お もてな し産業における若手
人材育成に関す る地域比較研究
一 京都 ・東京 ・金 沢の芸 舞妓 の育成
事例一
西
尾
久美子*
*京 都 女子 大学 准教 授 43 京 都 ・東 京 ・金 沢 な ど 日本 全 国 の 複 数 花 街 で は、 芸 妓(東 京 で は芸 者 と呼 ば れ る)や 舞 妓 と呼 称 され るサ ー ビ ス ・プ ロ フ ェ ッ シ ョナ ル が 、 高 付 加 価 値 の お もて な し産 業 の 現 場 で 就 業 して い る 。 こ こ数 年 は 京 都 だ け で な く、 他 の 地 域 で も新 規 に 就 業 を 希 望 す る若 い 人 材 が 増 加 傾 向 に あ る。 そ こ で 、 本 稿 で は 、 日本 全 国 の 花 街 に お い て 、 現 在 どの よ う な仕 組 み で 若 手 人 材 が 育 成 され て い る の か につ い て 、 地域 比 較 研 究 を 行 う 。着 目 す る 視 点 と し て 、 サ ー ビ ス ・プ ロ フ ェ ッ シ ョナ ル 人 材 の 育 成 に お い て 重 要 な 機 能 を 果 たす と指 摘 さ れ る 京 都 五 花 街 に 共 通 して 見 ら れ る 擬 似 家 族 関 係 が 、 developmentalnetworkと して 機 能 して い る こ と を 取 り上 げ る。 こ の 枠 組 み を用 い て 、 京 都 ・東 京 ・金 沢 の 各 地 域 の お も て な し産 業 に お い て 、 若 手 人 材 が どの よ う な 関 係 性 の 中 で 育 成 され て い る の か を、 明 らか に す る 。 結 論 と して 、 京 都 ・東 京 ・金 沢 の 地 域 に共 通 して 擬 似 家 族 関 係 が 見 受 け られ るが 、 機 能 面 で は違 い が あ る こ と、 そ の 理 由 と して 取 引 制 度 が 異 な る こ と を指 摘 す る 。 さ ら に 、 擬 似 家 族 関 係 の 機 能 の 特 徴 と して 、 キ ャ リア 形 成 の た め の若 手 人 材 が 必 要 とす る 時 間 と仕 事 の 場 を提 供 して お り、 そ の 結 果 、 新 し く参 入 し た 地 域 外 の 若 い 人材 の 定 着 を促 して い る こ と も示 唆 さ れ た 。 キ ー ワ ー ド 芸 舞 妓 、 擬 似 家 族 関 係 、 キ ャ リ ア 形 成 、developmentalnetwork1 .おもてなし産業における若手人材の育成 に関する現状認識 人材不足、後継者不足に悩まされる産業と して想起される伝統産業において、 気配りや 心配りなど「おもてなし
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という無形のサー ビスを提供する京都花街では、 一般的な予想 と反し、 若年層の就業希望者が増加傾向にあ る。 西尾(
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)によると、
京都にある 五つの花街 (祇園・先斗町・ 宮川町・ 上七 軒・祇園東)に所属する舞妓 (おおむね2
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歳 以下の若手人材)の総数は、1
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年の2
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人を 最少にその後増加傾向に転じ、2
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年春には l∞人を超えたこともあった。そして、この傾 向は2
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年末でも変わらず、舞妓は9
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人、 芸 妓は1
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人と、おもてなし産業の現場に従事す る芸舞妓の総数も3
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人前後で安定的に推移し ている (図表1を参照)。 図表1 京都五花街の芸舞妓数の変遷 (人) 700 600 500 400 300 200 100。
1955 1965 197519851995 2006 2008 2010(年) 2010年12月 31日現在 京都花街組合温合会綱ベをもとに筆者作成 京都の伝統的なおもてなし産業に就業を希 望する中学校や高等学校に在学中の少女たち の多くは京都出身者ではなく、かつ伝統的な 芸事の経験者であることも少ない (西尾、2
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。彼女たちの多くは、雑誌・新聞な どだけでなく、ホームページなどI
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を利用し て伝統産業について積極的に情報を収集して いる (西尾、2
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。こうした現象は、 京都五花街だけの特色でなく、 東京や金沢な ど全国の花街においても、見番や料亭などに 問い合わせをする女性が多く見受けられる。 筆者が2
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年から2
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年にかけて調査を行っ た東京の六花街(新橋 ・赤坂・芳町・神楽 坂・浅草・向島)では、京都で舞-妓を志望す ることが難しい概ね2
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歳以上の女性 (大学卒 業者や大学院修了者を含む)が、日本の伝統 的な芸事を身につけ、 着物を着ておもてなし の現場でサービス・プロフェッショナルとし て従事したい、 自分なりのやりがいを求めて 芸者1)になりたいと連絡してくることが増えて いる。こうした希望者の中で花街の近くの地 域に居住している人は少なく、東京では花柳 界と呼ばれるおもてなし地域産業の事情に疎 いことが多い。また、 芸者に必要とされる伝 統的な芸事 (特に日本舞踊や邦楽器の演奏や 邦楽の唄)の経験者は少なく、やりがいを求 めているが実際にすぐに芸者として就業でき る専門技能を有する若手人材は非常に少ない。 こうした事情は東京だけが特殊というわけで はなく、2
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年3
月に博多で博多伝統芸能振 興会(会長 :福岡商工会議所会頭)が芸妓の 公募をすると、 未経験の2
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代後半の女性も数 多く応募してきた。このように日本各地で情 報を探索し、 機会があれば、地域のおもてな し産業に従事するサービス・プロフェッショ ナル芸妓になるための積極的な求職活動を行 う人が少しずつ、しかしJ
確実に増加しつつあおもてなし産業における若手人材育成に関する地域比較研究
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るといえよう。こうした実例から、現在、日 本各地のおもてなし産業において、伝統的な 芸事に経験の乏しい若手人材の育成がなされ、 彼女たちが長期的に円滑なキャリア形成をし て、次世代を担う期待も込められていること がわかる。2
.
先行研究2
-1.
京都花街の擬似家族関係 伝統的なおもてなし産業に就業する希望者 が増加する傾向にある一方で、就業希望者を 受け入れる側の伝統産業の事業者の多くは小 規模であり、単独で人材育成のシステムを展 開していくことは困難である。したがって、 おもてなし産業に必須の伝統技能の基本を身 につけ、さらにより高度な技能の継承を図り ながら人材育成を進めようとする場合、地域 事業者の連携の必要性が予想される。その特 図表2
京都花街の擬似家族関係の図 徴的な事例が、西尾(
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が伝統的なおもてなし産業のサービス・プ ロフェッショナル人材の育成において重要な 機能を果たすと指摘する、図表2
に表わされ る京都五花街に共通して見られる擬似家族関 係に基づく人材育成の仕組みである。 京都花街では、舞妓になりたい希望者(図 表2
のA)
と彼女を芸舞妓に育成する事業で ある置屋の経営者との聞に擬似親子関係が、 そして、新人の芸舞妓(図表2の A) と現場 の指導責任者という位置づけの先輩芸舞妓 (図表の盃の姉)との聞に擬似姉妹関係が結ば れている。西尾(
