平成28年3月18日
京都大学原子炉実験所
研究用原子炉(KUR)
敷地周辺・近傍の地質・地質構造
目次
1.敷地周辺の地質・地質構造
・敷地周辺の活断層の分布状況
・中央構造線断層帯
・上町断層帯
・生駒断層帯
・大阪湾断層帯
2.敷地近傍の地質・地質構造
・敷地近傍に分布する断層等の評価
・まとめ
15万分の1地質図幅 「岸和田地域の 地質」 地質調査所(1986)に加筆 敷地では大阪層群最下部層が薄く(約185m)分布し、その下位は 堅硬な領家花崗岩類(白亜紀前期の成合花崗岩:片状黒雲母花 崗岩)からなる。 1.敷地周辺の地質・地質構造 1.1 敷地周辺・近傍及び敷地の地質 2 平成27年6月5日 審査会合資料再掲
敷地を中心とする半径約100kmの範囲における地震本部に よる活断層(震源として考慮する活断層)帯の分布 (陸域は岡田・東郷(2000)、中田・今泉編(2002)(四国地方のみ)及び近藤・他 (2015)による。海域は横倉・他(1998)による) 断層帯断層長さ ※2 (km) 最短距離 (km) ※3 等価震源距 離(km) ※4 M※5 ①※1 86 6.1 17.0 8.1 ②※6 84 4.1 17.2 8.0 ③ 42 27.8 50.8 7.5 ④ 42 25.9 36.8 7.5 ⑤ 84 70.0 109.3 8.0 ⑥ 59 82.0 107.6 7.8 ⑦ 31 85.6 95.6 7.3 ⑧ 31 67.2 85.6 7.3 ⑨ 35 48.3 63.2 7.4 ⑩ 94 61.9 89.5 8.1 ⑪ 55 51.1 51.9 7.7 ⑫ 83 40.6 45.2 8.0 ⑬ 124 54.1 87.2 8.3 ※1 金剛山地東縁から和泉山脈南縁に加え、紀淡海峡- 鳴門海峡区間の沼島近傍までの区間 ※2 ①、②以外は地震本部の長期評価及び岡田・東郷編 (2000)に基づき設定 ※3 地表断層の最短距離 ※4 ①、②以外は地震本部の長期評価・強震動評価に基 づき算出 (すべてアスペリティは考慮していない) ※5 松田(1975) により断層長さから算出 ※6 上町断層帯主部に近藤・他(2015)による湾岸部を加え た区間 3 平成27年3月4日 審査会合資料一部修正加筆 1.敷地周辺の地質・地質構造 1.2 敷地周辺の断層の分布状況
中央構造線断層帯の活動区間の設定
敷地への影響から和泉山脈南縁断層帯の活動区間を保 守的に考え、西端の和歌山北断層(伏在)の延長上の友ケ 島水道断層(紀淡海峡ー鳴門海峡区間)での反射断面(根 来断層と同じ北傾斜)を考慮して、友ケ島水道断層までを 含める。西端については中田・他(2004)による形態単位モ デルを参考に、沼島の西方とする(下図赤線)。結果として、 金剛山地東縁区間、和泉山脈南縁区間(ただし、紀淡海 峡ー鳴門海峡区間の一部を含める)の断層帯を考慮した 地震(断層長さ:86km、規模M8.1)を検討用地震として選定 した。また中央構造線断層帯全体が同時に活動する可能 性や別府ー万年山断層帯との連動も否定できないことが 示されているため、全長480kmの断層帯(右図)を考慮した 地震も想定することとした。 中央構造線断層帯全体 (金剛山地東縁-別府・万年山断層帯区間) 中央構造線断層帯の新たに設定した活動区間 沼島 沼島近傍拡大図 沼島 金剛山地東縁区間 和泉山脈南縁区間 延長区間 敷地 審査会合資料再掲 4中央構造線断層帯(金剛山地東縁ー和泉山脈南縁区間)
