GL
n
(F )
の既約表現の
L
因子と
ε
因子
石井 卓
*
このノートでは非アルキ メデス局所体F 上の一般線形群GLn(F )の既約許容表現に対 するL因子, ε因子を Godement-Jacquetの積分表示を通して定義し,それらが具体的に どのような形になっているかを概説します. 第 1 節では n = 1 の場合, すなわ ち岩澤-Tate の局所ゼータ積分を復習し ます. 岩 澤-Tate理論(いわゆるTate’s thesis)はHeckeの量指標のL関数の基本的性質をアデール環上の調和解析により説明したもので, GL1 の保型表現論ともみなすことができます. 局所ゼータ積分を定義し, GL1(F ) = F× の指標に対する L 因子, ε 因子の形を紹介し ます. 第2節はGodement-Jacquetのレ クチャーノート [9]の一部の概説です. [9]において は岩澤-Tate理論の拡張として, GLnの標準 L関数(principal L関数)が積分表示(ゼー タ積分)を用いて調べられ,その解析接続, 関数等式といった基本的性質が明らかにされま した. 局所ゼータ積分により GLn(F )の既約スムーズ表現のL因子, ε因子を定義し, 局 所理論の主結果の証明の概略を紹介し ます. その後L因子の具体的な表示を述べ, 大域理 論について触れます. また補足としてGLnの保型L関数の定義を紹介します. なお[9]は読みやすい文献だと思われますが, 最近出版されたGoldfeld-Hundleyの教 科書[10]は, [9]の解説を目標にして書かれた保型表現論の入門書になっておりとても丁 寧に書かれています. 局所理論についてはGL2 に限定していますが, Bushnell-Henniart の教科書[4]にもすっきりと解説されています. またJacquet自身による論説[13]もあり ます. 第3節ではε因子を扱います. ε因子の明示的な表示は局所Langlands対応との関連か らも研究されてきました. 既約許容表現のε因子の計算は既約超カスプ表現のε因子の計 算に帰着されます. まず第1節と同様の計算によって超カスプ表現のε因子が「非可換合 *成蹊大学理工学部([email protected])
同Gauss和」で表示できることを見ます. 続いてより精密な ε因子の表示のために nを 素数に限定し, Carayol [6], Kutzko-Moy [14], Moy [15] らよるGLn(F )の超カスプ表現
の構成法を(証明をつけずに)紹介し, ε因子の計算について述べます. なお, GLn(F )の標準L関数に対する別の積分表示としてJacquet, Piatetski-Shapiro, Shalikaによる積分が知られています. この「JPSS積分」はGLn× GLmのL関数に対 する積分表示ですが m = 1 とすれば GLnの標準L 関数が得られます. このJPSS 積分 を通じても L因子, ε因子が定義され, 本稿で述べるものと一致することが知られていま す. さらに局所Langlands対応においては,このJPSS積分から定義される「対のε因子」 (GLm× GLnのε因子)が必要になるのですが, 本稿では触れることができませんでした. JPSS積分については, 例えば [5], [12](やその参考文献)などをご覧になってください. 本稿を通じて特に断らない限りは, F をp進体, O = OF をF の整数環, P = PF を極 大イデアル, k = kF =OF/PF を剰余体, q = qF =|kF|, = F をF の素元, vF をF の正規化された加法的付値(vF(F) = 1), | |F をF のモジュラス(|x|F = q−vF(x))と します. またF の有限次拡大体E に対しても, OE,PE, kE, qE, E, vE, | |Eのように 添え字をつけて同様の記号を用いることにします.
1 GL
1(F )
の
L
因子
, ε
因子
本節では, F× = GL1(F ) の指標 (=1 次元表現)χ : F× → C× に付随する L 因子 L(s, χ), ε因子ε(s, π, ψ)を定義し,その明示的な表示を紹介する. まず UF0 =O×, UFn= 1 +Pn (n≥ 1)とおくと, F× ⊃ UF0 ⊃ UF1 ⊃ UF2 ⊃ · · · という フィルトレーションを得る. F×の指標χが O×上自明であるとき不分岐指標, そうでな いとき分岐指標という. 分岐指標χに対して, χがUFf 上自明になるような最小のf をχ の導手といいf (χ)と表す: χ| UFf(χ)−1 = 1, χ|UFf(χ) = 1. F の非自明加法指標ψ : F → Cを一つ固定する. S(F)をF 上のSchwartz-Bruhat関 数の空間, すなわちF 上の滑らかな関数(=局所定数関数)でコンパクト台をもつもの全 体とする. Φ∈ S(F)に対して, ΦのFourier変換 Φを Φ(x) := F Φ(y)ψ(xy) dμψ(y) により定義する. ここ に μψ は ψ について 自己双対的な F の Haar 測度, すなわ ち Φ(x) = Φ(−x) (∀Φ ∈ S(F))をみたす Haar測度とする. なお Φ ∈ S(F)である. F× のHaar測度 μ∗を一つとり固定する. F× の指標χ, s ∈ C, Φ ∈ S(F)に対して,岩澤-Tateの局所ゼータ積分を Z(s, Φ, χ) := F× Φ(x)χ(x)|x|sF dμ∗(x) によって定義する. d∗x = dμ∗(x)と略記する. 岩澤-Tateの局所ゼータ積分に対して次が 成り立つ. 定理-定義 1.1. χをF×の指標とする. (1) Z(s, Φ, χ)はRe(s) >> 0において絶対収束し, q−sの有理関数となる. (2) (L 因子) Z(χ) := {Z(s, Φ, χ) | Φ ∈ S(F)} とす ると, 定数項が 1 の 多項式 Pχ(X) ∈ C[X]がただ一つ存在して, Z(χ) = Pχ(q−s)−1C[qs, q−s]となる. χの L因子L(s, χ)を L(s, χ) = Pχ(q−s)−1 によって定めると, L(s, χ) = (1− χ()q−s)−1 χが不分岐指標のとき; 1 χが分岐指標のとき となる. (3) (ε因子) ε因子ε(s, χ, ψ)が存在して,局所関数等式 Z(1− s, Φ, χ−1) L(1− s, χ−1) = ε(s, χ, ψ) Z(s, Φ, χ) L(s, χ) , ∀Φ ∈ S(F) をみたす. さらにε(s, π, ψ)はq−sのベキの定数倍となる. 注意 1.2. F の非自明加法指標ψ, F の元aに対して, ψa(x) = ψ(ax) (x∈ F)とおくと ψaはF の加法指標になり, a → ψa は同型F ∼= F を与える. さらに a ∈ F×に対して, ε(s, χ, ψa) = χ(a)|a|s−1/2F ε(s, χ, ψ)がわかる. この注意により, ψ|O = 1かつψ|P = 1をみたすψに対して ε因子を考えればよく,そ の明示形は以下の通りである. 定理 1.3. χをF×の指標とする. F の非自明加法指標ψがψ|O = 1, ψ|P = 1をみたす とする. このとき以下が成り立つ. (1) χが不分岐指標のとき, ε(s, χ, ψ) = qs−1/2χ()−1.