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によると、 これら擬似家族関係は、京都の芸舞妓になる ためには必ず置屋に所属しなければならない ため、置屋の経営者(お母さんと呼ばれるた め、図表では母と表記)と擬似親子関係を結 ぶことから始まり、半年から 1年程度の修業 期間を経て一定レベルの日本舞踊の技能を身 につけ、舞妓としてデビューできることが決 まると、置屋のお母さんの選択により、指導 責任者となる先輩芸妓と盃を交わして擬似姉 妹関係を結ぶことになる。この擬似姉妹関係 の縁組をまとめるためには、仲人も必要とさ れ、お茶屋や経験年数の長い芸妓がその役割 を果たしている。京都の五つの花街にはすべ てこの擬似姉妹関係の制度があり、通常はこ のお姉さんがいないと京都の花街で芸舞妓に なることはできない。しかし適切な姉役を設 定できないような場合は、名前の文字を共有 する複数の先輩が共同で後輩の面倒をみるこ ともある。また、いったん所属した置屋の変更 も 禁 止 さ れ て い る(西 尾 ・森 元 、2008: 88-89)。 した が って 、擬 似 家 族 関係 の う ちで 、 擬 似 親 子 関係 は 必 須 で あ る。 こ の擬 似 親 子 関係 を結 ぶ こ とは 、 盃 を交 わ す 相 手 の お 母 さ ん で あ る置 屋 の 経 営 者 に もお 姉 さん 役 の 先 輩 芸 妓 に も、 そ れ ぞ れ に姉 役 や 母 役 の(元)芸 妓 が い る た め 、 本 人 同士 の 結 び つ き だ け で な く、 関 係 す る複 数 の ネ ッ ト ワー ク に よ っ て構 築 さ れ て い る よ り大 きな 家 族 関 係 に入 る こ と に な る 。 そ こ に は 置屋 や 見 習 い 茶 屋(新 人 芸 舞 妓 が デ ビ ュ ー直 前 に 一 ヶ 月 程 度現 場 経 験 を積 む た め に通 うお 茶屋)、 盃 の お 姉 さ ん とい っ た結 び つ きの 強 い 人 を中 心 とす る一 軒 の 家 の よ うな 関 係 が あ り、 そ の 一 軒 の 家 の よ う な 関係 が さ ら に い くつ か 集 ま っ て 、 親 戚 の よ う な集 団 が で き る とい う仕 組 み と な っ て い る 。 花 街 の 中 に あ る こ う した 濃 い つ な が りを 「筋 」 と呼 び 、 擬 似 家 族 関 係 に よつ て 結 ば れ る複 数 の 芸 舞 妓 や お 母 さん の 関 係 性 に基 づ き人 材 を育 成 す る だ け で な く、 業 界 内 の 情 報 を 共 有 し、 助 け 合 う、 支 え あ う仕 組 み が 京 都 花 街 に は あ る(西 尾 、2007:61)。 また 、 擬 似 姉 妹 関 係 は 置屋 の 壁 を越 え て 結 ば れ る こ と もあ り、 姉 妹 関係 を通 じて姻 戚 関係 の よ う に複 数 の ネ ッ トワ ー クが 花 街 の 中 に 張 り巡 ら され て い る。 図表2の 破 線 は、 置 屋 の 壁 を 越 え た ネ ッ トワ ー ク 関係 の 構 築 の様 子 を 表 して い る。 つ ま り、 京 都 五 花 街 に は 、 小 規 模 事 業 者 が 事 業 者 の 壁 を こえ て 、 人材 育 成 の た め に ネ ッ トワー ク を結 び 、 相 互 に連 携 し なが ら若 手 人 材 の 育 成 をす る仕 組 み が あ り、 そ の 仕 組 み が 新 規 参 入 す る 現 代 の 若 者 の 技 能 育 成 に 深 く関 与 して い る こ とが 推 察 され る 。 新 人 の 育 成 を 支 援 す る 特 定 の 他 者 と い う 「メ ンター 」 の 存 在 を重 視 し、 日本 の組 織 に所 属 す る 人 々 を対 象 と した研 究 で あ る 、 藤 本 ・ 金 井 ・開本(1996:50)は メ ン ター を、 「シ ニ ア ク ラ ス の 経 験 豊 か な 人 で あ り、 若 い世 代 の 人 び とが 組 織 の 中 で 、 あ るい は専 門 家 と して の キ ャ リ ア を伸 ば す こ と を助 け る 人 」 と定 義 して い る。 こ の 定 義 に基 づ き京 都 花 街 の擬 似 親子 関 係 や 擬 似 姉 妹 関係 を考 察 す る と、 両 者 は 公 式 的 な メ ン タ リ ン グ関 係(成 熟 した他 者 が 未 熟 な者 の キ ャ リア 形 成 を 支援 す る二 者 の 人 間 関 係)を お もて な し産 業 の 中 で 構 造 的 に 構 築 す る仕 組 み で あ る と い え る 。 2-2.複 数 の 人 間 関 係 一 方 で、 京 都 の 擬 似 家 族 関係 は 、 前 述 の メ ン タ リ ン グ 関係 の よ うな 組 織 内 の1対1の 人 材 育 成 関 係 に と ど ま らず 、 複 数 の 事 業 者 が 連 携 して構 築 す る キ ャ リア 形 成 の た め の ネ ッ ト ワー クで あ る とい う特 色 を持 つ。 西 尾(2007: 170)は 、 芸 舞 妓 に求 め られ る技 能 とそ れ らの 育 成 や 評 価 な どに擬 似 家 族 関 係 や 周 囲 の 関 係 者 が どの よ う な役 割 を果 た す か を 、 図 表3の よ う に ま とめ て い る。 図表3か ら は 、新 人 芸 舞 妓 の 擬 似 親 子 関係 は、 置 屋 の 経 営 者 だ け で な く見 習 い 茶 屋 の 経 営 者 と も結 ば れ て い る こ とが わ か る 。 ま た、 擬 似 家 族 関 係 だ け で な く、 学 校 に所 属 す る こ とで そ の 師 匠 と も関 係 性 が 構 築 さ れ て い る 。 ま た 、 顧 客 もこ の 関 係 性 の ネ ッ トワー ク に 含
お もて な し産 業 にお ける若 手人材 育 成 に関す る地域 比 較研 究 47 図表3京 都芸 舞 妓 の人材 形 成 にか かわ る関係者 の役 割 広義 の技能 擬 似 家 族 関 係 関係者 お客様 お客様(最 屓) お母 さん (お茶屋) お母さん (見習い茶屋) お母 さん (置屋) お姉 さん(盃) お姉 さん 同輩 学校(師匠) 基本的技能 狭義 の技能 日本 舞 踊 、 三 味 線 、 鳴 物 、 笛 、 唄(長 唄 ・常 磐 津 ・地 唄 ・小 唄 ・端 唄)、 茶 道 評 価 ・育 成 評価 ・育成責任 騨価 ・育成責任 (やや重 い) 手本 ・育成責任 (重い) 即興性 場 に応 じた基本的技能の披 露 、臨機応 変の客あ しらい、 雰囲 気を見る 評価 評 価 ・育 成 評 価 ・援 助 ・育 成 評 価 ・援 助 ・育 成 責任 (や や 重 い) 援助 ・育戒責任 手 本 ・援 助 ・育 成 責 任 (重 い) 手 本 ・援 助 ・育 成 ・競 争 基礎 教育貴任 (形の指導) 手 本 ・援 助 ・競 争 経 験 がな いた め指導 で きな い 規範 立 ち 居 振 る 舞 い 、京 言 葉 、 お 化 粧 、 頭 壁 、 着 物 、 花 街 の 習 慣 、 行 儀 作 法 手 本 ・評 価 ・援 助 ・育 成 手本 ・評価 ・管理 ・援 助 ・育成 責任 (や や 重 い) 手 本 ・解 価 ・管 理 ・育 成 責 任 (や や 重 い) 手本 ・評価 ・管理 ・援 助 ・育成 貴任 (重 い) 手 本 ・評 価 ・援 助 ・育 成 手 本 、評 価 、 育 成(注) (注)学 校 のお 師匠 さん は規範 の手 本。 また 、学校 の稽 古 では 行儀作 法 、京 言葉 、 花街 の序 列 に基 づ く 立 ち居 振 る舞 い等の 規範 が必要 となるの で 、基 礎 的技能 の 習得 中に 、規 範 も育成 され る。 (出所)西 尾(2007:170) まれ て い る。 つ ま り、 京 都 花 街 の 擬 似 家 族 関 係 を 中心 と す る 関 係 性 の ネ ッ トワ ー ク の 特 色 は 、Hall (1996)が 指 摘 す る 「発 達 的 関 係(develop・ mentalrelationship)」 で あ る とい え よ う。 京 都 花 街 の 擬 似 家 族 関係 は 、 多 様 な 他 者 が個 人 の キ ャ リア の 「心 理 的 成 功 」 に 重 要 な 意 味 を 持 つ 関 係 性 で あ る とい え る。 この よ うな 視 点 に よ る キ ャ リ ア研 究 は 「関 係 性 ア プ ロ ー チ(relationalapproach)」 と呼 ばれ て い る。 例 え ば 、 女 性 の 発 達 に 着 目 した 岡本(1999)は 、 「女 性 が ア イデ ンテ ィテ ィ を 形 成 す る き っ か け は 、 両 親 、 友 人 、 恋 人 と い っ た 他 者 との 関 係 性 の 中 に あ り、 この よ う な 関 係 性 は、 ア イデ ンテ ィ テ ィを 形 成 す る た め の 不 可 欠 な"土 壌"と し て 存 在 す る 、 つ ま り、 女 性 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 発 達 に は 、 関 係 性 が 重 要 で あ る 」(岡 本 、1999:56-61)と 指 摘 す る 。 ま た 、Wenger(1998:149-153)は 、 「コ ミュ ニ テ ィ に お け る ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 形 成 は 、 コ ミ ュ ニ テ ィ の メ ン バ ー シ ッ プ と し て わ れ わ れ の 経 験 の 意 味 を 交 渉 す る こ と で 成 立 す る 」 と 、 女 性 だ け に 留 ま ら ず 、 あ る 共 同 体 に 所 属 す る こ と で わ れ わ れ の 経 験 の 意 味 が 統 合 さ れ 、 キ ャ リ ア 形 成 が 促 さ れ る こ と を 考 察 し て い る 。 21世 紀 に な っ て 、 発 達 的 関 係(developmen-talrelationship)に 着 目 し たHiggins&Kram (2001)が 「developmentalnetwork」 と い う 新 し い 概 念 を 提 唱 し て い る 。 彼 女 ら は 、 垂 直 的