地震本部(2003,2011)から抜粋 中央構造線断層帯全体 (金剛山地東縁-別府・万年山断層帯区間) 中央構造線断層帯 (金剛山地東縁-和泉山脈南縁区間) ((1)中央構造線断 層帯を構成する 断層(紀伊半島 地域) 当麻断層、山口断層、金剛断層、山田断層、五条谷 断層、桜池断層、根来断層、磯ノ浦断層、和歌山北 断層、友ヶ島水道断層 (2)断層帯の位置・ 形状等 長さ 全体:約360km 金剛山地東縁:約23km 和泉山脈南縁:約44-52km 紀淡海峡-鳴門海峡:約43-51km 一般走向:N70°E (金剛山地東縁は、N-S) 傾斜 金剛山地東縁:西傾斜15-45° (深さ300m 以浅) 和泉山脈南縁及び紀淡海峡:北傾斜15-45° (深さ1km 以浅) (3)断層のずれの向 きと種類 右横ずれ断層(上下方向のずれを伴う) 金剛山地東縁部は西側隆起の逆断層 (4)過去の活動時期 金剛山地東縁 活動1(最新活動):約2千年前以後、4世紀以前 和泉山脈南縁 活動1(最新活動):7世紀以後、9世紀以前 活動2:約1万4千年前以後 活動3:約1万8千年前以後、約1万3千年前以前 活動4:約2万2千年前以後、約2万年前以前 活動5:約2万4千年前以後、約1万9千年前以前 活動1より前のそれぞれの活動の間に別の活動 があった可能性がある。 平成27年1月30日 審査会合資料再掲 5吉川ほか(1992)
中央構造線断層帯の構造探査事例
吉川ほか(1992)による反射法弾性波探査 測線位置図
審査会合資料再掲
中央構造線断層帯の構造探査事例
吉川ほか(1992)による反射法弾性波探査
吉川ほか(1992) 平成27年1月30日 審査会合資料再掲 7大都市大震災軽減化特別による反射法地震波探査
文部科学省研究開発局, 東京大学地震研究所、京都大学防災研究所、独立行政法人防災科学技術研究所(2007)に測線図を追加 審査会合資料再掲
反射法測線位置(赤線):左が和歌山北測線、右が岩出測線 文部科学省研究開発局・国立大学法人京都大学防災研究所 (平成25年度成果報告書)
中央構造線断層帯(金剛山地東縁-和泉山脈南縁)における
重点的な調査観測によるP波反射法地震探査
平成27年1月30日 審査会合資料再掲 9和歌山北測線解釈図。鉛直方向に2倍誇張 文部科学省研究開発局・国立大学法人京都大学防災研究所 (平成25年度成果報告書)
中央構造線断層帯(金剛山地東縁-和泉山脈南縁)における
重点的な調査観測によるP波反射法地震探査
50 0 -100 -200 -300 -400 -500 -600 -700 -800 -900 -1000 -1100 -1200 -1300 -1400 level ( m ) level ( m ) 50 0 -100 -200 -300 -400 -500 -600 -700 -800 -900 -1000 -1100 -1200 -1300 -1400 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 location (meter) A,B,C,Dは堆積層反射面 審査会合資料再掲 10岩出測線解釈図。鉛直方向に2倍誇張。
中央構造線断層帯(金剛山地東縁-和泉山脈南縁)における
重点的な調査観測によるP波反射法地震探査
文部科学省研究開発局・国立大学法人京都大学防災研究所 (平成25年度成果報告書) 200 100 0 -100 -200 -300 -400 -500 -600 -700 -800 -900 -1000 -1100 -1200 -1300 -1400 200 100 0 -100 -200 -300 -400 -500 -600 -700 -800 -900 -1000 -1100 -1200 -1300 -1400 5500 5000 4500 4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 location (meter) level ( m ) level ( m ) A,B,Cは堆積層反射面 平成27年1月30日 審査会合資料再掲 11地震本部(2011)