(2) χが分岐指標のとき, ε(s, χ, ψ) = q(1−f(χ))s−1/2 x∈O×/UFf(χ) χ(1−f(χ)x)−1ψ(1−f(χ)x). [証明] Φを適当にとり, ε(s, χ, ψ) = Z(1− s, Φ, χ −1) Z(s, Φ, χ) · L(s, χ) L(1− s, χ−1) を計算する. Z(s, Φ, χ) = m∈Z mO× Φ(x)χ(x)|x|sF d∗x = m∈Z (χ()q−s)m O×Φ( mx)χ(x)d∗x (1.1) と表すことができる. まず計算を簡単にするためにF×のHaar測度d∗xをO×d∗x = 1 となるようにとっておく. またψについての仮定から μψ(Pn) = q1/2−nであることに注 意しておく. χが不分岐のときは, Φ = chO (Oの特性関数)とする. (1.1)により, Z(s, Φ, χ) = ∞ n=0 (χ()q−s)n = L(s, χ) となる. さらに ψについての仮定から Φ(x) = Oψ(xy) dμψ(y) = q 1/2ch P(x) = q1/2Φ(−1x) であるから Z(s, Φ, χ−1) = q1/2 F× Φ(−1x)χ(x)−1|x|sFd∗x = q1/2−sχ()−1 F× Φ(x)χ(x)−1|x|sFd∗x = q1/2−sχ()−1L(s, χ−1) となる. 以上よりε(s, χ, ψ) = qs−1/2χ()−1を得る. χが分岐指標のときは, Φ = ch UFf(χ)とすると, Z(s, Φ, χ) = μ ∗(Uf (χ) F )となる. また Φ(x) = Pf(χ) ψ(x(1 + v)) dμψ(v)
= ψ(x)μψ(Pf (χ)) chP1−f(χ)(x) = ψ(x)q−f(χ)+1/2chP1−f(χ)(x) であるから, Z(s, Φ, χ−1) = μψ(Pf (χ)) P1−f(χ)\{0} ψ(x)χ(x)−1|x|sF d∗x = μψ(Pf (χ)) m≥1−f(χ) q−msIm を得る. ここで Im = O×ψ( mx)χ(mx)−1d∗x とおいた. するとm≥ 2 − f(χ)のときIm= 0となることがわかる. 実際χ(y) = 1とな るようなy = 1 + v∈ UFf (χ)−1に対して, Im = O×ψ( mxy)χ(mxy)−1d∗x とかけるが, m ≥ 2 − f(χ)ならば ψ(mxy) = ψ(mx)ψ(mxv) = ψ(mx)であるこ とに注意すると Im = χ(y)−1ImとなりIm= 0が従う. よって Z(s, Φ, χ−1) = μψ(Pf (χ))q(f(χ)−1)s O× ψ(1−f(χ)x)χ(1−f(χ)x)−1d∗x = q−f(χ)+1/2q(f(χ)−1)sμ∗(UFf (χ)) x∈O×/UFf(χ) χ(1−f(χ)x)−1ψ(1−f(χ)x) を得る. Z(s, Φ, χ) = μ∗(UFf (χ))とあわせて主張を得る. 2
2 Godement-Jacquet
理論
G = GLn(F ), A = Mn(F )とし, Gの中心をZとおく.2.1
局所ゼータ積分
(π, V ) を G のス ムーズ 表 現, (π∨, V∨) を (π, V ) の反 傾表現, , を V × V∨ の canonical paringとする. v∈ V , v∨∈ V∨に対して, G上の関数 fv,v∨ : g → π(g)v, v∨ (g ∈ G)を(π, V )の行列係数といい, それらの張る複素ベクトル空間をC(π)と書く: C(π) :=C−span{fv,v∨ | v ∈ V, v∨ ∈ V∨}. f ∈ C(π)に対して, f∨(g) = f (g−1)とおくと, f∨ ∈ C(π∨)となる. S(A) := {Φ : A → C |コンパクト台,局所定数}をA上のSchwartz-Bruhat関数の空 間とし, F の非自明加法指標ψを固定する. Φ∈ S(A)に対して, Φ(x) := A Φ(y)ψ(tr(xy)) dμψ(y) (x∈ A) をΦのFourier変換とする. ここで μψ はψに関する自己双対的なHaar測度, すなわち Φ(x) = Φ(−x) (∀Φ ∈ S(A))をみたすものとする. 定義 2.1. GのHaar測度μ∗ を一つとり固定する. s ∈ C, Φ ∈ S(A), f ∈ C(π)に対し て局所ゼータ積分を Z(s, Φ, f ) := G Φ(g)f (g)| det g|sF dμ∗(g) によって定義する. 以下ではdψx = dμψ(x), d∗g = dμ∗(g)と略記する. Godement-Jacquet [9]の非アル キメデ ス局所理論の主結果は以下の通りである. 定理-定義 2.2. ([9, Theorem 3.3]) (π, V )をGの既約スムーズ表現とする. (1) Z(s, Φ, f )はRe(s) >> 0において絶対収束し, q−sの有理関数となる. (2) (L因子) Z(π) := {Z(s + (n − 1)/2, Φ, f) | Φ ∈ S(A), f ∈ C(π)}とすると, 定数 項が1の多項式Pπ(X)∈ C[X]がただ一つ存在して, Z(π) = Pπ(q−s)−1C[qs, q−s] となる. πのL因子L(s, π)を L(s, π) = Pπ(q−s)−1 によって定義する. さらに n≥ 2でπが超カスプ表現のとき, L(s, π) = 1となる. (3) (ε因子) ε因子ε(s, π, ψ)が存在して, 局所関数等式 Z(1− s + n−12 , Φ, f∨) L(1− s, π∨) = ε(s, π, ψ) Z(s + n−12 , Φ, f ) L(s, π) , ∀Φ ∈ S(A), ∀f ∈ C(π) をみたす. さらにε(s, π, ψ)はq−sのベキの定数倍となる.
注意 2.3. L因子, ε因子の定義はGのHaar測度μ∗ の取り方にはよらない. またε因子
はψに依存している. 局所関数等式においてψに依存する部分は Φであり,注意1.2のψa
に対し て dψax = |a|−nF 2/2dψxが成り立つので ε(s, π, ψa) = ωπ(a)|a|n(s−1/2)F ε(s, π, ψ)
となることがわかる. ここでωπ はπの中心指標である. 注意 2.4. 定理2.2は既約性を仮定しなくても成立する部分がある. たとえば 以下の定理 2.7が示すように, 既約表現からの放物誘導によって得られる表現に対しても定理2.2は 成立している. 注意 2.5. (γ 因子/ε 因子) γ(s + (n− 1)/2, π, ψ) = ε(s, π, ψ) := ε(s, π, ψ)L(1− s, π ∨) L(s, π) とおくと, 局所関数等式は Z(n− s, Φ, f∨) = γ(s, π, ψ)Z(s, Φ, f ) と書ける. 注意 2.6. (2)と(3)の局所関数等式から ε(s, π, ψ) = cq−sf (f ∈ Z)の形であることが 以下のようにしてわかる. 局所関数等式を2回使うと Z(s +n− 1 2 , Φ, f) = ε (1− s, π∨, ψ)ε(s, π, ψ)Z(s + n− 1 2 , Φ, f ) となる. Φ(x) = Φ(−x)により, Z(s, Φ, f) = ωπ(−1)Z(s, Φ, f)に注意して, ε(1− s, π∨, ψ)ε(s, π, ψ) = ωπ(−1) (2.1) を得る. また(2)から(Φi, fi)∈ S(A) × C(π) (1 ≤ i ≤ r)が存在して, 1≤i≤r Z(s + n− 1 2 , Φi, fi) = L(s, π) となる. 従って局所関数等式とL(s, π∨)の定義により, ε(s, π, ψ) = 1 L(1− s, π∨) i Z(1− s + n− 1 2 , Φi, f ∨ i )∈ C[qs, q−s] となる. 同様にしてε(1− s, π∨, ψ) ∈ C[qs, q−s]がわかるので, (2.1)により, ε(s, π, ψ)は C[qs, q−s]の可逆元となる. すなわちε因子ε(s, π, ψ)はq±sのベキの定数倍となる. 定理2.2におけるその他の主張については, その証明の概略を次節で述べる.
