ライフログの中の知見を発掘するサービス事業
に潜在するデータコンプライアンスの課題
Potential Issues of Data Compliance in Service Business to Excavate Knowledge in Life Log
北村 浩
*1Hiroshi Kitamura
*1
摂南大学 経営学部
Faculty of Business Administration, Setsunan University
In this paper, issues of data compliance with human behavior history are overviewed and viewpoints how to make clear them are shown in service business using technology with Internet of Things to excavate knowledge in personal data. Unlike laws and regulations, compliance is based on the consensus building between stakeholder mutually related and reasonable systematization is necessary for joint user toward shared data. In order to enables coexistence of utilizing data and protecting privacy of it, it is stated how criteria data is disclosed on requirements of consensus building by stakeholder.
1. はじめに
デジタル化の進展に伴うIoT(Internet of Things) の普及に伴い, デバイス機器を起点にモノ~ヒト~ コトに係るデータとして, 小売店での購買, Web サ ービスの利用等のパーソナルデータがライフログ (個人に係る行動履歴)の形式で蓄積される中, そ の利活用による付加価値サービス事業の創造が試み られてきた. 交通系 IC カードの通勤経路記録の利用 (2003 年), 2017 年 5 月末施行された個人情報保護 法の改正を背景に, 就活ナビの活動実績からの AI プ ロファイリング生成による学生の内定辞退率の予測 (2019 年)のデータ外販事案は, パーソナルデータ の利活用の解決すべき問題を示し, 協業事業者への データ提供時の同意手続きが極めて不十分との中央 省庁の改善勧告の行政措置の結果, データコンプラ イアンスの課題を顕在化させた. 本稿では, データ を提供する開示元(データ主体)の個人と, データの 開示先(データ利用)の事業者等を他者とするステ ークホルダーにおいて, 可能なデータ共有をいかに 形成するのかを示す視点を示す. データに係る合意 形成を図り, 他者からのデータアクセスの前提とな るデータ開示を促進するために, 局所データを定め, 個別に開示の是非を判断し, 第三者へのデータ提供 や提供者本人の同意手続きに潜在するプライバシー 保護への懸念を抑制する課題を考える. *1:北村 浩, 摂南大学経営学部, 大阪府寝屋川市 池田中町17-8, [email protected]2. ステークホルダーの合意形成とデータ開示
パーソナルデータに係る政策や研究のうち本稿に 関連するものを示す. 政府において, プライバシー 保護を考慮したビッグデータ利活用が提言(内閣府 「人工知能と人間社会に関する懇談会 報告書」 (2017 年 3 月))され, また, パーソナルデータの整 備のために, 利活用を促進する情報管理とプライバ シー保護の視点を考慮した社会受容性の形成を目指 す重要性が周知(IT 総合戦略本部「官民 ITS 構想・ ロードマップ」(2018 年 6 月))された. 利用目的が 必ずしも明示されず, 利用者が無意識のまま生成・ 蓄積されるライフログは, 他の情報との照合で個人 の特定が可能になる容易照合性を有するため, プラ イバシー保護の安全措置を考慮し, 規制下のデータ 利活用における開示の合意形成の手続きを定めるこ とが課題になる. データとして, 一次生成された原 データを提供する個人, 二次利用データに係る事業 者, その中での協業・委託先の事業者等のステーク ホルダーに, 『データはだれのものか』という分担の 役割が認識され, いかに調整して共有利用の合意形 成に至るのか, 明白な根拠は存在しない. データは 無体物で, 所有権の対象にならないという法規定 [民法 206 条・85 条] に基づき, そのプライバシー保 護は, 当事者の合理的意思解釈に委ねられ, 自ら確 保したい内容を具体的に交渉することが必須との法 解釈 [1] をもとに, データに係る合意形成の手続きを定めることが重要になる. パーソナルデータ利活 用においては, 法制度の専門家と協力して, 技術の 普及まで考慮した制度を技術開発段階から考えるべ きとの指摘 [2] が, また, 複数機関の間のデータの 利活用の必要性と困難性を考慮し, データ共有プラ ットフォーム構築による複数機関の協働の課題 [3] が, 示されてきたが, 利活用が進んでいない実態の 課題を明らかにする必要がある. また, 合意形成を 得るデータ利活用に向けて, 当事者, データアグリ ゲータ, 政府機関, 法律家等のステークホルダーに よる多様な立場から, パーソナルデータの期待と懸 念が混在する社会的不確実性の課題を明らかにする 一般市民参加型のワークショップによる認識・受容 の共有 [4] が図られた. 社会受容性の可視化を図る ために, 合意形成の意思決定の要件を考察し, デー タ開示の指針化の手続きの前提と位置づけられる.