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産業技術指標による戦後日本の産業発展構造の分析
Author(s)
張, 紀南; 平澤, 泠
Citation
年次学術大会講演要旨集, 9: 43-48
Issue Date
1994-10-28
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/5432
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
1 C4
産業技術指標による 戦後日本の産業発展構造の 分析
0
張紀南 ,平澤
冷 (東京大学
) ] .はじめに
戦後、 日本の産業経済は 著しく発展してきた。 そのプロセスを 明らかにするために、 産業の発展 構
造を明確にする 必要があ る。 従来、 経済分析を中心とした 産業発展論においては、 産業発展段階の 分
折 が行われてきた。 例えば、 投資額や製品出荷額の 変遷から、 軽工業化、 重工業化、 重化学工業化、
高度技術工業化などの 特徴を、
また産業別の輸出入比率の 推移を基にして、
輸入代替から輸出指向への
貿易構造の変化等の 指摘にその成果をみることができる。 しかし、 本研究の枠組みからみれば、
これらの分析結果は、 限定された個別のデータから、 対応する現象の 一局面を解明しているに 過ぎないと
ぃえる。 産業の発展構造を 総合的に把握するためには、 関連する多様なデータを 総合的に分析する 必要
があ る。本研究は、 産業技術の基本指標を 用い、 因子分析の方法に
ょり、 特に生産力と 開発力の対比に
注目しつつ、 日本の製造業における 産業技術の発展構造を 総合的に分析しょうとするものであ
る。2.
産業技術指標の 枠組
本研究で用いた 産業技術指標の 枠組を表
1に示す。 指標はインプット、 アウトプット、
パフォーマン表
Ⅰ産業技術指標の 枠組
企業
国技術移転
input
"甘
。 原材料 黄土potential
拓本吉 荻 pe 斤 0 ァ mance 南町占有率 利益 牽 O り tP し t 売上高 技術者、 技能者生産 技億 生産力到達度 原単位 回収率 生産ユ
ス およびポテンシャルの 4 つのカテゴリーから 成る。 また、 企業レベルにおいて、 経済的付加価値生
産性にかかわる 経済指標、
物財の生産にかかわる 生産指標、 技術開発力にかかわる 技術開発指標、
そ して、統合的経営力にかかれる 統合指標に区分し、 経済指標の要因を、 生産指標、 技術開発指標、
統合指標の諸階層の 複合的結果として 理解する。 また、
生産力 ゃ技術開発力は、 生産財や技術の 移転に
よって ィ七替 でき、 さらに、 国レベルにおいても、 類似の指標構造を 想定できるものと 考える。
通常、 産業の競争力は、 上記の指標
群によって記述し、
産業の発展段階により、
競争力の支配要因が低賃金労働力を 主要因とする
経済力から設備投資に代表される生産力、
そして、
技術開発力、
さら には統合的経営力へと推移して
いくと考えられている。 本研究においては、 産業レベルで、
これらの支配要因の推移を 分析し、
特に生産力指標から 開発力指標へと 説明因子が推移する過程に注目し、
産業の発展構造の 特徴を明らかにしょうとしている。
3 . 各種統計によるデータの 調整 分析に用いた産業技術指標と 使用データベースを
表 2にまとめる。 多くの指標は 統計数量そのもの
ではなく、 推算や補正を 行った結果のものであ る。
まず、 研究開発人材は、
基礎統計データとして「学校基本調査報告書」を用いた。
理工系高等教育卒業者の各産業への 就職者数を研究者と 技術者の和のインプットとした。
また「科学ま 翅打 研究調査報告 ] の 研究者数を研究者のストックとし、 前年度の値との 差を研究者の プ ロ一のインプットとした。表
2産業技術指標と 使用データベース
産業技術指標略記号
