理 学 療法 学 第34巻 第2号 45
〜
51
只C2007
年 )研
究
報
告
認 知症 高
齢
者
の
外 乱 時
に
対 す
る
姿 勢 制御
に
つ
い
て
*坂
本
望
1)#大 谷
拓 哉
2)新
小 田
幸
一
2)前 島
洋
2〕吉 村
理
3>飛 松
好
子
2) 要旨
認 知 症 高 齢 者
の易 転 倒
が認 知 機 能
の低
下 に よ るも
の か,
運 動 機 能 低
下 によるも
の か明 らか
にす
るた めに,
認知
症高
齢者
の外
乱 に 対 する反 応 を 調べ た。
対象
は認知
症 を有
する高 齢 者 (
認知 症 群 )
10
名
と認 知 症
を有
さ ない高 齢 者 (
対 照群
)7
名
で あっ た。
外 乱
は 移動 速 度
100mm 、
〆s,
移 動 距 離
50
rrlm の床 面
の前 方 向
へ の水 平 移 動 と
し た。
この外 乱
を 予告
な し に5
回加 え
た時
の,
足 圧中心
と前 脛 骨 筋
,
大 腿 直 筋
の筋 電 図
の ア ナロ グ信 号 を2000Hz
で サ ン プ リン グ し,
A
!D
変 換 を 行っ た。
足 圧 中 心 デー
タか ら 足 圧 中心 移 動
距離
,
足 圧[1.
r心 応答
時 間.
筋 電 図 デー
タ か ら各
筋
の潜
時 , 潜 時 か ら5001ns
間(
0−
500
ms 間)
, 及 び その後
の500ms
間 (500
−
1000
【ns 開)
に お け る各 筋
の %筋
竃 図積 分 値 を 算 出
し た、
,
足 圧 Ill心 移 動 距 離
,
500
−
1000ms
問の前 脛 骨 筋 % 筋 電 図 積 分 値において,
認 知 症 群 は 対 照 群 と比 較 し,
有 意 に 小 さい 値 を 示 し た。
一
方 , 足 圧 巾 心 応答 時 間
,
各
筋
の潜 時
,
0
−
500ms
問
に お け る 前 脛骨 筋
,JtEn
直 筋
,500
一
ユ000
【ns 問 に お け る 大 腿 直 筋の % 筋 電 図 積 分 値におい て2
群 問に有 意 差 は 認 め ら れ な かっ た。
こ れ らの結 果 か ら,
認知 症
群 は 対 照 群 と比 較 し,
外 乱 に 対 す る 反 応へ の遅 延 を 引 き起 こしてい ない こと が 明 ら か と なっ た。
し か し,
足 圧 中 心 を 移動
させず
,
少 ない前脛 骨 筋
の活 動
量で 立位 保 持
を行
っ てい た。
キー
ワー
ド認 知 症 高
齢 者
,
姿
勢 制御
能 力,
外
乱 刺 激緒
言
75
歳 以 トの 「不
慮の事
故 」 に よ る 死 亡 は,
「
窒 息」
に続
き「
転 倒・
転 落 」 が 第2
位 で あ りD,
人 口 に占
め る 高 齢 者の割 合 が 上 昇 してい る 今 凵,
さ ら に 転 倒 者 は 増 加 し,
死亡 者,
及び受
傷 後 遺 症 者は増 え る もの と思われ る、
転倒
に よ り,
骨 折
に 至っ た 場 合,
そ れ が 元 で寝
た き りに なり
,
r1
常生1
舌1
舌重力(
Activities
〔〕
f
Daily
I
」ving;以
一
ド,
AI
)L
)の低
ドを招 く
L’
)だけで な く,
骨 折 した例で は一
人 あ
たり
に か か る治療 費 も高 額
であ
る:3)。 た と え,
寝
たき
りにならな くて も…
度 転 倒 を 経 験 す ると,
転 倒 に 関 連’
へbility。f P。sLural C・nL・・hr1 P・・1しirL・Ht
.
i・ ・ ir1 Eld・,・ly P・r・。rls
“
・
ith I)elllential
.
/岩国rti医 療セ ン ター
医 師 会 病 院(〒7
・
10−
OO21 1.
h
「1県 ¥1
国11∫窯の木)II」3612 ,Nuzuiiii Sakam〔}t{〕
,
RFT.
MS:lwakum MedL〔:ad Center2)広 島 大学メこ学
1
ぢ己保 健’
,)’
二fl廾究 科Tnkuya Olと川 i
、
RPT.
