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全文

(1)

  形

  大

  学

  紀

  要

  四

  巻

  第

  二

  号

︵社会科学︶

山 形 大 学 紀 要

(社会科学)

第42巻第2号

目    次

論 説

関 口 武 彦:教皇改革(二)……… 一

森   芳 三:ピューリタンのアメリカ植民とデモクラシー

        ―J・S・ミルのトクヴィル『アメリカのデモクラシー』

         (一八三五、一八四〇)へのコメント―………  四十一

砂 田 洋 志:Double Threshold GARCHモデルとその株価変化率への応用

        :ベイズ統計学を用いたパラメータ推定とモデル選択………  17

        

田 北 俊 昭・岩 間 弘 親

       :観光地における「観光情報」の発信能力の分析と評価

        ―山形県内市町村の観光ポータルサイトの事例― …………  1

平成 24 年(2012)2月

Published by

YAMAGATA UNIVERSITY, YAMAGATA, JAPAN

BULLETIN

OF

YAMAGATA UNIVERSITY

(SOCIAL SCIENCE)

Vol.42 No.2

CONTENTS

Articles

Takehiko SEKIGUCHI

:La Réforme Pontificale(Ⅱ) ……… 一

Yoshizo MORI

:J.S.Mill's On Liberty Has Superior Vitality for Improving

 the Well-Being in Today's World……… 四十一

Hiroshi SUNADA

:Double Threshold GARCH model and its Application to Individual

 Stock Price: Bayesian Estimation and Model Selection……… 17  

Toshiaki TAKITA and Hirochika IWAMA

:Analysis and Evaluation of sightseeing Information Generation : Cases of sightseeing portal site in Yamagata………  1

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観光地における「観光情報」の発信能力の分析と評価

—山形県内市町村の観光ポータルサイトの事例—

田 北 俊 昭

(山形大学人文学部法経政策学科)

岩 間 弘 親

(宮城県警察) 1.はじめに  本研究では、対象エリア内の各自治体の観光ポータルサイトの「情報コンテンツ」の整備状 況を確認した上で、各地の情報発信能力の比較検討するための方法を提案する。まずは、「観 光情報」のコンテンツの分類および定義を行ない、各項目に対して、分析対象とする観光地の 情報コンテンツの整備状況を調査する。次に、数量化Ⅲ類(分析手法については一般的ではあ るため、田中・垂水(1995)等の数量化Ⅲ類等の文献を参照のこと)を用いて、「観光情報コ ンテンツ」の充実度指標を抽出した上で、各自治体の観光情報のコンテンツを比較検討する。 今回は、対象地域を山形県内として、各市町村の観光情報発信の取り組みの市町村間の違いを 明らかにする。  日本では、観光立国(国土交通省(2009))を総合的かつ計画的に推進するため、「国土交 通省設置法等の一部を改正する法律」が2008年4月25日に成立し、2008年10月1日に国土交通 省に観光庁が設置された。「観光立国推進基本計画」の中で、5つの基本計画として、「訪日 外国人旅行者数を増やす」、「日本における国際会議の開催件数を増やす」、「日本人の国内 観光旅行による1人当たりの宿泊数を増やす」、「日本人の海外旅行者数を増やす」、「国内 における観光旅行消費額を増やす」ごとの数値目標が掲げられている。2003年4月には、2010 年の訪日外国人旅行者数を1,000万人と具体的に設定する「ビジット・ジャパン・キャンペー ン」等の計25項目の数値目標が設定され、計画対象を5年とし、3年後に見直しながら進める ものであった。このような背景の下、インターネット社会における観光情報発信はとても重要 になっており、インターネット利用は欠かせないものになりつつある。その方法についても、 電子メールや情報検索、ネットショッピングなど多岐に渡っている。携帯電話を含めた携帯情 報端末に対するコンテンツ市場(電子書籍、音楽配信、TwitterやFacebookといった情報サー ビス)の急成長に合わせ、各種情報を提供していくことが重要になっている。そこで、観光産 業振興のため、観光情報やイベント情報、店舗・施設情報、地域団体情報や各種リンク情報等 の地域別の観光ポータルサイトの評価分析を行うことは重要である。今回の分析では、分析対 象エリアを山形県とし、各自治体間の観光情報コンテンツの発信能力に対して比較検討するが、

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実際には、市町村によって「観光資源」自体の集積度は異なる。実際のところ、観光資源の集 積度により、観光入り込み数や観光消費額が異なるとはいえ、「観光情報」の発信の活発さに より、観光客数や観光消費額は左右されるであろう。つまり、観光地にとって、入り込み数や 消費額も重要ではあるが、観光推進事業にあわせて、各地の観光の情報発信能力をまずは把握 することが重要なのである。 2.評価分析方法    各地の情報発信能力を分析するために、観光ポータルサイトのコンテンツの評価分析を行う。 そのためには、「調査範囲」および「対象地域」を決定し、各種情報(「アクセス地図」・ 「観光スポット」等)が提供されているかについて、市町村間の整備状況を比較検討する必要 がある。次に、調査した情報コンテンツの整備状況のデータをもとに、数量化Ⅲ類を用いて、 固有値・固有ベクトル問題を解き、抽出されるⅠ軸とⅡ軸のカテゴリ数量・サンプル数量を求 め、観光地の情報コンテンツの「充実度指標」の解釈・評価を行っていく。 2.1  対象地域の選定と各種観光資源 について  対象地域について、まずは、 「観光」を構成する具体的な 「地域資源」として何が存在す るかについて把握する。  表1で示されるように、地域 資源として、自然観光資源、人 文観光資源、複合型観光資源が ある。自然観光資源では、山岳や原野、河川、海岸等があり、人文観光資源では、史跡や年中 行事、建造物や遊園地等があり、複合型観光資源では、歴史的景観や田園景観などがある。  分析対象となる山形県内の市町村についてその具体例を示したのが、表2である。山形市に おいては、山形城址や山寺立石寺等の観光名所や旧跡が存在し、紅花や山形牛、山形鋳物等の 特産品や名物がある。新庄市については、鳥越八幡神社、旧矢作家住宅等の観光名所や旧跡、 くじらもちや新庄東山焼等の特産品や名物が存在する。米沢市は、上杉神社や米沢城跡、米沢 牛や米沢織、鶴岡市では、致道博物館、善法寺、御殿まりや庄内竿等がある。 表1 観光資源の分類 出所:岡本(2001)

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 このような「地域資源」自体のブランド力を高めて、その魅力を伝えることは重要である。 まずは地域住民が自然や歴史・文化等に対して関心を持ち、他の地域に対して誇りを持ち発信 したいという気持ちを育むこと大切である。口コミや、様々なマスメディアやインターネット 等の情報通信手段によって、多くの人に知ってもらう必要がある。さらに進んで、観光客に旅 行サービスとしての商品情報を伝えることも重要である。魅力を高めるためのツアー企画、音 楽やミュージカルの創作、タレントの活用やユルキャラ等による情報発信など、心に訴えかけ ていくような様々な創造的なアイデアが必要なのである。今回の分析は、各観光地域の情報の 発信がどの程度行われているかを評価し、訪問地全体のブランドを金額ベースで示す評価につ いては、別の機会に譲ることにする。 表2.山形県内における地域資源の概要