な 二 者 関係 だ け で な く、 発 達 を 支 援 す る複 数 の 人 間 関係 を多 角 的 に見 る視 点 を提 供 し、 そ の タ イ プ をい くつ か 提 示 す る に至 っ て い る2)。 こ れ は た いへ ん 興 味 深 い概 念 で は あ る が 、 実 証研 究 は ま だ ま だ乏 しい と言 わ ざる を得 ない3)。 京 都 花 街 の擬 似 家 族 関係 は 、 個 人 の キ ャ リ ア が 組 織 内外 の 多 様 な 人 々 の 関 係 性 の 中 で 形 成 され る こ と を提 示 した 数 少 な い実 証 研 究 で あ る とい え よ う。 3.研 究課 題 以 上 見 て き た よ うに 、 多 様 な他 者 との 関係 性 を 通 じた 若 手 人材 の 育 成 とい う今 日的 な課 題 に対 して は、 国 内 ・国 外 を 問 わ ず 、 関連 す る研 究 が 必 ず し も十 分 に な され て きて はお ら ず 、 学術 的 に も緊 要 な 課 題 で あ る こ とが 明 ら か で あ る。 そ こで 本 論 で は 、developmentalnetworkの 構 造 とキ ャ リア形 成 へ の 影 響 の プ ロセ ス を解 明 し、 そ の 効 果 的 な 実 践 に 向 け た 示 唆 を得 る こ とを最 終 的 な 目標 と して、 そ の 第 一 歩 と な るべ き実 証 的 な研 究 を行 う こ と と し た。 具 体 的 に は 、developmentalnetworkの 存 在 が 確 認 さ れ構 造 が 明 らか に な って い る京 都 花 街 の 事 例 と比 較 す る た め に 、 各 地 域 の お もて な し産 業 の 中 で 京 都 と 同様 に 複 数 の 花 街 が 存 在 す る 東 京 と金 沢 の 事 例 を と りあ げ、 以 下 の よ う な 研 究 課 題 に基 づ い て 各 地 域 の お もて な し産 業 の 関係 者 に調 査 を行 っ た 。 研 究課 題1.キ ャ リ ア初 期 に あ る 若 手 芸 妓 を取 り囲 む擬 似 家 族 関 係 は どの よ う な態 様 で あ り、 そ の キ ャ リ ア形 成 に どの よ う な影 響 を与 え て い る か。 研 究 課 題2.複 数 地 域 の 擬 似 家 族 関 係 の 比 較 か ら、 お もて な し産 業 のdevelopmentaI networkと して の 特 色 を抽 出 で き る の か 。 で き る と した ら、 どの よ う な もの か 。 4.調 査 の 方 法 調 査 の 対 象 は 、 東 京 の 六 花 街(新 橋 ・赤 坂 ・芳 町 ・神 楽 坂 ・浅 草 ・向 島)と 金 沢 の 三 茶 屋 街(東 ・西 ・主 計)の 二 地 域 と、 これ ら の 地 域 で お もて な し産 業 に従 事 す る芸 妓 、 置 屋 、 見 番 や 料 亭 な どの お も て な し産 業 に 関 わ る 事 業 者 や 関 係 団体 の 関 係 者 や 顧 客 で あ る。 これ ら調 査 の 対 象 者 ヘ イ ン タ ビ ュ ー調 査 を行 う と同 時 に 、 お 座 敷 体 験 イベ ン トや 日本 舞 踊 な ど伝 統 的 な 芸 事 の発 表 会 へ の 参 与 観 察 調 査 を行 っ た。 調 査 協 力 者 は東 京 六 花 街15名 、 金 沢 三 茶 屋 街9名 の 合 計24名 で あ る。 こ れ ら24名 に 対 し て 、 あ らか じめ 研 究 課 題 に基 づ く質 問項 目 を 用 意 して お くが 聞 き取 りに応 じて 自 由 な 語 り に も対 応 す る 半 構 造 的 イ ン タ ビュ ー 調 査 を実 施 した 。 ま た擬 似 家 族 関 係 の キ ー パ ー ソ ン と 思 わ れ る 調 査 協 力 者 に は 、 繰 り返 し イ ン タ ビュ ー 調 査 を 行 つ た。 これ らの 調 査 は2009年4月 か ら2011年2月 に か け て 実 施 され た。 5.事 例 研 究 5-1.東 京 現 在 東 京 の 新 橋 ・赤 坂 ・芳 町 ・神 楽 坂 ・浅 草 ・向 島 の 六 花 街 に芸 妓 が約300名4)い る。 各
お もて な し産 業 にお け る若 手 人材育 成 に関す る地 域比 較研 究 49 地 域 の特 色 を 浅 原(2007)に 基 つ き ま とめ る と、 以 下 の よ うに な る。 新 橋 は1857年 が 発 祥 と され 、 銀 座 、 歌 舞 伎 座 な ど に も近 く、 芸 の 新 橋 と形 容 され る こ と も多 い 。 ま た毎 年5月 末 に新 橋 演 舞 場 で 開 催 さ れ る 東 を ど りで は、 高 級 料 亭 の お 弁 当 が 食 べ られ る な ど、 花 街 文 化 を手 軽 に 楽 しめ る な どの 工夫 もされ て い る。(浅 原 、2007:21-23) 赤 坂 は、 新 橋 と並 ぶ 一 流 の花 柳 界 と して 知 られ て い る。 昭和40年 代 に は芸 妓 の 出先 で あ る料 亭 が30軒 以 上 あ っ た が 、2007年 現 在 料 亭 6軒 まで に減 った 。 しか し、 赤坂 を ど りが2006 年 か ら再 開 され る な ど、 地 域 の お もて な し産 業 再 興 の た め の 努 力 が な さ れ て い る。(浅 原 、 2007:39-40) 芳 町 は 、 日本 橋 人 形 町 に あ り、 江 戸 時 代 芝 居 町 と して 栄 えた とい わ れ 、 東 京 六 花 街 の 中 で 最 古 の歴 史 を有 す る。 しか し、 現 在 は 料 亭 が1軒 に な り、 若 い新 人 芸 者 が 誕 生 す る一 方 で 、 街 の存 続 そ の もの が 危 ぶ まれ て い る。(浅 原 、2007:55-56) 神 楽 坂 は 、 坂 と路 地 と石 畳 の 景 観 が 残 り、 花 街 ら しい 風 情 を も つ と も濃 く残 して い る 地 域 で あ る 。2007年 現 在 料 亭 は8軒 あ り、 地 元 のNPOに よ る花 柳 界 講 座 が 開 催 さ れ る な ど新 しい 取 り組 み も され て い る 。(浅 原 、2007: 70-72) 浅 草 は、 江 戸 時 代 後 期 に発 祥 し た古 い 花 街 で 、 三 社 祭 りに は 芸 者 衆 の 組 踊 りが 料 亭 で な され る な ど、 下 町 ら しい 活 気 に あ ふ れ て い る。 料 亭 は2007年 現 在9軒 あ り、 また 全 国 で5人 しか い な い幣 間 が 所 属 す る こ とで も有 名 で あ る 。(浅 原 、2007:89-90) 向 島 は 、 東 京 で 最 も芸 者 衆 の 人 数 が 多 く、 100人 を こ え て い る 。 そ の 背 後 に 、料 亭 が 置 屋 を 兼 ね る こ とが 多 い と い う他 の 地 域 とは 違 う 特 色 が あ る。 観 光 客 が 気 軽 に 参 加 で きる は と バ ス ツ ア ー の 実 施 、 春 の 桜 まつ りの 芸 妓 茶 屋 な ど、 一 般 客 で も手 軽 に利 用 す る こ とが で き る イベ ン ト等 もあ る。(浅 原 、20cr7:105-106) これ ら東 京 の 六 花 街 の 複 数 の 関 係 者 か ら、 京 都 花 街 と同 様 に 、 若 い 人 が 芸 者 に あ こが れ 、 就 業 希 望 の 連 絡 を と っ て く る こ とが 多 い と 聞 き取 る こ とが で き た 。 そ こ で 、 六 つ の 地 域 で 若 い 就 業 希 望 者 を積 極 的 に 受 け 入 れ て い る、 置 屋 の 看 板 を持 つ 芸 妓(向 島 は 料 亭 も兼 業 し て い る)や 、 料 亭 の 経 営 者 や 見 番 の 担 当 者 に 2009年 か ら2010年 に か け て イ ン タ ビ ュ ー 調 査 を実 施 した 。 ま た 、 東 京 の 花 街 で 開催 さ れ る 踊 りの会 な ど の技 能 発 表 会 や 芸 妓 の技 能 披 露 が さ れ る 料 亭 で の お 座 敷 体 験 の 会 に も参 加 し、 参 与 観 察 記 録 も作 成 し た 。 そ し て 、 こ れ ら の 調 査 デ ー タ を研 究 課 題 に 基 づ き分 析 した 。 5-2.東 京 の擬 似 家 族 関 係 の 特 色 東 京 で 芸 妓 に な ろ う と希 望 す る 若 い 女 性 は、 京 都 の よ う に 置 屋 に住 込 む こ と は ほ と ん ど な い 。 東 京 に も置 屋 は あ るが 、 現 役 芸 妓 が 自分 一 人 が 所 属 す る だ け の 置 屋 を して い る こ とが 多 い た め で あ る。 複 数 の 芸 妓 を抱 え、 生 活 か らお 稽 古 、 着 物 ま で 面 倒 を み て 育 成 す る 京 都 の よ う な 置 屋 は、 東 京 で は ほ とん どな くな っ て い る の が 現 状 で あ る 。 つ ま り、 い わ ゆ る 「芸 者 屋 」 の 看 板 を持 っ て い る と い わ れ る芸 妓