MS,
Kuichi Shinkc〕da,
RPT,
PhD,
llir〔}shlMaejlma
,
RPT,
PhD,
Yoshiko Tobimatsu、
MD : H[roshimaUniversiしy Gr
と
L〔Luと
[
L巳
Sc・
h【
〕
〔
,
1【
〕
f Ilealth Sciencc・
s3) 広 島11亅更
’
1相 談 1り「Osamu Yoshiivt
匸
ヒ
・
:
.
k,
MD ;Ilirosllillu C[ty Counscl[ng Ccnter rD【』
#
じhe Physically Disabled E−
IIlan.
nzrllsknlt (t【
h〔
mTiail.
c〔
,111 〔受 イ寸卩 2〔〕05 年 6 月 4 卜亅・
受理 凵 2006 年 12 月 18 凵) して起 こる 不 安 や 恐 怖 心 か ら 閉 じこも りの 生 活 と な り,
結 果 的に廃 川 症 候 群 に 繋 が り 「転 倒 後 症 候 群 」 を 引 き 起 こすこ と が あ る と もい わ れ てい る4/。
したがっ て,高
齢 者の転 倒 予 防 は 重 要 と 思 わ れ る。
転 倒 し た 高 齢 者 に は 認 知 症 を 有 する高 齢 者
(
以 下,
認 知 症 高 齢 者 )が多
く,繰 り返 し転 倒 する といわ れ てい る 5!。
さ ら に 転倒
に よ る重 度
な外 傷 を負
っ た高齢 者
に おいて,
認 知 症 高 齢 者の 占め る割 合 が 大 きい ともいわ れ てい る6以 上の
視 点
か ら,
高 齢者
の転 倒
の中
でも
,
認 知
症高 齢 者
の転 倒
予防
にも重 点 を
おく
べき
であ
る と思
わ れ る.
高 齢 者の転 倒 要 因は
.
個 人の現在
また は慢 性
的 な身 体
的 因 子 とされ る内
的 要 因と物
理 的 な 環境
因r一
とされ る外
的 要
因 に分
け ら れt.
t、
内 的 要 因
の 亅つ に認 知 症
があ げ
ら れ る8〕。
江 藤9)やDoorn
ら10}も 認知
症は転 倒の危 険
因 子である と述べ ている。
・
方
,
認 知症 高齢 者
に転倒
の多
い理山
と して,
認知 症
ゆえ
に姿 勢 制 御 能 力
が低
下す
る という報 告
があ
る lln2 }。
こ れ ら の報 告
は,
認 知 症 高齢 者
と認
知 症 を有
さない高 齢
者
の動 的 あ
るいは静 的 姿 勢 制御 能 力 を 臨床 的 な
テ ス トを
川い て評 価
して い る。 しか し,
いず
れも 両 者
の間
にADL
に差があ
るため,
認 知
症 その もの に より引
き 起こ46 理学 療 法学 第
34
巻第2y
丿.
さ れたの か,
ADL
の低
ドに よ り.
1
次 的に引 き 起こ さ れ たも
のか,
明
ら か に さ れ ていない、
,
ま た,
足 立 ら⊥/S, は,認知 症 高齢 者
につ いて,
歩 行 時
の危 険
の 予 測、
危 険
を 認識
し て か らの 回避
反 応 に 移 る ま での 反 応の遅 れ が あ る た め,
転 倒
しや すいと 述べてい 70,
tt
この よ
う
に,
認 知 症 高 齢 者
が転 倒 者
に占
め る 割 合 が 高 い という
こ とは 知 ら れてい る が,
その理Ilr
は不 明
で,
認
知 症 高 齢 者
の 転 倒 は, 認 知 機 能の低
ドに よ る易転 倒性
に よ るも
の か,
脳機
能障 害
である認 知 症の判[経
症:りこと して の運 動 機 能 低 ドに よ る もの か,
明
ら かに さ れていな
い 。そこで 本 研 究 で は
,
認 知
症高 齢 者
の易転 倒
が認 知 機 能
の低
ドに よ る もの か,
認 知 症に よる運動 機 能低
.
ドに よ る もの か明
ら か に す る た めに,
認知 症 高齢 者
の外 乱
に対 す
る 姿 勢 保 持の過 程 をADL
が同等
で ある健 常 高 齢 者
と 比 較 し検
討
し た。
対
象
ア ル ツハ イマ
ー
型 痴宋
症 を有 す
る高 齢 者
10
名 (
男性
1
名
,
女 性
9
名
;以下
,
認 知 症 群 ) を対
.
象
と し た (表
1
)
。認 知
症群
は,
麻 痺
や腱 反 射 な
どの神 経 学 的 所 見
,
経 過
,
画 像
か ら医 師
に より
ア ル ツハ イマー
型 痴 呆 症
と診
断 され
,
Milli
−
Mental
State
Examinationi
’
i)(
以 ド,
MMSE
)
の
得
,
1∴「
:がカ ッ トオフポ イン トであ
る 23点
以.
