IRUCAA@TDC : 歯頸部露出象牙質に関する超微構造的および元素分析的研究
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(2) 295. 床 著. 歯頚部露出象牙質に関する走微構造的および 元素分析的研究* 坂 井 剛 東京歯科大学組織学講座 (指導:見明 清教授). (1991年11月11日受理). Ultrastructural and Elemental-analysis Studies of Cervical Exposed Dentm Takeshi Sakai Department of Histology, Tokyo Dental College (Director : Prof. Kiyoshi Miake). ft. m. されるⅩ線透過度の低い高石灰化層とみられる薄層の存. ヒトの歯冠象牙質は人体組織中で最も硬いほうろう質. 在することが知られている。このような歯質表層の高石. によって被われ,口腔内で受ける種々の刺激から保護さ. 灰化層は上述のような象牙賛表層のみならずほうろう質. れているo しかし高弁者の歯牙では,物理的也傷を蒙る. 商蝕の場合でも観察されている24)25)象牙覚における高. ものが多く,特に切端部の唆耗および歯頚部の磨耗に. 石灰化層の発現由来については田熊ら26)が,アパタイト. よってそれぞれ象牙薯を露出させていることが肉眼的に. ペレットを用いた実験敵地において,同様な高石灰化層. もしばしば観察されるト11)。これらの歯頭部における霧. の発現を認めており,これと同様な現象が象牙質脱灰の. 出した象牙賛(以下露出象牙葉と称す)は,口腔からの刺. 結果,軟化象牙薯へ再石灰化を生じさせたものと述べて. 激に対する防御反応として象牙嬰の歯髄柚こ第二象牙薯. いる。. を形成する.この第二象牙薯の部分には不透明象牙質お. 一方,露出象牙質においては,一条ら17)は,磨耗部の. よび透明象牙質が出現し,象牙細管に石灰塩の沈着をも. 透明象牙質の管周象牙覚は,通常の象牙宴のそれに比べ. たらし,一種の保護層を形成することはよく知られてい. て酸による溶解が容易で,石灰化がさらに進んでいると. る3-5)8)12-14)。このような透明象牙質についてはその象牙. いう報吾を行い,露出によって象牙編管周因の象牙質基. 細管に二次的石灰化が生じることが電子顔微鏡(以下電. 賛(管周象牙賛)までも二次的変化を来していることを示. 顕と称す)による研究結果から知られ1),針状結晶や大. 唆している。また一方では,露出象牙薯の最表層には,. きな板状または六面体の結晶の沈着がみられるとの報吾. マイクロラジオグラムで,歯離虫病巣の際に現れる像に似. がある5)7)14-17)また一種の保-&層ともいうべき象牙賛. たⅩ線透過度の低い薄層を実際に観察することが多く. 層の形成は,商亜象牙覚の場合にもしばしば観察され14). 4),離蝕病巣と同様な二次的変化を来すものと想像され ている。これらの露出象牙質についての研究は象牙細管. 15)ia-23)さらに深い斬首に現れる幅広い脱灰層の最表面 に,マイクロラジオグラム(以下CMRと称す)で観察. *本論文の要旨は第20回歯科基礎医学会総会(昭和53年 9月24日,岐阜)および第244回東京歯科大学学会(平成3 年11月10日,千葉)において発表した。. に関するものが多いのに対して3)5)7〉8)14-16)象牙綿管周 囲基質の柳田構造,殊に露出層における最表層の高石灰 化層については電顕レベルで検索した報吾がほとんどみ られない。さらに,これらの露出象牙質の最表層にみら 21 -.