研究・技術者のフロⅡ FR) 技術・技能者者のフロⅡⅠ ) 研究・技術者のストッ 川 SR) 技術・技能者者のストック (ST) 研究開発費のフロⅡ FM) 研究開発費のストッ 刃 SM) 設備投資額のフロⅡ FD) 設備投資額のストック (SD) 製品出荷額 (P) 特許公開件数 (L) 技術輸出件数 (ON) 技術輸入件数(lN)
技術輸出金額 (OM) 技術輸出金額 (lM)使用データベース
Ⅰ科学技術研究調査報告』より 計算 f 学校基本調査報告書』 と 算 計 よ 書 Ⅰ 生 Ⅰ生口報報
査査 調調空空
研研御御
枝枝科学
科学 一 -" T 学校基本調査報告書』、 『国勢調査』、 『雇用労働調査Ⅰ 『人口動態統計Ⅰと 『ォキ 学 技術研究調査報告書』より 計算 『 オキ学 技術研究調査報告』 『科学技術研究調査報告』より 計算 r 法人企業動向調査報告Ⅱ r 法人企業動向調査報告』より 計算 r 工業統計調査 表 Ⅰ 『特許公開素目 l Ⅰ 『科学技術研究調査 報き 』 Ⅰ科学技術研究調査 報き Ⅰ 『科学技術研究調査報告Ⅰ 『オキ 学 技術研究調査報告Ⅰまた、 研究開発人材の 集積値を以下のようにして 算出した。 「学校基本調査報告書」所載の
前記イ ンプットデータを 積分処理し、 研究開発人材に 関する ポ テンシヤルデータとした。 その際、 退職者数 お よ び [ 人口動態統計 ] の死亡率、 r 雇用労働調査」の 離職率と入職率のデータを 利用して集積値の 補 正を行った。 これらのデータは、 「国勢調査報告」、 「労働力調査」およびⅠ科学技術研究調査報告」 によ る研究開発人材に 関する諸統計データと 比較検討し、 諸統計の計算方式、 調査方法、 定義および 分 類 上の相違点を考察しつつ、
デ一夕間の整合性を 検証した。
研究開発費については、 [ 科学技術研究調査報告」の 統計データを 用い、 使用べ ー スでの実質 額 の 推移を産業別に 把握した。
また、その値を積分処理し、
また、技術の陳腐化率を 考慮して、 研究開発費のス
トック 値 とした。 生産設備投資については、 r 法人企業動向調査報告」の 統計データを 用い、 研究開発費と 同様にストッ クの 生産設備額を 計算した。研究開発成果の
1 つとしての技術特許指標を採り上げた。
特許データとしては 特許公開件数を 用い る 。 その際、 特許の企業別集計を 用い、 産業別データへの 可分類集計を 行った。また、 産業別の最終成果指標として 付加価値
額 および製品出荷額指標を 用いた。基礎統計データ
としてⅠ工業統計調査
表 」を用いた。国際的な成果指標としては 技術輸出入指標を
用いた。基礎統計データとして「科学技術研究調査報
告 ] を用いた。4.
指標の神構造に
よる産業の発展構造比較
2つの指標を用い、 対 構造による産業の 発展構造の分析を
行った。まず、 インプット指標のうち、
生産に関わる設備投資額と 技術開発に関わる 研究開発費指標を
用い、 ペアにし、 それぞれの最大値を基準にしてデータを 集計した。 鉄鋼業の例をみると、
6 0 年代から第 1 次石油危機までの 生産を中心 にした発展バターン 及び 80 年代からの研究開発を 中心にした発展パターンが 存在している ( 図 1) 。年度
図 1鉄鋼産業の設備投資額と 研究開発費の 推移
(最大値
1 に より平準
ィヒ )また生産に関わる 技術者数と技術開発に 関わる研究者数を ぺア にして用い、 その増加 量 03 年間の
平均を取ったものをみると、 電気機器製造業の 場合、
7 0年代まで研究者と
技術者の増加量は多少兵
なるものの、 両者の間に余り 差がみられない。 しかし、 8 0 年代に入ると、 技術者数の増加量が 研究者数の増加
量 より圧倒的に大きくなることが
分かる ( 図 2)0その他に、 設備投資額を 横軸にし、 研究開発費を 縦軸にして年度毎の 変遷をみると、 輸送用機器製
遺業の場合、
8 0年代中頃
まで研究開発費の 伸びが目立つが、 オイルショ ク を抜けきった 後から、 ほ ぼ両者の増加は 同一の傾向を 持っていることが 分かる ( 図 3)0 この ょ うに生産力と 開発力の 対 となる指標を 用い、 発展構造の変化をうかがい 知ることができる。5.