ドのも
の と し た。加
えて以 下の条件 を満
たす も
のと し た。
独 歩
も しく
は杖 歩 行
に て屋内 歩 行 自
立以
トの歩 行 機 能 を 有 す
る,
脳 巾1
管 障 害
の既 往
がな
い,
重 度変 形 性 関 節 症 な
ど整 形 外科
的 運動
障害
を有
さない,
認知
症 を有
し てい る が,
本 研 究
へ の協 力
が得
ら れた高齢 者
と した,
MMSE
の得 点
が23
点
以1.
1 であ
る認 知
症ではな
い高 齢
者7
名 (女 性7
名
) を対 照
群 としたtt年 齢
,
身 長
,
体
重,
障害
老 人の 日常
生活 自
、’
f
.
ffA
,
施 設 利 川 状 況
は認 知 症 群
と 対 照 群の閲 に 有 意 な 差の無い こと を条 件
と し た(
表
D
。
被
験者 全
員 と,
認 知 症 群の家族
に対
し,
本 研 究
の 目的
,
測 定方 法
,
被
験者
の 意 思により
い つ でも研 究
へ の参 加
を 巾 止 す ること がで き ること を説 明
し,
書 面
に て実 験 協 力
の同 意 を得
て実 施
し た,
、
方
法
1
.
検
査装 置
と検 査 項 凵
筋
反 応測 定
装置 (
酒 井 医 療 社 製
:U
−
0007
)
を用
いて,
外
乱負荷
応答 検
査 を行
っ た、
,
本 研 究
で用いた筋
反応 測 定
装 置
と は,
床 反力 計
が内蔵
さ れ.
床 面
が前 後 水 平 方向
に動 く定
量的 な外 乱 刺 激
を発
生さ
せる装 置
であ
る,、
この装
置
は,
移 動 距 離
が10mm
,
20
mm,
30
mm,
50 mm に,
移 動 速 度 が
:)O
mm,
・
’
s,
100
intn,
’s,150
mm /s,
200
mm ,’s に設 定
でき
る。本 研 究
で は,
被験 者
が常
に進 行 方 向 を視
覚
で確 認
でき
,
恐 怖 心
が よ り少
ない と思われる前 方 水 平方 向
と し た。外 乱刺 激
の大 き
さ は,
対象
と な る 認知
症高
齢 者
に恐 怖 心 を抱
かせず
,
な
お かつ外 乱刺 激
の影 響 を得
られる大 き
さを倹
討 した 結 果,
移 動 速 度 ユ00mm
!s,
移動
距離
50mln
と し た。
外
乱 刺 激 時の 足 圧 中 心 〔Center
ofPressure
;以 ド,
COP
> 位
置 と,
右前
脛 骨 筋(
Tibialis
Anterior
;以 下,
T
八) と右 大 腿 直 筋 〔Rectus
Femoris
;以 下,
RF
)の筋 電 図 を 測 定 し た (図1
)。
2
.
検
査 方 法筋
反 応 測定
装 置の 床 面 を・
回 動 か し,
被 験 者 は そ れ を観 察
し た、
「
これ か らこ のE
に 」ヒっ て も らい ま す。
立っ てい る 間,
こ の よ う に,
床 が 前に動 き ます。
動 く 回 数 は5
回 です
。
いつ動
く か わ か り ま せ ん。
床 が 動いて も 転 ばな
い よう
に して ドさいu で き る だ け 足 は 踏 み か え るこ と が ない よう
に して下 さい」
と説 明 した,
.
測 定 肢 位 は 筋 反応
測定 装 置
上 に おい て,
裸 足 に て.
ヒ肢 は 体 側 に 垂 ら し,被 験 者
の各 足 部
は,
両 踵 部 巾央
が7Cm
離
れてお り,
各
足部
5
°
外
側に向
い ている状態
で の立 位と した。
そ して視 線
上約
lm
前 方
にあ
る一
辺 が2cm
の赤 色
の 正方 形 を
見
つ める よう指 示
をした。まず 静 止
、Z
位 時
のCOP
座 標
とEMG
を記 録
し た。次
に,
前 方移 動
の外 乱 刺 激
を5回予 告 な し
に加 え
た. こ の時
,
「な
るべく動
か ない よう
に 立っ てく
だ さい」
と説 明
し,
事 故 防 止
の ため,
被 験 者
に 表1 被験者の内 訳 認 知 症 群 対 照 群 精 神 機 能 N.
IMSE 〔点115.
5
ゴ:5
.
126.
6
±2
.
