地域で生活する精神障害者の歯科保 に関する研究
橋 本 由利子, 茂 木
司
要 旨 【目 的】 地域で生活している精神障害者の歯科受診状況や口腔の実態を明らかにし, 歯科保 における問 題点を 察する. 【対象と方法】 群馬県内の自宅, 福祉ホーム, あるいはグループホームで生活しながら地 域生活支援センターや通所授産施設を利用している精神障害者 (n=26) を対象とし, 地域生活支援センター や通所授産施設のスタッフをコントロール (n=11) として, 歯科に関する聞き取り調査と歯科医師による口 腔診査を行った. 【結 果】 聞き取り調査で, 虫歯 (う歯) になったときすぐに歯科を受診しない」理由と して精神障害者群では歯科に対する恐怖という解答が多かった. 口腔診査では, 精神障害者群はコントロー ル群と比べて 未処置歯 (Decayed teeth)が多く (p<0.01),歯垢指数 (Debris index)も高い傾向を示した (p< 0.05). 歯科治療の必要性がある」と判定されたものは精神障害者群で約 70%存在した. 【結 語】 精神障 害者群では未処置歯が多く,歯科治療の必要性があるのに歯科が「こわい」といった理由で放置しているもの が多かった. 今後, 精神障害者が受診しやすい歯科診療所を増やし, 歯科疾患を早期に発見できるような歯科 検診体制の整備が必要と思われた.(Kitakanto Med J 2006;56:33∼38) キーワード:精神障害者, 口腔衛生, 地域歯科保 は じ め に 従来の地域歯科保 では精神障害者を対象とした活動 はあまり行われていなかった. しかし, 政府が 2002年に 発表した新障害者プラン では受け入れ条件が整えば退 院できる, いわゆる社会的入院といわれる約 70,000人の 精神障害者を退院させ, 市民として通常の生活を確保す ることを目標としており, 地域で生活する精神障害者に 対応した地域歯科保 活動を展開することが急務である と えられる. 精神障害者は退院後も向精神薬の服用を 続けていることが多く, その副作用としての口腔乾燥 のために, う や歯周病に罹患しやすいと予測される. また, 我々は以前に高齢の精神障害者の自己の口腔管理 は 康高齢者よりも不十 であるというデータを得てお り, 退院したとはいえ, 原疾患に起因する自己管理への 関心の低下もこの傾向に拍車をかけると えられる. 精神障害者の口腔内環境の実態調査や精神障害者に対 する口腔ケアの介入指導に関する研究 はこれまでに も行われてきているが, その多くは精神病院入院患者を 対象としている. 本研究では地域で生活している精神障 害者の口腔の実態および歯科受診状況を明らかにし, 歯 科保 における問題点を 察した. このような問題点を 把握することは精神障害者の口腔衛生環境の向上のみな らず, 地域で生活する精神障害者の QOL の向上や生活 しにくさの解消を図るうえでも重要である. 対 象 と 方 法 群馬県内の自宅, 福祉ホームあるいはグループホーム で生活しながら地域生活支援センターや通所授産施設を 利用している精神障害者を対象とし, 地域生活支援セン ターや通所授産施設に勤務するスタッフをコントロール として歯科保 に関する調査を行った. 調査に先立って まず地域生活支援センターにおいて「歯と口の 康教室」 を開催し, 教室終了後に調査に協力してくれる人を募り, 調査に対する同意を得た. 聞き取り調査は歯磨きの回数やかかりつけ歯科医の有 無など 19 項目について行った (表 1). 口腔診査では, 歯 牙の状態として未処置歯 (DT : Decayed teeth) の数, 喪 1 群馬県伊勢崎市山王町2020-1 東京福祉大学社会福祉学部 2 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院医学系研究科医 科学専攻臓器病態制御系病態腫瘍制御学講座顎口腔科学 平成17年11月24日 受付 論文別刷請求先 〒372-0831 群馬県伊勢崎市山王町2020-1 東京福祉大学 社会福祉学部 橋本由利子表1 聞き取り調査に 用した質問表 歯と口の衛生に関するアンケート 調査年月日 年 月 日 番号 性別 ( 男 ・ 女 ) 年齢 ( 歳) ・あなたは現在, どなたと住んでいますか?( ) ・あなたは普段, 日中どのように過ごしていますか?( ) 1. 一日のうちでいつ歯磨きをしますか? あてはまるもの全てに○をつけてください. 起床時 朝食後 昼食後 間食後 夕食後 寝る前 2. 1回あたりの歯磨き時間は何 ぐらいですか? 1 以内 1∼3 3∼5 5∼10 10 以上 3. 歯間ブラシ, 糸ようじ, デンタルフロスなどを っていますか? いつも っている ときどき っている っていない 4. うがい薬を っていますか? いつも っている ときどき っている っていない 5. 