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ているとは言えない (3) 成果の利活用成果データ等情報の利活用は 電子成果品にしかできない使い方である 成果データのコピーはすでに通常業務で日常の作業となっており 工事に関係する測量 設計 発注 施工 管理という段階ごとの新たな資料作成は従来成果を使っていた時と比べて減っている 電子成果品は 成果

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電子成果品の品質向上に向けた取り組み

鈴木 祥高*

関東技術事務所 技術課 (〒270-2218 千葉県松戸市五香西6-12-1)

*

現在 企画部 技術管理課 (〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1) 電子成果品は、電子化された情報を利活用し、工事に関係する測量・設計・発注・施工・管理 という段階をつなぐ役割があり、これまでもデータベースやGISの構築に利活用されてきたが、 今後はi-Constructionによる生産性の向上を図るため、成果データの高度な利活用など、電子成 果品が重要な役割を担うことが考えられる。 本稿は、成果データの利活用に不具合が生じないよう電子成果品の品質向上を目的として実施 してきた「作成過程」及び「活用システムへの影響」などについての分析と、改善の取り組みを まとめたものである。 キーワード 情報の利活用、契約図書、なぜなぜ分析、XML、P21

1. はじめに

電子成果品とは、発注者と受注者の契約に対して、受 注者がどのようなことを実施し完了・完成に至ったかを 発注者に示すものである。土木分野で行われる業務や工 事は、それ単独で完結することはほとんど無く、前後に は他の業務や工事が存在する。そのため、電子成果品は 単なる報告書にとどまらず、発注者が必要とする内容と 種類及び契約したルールに従って作成されなければなら ず、発注者が必要とするものを『電子成果品の品質』と してとらえた。 関東技術事務所では、電子成果品を利活用するための システム登録とそれに伴う不具合への対応を行っている 経験から、増大する維持管理への対応や生産性向上を図 るために、電子成果品の品質向上が必要と考え、分析と 改善に取り組んだ。

2. 紙成果品と電子成果品の比較

業務及び工事のすべてが電子納品の対象となったこと によって、事前協議により紙等で納品指定されるものを 除き、業務及び工事で紙等の従来成果品が納品されるこ とはほとんど無くなった。媒体の違いによる比較をすれ ば、従来成果品の方が便利な部分もあるが、電子成果品 の方がさらに優れた機能を有するため、電子成果品での 納品を契約図書で定めている。 (1) 可読性の比較 従来成果品と電子成果品のどちらも、業務や工事にお いて発注者の要求事項に対して受注者がどのような成果 を出したかが記録されているのは共通である。可読性は 文章の読みやすさ、内容の見やすさのことであるが、従 来成果品の方が可読性が高い。一方、電子成果品の内容 確認はパソコン等に映し出した上で人が操作をしながら の確認になるため手間が生じる。 (2) 保管・保存の比較 従来成果品の素材は、紙とマイクロフィルムが主であ り、成果の量に比例して成果品が厚くなる。また、紙と マイクロフィルムではそれ自体の大きさが異なり、同じ 場所で保管するには不便である。その点、電子成果品は、 媒体がCD-R等で大きさ形が一定である。また、1枚の中 に膨大な量のデータが保存可能で保存場所が少なくて済 む。 しかし、CD-R等は、一般に10~15年で読み取れなくな ると言われおり長期保存には向かず劣った面もある。よ って、保管・保存のしやすさで一概に電子成果品が優れ

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2 ているとは言えない。 (3) 成果の利活用 成果データ等情報の利活用は、電子成果品にしかでき ない使い方である。成果データのコピーはすでに通常業 務で日常の作業となっており、工事に関係する測量・設 計・発注・施工・管理という段階ごとの新たな資料作成 は従来成果を使っていた時と比べて減っている。電子成 果品は、成果データの情報を使ったデータベースやGIS が既に構築されており、今後も生産性の向上を図るため 成果データの高度利用が進んでいくと考えている。