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2.2  観光情報コンテンツ分類と 山形県内の整備状況  『観光情報』のコンテン ツは、「市町村案内情報」、 「店舗・観光施設情報」、「顧 客サービス情報」、「観光情 報」、「携帯電話サイト情報」、 「PR情報」、「その他情報」 の7種類に分類できる。 「市町村案内情報」につい ては、アクセス地図、観光 マ ッ プ、 連 絡 先、 モ デ ル コース、特産品案内等の 『情報』があり、「店舗・観 光施設情報」については、 店舗名、営業時間、定休日、 店舗PR、取扱商品、サー ビス情報、写真、地図、連 絡先、HPアドレス、リン ク等の『情報』がある。「顧 客サービス情報」としては、 カ ー ド 事 業、 メ ル マ ガ、 ネットクーポン、ネット ショップ、「観光情報」と しては、ホテル・旅館案内、 お土産紹介、観光スポット 等がある。「携帯電話サイ ト情報」としては、店舗情報、営業時間、最新情報、駐車場情報、イベント情報、お得情報、 地図、クーポン、お知らせ等がある。「PR情報」としては、沿革、イベント情報、フォトギャ ラリー、その他がある。「その他情報」としては、特設コーナー、協会会員情報、BBS、外 部サイトリンク等がある。そこで、山形県内の市町村の観光ポータルサイトにおける情報コン テンツの整備状況を示したのが、表4である。ここでは、各観光ポータルサイトを調査し、コ 表3.観光情報コンテンツの分類 (1)市町村案内情報 (2)店舗・観光施設情報 (3)顧客サービス情報 (4)観光情報 (5)携帯電話サイト情報 (6)PR情報 (7)その他情報

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ンテンツの整備状況を確認し、コンテンツの有無を1と0で表記している。  調査対象地域である山形県内市町村の数は35市町村であるが、観光に関する情報コンテンツ を持たない自治体が1件あるため、調査対象観光ポータルサイト数は34市町村となる。自治体 ないし観光協会で観光ポータルサイトは開設していないが、行政サイト内に観光カテゴリを作 成し、観光情報発信を行っている自治体が10件あるが、本研究では調査対象に含めている。市 表4.調査対象の観光情報コンテンツ整備状況 ア ク セ ス 地 図 観 光 マ ッ プ 連 絡 先 モ デ ル コ ー ス 特 産 品 案 内 店 舗 名 営 業 時 間 定 休 日 店 舗 P R 取 扱 い 商 品 サ ー ビ ス 情 報 写 真 地 図 連 絡 先 H P ア ド レ ス リ ン ク カ ー ド 事 業 メ ル マ ガ ネ ッ ト ク ー ポ ン ネ ッ ト シ ョ ッ プ ホ テ ル ・ 旅 館 案 内 お 土 産 紹 介 観 光 ス ポ ッ ト 店 舗 情 報 営 業 時 間 最 新 情 報 駐 車 場 情 報 イ ベ ン ト 情 報 お 得 情 報 地 図 ク ー ポ ン お 知 ら せ 沿 革 イ ベ ン ト 情 報 フ ォ ト ギ ャ ラ リ ー そ の 他 特 設 コ ー ナ ー 協 会 会 員 情 報 B B S 外 部 サ イ ト リ ン ク 市町村案内情報 店舗・観光施設情報 顧客サービス情報 観光情報 携帯電話サイト情報 PR情報 その他情報 計

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町村案内情報の中で特に掲載が多いのは、連絡先を除くと、アクセス情報である。アクセス情 報は30件、88%と多くのサイトに掲載されている。さらに特産品案内のコンテンツも28件、 82%と多くのサイトが有している。 (1)店舗・施設情報  「店舗・施設情報」としては、観光地内の店舗を名称入りで個別紹介しているサイトは28件 の82%である。そのうち、22件のサイトでは写真や画像を使って店舗(商品)・施設を紹介し ている。店舗・施設側からのPR文や紹介文を掲載し紹介しているサイトは22件中15件であっ た。店舗・施設のHPアドレスを載せているサイトは6件、17%と少なかった。アドレスを載 せて紹介しているサイトは、全てアドレスに直接リンクを貼り付けており、HPアドレスとリ ンクのコンテンツ数は同じとなっている。 (2) 顧客サービス情報  「顧客サービス情報」では、最も多いコンテンツは、ネットショップの3件となっていて、 数は絶対的に少なくなっている。HPアドレスのリンクが6件と少なかった所からも併せて考 えると、全体的に紹介のみに留まっていて、その先の店舗・施設へのリンクやネットショップ での購買といった要素に結びつけていない傾向が見られる。ネットショップを掲載していた観 光ポータルサイトは、将棋駒をはじめとして特産品を販売する天童市、地域のお土産品を販売 する東根市、該当する特産品をクリックすると商品を販売している店舗のネットショップペー ジへ直接リンクすることができる長井市の3件であった。 (3) 観光情報  「観光情報」としては、観光情報カテゴリの中では比較的掲載しているサイトが少ないお土 産情報で24件、70%、観光スポット紹介のコンテンツに限っては34件すべてのサイトがコンテ ンツを掲載している。観光誘致の大きい要素となることが考えられるホテル・旅館案内は26件、 76%のサイトが掲載していた。 (4)携帯電話サイト情報  「携帯電話サイト情報」については、携帯電話に対応しているサイトを有している自治体は 9件で、どれもパソコン用ウェブサイトの簡易版となっている。他の25件は携帯サイトでは公 から発信する観光情報は確認することができないという状況だった。携帯サイト9件のうち、 店舗・施設情報といった詳しい観光情報まで掲載しているのは5件あったが、携帯サイトのコ ンテンツは全てが文章のみで構築されていて、画像や写真を使ったコンテンツはなかった。 (5)PR情報  「PR情報」に関しては、季節の祭りやイベントの時期を掲載するイベント情報が29件、 85%で最も多く、次に観光地の最新情報を順次掲載していくお知らせが25件、74%と多く設置 されていた。自治体の歴史的背景を掲載する沿革が10件、30%となっている。フォトギャラ

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リーは5件、15%あるが、西川町のみ写真を壁紙としてダウンロードできるという試みを行っ ていた。カテゴリ化できないその他のコンテンツを有しているサイトは3件あり、米沢市が上 杉神社のWEBカメラのコンテンツ、小国町が周辺道路の路面状況のWEBカメラと郷土料理 レシピのコンテンツ、最上町が職員によるブログコンテンツを設置していた。常設ではない、 一時的コンテンツの特設コーナーを設置しているサイトは6件あったが、そのうち4件がNH K大河ドラマ「天地人」に関してであり、2件がアカデ ミー賞受賞映画「おくりびと」に関してであった。 (6)その他情報  「その他情報」に関しては、運営する観光協会に関する 情報や会員情報に関して掲載する協会会員情報を載せるサ イトが11件、関係サイトへの外部リンクを掲載しているサ イトが11件であった。 2.3 『観光情報』のコンテンツ整備の度合いからみた     充実度指標の抽出  『観光情報』のコンテンツの整備の状況を把握するため に、数量化Ⅲ類を用いる。「観光コンテンツ」の県内市町 村の整備状況の平成22年1月調査に基づき、掲載されてい るコンテンツとその嗜好パターンについての実態について 把握を行う。 (1)固有値・固有ベクトル  表4の県内市町村の「観光コンテンツ」の整備状況デー タを用いて、固有値問題を解き、固有値・固有ベクトルを 導きだし、抽出されたⅠ軸とⅡ軸のカテゴリ数量・サンプ ル数量を求め、得られた各地の充実度指標の解釈・評価を 行う。固有値は最も大きい1を除き、2つの固有値0.1857、 0.1315を得ることができた。これら2つの固有値から固有 ベクトルを求めると、表5のようになった。  (2)観光地の「情報コンテンツ」の各指標からみた情報    の充実度  調査した観光情報コンテンツ整備状況のデータから導き 出した固有値・固有ベクトルを用いてカテゴリ数量・サン プル数量を求め、それぞれ解釈していく。その結果は表6、 表5.固有値・固有ベクトル 固有値 0.1857 0.1315 t1 -0.1891 -0.1085 t2 -0.2815 -0.1506 t3 -0.1508 -0.0655 t4 -0.0194 -0.1905 t5 -0.1032 0.0314 t6 -0.0388 -0.0559 t7 0.1303 -0.0283 t8 0.1060 -0.0358 t9 0.0081 -0.0478 t10 -0.0277 0.0915 t11 0.1344 -0.3885 t12 -0.0713 -0.0069 t13 -0.0341 0.0026 t14 -0.0110 -0.0378 t15 0.2064 0.3376 t16 0.2064 0.3376 t17 -0.0259 -0.0643 t18 0.0824 0.1828 t19 0.1790 0.1814 t20 0.0164 0.0277 t21 -0.1452 -0.0321 t22 -0.0325 0.1066 t23 -0.1508 -0.0655 t24 0.3685 -0.1553 t25 0.1587 -0.3479 t26 0.2934 0.0117 t27 -0.1239 -0.0031 t28 0.2724 0.0325 t29 0.1489 0.1930 t30 0.2716 -0.2298 t31 0.2716 -0.2298 t32 -0.0761 0.0845 t33 0.1926 0.1010 t34 -0.0531 -0.0106 t35 -0.0605 0.1166 t36 0.1120 0.0907 t37 0.2347 -0.1445 t38 -0.0048 0.2897 t39 -0.0513 0.0112 t40 0.0167 0.0798