因子分析法による 産業の発展構造の 総合的検討
次いで因子分析の 手法を用
い多様な産業指標に
よる産業の発展構造を 分析する。
本研究では、 日本 の製造業のうち 特に特徴的と 思われる鉄鋼産業、 輸送用機器産業、 電機産業、 化学産業及び 繊維産業
の 5 産業に関し、 表 2 にまとめた 1 4 指標の 2 8 年間にわたるデータ 標本に基づいて 解析を行った。 図 4はその結果を 示したものであ り、
図 4(a)から説明因子の 内容を読み取ることができる。 説明因子
の 内容は、 それほど明瞭ではないが、 第 1 因子は輸出入の 指標が大きく 分離しているから、 輸入一輪 出 と考え、 第 2 因子は設備投資および 製品出荷額の 生産に関わる 指標が上位にあ り、 研究者数、 研究 開発費用、 特許公開件数など 研究開発に関わる 指標が下位にあ ることから生産 一 研究開発の対比を 主 な 説明因子としていると 解釈できる。 2 図 。oooooNl.
発
oooo00
﹁
開
研究
対比
ooo00
の
のの
oooooN
輸費
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 T- ou の 寸 の の技術者の
3年平均増加数
図 3電機産業の研究者と
技術者の増加数の 対比
Ⅰ・ 0 1 十手Ⅰ O .5 N Ⅰ も㏄
O
O O -0 . 5 - Ⅰ・ 0 - 1F 且 ・ 0 -0 . 5 O . 0 O . 5 Ⅰ・ O factonl
(a)
因子分析
図 O 5 5 0 0 雙 0 も 脛 - 2 Ⅰ・ 5 雙)㏄
5
o キ -0.5 l -1.5@ -1@ -0.5@ 0@ 0.5@ 1@ 1.5 faCto 「Ⅰ(b)
鉄鋼産業
0 5 5 0 包 06% -0 3 2 業 Ⅰ 産 器 ぴ機 0 冊 迎 輸 l ︵ 2の
ⅠⅠ
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業
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㏄ O ㏄ -0.8 l -1.2 5 4 3包。
2 ㏄)Ⅰ O l 0 Ⅰ -2 業 0 千 因 の 5 構造 0 展 た し ズヲ る よ 3 小面 - アト 日日 ヰ十Ⅰ 2 術 ま支 業 Ⅰ業産
2 5次いで 5 つの産業それぞれの 変遷をみてみよう。 図 40 ト (0 を比較すると、 電機産業を除き、 7 0 年代に生産力因子の 大きなピークがあ り、 8 0 年代に入ってから 開発力因子の 方にシフトしているこ とがわかる。 また、 繊維産業は多少例外的ではあ るが、 いずれの産業も 輸入因子から 輸出因子への シ フト が明確であ り、 産業の特性を 特徴づけている。 電機産業は 8 0 年代に入ってから、 むしろ生産力 因子の支配要因が 強くなり、 しかも 4 年周期のピークが 現われることからシリコンサイクルの 影響 と 解釈できる。 電機産業のこのような 資本集約的な 近年の傾向は、 他産業分野ときねだった 対比をなし ている。 この事実は、 本因子分析により 明確にされた 傾向であ り、 日本の電機産業の 発展構造を理解 する ぅ