筑豊電気鉄道 5000 形低床式 LRV
※糸
いと永
なが幸
こう司
じ※※久
く保
ぼ勝
かつ裕
ひろ※※川
かわ渕
ぶち透
とおる写真 1 外観 要旨 筑豊電気鉄道株式会社(筑豊電気鉄道)は、北九州市の黒崎駅前と直のお方がた市の筑豊直方とを結ぶ全長 16.0 ㎞の路 線を営業している。1956 年の開業以来、相互直通運転を行っていた西日本鉄道株式会社(西鉄)北九州線及び西 鉄福岡市内線(いずれも廃止)の車両を借り入れ又は購入したうえで改造した 2000 形及び 3000 形を用いて運行し てきた。しかし、2000 形は製造から 50 年を超えているため経年劣化が著しく、新形の低床式 LRV を導入する こととなり、2015 年 3 月 14 日に新形低床式 LRV5000 形の運行を開始した。筑豊電気鉄道開業 59 年目にして初 となる新造車両 5000 形は、他事業者で導入実績のある低床式で省エネルギー性能に優れたアルナ車両株式会社 (アルナ車両)製リトルダンサー Type Ua を採用して、“人にやさしい”、“環境にやさしい”車両となっている。 以下にその概要を紹介する。 (編集部注:3000 形連接車は本誌 188 号 1989 年 10 月参照) 1 はじめに 筑豊電気鉄道は、北九州市の副都心黒崎を起点として中な か 間ま市を経て直の お方が たに至る全長 16.0 ㎞、21 駅の路線を営業し ており、年間 475 万人(2014 年度)のお客様にご利用頂い ている。筑豊電気鉄道は、1956 年の開業時から 2000 年ま で西鉄北九州線(2000 年廃止)と相互直通運転を行ってい た経緯から、普通鉄道でありながら路面電車タイプの 2000 形及び 3000 形車両を使用している。これらの既存車 両は、全て西鉄から借り入れ又は購入したうえで改造して 運行してきたが、中でも 2000 形は、製造から 50 年を超え る車両のため、経年劣化が著しく、保守部品なども製造中 止となっており、車両更新が喫緊の課題となっていた。 このため、福岡県、沿線 3 市(北九州市、中間市、直方 市)及び筑豊電気鉄道で組織する協議会にて検討を重ね、 国の補助制度(地域公共交通確保維持改善事業)を活用し ※ 筑豊電気鉄道㈱ 電車事業部 運輸車両課 ※※ アルナ車両㈱ 営業・技術部 写真 2 室内(C 車内から B 車を見る)
図
会社・車両形式 筑豊電気鉄道㈱・5000 形 使用線区 全線 軌間(㎜) 1 435 基本編成 A 車 -C 車 -B 車 使用線区の最急勾配 35 ‰ 用途 通勤用 電気方式 直流 600 V 車体製作会社 アルナ車両㈱ 製造初年 2014 年 台車製作会社 新日鐵住金㈱ 製作両数 1 両 主回路装置製作会社 ㈱東芝 車両技術の掲載号 250 基本編成及び 主な機器配置 凡例 ●;駆動軸 ○;付随軸 C-PCU;VVVF +補助電源装置 CP;電動空気圧縮機 <;パンタグラフ ◎;車椅子スペース 個別の車種形式 5000 5000 5000 車種記号(略号) A C B 空車質量(t) 23.0 t/ 編成 定員(人) 23 41 23 うち座席定員(人) 9 16 9 特記事項 電気駆動系主要設備 集電 装置 形式 / 質量(㎏) 方式 シングルアーム式 制御 装置 形式 / 質量(㎏) C-CPU 制御方式 2 レベル VVVF インバータ制御方式 仕様 1S2P×1 群 主電動機 形式 / 質量(㎏) TDK6407-D 方式 三相かご形誘導電動機 1 時間定格(kW) 85 回転数(min-1) 1 760 特記事項 車体懸架 最大 限流値 力行(A) ブレーキ(A) 電気ブレーキの方式 回生 / 発電ブレーキ ブレーキ 抵抗器 形式 / 質量(㎏) SR-292A 補助電源設備 補助電 源装置 形式 / 質量(㎏) APS / LVPS ユニット 方式 2 レベルインバータ方式 出力 30 kVA 蓄電池 種類 / 質量(㎏) 鉛蓄電池 容量(Ah) 65(5 時間率) 主な用途 車両性能 最高運転速度(㎞/h) 60 加速度(m/s2) 0.69(2.5 ㎞/h/s) 減速度 (m/s2) 常用 1.22(4.4 ㎞/h/s) 非常 1.39(5.0 ㎞/h/s) ユニット 当りの定格 ユニット構成 A 車+C 車+B 車 出力(kW) 170 速度(㎞/h) 引張力(kN) ブレーキ制御方式 回生 / 発電ブレーキ併用 電気指令式空気ブレーキ 電気指令式空気ブレーキ 制御回路電圧(V) DC 24 抑速制御 - 運転保安装置 ATS 列車無線 非常時運転条件 その他 表 1 筑豊電気鉄道 5000 形低床式 LRV 車両諸元