3. 電子成果品の構造

平成28年4月1日以降に契約した工事で作られる電子成 果品のフォルダ構成を図-1に示す。工事成果の種類には 「完成図」、「台帳」、「地質・土質調査成果」などが あり、成果データの作成ルールや電子成果品への保存ル ールは、「工事完成図書の電子納品等要領」などで決め られている。 (1) XMLファイル 電子成果品の成果データを活用するためには、目的の データを容易に検索できることが求められる。そのため 「XML」という拡張子を持ったファイルを用いることで、 成果データの属性情報(契約情報、成果の内容、位置情 報等)を表し、データ検索を容易にしている。 a)工事管理ファイル(INDEX_C.XML) 工事管理ファイルは、従来成果における表紙や契約概 要、目次に相当する。工事管理ファイルは電子成果品の ルート直下に保存されており、図-1では「XML」として 表現されている。電子成果品の構造は工事管理ファイル を頂点としたツリー構造である。 b)図面管理ファイル(DRAWINGF.XML) 図面管理ファイルは、DRAWINGFフォルダ内に保存さ れ る XML フ ァ イ ル で あ り 、 工 事 管 理 フ ァ イ ル と DRAWINGFフォルダ内に保存された完成図を紐付ける ものである。図面管理ファイルには、図面名、縮尺、描 かれている位置等が記載されている。 (2) フォルダ構成 a)ルート直下のフォルダ ルート直下のフォルダは成果を種類毎に分類する為の 役割がある。平成28年4月1日以降に契約した工事では、 作成できるフォルダは5種類で、作成する際の名称も決め られている。 b)サブフォルダを利用する場合のフォルダ構成 地質・土質調査成果では、BORINGフォルダに下位の フォルダ(サブフォルダ)が必要となり、サブフォルダ の作成方法(名称や位置等)が決められている。 また、完成図を保存するDRAWINGFフォルダ等、任意 でサブフォルダを作成できるフォルダもあり、フォルダ 名称も使用文字の一般原則が守られればよい。 (3) 成果データの保存場所 成果データは、工事管理ファイルからのツリー構造で 管理されるために、ルート直下のいずれかのフォルダに 保存しなければならない。どのフォルダに保存するかは 成果の種類で判断し、完成図はDRAWINGFフォルダ、地 質・土質調査成果はBORINGフォルダなどとなっている。 また、保存した成果データを管理・紐付けをするため、 フォルダ内の管理ファイル(成果の種類が完成図の場合 は、図面管理ファイル)に成果データに関する情報を記 述しなければならない。

4. XMLファイル及びP21ファイル

(1) 特徴 XMLファイルは、工事管理ファイルや図面管理ファイ ル等の各種管理ファイルおよび、地質調査のボーリング 柱状図成果として主に使われている。P21ファイルは、 図面成果のファイルとして使われており、2つのファイル は共に、ファイルの構造がオープンなファイル形式で、 以下のような特徴がある。 ①利用するソフト(メーカー)を限定せずにファイル操 作が可能 ②マークアップ言語であり、タグを使ったテキストファ イルであり、テキストエディターで編集可能(図-2参 照) ③直接データベースに取り込むことが可能 図-1 電子成果品(工事)の構造

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3 (2) 用途 2つのファイルはテキストファイルから必要な情報を 取り出して利用することができ、検索や集計機能を持っ たデータベースの構築も行われている。その一例として、 電子納品保管管理システムへ電子成果品を登録する際に は、工事管理ファイルや図面管理ファイル等のXMLファ イルより情報を取り出し、データベースの検索キーワー ドとして利用している。また、完成図およびボーリング 柱状図の成果データによって、他のシステムとの連携も 行っており、電子成果の加工・編集とファイル転送等の 自動処理が行われている。

5. 電子成果の高度利用

(1) 道路工事完成図 直轄国道おける舗装部分の工事を実施したときには、 「道路工事完成図」と呼ばれる完成図を電子成果品に含 めて納品することが共通仕様書に定められている。道路 工事完成図は、通常の完成図に比べて記述されている情 報が豊富であり、また描画方法のルールも細部にわたっ て指定されている。 例えば、道路工事完成図は図面中に2点以上の緯度経度 を持った位置情報を示すこととなっており、これにより 図面の位置および路線の方角が定まる。よって、複数の 道路工事完成図を位置情報に従って図-3で示すように並 べていくことで、道路ネットワークの縮小版をパソコン 上で組み立てることができ、これを地理空間情報活用推 進基本法で規定されている道路基盤地図とする整備に全 国で取り組んでいる。 (2) ボーリング交換用データ 地質調査の成果としてボーリング柱状図を作成する方 法には3種類の方法が用意されている。そのうち、情報の 取り出しが可能な「ボーリング交換用データ」について 説明する。 ボーリング交換用データは、XMLファイルで作られた 成果データである。テキストエディターで開くこともで きるが、通常はビューアを介した利用によって見た目は 刷されたボーリング柱状図のような表示となる。一方、 地質のデータベース等では、ボーリング交換用データを 解析し位置情報と組み合わせることで任意の断面での地 層を予測するといった使い方がされている。

