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アナトール・フランスの幻想文学 : 異界について

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Title

アナトール・フランスの幻想文学 : 異界について

Author(s)

Kato, Rintaro, 加藤, 林太郎

Citation

年報・フランス研究, 37: 51-64

Issue Date

2003-12-25

URL

http://hdl.handle.net/10236/10310

Right

Kwansei Gakuin University Repository

(2)

アナ トール・ フランスの幻想文学

―異界 について一

加藤 林太郎 1 A.フ ラ ンスの小説 の主 人公 と して 一般 に認 め られ る人物 は、 コ ワニ ャール (『鳥 料 理 レー ヌ・ ペ ドー ク』『 ジェ ロー ム・ コワニ ャール 氏 の意 見』)、 ベ ル ジュ レ (『現代史』)、 ブロッ トー (『神 々は渇 く』

)な

ど、作者の分身ま たは代弁者 として懐疑的意見を開陳す る饒舌 な高等遊民たちである。彼等の 多 くは合理主義者 、無神論者であつて、幻想世界 とは無縁 であ り、異界の訪 問者 となる とは思 えない。 しか しここにあげた人物の中で も、コワニャール は、 自称錬金術師 に雇 われてオカル ト世界に足を踏み入れ たあげ く、い ざこ ざに巻 き込まれ て、不慮の死 を とげる。実は これだけではない。彼の小説第 一作『 ジ ョカス ト』(1879)は 幽霊の物語であるし、文学界へのデ ビュー作『 シ ル ヴェス トル・ ボナールの罪』(1881)では仙女が出現す る。そ して

35年

後 の最後の小説『 天使の反逆』(1914)は『 失楽園』の後 日物語である。彼 の作 品のあるものが幻想文学 と目され る理 由はあるわけである。A.フ ランスの幻 想文学 とみ な され る作品を取 り上げ、作者 は異界 をどこに求 めるのかを考察 したい と思 う。 2 《 『 シル ヴェス トル0ボナールの罪』は、婆や と一匹の老猫 と共に暮す老学 究ボナール の学者生活 を 日記体で描いた ものである。古典か らの引用な しで は二言 と喋れない教養人の 自省 的な 日記ではあるが、一度研 究資料の ことと

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アナ トール・フランスの幻想文学 なると情熱 が沸 き起 こ り、遠 くシシ リー島まで乗 り込み もすれば、更にはオ ー クシ ョンの会場で、 日当ての資料 を手に入れ よ うと汗水流す。 同 じ建物の 上階で屋根裏暮 しを してい る貧乏な母子に、少 しでも冬 を越 しやすいよ うに とク リスマ スの薪 を届 け させた ところ、その女性がその後玉の輿 に乗 つて金 満家夫人 とな り、ク リスマスの薪 にかこつけて、件の貴重なテキス ト(『黄金 伝説』の写本

)を

プ レゼ ン トして恩返 しをす る。 これが小説の前半『 薪』で ある。後半『 ジャーヌ・ア レクサ ン ドル』(1)はまた別の物語であつて、初恋 の女性の孫娘 にあたる少女 ジャーヌ と偶然 め ぐり会つたボナールが古い恋の 思い出に忠実なあま り、大胆な行動に及ぶ。 知人が相続 した山荘 に先代の法官が残 した膨大な古文書があ り、ボナール はその 目録作成 のために故郷 に近い リュザ ンス荘 を訪れたのである。知人の 才気あふれ る夫人 と話す うち、夫人の世話になつている孤児が初恋の女性 の 孫娘であることに気づ く。彼女 は悪後見人の食い物 となってお り、塾で冷遇 されているのを知 ったボナール は少女に面会 し、少女の運命の改善に努力す る。塾長の女性 がボナールの学士会員 とい う身分に関心を持 つて結婚 を迫 る の を拒絶す ると少女の運命 は暗転。軟禁状態 となつて面会できないだけでは な く、掃除婦扱 いを受 けることになる。 これ を知 ったボナールは少女 を学校 か ら連れ出 し、未成年者誘拐の罪 に問われそ うになる。知人の努力 と偶然の 事件が重なつて事 は無事に終わ り、ボナール は晴れて ジャーヌの後見人 とな る。弟子の青年 ジェ リス君がボナールの もとでジャーヌを見初めて恋人 とな り、二人は結婚す ることとなる。孤児 ジャーヌの結婚資金 を作ってや るとい う念願 を果 たす ためボナールは蔵書を売却す る決心をす るが、愛書癖やみ難 く、夜 中に起 き出て数冊を抜 き とつて手元に とどめる。 ジャーヌの持参金 を 幾 らか減 らしたわけであるか ら、これが表題の 「罪」である。》 さてボナール が、十三世紀に もさか上 る古文書の 目録作成のため籠 つてい る リュザンス荘の図書室の机の上へ、ちっぽけな仙女が現れ るのである。 「私 は突然、一人の小柄 な女が、いつの間に来たのか、本の背 に腰掛 けているの