中央構造線断層帯(和泉山脈南縁以西への連続性)
審査会合資料再掲吉川ほか断面との比較のため、オリジナルを左右反転
横倉ほか(1998)による紀淡海峡における反射法弾性波探査
地震本部(2011) 平成27年1月30日 審査会合資料再掲 13中田・他(2004) 中田・後藤(1998)
中央構造線断層帯(金剛山地東縁及び和泉山脈南縁区間)として
新たに考慮する活動区間
これまで活動区間を和泉山脈南縁 断層の西端(陸の境界)としていたも のを、より保守的に紀淡海峡-鳴門 海峡区間の沼島の西方(赤線)まで 西に延長した。沼島近傍での活断層 の分布が中田・他(2004)による形態 単位モデルと類似する。 以上から、新たに考慮する活動区 間として、金剛山地東縁区間の北端 から紀淡海峡-鳴門海峡区間の沼 島 西 部 ま で の 断 層 長 86km 、 規 模 M8.1を検討用地震として選定した。 沼島 金剛山地東縁区間 和泉山脈南縁区間 延長区間 敷地 平成27年4月24日 審査会合資料再掲 14上町断層帯における重点的な調査観測(平成22年~平成24年度:文部科学省研究開発 局、京都大学防災研究所)によって、上町断層帯の詳細な調査研究が実施され、その結 果、活動区間として神崎川付近の上町断層から久米田池断層に至る約37km(佛念寺山断 層は活断層ではないと評価)を評価。さらに、大津川河口付近から沿岸部を南西へ阪南市 箱作周辺までの約26kmを新たに活動区間として評価。全体の活動区間としては約51km。 以上の結果から、上町断層帯主部(約46km)に加え、沿岸部に推定された活動区間(約 26km)なども考慮した 地震(断層長さ:84km、規模M8.0)を検討用地震として選定した。
上町断層帯の活動区間の設定
沿岸部区間 地震本部(2004)による佛念寺山 断層から久米田池断層までの区間 重点調査による上町断層帯の活動区間 平成27年4月24日 審査会合資料一部修正 15上町断層帯(佛念寺山断層ー久米田池断層区間)
地震本部(2004)から抜粋 ((1)上町断層帯を 構成する断層 佛念寺山断層、上町断層、長居断層、坂 本断層、久米田池断層、桜川撓曲(汐見 橋撓曲)、住之江撓曲 (2)断層帯の位置・ 形状 地表における断層帯の位置・形状 断層帯の位置 (北端)北緯34°49’ 東経135°29’ (南端)北緯34°26’ 東経135°25’ 長さ 約42km 地下における断層面の位置・形状 長さ及び上端の位置 地表での長さ・位 置と同じ 上端の深さ 0km 一般走向 N10°E 傾斜 東傾斜、65-70° (地下1km以浅) (3)断層のずれの向 きと種類 東側隆起の逆断層 (4)過去の活動時期 活動1(最新活動) 約2万8千年前以後、9千年前以前 審査会合資料再掲 16上町断層帯伏在部の深部探査事例
大阪市内中之島測線
吉川ほか(1987)による調査結果(活断層研究会編, 1991) 平成27年1月30日 審査会合資料再掲 17反射法地震探査(大津川測線:11.2km))
上町断層帯の反射法地震探査結果
(1)
測線と上町断層帯との関係 反射法地震探査による地質構造解釈図 上町断層帯における重点的な調査観測 平成22年~平成24年度:文部科学省研究 開発局、京都大学防災研究所 (加筆) 大津側測線 審査会合資料再掲 18上町断層帯の反射法地震探査結果
(2)
測線と上町断層帯との関係 反射法地震探査による地質構造解釈図 上町断層帯における重点的な調査観測 平成22年~平成24年度:文部科学省研究 開発局、京都大学防災研究所 (加筆) 反射法地震探査(高石-堺測線:10km)) 高石-堺測線 平成27年1月30日 審査会合資料再掲 19基図は国土地理院による5mDEMデータをもとに作成. 活断層の分布は岡田・東郷(2000)岸和田図幅より引用.