玉蔓の巻の 「大島」について
夕顔の忘れ形見の姫は乳母の許で養われていたが'乳母の夫 が太宰の小弐に任ぜられて任国に下るのに伴われて'四才の時' 乳母の一家とともに筑紫に赴-。次の本文は'旅の途中小弐の 娘二人が船中で和歌を唱和する場面である。 おもしろき所どころを見つつへ 「若うおはせしものを'か かる道をも見せたてまつるものにもがを」 「おはせましかば' 我らは下らざらまし」と京の方を思ひやらるるに'.返る波も う ら や ま し -心 細 き に ' 舟 子 ど も の 荒 々 し き 声 に て ' 「 う ら 悲 し -も 遠 -乗 に け る か を 」 と う た ふ を 聞 く ま ま に ' 二 人 さ し向ひて泣きけり。 ヽ ヽ 舟人もたれを恋ふとか大島のうらかをしげに声の聞こゆ る ( 傍 点 筆 者 ) ∫ 来し方も行く方もしらぬ沖に出でてあはれいづくに君を 恋ふらん ( 注 -) 郡の別れに'おのがじし心をやりて言ひける。(玉輩) 久 保 本稿では'右の文中の 「大島」の所在について考えたい。 一 ﹃ 源 氏 物 語 ﹄ に 出 る 地 名 一 1 奥村恒哉氏は「﹃源氏物語﹄に出てくる名所には、-すべて典一 拠があることは'よ-知られた事実である。」(﹃歌枕﹄一八〇 頁)と云われる。今'主題のもとに論を進めるに当って'まず' ﹃源氏物語﹄に出る地名・名所名と既存の和歌との関係'具体 的には歌枕との関係を調べて見よう。一'範囲を﹃源氏物語」 第一部に限り 二'地名・名所名は京洛とその近郊を除くこと とし 三㌧歌枕は'﹃能因歌枕﹄・﹃和歌初学抄﹄・﹃五代集 歌枕﹄・﹃八雲御抄﹄に拠ることとした。これらの歌学書は ﹃源氏物語﹄以後の著作であり'﹃源氏物語﹄の作者の歌枕に 関する見解と'これら歌学書記載の歌枕との間には相当数の出 入があることと想像される。証歌はこの間隙を埋めるのに幾分役八 俯R _⊥ ′ヽ 佻ツ 四 辻 順登 位場 // 締 /y 偃 // 冰イ 育 兌 巻 紫 刳 冦 =土亡 霊 冖ツ 難 囘ツ 明 唳W 義 +r ツ 園 磨 亶イ nツ 地 名 ● 名 節 名 波 津 兢 ,ツ 繒 石 の 捕 俶メ ,ツ 二田 の 池 ○- ○ イ ○ ○ イ 因能 ○ イ ○ イ 学初 ○ ○ イ ○ イ イ 代五 ○ イ ○ イ ○ ○ イ 雲八 な 途 揺 ツ ね そ メ -証 敬 例 号番 に古 凾フ古 Xフ2 ぬ拾 侘2 の新 (フ2 は今 凾レ今 ィレ を遺 xレ は古 ネレ づ六 凾フ集 ィ r は集 怨「 ら今 ネ r に帖 凾ニ四 囲ツ の、八 ノ) や集 ノ 「 さ三 凾 ○ 蔗 く九 井 ふ九 セ2 く四 凾ゥ九 貭 る四 ケ? せ九 h貭 や八 凾オ し / 蔗 や七 こ七 凾フよ (.b かよ ィヘツ に u .b の五 凾、み ク-メ るみ- 唸*ィセ2 お是 ネ-メ 花 凾逅l ツ ら人 メ ふ則 ツ 冬 凾フし x+R _むし メ る○ リ+R つや 」 凭あら r 人ら " は古 H.r も 凾ウず ィ+ よず b は今 (+ り 凾ャo 倩ィヒ り○ 「 き六 H イ 令 凾闌テ 凾ソ 鐙,b ぎ帖 フ2 は 凾ノ今 8レ 戟 白鶇. の三 移 は 凾オ六 i 「 ぞ 坪ト あ三 「 る 凾ワ帖 ネロ ま りソヽ ル) _ノ、ヾ 凾ェ三 )? す と六 兀x蔗 と 凾ュ二 ネ蔗 だ 坪+メ は五 貭 さ 凾齪Z ヘツ の み ネ貭 く 凾芬オ イメ い 2 え (セ2 や 凾ュ二 メメ け B 2 て ィ馼.*2リ 2 +R闔ィ ネ " 一 (.- 剔ヌ 「 る b あ b の 凾 メ か " は 估 花 8 凾オ r ひ イ ぬ ぞ .杏 君 B +X耳 お き 4 " か イ も ふ 6 「 R メ 2 な 2_ ツ ,B ︹表Ⅰ︺ (「能因」は﹃能因歌枕い「初学」は﹃和歌初学抄い 「五代」は﹃五代集歌枕い 「八雲」は﹃八雲御抄﹄の略称.〇印はその書 に'上欄の地名・名所名の記載があることを示す。)
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-⊂=) テメ 坪 ネ メ ⊂⊃ ⊂⊃ テメセ2⊂=)七 ′ヽ. 粭、ツ粐褪6リ " ネリ貭ヘツ // 梯 // 碇 // 碇 // 椿 市 傀 2 /∼ 呂 埜 埜 B R 八 壁 の 宣 ( 2 塑 亊 I ツ イ " r 響 の 灘 ○ イ ○ ○ ○ ○ イ ○ イ 世 の信 中明 の集 た二 の○ み- ど九 ■つ■⊥ 」′ヽ ろ に せ し も の を は せ を ば か く や や か ん と 忠 ひ し ,リャ2 ヒ鞋 U儻b 罫 * , . ,メ ツ 2 *ツ *イ ,ツ -2 +メ モx B 2 陳 2 .イ +メ +r * * .r + ツ ツ +r い は公 し任 み集 や_一 つ一 か三 ぎ- し二 の三 ふ ぢ の ラ ち な び き き み に ぞ か み も 心 よ せ け る 兀r ,メメ .( *ケ イ - メ - r *イメ ,ネ R / 「 + ,ツ r .b . + *" *イ *「 +メ * . +R - ,r ,メ *イ *イ *イ ." 64 田2 62 田 60 鉄 58 7 -