1 * * 基 本 的 属 性 年齢 〔歳1
身長Ccm
) 体 重 〔kg
! 性別 (人 }85
.
5ゴ:7.
1
143
.
5±8
.
6
・
1.
1,
8士 7コ 男’
1
ゾ1
:1 :女 」ゾ1
・
9
0 1080
.
7± 5.
7NS
l46.
7±3
.
9
NS
51.
4土 7.
7NS
女性7NS
障 /,
E
一
人のJ
.
】 (名!H
常生活 白立度A
.
1 (名, 2一
」 NS 施 設 利 用冫「犬1
兄 入所 〔名〕 通 所 〔名〕 82ズ
01 NS認 知 症 高 齢者の外乱時に対 する姿 勢 制 御につ い て
〆
17 図1
外 乱応 答 負荷 検 査の模 式 図転 倒
防[1
:川の ベ ル1・
を 装着
し,
]ili∫側 に2
人介
助 者 を 配 置 し たu 外 乱 刺 激 後,
COP
座 標 とEMG
が 外 乱刺
激煎
の静
止 立 位 時 と 同 様の 波 形 に 近づ い た と 検 者 が 判 断 した 後の3
秒 後
まで記 録
し た。
被
験者
が 足 を 踏 み か え た 場 合,
再 度 測 定 を 行い,
足 を 踏 み か え るこ との な かっ た5
同分
の デー
タを 解 析の対象
と した,
、
次に椅 座 位 にて,
TA
,
RFの
最
大 随 意収
縮(
Maximal
VoluntaryContraction
;以 ド,
MVC
)時
のEMG
を導
出 し た。
3
.
検
査項
目1
)COP
床 反 力 計 にて測 定 さ れ た
COP
座 標 を 示 すアナログ信 号 を,
サ ン プ リ ン グ 周 波 数 2000Hz でA
/D
変 換
器 (ADInstru
【nents社 製
:Powcr
Lab
/8s
)に通
して,
再
度パ
ー
ソナル コ ン ビュー
タに 取 り.
込ん だ。
そこか ら外 乱 刺 激 によ りCOP
が後 方
に移 動 した距 離とその時
問 を算
出 した。
2)EN.
IGTA
とRF
のEMG
を導
出し た、
.
本
研究
で は,
認 知
症高 齢 者 を対 象
と した た め.
測 定 を簡
.
索化 す
るため に,
バ ラ ン ス同復
に お ける姿 勢 保 持 筋
とさ れ る筋 僻
願 の なか か ら,
TA
,
RF
のEMG
を導 出
し た、
,
表 面
電極
を貼 付
す る部 位
の皮 膚 処 理 後
,
TA
は膝 蓋骨 ド縁
か ら・
1
横 指 ド
を,
RF
は膝
蓋 骨上縁と 上前
腸骨
棘の 中 聞点
を 近位 電 極 位 置
とし,
粘 着
ゲ ル付 き
の使
い捨
て電 極
(1
.
1
本
光 電工業
社製
:Vitr
〔〕de
L
−
150
〕を中 心 問 距 離
20
rnll1 で有
朋 夏
の長 軸
方 向
に貼 付
し,
双極 導 出法
に より表 面 筋 電
を導
出した.
,
筋
電の ア ナロ グ信 号
は,
マ ル チ テ レ メー
ター
システム〔
冂本
光電
⊥業 社
製 :WEB
−
5000
) の送 信 機
IZR−
581G
) を 通 し,
受 信 機
(ZB
−
581G
)に送
られ た、
.
木 研
究で使
川 し た 受信 機
の低
域 遮断
フ ィル タは 時 定 数0
.
Ol
と し た、
、
時 定 数
(
T
秒
) と低
域 遮断
フ ィ ル タ との 関 係 は,
f
=
レ2
であ
るため,
本 研 究
の低
域 遮断
フ ィ ルタ は 約1
.
6
Hz
であ
っ た/
t.
高域
遮断
フ ィル タは使
川 し な かっ た。
EN
.
IG
の アナロ グ信
1
丿
.
をサ ンプリ ン グ周
波 数200011z
で
A
/D
変 換 後 (
ADInstruments
社 製
:Power
Lab
!
”8s
)
,
パー
ソナルコ ンピュー
タ に取 り
込んだ.
4,
デー
タ解析
DC
(⊃P
デー
タ解 析床
反力 計
から取
り込 ま
れ たCOP
デー
タ か ら は,
外
乱刺 激
開 始点
(以下,
開始 点
)か ら,
COP
軌 跡 が 最 も 後方
に変 位
し た点
(以下,
変位
点 ) を 同 定 し,
開 始 点 か ら変 位 点
まで の問
に前 後 方 向
に移 動 し た 距 離 をCQP
移 動量
とし
,
外 乱 開 始
か ら変 位 点
まで の時 問
をCOP
応答
時 間と し た (図2
)。
2
)
EMG
デー
タ解 析
外 乱 開 始
か ら筋 活 動 開 始
まで の時 間
,
す
な わ ち潜
時 は,
大 西16) の方法
を参 考
に以 ドのよ うに定 義 し た。
ま ず 静.
