致するわけでは. ンパク質の摂取を指導することにより,サルコペニアの. ない。一般的に,サルコペニアがあれば,ロコモ度 1 ま. 予防を図ることが重要である。. たは 2 となることがほとんどであるが,ロコモ度 1 また.  タンパク質のもとであるアミノ酸のなかで必須アミノ. は 2 であってもサルコペニアの診断を満たすとは限ら. 酸,その中でも筋肉の 3 ∼ 4 割を構成している分枝鎖ア. ない。. ミノ酸(BCAA)が注目されている。特にロイシンは筋. フレイル,サルコペニア,ロコモの関係  フレイル,サルコペニア,ロコモの 3 者を位置づける 8). タンパク質合成を促進する作用が強く,高齢者を対象と した安静臥床試験においてロイシンを 36% 含む必須ア ミノ酸投与は大. 四頭筋におけるタンパク質合成の低. と図 3 のようになる 。サルコペニアを含むロコモは身. 9) 下,身体機能の低下を予防したことが示されている 。. 体的フレイルの主要な部分を占めるが,ロコモには運動.  タンパク質とともにビタミン D の摂取も重要である。. 器の障害による疼痛があり,身体的フレイルとの相違点. 日本人高齢者においてはビタミン D 欠乏に陥っている. かもしれない。. 割合が比較的高いとされており,1 日あたりの推奨量で. フレイル・サルコペニアに対する予防・介入法. ある 800 IU 以上の摂取を勧める。サケ,マグロ,サバ といった脂肪性の魚はビタミン D の最良の供給源であ.  まずはフレイル,サルコペニアの予防・介入法を述. り,牛のレバー,チーズ,卵黄,キノコ類にも少量のビ. べる。. タミン D が含まれている。ビタミン D は日光暴露によ り皮膚においても生成されるため,外出も重要である。. 1.栄養療法,運動療法は共通する.  フレイル,サルコペニアに対しては筋力,身体機能の.  栄養療法,運動療法に関してはその予防・介入に関し. 向上と筋量の増加には運動が必要で,タンパク質合成を. てサルコペニア,フレイルで共通のアプローチでよい。. 直接促進させるレジスタンス運動と歩行能力を向上させ. すなわち,フレイルおよびその中核をなすサルコペニア. る有酸素運動を組み合わせることが望ましい。ただ,レ. では十分なカロリー摂取に加え,タンパク質の適切な摂. ジスタンス運動については,週 2,3 回程度の頻度で実. 取がその予防,治療に必要である。予防のためには高齢. 施することが進められるが,日常生活の中にロコトレな. 者においても 1.0 ∼ 1.2 g/kg/ 日のタンパク質摂取が推. どの自重を使った簡便なレジスタンス運動を取り入れて. 奨される。一方すでにフレイル,サルコペニアの基準を. もよい。もちろん,体力的な問題やロコモがある場合に. 満たす場合には,1.2 ∼ 1.5 g/kg/ 日のタンパク質を摂. は,専門医や理学療法士との連携が重要である。. 取すべきである。もっとも重度の腎機能障害がある場合.  このような栄養療法,運動療法であるが,それぞれの. には,サルコペニア,フレイルがあっても 1.0/kg/ 日程. 単独介入よりも両者を併用した介入の方が有効であると. 度のタンパク質摂取にとどめておく方が腎機能維持の点. 報告されている。Kim らはサルコペニアを呈した高齢.

