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自動運転播種機を用いた茨城県南部における水稲品種「にじのきらめき」の 鉄コーティング湛水直播栽培実証 石川哲也*1・横田修一 2・平田雅敏 2・小川春樹 2・小笠原慎一2・古渡拳人 3・ 板谷恭兵 1・澤田寛子 4・福嶌陽1・吉永悟志 1 (1農研機構中央農業研究センター・2(有) 横田農場・ 3茨城県農業総合センター農業研究所・4農研機構農業環境変動研究センター)Demonstration of Iron-coated Paddy Seeding Cultivation of Rice(Oryza sativa L.) Cultivar "Nijinokirameki" by Robot Seeding at Southern Ibaraki Region
Tetsuya Ishikawa*1 , Shuichi Yokota2, Masatoshi Hirata2, Haruki Ogawa2, Shinichi Ogasawara2, Kento Furuwata3, Kyohei Itaya1, Hiroko Sawada4, Akira Fukushima1 and Satoshi Yoshinaga1
(1NARO Cent. Region Agric. Res. Cent., 2Yokota Nojo, 3Agric. Res. Inst. Ibaraki Agric Cent., 4NARO Inst. Agro-Environ. Sci.)
目的 農研機構で開発された自動運転田植機を活用して、より省力的な水田営農を確立するため、湛 水直播ユニットに換装した自動運転播種機を用いて、大区画圃場における自動運転鉄コーティン グ湛水直播実証試験を実施して、メリットおよび問題点を明らかにする。 材料および方法 2020 年に茨城県龍ケ崎市において、耐倒伏性が期待される良食味品種「にじのきらめき」を供試 し、コーティング比 0.25 の種子を、5 月 9 日に自動運転機能を用いて 1.136 ha の大区画圃場に播 種した。同日に背負い動力散粒機を用いて散播した1.002 ha の大区画圃場を推定収量の比較対 象とし、6 月 5・6 日に同品種の稚苗を機械移植した複数圃場とも生育・収量を比較した (第 1 表)。 自動運転湛水直播圃場では、80×90 cm の苗立ち調査地点を 16 カ所設置し、分げつ期・幼穂 形成期の茎数を調査するとともに、登熟期には 5 個体の稈長・穂長を測定し、そのまま坪刈り地点 として収量を調査した。稚苗移植圃場では、栽植密度の異なる2 筆に 3 カ所または 4 カ所、それぞ れ 10 株の調査定点を設置し、分げつ期・幼穂形成期の茎数を調査するとともに、登熟期には稈 長・穂長を測定し、隣接する条を含めた 60 株の坪刈りにより収量を調査した。 圃場別の全刈り収量は、食味・収量コンバイン (クボタ DR6130S-PFQW-C) を用いて推定した。 結果と考察 自動運転播種作業では、1.136 ha の圃場を無補給で作業できることを実証した。農道と平行な圃 場長辺方向を走行することにより旋回回数が削減され、作業能率は 5.9 分/10a、自動化率は 82% に達し、苗補給の必要な移植栽培で得られた53%を大幅に上回った。湛水直播ユニットは坪 60 株 (条間 30 cm×約 18 cm) の点播に設定したが、播種時に形成される側条施肥溝に種子が移動す るなど、株状の苗立ちとはならず、コーティング比率を高める必要があると判断された。 苗立ち数は40 本/m2と少なかったが、「にじのきらめき」は旺盛に分げつし、分げつ期 (7/9) 茎数 は移植区と同等となった (第 1 図)。また、出穂期には移植区より早く到達した (第 1 表)。 自動運転湛直区の稈長は、移植60 株区の 69.9 cm や同 70 株区の 72.2 cm と同等の 71.0 cm と なり、一部で若干の倒伏が認められたが、より苗立ち数が多かったと推察される散播湛 直区より程 度は小さく、また同区でコンバイン収穫時に認められた株抜けもほとんど発生しなかったことから、苗 立ち数が少なく、個体あたりの穂数が多くなるのと同時に、より多くの冠根が発生して個体を支持し た可能性が示唆された。 2020 年の気象条件のもとでは、坪刈り収量 630 kg/10a・全刈り推定収量 545 kg/10a のいずれも 移植区と同程度であり (第 2 図)、「にじのきらめき」の自動運転湛水直播栽培は、とくに大区画圃 場での作業能率向上が期待される有望な技術であると判断された。また、今後の課題として、苗立 ちを安定させる条件の解明と、水管理を含めた雑草対策が、それぞれ明らかになった。
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自動運転播種機を用いた茨城県南部における水稲品種「にじのきらめき」の 鉄コーティング湛水直播栽培実証 石川哲也*1・横田修一 2・平田雅敏 2・小川春樹 2・小笠原慎一2・古渡拳人 3・ 板谷恭兵 1・澤田寛子 4・福嶌陽 1・吉永悟志 1 (1農研機構中央農業研究センター・2(有) 横田農場・ 3茨城県農業総合センター農業研究所・4農研機構農業環境変動研究センター)Demonstration of Iron-coated Paddy Seeding Cultivation of Rice(Oryza sativa L.) Cultivar "Nijinokirameki" by Robot Seeding at Southern Ibaraki Region
Tetsuya Ishikawa*1 , Shuichi Yokota2, Masatoshi Hirata2, Haruki Ogawa2, Shinichi Ogasawara2, Kento Furuwata3, Kyohei Itaya1, Hiroko Sawada4, Akira Fukushima1 and Satoshi Yoshinaga1
(1NARO Cent. Region Agric. Res. Cent., 2Yokota Nojo, 3Agric. Res. Inst. Ibaraki Agric Cent., 4NARO Inst. Agro-Environ. Sci.)