止 立位
]1寺
に記
録 し たEMG
か ら 任 意の連 続 し た1
秒 間の平 均 電 位
と標 準 偏
差 を算
出 し,
平 均 電 位の値 に, 標 準 偏 差の2
倍
を加
え たf
直を 基準
電位
と し,
外 乱 刺 激 後
,
基準
電 位 を 超 え た 時 点 を 潜 時 と した。
IEMG
は外 乱 刺
激後
反射
の影
響 を受
け る と さ れ る17〕潜
時か ら5001ns
まで のIEMG
,
及 び その後
の500
ms 間 の 工EMG
,
MVC
時の500
ms 間のIEMG
を 算 出 し た。
次 に,
潜 時
か ら500ms
,
その後の500
ms 閊の値
を そ れ ぞ れMVC
時
の 王EMG
で除 し,
%IEMG
を求
め た.
TA
及び
RF
の %IEMG
を そ れ ぞ れ %IEMG
TAo
.
5{〕u,
%工
EMG
RFo
.
5D。,
その後の500
ms 問の%IEMG
を
そ れ ぞ48
理 学 療 法 学第
34
巻第
2
号 (V
) TA 二前 脛 骨 筋 RF :大腿 直 筋 床 面 速 度 時 間 (秒 ) (mm)COPth
置図2
coP
及びEMG
のデー
タの一
例 と処理方 法 表2 外 乱負 荷 応答検
査の結 果 認知 症 群 対照群COP
移動量 (mm 〕 COP 応答 時 問 1秒)TA
潜 時 (秒 ) RF 潜 時 〔秒冫 %IEMG Tへ〕.
50〔♪%TEMG
RFo
.
soo%IEMG TA50D
.
loo− %IEMG RF5[m
.
100u 81.
0± 39.
0 0.
43±e
.
09
0
.
15
±0
.
03
0.
18± 0ρ5 58.
O± 24、
1 58.
1 ± 42.
8 39.
8± 19.
0 44.
6± 29.
6 107、
9
± 26.
4
0
.
42
±0
.
07
0
.
15
±Q
,
02
U.
16土 0.
〔〕2 83.
6± 28.
469
,
1 土 255 64、
6土 19、
0 50.
0± 15.
6
* * *NSNSNSNSNS
* NS2
.EMG
潜 時TA
,RF
の潜 時
を表
2
に示 す
。1
替時
はTA
,
RF
とも
に,
有
意 差 は 認 め ら れ な かっ た。
3.
%IEMG
%
IEMG
の結
果 を 表2
に 示 す。
%IEMG
TA50D
.
1〔}〔)oの値
は認 知 症 群の方 が,
対 照 群 よ り も有 意に小 さい値
を示
し た(
p〈0,
05
)
。一
方
, 他の %IEMG
は有 意 差
が認
めら
れな
かっ た。
平 均*
*
*
±標 準 偏 差,
NS
:noL sigrlificallt;*’
p<0.
05 ; :p<0
.
001
.
3
) 統 計処
理外 乱応 答 負
荷検
査 結 果 に お け る5
回 分の平 均 値 につ い て,
正 規 性
の認 め ら れ た 項 目 は, 対 応の ないt
検 定
を用
い て2
群
問の比較 を行
っ た。
正 規 性 が 認め ら れ な かっ た項
LI
はMann
−Whitney
のU
検 定 を 川い て2
群 問の比 較を 行
っ た。
統 計 処 理
はSPSS
l1
.
5J
for
windows (エ ス・
ピー ’
エ ス・
エ ス社
製)
を 用いた。
有 意 水 準 は5
% 未 満 と し た。
結果
1
.
COP
移 動 量
・
応 答 時
間COP
移 動 量
とCOP
応 答
時 間の 結 果 を表
2
に示
す。
COP
移 動
量の値
は認 知 症 群
の方
が,
対 照 群 よ り も 有 意 に小
さい値
を 示し た(
p
<0,
001
)。一
.
方,COP
応 答 時 間 は,
2
群 問
に有 意 差
は認
め ら れ な かっ た。
考
察
1
.COP
移 動 量
・
応 答
時 問 につ いてCOP
移 動 量におい て,
認 知 症 群の方 が 対.