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アナ トール・フランスの幻想文学 を見た ので あ る。 ち ょ うどハイ ド・ パ ー クや ブー ロー ニ ュの森 の女騎 手 が馬 の上 です る よ うな格 好 で片方 の膝 を折 り曲げ片方 の脚 を垂れ てい る」② この 横 柄 な金髪 の美 女 は榛 の小枝 で作 つた仙 女 の杖 を持 ってお り、榛 の実 を と り 出 しては中身 をか じり、殻 をボナール の鼻へ投 げつ ける。

300年

も前 に姿 を消 した はず の仙 女 が鉄道 や電信 の あ る時代 に現れ た のは不思議。今 では子供 で も仙 女 な どこの世 にい ない と言 つて い る、 とボナール が言 うと 「知識 はそ ら ごと空想 こそすべ て」③ と仙女はいい、人が私 を夢見れ ばいつで も私 は在 る。 ボナール を夢 見 る人 な どは ない のだか らあな た こそ この世 に在 りは しない の だ 、 と彼 を とっ ちめ る。 ペ ン先 をイ ン クつ ぼ に入れ て か きまわ したか と思 う とこれ をボナール の鼻 先へ投 げつ けて姿 を消す。 ボナ ール は半開 きの窓 の前 で うた たね を して しま い、夜風 でペ ン も紙 も飛 び散 つて、テ ー ブル の上 はイ ンクの しみ だ らけであつた。 仙 女 の女 王 は合 理 主義 の現代 を代表 す る者 と して 「空想 力 に欠 けた」 と自 認 す るボナ ール を罰 す るた めに夢 の 中 に現 れ たの で あ ろ う。 しか し仙 女 を夢 見 る者 にのみ仙 女 は存 在 す る とい うの で あ るか らには、ボナ ール が仙 女 に出 会 わす のは理 屈 に合 わ ない とも言 え る。 実 は リュザ ンス 山荘 の話 上手 の美 し い女主人 とのタベ の会 話 がその条件 を準備 して くれ ていたので あ る。 夫人 は 長 年 手付 かず の屋 敷 の 客 間 にマ ロニエ が床 を突 き破 って生 え出て い るの を面 白が る よ うな人 で あつた。 食 事 の折 の会話 に、夫 人 は この屋 敷 に住 んでい る 毒殺 犯 の貴 女 の幽霊 の話 を して くれ た。 ボナ ール が屋 敷 の ま わ りの風 景 に感 心 す る と、赤頭 巾が木 の実 を拾 い に行 つた道 、仙 女の馬 車 が通 つた空 、紡竿 が眠 り姫 の指 を突 いた とい う糸紡 ぎのお婆 さんが いた塔 な ど、お伽噺や 民謡 の 中の人物 は この よ うな古 い塔 や木 立や空 か ら自然 に生 まれ たのだ とい う。 何 よ りもボナール を驚 かせ たの は 、ボナール が夢 で仙 女 に 出会 つてか ら数 日 の後 、客間 でそ の仙 女 に再会 した こ とであ る。 ボナール が客 間の棚 の上に見 た のは蝋 人形 の仙 女 だ った。 い たず らっ気 もあ る夫人 はボナ ール の話 を よ く 聞 い てお き、折 か ら山荘 に夏 の休 み で滞在 中の ジ ャー ヌ に話 して聞かせ て作

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アナ トール・フラ ンスの幻想文学 らせた ものであつた。 この よ うに仙女物語 に好意的な雰囲気 の中にボナール は暮 していたため、横柄な仙女の女王 も特別 の計 らいでボナール の夢 に現れ た ものであろ う。 前年

1880年

にはゾラの『 実験小説論』そ して『 メダンのタベ』が現れて自 然 主義が新 しい文学の主役 として登場 していた。 この小説界 の新顔 は好意的 にばか り迎えられたわけではなかつたか ら、A.フ ランスのこの小説の雰囲気、 ク リスマス物語風の一種の奇跡物語の雰囲気 は作品の成功 を後押 ししたであ ろ う。 同時代の科学尊重は 自然主義文学の発生 を うなが しただけではない。 教育へ も圧力 を加 えつつあつた とい う。普仏戦争 の敗北は、プ ロシャの学校 の理科の教師にフランスが敗れ たのだ と言われた。A.フ ランスによれ ば、そ の よ うな世論は子供の読み物か ら空想 を駆遂す る悪 しき力 となつてい るとい う。『 アベーユ姫』(1883)の第