その他の主要設備 空調装置 形式/質量(㎏) RPU4021 方式 ON / OFF 制御方式 容量(kW) 14.5×2 台 暖房装置 容量(kW) 3 形式/質量(㎏) 標識灯 前部標識灯 ハロゲンランプ 後部標識灯 LED その他 その他 空気ブレーキ設備 電動空気 圧縮機 形式/質量(㎏) A3722BHS5 圧縮機容量 610 ㍑/min 圧縮機方式 往復形単動二段圧縮 空気タンク 元空気タンク 72.5 ㍑ 供給空気タンク 72.5 ㍑ ブレーキ 制御装置 形式/質量(㎏) 台 車 形式 動台車 SS13 付随台車 - 車体支持装置 ダイレクトマウント式 けん引装置 ボルスタアンカ 枕ばね方式 ゴムばね 上下枕ばね定数 / 台車片側(N/㎜) 動台車 696 付随台車 - 軸箱支持方式 山形緩衝ゴム方式 軸ばね方式 シェブロン方式 上下軸ばね 定数 / 軸箱 (空車時) (N/㎜) コイルばね 動台車 - 付随台車 - ゴムばね 動台車 付随台車 - 総合 動台車 1 618 付随台車 - 軸距(㎜) 1 650 台車最大長さ(㎜) 2 513 車輪径(㎜) 610 基礎 ブレーキ 動台車 てこ式踏面ブレーキ 付随台車 - ブレーキ倍率 動軸 7.89、従軸 8.5 制輪子 動台車 鋳鉄制輪子 付随台車 - ブレーキシリ ンダ×個数 動台車 2 付随台車 - 駆動方式 直角カルダン方式 歯数比(減速比) 5.82 継手 ユニバーサル継手 軸受 円筒ころ軸受 質量(㎏) 動台車 3 014 付随台車 - 記事 車体の構造・主要寸法 構体材料 / 構造 鋼製 車両の前面形状 非貫通 運転室 全室開放 長さ(㎜) 先頭車 17 600 (5 795+6 010+5 795) 中間車 連結面間 距離(㎜) 先頭車 17 600 中間車 心皿間距離(㎜) 10 000 車体幅(㎜) 2 380 高さ(㎜) 屋根高さ 2 870 屋根取付品上面 3 970(パンタ折り畳み高さ) 床面高さ(㎜) 380(乗降口 350) 車体特性・構造及び主要設備 相当曲げ剛性(MN・m2) 相当ねじり剛性(MN・m2/rad) 曲げ固有振動数(Hz) ねじり固有振動数(Hz) 内装材 メラミン化粧板 側窓構造 上部引違い式 妻引戸 - 側扉 構造 折戸(A 車、B 車)、 片引戸(C 車) 片側数 2 戸閉め装置 形式 方式 空気式 腰掛方式 ロングシート、クロスシート 車体連結 装置 先頭車 連結棒 中間車 上下連接装置 空調換気 システム 冷房方式 屋根上集中式空調装置 暖房方式 シーズ線ヒータ(腰掛下)、 温風ヒータ(ドア部) 換気方式 自然換気 送風方式 天井ダクト 室内灯 照明方式 直接照明 灯具方式 LED 照明 移動制約者設備 車椅子スペース 車椅子乗降用スロープ 便所 主要設備 - 汚物処理 - その他の主要設備 主幹制御器 形式/質量(㎏) 方式 右手操作ワンハンドル 速度計装置 指針式 車両情報制 御システム モニタ装置 - モニタ表示器 - 非常通報装置 あり 行先表示器 前面 LED 式 側面 LED 式 車内案内表示 液晶式 放送 車内向け あり、音声合成式 車外向け あり 車両間連結 電気系 両栓ケーブル 空気管系 空気ホース