照 群 よ り も,
有 意
に小
さい値
を 示 した。
また,COP
応答 時 閲
に おい て,
2
群 問
に差
は認
め ら れ な かっ た。
し た がっ て,
外 乱刺 激
に対
し,
同様
の 時 問内
に おい て,
認 知 症 群 はCOP
を少
なく移 動
さ せ,
立位 を保 持
しよう
とし,対
.
照 群 は 大き く
COP
を移 動 さ
せ,
立位 を 保 持
し よう
と し てい た 結果
と考 え
ら れ る。
COP
移 動
量が大 き
い こ と は,一
般 的に姿 勢 制 御 能 力 が不 十 分
であ
る結 果
であ
る と考 え
ら れ てい るIs〕lf))が,
地 域在 住 高 齢 者
を 対象
に転 倒 予 防 を 目 的として 運 動 介 人 し た結 果
,
運動 機 能 向
.
.
ヒ と とも
に安 静
立位 時
のCOP
軌
跡
長 が増 加
し た報 告 もあ
るLM 2u 。 その理 山
と し て前 島
ら2D は,
運動 機 能 向
ヒに伴
い立位
時の柔 軟 性 がllrJ
上 し,
い わ ば 建築
の硬構 造
に対 す
る柔構 造
の よう
に体 節
的 な揺
ら ぎ に より身 体 動 揺
を吸 収 す
る機構
が身
につ い た結
果 で ある と 述べ て い る、
,
し た がっ て;COP
移
動 量 が 大 きい こと は,
必 ず し も姿 勢 制 御 能 力
の低
下 を示
さない と考
え認知
・
洫高山で/
の外fLl「寺に対 する姿 勢i「jl」御につ い て49
ら れ る。
本 研
究で のCOP
移 動
量,
COP
応答
1
{寺問
の結 果
を 前島
らの結果
にあて は め ると,
対 照
群 と 比較
し,
認 知
症 群の ゆ ら ぎ は 小 さ く,
な お かつ ゆ らぐ
速 さ は 遅い状 態 で体 節 的
な ゆ ら ぎで身体 動 恬
を 吸収
して いた と考
え ら れ るtt以 上の こ と か ら
,
認
知症群は,
外
乱刺
激に対
しCOP
を余 り移 動
さ せず
に,
立位
を保 持 し
ている こ とが 明
ら か と なっ た。
2
,
EMG
潜 時
につ い てTA
,
RF
の潜 時
におい て,
2
群
問に有 意
な?
は認め ら れ なか っ た。 認知
症群
は外 乱 刺 激
L
対 し,
対 照群
と同様
に,
筋 活 動 を行
っ ていた結 果
と考 え
ら れ る。
Rallkin17
〕 ら は外
乱 刺激 後
0−
500
ms 問は反 剔.
の影響
を受
け ると述
べて い る。
内
山跏も
,f
中
張 反射
, 長沿
時反 射
に続 き
,
随 意 的
な制 御 を受
け る と 述べてい る一
本 研究
において,
認 知 疔 祥 にTA
,
RF
の潜 時の遅 れ が 認め ら れな かっ た こ とか ら, 足 立 ら 13) の示 唆 し た 認 知 亦 に よ る危 険
の予測
,1.
ゴ献 し て か らの回 避 行 動
の遅 れ は ない と考 え ら れ た。
し た がっ て,
外 乱 刺 激 に 対 し,
立 位 を 保 持 する過 行で反 射の 影 響 を 受 け る 間 は,
認
知 症の影響
は受
け ない こ とが 明 らか と なっ た。
3
.
%IEMG
につ い て%
IEMG
のTXo .
5。o,
RFo
.
5。o,
に おい て2
群間
に有
意za
LL は、
,
9.
め ら れ な かっ た。
認 知拓1.
祥 は外
乱刺
激に対
し,
0500ms
問 は対
照 群 と 同拿
の筋
旬盾 動
量 を用
いて 、匠位
仇 持
し てい た と 考 え ら れ るTA
巨〔,。.
1000 に おい て, 13
.
kU 疔 鮮の 方 が,
対 撫 群 よ り有 意 に 小 さい値 を 示 し,
RF5
α).
1。〔〕o に は2
群 問 に差
が 認め ら れ な かっ た、COP
応答
日寸間 は,
而忍知 症 群
,
0.
43
±0.
09
秒 ;対 照 群,
0
.
42
±0
.