1章

で作者は言つている。 「この話は今の若 い諸君 にはあま り取 り止めがな さ過 ぎて、昔の子供達に しか向きそ うもあ り ません」、なぜな ら隣のお宅の

9才

になるお嬢 さんの愛読書を開いてみると「い かは頭足類の軟体動物 に属 し、その体は炭酸石灰 と結合せ る緯 を有す る海綿 状の一器官を含む」④。しか もお嬢 さんはこれ を面 白い と言つている。私の『 ア ベーユ姫』などとても恥ずか しくて読んでもらえないと言 う。 3 《 『 アベーユ姫』は男女二人の子供がお城 か ら失踪 し、それぞれ別 に冒険 を 経験 した後、成 人 して結ばれ る物語である。 時代 は中世 らしく思われ るが、 所 は海没す る以前のブル ターニ ュのイスの町 を連想 させ る。 アイル ラン ドの 巨人 と闘って死んだブ ランシュラン ド伯の遺児 ジ ョル ジュは母が亡 くなった (祈祷台の上に置かれた白いバ ラによつて死 を告げ られ る

)と

き、同 じく寡婦 のクラ リモン ド公爵夫人にあずけられ、夫人の一人娘アベーユ とともに育つ。 あ る 日二人の子供 は連れ立 って城 を抜 け出 し、お城の上か ら遠 くに見 える湖 へ とや って来る。 日は暮れて、疲れた姫は草の上に眠つて しまい、ジ ョル ジ

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アナ トール・ フラ ンスの幻想文学 55 ュは食 べ物 を探 しに湖 の岸 辺へ 降 りた ところ、オ ンデ ィー ヌ達 に とらわれ湖 底 の水品の宮殿 へ連れ ていかれ る。 一 方姫 は地底 に住 む小 人 に見つ か つて地底 の ロ ック王 の宮殿 へつれ て行 か れ る。 小人達 は地 下 の宝石 や鉱 物 や 泉 を見つ けて は大切 に守 り、勤勉 に働 い て い るが、 とん ぼ返 りを しなが らで ない と歩 けない。 ノlヽ人 の王 ロ ックは姫 を 愛 し、何 不 自由 ない生活 を送 らせ るが 、地 上 の母 の も とへ 戻 りた い、 ジ ョル ジ ュ と会 いたい とい う姫 の願 い を ど う して も許 さない。姫 との結 婚 を心 に誓 つてい るの で あ る。 夢 を使 つて毎 晩 の よ うに母 と姫 とは顔 を合 わす よ うに取 り計 ら うし、つ い には姫 を伴 って ク ラ リモ ン ドの城 へ行 き眠 る姫 の母 も訪 れ る。嫉 妬 に悩 む 王 は、学者 小人 の特殊 な眼鏡 を使 つて ジ ョル ジ ュが湖 底 の オ ンデ ィーヌの女王に捕 われてい るのを知 って狂喜す る。 一 方 、湖底 の水 晶宮 に暮 す ジ ョル ジ ュは難破 船 か ら拾 つて来 られ た本 で騎 士道物 語 を読 ん で発 奮 、 自由を求 めて オ ンデ ィー ヌの女王 に切 りかか つた た め湖底 の牢獄 に閉 じこめ られ て しま う。 小 人 の ロ ック王 は姫 に結 婚 を 申 し込 む が、姫 の ジ ョル ジ ュヘ の思 慕 がか た い こ とを知 る と、湖 底 へ の抜 け道 を通 つて捕 われ の ジ ョル ジ ュを救 い 出す。 ブ ランシュラン ドの城 へ戻 るこ とがで きた ジ ョル ジ ュは、村 人か ら姫 の運命 と地 下へ通 じる洞 穴 の あ りか を知 る と、老 忠 臣 フ ラン クール を伴 つて地下 の ロ ック王の宮殿 へ と乗 り込 む。 王 は姫 の気 持 ちを確 か める と盛 大 な晩餐会 を 開 いて二人 を祝 福 す る。 小 人の ロ ック王 が嫉 妬 心 を抑 え、 自分 の愛 を犠牲 に す る物語 である。》 しか し物語 の 主題 と して は異界 訪 問物 語 で あ ろ う。 ジ ョル ジ ュ とアベー ユ が別 々の異界 に捕 われ るか ら異 界 も二重 で あ る。『 アベー ユ姫』 にお いて は 地上、地下、湖底 の三世界のそれ ぞれ が独 立 し、断絶 してい るわけではな く、 相 互 につ なが つて い る点 に特色 が あ る。 異界 ど うしもつ なが つて い るので あ る。 まず ロック王 は客人のアベーユ姫 と地 上の母 とを夢 を用いて映像 でつな ぐ。

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56 アナ トール・フランスの幻想文学 「「私 はあなた をお母様 の所へ連れ て行 くこ とはで きないが、その代 り、お母 様 にあなた の こ とをお知 らせ して慰 め て あ げ る よ うな夢 を送 りま しょ う」 ア ベ ーユ は涙 を浮 かべ なが らほほ笑 んで、 「ロ ック さん、 うまい こ とを思いつ い たのね、 で もそれ よ りこ うす る方 が いい わ。 毎 晩お 母様 には私 の夢 を送 っ て 、私 には毎 晩 お 母様 の夢 を送 るの」 王 はそ う しよ うと約 束 しま した。 そ う して約 束 は実行 され ま した。 毎 晩 、夢 で アベ ー ユ は母 に会 い 、公 爵夫 人 は娘 に会 いま した。 これ で母子 二人の愛情 はい くらか充た され ま した。」