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表7のようになった。固有値が0.1857のカテゴリ数量・サンプル数量を示すⅠ軸、固有値が0. 1315のカテゴリ数量・サンプル数量を示すⅡ軸から構成される。カテゴリ数量を数値が高い順 番に並び替えると表8のようになる。 (a)カテゴリ数量Ⅰ軸の解釈  カテゴリ数量のⅠ軸を見ると、上位には、手軽にどこからでも確認できる「携帯サイト情 報」や、クーポン情報のコンテンツが多く見られることから「ユビキタス」性が強いといえる。 つまりⅠ軸においてはカテゴリ数量が大きいほど、観光地に行く移動中や観光地の移動、モバ イル端末などによって検索できるような観光地情報であり、観光行動をより充実させるコンテ 表6.カテゴリ数量 表7.サンプル数量

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ンツである。カテゴリ数量が小さけれ ば、観光の計画段階である自宅など の固定的な場所から観光地の情報を 探すような基本的な情報コンテンツ である。基本情報である観光マップ やホテル・旅館案内、アクセス地図 は、観光中に検索するのでなく、事 前に調査する計画段階の情報コンテ ンツであるといえる。 (b)カテゴリ数量Ⅱ軸の解釈   Ⅱ 軸 を 見 る と 、 数 値 が 高 い ほ ど 「マルチメディア」性が強いコンテ ンツの傾向があるといえる。上位に リンク・HPアドレス・メルマガな ど、観光地紹介に観光ポータルサイ トの特性であるウェブページ独特の 機能をうまく組み合わせたコンテン ツ や 、 フ ォ ト ギ ャ ラ リ ー ・ 画 像 を 伴った歴史的沿革など文章・画像を ミックスしたコンテンツなどの、単 一 的 な 観 光 地 紹 介 に 留 ま ら な い 、 様々な種類の情報を組み合わせたコ ンテンツが多くある。逆に下位には 携帯コンテンツが多く並んでいる。モバイル端末からも情報を検索できるという意味では先進 性を持つコンテンツであると考えられるが、中身の方に目を向けると携帯サイトはほとんどが PCサイトの簡易版であり、ほとんどが文章でのみで構成されているため、上位のコンテンツ とは逆に画像やリンクなどのウェブページ機能の組み合わせを活かせていないことが数値の低 い要因と考えられる。また、サンプル数量を数値順に並び替えると表9のようになる。 (c)サンプル数量Ⅰ軸の解釈  サンプル数量のⅠ軸を見ると、全体的に「市」が上位にあり、「町」・「村」の順に下位に 分布する傾向があることがわかる。前述したようにカテゴリ数量のⅠ軸の値は「ユビキタス」 性であると考えられるため、「町」や「村」よりもより大きい自治体である「市」の方が比較 的上位にあるということは、自治体としての規模が大きいほど、ユビキタス性、つまりは情報 表8.数値順に並び替えたカテゴリ数量

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をよりいつでもどこでも手軽に観光客に提 供できる先進性を重視する傾向がある。 (d)サンプル数量Ⅱ軸の解釈   Ⅱ軸の数値は前述したように「マルチメ ディア」性という「文字」・「画像」・「音声」 を使用した様々な「情報」の利用度に関し ての数値である。やはり「村」は数値が低 い傾向にあるものの、Ⅰ軸と比べては自治 体の規模に関わらず「市」・「町」・「村」が 分布している。マルチメディア性が強いコ ンテンツというのは、いかに情報をうまく 組み合わせてコンテンツを作成するかで あり、いわば各自治体の創意工夫によって 影響されるものであるため、Ⅰ軸のユビキ タス性という技術の先進性に関係するも のと比べて、自治体の規模などには左右さ れていないのだと捉えられる。自治体の規 模としては大きい山形市がⅡ軸において 特に数値が低いのは、山形市の観光ポータ ルサイトは紹介する観光資源・観光施設は 多いものの、その数が多いゆえに一つ一つ の情報は文章だけで構成されていて画像・リンクといった情報が存在しないなど、マルチメディ ア性には乏しいコンテンツとなっていることが要因になっている。 3.観光地別の『観光情報』のコンテンツの充実度に関する総合評価  ここでは、表8と表9の2種類のカテゴリ数量・サンプル数量の関係について、それぞれ散 布図を描いて、各地の情報コンテンツの充実度の比較検討を行う。これらの図は、図1と図2 である。 (1)カテゴリ数量における散布図の解釈  前述したように、Ⅰ軸は「ユビキタス性」を表す充実度指標であり、Ⅱ軸はコンテンツの 「マルチメディア性」を表す充実度指標である。全体的な傾向として、観光地の紹介に関する 基本的な情報コンテンツはⅠ軸・Ⅱ軸ともに0に近い数値がほとんどであり、基本的情報はユ 表9.数値順に並び替えたサンプル数量

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ビキタス情報としてもマルチメディア情報として良くも悪くも特色を持たない普遍的情報コン テンツであることを示している。散布図の中で顕著な数値を示しているものとしては、Ⅰ軸の 数値は大きいがⅡ軸の数値が極めて小さい携帯コンテンツである。これは携帯コンテンツが携 帯電話などのモバイル端末によって検索される情報であるため、ユビキタス性は高いが、観光 ポータルサイトの簡易版であるゆえに、コンテンツの中身は文章だけの単一的な情報でありマ ルチメディア性に欠けているという特徴を表している。ネットクーポン・HPアドレス・リン クなどはⅠ軸・Ⅱ軸ともに高い数値を出している。ネットクーポンなどは携帯コンテンツでは ないことから、一見するとⅠ軸の値が高いことには違和感を覚えるが、計画段階より後に移動 中や観光地現地でより詳しい情報を知るために検索されることが多い情報と捉えると、Ⅰ軸の 値が高いことも納得できる。フォトギャラリーやその他といったコンテンツは解像度の高い画 像やWEBカメラを使ったコンテンツであるためにマルチメディア性は高いが、そのコンテン 図1.カテゴリー数量に関する散布図 高い 低い 高い 低い マルチメディア性 ユビキタス性