2.2
定理
2.2
の証明
次の定理により定理2.2の証明はπが既約超カスプ表現の場合に帰着される: 定理 2.7. P = MU (M ∼=ri=1GLni(F ), ri=1ni = n)をGの放物部分群とする. 中 心指標を持つGLni(F )の許容表現σi およびその反傾表現σi∨に対して, 定理 2.2が成り 立つとする. このとき, π = IndGP(σ1 · · · σr)および π∨に対しても定理2.2が成立し, L(s, π) = r i=1 L(s, σi), L(s, π∨) = r i=1 L(s, σi∨), ε(s, π, ψ) = r i=1 ε(s, σi, ψ) となる. さらにπをπの既約組成因子とするとき, π, π∨に対しても定理2.2が成立し, 次をみたす: L(s, π)∈ L(s, π) · C[q−s], L(s, π∨)∈ L(s, π∨)· C[q−s], ε(s, π, ψ) = ε(s, π, ψ). そこで以下ではn≥ 2として, πがGLn(F )の既約超カスプ表現の場合を考える. まず 局所ゼータ積分をV 上の線形作用素と思い, 以下の記法を導入する: Z(s, Φ, π) = G Φ(g)| det g|sFπ(g) d∗g, tZ(s, Φ, π∨) = G Φ(g)| det g|sFπ(g−1) d∗g.また, S(A)の部分空間S0(A)をS(A)の元Φで以下の2条件をみたすもの全体とする.
(1) supp(Φ)⊂ G, (2) Gの任意の真放物部分群のベキ単根基U に対してUΦ(g1ug2) d∗u = 0. このとき次が成り立つ. 補題 2.8. (1) Φ∈ S0(A)に対して Φ ∈ S0(A)となる. (2) 任意のT ∈ EndC(V )とs∈ Cに対してZ(s, Φ, π) = T となるΦ∈ S0(A)が存在 する. (3) V の0でない任意の元vに対して, span{u ∈ V | ∃Φ ∈ S0(A), n∈ Z, s.t. Z(s, Φ, π)v = q−nsu, ∀s ∈ C} = V となる. 積分の変数変換等を用いて次が示される:
命題 2.9. Φ ∈ S(A), Ψ ∈ S0(A)に対して, 次の2つの積分は 0 < Re(s) < nにおいて 絶対収束し, 互いに等しい. G G Φ(g) Ψ(h)π(g)v, π∨(h)v∨| det g|Fs| det h|n−sF d∗gd∗h; G G Φ(g)Ψ(h)π(g−1)v, π∨(h−1)v∨| det g|n−s F | det h|sF d∗gd∗h. 特にΦ, Ψ∈ S0(A)ならば全てのs ∈ Cに対して(EndC(V )における)以下の等式が成立 する. tZ(n− s, Ψ, π∨)Z(s, Φ, π) = Z(s, Ψ, π)tZ(n− s, Φ, π∨). この命題と補題2.8を併せてEndC(V )の元γ(s, π, ψ)が唯一つ存在して tZ(n− s, Φ, π∨) = γ(s, π, ψ)Z(s, Φ, π), ∀Φ ∈ S 0(A) となることがわかる. さらに補題2.8とSchurの補題からγ(s, π, ψ)∈ Cがわかる. これ らのことから, 局所ゼータ積分の関数等式 Z(n− s, Φ, f∨) = γ(s, π, ψ)Z(s, Φ, f ), ∀Φ ∈ S(A), ∀f ∈ C(π) を得ることができる. したがって注意2.5の式でε因子を定義することにより,定理2.2(3) の局所関数等式が従う. また補題2.8により, γ(s, π, ψ)が q±s の単項式であることもわ かる. 定理 2.2の残りの部分は πの行列係数が Zを法としてコンパクトであることを用いて GL1(F )へ帰着させることで証明される. Φ ∈ S(A), f ∈ C(π)とする. Φ∈ S(A)は局 所定数でコンパクト台をもつので, Φ(kg) = Φ(g) (k ∈ K1, g ∈ G)なる開コンパクト部 分群K1がとれる. fv,v∨(kg) = π(kg)v, v∨ = π(g)v, π∨(k−1)v∨により, πが スムー ズであることから, π∨(k−1)v∨ = v∨ (∀k ∈ K2)なる開コンパクト 部分群K2 をとると, fv,v∨(kg) = fv,v∨(g) (k ∈ K2, g ∈ G)となる. したが って K = K1∩ K2 とすれば, f , Φはともに 左 K 不変となる. さらに supp(f)は Z を法としてコンパクトであるから, supp(f)⊂ ∪ri=1ZKgi (gi ∈ G)とできるので, Z(s, Φ, f ) = r i=1 ZK Φ(ggi)f (ggi)| det(ggi)|sFd∗g = vol(ZK/Z ) r i=1 f (gi)| det(gi)|sF F× Φ(zgi)ωπ(z)|z|nsF d∗z
とな る. ここで F× 上の積 分は 岩 澤-Tate の (F× の指 標 ωπ に ついて の) 局所ゼ ー タ積 分に 他な らな いので, Re(s) >> 0 で 絶対 収束し, q−s の有 理 関数とな り, さら に L(ns, ωπ)C[qs, q−s] に 属する. 即ち定理 2.2 の (1) および (2)の L 因子 L(s, π)(∈ L(ns, ωπ)C[qs, q−s])の存在が示せたことになる. 最後に L(s, π) = 1 を 示す. F× の 指標 χ に 対し て, L(s, χ) = 1 (χが 分岐指標), (1−χ()q−s)−1 (χが不分岐指標)であったから, ωπが分岐指標ならば直ちにL(s, π) = 1 が従う. ωπ が不分岐ならば, πを| · |tF の形の指標でひねることでωπ は自明であるとし てよい. したがって1のn乗根全体のなす群の部分集合T , Tが存在して, L(s, π) = ζ∈T (1− ζq−s)−1, L(s, π∨) = ζ∈T (1− ζq−s)−1 が成り立つ. 局所関数等式から γ(s +n− 1 2 , π, ψ) = ε(s, π, ψ) ζ∈T(1− ζq−s)−1 ζ∈T(1− ζqs−1)−1 であるが, γ(s + n−12 , π, ψ), ε(s, π, ψ)がともにq±sの単項式であるから, T, Tはともに 空集合でなければならない. 2
2.3
二乗可積分表現
,
既約許容表現の
L
因子
, ε
因子
近藤[22]において, GLn(F )の既約許容表現は超カスプ表現からの放物誘導により構成 されることが 紹介された. そのL因子, ε因子に対しては次が成り立つ. なおセグ メント 等の記号については[22]を参照してください. 命題 2.10. (1) 長さrのセグ メント Δ = [ρ, ρ(r− 1)]からの放物誘導の唯一の既約商 π =Δt に対して, L(s, π) = L(s, ρ(r− 1)) = L(s + r − 1, ρ), ε(s, π, ψ) = r−1 i=0 ε(s, ρ(i), ψ) r−2 i=0 L(−s, ρ∨(i)) L(s, ρ(i)) となる. (2) π =Δ1, . . . , Δrt のとき, L(s, π) = r i=1 L(s,Δit), ε(s, π, ψ) = r i=1 ε(s,Δit, ψ) となる.2.4
不分岐表現の
L
因子