07
秒 で あっ た。
この咀 司 はCOP
が 最 も 後 方 に 移 動 し た 時 間で ある,
、
潜
時の時 問 とCOP
応答
時同
を 合 わ せ る と,
0
−
500ms
間 はCOP
が 最も後 方
に 移 動 してい る 時 閊,
500
1000ms
は後 方に移 動 したCOP
を 安 静1
{寺立 位 に昃:して い る時
間に概等
し て い る と・
じ
えられる。
したがっ て,COP
を前 方
に戻 す 過 程
に おいて,
2
群
問 にRF
の筋 霓 活
動
Pt は同等
でも
,
TA
の筋
竜 活 動 量 に おい て,
認 知 症 祥 の方
が少
ない ことが明
ら かと なっ た。
C
()P
を移 動
させ れ ば,
そ れ にイ
・
1
随
し て 足 関節
の動
きも
要求
さ れ て く る た め,
TA5
〔xl.
1〔xx〕に おいても
,
認 知ぬlf
が 対 照 群よ り小 さ い値
を示
し た こ とは,COP
移 劫
甲:が11忍犬li
症 群の方
が,
対 照 群
よりも有 意
に小
さな値 を
示 した こと と 関連
があ
る と思 われ るcRnnkin
ら17, は,
認
知 能力
が姿
勢制御
へ影 響
を 及ぼす か を 目的
に以下
の研 无
を行
っ たtt健常 若 年 者
と健 常 高 齢
煮 を対 象
に,
。忍知 課
題 とし て。1
算
II果赳を与 え
た時
と言1
算
課.
題 をワ
え な かっ た時
の,
立位 時
に おけ
る姿勢 制 御 能 力
を詞
べ る た め に トレッ ドミ ルを使
用 し,
外 乱
応答 負荷 検
査 を行
っ たそ の
結 果
とし て,
健 常 高 齢 者
は計 算 課
題 を ’j’
え ら れ た時
に,
TA
のIEMG
が.
1
.
舜
課 題 をtJ”え ら れ な かっ た時
と 比戦
し,
低
い値
を示
し た。
その環由
と して,
高 歯
II者
に :重課
題 を与
えるとそち らに7191
をlliJ
けて しま い,
結 果
と してバ ランス維 持
のた めの筋 活 動
を減
少 させ るた め だ と述
べ て い る。Rankin
らの研 究
におけ
る被 験
者
は若 年 者
で,
二甫課
題に よ る外 乱 負 荷
を与
えた時
の翻
果
であ り
,
本 研 究
の加 齢
に よ る認 知 能 力 低
下 とは異 な
る が,
本 研 究
とRankin
らの研 究
に共 通 す
る ことは,
外 乱
刺
激の予 想 が 容 易であるかどう
かと考
え ら れる。
本 研究
で は,被
駄者
に外 乱 刺 激
を ラン ダ ム に’j’
え
, い つ来
るか 予想 出 木
ないよう
に しt ,
し か し,
検 者
が被 験 者
に実
.
験
内 容 につ い て 説 明 し,
装 置E
で測定
肢 位 を 保っ てい る以L
,被
験 者 にとっ て, い つ外
乱刺 激
が 与 え ら れも
,
転
倒 す るこ と な く 立位 保 持
し よう
と準 備
し てい る状 態
で あ る。
一
方,
認 知 症 群 に とっ て,
外 乱 刺 激の予 想 が 困 薙 な 状 態であっ た と考
え ら れ る一
こ の状態
が,COP
移動
量,TAsoo.
]ooe の%IEMG
の 少 ない 結 果 につ な がっ た と考
えら れ る
。
これ をRankin
らの研 究 に お け る,
計 算 果遺 を与
え ら れ た 尚齡 者
に’i1ては め る と,
誂算
1果
題 を与
え ら れ な かっ た 時 と 比較
し,
TA
のIEMG
が 小 さい値
を示
し た こと は 当 然 と 考 え ら れる%
IEMG
が低
い こ と は,
姿 勢 制 御 能 力
に優
れてい る よ う に 思 え る。
し か し,
Laughton
ら2u/ は転 画
歴の あ る高歯
1∫古
と転
倒 歴のない高齢 者
を 対.
象
に,
安 静
立 位 時 と最
大収 縮 時
の筋 電 図
を測 定
し,
安
冂勧
:位 恥
におけ
る筋 活
動 甲の割 合 をMVC
時の舫 亀 活 動.
甲 の割 合で 除 し た 値 (以 下,
%MVC
) を 舜.
,:
li
し た。
その 結 果 と して転 倒 歴 の あ る高 齢 者
は転
倒 歴の ない 高齢
著と比 較 し,
外 乱の予
想 が 困 難 と な り,
安 諍 、ヒ
肩用 」 こおい て 外 側 広 筋の%MVC
が イ].