口臭 (口のにおい) が気になりますか? いつも気になる ときどき気になる 気にならない 6. 歯ぎしりをしますか? いつもする ときどきする しない わからない 7. 口の中を鏡で見ることはありますか? 毎日見る ときどき見る 見ない 8. 虫歯になった時, すぐ歯医者に行きますか? 行く すぐには行かない (理由 ) 9 . いつも行っている歯医者さんはありますか? ある ない 10. なぜその歯医者さんに行っているのですか? 自宅から近い (通いやすい) 先生がやさしい 衛生士さんがやさしい 精神科の病院の中にある その他 ( ) 11. 歯医者さんに望むことがあったら教えてください. ( ) 12. 現在, 精神科に通院していますか? はい いいえ よろしかったら病名を教えてください. ①統合失調症 ②そううつ病 ③その他 ( ) 13. 全身の病気がありますか? ①高血圧症 ②糖尿病 ③肝臓病 ④腎臓病 ⑤心疾患 ⑥気管支ぜんそく ⑦脳卒中 ⑧その他 ( ) 14. 現在, 薬を飲んでいますか? いつも飲んでいる ときどき飲んでいる 飲んでいない 薬の名前 ( ) 15. たばこを吸いますか? はい ( 本/日) いいえ 16. お酒を飲みますか? はい (日本酒 合/日, ビール 本/日) いいえ 17. 間食は 1日に何回ぐらいしますか? 0回 1回 2回 3回 4回以上 18. 甘いものはすきですか? はい いいえ どちらともいえない 19. 現在, 口の中で何か心配なことはありますか? ある (内容 ) ない
失歯 (MT : Missing teeth) の数, 処置歯 (FT : Filled teeth) の数, 口腔清掃状態として OHI (Oral hygiene index) のうちの歯垢指数 (DI : Debris index), 歯肉の状 態, 口腔粘膜の状態, 義歯の有無, 義歯の清掃状態, 口臭 の有無 (感覚的なものによる)を調べ, 合評価として歯 科治療の必要性の有無を求めた (表 2).統計処理は SPSS ver. 11.5を用い, 聞き取り調査結果および口腔診査のう ち未処置歯数, 喪失歯数, 処置歯数, 歯垢指数以外の項目 については χ 検定, 未処置歯数, 喪失歯数, 処置歯数お よび歯垢指数については平 値の差の検定を行い, 歯垢 指数と未処置歯数, 歯垢指数と 1日の歯磨き回数, 歯垢 指数と 1回あたりの歯磨き時間との関係についてはそれ ぞれ相関係数を求めた. 結 果 「歯と口の 康教室」の参加者は精神障害者 35名,ス タッフ 15名の計 50名であり, 実際の調査に協力してく れた人は, その 74%, 37名であった. 調査対象の内訳は 精神障害者群 26名 (女性 9 名, 男性 17名, 平 年齢 40.5±12.4歳), コントロール群 11名 (女性 10名, 男性 1 名, 平 年齢 38.8±12.8歳) であった. 精神障害者の診断 名は, 統合失調症が最も多く, 次に躁うつ病, うつ病, 薬 物性精神障害, 高次脳機能障害などであり, 全員, 通院服 薬中であった (表 3). 精神障害以外の全身疾患は精神障 害者群では 6名 (高血圧 1名, 糖尿病 2名, 気管支喘息 2 名, その他 1名), コントロール群では 1名 (高血圧 1名, 腎臓病 1名) にみられた. 聞き取り調査結果を表 4, 5, 6, 7, 8にまとめた. 1日の 歯磨き回数, 1回あたりの歯磨き時間, 間食の回数は精神 障害者群では多い人から少ない人まで幅がみられたが, コントロール群と比べて統計的に有意差はなかった (表 4). その他の歯科衛生習慣や嗜好品に関してはほとんど の項目で有意な差はなかったが, いつも行く歯医者が ある」と答えた人はコントロール群で有意に多かった (表 5). 表2 口腔診査項目 ・歯牙の状態 未処置歯 (Decayed teeth) 喪 失 歯 (Missing teeth) 処 置 歯 (Filled teeth) ・口腔清掃状態 歯垢指数 (Debris index) ・歯肉の状態 ・口腔粘膜の状態 ・義歯の有無と清掃状態 ・口臭の有無 ・歯科治療の必要性 表3 精神障害者の診断名 診 断 名 症例数 統合失調症 13 躁うつ病 3 うつ病 2 薬物性精神障害 1 高次脳機能障害 1 適応障害 1 強迫神経症 1 知的障害 1 自律神経失調症 1 睡眠障害 1 てんかん 1 計 26 (全員, 通院服薬中) 表4 歯磨き時間・歯磨き回数・間食の回数 調査項目 精神障害者群 症例数 (%) コントロール群 症例数 (%) 検定結果 1日の歯磨き回数 n.s. 0回 0 0 1回 7 (26.9) 0 2回 12 (46.2) 7 (63.6) 3回 5 (19.2) 4 (36.4) 4回以上 2 ( 7.6) 0 1回あたりの歯磨き時間 n.s. 1 以内 3 (11.5) 0 1∼ 3 10 (38.5) 8 (72.7) 3∼ 5 9 (34.6) 3 (27.3) 5∼10 3 (11.5) 0 10 以上 1 ( 3.8) 0 1日の間食の回数 n.s. 0回 9 (34.6) 0 1回 12 (46.2) 8 (72.7) 2回 3 (11.5) 3 (27.3) 3回 1 ( 3.8) 0 4回 1 ( 3.8) 0 n.s.: not significant