G = GLn(F )の既約許容表現(π, V )が不分岐であるとは, Gの極大コンパクト部分群 K = GLn(O)による固定ベクトル(不分岐ベクトル)を持つことである. 不分岐表現を調 べる上で重要となる不分岐Hecke環H(G, K)とは, G上のコンパクト台を持つ両側 K 不変な関数全体のなす空間に畳み込み積 (f1∗ f2)(g) = G f1(x)f2(x−1g) d∗x を入れた代数のことである. 不分岐Hecke 環H(G, K)は既約不分岐表現 (π, V )の K-固定ベクト ルの空 間 VK に 作用するが, H(G, K) が 可換代数であるとい う 事実から dim VK = 1 であることがわかる. 不分岐 Hecke環の構造についての基本定理は, 佐武 同型 H(G, K) ∼=C[X1±, . . . , Xn±]Sn という可換代数としての同型である. ここで対称群SnはX1, . . . , Xnの置換として作用 する. この佐武同型により Gの不分岐表現を特徴づけることができる. 定理 2.11. F× の不分岐指標χi (1 ≤ i ≤ n) (precedeし ないとする)に対し, 不分岐 主系列表現 Ind(χ1 · · · χn)は唯一の既約部分商πχ ≡ π(χ1,...,χn)をもち, πχは不分 岐表現である. 逆に G の不分岐表現はこのようにし て得られ, πχ ∼= πχ ⇐⇒ ∃σ ∈ Sn s.t. χi = χσ(i) (1≤ i ≤ n)である. 定義 2.12. Gの不分岐表現πχの佐武パラメータ A(πχ) ∈ GLn(C)を上の定理の χiを 用いてA(πχ) = diag(χ1(), . . . , χn())により定める. 定理 2.13. 不分岐表現πχに対して, L(s, πχ) = n i=1 L(s, χi) = n i=1 (1− χi()q−s)−1, ε(s, πχ, ψ) = 1 が成り立つ. この定理を証明するには, 定理2.7により L(s, πχ) ∈1≤i≤nL(s, χi)· C[q−s]である から次を示せば よい. 命題 2.14. Gの不分岐表現πχの不分岐ベクトルの一つをv0とし, v0∨ ∈ π∨χをv0, v0∨ = 1となるようにとる. Φ0をMn(O)の特性関数とし, f0 = fv0,v∨ 0 ∈ C(πχ)とすると, 次が成り立つ: Z(s + n− 1 2 , Φ0, f0) = n i=1 L(s, χi). [証明] f0(g) =Kv0(gk) dkと書けることを用いると(Kdk = 1となるようにK上の測 度を正規化しておく), Z(s + n− 1 2 , Φ0, f0) = G K v0(gk)Φ0(g)| det g|s+(n−1)/2d∗gdk = G v0(g)Φ0(g)| det g|s+(n−1)/2d∗g (2 番目の 等式は 変 数変換 g → gk−1 に よ る). 岩澤 分解に より g = bk (b = (bij) は 上三角行列, k ∈ K) と書 くと, d∗g = ni=1|bii|i−nF dbii |bii|F i<jdbij · dk とできる. v0(g) = v0(b) =ni=1χi(bii)· |bii|(n+1)/2−iF であることを用いると Z(s + n− 1 2 , Φ0, f0) = n i=1 O× χi(b)|b|sF db |b|F = n i=1 L(s, χi) となる. 2
2.5
大域理論
この節では F を代数体とし, AをF のアデ ール環, F の素点vにおける完備化を Fv と書き, π ∼= ⊗vπv を GLn(A)の尖点保型表現とする. 尖点形式ϕ1, ϕ2 ∈ πに対して, GLn(A)上の関数 fϕ1,ϕ2(g) = Z(A)GLn(F )\GLn(A) ϕ1(hg)ϕ2(h) dh, g ∈ GLn(A) (ZはGLnの中心)をπの(大域的)行列係数という. fϕ∨1,ϕ2(g) = fϕ1,ϕ2(g−1)とおくと, fϕ∨ 1,ϕ2 はπ∨の行列係数になっている. ψ = vψv を F\Aの非自明加法指標, 行列環Mn(A)上のSchwartz-Bruhat関数全体をS(Mn(A))と書き, Φ ∈ S(Mn(A))に対して, ΦのFourier変換 Φを Φ(x) = M
n(A)Φ(y)ψ(tr(xy))dμψ(y) (x ∈ Mn(A)) によって定
める. ここでμψ は自己双対的なHaar測度とする. s∈ C, Φ ∈ S(Mn(A))に対して, 大 域ゼータ積分を Z(s, Φ, fϕ1,ϕ2) = GLn(A) fϕ1,ϕ2(g)Φ(g)| det g|sdg (2.2) によって定めると, Z(s, Φ, fϕ1,ϕ2)はRe(s)が十分大きいところで絶対収束することがわ かる. 積分領域を分割し, Poisson和公式を用いることで次が示される.
命題 2.15. 大域ゼータ積分Z(s, Φ, fϕ1,ϕ2)は複素平面全体に整型に解析接続され, 関数 等式 Z(s, Φ, fϕ1,ϕ2) = Z(n− s, Φ, fϕ∨1,ϕ2) をみたす. 尖点形式ϕ1, ϕ2 およびSchwartz-Bruhat関数 Φが factorizableであるとする: ϕ1 = vξ1,v, ϕ2 = vξ2,v, Φ = vΦv. このとき fϕ1,ϕ2 = vfξ1,v,ξ2,v となるので, 大域 ゼータ積分(2.2)は Z(s, Φ, fϕ1,ϕ2) = v Zv(s, Φv, fξ1,v,ξ2,v) と 局 所 ゼ ー タ 積 分 の 積 に 分 解 す る (オ イラ ー 積 分 解). こ こ で Zv(s, Φv, fξv,ξ v) = GLn(Fv)fξ1,v,ξ2,v(g)Φv(g)| det g| s Fvd×g (局所ゼータ積分)である. 定理2.2 (および R, C上の同様の結果)により次を得る. 定理 2.16. ([9, Corollary 13.8]) 大域L関数, ε関数をそれぞれ L(s, π) = v Lv(s, πv), ε(s, π) = v εv(s, πv, ψv) によって定めると, L(s, π)は全s平面に整型に解析接続され, 大域関数等式 L(s, π) = ε(s, π)L(1− s, π∨) をみたす. 注意 2.17. 大域 ε 関数は 非自明加法指標 ψ に 依らないことが (大域関数等式から)わ かる.
2.6
補足
: GL
nの保型
L
関数の定義
引き続き F を代数体とし, GをF 上定義された簡約代数群, π ∼= ⊗vπv をG(A)の尖 点保型表現とする. Gに対して「 双対ルートデータ」をもつ複素簡約代数群LG0が定義 される. G = GLnのときは, LG0 = GLn(C)である. r : LG0 → GL(X)をLG0の複素 有限次元有理表現とする. ほとんどすべての有限素点vにおいてπv はG(Fv)の不分岐表 現となるが, その佐武パラメータをAπv ∈LG0とするとき, 局所L因子を L(s, πv, r) = det(1− r(Aπv)qv−s)−1により定める. さらに「悪い素点」の(有限)集合S(すなわちv /∈ S ならば πv は不分岐 表現)に対して部分L関数を次のように定義する. LS(s, π, r) = v /∈S L(s, πv, r). この無限積LS(s, π, r)はRe(s)が十分大きいところで絶対収束することが知られてい る(Langlands). 問題は悪い素点におけるL因子, ε因子をど う定義するかであるが, 次が 予想されている. 予想 2.18. v ∈ Sに対して, L(s, πv, r), ε(s, πv, r, ψv)が局所Langlands対応と整合す るように適切に 定義され, 完備化され た L 関数 L(s, π, r) := v≤∞L(s, πv, r) (v は F のすべての素点を 走る) は全複素平面に有理型に 解析接続され る. さらに 大域 ε 因 子ε(s, π, r) := v≤∞ε(s, πv, r, ψv)は加法指標ψ = vψv に依存せず, 大域関数等式 L(s, π, r) = ε(s, π, r)L(1− s, π, r∨)をみたす. この予想に対するアプローチは大きく二つある. 一つは本節で紹介したような保型L関 数の積分表示による方法(いわゆるRankin-Selberg法)で, これ までに多くのL 関数に 対する積分表示が発見されている. もう一つは保型L関数を Eisenstein級数の Fourier(-Whittaker)係数とし て捉える Langlands-Shahidi法で, 以下に挙げ るような GLn のL 関数についてはいずれの方法によっても概ね上記の予想が示されている(詳し くは例えば [19]を参照してください.) 例1 (GLnの標準L関数) r = Stdn : GLn(C) g → g ∈ GLn(C)のとき, LS(s, π, Stdn) = v /∈S n i=1 (1− χi(v)qv−s)−1. ここで vは Fv の素元, qv は剰余体の位数であり, G(Fv) = GLn(Fv)の不分岐表現πv の佐武パラメータをdiag(χ1(v), . . . , χn(v))∈ GLn(C)とした. 例2 (GLnの2次対称積L関数, 2次外積L関数) 例1と同じ記号のもと, rがGLn(C) の2次対称積表現 Sym2 : GLn(C) → GL(Sym2(Cn)) ∼= GLn(n+1)(C), 2 次外積表現 ∧2 : GL n(C) → GL(∧2(Cn)) ∼= GLn(n−1)(C)のとき, LS(s, π, Sym2) = v /∈S 1≤i≤j≤n (1− χi(v)χj(v)q−sv )−1, LS(s, π,∧2) = v /∈S 1≤i<j≤n (1− χi(v)χj(v)q−sv )−1.