0

そ してつ い に は 「も う一度 母 に会 わせ て下 さい ま し、 も し私 を死 なせ た く ない とお思 いな ら」

0と

言 う姫 を地 上へ運 び 、城 の 中で眠 る母 に会 わせ る。 「アベーユ姫 、今 お母様 に会 えます。 (。…

)今

夜 は、 あな たの姿 では な く、 真 物 の あなた を見せ て上 げ るの です。 あな た はお 母様 に会 えます。 けれ ども 触 つてはい けませ ん、話 しか けて もい けませ ん。」°) 一方 ロ ック王は特別 の眼鏡 を用 いて ジ ョル ジュの居場所 も突 き止 め る。 「あ る 日、アベ ー ユ が ジ ョル ジ ュを愛 して い る とい う気持 ちがふ だん以 上 に心 を 苦 しめた時 、王 はニ ュール に相 談 しよ う心 を決 め ま した。 これ は小 人 の国切 っての学者 で、地の奥深 く掘 つた井戸 の底 に住 んでい るのです。」③ ニ ュール は小 人 の欠 点 も人 間 の欠点 も同 じよ うに よ く知 つてい る学者 で あ るが 、王 の 望 ん でい るのは ニ ュール の発 明 した眼鏡 で 、 これ に よつて王 は ジ ョル ジュが オ ンデ ィー ヌの 国 にい る こ とを知 つて狂 喜 す る。 なぜ な ら 「一度 入 る と帰 れ ぬ水 品の邸 の 中」 だか らで あ る。 しか しニ ュール に よれ ば 「その邸 の虹色 の 塀 は小人の王国に隣 り合 わせ になつてお ります。」⑨ 王 はそ の後 ジ ヨル ジュが オ ンデ ィー ヌ の女 王 を怒 らせ て 、湖 底 の 牢獄 に押 し込 め られ た こ とも同様 に して知 るが 、そ の 牢獄 は湖 底 の岩 の上 に乗 つて い て 「そ の底 は小 人 の国 の一番遠 い誰 も行 つた こ との ない洞窟 の天丼 に な つて いた のです 」(1の 。 王 は地 下の 困難 な旅 を只一 人 で実行 す る と地 下の王 国 の天 井 へ到 達 し、魔 法 の指輪 で岩 を崩 す。 この よ うに して ジ ョル ジュを救 い出す と、地上へ登 るために小人 に よつて作 られ た階段 か らジ ョル ジュを送 り出す。

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アナ トール・フランスの幻想文学 57 彼 は城 か ら遠 か らぬ石 切場跡 へ と出た ので あ った。城 へ戻 つた ジ ョル ジュが 老 忠 臣 を伴 って地 下 の ロ ック王 の宮殿 へ現れ 、姫 との再会 を果 た した こ とは 先 に述 べ た通 りで あ る。 王 は祝 福 の贈 り物 と して さん らん と光 る魔 法 の指輪 を帯 か ら取 り出す。 「アベ ーユ姫 、 この指 輪 を私 の手 か ら受 け取 つて くだ さ い。 これ さえあれ ば、 あなた とご主人 とお 二人 は何 時 なん どきで も小人の国 へ入 りな さるこ とがで きます。 来 られ た ら歓 迎 して何 で もお力 になって上げ ます。」(1° か く して交通 の 自由は保 障 された。 ロ ック王が治 め る小 人 の王国 は王様 は じめ家来達 の誰 もがモ ノシ ラブの名 前 (ピック、 タ ッ ド、デ ィ ッグ

)で

あ る点 、 いか に も異界 ら しい雰 囲気 を持 つては い る。 そ の地 下の王 国がや がて異界 で あ る こ とをや めて しま うのは、 ロ ック王の人間の少 女へ の恋愛 が原 因 とい うよ りは王 の政治 上の意図が原 因 で あ ろ う。 小人 と地 上 の人 間 は小 人 に よれ ば同等 では ない。 ノJヽ人 はい ろい ろ の石 の効能 も知 っていれ ば また金や銀 を こ しらえ出 した り泉 を見つ けた りも す る。 つ ま り「人間 よ りも上等」(1の 「人間よ りも立派」(1め なのであ る。 「何 しろ人間てい うものは小人たちよ りも頭 が悪 く、小人ほ ど物 を しらない」(10。 学者 ニ ュール に よれ ば 「生 き るた めには働 か な けれ ば な らぬ 定 めになつてい るの に、人 間は この神 聖 な掟 にそむい て、我 々の よ うに喜 び勇 ん で働 くどこ ろで は な く、仕 事 よ りも戦争 を したが り、互 い に助 け合 うよ りも殺 し合 う方 が好 き」(1° であ るか らだ。 人 間の 中には小人達 の頼 み ごとを邪 険 に断 つたが た めに乞食 に され て しまった金 持 ちの女 もい る。 「よい生 き方 を覚 えるた め には人 間は命 が短 か過 ぎるためだ」(Ю)とニ ュール は考 えてい る。 ところで ロ ック王 は高邁 で あ つて 、小 人達 の人 間 に対す る優 越 を意識 しなが らも平和 主 義 的 なので あ る。 「ロ ック王 の アベ ー ユ に対す る愛情 は僅 か の間 に ぐつ と強 くな ってい ま した。 も う心 の 中で は姫 が年 頃 にな った ら結 婚 して、そ の力 で 人 間 と小 人 との仲 を好 くさせ たい」(1つ と思 ってい る。 姫 を野獣 なみ に檻 に入 れ たが って い る小 人 の リュ ッグ とは大 ちが いで あ る。 姫 との結婚 は果 たせ な か つた が、地上へ帰 る二人 に向か って王 は言 う。 「や がて あなた方 にお子 さ