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ツを現段階ではモバイル端末で掲載するのは難であるという意味で、Ⅱ軸が比較的高めになっ ているといえる。 (2)サンプル数量における散布図の解釈  全体としては左下から右上にかけて県内の市町村が分布している。傾向としては一軸・Ⅱ軸 がともに高い右上に「市」が、そこから左下にかけて「町」・「村」が多くなっていく傾向に あることがわかる。このことから市町村の規模が大きいほど、観光ポータルサイトのコンテン ツ内容は充実している傾向があると言える。散布図の中で、特に数値が際立っているのは「山 形市」である。山形市は観光ポータルサイトの携帯版も設けていることから、Ⅰ軸のユビキタ ス性については高い数値を示しているが、Ⅱ軸のマルチメディア性については極めて低い数値 である。これは、山形市の観光ポータルサイトが、自治体の規模ゆえに特に多くの観光資源・ 施設を掲載していることが要因となっていると考えられる。山形市の観光ポータルサイトの場 合、掲載されている店舗・施設数は多いがその店舗・施設の紹介が文章だけであり画像やリン クなどを交えていない点、フォトギャラリーやその他コンテンツといった画像や文章を組み合 わせたコンテンツが存在しない点から、マルチメディア情報の値であるⅡ軸の数値が低くなっ ていると捉えられる。Ⅰ軸・Ⅱ軸の値がともに高い市町村としては「米沢市」・「高畠町」・ 「東根市」・「酒田市」・「飯豊町」が挙げられる。この5つの市町村は観光ポータルサイト のモバイル版を運営していることや、PCサイト上で紹介する店舗・施設のHPアドレス・リ ンクを設置しているなど、単一的な情報の発信に留まらないコンテンツを設置していることか らⅠ軸・Ⅱ軸ともに高い数値を出している。特に「高畠町」・「飯豊町」はⅠ軸ないしⅡ軸の 数値が高い自治体は「市」が多い傾向にある中で、「町」でありながらⅠ軸・Ⅱ軸ともに高い 数値を出している点で非常に全体の中でも際立っている。この「山形市」や「高畠町」・「飯 豊町」のように市町村の規模に左右されない数値を持つ自治体が出てくるのは、観光ポータル サイトが持つ「インターネット上の観光情報発信」という特徴が反映していることが考えられ る。チラシやマスメディアを使った広告とは違って、インターネット上での情報発信には費用 が比較的コストがかからず、情報発信が手軽であるという特徴がある。つまり観光ポータルサ イト上では、発信する情報の内容が市町村の規模によって差が生じないという要素が生じる。 規模が大きい市町村であれば観光ポータルサイト上で発信する情報量も多くなり、コンテンツ も充実する傾向にあると思われるが、規模が比較的小さい市町村であっても、Ⅱ軸のマルチメ ディア性のように、情報の組み合わせによってコンテンツを充実させることが十分可能である。 観光ポータルサイトが持つ、コンテンツの充実度が自治体の規模に左右されないという特徴が 反映した結果が、「山形市」「高畠町」「飯豊町」の数値であると考えられる。

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図2.サンプル数量に関する散布図 高い 低い 高い 低い マルチメディア性 ユビキタス性

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4.おわりに  対象地域を山形県内市町村に定め、対象地域の観光ポータルサイトのコンテンツの整備状況 を調査・把握したうえで、固有値問題を解き各種充実度指標を解釈・分析した。分析の結果、 以下のようなことがわかった。 (1)分析対象ごとの嗜好パターンを見ると、観光スポットの紹介、アクセス地図といった観 光に関する基本的な情報は多くのサイトが掲載している。しかしフォトギャラリーやモデル コースといった、基本的情報を組み合わせて形成される応用的な情報コンテンツに関しては、 設置している市町村は非常に少なく、応用的な情報発信といえる携帯サイトを作成している市 町村も少ないため、多くの市町村が基本的な観光情報の発信に終始していると言える。  (2)分析対象の整備状況から固有値問題を解き、カテゴリ数量・サンプル数量のⅠ軸・Ⅱ 軸を求めて充実度指標を得た結果、Ⅰ軸の数値が高ければ、移動中もしくは観光地その場で情 報を検索し、観光を充実させるための情報サービスとして役立つような「ユビキタス性」が高 いコンテンツであるという解釈が得られた。Ⅱ軸の数値に対しては、数値が高いほど、ウェブ ページ独特の機能を利用したコンテンツや、文章と画像を組み合わせたコンテンツなどの、単 一的な情報発信に留まらない、様々な種類の情報を組み合わせた「マルチメディア性」が高い という解釈が得られた。  (3)得られた充実度指標を用いて対象市町村を評価した結果、全体の傾向としては、Ⅰ 軸・Ⅱ軸の数値が高いものには「市」が多く、数値が下がっていくにつれて「町」や「村」が 多くなっていくという結果となった。しかし、山形市のようにⅡ軸の値が極めて少ない市もあ れば、「高畠町」・「飯豊町」のように「町」であってもⅠ軸・Ⅱ軸の数値が高い町もあるな ど、市町村によって特色があるという傾向も出ている。これは観光ポータルサイトにおける情 報発信が自治体の規模だけによって左右されるものではなく、サイトを運営する側の創意工夫 によっても大きく違いが出る特徴を持つということが反映された結果であると考えられる。  田北および岩間は共同研究を行っており、田北が、観光情報の評価プロジェクトの全体の総 括と分析手法の提案、分析結果の整理および解釈を行った。岩間は、データの計算、結果の整 理を中心に行った。 参考文献 国土交通省(2009):平成21年度版『観光白書』 岡本伸之(2001):『観光学入門』,有斐閣アルマ 田中豊・垂水共之(1995),「数量化Ⅲ類」,統計解析ハンドブック『多変量解析』,共立出版社

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Analysis and Evaluation of sightseeing Information Generation

: Cases of sightseeing portal site in Yamagata

Toshiaki TAKITA

(Yamagata Univercity)

and

Hirochika IWAMA

(Miyagi Prefectural Police Department)

This paper proposes one way of analyzing and evaluating sightseeing information based on portal sites among various regions. First, we define specific items to characterize sightseeing information. Second, using Hayashi's quantification methods III, we evaluate the sightseeing information power from each city, town and village in Yamagata. Finally,we can make the conclusion that Takahata-town and Yonezawa-city each have excellent sightseeing portal sites.

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Double Threshold GARCHモデルとその株価変化率への応用