6. 不具合と原因分析

電子成果品の不具合は、電子成果を利活用する各種シ ステムのデータにも影響がおよんでしまう。不具合を含 んだまま登録された成果データは、検索等で正しい結果 とならないことから、電子成果品の不具合はできるだけ 減らしていかなければならず、そのための原因分析を行 った。なお、分析手法は「なぜなぜ分析」を使った。 (1) 不具合が生じてしまう理由の想定 「電子成果品の品質確保 = 発注者が必要とする内 容と種類及び契約したルールに従って作成された成果の 納品」である。現状は、「不具合 = 品質未確保 = 発注者が必要とする成果とは異なる」が散見される。 不具合が生じてしまう理由について関東技術事務所で は、発注者が必要とする成果が受注者にしっかり伝わっ ていないものと想定した。 (2) 分析方法 想定に基づき、発注者が必要とする成果を受注者に伝 える手段としての契約図書の条件明示に着目して分析し た。その結果、現状の契約図書には、成果に対する仕様 が工事ごとの特徴をとらえ切れておらず、成果の内容と 数量が不明確であることが原因となって、受注者に的確 に伝わっていないと結論づけた。 図-3 道路工事完成図の組み立てイメージ 図-2 XML ファイル(左)と P21(属性)ファイル (右)のテキストファイル

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4 (3) 不具合の傾向 業務と工事では、不具合が見つかる割合は工事が高い 傾向にある。業務で不具合が少ない理由は、測量及び地 質・土質調査の成果は入力項目が決まっているものが多 く、契約数量と成果数量の対比が容易であること。また、 設計業務の設計図はゼロからの描画が多く、前工程で作 られた電子成果の修正が少ないことが関係していると考 えられる。 以上のことから不具合の分析対象は工事成果品に絞っ て実施した。 (4) 完成図を保存するフォルダ a)不具合内容 完成図の保存フォルダはDRAWINGFフォルダである が、保存されていない事例が多くある。この不具合はチ ェックシステムでエラーにならず、一応は完成図が納め られていることから不具合として気づかれにくい。 この不具合では、データベース等に取り込んだ際、完 成図が検索に引っかからなくなってしまう。 b)不具合の発生原因 この不具合の場合、ほとんどの完成図がOTHRSフォル ダに保存されている。OTHRSフォルダは、具体的に定め ら れ た 完 成 図 、 台 帳 、 地 質 ・ 土 質 調 査 成 果 及 び i-Construction関係成果の工事成果に分類できない、「そ の他の成果データ」を保存するためのフォルダである。 よって、OTHRSフォルダはどのような成果データが保存 されてもエラーとならず、エラー回避を目的に使われて しまうようである。 完成図を保存するフォルダの間違いに関しては、もう 一つの特徴があり、完成図がAutoCADファイルなど、P21 ファイル以外のファイル形式であることが多い。P21フ ァイル以外のファイル形式の完成図をDRAWINGFフォ ルダに保存すると、電子納品保管管理システムはメッセ ージを出すよう作られている。メッセージはエラーでは ないが、エラーだと勘違いしてしまう人が受発注者共に 多く存在しているため、メッセージを出ないようにする 工夫としてOTHRSフォルダが使われているのであろう と考えた。 (5) 道路工事完成図が作成されていない舗装工事 a)不具合内容 直轄道路において舗装工事を実施する際には、道路工 事完成図を作成することが共通仕様書によって定められ ているが、作成されない工事が多い。 この不具合の場合、工事契約に舗装工が含むかどうか によって道路工事完成図作成の要否が変わるため、一律 なチェックしかできない電子納品チェックシステムでは この不具合を発見できない。 b)不具合の発生原因 この不具合には、2つの原因が存在する。 1つ目に、作成の要否を判断する共通仕様書、特記仕様 書記載例及び道路工事完成図等作成要領のどれを見ても 舗装工事の規模等の記載が曖昧で、作成の要否を判断す ることができない。 2つ目に、道路工事完成図を電子成果品に含めて納品し てもらうには、共通仮設費率とは別に、積み上げ積算に よる道路工事完成図の作成費用の計上が必要となる点に ある。このことを失念したままだと、いくら共通仕様書 等に書かれていたとしても契約数量として受注者は考え ないため、作成されないのだろうと考えた。 (6) 位置情報が省略又は間違っている成果データ a)不具合内容 成果データの中には緯度経度及び標高で表す位置情報 を記載するものがある。例えば、道路工事完成図やボー リング交換用データである。これらの成果データは、GIS の一部を成したり、道路基盤地図として整備する目的が あって位置情報の入力が必須となっているものもあり、 その場合不具合としている。 b)不具合の発生原因 緯度経度及び標高を成果データに記載するには、その 分の測量が必要となる。しかし、そのことを失念してし まい、成果データを作成する際に位置情報を省略したり、 間違った内容を記載してしまうのだと考えている。