も 「一 人 置屋 」 の 状 況 で あ り、希 望 者 の 面 倒 をみ る こ とが 重 要 で あ る点 は 認 識 され て い る が 、 住 宅 事 情 か ら難 しい の が 実 情 で あ る。 土 地 価 格 の 高 い 東 京 で 、 複 数 人 が 一 緒 に生 活 で きる よ う な住 居 を 有 す る芸 者 は 非 常 に少 な く、 結 果 と して 住 込 み で 芸 者 希 望 者 を預 か る こ と は 困 難 と な り、 花 街 の 外 か ら花 街 に通 勤 す る とい う こ と も見 受 け ら れ る 。 この 結 果 、 京 都 花 街 で は 必 須 で あ っ た 、新 人 芸 舞 妓 と当初 彼 女 た ち を 受 け 入 れ 指 導 す る 置屋 の 経 営 者 の 間 に結 ば れ る 擬 似 親 子 関係 は 仕 組 み と して は 存 在 す る が 、 機 能 と して は 京 都 ほ ど強 固 な もの で は な か つ た 。 置 屋 に よっ て は 、 若 い芸 者 た ち に住 居 を提 供 す る と ころ もあ り、 生 活 を通 じた 人 間 関 係 を構 築 し よ う と努 力 も され て い る。 しか し、 生 活 空 間 を共 有 し なが ら、 立 ち居 振 る 舞 い な ど、 必 要 な 技 能 を短 期 間 に密 度 を濃 く教 え る こ とは 難 しい 状 況 で あ る 。 向 島 の よ うに 置 屋 と料 亭 を 兼 業 して い る場 合 は 、 経 営 者 が お 母 さ ん と して 生 活 と現 場 の 両 面 で 指 導 を す る こ と もで きる が 、 これ は東 京 の 他 の 花 街 で は 一 般 的 な形 態 と し て 定 着 して い ない 。 通 常 、 料 亭 は料 亭 、 置 屋 は 置 屋 で あ り、 そ れ ぞ れ が 独 立 した事 業 者 と して お もて な し産 業 に 関 わ って い る。 ま た お 姉 さ ん と い う 先 輩 が 後 輩 の 責 任 を も っ て指 導 す る と い う擬 似 姉 妹 関係 の 仕 組 み も、 同 じ置 屋 の 先 輩 後 輩 の 関 係 と して存 在 す るが 、 京 都 の よ う に名 前 を共 有 す る とい っ た 明 確 な 関係 性 を持 つ 場 合 は 非 常 に少 な く、 こ の 関 係 性 を結 ば な い とデ ビ ュー が で きな い と い つ た構 造 上 の 特 徴 は 見 受 け られ な か っ た 。 これ ら調 査 か ら 明 らか に な っ た 東 京 の 芸 者 に 求 め られ る技 能 とそ れ らの 育 成 や 評 価 な ど に 擬 似 家 族 関 係 や 周 囲 の 関係 者 が どの よ うな 役 割 を果 た す か を、 京 都 花 街 の 事 例 と同 じ枠 組 み で 整 理 す る と、 図 表4の よ う に ま とめ ら れ る。 図 表4か ら、 見 番 で の お稽 古 に よる 技 能 形 成 、 現 場 で の 先 輩 か らの 指 導 な ど、技 能 の 形 成 につ い て の 仕 組 み は京 都 花 街 とは 違 い は な い が 、 関 わ る多 様 な 関 係 者 の 存 在 に つ い て は 、 京 都 と比 較 す る と少 な い 。 し たが っ て 、 お も て な し産 業 の 中 でdevelopmentalnetworkの 数 が 少 な く な り、新 規 参 入 した 若 手 を取 り巻 く 関 係 性 の 多 様 性 が 十 分 に あ る とは い え な い こ とが わ か る。 こ う した 東 京 の 擬 似 親 子 関 係 の構 築 の特 色 と して 、 取 引 制 度 の 違 い を上 げ る こ とが で き る。 京 都 で は 、顧 客 の接 点 と な り置 屋 へ 芸 舞 妓 の派 遣 を依 頼 す るお 茶 屋 と い う仕 組 み(西 尾 、2007:50-54)が あ るが 、 東 京 に は お 茶 屋 は な い 。 東 京 の 花 街 の 顧 客 は 、 料 亭 を 窓 口 と して 芸 妓 を 宴 席 に呼 ぶ こ と に な る。 料 亭 は 所 属 す る各 地 域 の 見 番 に 芸 妓 の 派 遣 を依 頼 し、 見 番 は 指 名 さ れ た 芸 妓 に 料 亭 へ の 仕 事 を つ な ぐ とい う仕 組 み で あ る。 この よ う に顧 客 の 窓 口 と して は 同 じ機 能 を 持 つ 東 京 の 料 亭 と京 都 の お 茶 屋 で あ るが 、 東 京 で は 料 理 人 が 雇 用 さ れ料 理 が 提 供 され る 料 亭(い わ ゆ る割 烹 料 亭)が 多 い の に 対 し、 京 都 の花 街 の お 茶 屋 で は料 理 は直 接 つ く らず 、 料 理 屋 か 仕 出 し屋 か ら料 理 を と る こ と に な っ て い る点 に 違 い が あ る(西 尾 、2007:210一
お もて な し産業 に おけ る若手 人材 育成 に関 す る地域 比較 研 究 51 図表4東 京の芸者 の人材形成 に かかわ る関係者 の役割 広義の技能 狭義の技能 擬 似 家 族 関 係 関係 者 お客様 お客様(贔 屓) お女将 さん (見習い料亭) お姐 さん (置屋 ・芸者) お姉 さん 同輩 師匠 (見番の師匠 も含 む) 基本的技能 日本 舞 踊 、 三 味 線 、 鳴 物 、 笛 、 唄(長 唄 ・常 磐 津 ・地 唄 ・小 唄 ・端 唄)、 茶 道 評価 ・育成貴任 評価 ・育成責任 (重い) 即興性 場に応 じた基本 的技能 の披 露、臨機応変の客 あ しらい、 雰囲気 を見 る 評価 評 価 ・育 成 解価 ・援 助 ・育成貴任 (やや量い) 手 本 ・騨価 ・援助 ・育成 貴任 手 本 ・援 助 ・育 成 ・競 争 基礎教育 貴任 (形の指導) 手 本 ・援 助 ・競 争 経 験 がな いた め指 導で きな い 規範 立 ち居 振 る 舞 い 、花 街 言 葉 、 お 化 粧 、 着 物 、 花 街 の 習 慣 、 行 儀 作 法 手 本 ・評 価 ・管 理 ・育 成 責 任 (や や 重 い) 手 本 ・騨 価 ・管 理 ・育 成 責 任 (重 い) 手 本 ・評 価 ・援 助 ・育 成 手 本 、 評 価 、 育 成(注) (鯛査デー タに もとづ き、筆者作成) (注)芸 妓が お師匠 さん として指導 する場合は規範の手本となる。また、見番の稽古中には行儀作法、花街の序 列に基づ く立ち居振る舞 い等が必要 となるので、基礎的技能の習得中に、規範 も育 成され る。 221)。 そ れ ぞ れ 芸 妓 が 宴 席 に 同 席 す る こ と に 違 い は な く、饗 され る料 理 も基 本 的 に は 会 席 料 理 で あ り、 そ の 料 理 そ の もの の 内 容 に 地域 間格 差 が あ る わ け で は な い 。 しか し、 料 亭 とお 茶 屋 で は料 理 を 自 らの 店 で 提 供 す る か ど うか の 差 が あ る た め 、 東 京 で あ と く ち は料 理 を頼 まず に花 街 を気 軽 に 利 用(後 口 と 呼 ば れ る 二 次 会 利 用 な ど)す る 人 が 非 常 に 減 っ て しま っ た と い う。 料 亭 は 基 本 的 に飲 食 を す る た め の 場 所 で あ り、 か な らず し も芸 者 が 宴 席 に 同 席 す る必 要 は な い 。 経 営 者 と して は 、 高 付 加 価 値 の サ ー ビ ス と して 芸 者 が 必 要 で あ る こ とは 理 解 して い る が 、 お もて な しが 多 様 化 した 現 在 、 高 コ ス トに な る芸 者 をす べ て の お 座 敷 に 必 須 だ と い う営 業 姿 勢 を と る こ とが 少 な くな って い る。 もち ろ ん 、 芸 妓 を呼 べ る こ と は 料 亭 に と って 高 付 加 価 値 の サ ー ビ ス の 提 供 に な り、 そ れ が お も て な しの 質 を あ げ る こ と に つ なが る が 、 料 理 か 芸 妓 か ど ち ら を 重 視 す る か 選 択 を 迫 られ る と、 必 須 の 料 理 の 充 実 や 工 夫 に 経 営 努 力 が 注 が れ る結 果 と な っ て い る 。 そ の結 果 、 置 屋 が 新 人 を 受 け 入 れ 若 手 芸 妓 を育 成 す る努 力 を して い る 一 方 で 、 料 亭 が 積 極 的 に芸 妓 の 仕 事 の 場 を増 や す 努 力 を して い る と は言 え な い 状 況 も生 じて い る 。 お 茶 屋 が 顧 客 に最 もふ さわ しい お もて な しの た め に 芸 妓 の マ ッチ ング を考 慮 す る こ と と、 料 理 が メ イ ン とな る こ とが 多 い 料 亭 で の 宴 席 で は 、顧 客 満 足 を考 慮 す る と両 者 の 芸 妓 へ の 育 成 へ の か か わ りに差 が 生 じ る こ とは 必 然 と