て、福岡県、沿線 3 市及び筑豊電気鉄道がそれぞれ負担す る形で、新形低床式 LRV の導入計画が承認された。導入 計画では、2014 年度~ 2017 年度の 4 箇年において、各年 度 1 編成ずつの計 4 編成を導入することとなっている。今 回、新形低床式 LRV の第 1 編成目となる 5000 形車両が 2015 年 3 月 14 日に運行する運びとなった。5000 形は、 100%低床車両のため、高齢者、ベビーカー及び車椅子を 使用する方でも乗り降りがしやすく、“人にやさしい”とい う特徴がある(図 3 参照)。また VVVF 制御装置を採用し ていることから、既存車両の抵抗制御方式と比較して、省 エネルギー性能に優れるため、“環境にやさしい”という特 徴も合わせてもった車両となっている。 2 編成及び車両性能と主な特徴 5000 形は、A 車 -C 車 -B 車で構成する 3 車体連接 2 台 車方式の 100%低床車両である。両先頭の A 車及び B 車 は、駆動台車に低床構造の車体をダイレクトにマウントし ているため、車体と台車との間はボギー(回転)しない構 造となっている。C 車は、台車をもたない低床構造の車体 で、上下に設けた連接装置によって、前後の A 車及び B 車からフローティング支持されている。機器及び部品は、 実績のあるものを用いて極力シンプルな構成とすること で、操作性、保守性及び経済性を高めるとともに、不具合 発生の可能性を低減している。制御方式は、筑豊電気鉄道 として初となる VVVF インバータ方式を採用し、最高運 図 3 乗り降りしやすさの比較 図 2 車体断面
転速度は 60 ㎞/h とした。加減速度は、加速度 0.69 m/s2 (2.5 ㎞/h/s)、常用減速度 1.22 m/s(4.4 ㎞/h/s)、非常減2 速度 1.39 m/s(5.0 ㎞/h/s)とした。また、曲線通過性能及2 び登坂性能については、使用線区の最小曲線及び最急勾配 に対し、十分余裕をもった設計としている。 3 デザイン 3.1 エクステリアデザイン 外観は、前面窓ガラスに 3 次元曲面ガラスを採用すると ともに、先頭構体にも曲線形状を取り入れ、スタイリッシ ュでやさしいイメージとした。また、正面スカートは、 LRV の存在感をアピールするエッジの効いたボリューム のある造形とした。ボディーカラーは、福岡県と沿線 3 市 の花(福岡県:梅、北九州市:つつじ、中間市:コスモス、 直方市:チューリップ)を連想するピンク色を採用し、“有 彩色が外周を一回りするデザイン”とすることで、沿線地 域の皆様との“つながり”を表現した。 3.2 インテリアデザイン インテリアデザインは、木材を随所に採用するととも に、ホワイトの木目柄を基調とし、マルチストライプの鮮 やかな腰掛デザインを使用して、明るくモダンなデザイン とした(写真 2 及び 3)。 4 車体構造 4.1 主要寸法 3 車体での全長 17 600 ㎜、全幅 2 380 ㎜、床面高さは客 室 380 ㎜(台車上部 480 ㎜)、乗降口 350 ㎜とした。 4.2 構体 構体は、鋼製溶接組立構造で、前頭部のライトカバー、 スカート及び屋根おおいは、FRP 製とした。 5 客室 5.1 客室構造 天井及び内張りには、軽合金をベースとしたメラミン化 粧板を使用した。空調は、A 車及び B 車に空調ダクトを 設置し、C 車へは A 車及び B 車の妻から冷風を吹き出す 構造とした。客室照明については、LED 照明を採用し て、省エネルギー性の向上及びメンテナンス性の向上を図 っている。側窓上部は、機器スペースとして、アルミニウ ム合金製のきせを客室全長に渡って取り付けた。 5.2 室内設備 腰掛は、A 車及び B 車の一部にクロスシートを配置し たほか、ロングシートを配置して着座定員の増加を図って いる。袖仕切りは、大形の袖をもち、立っているお客様が 体を保持しやすい形状とした。また、C 車には、車掌が乗 務するため、乗降口の脇に車掌スペースを 2 箇所設けてい 図 4 有彩色が外周を一回りするデザイン 写真 3 室内(クロスシート部) 写真 4 室内(優先席部)