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13 -- 14 13 -- 14 -付記 大観﹄番号である。 (秦-) で見る通り'﹃源氏物語﹄第一部中に'地名・名所 ・家集中に見出される和歌'また歌人の詠に証歌を求めること 右のほかに'﹃源氏物語﹄中には'本文中の語としては現れ 南 の 殿 に も ' 前 栽 つ -ろ は せ た ま ひ け る を り に し も ' か -ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ 吹き出でて'もとあらの中萩はしたを-待ちえたる風のけ し き な り 。 ( 野 分 ) ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ 女君'後目に兄をこせて「浦よりをちに漕ぐ舟の」と'忍 びやかに独りごちをがめたまふを(浮標) 「 -お の づ か ら ' 関 守 強 く と も ' も の の 心 知 り そ め ' い と ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ はしき思ひなくて'わが心も思ひ入りをば、繁-とも降ら じ か し 」 と 思 し よ る 。 ( 常 夏 ) ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ う ら な く も 思 ひ け る か な 契 り し を 松 よ り 浪 は 越 え じ も の ぞ と(明石) 「-かう聞こゆる問はず語りに'隔てをき心のほどは思し ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ あはせよ。誓ひしことも」など書きて(明石) ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ㈲ 「棚無し小舟漕ぎかへり'同じ人をや。あをわるや」 と言う を ( 真 木 柱 ) の傍点の部分の引き歌が内蔵している地名の類である。旧は地 の文の例である。傍点部分は'﹃古今集﹄巻十四恋四㌧題しら ヽ ヽ ヽ ず'読人しらず。「宮城野のもとあらのこはぎつゆをおもみ風 をまつごと君をこそまて」に拠っている。脚は独語の例である。
- 15 -- 唸肩 r 育 仂イ 巻 木 豚53ィ6 ゥ& 名 か " 引 敬 ( す新 侘2 が古 Xレ の今 冰 「 の九 ) わ九 井 か四 h蔗 む Xセ2 ら業 x イ さ平 倅 き○ b の メ す古 り今 2 衣六 坪5 " 2 傍 し、帖 ツ 点 の、三 ハB は ぶ、四 免 "ナ 本 の、- ハB 文 み、五 倡jB の だ、五 レB 「タ 」 れ、 鵤 と か B 5 " ば ぎ jB ) り B し レB ら :B れ 咤 ず +R 香 日 野 俘" ロイ ,ツ T 地 名 ● 名 所 名 Ct ィ墺 因能 ○ イ -学初 ○ 代五 ○ 雲八 2 号番 傍 点 部 分 は ﹃ 新 古 今 集 ﹄ 巻 十 一 恋 一 ' 題 し ら ず ' 伊 勢 。 「 ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ み熊野の浦よりをちにこぐ舟のわれをばよそにへだてつるか を」に拠る.制は心中思惟の言葉の例であ宣.傍点部分は﹃重 ヽ ヽ ヽ 之集﹄の「筑波山は山しげ山しげけれど思ひいるにはさはらぎ りけり」に拠る。㈲は和歌の例である。傍点部分は'﹃古今集 ヽ ヽ ヽ ヽ 巻二十'東歌。「君をおきてあだし心をわがもたば末の松山浪 もこえをん」。﹃後拾遺集﹄巻十四恋四㌧清原元輔。「ちぎりき ヽ ヽ ヽ ヽ をかたみに袖をしぼりつつ末の松山波こさじとは」に拠る。制 は消息文の例である。傍点部分は﹃奥入﹄所引古歌「忘れじと ヽ ヽ ヽ ヽ 誓ひしことをあやまたば三笠の山の神もことわれ」に拠る。㈲ は会話の詞の例である。傍点部分は﹃古今集﹄巻十四恋四,題しら ヽ ヽ ず'読人しらず。「堀江こぐたをなしをぶねこぎかへりおをじ 人にや恋ひわたりをむ」に拠る表現である。それぞれ傍点で示 したように地名を内蔵している。 ︹ 表 Ⅱ ︺ 今'このようを﹃源氏物語﹄に潜在する地名・名所名を第一 部の各巻から取り出して'(表-)に倣って歌学書所載の歌枕 との関係を見ると次の通りになる。
- I.lll...■■ ネ メ 九 價「 七 ク 2 ネ " 五 俶ツ // 梯 // 俟r x 椶 莱 描 花 梯 若 紫 仭2 B 育 木 い ひ わ ツ 揺 r あ ぬ古 ネワ2 ま源 侘2 が後 Xホ2 り古 夷2 ふ新 が今 ノF も氏 レ 袖撰 ゥ え今 さ勅 み集 クァ を釈 x r は集 ィ r こ集 ( r か撰 の( メ ュ) く所 ケJ「 名、六 リ R ぐ圭 ネ R の七 と、元 凾オ引 ネセ2 に、八 リ蔗 た二 *Bメ を三 こ、永 ハ" げ古 I? た、四 (爾 を二 唏セ2 を- の、本 り歌 械 つ、 イ 杏 B ば や、) ,fツ に ハH.b す、土 健 しよ ハH健 たよ ま、六 凾ッ ェH-メ ゑ、佐 (6b をみ H6 のみ を、四 り I ツ の、o イ ぶ人 ハF み人 る、九 佇 杏 芥+R ま 佻 ねし ハB てし いの r 大 *H.r つ こら r こら さ一次 「 荒 ェH+ ィ爾 や r ぎず B しず ら B ツ 木 ェF ま B か○ か○ が ツ ツ Ur の 鵤 か B ヘ ZB ど は今 剞X、 仞 そ zB り 咤 も い⊥ ′ヽ さ帖 ツ 、つ■ しヽ > b そ、 ら rB よ 8 "jB、ヽ を、 ェBB ヘヽ だ、 fS 完畢 ツ 夏、 2 り 「 じ、 メ つ、 中、 は 轡、 え、 た る 石 川 ハB め 唳Fr た ハB り 咤 か の イ に、 b せ、 ヘ二 凾ー 「タ 」 や、 ツ き、 よ5 凾ヘ え 2 悲 " の わ六 凾オ ツ ぬ 2 ひ メ つ が- 凾 日 わ ら 葺霊 ■書芸 ど い 凾ッ は ツ た r く れ // ○ R R 杏 し 莱 *イ り 杏 む 堀 江 も あ る か 杏 逮 さ ら 劍ラ" 自m ,ツ の 樵 俥" ,ツ 剄 の 川 ○ 劔 イ 山 ○ ○ 亊b 刳ヨ ○ 6 劔〇 〇 〇 イ イ 〇 〇 〇 「 「 「 ○ イ イ ○ イ ○ (50)1表 冓(5)出前 F 迭 4 茶 駐 Uツ (36)1 (19)1表 -