(3) 296. 坂井:歯頚部露出象牙質の超放構造と元素分布について. れる高石灰化層が一種の保護層として形成されるもので あるならば,いかなる機序によって形成されるものかを 検討する必要がある。そこで今回,露出象牙質の義表層 基質の微纏構造変化と,その発現機序の実態を解析する ため,ブラッシング操作が主な因子となって形成された と考えられると卜歯牙の歯糞部にみられる襖状欠損部分 を対象とし,同時に,実験的にブラッシングを象牙質面 に作用させ,あたかもと卜歯牙歯璽部に生じたいわゆる. 図1義歯(下顎第-大臼歯郭)の頑側に固定した象 牙質小I蝣. 磨耗象牙質を作製し,それらの最表層の題額構造および 局在元素の分析を行い,両者の比較観察を試みた。すな わち,象牙賛小片を埋設した義歯をとトの口腔内に装. (いわゆる一本義歯)の頑細面部に図1のごとく, 4個の. 着,象牙質小片の表面に一定期間ブラッシング操作を施. 象牙薯小片の表面が露出するように即重レジンで固定し. した後,その表面の光学頑微鏡(以下光顕と称す)および. た。この義歯を下顎左側第一大Ej歯欠損以外には特に口. 電顕観察,さらに分析電子顔微鏡(以下分析電顕と称す). 腔疾患のみられない33才女性の口腔内に装着し,これら. による観察を行い,襖状欠也に伴った露出象牙質におけ. の象牙質小片を口腔環境に一定期間暴露させた。この義. る二次的高石灰化または脱灰現象の発現の如何ならびに. 歯は実験的スケジュールに従い口腔より取り出した後,. 両者の関連性につき明らかにすべく実験的検索を試みた. 同一人(上述の33才女性本人)が中央より近心側に建設し. ので,それらの結果をここに報吾する。. た象牙賛小片の2個に対して,通常の手圧をもって1冒 1回就寝前に硬さMのバトラー社製歯ブラシを用い,毛 先が象牙薯小片表面に直角に軽く当たるように位置づけ. 材料および方法 研究材料として,換状欠損による露出象牙質がみられ. しながら, 1秒間1往復の条件で15往復のブラッシング. るとトの歯牙と,ヒトの抜去歯牙から象牙賛小片を切り. (ブラッシング群:実験群)を施した。その他の遠心側の. 出し,局部義歯に埋設し,その義歯をヒトの口腔内に装. 2個の象牙薯小片は無処理(非ブラッシング群:対照群). 着してその象牙嚢中片面にブラッシングを施したものを. のままとした。このブラッシング実験期間は1過, 2. 実験的磨耗象牙質として,これらの両者を検索対象試料. 過, 4過, 6週, 8週とし,それぞれの週例経過毎に象. とした。. 牙質小片を新しいものと交換埋没した。各週例の象牙賛. 1)研究材料. 小片(実験群2個,対照群2個)はブラッシング終了直後. a)歯糞部梗状欠損部象牙嬰の観察について. に義歯より取り外し,置ちにa)と同様にKarnovsky液. 歯周疾患などにより抜去された肉眼的には斬蝕が認め. で1週間固定後,日月空内に言出した面に直交する方向で. られないとトの歯牙で歯糞部に換状欠損により露出象牙. 厚さ約80^mの均一な研磨切片を作成した。なお,被験. 質がみられる40-70才の上・下顎前歯および小臼歯の合. 者は実験期間中通常の食事を摂取し 1 B 3回食後に2. 計55本を用いた。歯牙は抜去後産ちに, 4%パラホルム. 分間上述の義歯部分を除いてブラッシングによる口腔清. アルデヒド固定液もしくはKarnovsky液にて約1週間. 掃を行った。. 固定後,硬組織薄切機を用いて歯糞部杖状欠損を含む唇. 2)観察方法. ・頑舌的縦断方向に切り出し,これより -100〃mの 厚さの均一な研磨標本を作成したo さらに,比較観察の. a)光顕およびCMRによる観察. ために,歯糞郭に肉眼的に初斯象牙薯廟地の発現してる. 歯頚部梗状欠櫨部象牙質研磨切片および実験的磨耗象 牙質小片研磨切片をスライドガラス上に薫留水で封入. 歯牙2本(小臼歯)を観察試料とし,同様の処理を行っ. し,光顕写貢撮影を行ったo その後自然乾燥させ,. た。. Softex-CMR特塑(二次電圧15kV,二次電流15mA, X線. b)実験的磨耗象牙薯の観察について. 照射時間15分)またはSoftex-CMR型(二次電圧7kV,. 38才男性より抜去した蘭蝕の全く認められない左側お. 二次電流3mA, X線照射時間30分)でマイクロラジオ. よび右側の上顎第三大臼歯計2本の歯冠部象牙質より,. グラムを撮影した。フイルムはKodak649-0を使用. 幅約1 mm,長さ約3 mmの象牙賛小片合計40個を切り. し, D-19現像液で20-C, 5分間の現像を行った後,撮. 出し,下顎左側第-大臼歯欠接のための可撤性局部義歯. 影したマイクロラジオグラムはそれぞれバルサムで封入. 一22 -.