7. 改善の取り組み

これまでの電子成果品に関する不具合について、関東 技術事務所の役割はデータの適切な登録であり、今回の 取り組みを提案するにあたっては、工事発注事務所に無 理が生じないよう意識して実施可能な提案とすることと した。 (1) 契約図書の内容充実 現状の契約図書では電子納品に関する記載が、発注者 が必要とする成果の内容と数量についての具体性に欠け ていることから、 ①特記仕様書記載例に、受注者が作成する電子成果の種 類、保存フォルダ及びファイル形式を追記する(図-4) ②成果数量総括表の作成 の2点を提案した。 (2) 発注図の作成体制等の改善 工事発注事務所では発注者支援業務に発注図の作成を 任せていることも多い。そこで、発注者支援業務におい

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5 てCAD製図基準に準拠した図面作成ができるよう提案 した。 ①CAD製図基準に準拠した図面作成のための研修実施 ②OCF検定に合格したCADソフト使用を契約図書で明 記 (3) 電子成果品の検収技術 多くの職員が電子成果品の見方やチェックの仕方など の使い方をしっかり把握できていない状況に問題がある。 そのため、監督職員のチェック及び内容確認や検査職員 の検査では不十分であることから、電子成果品の基本的 な使い方だけは覚えてもらうよう実技研修を取り入れて もらうよう提案を行った。 また、各事務所に2~3名の電子成果品に精通した職 員を育成・配置することが必要と考えられる。

8.まとめ

土木構造物を維持管理していく上で、その構造物がど のような条件の下で、どのような材料を使い、どのよう な施工によって造られたのか。また、造られた後、これ までにどういった修繕が行われてきたのか。我々発注者 が知る手段は、いま残っている成果からたどるしか方法 がない。関東技術事務所では、後世に渡って土木構造物 を使い続けられるようにと昭和の時代から整備局内(以 前は建設局)の工事成果を収集し、保管を続けてきた。 今でも昭和時代のマイクロフィルムを大事に保管してい るのはそのためである。 現在、その成果の姿は電子データとなり、CD-Rという 電子媒体をデータベースに集積保管ができるようになっ た。これにより、成果の利活用方法も変化し、成果の情 報を組み合わせた使い方や、成果データを測量・設計・ 発注・施工・維持管理そして次の設計へと循環して使わ れようとしている。 今後は、i-Constructionによる生産性の向上を図ろうと しているが、それには電子情報の利活用が不可欠である。 工事施工という中だけならば情報化施工や3次元出来形 管理などの技術が重要となり、測量・設計から維持管理 の段階を通して電子情報の利活用を考えると、今後も電 子成果品が重要や役割を担っていかなければならない。 最後に、電子成果品の品質向上には多くの職員に電子 成果品の使い方を理解してもらうことから始めていかな ければならず、難しい課題であるが、今後も改善に取り 組んでいきたい。 図-4 特記仕様書作成例の変更案

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