る。A 車及び B 車には、次駅案内表示及び運賃表示を行 なう 2 画面液晶ディスプレイを運転台背面仕切部に設けて サービス向上を図ったほか、パンフレットスタンドを設置 して沿線情報の PR などに活用できるスペースを設けた (写真 7)。なお、筑豊電気鉄道では、本車両の運行開始 と同時に全国相互利用が可能な交通系ICカード“nimoca” の運用を開始した。これに伴い、車内運賃収受を行うため の乗車用及び降車用のカードリーダを全扉に設置している (写真 5)。 5.3 窓及び扉 側窓は、下部固定・上部引違い式を採用して、十分な換 気を行える構造とした。扉は、A 車及び B 車は折戸方式、 C 車は戸袋付きの片引戸方式とした。有効開口は、折戸が 900 ㎜、片引戸が 1 200 ㎜とした。 5.4 バリアフリー・ユニバーサルデザイン対応設備 車内通路の幅は、“移動等円滑化のために必要な旅客施 設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令 (移動等円滑化基準)”で規定されている“800 ㎜以上”の寸 法に従って、最も狭い部分の幅で 880 ㎜を確保し、車椅子 使用者を含む全てのお客様が車内でスムーズに移動できる ようにした。優先席は、C 車の 2 箇所に設置した。同スペ ースは、つり手の色を黄色にするとともに、腰掛の表地の 色を一般席と異なる色とする事で優先座席である事を明確 にしている(写真 4)。車椅子スペースは、C 車の乗降口に 隣接して 1 箇所に設けた。同スペースは、はね上げ腰掛を 設置しており、座面をはね上げる事で車椅子スペースとし て使用できる構造である。はね上げた座面の露出面には、 車椅子使用者用の手すりを設置した(写真 6)。また、C 車 の乗降口部には、車椅子のお客様が容易に乗降出来るよう に、収納式のスロープを設置している(写真 8)。 6 運転室設備 運転士の操作機器類は、右手でワンハンドルマスコンを 操作しながら、戸閉めスイッチ、放送装置などのサービス 機器の操作がしやすいようにレイアウトしている。 写真 6 車椅子スペース 写真 8 車椅子スロープ(使用時) 写真 5 IC カードリーダ及び整理券発行機 写真 7 パンフレットスタンド
B B 断面A-A 断面B-B A A 図 5 運転室機器配置 写真 9 運転台
図 6 屋根上・床下機器配置 b) 床下機器配置 a) 屋根上機器配置
図
7 動台車
(SS13)
写真
図
数 図 9 カ行性能曲線 (乗車率 100%) 数 図 10 ブレーキ行性能曲線 (乗車率 100%)
7 機器配置 7.1 床下機器配置 低床車両であるので、主な床下搭載機器は、主電動機及 び電動空気圧縮機のみとなっている。 7.2 屋根上機器配置 低床車両であるため、主要な機器は、屋根上に配置して いる。C 車にシングルアーム式パンタグラフ及び C-PCU 装置を始めとする制御関係の機器を配置し、A 車及び B 車には、空調装置、空気タンク及びブレーキ抵抗器を配置 している。なお、屋根上機器は、外観を考慮し、外板色の FRP 製屋根覆いによってカバーされている。 7.3 車両間設備 各連結面間には、難燃性のほろを設置した。ほろは、部 品点数を極力減らして、保守が容易な構造としている。ま た、車体間動揺の抑制を目的として、オイルダンパを設置 した。 8 主要機器 8.1 主制御装置(C-PCU) 主制御装置は、C-PCU 装置を採用した。C-PCU 装置 は、駆動用の VVVF インバータユニット、空調装置など に電源を供給する AC 200 V 電源(APS)及び制御回路など に用いる電源を供給する DC 24 V 電源(LVPS)が一体とな った装置である。VVVF インバータユニット部は、IGBT を使用した 2 レベル方式で主電動機 2 台を一括制御する。 電気ブレーキは、回生 / 発電方式を採用し、軽負荷時も車 両搭載の抵抗器が負荷となるので回生失効することはな い。APS 部は、2 レベル三相電圧形 PWM インバータ方 式で定格容量は 30 kVA である。LVPS 部は、単相インバ ータ全波整流併用方式で定格容量は 6 kW である。 8.2 主電動機 主電動機は、出力 85 kW で、A 車及び B 車の運転台床 下に一台づつ装架している。 8.3 集電装置 集電装置は、一般的なシングルアーム式とした。 8.4 ブレーキ装置 ブレーキは、多段制御方式の電気指令式電磁直通ブレー キ(HRDA-1)を採用して、シンプルで信頼性の高いシステ ムでありながら小形化を実現している。