(4) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992). 297. 表2 EDSの分析条件. し,光顕観察に供した。 b)波長分散型Ⅹ線マイクロアナライザー(WDS)に. 加速電圧. 100 kV. 照射電流. 2 ×1( T 9A. および象牙質小片研磨片を両面テープでアクリル板に接. エネルギ} スケ} ル. 10 ekV. 着し,カーボン蒸着を施し分析試料とした.分析は露出. スペクトル取り込み時間. 100 秒. よる元素濃度の分析 マイクロラジオグラム撮影後の上述の各歯牙研磨切片. 象牙薯の表面に対して直角方向に表層から内層(深部)に 向かって約500〃mの範囲で線分析を行い,分析線上での. 行った。算出にはCliff-Lorimerのk-factorによる方. 元素濃度の比較定量を行った.分析は日立Ⅹ∼560型微. 法を用いた27)。分析条件は表2に示した。 k-factor算. 小部走査Ⅹ線分析装置に付属のWD Sを用い,分析条件. 出のための標準試料としては-イドロキシアパタイト. は表1に示した。分析結果の記録には多ペンレコーダを. (Sigma社)の薄切片を用いた。また,分析試料および. 用い,記録紙の1cmが試料の50〃mに相当するように試. 標準試料は電子線が完全に透過すると思われる150nm. 料とレコーダの送りを設定した。分析中は常に試料電流. 以下の厚さとした。. を記録し,コンタミネーションおよび試料の凹凸のため. 結 果. 電流値が著しく変動するものは分析試料から除外した。 C)透過型電子東微鏡(透過電顕)による趨微構造の観察. 1)歯糞部漢状欠損部象牙薯について. 超微構造の観察にはWD Sで分析後の歯頚部換状欠損. 磨耗により歯頚部に象牙薯の露出を来した欠抜歯を光. 部象牙質研磨切片および実験的磨耗象牙質小片研磨切片. 顕観察し,その欠損部の形状により,次の二種枝に区分. のそれぞれより分析部位を含んだ象牙質小片を切り出. した。すなわち,象牙聾の欠櫨の深さが歯牙表面から象. し,アセトンで脱水した後,適法に従ってエポキシ樹脂. 牙寛厚さの約1/3-1/4程度と比較的浅く,その形状が. に包埋した。ダイヤモンドナイフを用いたウルトラミク. 皿状で曲面を宣するもの(図2a, b)と,象牙質欠抗が深. ▼. ロトーム(LKB-! 型)で露出表面に直交する方向に. く鋭角であり,歯牙表面から象牙賛厚さの約1/3-3/4. 非脱灰超薄切片を作製し,これをコロジオン膜を貼った. の深さに達し,形状がいわゆる襖状であるもの(図3a,. 銅グリッドにとりカーボン蒸着を施し,その超放構造を. b)とした。全被験歯55本のうち前者に属するものは27. 目立HU-11DおよびH-300型の透過竃顕を用いて観察. 本,後者のものは28本であった。 歯質欠損が浅く,皿状の曲面を呈する歯賛欠損部分の. した。 なお, -部の試料についてはエネルギー分散型Ⅹ線マ. 露出象牙寛の教組構造について光政観察を行ったとこ. イクロアナライザー(EDS, Kevex社: 7000型)と透過. ろ,欠損部表層には歯垢などの付着物は認められず,露. 走査像観察装置を付属した分析電顕(日立: H-700)を用. 出象牙賛直下の-部でやや透明化が認められた以外はほ. いて透過電子像による結aea形態の観察を行うと共に,同. ぼ健常部と同様な様相を呈し,いわゆる死帯(dead. -部位に対してE D Sを用いて構成元素の定性分析を行. tract)も認められなかった(図2a)。この部のマイクロ. い,さらにCaとP元素の相対濃度(Ca/P)の算出を. ラジオグラムではⅩ線透過度は周囲および深層の象牙質. 表1 WDSの分析条件. れなかった。次いで,これらの試料につきWDSにより. と同程度であり(図2b),二次的変化はほとんど認めら Ca, P, Mg, F元素について露出面に対して直角に鼻表. 分析元素 Ca Mg. 層より約500〃m内層(深層)まで線分析を行い,それらの. 加速電圧(kV) 20 20 20 20. 比較定量を行った.その結果,いずれの元素も分析線上. 吸収電流bA) 0. 03 0. 03 0. 10 0. 10. の元素濃度はほぼ一定で,露出最表層と深層の健常部に. Ⅹ 線 Ca-ka P-ka Ug-ka F-ka 波 長 (A) 3.359 6.158 9. 18.32. おける象牙質とは,その構成元素濃度がほぼ同様であっ た(図2c, d)。さらにこれらの部位につき分析電顕に. 分 光 轄II PET*1 PET RAP*2 RAP. ょって結晶形態の観察を行ったところ,露出最表層には. 時 定 数 0.5. 約0. 2pmの幅で結晶密度の高い層が観察された(図2 e, 矢印)。この結晶密度の高い層では屡廃線経などの有機. Pentaerythritol 2Rubidium Acid Phthalate. 性の基薯は観察されず,そこに局在する結晶は主として 23.