例3 (コンボリューションL関数/Rankin-Selberg L関数) G = GLn1×GLn2, GLni(A) の尖 点保型 表現 πi に 対し て, π = π1 π2 と お く. LG0 = GLn1(C) ⊗ GLn2(C), r = Stdn1 Stdn2に対して, LS(s, π, r) = v /∈S 1≤i≤n1,1≤j≤n2 (1− χ1,i(v)χ2,j(v)qv−s)−1.
ここで, GLni(Fv)の不分岐表現πi,v の佐武パラメータをdiag(χi,1(v), . . . , χi,n(v))∈ GLni(C)とした. 注意 2.19. GLn(A)の尖点保型表現 π に対し て, Stdn Stdn = Sym2 ⊕ ∧2 により, LS(s, π π, Stdn Stdn) = LS(s, π, Sym2)LS(s, π,∧2)が成り立つ.
3 GL
n(F )
の超カスプ 表現の
ε
因子
本節ではε 因子の具体的な表示を紹介する. 命題2.10により ε因子の計算は超カスプ 表現とGL1(F )の ε因子の計算に帰着される. GLn(F )の超カスプ 表現の構成は, 新谷, G´erardin, Howe, Carayolらの仕事を経て, Bushnell-Kutzko [3]によって決着された. これらの仕事によって確立されたことは,「GLn(F )の超カスプ 表現は, GLn(F )の中心を
法としてコンパクトな開部分群の既約表現からのコンパクト誘導で構成される」という事 実である.
以下ではまず定理 1.2の拡張として, Bushnell-Fr¨ohlich [2]による ε因子の「非可換合 同Gauss和」を用いた表示を紹介する. 3.2節では nが素数のときのGLn(F )の超カス プ表現のCarayol [6], Kutzko-Moy [14], Moy [15]に述べられている構成法を述べる. (ア イデアはn = 2の場合と重複する部分が多いので, [21]も参照してください.) 3.3節では
この構成をもとにε因子の明示形を与える.
前節に引き続き G = GLn(F ), A = Mn(F )とする. さらにF の非自明加法指標ψに 対して, ψA(x) := ψ(tr(x)) (x∈ A)とかく.
3.1
非可換合同
Gauss
和による表示
定義 3.1. Fn内の O-latticeの集合L = {Li}i∈Z が周期e = e(L)をもつ lattice chain
であるとは以下をみたすこととする:
(2) すべての i∈ Zに対してPLi = Li+e.
さらに
(3) すべての i∈ Zに対してdimkF Li/Li+1= n/e
をみたすときuniform lattice chainという.
周期eをもつlattice chain L = {Li}i∈Zに対して
A = AL ={x ∈ A | xLi ⊂ Li, ∀i} =
i
EndO(Li)
というAの部分環をchain orderという. PA をAのchain order AのJacobson根基と し, KA ={g ∈ G | gAg−1 =A}をAの正規化群とする. PAがAの主分数イデアルとな るとき(⇐⇒ Aがuniform lattice chainのchain order) Aはprincipal orderであると
いい,このときKAはGの中心を法としてコンパクトなGの開部分群となる. 以下,Aは Aのprincipal orderであるとする. UA0 :=A×, UAm:= 1 +PAm (m≥ 1) とおくと, A = Mn(F )⊃ A ⊃ PA ⊃ PA2 ⊃ · · · G = GLn(F )⊃ KA ⊃ UA0 ⊃ UA1 ⊃ UA2 ⊃ · · · というフィルトレーションを得る. F の非自明加法指標ψをψ|O = 1, ψ|P = 1となるようにとり固定する. 整数m, lが 1≤ m < l ≤ 2mをみたすとき(後の議論では, m = [(l + 1)/2]ととる) 乗法群UAm/UAl と加法群PAm/PAl はUAm/UAl x → x − 1 ∈ PAm/PAl により同型になる. β∈ PA1−lに対 して, UAmの指標ψβ を ψβ(x) := ψA(β(x− 1)) = ψ(trβ(x − 1)) (x ∈ UAm) によって定めると, ψβ はUAl 上自明となり, β→ ψβは同型 PA1−l/PA1−m= (U∼ Am/UAl)∧ (complex dual) を与える. 定義 3.2. KA の既約スムーズ表現 σに対して ker(σ) ⊃ UAf となる最小のf (≥ 0)をσ の導手といいf (σ)とかく. σが非退化であるとは次のいずれかをみたすこととする:
(1) f (σ) = 0または1, (2) f (σ) ≥ 2であり, σ|Uf(σ)−1 A をアーベル群U f (σ)−1 A /UAf (σ)の表現とみなし既約分解 したときに現れる指標χ∈ (UAf (σ)−1/UAf (σ))∧に対して, δχがKA に含まれる. こ こでδχは(UAf (σ)−1/UAf (σ))∧∼=PA1−f(σ)/PA2−f(σ)によるχの像である. 定義 3.3. KA の既約スムーズ表現(σ, W )および F の非自明加法指標ψに対して, T (σ, ψ) := x∈UA0/UAf(σ) σ∨(cx)ψA(cx) とおく. ここで (σ∨, W∨)は(σ, W ) の反傾表現であり, c∈ KA はcA = PA1−f(σ) をみた すようにとっておく. このときSchurの補題から T (σ, ψ)は(cの取り方にはよらず)ある τ (σ, ψ) ∈ Cが存 在して T (σ, ψ) = τ (σ, ψ)· 1W∨ となる. この τ (σ, ψ)をσの非可換合同Gauss和とよぶ. また, σが非退化であることは τ (σ, ψ)= 0と同値であることが知られている. 次の定理は定理1.2のGLn(F )への拡張 である. 定理 3.4. ([2, Theorem 3.3.8]) F の非自明加法指標ψは ψ|O = 1, ψ|P = 1をみたす ようにとる. Gの既約許容表現πが以下の2条件をみたすとする: (i) L(s, π) = 1, (ii) π|KA はKAの非退化な既約表現σを含む. このとき, ε(s, π, ψ) = (PA1−f(σ) :A)(1/2−s)/n· τ (σ, ψ) (A : PAf (σ))1/2 が成り立つ. 注意 3.5. 超カ スプ 表現はこ の 2 条件はみたし て いるが, ここで は さらに [3] の結 果 π ∼= indGKA(σ)を認めて証明を述べる. [証明] 局所ゼータ積分を作用素とみなしたときの関数等式 tZ(1− s + n− 1 2 , Φ, π ∨) = ε(s, π, ψ) Z(s + n− 1 2 , Φ, π) (3.1) を 用いる. Φ = ch UAf(σ) と する. まず 右辺に ついては π|KA は U f (σ) A 上自明であり,