い え よ う。 さ ら に 、バ ブ ル景 気 の 崩 壊 以 降 、 東 京 で は 料 亭 の 廃 業 も多 い。 料 理 部 門 を兼 業 し、 規 模 を拡 大 し高級 化 す る とい う選 択 が 、 お も て な しの 多 様 化 、 低 価 格 化 とい う花 街 を取 り巻 く 環 境 変 化 に適 応 で きな か っ た た め 、 結 果 と し て 若 手 の 芸 者 に とっ て は 、 せ っ か くや りが い を求 め て 芸 者 に な っ た と して も、 仕 事 の 場 で あ りOJTの 場 で もあ るお 座 敷 の 減 少 とい う こ とに もな つて い る。 一 方 、 料 亭 が 置 屋 を兼 業 して い る 向 島で は 、 芸 者 が お座 敷 の 数 を こ な せ る よ う に 手 軽 に利 用 で き る よ う な 形 態 も とつ て お り、 こ の 地 域 で 若 い 芸 妓 が 増 加 して い る こ と を考 慮 す る と、 料 理 もサ ー ビ ス も最 高 級 の もの を組 み 合 わ せ て提 供 す る と い う形 態 しか な い 地 域 で は 、 仕 事 の増 加 の 見 込 み は 厳 し く、 若 手 が 技 能 を 磨 い て も、 長 期 的 な キ ャ リア 形 成 の展 望 が 見 え に くい の が 現 状 で あ る。 この た め 、 芸 者 に な りた い と い う若 い 人 に は、 「今 の 仕 事 を辞 め ず にお 稽 古 を しな が ら、 少 しず つ 慣 れ て い って は」 と助 言 をす る と い う関 係 者 も い た 。 生 活 面 で は、 置 屋 へ の 住 込 み は 現 代 の 若 者 に と っ て は 精 神 的 に も生 活 様 式 に お い て も ハ ー ドル が 高 い た め 、 芸 者 に な る た め に 自分 の 暮 ら し方 を優 先 で きる 、 「通 い 」 とい う東 京 の 方 法 が 、 京 都 の住 込 み よ りは あ る 意 味 で は 適 して い る と考 え られ る。20代 半 ば な ど、 あ る程 度 年 齢 を経 て い る 希 望 者 の場 合 は 、 この 方 法 の ほ うが 、 や っ て み よ う とい う気 持 ちの 後 押 しに な っ た とい う話 を 聞 き とる こ と もで きた 。 しか し、 一 緒 に暮 らす こ と に よ っ て 、 チ ー ム で お も て な し をす る と き に必 須 で あ る他 者 へ の 気 遣 い が は ぐ く まれ る の も事 実 で あ る。 この デ メ リ ッ トを解 消 す る た め に、 朝 食 を一 緒 に と る こ と を義 務 付 け て 、 感 謝 の 気 持 ち を そ の 場 で 言 葉 に 出す こ と を 習慣 に して い る と い う置 屋 の経 営 者 もあ っ た。 5-3.金 沢 か ず え 金 沢 に は 現 在3つ の 花 街(東 、西 、 主 計 町) が あ り、 そ の 歴 史 は加 賀 藩 が1820年 に 市 中 に あ っ た お茶 屋 を、 現 在 の 東 茶 屋 街 と西 茶 屋 街 の あ た りに 集 め た こ と に さか の ぼ る こ とが で き る(金 沢 市 教 育 委 員 会 、1975)。 茶 屋 建 築 と 称 され る 町 家 が 立 ち 並 ぶ こ れ らの 地 域 は、 石 畳 や 趣 の あ る街 灯 も整 備 さ れ 、 観 光 客 が 多 数 訪 れ る名 所 に な っ て い る。 これ ら三 茶 屋 街 に 所 属 す る 芸 妓 の 人 数 は 、 2000年 を底 に 増 加 傾 向 に あ る 。 特 に2003年 か しんばな らは 毎 年 「新 花 さ ん」 と呼 ば れ る新 人 芸 妓 が デ ビ ュ ー し、 金 沢 の花 街 に活 気 を もた ら して い る。 こ の 人 数 の 変 遷 を ま とめ る と、 図 表5 の よ う に な る 。 図表5金 沢三 花街 芸妓 数 の変 遷 中 芸妓認数 中 当該年度の新人蝕 51 鋤 眸1朗3旧 現在 金測遡 魏 振贈 周組合の四べをもとに髄 幟
お もてな し産業 に おけ る若手 人材 育成 に 関す る地域 比較 研 究 53 そ こで 、2010年 か ら2011年 に か け て 、 金 沢 の三 茶屋 街 す べ て の組 合 の 幹部 に イ ン タ ビュー 調 査 を実 施 した 。 ま た 、 金 沢 市 の 観 光 関 連 部 門 の担 当 者 や 観 光 協 会 の 幹 部 、 お 茶 屋 の顧 客 な どに も イ ン タ ビ ュ ー調 査 を実 施 した。 さ ら に、 金 沢 の 花 街 で 開 催 され る踊 りの 会 な ど技 能 発 表 会 や 芸 妓 の 技 能 披 露 が さ れ るお 茶 屋 で の お 座 敷 体 験 の 会 に も参 加 し、 参 与 観 察 記 録 も作 成 した 。 そ して 、 これ らの 調 査 デ ー タ を 研 究 課 題 に基 づ き分 析 した 。 5-4.金 沢 の擬 似 家 族 関係 の 特 色 金 沢 の 花 街 の仕 組 み は 京 都 と同 様 にお 茶 屋 が あ り、 お 茶 屋 が 顧 客 の 要 望 に応 じて 、 芸 妓 を置 屋 か ら呼 ぶ 方 式 で あ る。 芸 妓 は 置 屋 に所 属 し、 お 茶 屋 か ら依 頼 が あ れ ば 、 料 亭 や ホ テ ル な ど地 域 外 へ も出 張 す る こ とが 可 能 な の も、 京 都 と同 様 の取 引 制 度 で あ る。 そ の た め 、 一 次 会 は 料 理 屋 の 宴 会 に 、 二 次 会 は お 茶 屋 の お 座 敷 に と芸 妓 の 仕 事 の 幅 も広 い 。3つ の花 街 か ら宴 席 の 規 模 や 顧 客 の 要 望 に 応 じて芸 妓 が 集 め られ て宴 席 に 同席 す る事 も可 能 で あ る た め 、 花 街 の壁 を越 え た 多 様 な 人 間 関係 も存 在 して い る。 さ ら に 金 沢 の 三 茶 屋 街 の特 色 と して 、 お 茶 屋 と置 屋 の 兼 業 を あ げ る こ とが で き る。 お 茶 屋 の 経 営 者 は す べ て 置 屋 を 経 営 し、 そ の 多 く は現 役 の 芸 妓 で あ る 。 お 茶 屋 が 置 屋 を兼 業 し て い る た め 、 顧 客 の ニ ー ズ に応 じた 芸 舞 妓 の 手 配 が 可 能 で あ り、 新 人 の 芸 妓 の お 座 敷 に は 、 経 営 者 の 芸 妓 自身 、 も し くは指 導 が 可 能 な 先 輩 芸 妓 が 同 席 す る な ど 、 人 材 育 成 に配 慮 した 仕 事 経 験 を 設 定 す る 工 夫 が さ れ て い る 。 ま た 、 衣 装 な ど 当 初 の 負 担 につ い て 、 所 属 置 屋 の 配 慮 が あ り、 未 経 験 者 も参 入 しや す くな っ て い る 。 そ の た め 置屋 に所 属 す る新 人 芸 妓 と、 経 営 者 の 結 びつ き も密 接 で あ り、 擬 似 親 子 関 係 が 円滑 に 構 築 され て い る。 以 前 は置 屋 へ の 住 込 み 形 式 で あ つ た が 、 最 近 は 自宅 や 近 隣 の 住 居 か らの 通 い で あ る。 こ う した 変 化 に対 応 す る た め に 、 若 い 芸 妓 は 、 置 屋 か らお 座 敷 に 行 き、 終 了 後 は 置 屋 に 戻 る よ う な 工 夫 もな さ れ 、 お 座 敷 の 都 度 に フ ィ ー ドバ ッ ク を うけ や す い 仕 組 み を作 り、 置 屋 の 経 営 者 や 置 屋 に 所 属 す る 先 輩 た ち と の 関 係 性 が 自然 に 濃 くな る よ う に さ れ て い た。 た だ 、 京 都 の よ う に 同 じ街 の 中 で 、 名 前 を共 有 す る擬 似 姉 妹 関 係 は 結 ば れ て い な い 。 同 じ置 屋 に所 属 す る 先 輩 と後 輩 に は、 擬 似 姉 妹 関係 に 似 た構 造 もあ るが 、 他 の 置 屋 に所 属 す る先 輩 芸 妓 と擬 似 姉 妹 関 係 を結 ぶ と い っ た 事 業 者 の 壁 を 越 え た 構 造 化 に ま で は 至 って い な い 。 これ ら調 査 か ら明 らか に な つ た 金 沢 の 芸 妓 に 求 め られ る技 能 とそ れ らの 育 成 や 評 価 な ど に擬 似 家 族 関 係 や 周 囲 の 関 係 者 が どの よ う な 役 割 を果 た す か を 、 京 都 花 街 の 事 例 と同 じ枠 組 み で整 理 す る と、 図表6の よ う に ま と め ら れ る。 図 表6か ら、 検 番5)で の 技 能 形 成 、 現 場 で の先 輩 か らの指 導 な ど、 技 能 の 形 成 につ い て の仕 組 み は京 都 花 街 と大 きな 違 い は な い が 、 関 わ る 多 様 な 関 係 者 の 存 在 に つ い て は、 京 都 と比 較 す る と擬 似 姉 妹 関 係 と見 習 い 茶 屋 の お