(9)

58 o

アナ トール0フランスの幻想文学 んが出来た ら、 ど うか教えて上げて くだ さい。地面の下に生 きてい る無邪気 な、働 きものの小人たちを軽蔑 しないようにとね」(1° この ように して地上 と地下の小人の王国 とはすつか りつながつたのである。 では地上の世界 と地下の小人の ロック王の国は何の違いもない、ひ とつなが りの世界なので あろ うか。 そ うではないであろ う。アベーユ姫への愛 を抑 え ジ ョル ジュヘの嫉妬 を断 ち切 り、二人の結婚 を祝福 してや る ロック王は、A. フランスの恋愛者 の中では例 を見ない存在 である。愛 を抑 え得ず、嫉妬 を断 ち切れずに苦 しむ恋愛者 しか彼 の作品の中にはいない と言 つて よい。 ノくフニ ュスの よ うな修道者、ガムランの ようなジャコバ ン党員 も少 しも例外 ではな い。 自己犠牲は A.フ ランスの恋愛者には不可能であろ う。その 自己犠牲の美 徳 の発揮 され るの を見 るロック王の地下の小人の国は、反転 した世界、れつ きとした異界であ るか も しれ ない。童話 として情念が弱め られているのでな ければ。 4 A.フランスの作品 に異界 が存在す るとすれ ば、それ は異教的古代 世界 であ る。 新 しい宗教 に よつて邪神 と して抹殺 され た異教の神 々、野や 山や泉のニ ンフ達は どの よ うに流 亡の境遇 を続 けたのかが、A.フランスの短編 の ある部分 を 占め るの である。彼等の住む異域 は残存す る非キ リス ト教的異界 と呼んで もよい。 作者は山野の異教神たちが神の威光によつて ことごとく姿を消した とは考えな かった。そ うした古い神々の生き残 りの ドラマを語つたのが『 ア ミクス とセ レス タン』(『螺釦の手箱』1892)(1の である。 《復活祭が近づ くと、冬の間は静かだ った森にも泉にも、聖水 と聖 ヨハネの福音書で追い払われたはずの妖精達が帰つ て くる。木々の茂みは小 さな彼女達の姿で一杯 になる。無数に住ま う異教の神々 を追い払お うとす る隠者の努力 もなかなかに報い られない。 と隠者セ レスタンは 森の小径で羊の足を持 つた牧羊神の一人に出会 うが、この若い牧羊神は十字を切 ろ うとす る隠者をとどめて復活祭 をともに祝いたい と申し出る。このア ミクス と

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アナ トール0フランスの幻想文学 名乗 る田野の神は、隠者 は年 をとった牧羊神である と見て彼に親 しみを示 し、復 活祭 の準備 をいそいそ と手伝 うのであ り、花々を集 めて祭壇に戻ってきたア ミク スはあたかもさん ざしの茂みが歩いて くる様に見えた。 しか し隠者が ミサの供物 を奉 っている間、山羊の脚 を した男は、角の生えた額を大地にす り寄せ て太陽を 礼拝す る。 この 日か らセ レスタンとア ミクスは生活 を共に したが、隠者はどうし ても主の秘蹟をこの半獣神に理解 させ ることはできなかった。だが真の神の礼拝 堂は常に山や森や水辺の花をもつてにぎやかに飾 られ るのであった。二人は田野 の住人達の無知か らともに聖者 として祭 られるに至る。》 『 聖サテ ィール』(『聖女クララの泉』1895)°のは上記作品の後 日物語 とも言 える。 《ここには貧 しいフランシスコ教団の修道士の誘惑が物語 られてお り、彼 のために異教徒の墓か らサテ ィールやニンフの亡霊の群れがあ らわれ、ニンフは 彼の悪夢の中で歯の抜けた醜怪な老婆に変 じる。何 日間かこの幻覚に悩 まされた 修道士は、遂に聖サテ ィールの亡霊 と出会 うが、彼の 口か ら花咲 く野にたわむれ るニンフたちの魔女への変容 について教えられ る。 「神々も歳月の打撃 を感ず る ものなので、世紀 と共に、取 り返 しのつかぬ破壊の方へ と赴いて行 くもの じゃ。 ニンフ達 も人間の女共同様 に年は とる。(.…