16 -- 峯 蒔R鶻簫 九 リ " 七 リ " 五 俶ツ // // h 〟 碇 質 木 す r た メ 立 日 jB ち :B ま古 リホ2 ‡≡ リフ2 に後 唏フ2 は後 :Hフ2 の今 i xレ き撰 :Hレ や撰 ハHレ あ、集 X r は今 頷r く集 ェH r ぶ集 レH r ま、七 ネヘツ た集 仞2 ま- 鶇セ2 る四 ハBメ の、○ ケ 「 も八 i 「 つ○ JH貭 か五 イ し、八 Y? と七 9? が九 :Bメ み八 ノJ「 ほ、 ツ す六 ツ う四 陳 8 " が リ イ や、よ 僮(.b ず ラ2 ら コH.b きよ ツ く、み 从(-メ し行 y[メ し素 ハH-メ やみ ゥ け人 jI ツ く平- イ ま性 :I ツ ま人 ルub ぶし 唏+R を○ r けo ェH+R のし ツ りら jH.r り ツ ふ リ.r さら ク6 2 風ず 唏+ に ツ ぞ h+ かず ツ を○ レH イ け B み 犯 き○ b い り r る ツ ば た ツ せ、 う、 ツ 法要 B み ツ き、 B べ、 X " R 田 ノじヽ b ふ、 ZB も、 メ は イ き、 咤 心、 ツ に帖 R ぬ 、■.チ 」ヽ レB あ、 色、三 メ 方 ゆ、 ェB る、 もー 2 に メ る、 *B あ r か、七 た す *B ま 2 は、七 r な ツ ま レB は メ ら、八 び 儁 の JB す ぎ き R う b み r り に イ 「 ら ツ 2 け R け け .り 須 磨 (23)1# 剳 演 メ 7r .b イ り 松 B - -メ 贅 り 柿 垣 山 8 -メ - T 士 にコ 冑 磨 「 凾フ の ツ の 兢 仁一 野 〇 〇 〇 剏G 岸 ○ ○ 亊b イ イ 捕 〇 〇 〇 r 「 「 「 剞 ○ ○ 10 茶#r R (28)1# 茶# 2 9 - 17 -明 石 恵慶集二三九一六 ヽ ヽ ヽ ヽ あさりするよさのあまびとはこるらむうら風ぬる-かすみわたれり 輿 謝 ( の 海 )
__ー 九 刔「 七 峯 :R鶻簫 6リ " 五 俶ツ 〟 梯 〟 碇 拷 標 碇 // 梯 // の古 侘2 に古 ホ2 く新 芥ホ2 す奥 :Hヒ は新 ぼ今 リレ は今 ゥ ま古 ク R れ入 zH ぢ古 の集 ィ r が集 ィ r の今 呈溜 ⅸ炅 に今 と四 メ た九 霎2 の集 偖r ZI て集 あ○ ィセ2 潮、- 俑 I 「 一■ フ'一 リ R 凾 、- か九 メメ み、三 レBメ ら、○ リ R 凾ヘ、五 し 蔗 ち、 レB よ、四 イ 凾ニ、= のよ メ くよ 芥ヒ2 り、八 イ し、 凾ヘ、二 うみ x.b らみ I│r を、 Xヒ2 ーナ 」ヽ る、 0 秦 y ツ しみ Y ツ じ、親 ⅸ健 を輔 jB む 唔¥r のし ツ あし H咤 に、勢 R を 仂「 に、恒 あら ネ+R まら 哥 -タ0 し_、 「 あ 2 みo さず .r 衣ず レB ぐ、 や R し ぎ○ リ+ たo Hフ2 舟、伊 " ま ツ 局 り X爾 -ヨ み 唏レ の、勢 " た *B の に古 ツ の古 ル 「 わ集 凅 ば 8*" 近 し、今 ネフ2 の今 J ロ れ三 ツ 俔レB き _J一一 、′ヽ X レ ′ヽ )? ノ 佰jB 笠 ハB 「タ 」 が帖 ノ 「 ま些 メ ノ? ば○ ィリ の イ よ く三 に二 YJ「 よ 僥zB 山 ク 2 ひ れ二 ⅸ蔗 鶴二 Bメ そ B の は ゆ六 綿爾 罫メ を七 蔗 に 2 か R と く七 ク R き六 ヘ b み 2 ナ 」 船二 ル 「 わ三 リヒ2 だ b も ろ を リ蔗 た 驂r て メ 「タ 」 佇鵤 か し 62 る 難 波 渇 ○ i R つ と ZB シ「 ,2 8r イ ら ぞ 劍+ネ咤 る わ 凾ゥ 田 ノじヽ ふ 明 劔68 「 耳+h " -2 リ Ur 定 イ r Uツ か な み 凅 れ 凾ソ 漢 紘 12 石 の 冕「 ,ツ 剔ヌ 一ヽヽヽ 野 の ツ 靑 i 」上 の 捕 ○ ○ r イ 剳゚ ○ 伜" イ 山 ○ ○ ○ イ 凵 ○ イ ○ イ ○ 凵 イ ○ イ (6)1表 茶3s Uツ 15 4 茶B偬 (14)1表 2 - 18 -ゝ 7 良 L L 一 ヽ チ P 杏 わ メ 契 、 メ 思 、 蓬 生 ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ わくらばにとふ人あらばすまのうらにもしはたれつつわぶとこたへよ 古今集九六二 須 磨 の 浦
九 リ " 也 抱 イ 6リ " 五 勇ィ8 朝 顔 碇 // 梯 松 風 亊b 壺 // 梯 // す た 况 揺 わ メ み ま古 ル b れ古 ネフ2 の古 フ2 が古 8フ2 よ古 の今 フ2 を今 ィレ ぼ今 ィレ い今 Hレ し今 あ、集 俑 か集 ネ r の集 キ頷r ほ集 x r の集 ま、( H r も九 h貭 と四 メ は九 メ の九 の、清 イ し○ イ あ○ ク イ み八 坪-レH イ 山五 し、輔 リヘツ る九 仞2 か九 セ2 わ二 唏セ2 の○ ほ、本 bメ 人 R し YJ「 の :Bメ あ や、) リ蔗 に興 ネ.b のよ 伜*B やよ b をよ き、六 せ風 H-メ う、み I8ツ まみ ノ8ツ たみ 衣、四 从r む y ツ ら、人 X慊 も人 慊 に人 を、九 俔 た ネ+R の、し :F とし イ やし れ、の ヨ か .r あ、ら メ 恋ら メ どら ぬ次 R さ 8+ さ、ず 兀zB しず (フ2 もず れ. 佇 ーフォ ー ニ ぎ、o くo ネレ が○ ばよ ツ の り、 ツ は ノ 「 を うみ 仗 ま、 に と ノ) よ、 と人 イ つ、 ZB し ぶ 冦芥蔗 の、 くし 2メ も、 ハB ま 「 ら ハH貭 う、 のら b 昔、 ェB が ひ ェH貭 き、 みず の、 レB く " き 刋唏セ2 と、 サO 」 メ 友 ェB れ ク 2 ま レI 「 き、 そ jB 杏 B ゆ b せ ェB の 見 B 8 " ら メ く " 杉、 咤 か A コB な r 舵 B 立 ハB く /わ 咤 く を " て :B れ た zB に 高 砂 ( の 埜 ○ R し r る 「 家 り 咤 ツ ぞ ヨ" N2 *「 B イ 門 痩 山 ○ キイ nツ イ に け れ 演 磨 (23)1表 ォ р "偬 . -2 イ お も ふ 明 石 の 捕 ○ 劔せ む み 士 日 野 ,∼ の 山 \J ○ ○ (1)出前 イ ○ イ イ ○ イ ○ イ ○ イ ○ イ ○ イ ○. イ (6)1表 茶b Uツ 17 b (1)1表 茶著 - 19 -磨 新古今集二二〇 徽子女王。 ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ な れ ゆ -は う き よ な れ ば や す ま の あ ま の し ぼ や き 衣 ま ど ほ を る ら む
