経済原論Ⅱ(6/9①)・マンキューⅡ(応用篇)第 2 章①
経済成長Ⅱ
2-1. ソロー・モデルにおける技術進歩 労働の効率性 労働の効率性をEとし、生産関数Y =F(K,L)を,Y =F(K,E×L)と置き換える。 E×L=効率単位で測った労働力=有効労働者数 毎年2%ずつ労働効率が向上して,同じ労働者数でも有効労働者数が2%ずつ増える. このような技術進歩を労働増大的技術進歩と呼ぶ。 技術進歩率(労働増大的技術進歩率)をgとすると、上の例では、g=0.02 である。 技術進歩を伴う定常状態 有効労働者1単位当たりの資本ストック=
k
e=
K
(EL
)
有効労働者1単位当たりの産出は、y
e=
Y
(EL
)
と表せる. このように定義すると,y
e=
f
(
k
e)
と表せる. 有効労働者 1 単位当たりの資本ストックの変化を示す式は∆
k
e=
sf
(
k
e)
−
(
δ
+
n
+
g
)
k
eである. 定常状態での有効労働者 1 単位当たりの消費水準は,c
e*=
f
(
k
e*)
−
(
δ
+
n
+
g
)
k
e*あり, 黄金律水準の資本ストックは,MPK=δ
+n+g、の時に達成される。)
(
k
esf
&(
δ
+
n
+
g
)
k
e(
δ
+
n
+
g
)
k
esf
(
k
e)
∆
k
ek
e 1 ek
* ek
2 ek
経済原論Ⅱ(6/9②)・マンキューⅡ(応用篇)第 2 章②
技術進歩の効果(定常状態) 定常状態では、∆ =0 e e k k 、また、k
eが変化しないので、y
eも変化しない、つまり∆ =0 e e y y EL K ke = ⇒ (g n) K K L L E E K K k k e e =∆ −∆ −∆ =∆ − + ∆ ⇒ ∆ =∆ −(g+n)=0 K K k k e e ⇒∆
K
K
=
g
+
n
:経済全体の資本ストックはg+nの率で成長 ⇒ 一人当たり資本:k
=
K
L
⇒g
n
n
g
L
L
K
K
k
k
=
−
+
=
∆
−
∆
=
∆
EL Y ye = ⇒ (g n) Y Y L L E E Y Y y y e e =∆ −∆ −∆ =∆ − + ∆ ⇒ ∆ = ∆ −(g+n)=0 Y Y y y e e ⇒∆
Y
Y
=
g
+
n
:経済全体の GDP(生産量)はg+nの率で成長 ⇒ 一人当たり所得: L Y y= ⇒g
n
n
g
L
L
Y
Y
y
y
=
∆
−
∆
=
+
−
=
∆
定常状態に達するまでの過程(移行過程):
( ) ( n g) sk 1 ( n g) k k f s k k e e e e e = − + + = − + + ∆
δ
α−δ
sk
eα−1&
(δ
+n+g)g
n
+
+
δ
arg 1 − α e e L
k
s
s
Smallk
eα−1k
ek
1Small
k
e*Large
∗ ek
経済原論Ⅱ(6/9③)・マンキューⅡ(応用篇)第 2 章③
2-2.成長理論から成長の実証へ 均斉成長(balanced growth) ソロー・モデルの定常状態 多くの変数(Y=経済全体の GDP、K=経済全体の資本、 y=1 人当たり GDP、 k=1 人当たり資本)が同時に上昇∆
Y
Y
=
∆
K
K
=
n
+
g
、∆
y
y
=
∆
k
k
=
g
比率をとった変数のいくつか(Y /K、y
e=
y
E
、k
e=
k
E
)はずっと一定。 変数がバランスをとりながら成長している状態=均斉成長(balanced growth) 収束 1 人当たり所得には、国や地域によって大きな格差がある。10 倍以上の違いも!! 時間とともに、この格差は小さくなるのだろうか? 収束 貧しい国の 1 人当たり所得の成長が豊かな国のそれよりも早くて、格差が縮小していくこと ソロー・モデルの収束に関する予測 ①貯蓄率・人口成長率・技術進歩率などによって決まる定常状態が同じであれば 初期時点の資本ストックの違いによる所得格差については収束が起こる!! ⇒ アメリカの州の間、日本の都道府県の間の所得格差は 20 世紀の間全体としては縮小 ②貯蓄率・人口成長率・技術進歩率などが異なれば定常状態も異なるので、 異なった国々は異なった定常状態へ収束 逆に言うと、定常状態の違いによる影響を取り除けば、収束する=条件付収束 ⇒ 各国間での所得格差が縮小しないことも説明可能 要素の蓄積と生産の効率性 経済全体の生産関数:=
α 1−αL
AK
Y
⇒ 1 人当たりの生産関数:y
=
Ak
α ⇒k
k
A
A
y
y
=
∆
+
×
∆
∆
α
1 1 人当たり所得の上昇(∆
>
0
y
y
)ためには、① ∆ >0 A A 、② ∆ >0 k k のいずれかは必要 ①(技術進歩)と②資本蓄積の間には相関関係 仮説(1) ① ⇒ ② 効率性の上昇が資本蓄積を促進する 仮説(2) ② ⇒ ① 資本蓄積がより高い効率性を誘発する 仮説(3) ①と②の背後に両方に影響を与える要素が存在 例:過大な財政赤字、非効率な市場組織、汚職の蔓延等は①と②ともに減らす 1 経済学で良く使う近似式② αk
y
=
⇒∆
y
y
=
α
(
∆
k
k
)
直感的な証明: =α
α−1 k dk dy 両辺にy
dk
を掛けるとk
dk
y
dk
k
y
dy
=
α
α−1⋅
=
α
(y
=
k
αに注意)経済原論Ⅱ(6/9④)・マンキューⅡ(応用篇)第 2 章④
現実の日本の経済成長:成長会計と生産性の低下 経済全体の生産関数:=
α 1−αL
AK
Y
但し、Aは全(総)要素生産性と呼ばれる経済全体の生産性を表わす変数。 L L K K A A Y Y = ∆ + ∆ + − ∆ ∆ ) 1 (α
α
源泉① 人口成長:L
L
∆
− )
1
(
α
、 源泉② 資本蓄積:K
K
∆
α
、源泉③ 技術進歩:A
A
∆
戦後日本の経済成長率 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 F is ca l Y ea r 19 56 19 58 19 60 19 62 19 64 19 66 19 68 19 70 19 72 19 74 19 76 19 78 19 80 19 82 19 84 19 86 19 88 19 90 19 92 19 94 19 96 19 98 20 00 GNE(=GNP)高度成長期
1953-1971 (H. Patric and H. Rozovsky (1976):
∆
Y
Y
=8.77%成長の源泉
貢献度(%)
(
1
−
α
)(
∆
L
L
)
1.85%
α
(
∆
K
K
)
2.10%
∆
A
A
4.82%
⇒ 技術のキャッチアップの時代 安定成長期 1976-1988 (館 龍一郎 (1991):∆
Y
Y
=4.5%)成長の源泉
貢献度(%)
(
1
−
α
)(
∆
L
L
)
0.8%
α
(
∆
K
K
)
2.1%
∆
A
A
1.6%
⇒ キャッチアップがほぼ終了 ⇒ 成長の減速失われた 10 年(1991 年 2000 年:
∆
y
y
=0.5%、Hayashi and Prescott (2002
))*