:ベイズ統計学を用いたパラメータ推定とモデル選択

砂 田 洋 志

(人文学部法経政策学科) 1.はじめに  定常時系列モデルは、線形モデルと非線形モデルに大別することができる。刈屋=照井 (1997)によれば、非線形モデルの中には、GARCHモデル、閾値自己回帰モデル(Threshold Auto Regressiveモデル、以後はTARモデルと略記する)を始めとする多様なモデルが含まれ ている。  非線形モデルの中でもGARCHモデルが実証分析に広く利用されているのに対して、TARモ デルはこれまでGARCHモデルほど利用されてこなかったと言えよう。特にTARモデルと GARCHモデルを組み合せたDouble Threshold GARCHモデル(以後はDT-GARCHモデルと 略記する)を適用した例はChen et.al.(2003)、Chen et.al.(2005)、Chen et.al.(2006)、So et.al.(2007)が挙げられるが、まだ多くない。  Chen et.al.(2006)など、日本の株式市場にDT-GARCHモデルを適用した先行研究では株 価指数を対象としていた。そこで本論文では日本市場に上場されている個別株式を対象として DT-GARCHモデルを適用した。本論文では、DT-GARCHモデルのパラメータを推定するだけ でなく、その株価変化率に誤差項がI.I.D.の正規分布に従う自己回帰モデル(以後はARモデル と略記する)、TARモデルも適用して、何れの閾値モデルが最もよく当てはまるかを明らか にする。こうした作業を通じて、DT-GARCHモデルを紹介することが本論文の目的である。  TARモデルの推定といっても、同モデルは自己回帰のラグ数kや以下で説明する遅れ変数d の違いによって異なるモデルに分かれる。たとえば、自己回帰のラグ数kを4とするならば、 k≦dの場合は10種類のモデルが考えられる。また、DT-GARCHモデルではGARCH過程の次数 pとqによってさらに分かれる。本論文ではこれらのモデルについて複数のモデルを推定し、そ の中からデータの特徴を最もよく表すモデルを選択する。モデルの選択に当たっては、伝統的 な統計学に基づいてパラメータを推定したいならば、AICなどの指標を用いてモデル選択する。 一方、ベイズ統計学の立場からパラメータを推定したいならば、DIC(Deviance Information Criterion)や周辺尤度によって選択することが考えられる。1)ベイズ統計学を用いてパラ メータを推定する本論文では計算の容易なDICを用いる。 1) Chib(1995)にはギブズ・サンプリング法を用いてパラメータを推定した場合の周辺尤度の計算方法、そしてChib and Jeliazkov(2001)にはメトロポリス=ヘイスティング法を推定した場合の周辺尤度の計算方法が記述されている。

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 データにTARモデルやDT-GARCHモデルを適用する前に、データがTARモデルに従うのか、 ARモデルに従うのかを確認する必要があろう。伝統的な統計学の立場から、TARモデルを対 立仮説とする検定として、Petruccelli=Davies(1986)とTsay(1989)等がある。さらにTAR モデルと似たモデルであるSmooth Transition Auto Regressiveモデル(以後はSTARモデルと 略記する)を適用する場合はSTARモデルを対立仮説とする検定としてGranger=Terasvirta (1994)がある。  本論文では、株価データに対してTsay(1989)を用いた検定を行った後で、ARモデル、 TARモデル、DT-GARCHモデルを候補に挙げてベイズ推定する。その上で最適と考えられる モデルをDICによって選択する。  現実の経済データにTARモデル、あるいはSTARモデルを適用した研究を紹介しよう。 Kräger=Kugler(1993)は5ヶ国の対米為替レートにTARモデルを適用している。 Clements=Krolzig(1998)、Potter(1995)は標本理論の立場から、Koop=Potter(1999)、 同(2000)はベイジアンの立場から米国のGDPや英国の生産指数にTARモデルを適用してい る。Koop=Potter(1999)、同(2000)ではさらに、他の時系列モデルとの間でベイズ統計学 の立場からモデル選択を行っている。Koop=Potter(2000)には、フラットに近い事前分布を 仮定した場合、線形モデルが選択されやすいと記述されている。刈屋=照井(1997)は伝統的 な統計学の立場から株価変化率にTARモデルを適用して、推定結果を議論している。さらに OECDに加盟する6ヶ国のGDPとアメリカのGNPについては、ベイズ統計学に基づいて予測 を行っている。  TARモデルと似たモデルであるSTARモデルを用いた株価の実証研究として、Sarantis (2001)がある。同論文ではG7に属する国々の株価指数の対前年変化率の月次データに対し て伝統的な統計学に基づいてSTARモデルを適用している。パラメータ推定に加えて、相互依 存関係の検証や予測力の比較などを行っている。Sarantis(1999)は欧米日の10ヶ国の実質実 効為替レートにSTARモデルを適用して、同様の分析をしている。Michael=Nobay=Peel (1997)は英米独仏の4ヶ国間の為替レートにExponential STARモデルを適用し、購買力平 価説の妥当性を検証している。またWago(2004)では円・ドル為替レート、円・バーツ為替 レート、円・ルピア為替レートに平滑推移GARCHモデルを適用してパラメータをベイズ推定 している。平滑推移GARCHモデルとは誤差項の条件付き分散にGARCH過程を仮定し、 GARCHモデルのパラメータが滑らかに変化するモデルである。  Brooks(2001)はLi=Li(1996)のDT-ARCHモデルをDT-GARCHモデルへ拡張し、フラン =マルクの為替レートへ応用した。モデルの推定には最尤法が用いられている。Chen et. al.(2003)では日本、カナダと欧州4ヶ国の株価指数に対して米国の株価指数の変化率を閾値 としたDT-GARCHモデルを適用している。この分析を通じて米国の株式市場の変化の仕方に

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よって、分析対象となった国々の株式市場が非対称な影響を受けていることが分かった。 Chen et.al.(2005)では台湾とG7諸国の合計8ヶ国の株価指数に対して通常のGARCHモデル とDT-GARCHモデルを当てはめ、リバーシブル・ジャンプMCMC(RJ-MCMC)でパラメー タを推定すると共にモデル選択を行った。Chen et.al.(2006)では日本、オーストラリア、カ ナダと欧州4ヶ国の合計7ヶ国の株価指数を対象にDT-GARCH、DTX-GARCH、GJR-GARCHの各モデルを適用して、RJ-MCMCでパラメータを推定すると共にモデル選択を行っ た。So et.al.(2007)では台湾、タイ、韓国、フランス、英国の株価指数の変化率にさまざまな DT-GARCHモデルを応用している。それらのモデルでは、自国あるいは米国の株価変化率や 出来高を単独あるいは組み合わせて閾値として組み込んでいる。DT-GARCHモデルが適切な モデルとして選択されること、閾値が7ヶ国で負値として推定されることが明らかにされた。 Yang=Chang(2007)は通貨を取り入れたDT-GARCHモデルを用いて株式市場を分析している。  本論文では、誤差項にGARCH過程を仮定したTARモデルであるDT-GARCHモデルを個 別株式の株価変化率に適用する。GARCH過程を仮定したこのモデルは、金融データが備えて いる以下の性質を捉えるのに有効であると考えられている。第1に裾の厚い分布であること、 第2にボラティリティー・クラスタリングという性質を有することである。これはボラティリ ティーが大きいときは大きいことが継続し、小さいときは小さいことが継続することを言う。  本論文の構成であるが、第2節では分析するモデルの説明を行う。第3節ではパラメータを ベイズ推定する方法を説明する。第4節では分析対象である株価データの非線形性をTsay (1989)のF検定によって確認するとともに、定常性をADF検定により確認する。第5節にお いて各モデルのパラメータをベイズ推定すると共に、DICを計算してモデル選択を行う。最後 の第6節において、推定結果を紹介して最終的なモデル選択を行うとともに、選択されたモデ ルに経済的な解釈を与える。 2.モデルの紹介  以下に本論文において扱うモデルを整理しておこう。   モデル1:誤差項に独立かつ同一の正規分布を仮定した自己回帰モデル   モデル2:誤差項に正規分布を仮定したTARモデル   モデル3:誤差項にGARCH過程を仮定したTARモデル  上記の3つのモデルのパラメータを比較する。上述した3つのモデルを数式で記述してみよ う。まず、モデル1(ARモデル)は、 Y=Xb+ut   ut~N(0,σ2)           …(1) である。ARモデルを行列表記する際に用いるYとXであるが、