五 俶ツ 四 俶ツ 四 _..JL.._▲ 俶ツ ヘツ 四 四 仍 9b 四 俶ツ ⊂=⊃ 仞2 ′ヽ 俯R ノヽ 剪 〟 /I 仂「 /y 梯 少 女 梯 /y 梯 は ■申 右 い さ ら 川 (50)15 " み よ 鵤 い R つ古 ルiツ ィフ2 く拾 h R の古 zHフ2 ぬ古 R せ今 :ヽ (搨 ィレ ま遺 を今 :Hレ が今 H が集 H r リ r の集 倡 r か集 コH r み集 偖r は- 辻 ネェ の六 「メ は九 ハIJ「 の( "メ ふ、○ 仞 ? 偃X亦 9gイ う六 9? を三 イ ネ " と元 倅 る、○ ノ? 凾逕ェ 2メ に三 冏ク R こ永 リヘツ か、九 冕cb ツ の イ か JB の本 イ は、 伜) 「 は、人 " つよ ⅸ.b や) の、よ 貭 ま、麿 ノ ツ ねみ メ ま六 ) ベ、み ツ 仞2 ゆ、o ノiイ を人 兀 ツ を四 ノ; に、人 「 ネ*(,ツ ふ、 レH イ るし +R る九 二、し b 白 8鶯 も古 :B あら 冢ネ.r い、の ( 本、乞 xフ2 も今 ェB すず ネ+ さ、次 あず 佇 鵤 え六 コHフ2 かo イ ら、 るo レB リ9 を帖 ハHレ が メ が、古 B 杉、 册咤メ 冉 ゥ " す三 「 は メ は、今 年 ェB 剞S二 9) き r ⊥ い′ヽ B を b c b は七 X蔗 の 「 さ帖 :B ヘ て R 思八 ケ? ふ r 主薪 完畢 咤 か 凾ス三 h R よ三 ツ あ 凾鬢 又 ツ h イ ど hセ2 ふ、 メ 几zB も r i 「 た 囲ツ ち、 「 へ二 ハB あ レBメ だ ぞ b よ6 ひ 冤r カ 懿 ,ツ 8r イ イ ネ7 に ツ け ツ わ⊥ メ み 劔あ ケh ふ 侈 が二 「 ん 劔は 定- は Y nツ イ イ 杏 械 哀 あ る l杉 初 瀬 川 ○ ○ 劍.zH-メ +zH* / H,r ,b ク6 2 ,ツ イ イ ぬ か も み 舵 ノヽヽヽ 野 の 捕 ○ B *イ 2 R イ せ、 に 杏 る 0 飛 鳥 川 ○ ○ 刳 :萎 か ど と 「タ 」 の 山 ○ ○ *B / B +ZB ] 圓 イ ○■ 劍 イ ○ 凵 イ ○ 一〇 劍 イ ○ イ ○ イ ○ (67)1# 茶 b Uツ 掴出前 19 茶 2 Uツ (16)1表
- 20 -五 佻ツ 五 佻ツ 五 佻ツ 五 " 五 九 リ 七 抱 メ 6リ " 五 俶ツ 〟 行 常 梯 胡 傀 玉 袷 分 B 僣 立 日 r し 兀 か メ つ メ む、 仗 い ら古 ホ2 す新 (フ2 く新 ィホ2 ら、古 俔リフ2 の古 ね今■ 冢ノ が古 ネレ ば古 ) さ、今 ネレ り今 ど六 リ r の今 ネ r や今 x r き、集 ( r つ六 も帖 2メ の集 ノ 「 ま集 iJ「 の、八. 辻 つ帖 武三 メ わ九 Hセ2 は- メメ ひ六 ィ イ 頼三 蔵四 ( R か九 jH貭 山○ ネ イ と七 ルJ「 み二 野三 飩「 む四 B し一一 も ノ 「 ぞ四 と五 ら 唏 v ツ ナツ げ三 h健 とよ " わ三 い二 b さ業 剋R Y ゆ、み ネルR た○ ヘ リ-メ き平 凾オ、垂 ネ イ ゑ、人 甁 る ば ツ の○ 凾ー、之 侘2 に、知 メ は か 汎ツ■つ■ 」 す、 凾ッ○ 估靺r り、古 凾 Y むら 「 さず Bメ つ せ た x+ 衣、今 凾ヌ ノ) し 「 が れ リ イ し六 思、 ? の は ぬ の帖 ひ、 鞴 の 咤 う、 よ 倩zB ぶ三 しヽ、 械メ 辛 コB れ、 し メ の四 メ る H R は JB し、 や メ み- 兀zB に jI 「 み ハB き、 さ 2 だ五 は. 咤 杏 侈咤 せ、 「■ 」 イ れ五 ハB さ、. ハH健 が JB に、 そ メ か " は、 ZI ら 咤 も、 は ぎ業 綴 2 2 ら、 イ あ 估 涜 紫 り平 b ぎ 2 は 「 れ の イ Y nツ Lo 估 り R れ あ ゆ、 凾 け 2 と b ふ ゑ、 // ○ 凾 苓6 2 り 読 波 山 ○ イ ぞ や ず 香 冒 野 イ -ツ ,B キイ nツ メ + - リ7 X5" nツ #2 み る 武 蔵 野 メ サ ,ツ と 初 瀬 川 ○ イ ○ 劍 イ ○ イ ○ イ ○ イ 凵 イ ○ ○ イ ○ イ ○ 凵 イ ○ ○ イ ○ イ ○ 凵 イ ○ (13)1表 茶 2 Uツ (2)出前 茶 Uツ 24 13)1表 " (67)15 21 -後撰集九上,二,一Ⅷ鳩親王。拾遺集七六六 元良親王。 わびぬれば今はた同じをにはをるみをつくしてもあはむとぞ思ふ
__.一■- 峯 闔ィ耳爾 ノ■ヽ リ " // m (ツ 揺 り古 冑 フ2 え今 ネレ こ集 r ぐ七 ネ R 棚、三 ネ イ を、二 jIJ「 し、 *B ・J-よ レH-ツ 船、み ⅸ-メ こ、人 JI ツ ぎ、し 芥+R か、ら 兀x.r へ、ず + り、○ ( イ 同、 メ じ、 メ 人、 2 6リ+h " に メ や、 「 悲 ひ メ わ た メ り r 杏 む イ , * . 堀 江 イ h ○ ○ ○ ○ (36)1表 茶#2 R 例 - 22 -計 俟 顔 荏 す る +r . 名 ● 名 も 節 の ツ 名 209 田" 147 「 B 106 B 82 們 B 86 65 13 10 8 8 7 7 烹 附記'「新国」は﹃新編国歌大観﹄の略称。︹表-︺及び︹表Ⅱ︺中に既出の地名は下欄の番号から省いた。 ﹃源氏物語﹄第一部の'本文中に'引歌に含まれて潜在する地 a 歌 学 書 に 登 載 さ れ て い る も の -2 1 例 b 歌学書に登載されていないが'三代集時代に証歌を求め 得 る も の -︰ . aの中'三代集の時代に証歌を求め得をいもの 3 (注2一 歌学書に記載を二三代集の時代に証歌をも求め得をい も の -⋮ : ⋮ : ⋮ ⋮ : : : o と を る 。 こ れ を 先 に ︹ 表 Ⅰ ︺ で 見 た と こ ろ に 加 え る と ' 次 の 通 り に を る 。
ー 23 -︹表Ⅲ︺ により'﹃源氏物語﹄の第一部に出る土地・名所は' 紙数1-6例中9 1例 (aIc+b) までが'三代集の時代から﹃源 氏物語﹄ の時代までの和歌を背景に持つ'歌枕であることがわ かる。その時代に証歌を求め得ない土地・名所は紙数1-6例中の 1 5例(C+d)。約一・四割に過ぎない。この1 5例の土地・名所が' ﹃源氏物語﹄第一部で果している役割を次に見よう。 まずt c群の8例を登場順に並べると'日金の岬t O松浦' 臼椿市'囲山吹の崎'㈲常陸の浦'囲駿河の海'他緒絶の橋' ㈹嶋田の関とをる.r・臼・臼は玉輩の巻に出る。rは幼い玉 章を伴った小弐の一行が'筑紫の本土に入った最初の通過地点t Oは小弐の死後'乳母一家が玉輩を護って住んでいた肥前の地。 両者とも﹃万葉集﹄ によって都人にも馴染の地名を'作者が選 んだものと考えられる。臼は'玉章の開運を祈るために乳母一 家が供をして初瀬寺に詣る途中のこの地で一行は'主君の死後 遺された姫君を久し-捜し求めていた'夕顔の侍女'今は紫の 上に仕える女房右近と避近する。ここは初瀬に参詣する人が必 ず泊る土地で'観音の利生によって玉宴と右近が出合うのに' これ以上恰好の地点はない。此処もまた'﹃万葉集﹄(二九五一・ 三1〇一)に歌われている名所である。囲以下はすべて作中人 物の詠む和歌の中に使われて'修辞を扶ける働きをしている。 佃は胡蝶の巻で'六条院の春の御殿に招かれた秋好む中宮の女 房が'池の汀の山吹を'近江の名所に見立てて嘆賞する和歌に 用いられている。㈲・問は'常夏の巻に見える。内大臣家に迎 え取られた落胤の近江の君が'異母姉の女御に贈った和歌に詠 みこんだ三ヶ国の名所の中の二つである。栂は玉章を実の姉と 知らずに恋文を贈った柏木が'事実を知った後'彼女に詠みか けた歌の中で「ふみまどひ」を言い起すために使った'陸奥の 名所。藤袴の巻に見える。㈹は藤裏葉の巻に出る。夕霧が'雲 井雁に答えた和歌の中で'彼女との結婚を阻んだ内大臣を'伊 勢の国の関に擬えた言葉である。C群に属する地名・名所名は、外 ならぬ ﹃源氏物語﹄ の作者自身の手で'証歌の裏づけを持つ三 代集の時代の歌枕と何ら変りをく駆使されていることが'以上 に見たところによって明かである。 これに反してt d群の地名・名所名は非歌枕として'極めて 散文的に使われている。dに属する7例を'登場順に挙げるとt r大江殿'33松浦の宮の前の渚'臼川尻'囲韓泊'㈲八幡の宮' 囲清水の御寺'㈲観世音寺となる.日は'須磨の巻で'源氏が 須磨の滴居た赴-途中に立寄る難波の旧蹟である。池田亀鑑氏 編﹃源氏物語事典﹄上巻に'歴史の浬滅した名所であろうと説 いているのに従って'「名所」と解して別扱いとする。33以下は 全部玉章の巻に出る。33は'「松浦の浦」 というべきところを' 技法上からわざとこの言葉に言い換えたと解して'筆者の私見 で一項を設けた。肥後の豪族'太夫の監の強引を求婚から逃れ さ せ る た め に ' 玉 輩 を 護 っ て 乳 母 と そ の 子 女 の 一 行 が 船 出 をする場面に使われている海岸である。「松浦の浦」が ﹃万 葉集﹄巻五㌧八五六に「松浦がた」が同八六八に見えるが'
- 24 -﹃源氏﹄の作者は'余計を情緒が付纏うのを避けるために'歌 J行の脱走が遂に成功したことを'的確に表現した。臼・榊の 展 開 に 大 き を 役 割 を 果 し た の で あ っ た 。 風 は 帰 京 し た 玉 一万㌧筆者が主題とする「大島」は'これらの地名・名所名 とは異をり'冒頭に掲げた本文中で夢幻的憶憶と望郷の思念に 作中人物を誘いこむ役割を果している。この'地名の担う役割の 相違は重要をボインーである。この事実に'上に見てきた'﹃源 氏物語﹄第1部の地名についての考察から得た知識を加えて考 えると'「大島」が歌枕である可能性は否み難いと思われる。
15 B 13 " ll 9 唐 7 澱 5 釘 3 1 俘 e85" x9" 蓬 囘 拷 侭 拷 儼 港 侭 イ 拷 冖 明 演 質 亂「 生 b 標 儷r 琴 儷r 標 儷r 標 石 冑 磨 冑 木 冖ツ 大 R 明 侏 由 侏 __1....▲ ′ヽ 侏 明 ヒ 源 氏 辛 侏 _」_A ′ヽ ツ Z kツ 弐 の 2ツ 石 剞ホ 剌の 凾フ 剏 倩ツ 姫 劔(b石 劔 「中 剏相 剌 妻 ● 侍 従 俐 ツ 驍 メ 君 剏N 剪 所 と 斎 宮 俶r " の 乳 母 劍 棉 剪 節 と 斎 宮 還 還 亊" 荏 還 ツ ュ" 荏 亊" 荏 亊" 荏 荏 ツ ュ" 太 仍 住 偖「 明 仍 伊 仍 京 冖 須 慕 竸r 京 偬 辛 剋m E1 俶メ S ' 劔 磨 冑 " ヽ 府 剽 凭r の 捕 斎 宮 劔劍 大 檀 殿 價メ & ネ " 京 明 仍 住 偖「 京 冖 明 仍 明 仍 源 イ 伊 冉 辛 ヽ 俶メ e85" 士 亡コ " ヽ 石 府 " 倆 社 放8+R粢 ネ " 入 道 ツ ; ツ ,r ツ ヒ顫B 請 居 俤b キイ 的 入 剌 劍 道 邸 剴@ 邸 の 邸 刹 劔& 難 準 堀 江 ● 田 蓑 の 良 Fr 2 ,ツ ル 難 波 難 波 大 江 殿 跡 ● 海 上 ゙" ,ツ ュb 本 文 中 に 出 る 過 過 地 源 氏 と 明 石 の 君 鰭 答 ● 源 氏 準 蘇 惟 光 と 源 氏 唱 和 源 氏 狗 準 育 佩B ( ヤ ヒ , ス ニ / ,b ,r * 和 敬
- 25 -二 作中人物の旅行中の和歌と地名