(5) サルコペニアおよびフレイル. 421. 者に対して運動単独,栄養(アミノ酸補充)単独,運動. る。疼痛管理が必要なケースは疼痛管理を行いながら,. + 栄養の複合介入を行っている。3 ヵ月の介入で運動 +. また手術が必要なケースでは整形外科医の元で手術治療. アミノ酸補充群のみに足の筋量と歩行速度の改善が認め. を実施する。変形性膝関節症などの関節疾患に関しては. 10). 。一方,中之条研究によればサルコペニア予. その状態に応じたリハビリテーションの指導が必要であ. 防のためには 1 日 7,000 ∼ 8,000 歩のウォーキングが必. り,サルコペニアがある場合には,レジスタンス運動と. 要とされており,フレイルについても同様と考えてよい. してロコトレを推奨してもよい。すなわち,片足立ち,. であろう。. スクワット,フロントランジ,かかと上げである。. られた. 2.フレイルに対する介入. おわりに. 1)感染症予防.  フレイル,サルコペニアは疾患の有無にかかわらずそ.  フレイルは加齢に伴って生理的予備能が低下すること. の予防を意識しながら,高齢者のケアにあたるすべての. により,ストレスに対して脆弱性を示す状態である。ス. 医療専門職がこれらの概念を理解し,適切な介入を行う. トレスのひとつに感染症がある。すなわち,インフルエ. ことで,要介護高齢者を減らすことが望まれる。ロコモ. ンザや市中肺炎などを契機にフレイルから要介護状態に. は,中年期からも問題となるため,整形外科医が中心と. 陥ることもあるため,ワクチンなどによる感染症予防が. なって多職種で対応すべき病態である。これらの病態の. 重要である。インフルエンザ,肺炎だけでなく,帯状疱. 啓発を進めることにより我が国の健康寿命の延伸がはか. 疹も高齢者の QOL を低下させるため,帯状疱疹ワクチ. れることに期待したい。. ンの効果も期待される。 2)社会参加の促進  フレイルには独居,貧困など社会的要因もある。すな わち社会との関係が希薄になることにより,身体的およ び精神的に機能低下が進み,フレイルとなることがあ る。仕事だけではなく,ボランティア活動や町内会の行 事,自主グループへの参加など社会とのつながりを継続 することができる高齢者ほどフレイルになりにくいと考 えられている。したがって,行政も含めて地域ぐるみで フレイル予防に取り組むことがきわめて重要である。 3)口腔機能の維持  かむ力の衰えは,食欲の低下や嚥下機能の低下と関連 し,低栄養からフレイルにつながりやすくなる。中年の 時から定期的歯科受診が重要であり,高齢期においては 義歯の調整,歯周病の予防・治療のためにも口腔ケア, 歯科との連携はきわめて重要である。 4)ポリファーマシー対策  フレイルとポリファーマシーとの関連が知られてい る。特に抗コリン作用を有する薬剤を複数長期間にわ たって服用し続けるとフレイルとなるリスクが高くな る。したがって,薬剤師と連携を行いながら,定期的な 薬剤レビューにより,薬剤の継続をすべきかどうかを評 価し,減薬の可能性の有無を常に念頭に置いて診療にあ たるべきである。. ロコモへの介入  ロコモに関しては,運動器疾患の診断が重要であり, 整形外科医と連携して正しい診断を行うことが重要であ. 文  献 1)Fried LP, Tangen CM, et al.: Cardiovascular Health Study Collaborative Research Group. Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001; 56: M146‒M156. 2)Satake S, Shimokata H, et al.: Validity of total Kihon Checklist score for predicting the incidence of 3-year dependency and mortality in a community-dwelling older population. J Am Med Dir Assoc. 2017; 18: 552.e1‒552. 3)Yamada M, Arai H: Predictability of frailty scores on healthy life expectancy in community-dwelling Japanese older adults. J Am Med Dir Assoc. 2015; 16: 1002.e7‒11. 4)フレイル診療ガイド 2018 年版.荒井秀典(編),ライフサ イエンス,東京,2018. 5)Cruz-Jentoft AJ, Baeyens JP, et al.: Sarcopenia: European consensus on definition and diagnosis: Report of the European Working Group on Sarcopenia in Older People. Age Ageing. 2010; 39: 412‒423. 6)Chen LK, Liu LK, et al.: Sarcopenia in Asia: consensus report of the asian working group for sarcopenia. J Ame Med Dir Assoc. 2014; 15: 95‒101. 7)サルコペニア診療ガイドライン 2017 年版.サルコペニア 診療ガイドライン作成委員会(編) ,ライフサイエンス出 版,東京,2017. 8)原 田  敦: ロ コ モ テ ィ ブ シ ン ド ロ ー ム に お け る サ ル コ ペ ニ ア の 位 置 付 け. 日 本 老 年 医 学 会 ホ ー ム ペ ー ジ. https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/press_seminar/report/ seminar_02_04.html(2018 年 8 月 23 日引用) 9)Ferrando AA, Paddon-Jones D, et al.: EAA supplementation to increase nitrogen intake improves muscle function during bed rest in the elderly. Clin Nutr. 2010; 29(1): 18‒23. 10)Kim HK, Suzuki T, et al.: Effects of exercise and amino acid supplementation on body composition and physical function in community-dwelling elderly Japanese sarcopenic women: a randomized controlled trial. J Am Geriatr Soc. 2012; 60(1): 16‒23..

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図 1 フレイルの転帰

参照

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