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 Y=    、X=

とする。

 次にモデル2(TARモデル)では状態の変化を考えるので、いくつの状態を考えるかに よってモデルは異なる。最も単純なのは2つの状態しか考えない場合である。それを数式で記 述すれば以下の通りである。本論文では状態が2つの場合のみを扱う。

 yt=b0(1)+b1(1)yt-1+…+bk1(1)yt-k1+u(1)t  u(1)t~N(0,σ(1)2 )  yt-d ≦r      …(2)

 yt=b0(2)+b1(2)yt-1+…+bk2(2)yt-k2+u(2)t  u(2)t~N(0,σ(2)2 )   r< yt-d  つまり、d期前の値が属する範囲によってt期のモデルが変わるのである。(2)がTARモデル の基本形である。本論文では、自己回帰部分のラグ数は2つの状態で共通と仮定する(k1=k2)。 このことは以下のモデル3でも仮定する。  モデル3(DT-GARCHモデル)は、誤差項の条件付き分散がGARCH過程に従うTARモデ ルである。数式で示せば、以下の通りである。 yt=b0(1)+b1(1)yt-1+…+bk1(1)yt-k1+u(1)t  u(1)t|It-1~N(0,ht(1) )  yt-d ≦r ht(1) =a0(1) +a1(1) u2t-1 +a2(1) ht-1(1)       …(3) yt=b0(2)+b1(2)yt-1+…+bk2(2)yt-k2+u(2)t  u(2)t|It-1~N(0, ht(2))   r< yt-d ht(2) =a0(2) +a1(2) u2t-1 +a2(2) ht-1(2)

ただし、本論文ではp=q=1に限定して推定する。Double Threshold GARCHモデルという名 は閾値によってARモデルとGARCH過程の2つが同時に変更するからである。 3.パラメータ推定  本論文では、上述した3つのモデルのそれぞれについてベイズ統計学の立場からパラメータ 推定する。誤差項が正規分布に従うARモデルはギブズ・サンプリング法、誤差項が正規分布 に従うTARモデルはギブズ・サンプリング法とM=H法で推定する。誤差項の条件付き分散が GARCH過程に従うDT-GARCHモデルはM=H法で推定する。以下で各モデルのパラメータを 推定するに当たって必要なフルコンディショナルな事後分布と提案分布を紹介しよう。 3.1 誤差項が正規分布に従う自己回帰モデルのサンプリング (1)で記述されるモデル1のパラメータはbとσ2であり、事前分布をb|σ2~N(b 02A-1)とσ2~ IG(ν0/2, ν0λ0/2)とする。bとσ2のフルコンディショナルな事後分布はそれぞれ、以下の通りである。 yk+1 yk+2yn-1 yn 1  yk   yk-1 …  y1 1  yk+1  yk  …  y2 …  …  …  …  … 1  yn-2  yn-3  … yn-k-1 1  yn-1  yn-2 … yn-k

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2) Enders(2004)に従っている。  f (b|σ2,y)~N

(

(X' X+A)-1(X' Xb+Ab

0),σ2(X' X+A)-1

)

 f (σ2|b,y)~IG , 、 ただし 、λ=λ0v0 +(b-b0)A-1(b-b0)+(y-Xb)'(y-Xb)、v=v0+n+k+1、b=(X' X )-1X'yである。 3.2 誤差項が正規分布に従うTARモデルのサンプリング  状態が2個のTARモデルの推定では2つの自己回帰モデルのパラメータ推定をすることに なる。状態1に対応する同モデルのパラメータをb(1)、σ (1)2と記述し、状態2に対応するパラ メータをb(2)、σ (2)2と記述する。  b(1)、b(2)、σ (1)2、σ(2)2のサンプリングは3.1のARモデルの場合を参考にされたい。本小節では TARモデル固有のパラメータである閾値rのサンプリングと遅れ変数dの選択だけを説明する こととする。  閾値rのサンプリングにあたり、rの候補は以下のように生成する。つまりランダムウォー ク・サンプリング法を用いる。  rt=rt-1t     εt~N(0,σε2) そしてrtを用いて計算した事後密度と、rt-1を用いて計算した事後密度を計算してその比をとっ たものが、採択確率になる。閾値のサンプリングは、その上限と下限を全データの85%点と 15%点に設定した上で行っている。2)  自己回帰のラグ数kと遅れ変数dを(k=1,d=1), (k=2,d=1),…と置いた上でパラメータを推定し、 DICを計算する。計算されたDICの大きさによってkとdを選択する。つまり最適なTARモデル を選択する。 3.3 DT-GARCHモデルのサンプリング  DT-GARCHモデルは、誤差項の条件付き分散がGARCH過程に従う自己回帰モデルに閾値 を組み込んだモデルである。TARモデルの場合は、閾値の推定以外は通常の自己回帰モデル の推定方法をそのまま援用できるが、DT-GARCHモデルには援用できない。モデルが複雑化 しているので、自己回帰モデル部分の回帰係数ですらフルコンデョショナルな事後分布を導出 できない。そこで、閾値、回帰係数とGARCH過程の係数をM=H法で推定する。特に閾値と GARCH過程の係数はM=H法の中のランダム・ウォーク・サンプリング法でベイズ推定する。 ˆ ˜ ˜ v 2˜ λ2 ˜ ˆ

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4.データの説明 4.1 株価データ  本論文では、データとして株価の週次データから計算された変化率データを用いる。日次 データよりも価格変動が大きいのではないかと考えて週次データを利用した。標本期間は1996 年1月~2005年6月である。日経225種平均株価指数に採用されている銘柄の中から三井不動 産のデータを選んで分析した。その理由は、(1)異常値がないと思われること、(2)TARモデ ルを扱うので、価格変化率のデータについて一階の自己相関を調べて有意に0でないこと、 (3)以下に説明する非線形性の検定が有意であること、の3点を満たしているからである。  図1に三井不動産の株価の推移、そして図2に同データの変化率の推移を示しておこう。東 洋経済新報社の株価CD-ROM 2007をデータとして利用した。 図1:三井不動産の株価の推移(円) 図2:三井不動産の株価の変化率の推移(%)

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4.2 Tsay(1989)のF検定  状態が2つのTARモデルを対立仮説、同じラグ次数のARモデルを帰無仮説とするTsay (1989)のF検定を用いて、三井不動産の株価変化率にとってTARモデルとARモデルの何れ が適当であるのかを検定する。週次データを利用しているので、ラグ次数は7まで考慮すれば 十分である。したがって検定したモデルは28種類である。  表1に示す通り、変化率データの中で、有意水準1%で帰無仮説が棄却され、TARモデル が適切と考えられたモデルは7種類であった。ADF検定を行った結果、この変化率には単位根 が存在しないことが明らかとなった。 5.パラメータのベイズ推定とDICの計算   本論文では、1996年1月~2005年6月の三井不動産の週次データから計算された変化率デー タに対してモデル1からモデル3を適用する。 5.1 ARモデルのベイズ推定  第3節で紹介したような推定方法を用いて、自己回帰モデルのパラメータをベイズ推定する。 推定に当たって事前分布を決める必要がある。最小二乗推定値、あるいはフラットな事前分布 でベイズ推定した値を参考にして、事前分布を決定した。  b|σ2の事前分布としては、最小二乗推定値を利用してb|σ2~N

(

b,σ2(X' X)-1

)

とした。ただし、共 分散は0とした。σ2の事前分布としては逆ガンマ分布 IG     を考え、フラットな事前分 布でベイズ推定した値に逆ガンマ分布の平均が大よそ一致するようにハイパー・パラメータを 決めた。サンプリングに当たっては、最初の1万回を捨てて、1万1回から2万回のサンプリ ング結果を利用して推定を行った。対数尤度、AICとDICの値を以下の表2にまとめておこう。 表1:非線形性の検定結果(大きな値のモデルのみ抜粋)