(5) 坂井:歯糞部露出象牙寛の超放構造と元素分布について. 図2 :歯糞部にJn状の浅い歯質欠損の認められた歯牙(育, 50才) a:研磨標本の光顕像×200 b:CMRの光顕像×200 c:Ca, P 元素のWDSによる線 分析結果 d :Mg,F元素のWDSによる線分析結果 e :表層の透過電顔像 f :叢表層の拡 大像o矢印は最表層に見られる多角形の結hb g :多角形の結晶のEI)Sによる分析結果 h : 健常部の透過電顕像i :健常部のEDSによる分析結果 24.
(6) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992). 図3 :歯璽部に襖状の歯質欠櫨の認められた歯牙(甘, 62才) a I.研磨標本の光顕像×200 矢印:歯垢とおもわれる付着物 b蝣CMRの光蚕像×200 矢印:Ⅹ 線透過度の低い薄層が鼻表層に認められる部位 矢じり:脱灰が内層に向かって進行しているとおもわ れる部位 C :Ca,P元素のWI)Sによる線分析結果 d :Mg,F元素のWDSによる線分析結果 e :表層の透過電顕像 f :最表層の拡大像 g :鼻表層のEDSによる分析結果 h :表層直下の結 晶密度の低い部位の拡大像i :表層直下の結晶密度の低い部位のEI)Sによる分析結果 一25-.
(7) 坂井:歯蟹部露出象牙質の超微構造と元素分布について. ×200 矢印: Ⅹ線透過度の低い再石灰化層. 最長径が約50nmの多角形を呈するものであった(図 Ⅹ線透過度の高い厘域の垂産(深部)方向への広がりは 2f,矢印)。この層の内柚こ接する層の結晶はほとんど 200jtttnを越えることはなかった0-方,このようなⅩ線 針状を室し,幅約20nm,長さ約IOOnmであって(図2. 透過度の低い薄層が表層に全く存在せず,表層よりゆる. I),それより深部の健常部(幅IOnm,長さIOOnm :. やかな脱灰が歯薯内部に向かって進行しているとおもわ. 図2h)のものより幅が大であった。これらの部位につき れる像も観察された(図3b,矢じり)0 EDSで分析を行ったところ,鼻表層の多角形の結 に 表層にⅩ線透過度の低い層が見られる部位をWDSで はMg, P, Cl, Ca元素のエネルギーピークが確認さ. 表層より内層に向かって構成元素の分析を行ったとこ. れ, CaノPは工69であった(図2g)。また,それより深 ろ,表層のⅩ線透過度の低い薄層部分ではCa,P,Mg 部の健常部象牙薯のCa/Pは1.66であった(図2 i)。以 元素濃度はそれより深層の健常部象牙宴とほぼ同程度の 上のような浅い皿状の歯寛欠損を有する歯牙で,その欠 濃度を呈しているのに対して,その置下のⅩ線透過度の 損部の露出象牙薯表層の性状が上述のような所見を呈す 高い亀城では両元素の濃度は低下していた(図3c,d)。 るものは,約60%(27例中16本)且い出された。 しかしながら,F元素の濃度はこのⅩ線透過度の低い薄 一方,歯賛欠損が深くて鋭角を呈するいわゆる襖状欠 層部分では内層の健常部よりもわずかながら高かった 損部分の露出象牙質表層の教組構造につき光顔観察を. が,この薄層の直下の脱灰層とみられる部位での低下は. 行ったところ,前述の皿状欠損の場合と比べ,著しい差 ほとんど観察されなかった(図3d)。このようなCa,P, 異は認められなかった。すなわち,この郭位では透明象 MgおよびF元素濃度の分布状況からみて,最表層の薄 牙賛,不透明象牙賛,死帯などの二次的変化像は観察さ. 層は再石灰化層であるものと推察することができた。