﹃源氏物語﹄第一部に出る作中人物の'地方への旅と旅行中 の和歌とを取出すと次の通りである。 ︹ 表 Ⅳ ︺21 19 17 b 玉 仂「 松 亊b 関 亊b 輩 r 風 屋 ら玉 シ「 明 侏 源 氏 ? uI? B 隻 ● 負 良 徳 介 ● 乳 母 僭 ツ 惲 ?2 ,b +イ ,ツ 徨 石 の 君 ● 母 局 君 還 荏 亊" 荏 亊" 壁 剛 松 捕 仍 明 石 の 捕 京 メ zB ル Wイ 慕 Wイ 大 井 の 盟 仍 石 山 竸r 韓松 R 逮 泊浦 ・の 川浜 局. 響 の 灘 ● r ツ ,ツ ホB ゙ 剄 の 関 俥" ,ツ ュb 船船 r 舵 侏 仭2 中中 b 中 倩 B ヽヽ " ヽ 况 乳兵 傅ツ 母 )? B 母部 独と 2 ,ツ V ロ昌 詠玉 隻 日昌 刺 冖「 ヲ hR Ⅸ 謔 刺 ツ - 26 -︹表Ⅳ︺ の和歌欄に記載された和歌を次に挙げる。(数字は' ︹ 表 Ⅳ ︺ の 番 号 欄 の 数 字 。 ○ 印 は 歌 枕 を 示 す 。 ) H 0 0 0 鈴鹿川八十瀬の波にぬれぬれず伊勢まで誰か思ひおこ せ む ( 六 条 御 息 所 ) 0 0 0 o o 1 2 -a み を つ く し 恋 ふ る し る し に こ こ ま で も め ぐ り 逢 ひ け る え に は 探 し を ( 源 氏 ) 0 0 0 0 0 1 2 -b 数 な ら で を に は の こ と も か ひ な き に な ど み を つ -し 思 ひ そ め け む ( 明 石 の 君 ) 0 0 0 0 1 2-C 露けさのむかしに似たる旅ごろも田蓑の島の名に -れ ず ( 源 氏 ) - a - b 唐国に名を残しける人よりも行く方しられぬ家ゐをや せ む ( 源 氏 ) ふるさとを峰の霞はへだつれどながむる空はおをじ雲 ゐ か ( 源 氏 ) 0 o O 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -a す み よ し の ま つ こ そ も の は 悲 し け れ 神 代 の こ と を か け て 思 へ ば ( 惟 光 ) 0 0 0 o O O れ や は す る ( 源 氏 ) 行-と釆とせきとめがたき涙をや絶えぬ清水と人は見 る ら む ( 空 蝉 ) O O O O わくらばに行きあふみちをたのみしもをほかひなしや し ぼ な ら ぬ 海 ( 源 氏 ) 1 9 I a か の 岸 に 心 よ り に し あ ま 舟 の そ む き し 方 に こ ぎ か へ る
紫 明
艶'i
二注 にを」 - 27 -れやはする ( 源 氏 ) か な ( 明 石 の 尼 ) 1 9 -b い -か へ り ゆ き か ふ 秋 を す ぐ し つ つ う き 木 に の り て わ れ か へ る ら ん ( 明 石 の 君 ) 2 A a t 2 0 -b (主題「大島」に関連するので暫くお-0) 1 2 a 浮島をこぎはなれても行-方やいづくとまりと知らず も あ る か を ( 兵 部 ) 2 1-b 行-さきも見えぬ波路に舟出して風にまかする身こそ 浮 き た れ ( 玉 輩 ) o O o o o 2 1Ic うきことに胸のみ騒ぐひびきにはひびきの灘もさはら ぎ り け り ( 乳 母 ) 以上に見た作中人物の旅先での詠歌1 5首のうちに A 歌 枕 を 詠 み こ ん だ 和 歌 -9 首 B 歌 枕 を 詠 み こ ま を い 和 歌 -6 首 がある。 2 I a に は 「 大 江 殿 と 言 ひ け る 所 は ' い た う 荒 れ て ' 松 ば か り ぞ し る し な 入 江 。 ﹃ 。」 (須磨)という前文がある。「大江」は難波の 「わたのへやおぼえのきしにやどりしてくも郎
縞
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お ぼ え の き し に や と り し て 雲 ゐ に み ゆ る い こ ま 山 か を と あ り (若)此所欺 但松はかりそしるしなりけるといへり定有古寄 欺可勘(後略)」と注している。良過は'﹃後拾遺集﹄初出'長暦 ・永承の頃活躍した歌人であるので'右記の和歌はこの際の証 歌とはし難い。よって'﹃河海抄﹄の示唆に従って'「大江殿」は' 今は「歴史の浬滅した範と考えるのが,適切であろう。こ の様に'前文が旧い名所を潜在させているので、㈲-aの源氏 の旅中の和歌は'あらためて歌枕を詠みこむには及ばなかった のである。榔-bはt aとその前後の文とが描く絵巻風の光景 を継承して海上舟行の場面を構成したので'一続きの雰囲気を 乱したりイメージを壊したりした-ないので'わざと歌枕を持 ち込まなかったものと想像される。1 9-a・1 9-bの唱和の場 0 0 0 0 合も、前文に「昔の人もあはれと言ひける浦の朝霧'隔たりゆ -ま ま に い と も の 悲 し -て ' 入 道 は 、 心 澄 み は つ ま じ く あ く が れゐたり。(略)尼君は泣きたまふ。」(松風)とあって'歌枕 「(明石の)浦」と名物「朝霧」を背景に' 有名を「ほのぼの と明石の浦の朝霧に島が-れゆ-舟をしぞ思ふ」(﹃古今集﹄巻 九帝旅 よみ人しらず)をまる取りした文章で'絵画的に別れ の舟出の光景を描いたので'1 9-aの方は「明石の浦」という と こ ろ を 「 か の 岸 」 と 言 換 え て 表 現 し た の で あ る 。 く ど く な っ て情趣が破壊されるのを嫌ったのであろう。同じ理由のもとに 1 9-bも「い-かへり行きかふ秋」 に明石の浦の秋の意を込 めて'歌枕を詠みこむことをわざと控えたのであろうと思われ る 。 し か し ' 2 1 -a ・ 2 1 I b の 場 合 は こ れ ら と は 異 る 。 1 9 I a は- 28 -「いづ-泊と知らず」 '1 9-bは「風にまかする身」が発想の核 一行にとって更に新たを流浪への舟出を意味する。その上'寸秒 以上に見て来たところでは'﹃源氏物語﹄第一部に出る'作中
三 瀬戸内海の航路