モデル TAR(1,1) TAR(2,1) TAR(3,1) TAR(4,1) TAR(5,1) TAR(6,1) TAR(7,1) F値 7.763** 6.113** 4.628** 3.836** 3.674** 3.346** 2.991** 注:**印は有意水準1%で帰無仮説(ARモデル)が棄却されることを示す。 ˆ v0 2 ,v 20λ0 表2:自己回帰モデルの対数尤度,AIC,DIC(三井不動産)

AR(1) AR(2) AR(3) AR(4) AR(5)

対数尤度 -1514.19 -1513.92 -1513.91 -1513.50 -1513.18 AIC 3034.37 3035.84 3037.82 3039.00 3040.36 DIC 3032.30 3032.85 3033.83 3034.07 3034.41

(25)

3) フラットな事前分布を用いてベイズ推定して得られた事後分散を事前分散として改めてベイズ推定する と、周辺尤度がとても小さな値となってしまうモデルが散見されたので、データの分散を事前分散とし て利用した。  AICとDICの大きさは連動しており、AR(1)で最小となる。ARモデルの中で最適なモデル を1つ選ぶとすれば、AR(1)になると考えられる。AR(1)のパラメータを推定した結果を表3 に示す。 5.2 TARモデルのベイズ推定  本論文で扱う閾値自己回帰モデルには、遅れ変数dと自己回帰係数kのラグの取り方によっ て多種多様なモデルが含まれている。そこで、d≦k(k=1,2,3,4)という制約をつけた上で、考 えられる全てのモデルについてパラメータを推定した。その結果、推定対象となるTARモデ ルは10種類になる。表4に10種類のTARモデルのそれぞれにおける対数尤度、AICとDICの値 を示す。3種類のモデルを推定するにあたり、加える尤度の個数を統一するために、自己回帰 のラグ数に関係なく、週次変化率データの中の最初の5個は削除する。  第3節で紹介したような推定方法を用いて、各モデルのパラメータをベイズ推定するに当た り、事前分布を決める必要がある。事前分布の選定には、フラットな事前分布で事前にパラ メータをベイズ推定した結果を利用した。まず閾値rの事前分布であるが、フラットな事前分 布でベイズ推定して得られた事後平均を平均、データの分散を事前分布の分散とする正規分布 を事前分布として用いた。3)次にb(i)2 (i)(i=1,2)の事前分布であるが、フラットな事前分布を基 づいて事前に推定された閾値の推定値によってデータを2分割し、分割されたデータを用いて 計算された最小二乗推定値b(i)を利用した。つまりb(i)

(i)2~N

(

b(i)2(i)(X(i)'X(i))-1

)

とした。ただし、

共分散は0とした。σ(i)2の事前分布としては逆ガンマ分布を考える。フラットな事前分布を用い

てσ(i)2をベイズ推定した推定値に逆ガンマ分布の平均E[σ2(i)]が大よそ一致するようにハイパー・

パラメータを決めた。  また閾値の推定に当っては、閾値の存在範囲を全データの15%点から85%点に制限した上で 推定した。サンプリングに当たっては、最初の1万回を捨てて、1万1回から2万回のサンプ リング結果を利用して推定を行った。また定常性を満たすb(i)のサンプルのみを利用している。 表3:AR(1)の推定結果(三井不動産) パラメータ 事後平均 事後標準偏差 事後自己相関 b0 -0.00373 0.16923 0.02333 b1 -0.13809 0.03183 0.02982 σ2 28.29435 1.89731 0.01426 対数尤度 -1514.19 R2 = 0.01929 AIC= 3034.37 DIC= 3032.30 ˆ

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 表4から、DICに基づくとTARモデルの中ではk=2, d=1のモデルが支持されることが判る。  自己回帰モデルの対数尤度の最大値(-1513.18)とTARモデルの対数尤度の最大値 (-1502.17)を比較すると、TARモデルの方が大きい。一方、自己回帰モデルのDICの最小値 (3032.30)はTARモデルのDICの最小値(3018.05)よりも大きい。以上から自己回帰モデル よりもTARモデルが支持される。F検定の結果でも、DICが最小のTARモデルである k=2, d=1のTARモデルはAR(2)モデルよりも支持される。  次に、DICが最小となったk=2, d=1のTARモデル(TAR(2,1))のパラメータの推定結果を 表5に示す。下側の状態1ではyt-1の係数b1(1)が有意であったが、yt-2の係数b2(1)が有意ではな かった。逆に上側の状態2ではyt-1の係数b1(1)が有意でなかったが、yt-2の係数b2(2)が有意であっ た。 表4:閾値が1つのTARモデル対数尤度, AIC,DIC(三井不動産)

モデル TAR(1,1) TAR(2,1) TAR(2,2) TAR(3,1) TAR(3,2) 対数尤度 -1504.88 -1503.20 -1508.67 -1502.73 -1508.16 AIC 3023.76 3024.39 3035.34 3027.45 3038.32 DIC 3019.73 3018.05 3031.93 3020.34 3031.66 モデル TAR(3,3) TAR(4,1) TAR(4,2) TAR(4,3) TAR(4,4) 対数尤度 -1510.80 -1502.17 -1507.01 -1510.95 -1504.52 AIC 3043.60 3030.33 3040.02 3047.90 3035.05 DIC 3021.97 3021.37 3030.77 3019.33 3028.99 ※( )内の数字は順番にkとdを表す。 表5: 閾値が1つのTARモデル(k=2,d=1)の推定結果 パラメータ 事後平均 事後標準偏差 事後自己相関 b0(1) -3.35336 0.74940 -0.00346 b1(1) -0.68013 0.10117 -0.00148 b2(1) 0.10291 0.06954 0.05653 σ2(1) 31.21371 4.11938 0.01201 b0(2) -0.35538 0.21273 0.03943 b1(2) -0.01894 0.04317 0.00937 b2(2) -0.07132 0.03507 0.03187 σ2(2) 25.82258 1.90708 -0.00312 r -3.42148 0.87937 0.65450 対数尤度 -1503.20 R2 = 0.06082 AIC= 3024.39 DIC= 3018.05 注:閾値の採択確率= 0.5944, n1=122,n2=368.

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5.3 DT-GARCHモデルのベイズ推定  本論文で扱っている株価データは金融データの一つである。金融データでは、誤差項の条件 付き分散にGARCH過程を仮定することが多い。そこで本論文でも、TARモデルの誤差項の分散 にGARCH過程を仮定した、DT-GARCHモデルを分析してみた。表6に10種類のDT-GARCHモ デルの対数尤度、AICとDICの値を示す。  第3節で紹介したような推定方法を用いて、各モデルのパラメータをベイズ推定するに当た り、事前分布を決める必要がある。事前分布として、フラットな事前分布を仮定してベイズ推 定した結果を閾値とGARCH部分のパラメータ(a(i) 0,a(i)1,a(i)2)のハイパー・パラメータとする正

規分布を用いた。ただし、a0(i),a1(i)は同時に推定したが、a2(i)は別に推定した。そしてa0(i),a1(i),a2(i)

の事前分布の標準偏差はフラットな事前分布を仮定してベイズ推定した事後標準偏差の2分の 1にすると共に、共分散は0とした。回帰係数b(i)の事前分布であるが、上述した閾値の推定

結果を利用してデータを2分割して作られた状態 i のデータにARモデルを適用した際の回帰 係数の最小二乗推定値b(i)を利用した。つまりN

(

b(i),s2

(i)(X(i)'X(i))-1

)