「虫歯になったときすぐに歯科に行かない」と答えた 人の理由としてコントロール群では「時間がない」とい う答えが多かったのに対し, 精神障害者群では「きらい だから」「こわいから」「音がいや」といった答えが多かっ た (表 6). 「いつも行く歯医者がある」に「はい」と答えた人に 対する「なぜその歯医者に行くか」という質問では,コン トロール群では「自宅から近い」と「先生がやさしい」 という答えであったのに対し, 精神障害者群ではそれら のほかに「評判がよい」「相性がよい」「上手」などとい う答えがみられた (表 7). 「口の中で何か心配なことがある」と答えた人の心配 事の内容をみると, 精神障害者群では多岐にわたる心配 事を訴え, 感情が関係している事がうかがわれた (表 8). 口腔診査結果のうち, 1人平 う歯数と歯垢指数を表 9 にまとめた. 精神障害者群の未処置歯数は平 2.00で あり, コントロール群と比べて有意に多かった (p< 0.01).精神障害者群の喪失歯数の平 は 3.5であり,コン トロール群より多かったが, 有意差はなかった. 処置歯 数の平 は, 精神障害者群よりコントロール群の方が多 かったが, 有意差はなかった. 精神障害者群の歯垢指数 はコントロール群と比べて高い傾向を示した (p<0.05). その他の口腔所見をもつ人の割合は表 10にまとめた. ほとんどの所見で両群の差は見られなかったが, 合判 定で「歯科治療の必要性がある」と判定されたものは精 神障害者群では約 70%あり, コントロール群と比べ有意 に多かった (p<0.01). 精神障害者群において歯垢指数と未処置歯数, 1日の 歯磨き回数, 1回あたりの歯磨き時間との関係をみると, 歯垢指数の値が高い人ほど, 未処置歯数が多い傾向がみ られた (p<0.01) が, 歯垢指数と 1日の歯磨き回数や 1 回あたりの歯磨き時間との関係は, 明らかなものはみら れなかった (表 11). 表5 歯科に関する患者背景 調 査 項 目 精神障害者群 症例数 (%) コントロール群 症例数 (%) 検定結果 歯間ブラシなどを う 3 ( 11.5) 4 ( 36.4) n.s. うがい薬を う 5 ( 19.2) 2 ( 18.2) n.s. 口臭が気になる 17 ( 65.4) 7 ( 63.6) n.s. 口の中を鏡で見る 18 ( 69.2) 9 ( 81.8) n.s. 喫煙をする 8 ( 30.8) 2 ( 18.2) n.s. 飲酒をする 4 ( 15.4) 4 ( 36.4) n.s. 甘い物が好きである 17 ( 65.4) 8 ( 72.7) n.s. 虫歯になった時すぐ歯医者にいく 15 ( 57.7) 8 ( 72.7) n.s. いつも行く歯医者がある 17 ( 65.4) 11 (100.0) p<0.05 口の中で心配なことがある 19 ( 73.1) 6 ( 54.5) n.s. ・「歯間ブラシなどを う」,「うがい薬を う」,「口臭が気になる」,「口の中を鏡で見る」は「ときどき」 と答えた人も含む ・n.s.: not significant 表6 むし歯になったときすぐに歯医者に行かない理由 理 由 精神障害者群 コントロール群 痛そうだから 2 0 こわいから 1 0 きらい 1 0 不安になる 1 0 音がいや 1 0 お金がない 1 0 時間がない 1 3 その他 1 0 計 11 3 数値は症例数 表7 いつも行く歯医者が決まっている理由 理 由 精神障害者群 コントロール群 自宅から近い 11 8 先生がやさしい 6 5 衛生士がやさしい 1 0 評判がよい 1 0 相性がよい 1 0 上手 1 0 知り合い 1 0 口腔外科がある 1 0 精神病院内にある 1 0 計 24 13 数値は症例数, 重複あり 表8 口の中で心配なこと 内 容 精神障害者群 コントロール群 虫歯があるのでは 11 1 歯槽膿漏 2 1 口臭 2 1 親知らずが心配 1 2 かみ合わせ 0 1 顎関節が音がする 0 1 口が開きにくい 1 0 唾液が心配 1 0 頰粘膜を嚙む 1 0 詰め物がとれた 1 0 義歯があわない 1 0 歯がない 3 0 計 24 7 数値は症例数, 重複あり