小弐一行が玉章を伴って'筑紫に向った際にとったと思われ る交通路について考えてみようと思う。 ﹃延書式﹄民部下に「凡山陽。南海。西海道等府国。新任宮 人 赴 レ 任 者 。 皆 取 二 海 路 1 0 ( 中 略 ) 其 大 弐 巳 上 乃 取 二 陸 路 ︼ 。 」 と ある。玉蔓の乳母の夫は小式に任ぜられて太宰府に赴くのであ るから'一行は'京から掻津の国の川尻まで川下りをして'川 尻から瀬戸内海を西下したのである。藤岡謙二郎氏編﹃古代日 本の交通路Ⅳ﹄第九章「水運と港津」に拠ると'古代の瀬戸 内海航路は二つあった。一つは﹃万葉集﹄の遣新羅使の航路か ら辿られる'大伴の三津(難波三津)1武庫浦1明石浦1備後 の長井浦1安芸の風速浦1周防の麻里布浦1周防の熊毛浦1佐 波津1筑紫館であり'他の一つは伊予沿岸に沿うものであった。 一行の道は前者であるが'延暦四年以後は淀川と神崎川が通じ' 神崎川河口に設けられた川尻の港が'京への'具体的には淀へ の仲継点となったので'一行は川尻から上記の内海航路に就い たのであった。左に佐々木信綱博士著﹃﹃高菜辞典﹄巻末に附 載されている「遣新羅使航路図」を転載する。二重破線が航路 である。 ﹃五代集歌枕﹄と﹃八雲御抄﹄が「大島」を備前と記してい るが'岡山県の大島郷は浅口郡(備中)にあり'しかも「此郷 島を以て名つけらると錐'島にあらず'一陸角のみ」と吉田東- 29 -伍博士著﹃大日本地名辞書﹄にある。同書の周防大島郡の条に は「大島郡 玖珂の東南'熊毛の東をる海鳥にして'面積方七 里、其形状西部に方二里半余の畠山をなし'(高峰加納山七百 米突)東方に狭長をる尾を延-長五里'横幅四十町より八町に 至る。其四傍に属島二十許'面積合計二方里へ(中略)吉備の兇 島小豆島をどと共に往昔より著れ、殊に国造本紀に﹃大島国造' 志賀高穴朝'先邪志国造同視、兄多毛比命兄七六倭古命定賜﹄ とありて'特立の一島也'又高菜に大島の鳴門とあるは'今の 大畠の瀬戸を云ふ(下略)」と記している。佐々木信綱博士著﹃ 寓葉辞典﹄にも「おはしま 大島(地名) 周防国大島。一名屋 代島。本島と本土との間に鳴潮を生ずる。大島の鳴門を過ぎて (十五の三六三八の右)」とある。片桐洋一氏著﹃歌枕歌ことば 辞典﹄には「おはしま︹大島︺「大島の鳴門」「大島の鳴門の浦」 \という形でもよまれた周防の国の歌枕。今の山口県大島郡。同 玖珂郡大畠村との海峡を大島の鳴門という。「都にと急ぐかひを -大島の灘のかけぢは潮満ちにけり」(恵慶集)とうたわれたよ ぅに'干満潮時には潮流が激し-'航行が困難となる難所であ った。(後略)」と見える。歌枕の「大島」は以上に見る通り周防 の国の大島を指すものである。 ﹃河海抄﹄ に「ふな人もたれをこふとかおはしまのうらかを しげにこゑのきこゆる 大嶋 筑前国也 鐘御崎近辺也」と注 記されて以来、玉章の巻の大島に関しては'現在に至るまでの 諸注釈書・事典・辞典が悉く右の﹃河海抄﹄ の説を踏襲して来
- 30 -2 たのは'何故であろうか。われわれには奇異に感じられる。筆 者は'上に考察したところに基いて'玉輩の巻の「大島」を' 歌枕の 「大島」 'すなわち周防国の大島と解するものである。周 防の大島は、淡路島・小豆島に次ぐ瀬戸内海第三の広い地積を 持つ。従って航行する何人の目にもとまり易い。しかも'﹃大日 本地名辞書﹄の説明から想像できるように'優雅を稜線を長-延いた美しい島である。四辺の海上には'付属する二十余の小 島が散在して'それぞれに'白砂青松の岸に打ち寄せる白波が 大和絵に見るようを景観を展開し'内海切っての名勝の海域を 形づ-る。(現在は瀬戸内海国立公園に指定されている。) 航路図 を参照すると'小弐の娘達は麻里布の浦を漕ぎ出て沖合からこ ( 注 6 ) の光景を眺めやって'「おもしろき所々」を二十日余の海路の旅 で随分見て釆たが'周防の大島の風景のおもしろさには、眼も 心も奪われる思がして'夕顔の君にも見せた-なったのが誘因 となり'唱和に至ったのだと考えられる。﹃河海抄﹄以来諸書が' 歌枕の「大島」を玉蔓の巻の小弐娘の唱和の場に結びつけなか ったのは'航路にあたる大島の鳴門の難所のイメージが先入主 となっていたのが原因であろうか。しかし'三代集の時代には' 「大島」は次のようを証歌を持っている。 かな よみびとしらず (﹃後撰集﹄) 3 さ を が ら も つ ら き 心 は お は し ま の な る と を た て し ほ ど の わ びしさ (﹃一条摂政集﹄) また﹃源氏物語﹄ と同時代の歌人の詠には 4 お は し ま や と わ た る 船 の か ぢ ま く ら お つ る し づ -に ぬ れ つ つぞゆ- (﹃大弐高遠集﹄) 5 こ よ だ に も か よ は ん こ と は お は し ま や い か に な る と の 浦 と かは見し (﹃和泉式部集﹄) 1-5すべて恋の歌である。主眼は難所のイメージを詠んだも のではない。恋をまだ知らぬ十歳前後の小弐娘達が'幻影に描 いて涙し憧れる対象は'優しい女君と都であった。二人の唱和 の場として「歌枕の大島」の美しい海景とそののどやかを雰囲 気は'不似合ではなさそうに思われる。 1 おはしまに水をはこびしはや船のはや-も人にあひみてし がな 朝綱 (﹃後撰集﹄・﹃古今六帖﹄) 人しれずおもふ心はおはしまのなるとはなしになげ-ころ ﹃河海抄﹄ の示す筑前国の大島も航路にあたる。これは外洋 である。瀬戸内の多鳥海々域の眺望は'平安時代の京育ちの少 女たちの感覚には'異境として映ったであろうが'優雅で馴染 み易いものであった。玄海は彼女らにとって正し-「人の国」 である。内海で見馴れていた色とは異る海の青'白波の波長の 長いうねりは'いかに好天を選んだとしても'「二人さし向ひて」 和歌を唱和する心の余裕を与えて-れまい。一行の大人たちも いよいよ西海道に入ったという実感を味ったに違いない。対岸 は鐘の御崎'筑紫の本土である。上陸地点博多津が間近に迫る