目的 農研機構で開発された自動運転田植機を活用して、より省力的な水田営農を確立するため、湛 水直播ユニットに換装した自動運転播種機を用いて、大区画圃場における自動運転鉄コーティン グ湛水直播実証試験を実施して、メリットおよび問題点を明らかにする。 材料および方法 2020 年に茨城県龍ケ崎市において、耐倒伏性が期待される良食味品種「にじのきらめき」を供試 し、コーティング比 0.25 の種子を、5 月 9 日に自動運転機能を用いて 1.136 ha の大区画圃場に播 種した。同日に背負い動力散粒機を用いて散播した1.002 ha の大区画圃場を推定収量の比較対 象とし、6 月 5・6 日に同品種の稚苗を機械移植した複数圃場とも生育・収量を比較した (第 1 表)。 自動運転湛水直播圃場では、80×90 cm の苗立ち調査地点を 16 カ所設置し、分げつ期・幼穂 形成期の茎数を調査するとともに、登熟期には 5 個体の稈長・穂長を測定し、そのまま坪刈り地点 として収量を調査した。稚苗移植圃場では、栽植密度の異なる2 筆に 3 カ所または 4 カ所、それぞ れ 10 株の調査定点を設置し、分げつ期・幼穂形成期の茎数を調査するとともに、登熟期には稈 長・穂長を測定し、隣接する条を含めた 60 株の坪刈りにより収量を調査した。 圃場別の全刈り収量は、食味・収量コンバイン (クボタ DR6130S-PFQW-C) を用いて推定した。 結果と考察 自動運転播種作業では、1.136 ha の圃場を無補給で作業できることを実証した。農道と平行な圃 場長辺方向を走行することにより旋回回数が削減され、作業能率は 5.9 分/10a、自動化率は 82% に達し、苗補給の必要な移植栽培で得られた53%を大幅に上回った。湛水直播ユニットは坪 60 株 (条間 30 cm×約 18 cm) の点播に設定したが、播種時に形成される側条施肥溝に種子が移動す るなど、株状の苗立ちとはならず、コーティング比率を高める必要があると判断された。 苗立ち数は40 本/m2と少なかったが、「にじのきらめき」は旺盛に分げつし、分げつ期 (7/9) 茎数 は移植区と同等となった (第 1 図)。また、出穂期には移植区より早く到達した (第 1 表)。 自動運転湛直区の稈長は、移植60 株区の 69.9 cm や同 70 株区の 72.2 cm と同等の 71.0 cm と なり、一部で若干の倒伏が認められたが、より苗立ち数が多かったと推察される散播湛 直区より程 度は小さく、また同区でコンバイン収穫時に認められた株抜けもほとんど発生しなかったことから、苗 立ち数が少なく、個体あたりの穂数が多くなるのと同時に、より多くの冠根が発生して個体を支持し た可能性が示唆された。 2020 年の気象条件のもとでは、坪刈り収量 630 kg/10a・全刈り推定収量 545 kg/10a のいずれも 移植区と同程度であり (第 2 図)、「にじのきらめき」の自動運転湛水直播栽培は、とくに大区画圃 場での作業能率向上が期待される有望な技術であると判断された。また、今後の課題として、苗立 ちを安定させる条件の解明と、水管理を含めた雑草対策が、それぞれ明らかになった。 本研究は農林水産省 「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト (課題番号:大C06、課題名:関 東 平 坦 部 における栽 培 管 理 支 援 システムとスマート農 機 の連 携 による大 規 模 水 稲 作 営 農 体 系 の実 証)」 (事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構) により実施された。 第 1 表 耕種概要 栽培法 圃場数 播種・ 移植日 播種量・ 栽植密度 窒素施肥(kg/10a) 出穂期 備考 対象 定点 調査 基肥 施用日追肥 追肥 施用量 自動運転湛直 1 1 5/9 3.23 5.6 7/27 3.0 8/13 散播湛直 1 - 5/9 4.25 5.8 7/27 3.6 - 移植60 株 7 1 6/6 18.6 5.4-8.0 7/29 4.0 8/17 移植70 株 10 1 6/5 21.2 5.3-7.8 7/20-29 4.0-5.0 8/15 2筆に肥8/8N 追1.0 播種量は乾籾 kg/10a、栽植密度は定点の株数/m2;出穂期は定点調査圃場の日付を示した 自動運転湛直の走行テストを実施した小区画圃場は、苗立ち不良部分に補植したため、含めていない 第1 図 自動運転湛直栽培の面積あたり茎数・穂数の推移 調査した 16 地点を、4 地点ずつまとめて反復とみなし、その平 均 値 と標 準 偏 差 を示 した( 移 植 栽 培 は調 査 地 点 間 の平 均 ・ 標 準偏差) 第 3 図 自動運転湛水直播 の作 業 軌 跡 (途 中 まで、上 ) と収量メッシュマップ (下) 上 : 外 周 のティーチングに引 き 続いて自動走行を実施中 下 : 推 定 収 量 が 高 い ほ ど 、5m メッシュが濃く表示される 第2 図 食味・収量コンバインによる推定収量の比較 推 定 収 量 は、圃 場 面 積 による加 重 平 均 値 に圃 場 間 の標 準 偏 差を付して示した 篩目 1.85mm の坪刈り収量は、圃場内反復の平均値に反復間 の標準偏差を付して示した