| det g|F = 1 (g ∈ UAf (σ))であるから, Z(s, Φ, π) = G Φ(g)| det g|sFπ(g) d∗g = μ∗(UAf (σ))· 1W となる. 左辺については Φ(x) = UAf(σ) ψA(xy) dμψ(y) = PAf(σ) ψA(x(1 + v)) dμψ(v) = ψA(x)μψ(PAf (σ)) chP1−f(σ) A (x) であるから, tZ(s, Φ, π∨) = μ ψ(PAf (σ)) G∩PA1−f(σ) ψA(g)| det g|sFπ∨(g) d∗g となる. ここで I = G∩PA2−f(σ) ψA(g)| det g|sFπ∨(g) d∗g = 0 となることがわかる. 実際, m ≥ f(σ) − 1のとき, π|Um A の既約分解に現れるアーベル群 UAm/UAm+1の自明でない指標χをとり, π∨(x)v∨= χ(x)−1v∨ (∀x ∈ UAm)となるv∈ V∨ をとる. さらにx = 1 + y ∈ UAmをχ(x) = 1をみたすものとすると, 勝手なv ∈ V に対 して, v, Iv∨ = G∩PA2−f(σ) ψA(g)| det g|sFv, π∨(g)v∨ d∗g = G∩PA2−f(σ) ψA(gx)| det gx|sFv, π∨(gx)v∨ d∗g = G∩PA2−f(σ) ψA(g)ψA(gy)| det g|sFv, χ(x)−1π∨(g)v∨ d∗g = χ(x)−1v, Iv∨ となるので(g ∈ PA2−f(σ), y ∈ PAmよりψA(gy) = 1を用いた), χ(x)= 1であることから I = 0となる. したがって, tZ(s, Φ, π∨) = μ ψ(PAf (σ)) G∩cA× ψA(g)| det g|sFπ∨(g) d∗g
= μψ(PAf (σ))| det c|sF A× ψA(cg)σ∨(cg) d∗g = μψ(PAf (σ))| det c|sFμ∗(UAf (σ)) x∈A×/UAf(σ) ψA(cx)σ∨(cx). 以上により関数等式(3.1)から ε(s, π, ψ) = μψ(PAf (σ))| det c|1−s+(n−1)/2F τ (σ, ψ) を得るが, | det c|F = (PA1−f(σ):A)1/nに注意すると主張がしたがう. 2
3.2 GL
n(F) (n:
素数
)
の超カスプ 表現の構成
以下において nは素数であるとする. uniform lattice chain Lの周期e = e(L)はnの 約数であるから e = 1, nとなる. したがってprincipal order A = ALは I = ⎧ ⎪ ⎨ ⎪ ⎩ ⎛ ⎜ ⎝ O · · · O P ... O P P O ⎞ ⎟ ⎠ ⎫ ⎪ ⎬ ⎪ ⎭, M = Mn(O) のいずれかとG共役な Aの部分環となる. Jacobson根基PA, 正規化群KAは PI = ⎧ ⎪ ⎨ ⎪ ⎩ ⎛ ⎜ ⎝ P · · · O P ... O P P P ⎞ ⎟ ⎠ ⎫ ⎪ ⎬ ⎪ ⎭, PM= Mn(P), KI =ZI ×, K M = F×GLn(O) となる. ここでZ はz = (zij) (zn,1 = F, zi,i+1= 1,それ以外の成分は0) によって生 成される巡回群であり, I× は岩堀部分群と呼ばれる. Gの中心を法としてコンパクトな 部分群はKIかKMに共役になる.
まず KA の“very cuspidal表現”(tr`es cuspidale, Carayolの用語)について述べる.
定義 3.6. E ⊂ Mn(F )をF の拡大体とする. e(E/F )をE/F の分岐指数とするとき, E
の元βがE/F -minimal元であるとは, 以下の2条件をみたすこととする. (1) (vE(β), e(E/F )) = 1;
(2) kF(F−vE(β)βe(E/F )modPE) = kE.
注意 3.7. E = F であるとすると, nが 素数であることから, E/F はn 次拡大である.
定義 3.8. KA の 既 約許容表現 σ で 以下のいずれ かを みた すものをレ ベル l の very
cuspidal表現という.
(1) l ≥ 2 であり, (i) UAl ⊂ ker(σ) かつ (ii) E/F -minimal 元β ∈ PA1−l が 存在し て σ|Ul−1
A ⊃ ψβ.
(2) l = 1かつA = Mであり, σが UA1 上自明で UA0/UA1 ∼= GLn(k)の尖点表現([20]を
参照)であること.
Carayol [6]の主結果は以下の通りである.
定理 3.9. ([6, Theorem 4.2]) nを素数とする. KA の既約 very cuspidal 表現 σに 対 し て, indGK Aσ は G = GLn(F ) の既約超カスプ 表現になる. 逆に π を G の既約超カ スプ 表現と すると き, KA の既 約 very cuspidal 表現 σ と F× の指 標 χ が 存在し て, π ∼= indGKA(σ⊗ χ ◦ det)となる. 注意 3.10. nが合成数のときにはこの定理は成り立たない. すなわちvery cuspidal表現 からのコンパクト誘導で構成されないGの超カスプ表現がある. Carayolの証明は, 超カスプ表現の形式次数とF 上の中心的斜体の乗法群D× の表現の 次数(Deligneの公式)を計算して, Deligne-Kazhdan対応(GとD×の表現の対応)を用 いるというものであった. その後Bushnell [1]によってlocalな証明が与えられた. Gの超カスプ 表現の構成は, F の剰余標数を pとするとき, n = p (tamely ramified) の場合はHowe [11], Moy [15]らによってなされている. [11], [15]では nが pと互いに 素な合成数の場合も含めて, Gの超カスプ表現をE× の指標によってパラメトライズして
いる. n = p (ただし p = 2, wildly ramified)の場合は Kutzko-Moy [14] により KI の
very cuspidal表現が構成されている. なおA = Mのときは, G´erardin [7]によって一般 の(n, p)に対して, cuspidal unramified seriesといわれる超カスプ表現の系列が構成され ている. また高橋 [16]は, 一般のn, pに対して KA のvery cuspidal表現を構成してい る. さらに[7], [14], [15], [16]においてはその構成をもとにε因子が計算されている. 以下では A = I, Mに対して KA のvery cuspidal表現の構成法を述べる. β ∈ PA1−l をE/F -minimal元とし, Jβ をKA におけるψβ の固定化群とする: Jβ ={g ∈ KA | ψβ(gxg−1) = ψβ(x), ∀x ∈ UAm}. すると, Jβ = E×UA[l/2]
が成り立つので, lの偶奇によって状況が異なる. まず l が 偶数のと きは, m = l/2と おくと Jβ = E×UAm とな る. E× の指標 θ で θ|E×∩Um A = ψβ|E×∩UAm をみたすものに対して, σ(β, θ) := IndKA E×UAm(θψβ) (3.2) はKA のレベル lの既約very cuspidal表現となる. l(≥ 3)が奇数のときはもっと複雑になる. m = (l + 1)/2とおくと Jβ = E×UAm−1⊃ E×UAm となるため, IndKA E×UAm(θψβ)は既約にならない. そこでその既約成分を取り出す. A = Iのときを考える(A = Mでもほぼ同様). W := PAm−1/PAmとし, I ∈ End(W) をI(x) = βxβ−1 (x∈ W) によって定める. W の部分空間W0, W1を以下のように定義 する. • n = p(= 2)のとき: W0 = W1 = (I− 1)(p−1)/2W ; • n = pのとき: W0 = W , W1 = (In−1+ In−2+· · · + I + 1)W.