図表6金 沢の芸 妓 の人材 形成 にか かわ る関係 者 の役割 広義 の技能 狭義の技能 擬 似 家 族 関 係 関係者 お客様 お客様(晶 屓) お母 さん (お茶屋兼置屋 兼芸妓) お姉 さん (同じ置屋) お姉 さん (他の置屋) 同輩 師匠 (検番の師匠 も含む) 基本 的技能 日 本 舞 踊 、 三 味 線 、鳴 物 、 笛 、 唄(長 唄 ・常 磐 津 ・地 唄 ・小 唄 ・端 唄)、 茶 道 手 本 ・解 価 ・育 成 責 任 (量 い) 手 本 ・解 価 ・育 成 (や や 重 い) 即興性 場に応 じた基本的技能の披 露、臨機応変の客あ しらい、 雰囲気を見る 評価 評 価 ・育 成 手本 ・評価 ・援 助 ・育成 責任 (重 い) 手 本 ・評 価 ・援 助 ・育 成 (や や 重 い) 手 本 ・援 助 ・育 成 ・競 争 基礎教育 貴任 (形の指導) 手 本 ・援 助 ・競 争 経験 が ないた め指鄧 できな い 規範 立 ち 居 振 る 舞 い 、花 街 言 葉 、 お 化 粧 、 着 物 、 花 街 の 習慣 、 行 儀 作 法 手本 ・評価 ・管理 ・援 助 ・育 成貴任 (重 い) 手 本 ・評 価 ・管 理 ・育 成 貴 任 (や や 重 い) 手 本 ・評 価 ・援 助 ・育 成 手 本 、 評 価 、育 成(注) (注)芸 妓 がお師 匠 さん と して は指導 す る場合 は規 範の手 本 とな る。 また 、検 番の 稽古 中 には 行儀 作法 、 花 街の 序列 に基 づ く立 ち居 振 る舞い等 が必 要 となる ので 、基礎 的 技能 の習 得 中に 、規範 も育成 され る 。 圏査データにもとづき、毎者作成 母 さ ん との擬 似 親子 関係 が な く、developmen-talnetworkは 、 置 屋 兼 お 茶 屋 の経 営 者 と の 関 係 性 を 中 心 に、 す べ て が 築 か れ て い る こ とが わか る。 そ の 結 果 、 金 沢 で は お茶 屋 の 経 営 者 の 指 導 の 目が 若 手 芸 妓 に行 き届 く こ と に な っ て お り、 こ こ数 年 継 続 的 に新 規 に 参 入 す る芸 妓 が 育 成 され る と い う結 果 につ な が って い る。 また 、 置 屋 に複 数 の芸 妓 が 所 属 して い る こ と が 多 く、 先 輩 後 輩 の 関係 性 の 重 要 性 が 芸 妓 同 士 に 自覚 され て い た。 こ う した イ ン タ ビ ュー 調 査 の結 果 か ら、 京 都 の 擬 似 姉 妹 関係 ほ ど明 確 な仕 組 み で は な い が 、 そ の 存 在 が あ る こ と も指 摘 で き る。 さ らに 、 顧 客 の 情 報 を お 茶屋 の 経 営 者 が 有 し て い る の で 、 顧 客 を巻 き込 み developmentalnetworkを 形 成 す る こ とが 可 能 で あ る。 顧 客 が 若 い芸 妓 を育 て て くれ る と話 す お 茶 屋 の経 営 者 もお り、 現 場 経 験 を 通 じた 円 滑 な キ ャ リ ア形 成 に つ な が っ て い る 。 た だ 、 仕 組 み の 特 徴 と して 、 置 屋 を 兼 業 す る お 茶 屋 の経 営 者 一 人 に人 材 育 成 の 負 担 が か か る傾 向 が 強 く、 こ の 経 営 者 以 外 に若 手 人 材 の 育 成 にか か わ る人 が い な い と、 経 営 者 の リ ス ク(例 え ば 高 齢 化 に 伴 う経 験 値 で は カ バ ー し きれ な い時 間 的 な対 応 力 な ど)に 対 処 で き な くな って し ま う。 継 続 的 に キ ャ リ ア形 成 を す る た め に は 、擬 似 姉 妹 関 係 の 強 化 の 必 要 性 が 地 域 内 で 形 成 され る こ とが 必 要 とな る こ と が 京 都 との 比 較 か ら示 唆 され る。 ま た 、 金 沢 で 継 続 的 に若 手 芸 妓 が 増 え て い る背 景 と して 、 今 回研 究 対 象 と して と りあ げ たdevelopmentalnetworkの 存 在 だ け で な く、 地 域 の複 数 の 関 係 者 が 関 わ る 人 材 育 成 の 仕 組
お もてな し産業 に お ける若手 人材 育成 に 関す る地域 比 較研 究 55 み が 制 度 化 され て い る 点 も挙 げ る こ とが で き る 。 具 体 的 に は 、 若 手 の 芸 妓 の 数 が 急 減 した た め 、 昭 和57年 、 金 沢 商 工 会 議 所 が 中 心 と な っ て 金 沢 伝 統 芸 能 振 興 協 同 組 合 が 設 立 さ れ 、 芸 妓 の 支 援 に 乗 り出 して い る 。 そ の後 、 金 沢 市 が 芸 妓 の技 能 育 成 や 伝 統 文 化 技 能 発 揮 や 振 興 に 対 して補 助(新 人(3年 間)の 支 援 、 長 期 的技 能 形 成 へ の 支 援 、 事 業 を 通 じた 文 化 振 興 の 支 援)を 継 続 して 実 施 す る よ うに な り、 お茶 屋 が 新 人芸 妓 を育 て る た め の 支 援 や お 茶 屋 街 に観 光 客 が 訪 れ お 茶 屋 の お もて な しを手 軽 に 楽 しめ る よ うな 、 多 様 な 仕 事 機 会 の 拡 充 の た め の サ ポ ー トが な さ れ て い る。 6.発 見 事 実 か ら の考 察 と 結 論 京 都 花 街 と同 様 に 、 東 京 ・金 沢 で も伝 統 的 で か つ 専 門 的 な技 能 が 地 域 に 蓄 積 され 、 そ れ を活 用 した お も て な しサ ー ビ スが 提 供 さ れ て い た 。 こ う した伝 統 産 業 に お い て は 、 若 年 層 の 技 能 を 育 成 し、 後 継 者 と な る 人 材 を育 成 す る と い う共 通 の課 題 が あ る 。 そ の 課 題 の た め に地 域 独 自の 取 り組 み もな さ れ て い る。 そ の 実 情 を 本 論 の 研 究 課 題 に 沿 っ て 考 察 して い く こ と とす る。 ま ず 、 研 究 課 題1、 キ ャ リア 初 期 に あ る若 手 芸 妓 を取 り囲 む 擬 似 家 族 関係 は ど の よ う な 態 様 で あ り、 そ の キ ャ リ ア形 成 に どの よ う な 影 響 を与 え て い る か 、 につ い て 、 事 例 の 調 査 結 果 を も とに 比 較 検 討 して い く。 若 手 芸 妓 を 取 り囲 む 擬 似 家 族 関係 に つ い て は 、 い ず れ の 地 域 で もそ の 存 在 を確 認 す る こ とが で きた 。 しか し、 そ の擬 似 家 族 関 係 に は 地 域 に よ る違 い が 見 受 け られ た 。 東 京 で は、 置屋 の 経 営 者 が 芸 妓 で あ る た め 、 擬 似 親 子 関 係 と擬 似 姉 妹 関 係 が 一 体 と な つ た 関 係 性 が あ る が 、 仕 事 の 現 場 を マ ネ ジ メ ン ト す る料 亭 が 擬 似 家 族 関 係 に深 く結 び 付 け られ て い な い こ とが 特 色 で あ る。 ま た 、 東 京 で は 金 沢 で 見 ら れ た よ う な 地 域 団 体 や 行 政 か らの 支 援 が 少 な く、 擬 似 家 族 関係 の つ な が り も強 固 で は な い の で 、10代 の 若 年 者 を 受 け入 れ る こ とは 困 難 に な つ て い る。 そ の 結 果 、 芸 者 の 希 望 者 に現 在 の 仕 事 を 辞 め ず に芸 者 に な る た め の準 備 をす る こ と を勧 め る こ とな ど が な さ れ て お り、 希 望 す る 若 い 人 材 を早 い 段 階 か ら 長 期 的 に育 成 す る基 盤 が 整 っ て い る と は 言 い 難 い状 況 で あ る と考 え ら れ る。 一 方 、都会 であ る立地 を活か して、 あ る程 度 学 歴 や 仕 事 経 験 の あ る20代 半 ば の 新 規 参 入 希 望 者 が 現 在 の 仕 事 を続 け なが ら、 見 番 な ど で比 較 的 安 価 にお 稽 古 を して 技 能 を 向 上 させ つ つ 、 パ ー トタ イ ム で お もて な し産 業 の 仕 事 を 少 しず つ して こ の 業 界 に な じみ 、 顧 客 と の 関 係 性 もで きれ ば専 業 に す る か ど う か を判 断 す る と い う こ とが 、 東 京 の 花 街 で の キ ャ リア 形 成 の プ ロセ ス と して 見 受 け られ た。 住 込 み の 厳 しい 修 業 生 活 を 強 制 さ れ る こ と も な い た め 、 こ れ は 仕 事 経 験 が あ り自 分 で 生 計 を 立 て つ つ 伝 統 産 業 に従 事 した い 若 者 に は 適 して い る と い え よ う。 た だ 、 芸 事 を 充 分 に 習 熟 す る た め に は 時 間 的 な 余 裕 が 少 な く、 年 齢 の わ り に技 能 が 未 成 熟 と受 け 取 られ や す い と い う問 題 もあ る。 金 沢 で は 、 お 茶 屋 と置 屋 が 兼 業 さ れ 芸 妓