意 に 少 ない 値 を示 し た。
彰 倒jN
・
の ない 高 齢 者 の筋
電活 動
量の割
合 が高
い値
を示
し た 理 由 と し て,
高齢
者の感 覚 や 筋 神 経 制 御の 減 ♪ が 生 じ ている た め,
高 断者 は 筋 亀 活 動 量の割 合 を 増 加 させ て平 衡 を 保っ ている が,
医 例 歴のある高 齢 者はそ れ が 劣る と述べている。
し た がっ て
,
認知 症 群
は,
外 乱 刺 激 後
,
反射
の影響 を
大 き く受
け る 間 に おいて も,
筋 霓 活 動 景 は 対 照 群 と 同 様 であっ たし か し, その後の随
意
的 な 制御
には,TA
の筋
屯活
動 量 が 小 さい こ と が 明 ら か と なっ た。
Laughton
ら21 の 研 究 と同 様,
本 研 尤 に おい て も 外 乱のr・
想 困 蝋 が,
COP
移 動.
暈:とTA
の筋
活 動 低 下 を 引 き起
こ し た と考 え
ら れ る。
本 研 究で は
,
危
1
倹 防 止の 1ま味 か ら も 外 乱の大 き さは最小
限に と ど め た。
外 乱
が大
きく
なれ ば,
対 照群
がそれ に反 応
して 二位 保 持
が口J
能 な場 合
に おい て,
認 知 症 群
の場
含は
,
対 照群
よ りCOP
移 動 量 や %IEMG
TA5
{〕〔1.
10〔KOの50 岬学瞭法 学 第34巻
,
自2号転 倒 す
る可能 性
があ
る と考 え
ら れ る。
木
研究
で は,
。忍天口症 群
と対 照 群
の問
に活 動 性
に差
は認
め ら れな
かっ た.
し た がっ て これ らの結 呆はADL
差 による もの で は な く,
認 知 症
に起
因す
るも
ので あ る と考 え
ら れ る。
本 研 究の限 界として,
認 知 症 に よ り測 定 が 困 瞭 な 苦 は,
対象
か ら 除 外 し たし た がっ て
,
得
ら れ た 知 見 は,
軽
度 の認知
症の ものである先 行 研 究では
,
転 倒 者には 認 知 症 高 齢 者 が 多い といっ た 報 告 9且ω や.
姿 勢 制 御 能 力 が 低 下 してい る といっ た報 告
1u 却 が あ り,
そ れ らの研
究 に お け る 認知
症高
齢 者の重 症 度 と 本 研 究の対象者
との違 いは 定 かでは ない。
ま た,
対象
者の認 知 症 が さ らに帚 度 で あっ た場
合,
もっ と 異 な る知
見 を示
した か も しれ ない。
本 研 究では 安 全 管 理の面 か ら
,
与
え た外
乱 は 小 さい も のであ り,
外 乱 負 荷 応 答 検 査 時 に,
被 検 者の転 倒 は み ら れ な かっ た。
実 際
に,
も
っ と 大き
な外 乱
が 生 じう
る 日常
の場
面におい て認
創症高 崘者
は今
回の結 果
とは異
なっ た 反 応 を示
す 可能性
が あるが,
本 研
究で は示 す
ことが で き な かっ た。本
研
究に おい て、
認 知機 能
が外 乱
に対 す
る 反応へ の遅延
を引 き起
こ していな
いこ とが,
明
らか とな
っ た。ま
た,
認
川症そ の もの も運動 機 能 低
下 を引 き起
こ し てい ない こ と が 明 ら か と なっ たtt しか し,
その後
の 、些位
を保
t
,
1す
る過程
に おい て,
認矢酬
:祥
は,
外 乱
の予 想
が困 難 な状 態
が 足 圧rt.
1心 を 移動
さ せず
,
少 ない前脛 骨 筋
の活 動
量の状 態
で,
‘位 を 保 持 してい たこと が 明 らか と なっ た
。
こ の姿
勢 保 持
の過程
が,
認知
症高
跏者
の易 転 倒
を引 き起
こ して いる原 因の1
つ であると考
えら れ る。
謝 辞
:稿
を終
え る に あ たり
,
本 研 究
にご協 力
いた だいた介 些老
入保
健施
岐 あ す なろ,
介
護 老 入 保 健 施 設 桜の 団,
ケアハ ウス江 能の ス タッ フ の 方々に深 謝い た し ま す,
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sl
<Abstract>
Ability
ofPostural
Control
in
Perturbation
in
Elderly
Persons
withDementia
Nozomi
SilKiXMOTCi
RPT,
MS
Itvahuni
Mbdical
Center
Takuya
OTANI,
RPT,
MS,
Koichi
SHINKODA,
RPT,
PhD,
Hiroshi
MiXEJIMA,
RPT,
PhD,
Yoshiko
TOBIMATSI.J/,
MD
Hiroshiina
University
Graduate
Schoot
ofHealth
Sciences