31 -心慌しさと船の横揺れとの交錯した'現実的を緊迫感は'冒頭 に掲げた原文から感じるのどやかな時・空や浪漫的を雰囲気と は'どう見ても不一致である。「源氏物語﹄ の作者は'実際に筑 前に行ったことはないが、家集に親しい友が筑紫に下ったこと を記している。玄海灘の鮮烈をイメージは体験しなくても'外 洋の感じのおおよそは察知していたことと思われる。絵巻物の 一場面のようを、娘たちの海上唱和の舞台として'作者が玄海 灘の「大島」よりも'優雅を内海の「大島」 を選定したと考え る方が自然ではをかろうか。
四 玉章の巻の「大島」と歌枕
かく言ったからとて'結論を出すに当って筆者は地理的事実 を 最 優 先 に 尊 重 し よ う と 思 う も の で は な い 。 玉 章 の 巻 の 「大島」にあっては'最も重要を問題は'それが歌枕だという点 にあると筆者は考える。以下にそのことを述べたい。 「歌枕の大島」 の持っている因子を数えると次のようにをる であろう。 - 山陽道の西端に近い'京から遠く隔った辺郡に位置する。 2 目的地である西海道(九州) に踏み入れる前の、境界に 位置している。 3 絵画的をのどかを景勝の地である。 4 恋 歌 に 詠 ま れ て い て ' 知 名 で あ る 。 5 行 -手 に 航 行 の 難 所 と し て 古 く か ら 和 歌 に 詠 ま れ て き た'「大島の鳴門」を抱えている。 篠原昭二氏は「特定の土地が物語の舞台として求められる 理由は何かと.いう問題は、具体的には'それらが物語におい ていかなる役割を果しているかという問題に置き換えてよいだ ( 注 7 ) ろう。」と云われる。冒頭に引いた'小式の娘達の船中唱和の 場面に'ここに掲げた 「大島」の持っている諸因子が果してい る役割を見ると' ( 注 8 ) 侶 安曇以西は'﹃延書式﹄ に遠国とされている。太宰府に赴 -航路では'周防は本土の最果てである。在京の時分には 知らなかった海'その浪枕の生活が久しく続いている。親 たちには'半面では心の弾む昇任の旅であるが'娘たちの 娘細を神経は流離の感傷に堪えられなくなる。大島はそう いう地点にある。 ㈲ 見知らぬ辺土筑紫に入る前の、境界の地点で'娘たちは、 京に居る (と彼女らは信じていたい)恋しい女主人にも都 にも'いよいよ手が届かを-なる世界に入るのだと思うと、 自分は都人だと一層痛切に思い知る。丁度その時'・.舟 子達の唄が聞えてくる、望郷の唄だ。という仕組である。都 人に特殊を心象をもたらす「境界」が'適切に利いている。 畑 前 文 に 「 お も し ろ き 所 ど こ ろ を 見 つ つ 」 と あ る 。 京 の 人 の知らない島々や半島の美景が'異郷の長閑を時・空と'る ⊆¥⊇ ノ思、 味 を 局 て〇落 い守し た)て 夕 は 顔 を ら 杏 - 32 -流離の人の切迫した感情とを美的に統一して'絵画的を場 面を構成する。 ㈲ 恋歌のイメージを背景に持つことにより'娘達の都恋し しさ女君恋しさの思いが'限りなく切実に感じられる。 ㈲ 娘たちは'行-手に 「鳴門」 の難所が待つことを聞かさ れていをいのかも知れない。未知の危険が潜んでいること が'この唱和の場面の浪漫的を味わいを一層深くする。 われわれは更に'この旧∼制が玉宴物語の全体に加えてい いであろう。この個所は'これまで噂 の女兄が'はじめて物語の表面に登場す 旧 夕顔の巻との連繋。 ㈲ 継 子 姫 の 流 浪 ( a u 配 型 。 制 運命的を漂泊が続きそうを不安感。 玉輩物語を構成する主要を因子が'出揃っているのを読み取 る こ と が で き る 。 し か も ' そ こ に は 「 歌 枕 大 島 」 の 持 つ 旧 ∼ 制 の因子が'実に効果的に作用しているのに気がつ-。旧-制は すでに見たところであるが'蛇足を加えると おはしまに水をはこびしはや船のはやくも人にあひみてし が を 大島やとわたる船のかぢまくらおつるしづくにぬれつつぞ ゆ く これらの和歌を思い浮べつつ小弐の娘の唱和の場面を読む時' われわれは心の核心に'異郷に流浪する幼い人たちの'夕顔の 君恋し'京恋しの思念が'直接に伝わってくるのをおぼえる。 日常言語では表せない、散文では描き出せない登場入場の感情 が'和歌だからこそ'またその場所が歌枕だからこそ伝達でき るのである。篠原昭二氏は「場の持つ景気が物語にとって小道 具的な彩にとどまるのでを-'人間が場と深く相関することで そこに固有の姿を現出するという認識は源氏物語が切り開いた 思想であると言ってもよT-J.。)と云われる。土地の持つ固有のイ メージに表現を受け持たせる和歌の技法=「歌枕」を使って' 旅する人物の心象を形成Lt またこれを表現する手法-これは ﹃源氏物語﹄が開発した表現技術:KJと云ってもよいであろう。 われわれが'冒頭の本文中に見出したものは'実に'この方法 で あ る 。 こ れ に よ っ て も 「 大 島 」 は 「 歌 枕 の 大 島 」 を お い て 他 にをいことを'作者自身が鮮やかに立証しているのを'われわ れは目にすることができる。
10 - 33 -]輩物語を構成する主要を因子が'出揃/ノているのを讃 と か 以上に見てきたところによって'筆者は玉章の巻の 「大島」 を'歌枕の「大島」 'すなわち'周防国大島郡(現在は山口県大 島郡) であると判断するものである。 3 4 5 6 引用本文は﹃日本古典文学全集﹄本に拠る。 「玉津島」個は﹃古今集﹄九二一'読人しらず。に'「志珂」 餌は﹃重之集﹄五に証歌を持つ。 「都府棲鹿看瓦色 観音寺只聴鐘声」(﹃菅家後草﹄不出門)。 玉上琢輔編別納鮒T7 校訂﹃紫明抄・河海抄﹄に拠る。 池田亀鑑編﹃源氏物語事典﹄上巻「大江殿」の項 ﹃延書式﹄主計上に「安聾詣討四 海路十八日周防 行程上十九 長門詣丁望月海路廿三日」とある. 日 下 十 日 「洛外の風土にも物語の舞台を求めたのはなぜか」(「国文学」 昭55・5) ﹃延書式﹄民部上に「山陽道(略)安曇国 周防国 長門国 右為遠国」 と見える。 青木・夕顔両巻。前者では頭中将の話'後者では右近の話に 出 る 。 三谷邦明「玉葦十帖の方法-玉葦の流離あるいは叙述と人物 造型の構造(﹃論集中古文学﹄一) 7に同じ。