)ど

んなニンフで も魔女にな らぬ も のはないの じゃ」ωl)。 この聖サテ ィールなるものは、初期のキ リス ト教徒 と生 活を共に し、 これ を助 け、これに仕えたサテイールで、その死後に建て られた墓 は、幾千万の異教の森の精や、もみが らのように小 さく軽 くなつた忘れ られた神々 の聖殿 となっていたのである。》伝道者や修道士は勝者たる新宗教の代表 として、 新 しい信仰 と古い信仰の密やかな合致あるいは神々の痛ま しい変容に立ち会 つて いるのである。 この異界 よりの訪問者である魔女 (変容 したニンフ

)と

修道士の関係 は愛着で もあ り対立で もあつてあいまいである。 「私達の泉 を濁 した り、私達の樹木 を打 ち倒 した り、私達の山を切 り拓いた り、残酷な男達に私達の幸福な隠れ処の秘密 を明か した りす るた めにや って来 た仇敵 じゃないか ど うかたずね てみ ま しょ う。」鬱の と言い交わ しつつ駆け寄って来る間にみ るみ るエンフは魔女になる。詰

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アナ トール・フランスの幻想文学 め寄 つて来た魔女の一人は言 う「まあ

!

かわいい色男だね」ωO。 す ぐ殺 して しまお うとす る他 の魔女をお しとどめて、お尻 をひつぱたいて軽 く懲 らしめてや るだけでいい ことに して くれ る。 とげのついた枝の東で彼 を打ち据 え、秘密 を洩 らせ ばその時は殺す とい うお どしの文句を告げた上一人一人修道士に小便 を浴び せ ると聖サテ ィールの墓の中へ と消える。真面 目な修道士フラ・ ミノは この異変 を司教に報告 したため聖サテ ィールの墓は開かれ、悪魔祓いの式が行われ る。そ の夜魔女は復讐のために再びあらわれ ることになる。 フラ・ ミノの遭遇 した事件 そのものが、作 中、老牧神の語 る長い異教衰亡史の一挿話なのである。 この魔女達はほぼ同 じ 「風習」を保 つたまま『 森の眠 り姫の供 を して百年間眠 ったシコーニュ公爵夫人 とブーラングランの物語』(『青家の七人の妻』1909)°→ にも登場す る。 《森の眠 り姫のお城 には、仙女の予言を信 じない一派がいて、財 務官ブー ラングランもその一人である。 「ル ク レテ ィウスの流れを汲み、エ ピク ロス とガ ッサンデ ィの教説に深 く浸った」ω

"彼

は仙女の存在す らも信 じない立 場である。そ して仙女不在論 を主張 しつつ姫 とともに百年の眠 りに落 ちるが、長 い眠 りか ら目覚めても仙女の存在 を否定 し続ける。》 このブー ラングラン氏が愛人である王妃付 き女官長 シコーニュ公爵夫人をた ずね る途中、夜の沼沿いの道の四辻 (一種の魔界

)で

二人の若い仙女に出会 う。 仙女たちは彼 を取 り囲んで踊 るので、彼は眼を回 して倒れそ うになる。数歩先で 彼は今度は二人の乞食婆 さんに出会 う。杖 に寄 りかかつた婆 さん達は、 「かわい い人、恋人、大事な人」などと彼 を呼んで さかんに撫でさするが、彼がお相手で きないのを見て取 ると、罵言 を浴びせかけ、杖でな ぐり、足で踏みに じつた上、 皆で小便 をかけて立ち去って行 く。古代神 を敵視 し、警戒 している修道士フラ・ ミノと異な り、合理主義者の財務官は特別な敵意 もなく仙女にも会 うし、魔女に も会 うが、やは り罰せ られ る理由はある。仙女に出会って痛めつけ られて もまだ 仙女の存在 を信 じない人だか らである。仙女 (罰を与える時はふつ う魔女

)か

ら 与え られ る罰の程度 も、フラ・ ミノほ どではないに しても、ボナール よ りは重い と言つてよいであろ う。

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アナ トール・フランスの幻想文学 5 到達不可能 な秘密 の国 は意外 に も自伝 の中に語 られ てい るのであ る。 ところで 自伝 には、作者 の現 実的客観 的な体験 のみ が語 られ てい るのではない。 子供 の空 想 的神秘的な半内的体験 もまた市民権 を有 してい る。 グ リー ン少年 は、家 の 中に怖 い所 がい くつ かあ つた らしい。 母 さんが家族 の服 を詰 め込 んでいた衣装戸棚 が 内に秘 めてい る恐 ろ しい もの を七才の彼 は発 見す る。 あ る 日の こと、抑 えが たい好 奇心 に駆 られ 、両親 の部屋 にある衣装 戸棚 をい きな り開 け、胸 を ときめかせ なが ら、悪魔 を呼んでみ た。 そ こに悪魔 が い る と彼 は実 際 に考 えていたのだ。 「最初 はなに も起 こ らなか つた。戸棚 の 中は暗 くて、お互 い顔 のないのっぺ りした群衆 の よ うに押 し合わ され た服 の長 い列が、非常にばん や りと見 え るだ けだ つた。 もつ と呼んでみ よ うか

?