次. れず,表層下の健常部象牙質の放綿構造と一見煮似した. いで,透過電顕を用いてこれらの部分の超放構造を詳糸田. 所見を呈していた。しかしながら,この部の露出表面に は歯垢と思われる付着物(図3a,矢印)がしばしば認め. に観察したところ,最表層部分には約l-2^mの幅で結. られ,しかもこの露出象牙賛最表層には, Ⅹ線透過度の. の低い領域の局在が観察された(図3e)<義表層の結晶. 低い薄層(図3b,矢印)の存在がマイクロラジオグラム. 密度の高い層では,結E3 BHの大きさは幅20-30nm,長さ 約IOOnmで,それより深部の健常部(幅IOnm,長さ100. によって観察された。さらにこのⅩ線透過度の低い薄層 の直下には, Ⅹ線透過度のやや高い領域が不定の深さま で存在しているのがしばしば認められた(図3b)。この. 晶密度の高い薄層が存在し,さらにその下層に結晶密度. nm)のものと比較すると幅は2-3倍であった(図3 f)。さらにこの層の置下の結晶密度の低 26.
(8) 歯科学報 Vol.. I, No. 2 (1992). 301. い層においては結晶の幅が約20nm,長さが約IOOnmで. ど変化がみとめられなかったが(図6a, b), 4過経過す. あり,健常部のものと比較して幅は約2倍であった(図. ると象牙質表層部に明らかに脱灰された微小区域が散在. 3h)。また,これらの幅広い結BHBの構成元素についてE D. して観察された(図6d,矢印)。さらに6週および8過. Sにより定性分析を行ったところ, Mg,P,Cl,Caの. 経過すると幅広い脱灰層とみられる層が象牙薯表層より. 各元素の存在が確認された。またCa/Pは1.69であっ. 内方に向かって出現していた(図6f,h)。しかしながら. た(図3g)。同様に表層下の脱灰層とみられる部分の元. この場合,時には脱灰層の表層に再石灰化層の形成を恩. 素分析を行ったところ, Ca/Pは1.68の値を示した(図. わせるⅩ線透過性のやや低い薄層の出現がマイクロラジ. 3 i)c 以上のような深い梗状の歯質欠損部象牙質におい. オグラムによって認められた(図6f,矢印)。. ては,被験歯の約80%(28例中22本)がこのような性状を. b) WDSによる元素濃度分析所見 実験的磨耗象牙賛小片に対するブラッシング群では. 示した。 一方,歯蟹郭に浅い輪状商地が明らかに発現した部分. 1 -4週例のいずれにおいてもその表層象牙質における. (図4)につき前述と同様に光顕・マイクロラジオグラム による放綿構造観察を行ったところ,商蝕部位には脱灰. ca, P, Mg, F元素濃度は深層の健常部のものとほぼ同 一であった(図7)。しかしながら6過以後ではCa, P,. 層を示す領域が存在し,しかもその最表層には再石灰化. Mg元素濃度は健常部と同程度であるのに対して, F元. した薄層が部分的に存在することが認められた(図4b,. 素は露出表層において健常部よりわずかに高濃度を示し. 矢印)。この歯糞部離蝕象牙質にみられた脱灰層および. た(図8)。また8週例のうちにはわずかながらⅩ線透過. 再石灰化層の幅は前述の梗状欠損部象牙宴のものよりも. 度の高い中庸域が表層部にみられたが(図5h,矢印),. かなり広く,また脱灰層における脱灰程度は一般的にい. 脱灰の行われたとみられるこの小領域においては, Caっ. われている象牙質離蝕の場合と棄似してかなり強く,し. p元素濃度は健常部より低かった(図9)。さらに,それ. かもこの場合の歯離虫部分は上述の襖状欠損露出象牙賛表. より表層に向ってはCa, P元素濃度が健常部より低い. 層下脱灰層のものより明らかに強いものとみられた。