常用ブレーキは、 ブレーキ受量器のもつ機能によって、電気ブレーキを優先 的に作用させ、不足分を空気ブレーキにて補足する電空協 調制御を行う。また、応荷重制御を行っているので、荷重 条件に関係なく一定の減速度を得ることができる。非常ブ レーキは、常用ブレーキとは独立した電気回路によって作 用する。保安ブレーキは、常用ブレーキ及び非常ブレーキ のバックアップ用として、A 車及び B 車でそれぞれ独立 した空気回路をもち、冗長性を高めている。 8.5 電動空気圧縮機 電動空気圧縮機は、往復形 2 段圧縮式の小形軽量の空気 圧縮機を採用している。圧縮機の電動機は、C-PCU 装置 から供給される三相交流 200 V で駆動する。 8.6 蓄電池 蓄電池は、12 V 鉛蓄電池を 2 個直列に接続し、制御回 路、戸閉め回路及びサービス機器などの低圧電源のバック アップに使用する。 8.7 空調装置及び暖房装置 冷房装置は、A 車及び B 車の屋根上に出力 14.5 kW の 空調装置を各 1 台装備した。暖房装置は、シーズ線ヒータ を腰掛下に設置したほか、C 車乗降口付近に温風吹き出し 式ヒータを設置した。 8.8 戸閉め装置 戸閉め装置は、空気式ドア開閉装置を採用している。A 車及び B 車の折戸並びに C 車の引戸には、戸挟み検知装 置を取り付けて安全性に配慮している。 8.9 車両情報制御システム 車両全体を統合した情報制御システムは、搭載されてい ないが、C-PCU 装置及びブレーキ受量器にそれぞれの状 態を監視及び表示する機能が備わっており、検修業務の省 力化を図っている。故障を検出した際は、運転台の表示灯 が点灯する。また、運転状況記録装置を搭載しており、運 転操作、扉開閉操作、ATS 動作、速度、位置などの常時 記録を行っている。 8.10 運転保安装置 運転保安装置として、従来車と同じ ATS 装置を搭載し ている。この装置は、2 個の地上子の情報を受信し、その 間を通過する時間を車上タイマにて計測する。設定時間よ りも通過時間が短い場合は、非常ブレーキが作動する。 8.11 車内案内表示装置 車内案内表示装置は、2 画面表示の液晶ディスプレイを 運転台背面仕切部に設置して、次駅案内表示及び運賃表示 を行なっている(写真 11)。 8.12 行先表示器 行先表示器は、車外正面及び C 車の側面に設けた。行 先表示器は、LED 方式を採用することで、視認性、表示 内容の多様性及びメンテナンス性の向上を図っている。 8.13 放送装置及び非常通報装置 放送設備は、運転台及び C 車乗降口の脇に設けた車掌 スペースに備えており、車内及び車外への案内放送が可能 となっている。また、車内案内表示装置と連動した自動放 送設備も備えている。非常通報装置は、客室内 3 カ所(1 カ所は車椅子スペース)に非常通報ボタンを設置した。非 常通報ボタンの操作があった時は、運転台のブザーが鳴動 するようになっている。 写真 11 車内案内表示装置
9 台車 台車は、従来車と同様の輪軸構造を採用しているが、低 床車両であるため、車輪径を従来車の 660 ㎜から 610 ㎜と 小径化した。揺れ枕のない構造で、車体の荷重を台車枠両 端のゴムばねにて直接支持するボルスタレス台車である。 車体と台車との間には、上下動オイルダンパ及び左右動オ イルダンパを取り付け、乗り心地の向上を図っている。ま た、車体と台車との間に取り付けたボルスタアンカによっ て、前後方向の駆動力及び制動力を伝達する構造とした。 軸箱支持装置は、山形緩衝ゴム方式(シェブロン式)とし た。ブレーキ装置は、1 台車当たり 2 個のブレーキシリン ダを台車枠に取り付け、基礎ブレーキは踏面片押し方式と した。駆動方式は、運転台床下に装架した主電動機から、 ユニバーサルジョイント及び減速装置を経由して駆動する 直角カルダン方式とした。 10 おわりに 今回導入した 5000 形は、筑豊電鉄開業以来初の新造車 両ということもあり、沿線地域の皆様にご好評を頂いてい る。残り 3 編成を 2017 年度までに導入して、2000 形は置 き換わることになるが、2000 形同様に沿線地域の皆様に 愛されるよう、今後も努力していきたい。 図 11 路線図(出典:鉄道要覧)