少 な くともそれ はや らね ば な るまい。 それ も三度 では不 十分 だ。 三度 は呼ぶ必要があ る し、呼 ばね ばな るま い。 そ こで私 は も う一度 呼んでみ た。 す る と忘れ がたい ことが持 ち上が った。服 が動 いたのだ。静 かに服 同士 がわかれ 、だれ か に道 をあけたのだ。 今 で も私 は、 わめ きなが ら逃 げ出す かわ りに、 ど うして待 つてみ る勇気 がなかつたのか と残念 だ。 私 は母の腕 の なか に逃 げ こみ は したが、母 のほ うは、なぜ 私が叫んだのか も わか らなか つた。」鬱° A.フランスの 自伝の一冊『 小 さな ピエール』(1918)の『 未知の国』°つ は、 自伝 四部作を通 して最 も美 しい一章ではなかろ うか。 《幼い ピエール (アナ トール・ フランスのこと

)は

メラニィ婆やにつれ られて 散歩に出かける。 よちよちと歩 く婆や、小 さな足の ピエールの二人づれであるか らそんなに遠 くまでは行かない。テュイル リーや リュクサンブール、暖かい季節 には トロカデ ロにまで足を伸ばす。小 さなシャベル持参であるか らプラタナスの 幹が落 とした皮で箱庭 を作つて遊ぶ。 しか し、ある未知の国があつて ピエール を 誘 つてや まない。 「私が他の どこよりも一層入 り込みたい と思つたある国、ある 瞬間にはほとん ど達 した と思 うのだが、決 して到達す ることのできない一国があ

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アナ トール0フランスの幻想文学 った。私 はその国 に就 いては、全 く知 らなかった。 只、それ を見れ ば、 これ が 目 的の場所 だ と分 か る確信 は あ つた。(.…

)私

は熱 心 にそれ を発 見 したい とのぞん でいた。 私 が手 を届 かせ る こ とはで きないが、す ぐ近 くにあ るそ の国」。 それ は 信 心深 い母 が教 えて くれ た神 聖 な国ではない。父 な る神 、キ リス ト、聖母マ リア、 天使 、聖者達、、、はふ だん見つ けていて何 らの神秘 も持 つていないのであ る。「私 に激 しい好奇 心 を起 こさせ た世界 、私 の夢想 の世界 は、未 知 の、小 暗い物 を言 わ ない世界 であ つた。 その世界 の こ とを考 えただけで、私 に恐怖 の激 しい歓喜 を感 じさせ るのだ つた。私 は、その国 に達す るためにはひ どく小 さな足 を持 つていた。 そ して、私 がその スカー トを引 つ張 つた老 メラニ ィは、 よちよち と歩 く人間だ つ た。 しか し、私 は落胆 しなか つた。何 日か は私 の欲望 と私 の恐怖 が求 めていたそ の国に入 り込みたい ものだ と望んでいた。 ある瞬間、ある場所 で、私 は も う二三 歩進 んだ ら、そ こに達せ られ るよ うな気が した。」°①》 帰途 につ こ うと してい るメ ラニ ィ婆や の着物 を引き裂かんばか りに して引 き戻 す。 日に涙 をた めた婆や に 「も う一歩 だ よ、私 た ちは、無名 の帝 国に踏 み込 め る のだ °9」 と叫 んで も理解 して も らえなか ったで あ ろ う。 ところが彼 の知 ってい る地点がい くつ か あつて、未 知 の世界 に接 してい るのだ。 「そ の世界が私た ちの 世界 に接 してい る三二 の点 を知 ってい る と信 じていた。 そ して、それ らの仮 定 さ れ た境界 は、皆私 の住 んでい た場所か らあま り隔た つてはいなか つた。 ただ 、私 はその異常 さ、そ のわ くわ くす る魅 力、それ に よ り私 に与 え られ た恐怖 の入 り混 じつた好奇 心 に よつて初 めてその境 界 を認 めたので あ る こ とを知 って い る」。 そ の一つは ダンフェール広場 に ある 「石造 りの女達のい る二軒の家」の向 こ う。 も う一つ はテ ュイル リー公 園の 中、水辺 の築 山の下の寒 い穴倉、 「そ こには、一匹 の蛇 が腕 にまつ わ りついた 白衣 の女性 が眠 つてい る」。 さらには住 んでいた家 の 地 下室のわ ら じ虫が這 い、錠 前 の錆びついた一つの扉 が彼 の眼 を不安 が らせ た。 まだ ある。 「私 の寝 ていた室 の中で、時々、床 の割れ 日か ら、色 々なな形 の もの が上がって来 た。 色 々な形の もの と言 えなけれ ば、色 々な幽霊 、色 々な幽霊 と言 えなけれ ば、私 を恐怖 に戦かせ 、手近 にあ るが、近寄れ ないあの世界か らのみ来