な. が,脱灰層よりも若干高い濃度の薄層が小範園に存在す. お,最表層に現れた再石灰化層が深層の健常部よりもか. るのが認められ,この部のF元素濃度は健常部と比較し てかなり高かった(図9)。また,脱灰層においてはMg. なり高い石灰化度を呈することも推測された。 2)実験的磨耗象牙質小片について. 元素濃度が健常部の約50%に低下しているという特異的. a)光顕およびマイクロラジオグラム観察所見. な性状を示した(図9)。. -本義歯の頑側面部に固定した象牙質小片にブラッシ. 非ブラッシング群においては1-2週例で象牙賛表層. ングを施したブラッシング群の光顕観察では, 1-8過. のCa, P, Mg, F元素濃度は深層の健常部のものとほ. 群のすべての象牙質小片表層部には,図5に示す如く歯. ぼ同様の分布を示すことが知られた(図10)。 4過例では. 梶,その他の付着物の沈着がほとんど認められなかっ. Ⅹ線透過度のわずかに高い中庸域が散在的に認められた. たo また前述の条件下で1週, 2週, 4週, 6週間暴露. が(図6d,矢印),この部位におけるCa, P元素濃度は. させた後の象牙賛小片は,縦断,斜断または横断された. 健常部のそれらと比較してわずかに低下しているが,そ. 象牙細管により構成され,表層ならびにそれより下層に. の表層部に健常部と同程度の濃度のCa, P元素を含有. おいて特異的な形態変化は認められなかった(図5a∼. する薄層が存在するのが観察された(図Ia この最表層. f)。さらに最長実験期間の8過経過の場合でも小片の象. のMg元素濃度は健常部のそれより明らかに低下して. 牙質表面は縦走・斜走する象牙細管の密集によって構成. いるのに対して, F元素濃度は深層の健常部よりもわず. され,微細構造上の変化は-見したところ,ほとんどみ. かではあるが明らかに濃度上昇を来していた(図11)。 6. られなかったが(図5g),表層より内側に向かって極め. 週および8週例で幅広い脱灰層と共に最表層に極めて幅. て浅く脱灰された部分が少室発窮している様相がマイク. の狭いⅩ線透過度の低い層が観察された試料(図6 f)に. ロラジオグラム(図5h,矢印)によって認められた。. っいて分析を行ったところ,最表層のCa, P元素濃度. 一方,ブラッシングを行わなかった非ブラッシング群 の象牙質小片では,ほとんどの場合の象牙質表面に明ら. は深部の健常部象牙質部分よりかなり低下しているが, その直下のCa, P元素濃度の低下した幅広い脱灰層よ. かな歯垢の沈着がみられた(図6)。この場合, 1過およ. りもわずかに高かった(図12)。 Ca, P元素濃度はそれ. び2週間経過例では光顕およびマイクロラジオグラム観. より内方に向かうに従い漸次,上昇がみられ,健常部の. 察において,象牙宴表層部の放綿構造についてははとん. 元素濃度に次第に近づくのがみられた。このⅩ線透過度. ー27.
(9) 坂井:歯頚部露出象牙質の趨微構造と元素分布について. 図5 :ブラッシング群の研磨標本の光顕像およびCMR像×800 a, b:2過 C, d:4週 e, f:6週 蝣, h:8週 矢印:Ⅹ線透過度がわずかに高い小領域. 28.
(10) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992). 図6 :非ブラッシング群の研磨標本の光顕像およびCMR像×800 a, b:2週 c, d:4週 矢印:Ⅹ線透過度がわずかに高い小魔域 e, f:6過 矢印:最表層の 再石灰化層 g, h:8過. 29 -.