とした。ただし、s2(i)は状態 i の

データにARモデルを適用した際の残差の分散である。そして、共分散は0と仮定した。  推定の結果、TARモデルのDICの最小値(3018.05)よりもDT-GARCHモデルのDICの最小 値(2990.80)の方が小さかったので、DT-GARCHモデルの方がモデルとして適切であると判 断される。DT-GARCHモデルでDICが最小となったのは、k=2,d=1のDT-GARCHモデル(DT-GARCH(2,1))であり、このモデルが最適であると判断した。DT-GARCH(2,1)のパラメータ の推定結果を以下の表7に示しておく。  DT-GARCH(2,1)では-4.17(%)を閾値として週次株価変化率はそのモデルを変更することが 分かる。1期前の変化率が-4.17(%)よりも低い場合は、状態1になる。状態1では1期前のラ グ付き変数の回帰係数b1(1)が-0.63968で有意であるから、大きく下落した場合は上昇へ向けて反 転すると考えられる。一方、1期前の変化率が-4.17(%)よりも高い場合は、状態2になる。状 ˆ 表6:閾値が1つのDT-GARCHモデル周辺尤度, AIC,DIC(三井不動産)

モデル DT-GARCH (1,1) DT-GARCH (2,1) DT-GARCH (2,2) DT-GARCH (3,1) DT-GARCH (3,2) 対数尤度 -1490.59 -1488.49 -1496.55 -1487.92 -1496.30

AIC 3003.17 3002.97 3019.11 3005.84 3022.59 DIC 2996.77 2990.80 3005.59 2995.81 3009.79 モデル DT-GARCH (3,3) DT-GARCH (4,1) DT-GARCH (4,2) DT-GARCH (4,3) DT-GARCH (4,3) 対数尤度 -1494.39 -1488.46 -1497.64 -1494.55 -1495.82

AIC 3018.78 3010.91 3029.29 3023.10 3025.65 DIC 3006.80 2998.49 3010.28 3007.87 3008.07

※( )内の数字は順番にkとdを表す。

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態2の回帰係数は有意に0と異なると言えないので、b0(2)=-0.34216に近い値で変動することが 分かる。以上のようにDT-GARCH(2,1)は平均回帰的な動きをすると考えられる。そして GARCH部分(a2)は両方の状態で有意に0と異なる。 6.結論  本論文では日本の株価の変化率を閾値自己回帰モデルによって分析した。具体的には三井不 動産の週次の株価を取り上げて分析した。誤差項が正規分布に従う自己回帰モデルをベイズ推 定した結果、AR(1)が選択された。次に閾値が1つのTARモデルをベイズ推定した結果、 k=2、d=1のTARモデルが支持された。  金融データでは誤差項の条件付き分散にGARCH過程を仮定することが多い。そこで株価変 化率を扱う本論文でも、誤差項の分散にGARCH過程を仮定したDT-GARCHモデルによる分 析も試みた。推定の結果、DT-GARCHモデルの中でDICが最小だったk=2、d=1,p=1,q=1のDT-GARCHモデル(DT-GARCH(2,1))は推定した全てのモデルの中でも最小であり、最適なモ デルとして選ばれた。したがって、この株価データの場合、ARモデルやTARモデルよりも DT-GARCHモデルの方がその性質を適切に記述できることが明らかとなった。  選ばれたDT-GARCH(2,1)モデルは-4.17(%)を閾値とすることが分かった。1期前の変化率 が-4.17(%)よりも低い場合は、状態1になる。状態1では1次のラグ付き係数の回帰係数b1(1) が-0.63968であるから、大きな下落の後には上昇へ向けて反転すると考えられる。一方、1期 表7:閾値が1つのDT-GARCHモデル(k=2,d=1)の推定結果 パラメータ 事後平均 事後標準偏差 事後自己相関 b0(1) -3.10495 0.92876 0.01591 b1(1) -0.63968 0.12207 -0.00207 b2(1) 0.08875 0.08476 0.01365 a0(1) 13.88777 4.64753 0.98834 a1(1) 0.11085 0.05770 0.69023 a2(1) 0.45209 0.12690 0.74103 b0(2) -0.34216 0.18412 0.01920 b1(2) -0.01880 0.04354 0.01758 b2(2) -0.06060 0.03504 0.00507 a0(2) 0.18351 0.13598 0.90021 a1(2) 0.06038 0.02145 0.56165 a2(2) 0.90375 0.01339 0.73605 r -4.17053 0.55511 0.54021 対数尤度= -1488.49 AIC= 3002.97 R2= 0.05540 DIC= 2990.80 注:閾値の採択確率=0.15055 , n1=93 ,n2=397 .

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前の変化率が-4.17(%)よりも高い場合は、状態2になる。状態2の回帰係数は有意に0と異な ると言えないので、b0(2) =-0.34216に近い値で変動することが分かる。以上のようにDT-GARCH(2,1)は平均回帰的な動きをすると考えられる。GARCH部分(a2)は両方の状態で有 意に0と異なる。この推定結果から、このモデルは誤差項がGARCH過程の性質を持つと同時 に、-4.17(%)を閾値として平均回帰的な動きをすると考えられる。  閾値の推定結果が-4.17(%)であったことから、この株価データの場合、よく利用されている 閾値を0に固定したモデルよりも閾値を0に限定しない本論文のモデルの方が適切であると考 えられる。 参考文献

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Double Threshold GARCH model and its Application to Individual

Stock Price: Bayesian Estimation and Model Selection

Hiroshi SUNADA

We apply Double Threshold GARCH (DT-GARCH) models to weekly change rate of Japanese individual stock price(Mitsui Fudosan). For comparison, we apply threshold autoregressive (TAR) model and autoregressive (AR) model, too. After Bayesian estimation, we select DT-GARCH model as most appropriate model by DIC. The estimate of its threshold is of –4.17(%). Then the auto regressive model with GARCH process will change the parameters, if the change rate exceeds the threshold.

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教皇改革(二) ― 関口 一 目次   ウルバヌス二世とシスマの克服 法意識の変化と司牧充実への取組み 枢機卿団の成立と制度化の進展 叙任権闘争の解決に向けて 三 世 を 名 乗 っ て い る 。 ( 1 ) 改 名 に よ っ て 帝 国 司 教 出 身 教 皇 ヴ ィ ク ト 世 を 想 起 し た の で あ る 。 ( 2 ) 彼 の 推 奨 で デ シ デ リ ウ ス は モ ン テ カ ッ の推進者というよりはむしろ調停者的人物であったといわれている 彼の名はグレゴリウス七世が遺言で後継者に推薦した三人の候補者の 中に含まれていない。三名の候補者のうちルッカ司教アンセルムスは トスカーナ女伯マティルダからも支持されていたが、一〇八六年三月 十八日に世を去っている。オスティアの司教枢機卿オドは選挙当日に ローマを不在にしていたし、またリヨン大司教ユーグはデシデリウス の日和見的態度に批判的であり、選挙人グループとは疎遠であった。 モンテカッシーノとノルマン人諸侯の関係は親密であって、ノルマン 人の南伊征服から多大な恩恵と利益を得ていた同修道院はノルマン人 諸侯との友好にはとくに気をつかった 。 ( 4 ) グレゴリウス七世によって一 〇七四年三月以来六年以上にわたって破門されていたアプーリア・カ ラ ー ブ リ ア 公 ロ ベ ル ト = ィ ス カ ル ド に 対 し て も モ ン テ カ ッ シ ー ノ 変らぬ信頼関係を保ちつづけた。教皇選挙会議が開かれたローマのサ ン タ = チ ー ア 教 会 に は サ レ ル ノ 侯 ギ ス ル フ 、 カ ー プ ア 侯 ヨ ル ダ ヌ

 

 

 

革(二)

 

 

 

  

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参照

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