察 聞き取り調査から「虫歯になったときすぐに歯科に行 く」と答えた人の割合は精神障害者群とコントロール群 とで有意差はなかったが, すぐに行かない理由として, 精神障害者群では「痛そうだから」「こわいから」「不安 になる」といった歯科に対する恐怖を理由にしている答 えが多く, また, 口の中で心配なことがある」と答えた 精神障害者の心配事の内容をみると, 虫歯があるかも しれない」「詰め物がとれた」「義歯が合わない」等,歯科 を受診すればすぐに解決するような問題もあり, 精神障 害者は自 の口腔の心配はできるにもかかわらず, 歯科 受診を ばしていると えられた. 口の中に心配なこ とがある」と答えた人と実際の歯科治療の必要性との関 係を調べてみると, 心配がある」と答えた人の中で, 歯 科治療の必要性が見られた人は, 精神障害者群では約 80%存在した (表 12). 精神障害者の特徴として「ストレ スに弱い」ということが指摘されているが, 今回の結果 からも歯科受診が必要なことを理解していても, 歯科受 診というストレスに打ち勝てずなかなか治療に行かない 人が多いと思われる. そしてそのために, 口腔診査結果 が示すように, 未処置歯数が多くなり, 歯科治療の必要 性ありと判定された人の数も多くなったものと思われ る. なお, 精神障害者の未処置歯数 2.00は平成 11年の歯 科疾患実態調査 の同年代 (40∼44歳) の値 1.34よりも 高い. 一方, 聞き取り調査で「いつも行く歯医者がある」に 「はい」と答えた精神障害者に対する「なぜその歯医者 に行くか」という質問では, 自宅から近い」や「先生が やさしい」という他に, 評判がよい」「相性がよい」「上 手」という答えがあり, 歯科治療に対する関心は高いこ ともうかがわれた. これらのことより, 今後, 歯科医師および歯科衛生士 に対して精神障害に関する教育を徹底し, 精神障害者が かかりやすい歯科診療所を増やすことが必要と えられ た. 歯垢指数はコントロール群とくらべ, 精神障害者群で 高かった. また, 精神障害者群において歯垢指数の値が 高い人ほど, 未処置歯数が多い傾向がみられたが, 歯垢 指数と 1日の歯磨き回数や 1回あたりの歯磨き時間との 関係には, 明らかなものはみられなかった. 精神障害者 群では歯磨き回数や歯磨き時間が充 であるにもかかわ らず実際の口腔清掃度は向上していないと思われるた め, 歯磨き方法などの歯科保 指導も必要と えられた. 今回の調査で, 口腔調査を行うことによって歯科治療 の必要性を指摘された対象者には「歯科受診のすすめ」 の紙を渡して, 受診をすすめた. そのことによって数名 の精神障害者は実際に歯科を受診している. このような 機会がなければ, その人達は歯科を受診せず, 口腔状態 はさらに悪化していくものと思われる.現在,成人・高齢 者に対する歯科保 対策としては老人保 事業の一環と しての歯周病に対する 康教育や 康相談, 歯周病検診 が行われている. また, 在宅寝たきり老人や在宅心身障 害児者に対しては在宅要介護者歯科保 推進事業があ る. しかし, 地域で生活する精神障害者に対する特別な 歯科相談や歯科検診の機会はとくにない. 今後はそのよ うなシステムを早急につくり, 歯科疾患の早期発見早期 治療に努めるべきであると思われる. 謝 辞 この研究にご協力いただいた群馬大学医学部付属病院 歯科口腔外科歯科医師の飯村一弘先生, 神戸真悟先生お よび群馬県歯科衛生士会の古賀清恵さんに深謝いたしま す. また本研究は平成 16年度岡本糸枝学術研究助成をい ただいた. 表9 歯牙の状態および歯垢指数の比較 精神障害者群 コントロール群 検定結果 未処置歯数 (DT) 2.00±2.71 0.18±0.60 p<0.01 喪失歯数 (MT) 3.50±6.30 1.18±1.99 n.s. 処置歯数 (FT) 8.35±6.00 8.91±5.05 n.s. 歯垢指数 (DI) 0.56±0.55 0.18±0.28 p<0.05
DT : Decayed teeth, MT : Missing teeth FT : Filling teeth, DI : Debris index
n.s.: not significant 数値は平 値±標準偏差 表10 口腔診査でその他の所見をもつ人 精神障害者群 コントロール群 検定結果 歯肉の炎症あり 26.9 9.1 n.s. 口腔粘膜異常あり 0 0 n.s. 義歯あり 15.4 9.1 n.s. 義歯清掃不良 33.3 0 n.s. 口臭あり 19.2 9.1 n.s. 歯科治療の必要性あり 69.2 9.1 p<0.01 n.s.: not significant 数値は% 表11 歯垢指数と未処置歯数, 1日の歯磨き時間, 1回あた りの歯磨き時間との関係 R p 未処置歯数 0.518 0.007 1日の歯磨き回数 −0.234 0.249 1回あたりの歯磨き時間 −0.163 0.425 表12 口の中に心配なことがあると答えた人の中での歯科 治療の必要性 歯科治療の必要性 精神障害者群 n=19 コントロール群 n=6 あり 78.9 0 なし 21.1 100 数値は%