(11) 304 坂井 蓬 芸 a t ∴ 読 }. A ." Xl" > .X+ Xif b n XlD Pll^ kA Z t>. ぎ. ∴ S † m A前. 亘. + + + + 芸^ ヨ i I.L I 蛋 H 五 十. = + C. lAXA Y ^ 莞Y 曇. ㌻ 「 .∴ ; ⊆ + A尋. i/>. l>. l> 繭 ; + ;. {義 毎 矧 %. 義. デ ヨ L>* l" <V …. Y.押 .詩 想. ^ U. i. Yl}ネ } I". ; 二 ラ. I." 十. BB +. ∴〕 ∴ 義. と. 手 >+慧. ∴ ii. PX S lH. L> 嘉. ・. ∴ 窪. ++. i ……′を 雲. ; L> 1. = S f繭. % ". I. {∴. =. ら f. 霜i 票 i. k L/ ++ + =. >. # { ポ . X. ." } l/ l/ + ++ + <掃 み せ {i} I+ I/ I I -' :". +HI. ^ <憲U 膏 ま. J} ∴ ‡. 鮒 ガご コ < ." + Yd Lt f". { Xiご. まま. ++ ぢ l"+ ++ + S L/ }< Fflこ せ $ + + + I gg l" $ Llh + + B < lX lPL^ {^ よ `坤P"長ガ 期 Rl}ま l} l> Y lm Y l" M J 一. <. q< : I. ・ォI w 補 lY>+ IX} / " 二十 : ; ! " ヅ 涌こ l/ : t r iy< ++ l!. 「 「I 「. "} a; 聖 Y h< 均 l>H tl YBW } + + + N盃tl k ヨ +ノ 描 窯 蔽. hPX 、L"J 血コ, f* 塗 }LA ^ThX 壁 , ガ ご ニ} お、 { ft<< N 担 準 X 憲 ; - i - 4 + + + + + + 楯{ W 票霊 > 雲^ 憲 H <y i&. A e+ <n芸 萎. }i. 辛. R. ラ- ノ ー # L> > ソ ノ += q { X. 1 W LI ft { PW 乞 l" 芸 症 " iL" ++. 歯璽部露出象牙質の趨放構造と元素分布について. つ. n ^ A I1. i. 男. tLl∼4. X< ゼ W2{ LX 牽ト A , 〃u Y LY} ギ ヨさ{ 埋 , 撮 ++ + ++. ゾ kA lX< . ′B 哩 .H l>査Y 酢 ∼+ + +. 篇 ;}、 ' !" '' 蝣[ ・I R Y fhl と 報} X< PX< 擁 l> }< ダご X< < " P Z N 掠 y . I A /* * ' a ¥ iL J . , !-" + 盟 L> l> >J∼": ++ nXlEJ1 X + + 霜+ a * 蝣: t 蝣 サ ^ { 転 簸 + +++ + W U ′㌫< 辛 %l>TS Y/l> 衝 く55 > デ Z S ^ 載禁 ヨ お 警念 抑 { + + + + 黒く -I ' か, : : . . [ : 蝣 H {l> 激 冊 LJ 革 l/繭 二一 +A+ A +{l} 票 > 5 瓦 V遠 + サ 十 ㍉ ++ + i" V導 扇 L{ く 簸 {l" 5&た 戴 + + + +M 冠 相ノ { Xiミ 壷 、十 +守 ;i r . - U ㌃ 宣 ∴ ふ埋 . 聯 票 辛 + + + 猟 + + <* 豊 : │- - : l tl∼ 脚 lL/ {n B > fX l>} i." 転 ギ } さ 疫 < m { 痴ニ埋 .X+く {fニ n L/ 棚 ∴ 十 + + 戎 < " *ぺ. ゑ " 哩 + + ++ + l>X YA L,、 YA "I/. b N {鑑 ≡ " .X< IX ぬ甥 期 l> .W ぢ l>} 票票u 誓^ fH X ll/j D . D I + + + + ; + = ^ L} 子 マl> 芸 ろニ l> ノ一一{一一 >l YSく + + K <戴 + + + ++ ++ } yA曾 } fh Y 亘 盤 X{ + +++ ++++= ^ < セ + + ++ め ++ + + 頻 〃X 闇 よ AlX B N 、 mS; 套 ガ2ニ ガ ご t だ y * キ l"棉 ++ ま と だ ^W " # IX + + まご コ b lX も ノ ノ ^ XL XTb^ 伝 LⅢのごW 警 XP" # Y 黍 B l>N Yf ^ま E R; ++ ソ 〃ナ ㍉ま. + lD. ++ i". 坊. t lX E. ∴. ∵5. + せ く 尋 $ …>^ 萎i i. +P. I ∫. lX i Y >. ボ. i. 図9 ブラッシング群8過のWDSによる線分析結果 - 30.