(元芸 妓)が 経 営 して い る た め 、 こ の経 営 者 を 中心 にdevelopmentalnetworkが 形 成 さ れ、 人 材 育 成 が 継 続 的 に さ れ て い た 。 また経 営 者 か ら衣 装 や 仕 事 へ の 配 慮 な ど新 人が 継 続 す るた め の サ ポ ー トが 手 厚 く、 地 域 で の仕 事 が 比 較 的 多 様 に あ る た め、 現 場 経 験 も積 み や す く、 長 期 的 な キ ャ リ ア形 成 に つ なが っ て い た。 た だ し、 京 都 と比 較 す る と、 擬 似 姉 妹 関 係 が 明 確 に構 造 化 され て お らず 、 関係 性 の 中 心 に存 在 す る お 茶屋 と置 屋 を兼 業 す る経 営 者 に何 か 問 題 が あ つ た 場 合 、 若 手 芸 妓 が10年 、20年 と 長 期 的 に キ ャ リア形 成 をす る こ とが 難 し くな る可 能 性 が あ る こ とが 予 測 さ れ る 。 京 都 で は 、 お 茶 屋 と置 屋 は そ れ ぞ れ 独 立 し た 事 業 で あ るが 、 兼 業 化 が 進 み つ つ あ る(西 尾2007:216-220)。 こ う した 状 況 が 進 む と、 金 沢 の よ う に経 営 者へ の 負 担 が か さむ 危 惧 が あ る。 しか し、 京 都 で は 、 見 習 い 茶屋 と い う 仕 組 み が あ る た め に 、 置 屋 とお茶 屋 の 兼 業 化 が 進 ん で も、 別 の お茶 屋 が 若 手 の 育 成 に積 極 的 か か わ る こ と、 ま た 擬 似 姉 妹 関係 が 結 ばれ 擬 似 親 子 関 係 と は異 な る ネ ッ トワー ク構 造 に 若 手 人 材 が組 み 込 ま れ て い る の で 、 金 沢 の よ う な長 期 的 キ ャ リア形 成 へ の 不 安 を軽 滅 す る こ と につ なが っ て い る。 こ う したdevelopmen-talnetworkの 持 つ 特 徴 が 、 京 都 の 舞 妓 の4割 ∼5割6)が デ ビュ ー 後 数 年 で 芸 妓 へ 変 わ り、 長 期 的 に お もて な し産 業 に従 事 す る キ ャ リ ア を選 択 す る こ と につ な が って い る と考 え られ る。 京 都 ・東 京 ・金 沢 の 三 地 域 のdevelopmental networkの 構 造 に違 い が 生 じた 理 由 と して 、 東 京 の 六 花 街 に あ る 料 亭 を 中 心 と した お もて な し産 業 の 取 引 制 度 の 仕 組 み を あ げ る こ とが で きる 。 東 京 の料 亭 で は お もて な しの 現 場 に 芸 妓 が 必 ず し も必 要 とい うわ け で は な く、 芸 妓 の 育 成 の た め の ネ ッ トワー クへ の 関 与 度 が低 い 。 これ は取 引 制 度 の面 か ら見 る と合 理 的 な 選択 で あ る とい え るが 、 お も て な し産 業 の 内 部 の 人 材 育 成 に 関 して は 長 期 的 キ ャ リ ア形 成 が促 進 され な い こ とに もつ なが つ て い る。 さ ら に京 都 や 金 沢 で あ れ ば受 け られ る 置屋 の経 営 者 か らの 新 人 へ の 衣 装 な どの サ ポ ー ト を 東 京 で は うけ る機 会 が 乏 し く、 若 手 が 売 上 の 見 込 み の 立 た ない 初 期 キ ャ リア の 段 階 で 退 出 せ ざ る を得 な い こ と も考 え られ る。 高 額 な 衣 装 や 継 続 的 に か か る お稽 古 の 費 用 な どの 負 担 は 、 仕 事 を 始 め て す ぐの 芸 妓 に は 大 きい と 考 え られ 、 そ の 点 に配 慮 し た サ ポ ー トが 人 間 関係 の 信 頼 と と も に周 囲 か ら受 け られ な い と、 新 規 参 入 者 が 定 着 す る 可 能 性 が 少 な くな る こ とが 予 想 さ れ る 。 次 に 、 研 究 課 題2、 複 数 地 域 の 擬 似 家 族 関 係 の比 較 か ら、 お もて な し産 業 にお け るdevel-opmentalnetworkと して の 特 色 を抽 出 で き る の か 、 で きる と した ら、 どの よ うな もの か 、 につ い て 事 例 の 調 査 結 果 を も とに 比 較 検 討 し て い く。 京 都 ・東 京 ・金 沢 の 三 地 域 のdevelopmental networkに 共 有 され る特 色 と して 以 下 の3つ を 上 げ る こ とが で きる 。 ま ず1点 目 は 、 関 係 性 に 強 弱 あ る が 、 擬 似 親 子 関係 と擬 似 姉 妹 関 係 とい う二 つ の 関 係 性 が 内在 され て い た こ とで あ る 。 こ れ らの 関 係
お もて な し産業 にお け る若手 人材育 成 に関す る地 域比 較研 究 57 は 、 そ れ ぞ れ は メ ン ター 制 度 と呼 ぶ よ りは 、 上 下 関 係 に結 び 付 け られ た 徒 弟 制 度 に近 い も の で あ るが 、 親 方 と被 指 導 者 とい う1対1の 関係 に と ど まる もの で は な く、 お も て な し産 業 の 複 数 の 関 係 者 に よっ て 構 築 され る 関係 で あ る こ と に特 色 が あ る 。 二 つ の 関 係 性 が お も て な し産 業 の 関 係 者 の 中 で 組 み 合 わ さ れ る こ とで 、 構 造 的 に 縦 と横 の 広 が り を持 つ よ うに な っ て い る。 擬 似 家 族 関 係 の 中 で 複 数 の 関 係 者 が 多 様 な 立場 か ら新 人 の 育 成 に 密 接 に か か わ る こ とが 、新 規 に参 入 した お もて な し産 業 の若 手 人 材 に 人 間 関係 に組 み 込 まれ る こ との 必 要性 を 自覚 させ 、 周 囲 の 人 間 関 係 に 配慮 す る姿 勢 を育 て る こ とに つ なが っ て い る。 これ が 「お も て な し」 に必 須 の 心 配 り、 気 配 りの で き る能 力 の 形 成 に も役 立 っ て い る と考 察 さ れ る 。 2点 目 は 、 師 匠 とい うお もて な し産 業 の 内 部 者 で は な い が 、 そ の 産 業 に 必 須 の 伝 統 的 な 芸 事 の技 能 育 成 に深 くか か わ る他 者 がdevelop mentalnetworkに 関 わ っ て い る こ とで あ る。 学 校 制 度 が 確 立 され て い る と ころ も、 見(検) 番 で の お 稽 古 の 地 域 で も、 複 数 の 伝 統 的 な 芸 事 を専 門家 か ら学 ぶ とい う こ とが な さ れ て い た 。 さ らに 個 人 的 に 師 匠 へ の お 稽 古 に 通 う例 も多 く、 地 域 を超 え た 芸 事 の 熟 達 を 目指 す developmentalnetworkが 結 ば れ て い る こ と も 聞 き取 る こ とが で きた 。 した が っ て、 新 人 か ら若 手 、 そ して 地 域 の 中 核 技 能 者 へ とキ ャ リ ア 形 成 をす る 過 程 で 、 自分 の 周 囲 以 外 で 専 門 技 能 を研 鐙 す る人 々 と関 わ り を容 易 に 持 て る 可 能性 が 高 くな り、 さ ら な る 高 み へ 技 能 の 熟 達 を促 す こ とに もつ な が る こ とが 示 唆 され る。 3点 目 は 、 お も て な しを購 入 す る顧 客 が 、 developmentalnetworkに 関 わ っ て い る こ とで あ る 。 京 都 や 金 沢 で は 、 地 方 都 市 と い う地 域 特 性 もあ り、 地 域 産 業 の 経 営 者 とお もて な し 産 業 との 接 点 が 数 多 くあ り、 新 人 の デ ビ ュー か ら技 能 育 成 の プ ロ セ ス を お もて な しの 現 場 で体 験 し、 オ ー ナ ー 経 営 者 で あ れ ば 世 代 交 代 す る まで の 長 期 間、 芸 妓 の キ ャ リア 形 成 の 過 程 を 自然 に 見 守 る こ と に な る。 東 京 は 政 治 や 経 済 の 中 心 都 市 で あ る た め 、 お もて な しサ ー ビス につ い て も眼 の 肥 え た 顧 客 層 が 地 方 都 市 よ り厚 く存 在 す る。 した が っ て 、developmen-talnetworkに 関 わ る よ う な繰 り返 し花 街 を利 用 す る顧 客 は 、 伝 統 的 な芸 事 や お も て な しの 技 能 の 発 揮 に つ い て 評 価 者 と して の 眼 を 有 す る こ とが 多 い と考 え られ る 。 京 都 ・東 京 ・金 沢 で は顧 客 は 単 にサ ー ビ ス を購 入 す る だ け で な く、 そ の消 費 の 経 験 を 通 じて芸 妓 の技 能 評 価 が で き る の で 、 芸 妓 の キ ャ リア 形 成 の プ ロ セ ス そ の もの に 関 わ っ て い る と考 え られ る。 さ ら に 、 これ ら3点 の 特 色 を組 み 合 わ せ て 考 察 す る と、 複 数 のdevelopmentalnetworkが お もて な し産 業 に は 内 在 され 、 相 互 に 関 係 性 を有 す る こ とが 類 推 さ れ る 。 同 じ街 同 士 の 人 間 関 係 だ け で な く、 芸 事 を 通 じて 他 の 地 域 の 芸 舞 妓 と も関 係 性 が 結 ば れ 、 地 域 の 壁 を越 え たdevelopmentalnetworkが お もて な し産 業 全 体 で は結 ば れ て い る こ とが わ か る 。 こ こ に 顧 客 も組 み 込 まれ て い る の で 、 お もて な しの 良 さ を理 解 し高 付 加 価 値 の サ ー ビス に納 得 して 対価 を支 払 う顧 客 が 地 域 の 壁 を越 え て 市 場 を