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アナ トール・フランスの幻想文学 ることので きる色 々な人 を動 かす力 が上 って きた」。 「メラニ ィ、私 に未 知 の国の話 を してお くれ よ」。 メラニ ィは微笑 した。 「坊 ちゃん、私 は未知 の国の話 なんか知 りませ ん」°0。 リュクサ ンブール のベ ンチ に座 つて 、編 物 を して い るメ ラニ ィ とピエ ール 少 年 との間 に この様 なや りと りがあ った とい う。 この時 こそ、作家 にな るは るか以 前の作者 は、作 り物 でない本 当の異界 を求 めていたのだ と思 つてまちがいない。 6 アナ トール・ フランスの小説の恋す る女性主人公 は往 々に して、嫉妬 に燃 える幽霊のために幸福 を妨げ られ る。『 ジ ョカス ト』のエ レーヌは亡夫の幽 霊によつて 自殺へ追いつめ られて行 き、『 楽屋裏の話』(1903)のフェ リシー は、捨て られて 自殺 した元の愛人の亡霊 によつて、新 しい恋 を破壊 されて し ま う。一方 この作家が本領 とす る諷刺小説 は最 も幻想文学 として分類 されや すい。『 ペンギンの島』(1908)では、氷島のペ ンギンが雪 と氷のため半盲 と なつた伝道熱心な聖者 によつて洗礼 を施 され る。対応 に困つた神様がペ ンギ ンを人間に変えることで事態 を解決 され る。 この人間化 したペ ンギンの国の 歴史を語 る とい う形で フランス史が戯画化 され るのである。『 天使の反逆』 は、図書館 で神学書、哲学書を研 究 した守護天使 が懐疑に陥 り、やがて反逆 の決心 を固めて多 くの天使達 と天国制圧 を 目論む物語である。荒唐無稽 な外 観 の もとに、同年発表 のジイ ドの『 法王庁の抜 け穴』 にも見 られ る、同時代 の信仰復活の風潮 を愚弄す る意図を持 っている。作者 固有の作品領域の夫々 に幻想的手法は可能性 を提供 しているのである。 しか し本論で扱 った仙女、 ニ ンフ といつた異界か らの訪問者、地下の小人国の住人な どは、ペ ンギンや 天使たちの よ うに早々人間界に同化 した りはせず、異界性 を保 つた登場人物 と言 えよ う。 なぜ な ら、ボナールや眠 り姫の財務官に現れた仙女は、想像力 蔑視の現代 に対 して、またフラ・ ミノに現れ た魔女たちは、牧歌的世界 を亡 した新 しい宗教に対 して、いずれ も怒れ る精霊たちだか らである。

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アナ トール・フランスの幻想文学 幼い A.フ ランスが、セーヌの岸 の辻や庭 で異域 に遭遇す る気でいたのは微 笑 ま しいが、恐 らくこれ は、オスマ ンの改造以前の、異域 が残 る、古いパ リ の思 い出にほかな らない ことが感 じられ る。 さらに 自伝第一作『 我 が友 の

書』

(1885)が

、夜になるとベッドと壁の間に現れる「怪物たち」との出会い

を語ることから始まるのを我々は知つている。

A.フ

ランスの幻想文学の中に、

自伝もまた数頁を加えることが出来るのではないだろうか。

使 用図書

Anatolc hm∝ :働vras,Biblioth"ue de la R6iade,Ganhurd I,191И ;Ⅱ,1987;Ⅳ,1994.

Anatole hcc:αレvras cο″ ″″s〃ルs絆ごes,Calmarln―1/vy Editeurs,Tome XIX,1930。 Julien ttn:(D"ras cο ″ ″″s,Bibliothttlue de la R`iade,Gan… V,1%″.

注 (1)I一pp.199-313. (2) I __p.208. °)I一p.212. “ )I―p.6蟷。 (5) 1 __pp.674‐ 675。 (6) I__p.683. c7)I_p.684. (8) I__p.688. θ)I―p.690. (1° I一 P。694. (H)I―p.7H. (12) I __p.673. (13) I__p.687. (14) I _p.683. (1⊃ I一p.689. (1° I一 p.689. (1つ I一p.674. (1° I一 p。7H。 (19 1-pp.891‐ 895 (2o Ⅱ_pp.571-589 (21)Ⅱ_pp.5&卜585。 (22)Ⅱ_p.574. (2)Ⅱ 一p.575。

(2o θoc。,Tome XⅨ, pp.217-241.

(2⊃.c,Tome XⅨ ,p.226。 (2o Julicn Gttκn:0。C。 ,V(「ヒ″″aソ `И ′″Jila“r)p.655. (2η lv_pp.892-897(ル “晟セ加α"″) (28)Ⅳ_p。894. (291v_p.895。 °°IV一p.896. (文学部名誉教授)

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