さらに, i = 0, 1に対して,PAm,i :={x ∈ PAm−1 | x mod PA ∈ Wi}とし, UAm,i = 1+PAm,i
とおく. UAm−1 ⊃ UAm,0 ⊃ UAm,1 ⊃ UAmとなっている. Pm,1 A 上の関数ψβ を ψβ(1 + x) := ψA(β(x− x2/2)) (1 + x∈ UAm,1) によって定めると, ψβ は UAmへの制限が ψβ と一致するような UAm,1の指標である. さ らに, Jβ := Stabψβ ∼= E×UAm,0 となる. • n = p(= 2)のとき: UAm,0 = UAm,1なので, E× の指標θで, E× ∩ UAm,0への制限が ψβと一致しているものをとると, σ(β, θ) = IndKJA β (θψ β) はKA のレベル lの既約very cuspidal表現となる. • n = pのとき: Hi := F×(1 +PE)UAm,iとおく. E×の指標θに対してF×(1 +PE)へ の制限をθ¯とかくとき, IndH0 H1(¯θψ β)はq(n−1)/2個のH0 = F×(1+PE)UAm−1の1次元表
現η(¯θ, β)の和になる. そしてη(¯θ, β)はJβ = E×UAm−1の表現に|E×/F×(1 +PE)| = n 通りに延長できる. そのうちの一つη(β, θ)がIndE ×Um−1 A E×UAm (θψβ)の既約成分であり, σ(β, θ) = IndKA E×UAm−1η(β, θ) (3.3)
はKAのレベルlの既約very cuspidal表現となる. なお, 誘導表現IndKE×AUm
A((θ⊗ χ)ψβ) (χはE×/F×(1 +PE)の指標)を既約分解することで, η(β, θ) = 1− ( q n)q(n−1)/2 n q(n−1)/2 χ∈(E×/F×(1+PE))∧ IndKE×AUm A((θ⊗ χ)ψβ) + q n IndKE×AUm A(θψβ) とかくことができる. ここで(qn)はLegendre記号である. A = MのときもIndE×UAm−1 E×UAm (θψβ)の既約成分η(β, θ)を取り出すことができ, σ(β, θ) = IndKA E×UAm−1η(β, θ) (3.4) がKA のレベル lの既約very cuspidal表現となる. なお, η(β, θ) = (−1) n(q− 1){qn(n−1)/2− (−1)n−1} qn(n−1)/2(qn− 1) χ∈(E×/F×(1+PE))∧ IndKA E×UAm((θ⊗ χ)ψβ) + (−1)n−1IndKA E×UAm(θψβ) とかくことができる. 最後にレ ベル 1の場合を述べる. E× の指標θ で 1 +PE 上自明なものをとる. この とき UM0 = GLn(OF)の既約表現 η(θ) で次を満たすものが 存在する: (i) η(θ) は UM1 上自明, (ii) UM0 /UM1 ∼= GLn(k) の Steinberg 表現の UM0 への引き戻し St に 対し て, η(θ)⊗ St ∼= IndGLn(OF) O×EUM1 (θ|OE×· 1UM1 )に等しい. このとき, σ(θ) = θ|F×η(θ) (3.5) とすると, σ(θ)はKMのレベル 1の既約very cuspidal表現となる. 以上をまとめると次を得る. 定理 3.11. nを素数とする. A = I, Mのとき, σ(β, θ), σ(θ)を(3.2), (3.3), (3.4), (3.5)
で定義された KA の既約 very cuspidal表現とする. このとき, π(β, θ) = indGKAσ(β, θ), π(θ) = indGKMσ(θ)はG = GLn(F )の既約超カスプ表現になる. またGの既約超カスプ 表現は, F×の指標χに対して indGKA(σ(β, θ)⊗ χ ◦ det), indGKM(σ(θ)⊗ χ ◦ det)の形に なる.
3.3 GL
n(F) (n:
素数
)
の
ε
因子
3.2 節の構 成に 基づ き, 既約超カスプ 表現 π の ε 因子 ε(s, π, ψ) を計 算する. まず G = GLn(F )の既約許容表現πに対して, ε(s, π, ψ) = q−s(f(π)−n)ε(0, π, ψ) とかくとき, f (π)をπの導手, ε(π, ψ) := ε(0, π, ψ)をπの局所定数という. 以下の計算においては, ψはψ|O = 1, ψ|P = 1 をみたすものとし, GのHaar測度μ∗ はdμ∗(g) = dμψ(g)/| det g|nF と固定しておく. ここでμψ はψに関する自己双対的な A のHaar測度であった. f (π)は以下の通りである. 命題 3.12. nを素数とする. G = GLn(F )の既約超カスプ表現π(β, θ), π(θ)に対して, f (π(β, θ)) = f (E/F )(l− 1) + n = l + n− 1 if A = I; ln if A = M, f (π(θ)) = nf (θ) がなりたつ. ここでf (E/F )はE/F の剰余次数である. 次に局所定数について述べる. 既約超カスプ 表現π = indGKAσに対して, L(s, π) = 1, L(s, π∨) = 1であるから,局所関数等式(3.1)により G Φ(g)| detg|(n+1)/2 F π(g−1) d∗g = ε(π, ψ) G Φ(g)| det g|(n−1)/2F π(g) d∗g となる. Φ = chUj A に対して, Φ(x) = ψA(x)μψ(P j A)chP1−j A (x)であるから, jをker(σ)⊃ UAj となるようにとると, KA∩PA1−j ψA(g)| det g|(n+1)/2F σ(g−1) d∗g = ε(π, ψ) となる. したがってj → ∞とすることで次が得られる. 補題 3.13. Gの既約超カスプ表現 π = indGKAσに対して, ε(π, ψ) = KA σ(g−1)ψA(g)| det g|(n+1)/2F d∗g が成り立つ.補題 3.14. μψ(PIm) = qn(1−2m)/2, μψ(PMm) = qn2(1−2m)/2. [証 明] Φm := chPm A に 対 し て, Φm = μψ(PAm)Φ1−m で あ る か ら, Φm = μψ(Pm A)μψ(PA1−m)Φm とな る. し たが って μψ(PAm)μψ(PA1−m) = 1 で あ る. また, (PIm: PIm+1) = qn, (PMm : PMm+1) = qn2 に注意すると, μψ(PI1−m) = qn(2m−1)μψ(PIm), μψ(PM1−m) = qn2(2m−1)μψ(PMm)となるから主張がしたが う. 2 超カスプ表現の局所定数ε(π, ψ)は以下の通りである.
定理 3.15. ([7, Proposition 4] (l = 1), [8, Theorem 6.2] (n = 2), [14, Proposition
2.2.8] (n = p = 2), [15, Theorem 3.5.44](n = p), cf. [16, Theorem 3.3.2]) nを素数 とする. π(β, θ, χ), π(θ, χ)を, それぞれ KA のレ ベル l のvery cuspidal 表現σ(β, θ),
σ(θ) および F× の指標 χ から構成され た G = GLn(F ) の既約超カスプ 表現とする:
π(β, θ, χ) = indGKA(σ(β, θ)⊗ χ ◦ det), π(θ, χ) = indGKM(σ(θ)⊗ χ ◦ det). f(χ)をχの導 手とし, cχ ∈ F をχ(1 + x) = ψ(cχx) (x ∈ P[(f (χ)+1)/2])をみたすようにとる. さらに βχ := β + cχ, l(χ) := max(l, e(E/F )(f(χ) − 1) + 1)とする. (1) l(χ)が偶数のとき, ε(π(β, θ, χ), ψ) = ψE(βχ)(χEθ)(βχ−1)|βχ|1/2E . (2) l(χ) = l = 1のとき, ε(π(θ, χ), ψ) = (−1)n−1ε(χEθ, ψE). (3) l(χ)= 1が奇数のとき, ε(π(β, θ, χ), ψ) = ψE(βχ)(χEθ)(βχ−1)|βχ|1/2E G である. ここで χE = χ◦ NE/F, ψE = ψ◦ trE/F, G = ⎧ ⎪ ⎨ ⎪ ⎩ G(θ, ψE) if l = l(χ), n = p; q−1/2x∈k F ψ( 1 2(−1)(p−1)/2Fl−1· NE/Fβ· x2) if l = l(χ), n = p; {G(χ, ψ)}n if l < l(χ). ただし, G(θ, ψE) = q−1/2E x∈PE[f(θ)/2]/PE[(f(θ)+1)/2] θ(1 + x)−1ψ(cθx), G(χ, ψ) = q−1/2 x∈PF[f(χ)/2]/PF[(f(χ)+1)/2] χ(1 + x)−1ψ(cχx).