形 成 して い る可 能 性 も示 唆 さ れ る 。 ま た、 地 域 の 壁 を越 え た 人材 の 移 動 が 多 少 あ る こ とか ら も、 お もて な し産 業 界 全 体 と して 、 サ ー ビ ス ・プ ロ フ ェ ッシ ョナ ル と して 求 め る 人材 の 質 の 共 有 が な さ れ て い る こ と も類 推 され る。 最 後 に、 擬 似 家 族 関 係 が 結 果 と して 提 供 す る こ と に な る新 人へ の 時 間 的 な サ ポ ー トを取 り上 げ て 考 察 をす る 。 京 都 花 街 で は、 技 能 が 未 熟 で顧 客 に充 分 な 満 足 を与 え られ な い新 人 の 間 も、 擬 似 姉 妹 関 係 や 擬 似 親 子 関 係 の ネ ッ トワー ク を通 じて 、 姉 が 妹 を宴 席 に呼 ぶ こ と を顧 客 に依 頼 す る 、 お 茶 屋 が 新 人 をお 座 敷 の メ ンバ ー に加 え る な ど と、 お座 敷 の 場 に立 て る機 会 を顧 客 の ニ ー ズ だ け に 頼 る こ と な く、 作 り出 せ る よ うな 仕 組 み とな っ て い る。 同様 に お 茶 屋 兼 置 屋 の 経 営 者 が 顧 客 の 依 頼 だ け で な く、 新 人 へ の仕 事 を どの よ う に按 分 す る の か 、 配 慮 して い る こ と は金 沢 で も 聞 き取 る こ とが で き た。 した が って 、 擬 似 家 族 関係 が あ る こ とで 、 周 囲 の 人 か ら言 葉 をか け られ る だ け で な く、 新 人 に と っ て望 ま しい メ ンバ ー の 組 み あ わせ の仕 事 機 会 が 増 え 、 技 能 形 成 が 自 然 に促 され 、 そ れ に よ り個 人 の モ チ ベ ー シ ョ ンが 育 まれ て い る とい う効 果 もあ る こ とが 考 え られ る 。 こ の よ う に 擬 似 家 族 関 係 とい う キ ャ リ ア形 成 の た め の ネ ッ トワー ク は 、技 能 育 成 だ け で な く、 仕 事 機 会 の 増 加 、 仕 事 を す る 仲 間 へ の 愛 着 、 そ し て 長 期 的 に は 自 己 の キ ャ リア の 節 目 の 選 択 を 促 す こ と に もつ な が っ て い る こ とが 、 京 都 ・東 京 ・金 沢 との 比 較 か ら考 察 で き る。 京 都 で は 、擬 似 家 族 関係 が 機 能 す る こ とで 、 伝 統 産 業 に新 規 参 入 した 現 代 の 若 者 が 、 仕 事 経 験 を通 じて 多 様 な先 輩 芸 妓 と も な じめ る よ うに な り、 コ ミ ュ ニ テ ィへ の愛 着 も生 まれ る 環 境 が 整 っ て い る とい え よ う。 現 在 、 そ の 多 くが 京 都 出 身 で は な い 舞 妓 た ち が 、 数 年 の の ち に は約 半 数 程 度 が 芸 妓 に な つ て い る こ とか ら も、 地 域 の伝 統 産 業 に 継 続 的 に若 い 人 材 が 育 ち、 か つ 定 着 す る傾 向 が お もて な し産 業 の 中 にで きて い る こ とが わ か る。 これ が 、 ま た 次 世 代 の 新 人 を育 成 す る指 導 者 を生 み 出 す こ とや 、 関連 サ ー ビ ス 産 業 を立 ち 上 げ る 人 材 を 生 み だ す こ と に な り、 結 果 と して 産 業 の 長 期 的 継 続 につ な が っ て い る とい え よ う。 つ ま り、 お も て な し産 業 の よ う に現 場 経 験 を積 み なが ら キ ャ リア 形 成 を す る産 業 で は、 本 稿 で 明 らか に した よ う に 、developmental networkが 、 新 人 が キ ャ リア形 成 す る た め の 時 間 的 支 援 に つ なが る 仕 組 み と し て機 能 す る こ とが 重 要 で あ る こ とが 提 示 され る。 これ らの 事 例 分 析 か ら、 伝 統 産 業 に新 規 加 入 す る人 材 を継 続 的 に 育 成 し技 能 形 成 を 促 し、 伝 統 産 業 に定 着 させ るた め に は 、 金 銭 的 な保 証 だ け で は不 十 分 で あ る こ と も類 推 され る。 こ こ で構 築 さ れ るべ き キ ャ リ ア 形 成 に 有 効 なdevelop-mentalnetworkは 、 単 な る 地 縁 や 血 縁 で つ な が れ た擬 似 家 族 関 係 で は な く、 技 能 育 成 を継 続 的 に行 い 、 世 代 継 承 性 を 有 す る擬 似 姉 妹 関 係 の よ うな技 縁(産 業 共 同体 の 競 争 優 位 性 構 築 につ な が る技 能 や 人 材 の形 成 に 関 わ る ネ ッ トワ ー ク)と 、 お 茶 屋 や 置 屋 が 新 人 の 技 能 レ ベ ル を わ か って 提 供 す る よ う な質 縁(産 業 共 同 体 が 産 出 す る製 品 や サ ー ビス の 品 質 の 目利
お もて な し産業 にお け る若手 人材育 成 に関す る地 域比 較研 究 59 きが 可 能 な ネ ッ トワ ー ク、 サ ー ビ スが 出 来 上 が る過 程 の コ ンテ ク ス トを 共 有 す る)の 機 能 を 有 す る もの で あ る。 そ して 、 そ れ らの擬 似 家 族 関 係 に よ り、 新 人 か ら顧 客 ま で を 含 む 競 争 し協 業 す る 複 数 の 個 人 や 事 業 者 が つ な が り、 産 業 共 同体(コ ミュ ニ テ ィ)が 形 成 され る こ とが 重 要 で あ る。 ※本 研 究 は 平 成21年 度 京 都 女 子 大 学 研 究 経 費 助 成 に よ る研 究 、 並 び に 平 成22年 度 京 都 女 子 大 学 研 究 経 費 助 成 に よ る研 究 の 成 果 の 一 部 で あ る 。 〔注 〕 1)東 京 の 花 街 で は 芸 者 、 京 都 や 金 沢 で は 芸 妓 (げ い こ)と 呼 ば れ る が 、 同 じ職 業 で あ る 。 地 域 の 呼 称 を 尊 重 して 、 本稿 で は 東 京 の 事 例 で は 芸 者 、 京 都 や 金 沢 の 事 例 で は 表 記 を用 い て い る。 な お 、 事 例 全 体 を 通 じて 取 り上 げ る と き は 、 芸 妓(げ い ぎ)を 使 用 す る 。 2)関 係 の 強 さ(強 ×弱)お よび 多 様 性(高 ×低) と い う 二 つ の 軸 に よ っ て 、"receptive","tradi-tionar,"oPPortunistic","entrepreneurial"の 4つ の タイ プ を 提 示 して い る(Higgins&Kram, 2001:270)。 3)論 文 検 索 エ ン ジ ンProQuestを 使 用 した 結 果 、 Mggins&Kram(2001)の 引 用 論 文 は21件 、 う ち 公 刊 論 文 は6本 で あ っ た(2010年7月14日 時 点)。 4)2010年 現 在 、 新 橋(58人)・ 赤 坂(24人)・ 芳 町(16人)・ 神 楽 坂(25入)・ 浅 草(36人)・ 向 島(120人)で あ る 。 5)東 京 で は 見 番 、 金 沢 で は検 番 と表 記 され る が 、 そ の 役 割 に 違 い は な い 。 6)こ こ 数 年 の 筆 者 の 調 査 に 基 づ く概 数 で あ る 。 〔参 考 文 献 〕 (邦語 文 献) 秋 田 鉄 男 、1990、 『日 本 花 街 史 』 雄 山 閣 出 版 。 浅 原 須 美 、2007、 『東 京 六 花 街 芸 者 さ ん に お そ わ る和 の こ こ ろ 』 ダ イ ヤ モ ン ド ・ビ ッグ 社 。 加 護 野 忠 男 、1999、 『〈 競 争 優 位 〉 の シ ス テ ム 事 業 戦 略 の 静 か な 革 命 』PHP研 究 所 。 、2007、 「取 引 制 度:地 域 産 業 の 制 度 的 叡 智 」 『国 民 経 済 雑 誌 』196(1):109-118. 金 井 壽 宏 、2002、 『働 くひ と の た め の キ ャ リ ア ・デ ザ イ ン』PHP研 究 所 。 金 沢 市 教 育 委 員 会 、1975、 『旧 東 の く る わ 伝 統 的 建 造 物 郡 保 存 地 区 保 存 対 策 事 業 報 告 書 』 金 沢 市 文 化 財 紀 要6. 西 尾 久 美 子 、2006、 「芸 妓 ・舞 妓 の キ ャ リ ア 」 『日 本 労 働 研 究 雑 誌 』48(4):5-8. 、2007a、 『京 都 花 街 の 経 営 学 』 東 洋 経 済 新 報 社 。 、2007b、 「関 係 性 を 通 じた キ ャ リ ア 形 成 一 サ ー ビ ス ・プ ロ フ ェ ッシ ョナ ル の 事 例 一 」 『キ ャ リア デ ザ イ ン研 究 』3:47-62. 、2008、 「伝 統 産 業 の ビ ジ ネ ス シ ス テ ム」 『一 橋 ビ ジ ネ ス レ ビ ュ ー 』56(1):18-33. 、2008、 「伝 統 産 業 の マ ー ケ テ ィ ン グ ・ マ ネ ジ メ ン トー 京 都 花 街 の お け る リ レー シ ョ ン シ ッ プ ・マ ー ケ テ ィ ン グの 事 例 」 『現 代 社 会 研 究 』11:69-78. 西 尾 久 美 子 ・森 元 伸 枝 、2008、 「人 材 育 成 と 競 争 の 制 御 一 京 都 花 街 と神 戸 ス ウ ィ ー ツ の 事 例 一 」 『国 民 経 済 雑 誌 』197(4):85-102. 藤 井 博 ・金 井 壽 宏 ・開 本 浩 矢 、1988、 「ミ ドル ・ マ ネ ジ ャ ー に と っ て の メ ン タ リ ン グ」 『ビ ジ ネ ス レ ビ ュ ー 』44(2):50-78. (欧 米 文 献)
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[参 考 ウ ェ ッ ブ ペ ー ジ]
朝 日新 聞 社(asahi.com)2009年2月3日 記 事
http://www.asahi.com/showbiz/stage/koten/SE B200902020024.html
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