参 文 献 1. 厚生統計協会 (編): 国民衛生の動向. 東京 : 厚生統 計協会, 2005. 2. 下正明 ( 編): 臨床精神医学講座 14 精神科薬 物療法. 東京 : 中山書店, 1999 ; 80-95. 3. 大垣真紀子, 山崎統資, 鯉沼 哉ら. 唾液性状検査シ ステムによる入院精神病患者の口腔内評価. 障歯誌 2000; 21: 277-282. 4. 鯉沼 哉, 稲田 穣, 関口五郎ら. 外来精神病患者の 唾液性状検査による口腔内環境の評価. 障歯誌 2002; 23: 515-521. 5. 茂木 司 : 群馬県 康長寿科学研究委託による高齢 者の歯科保 に関する研究. 2000: 6-15. 6. 井上裕之. 精神病院における歯科医療状況に関する 調査・研究. 障歯誌 1999 ; 20: 165-172. 7. 眞木吉信. 精神障害者の口腔環境の実態とその対応. 障歯誌 2005; 26: 133-144. 8. 武井麻子 : 精神看護学ノート 第 2版. 東京 : 医学 書院, 2005: 1-13. 9. 厚生労働省 (編): 平成 11年度歯科疾患実態調査. 東京 : 口腔保 協会, 2001: 123.
Dental Health of Community-Dwelling Patients
with M ental Disorders.
Yuriko Hashimoto
and
Kenji Mogi
1 Department of Social Welfare, Tokyo University of Social Welfare
2 Department of Stomatology and Maxillofacial Surgery, Gunma University Graduate School of Medicine
Background and Aims: Poor oral health has been reported among psychiatric patients in hospitals. The purpose of this study was to investigate the oral health of community-dwelling patients with mental disorders and to discuss the problem of community dental services for them. M ethods: Twenty-six patients with mental disorders living in the community and attending rehabilitation programs in Gunma Prefecture were asked about oral health habits and examined by a dentist. The results were compared with the results obtained from workers in the rehabilitation programs. Results: The main reason patients gave for reluctance to consult dentists was fear of dental treatments. Patients with mental disorders had more decayed teeth (DT)and a higher debris index(DI)than the workers in the rehabilita-tion programs. Seventy percent of the patients required dental treatments. Conclusion : Despite unhealthy oral conditions patients with mental disorders hesitate to consult dentist because of fear of dental treatments. Dentists and dental hygienists should know about mental disorders and study how to treat patients with such disorders. A dental examination system should be established for community -dwelling patients with mental disorders.(Kitakanto Med J 2005;55:33∼38)