[証明] 以下A = I, n = p = 2, χ ≡ 1のときの証明の概要を述べる. π = π(β, θ)と書く. l = l(χ) = 2m, 2m− 1のときを同時に書くために ( UAm, ψβ) := (UAm, ψβ) if l = 2m, (UAm,0 = UAm,1, ψβ) if l = 2m− 1 とおく. 補題3.13により, ε(π, ψ) = E×UAm (θ ψβ)(g−1) ψA(g)| det g|(n+1)/2F d∗g = E×UAm/UAm UAm (θ ψβ)((hk)−1) ψA(hk)| det hk|(n+1)/2F d∗k d∗h = E×UAm/UAm (θ ψβ)(h−1)| det h|(n+1)/2F UAm ψβ(k−1)ψA(hk) d∗k d∗h. ここで括弧内の積分は以下のように変形できる. Pm A ψβ−1(1 + k)ψA(h(1 + k)) dψk = ψA(h) Pm A ψA((h− β)k) dψk = ψA(h) μψ(PAm) chP1−m A (h− β) h− β ∈ PA1−m ⇐⇒ h ∈ β UA[l/2]に注意すると, l = 2mのときは, ε(π, ψ) = θ(β−1)| det β|(n+1)/2F ψ(trβ)μψ(PAm) となる. ここで補題3.14および | det β|F = |β|E = ql−1 = q2m−1, ψ(trβ) = ψ E(β)に より, ε(π, ψ) = θ(β−1)ψE(β)|β|1/2E を得る. l = 2m− 1のときは, 積分が消えないためには h∈ β UAm−1 でなければならないから, h∈ E×UAm,0/Um A をβh (h∈ UAm,0/UAm)にとりかえて, ε(π, ψ) = μψ(PAm) UAm,0/UAm (θψβ)((βh)−1)| det β|(n+1)/2F ψA(βh) d∗h = μψ(PAm)|β|(n+1)/2E θ(β−1) PAm,0/PAm ψ−1β (1 + h)ψA(β(1 + h)) dψh = θ(β−1)|β|1/2E ψE(β)· |β|n/2E PAm,0 ψ 1 2trβh 2d ψh
となる. ここでψβ(1 + h)−1 = ψ(−trβ(h − h2/2))に注意する. W2 := (I− 1)(n+1)/2W , Pm,2 A := {x ∈ PAm−1 | x mod PAm ∈ W2}とおくと(I − 1)n = 0からψ(tr(βxy)) = 1 (x∈ PAm,0, y∈ PAm,2)となるので, W0 − W2 の任意の元k0に対して, |β|n/2 E PAm,0 ψ 1 2trβh 2d ψh =|β|n/2E μψ(PAm,2) k∈W0/W2 ψ 1 2tr(βk 2) = q−1/2 x∈kE ψ 1 2x 2tr(βk2 0) (3.6) がわかる. ここで|β|n/2E μψ(PAm,2) =|β|n/2E · q−(n+1)/2μψ(PAm−1) = q(m−1)n· q−(n+1)/2· q(3−2m)n/2= q−1/2 を用いた. kE = kF で あり, n = p が 奇数で あ るこ とか ら γ := Fl−1NE/Fβ と El−1β は kF×/(kF×)2の中で同じ元を定めるので, k1 = E(1−l)/2k0とおくと (3.6) = q−1/2 x∈kF ψ 1 2γx 2tr(k2 1) となる. さらに PAm−1/PAm x → 1−mF x ∈ PA0/PA1 はkF 同型であることに注意して, k2 ∈ PA0/PA1 ∼= {diag(a1, . . . , an) | ai ∈ kF}を(I − 1)(n−1)/2k2 = k1となるように選 ぶと, tr(k12) = tr((I− 1)(n−1)/2k2· (I − 1)(n−1)/2k2) = tr(k2· (I−1− 1)(n−1)/2(I− 1)(n−1)/2k2) = (−1)(n−1)/2tr(k2· (I−1)(n−1)/2(I − 1)n−1k2) となる. ここで k2 = diag(1, 0, . . . , 0)ととれば Ik2 = (0, . . . , 0, 1, 0, . . . , 0) (1は(3− 2m) mod n番目)であるからn = pを考慮すると (I− 1)n−1k2 ≡ (In−1+· · · + I + 1)k2 ≡ diag(1, 1, . . . , 1) (mod PF) となる. よって tr(k2· (I−1)(n−1)/2(I− 1)n−1k2)≡ 1 (mod PF)となるので ψ 1 2γx 2tr(k2 1) = ψ 1 2γx 2· (−1)(n−1)/2 となり主張がしたがう. 2
参考文献
[1] Bushnell, Colin J. Hereditary orders, Gauss sums and supercuspidal representa-tions of GLN. J. Reine Angew. Math. 375/376 (1987), 184–210.
[2] Bushnell, C. J.; Fr¨ohlich, A. Nonabelian congruence Gauss sums and p-adic sim-ple algebras. Proc. London Math. Soc. (3) 50 (1985), no. 2, 207–264.
[3] Bushnell, Colin J.; Kutzko, Philip C. The admissible dual of GL(N) via compact open subgroups. Annals of Mathematics Studies, 129. Princeton University Press, Princeton, NJ, 1993. xii+313 pp
[4] Bushnell, Colin J.; Henniart, Guy. The local Langlands conjecture for GL(2). Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften, 335. Springer-Verlag, Berlin, 2006. xii+347
[5] Cogdell, James W. Lectures on L-functions, converse theorems, and functoriality for GLn. Lectures on automorphic L-functions, 1–96, Fields Inst. Monogr., 20, Amer. Math. Soc., Providence, RI, 2004.
[6] Carayol, H. Repr´esentations cuspidales du groupe lin´eaire. Ann. Sci. ´Ecole Norm. Sup. (4) 17 (1984), no. 2, 191–225.
[7] G´erardin, Paul. Cuspidal unramified series for central simple algebras over local fields. Automorphic forms, representations and L-functions (Proc. Sympos. Pure Math., Oregon State Univ., Corvallis, Ore., 1977), Part 1, pp. 157–169, Proc. Sympos. Pure Math., XXXIII, Amer. Math. Soc., Providence, R.I., 1979.
[8] G´erardin, Paul; Kutzko, Philip. Facteurs locaux pour GL(2), Ann. Sci. ´Ecole Norm. Sup. (4) 13 (1980), no. 3, 349–384.
[9] Godement, Roger; Jacquet, Herv´e. Zeta functions of simple algebras. Lecture Notes in Mathematics, Vol. 260. Springer-Verlag, Berlin-New York, 1972. ix+188 pp.
[10] Goldfeld, Dorian; Hundley, Joseph. Automorphic representations and L-functions for the general linear group. Volume I, II. Cambridge Studies in Advanced Mathematics, 129, 130. Cambridge University Press, Cambridge, 2011. xx+550 pp.,xx+188 pp.
[11] Howe, Roger E. Tamely ramified supercuspidal representations of Gln. Pacific J. Math. 73 (1977), no. 2, 437–460.