(12) 歯科学報 VoL 92, No. 2 (1992) 嘉. h l> 3 } {l> ′XlD ln ‡ 芸‡. 慧 蔓. ガ ご ∋ 雲蓬 < ^ まホU 世 I" 血 涼 憲{ 窪 , + =≡ Y 巻 … + 五. 義T 曇. 霊. { 抗 >^ a ㍉ }+ ∴ (69 捗義. 曇讐. 莞 { I/ < が 芸 >涌. +++ j +. ++. + ". }ま. nt 蓬. 伝 i 篭、 {義 一 > Yt} {lY i {Z X } よ+ ++ + ." { "ら *} l l" お BI" i套 ++ + <# 帯 働 }m B l慧}U雲 む 鋤 Z ヴ ++ + ++ + く +慧 雲 竃 + + A >望 + + } 83 kX 、 + +++ + ^ ン ; a Y き V + + . コ + n { ↓∴ 射 n i: + : + /i}. l>^< i - + 一イ > +.Y++ /} # l/ + +つ や ノ 〃. 慧 蔓. ++ …. + を V W +. さ 菱ン覧. ・ I:. ? 辛 >l} LV u } lX つ L" ^ 詞 ∴ つ. 一 蝣・. 二 二. 震. 二 千千. i. R X< l ・ : を ご Pl" た } V - "NT ∴ + 辛. .. 糞. 薫. ++ +. + S + +. I蝣 J. I. + +. i,*{ < 緋 >l n I"Y 辞. 尋. ++++ + 鐙. +. +. ^. 、 崖. ++. 義. l>$. +. X. IX. + +. ++. 錘 ∃=. 註. Xl>. + + f t. I. e. 達 ¢Z YN を }< >% < 憲^J 葵 等茎 } 流 ‡W < ま / 響 + = { iS * < #l> {ま 千 + 害 巨 + 二∴ 「 << 辛 Wご i 髪蔓 J lX> " ま 慧 + 遠 票 l雄 つ ∵ 已 } +P>} +Vln + 等 鋤 = <頃 n i { nI/} iLX ljX 票雲脚 ケ ノ 冊 + 鐙 怒‡ " n l} タ tt l" i Xl" I/ {n "} 短 A;} lYE ま , 雲 <‡ 二十 ∴ ++}f {IX< k l> lDl ま % }菱 妄 慧U l訂 票 還 妄 .Il/ l討 慧 XTl 慧 …莞 {ljX + + + ≡. ^蚕 + + はモ さ{ .Xl> e J + ++ 辛 " まP"} +: + + + ま 票 ま票 * *+ + i Lst . ま モG ま + >琶 + + + Pd ケル 藷書 ニ 崇 ; 涌W HP>担 ^i哩 ㍗ +「 { l" > 一 < e + + ∴ 十 二 手∴ + + + 頼 P 経 雲 …慧 + P XB + : .{+ だ }O{ 準 u l> i { W - .ン { 聖 ;Xl> {." だゴ } e} + ," fA ^蒸^ ^ ++ + げ 桝 田 + + 浩 擢 た血 "+ ラ {l+>l + ." W + + + {l" .m 義 .訂 l> I l + + + IX , m + + + + ft l> I" l> & } ; + + + a く P" ヨ l> I" a A. l> X fW ++ + + t ln> 親 + +: 潮融 ne 軍 lX< k 芸者 警竺 ・i J. 〃 E* {. ++. +. i i + i/ ち. V E. く <l" ヴ + +. 準. ま≠ {69 } { ++ +. …j -㍉. ;. 藷. {l} Z {‡ { ・ I 窯} 萎 葱 饗. 菱 窪. i* をご 義 が. :. l .. i ・. ま {X L転. 義 萎. ‡ }. 担 絹. 妄. +. +. 窪. d. g. ノ ン y A 霊菜yH " き{l> 1‡. 慧>f }. 窒. … = … ZAl i. ll/ V… 69{ 慈 霊 . 1 .JJh L∼jTl窯 W 妄Y W N N 票. 蛋 +巨 千. 奉 {ぢ ^輔. ぎ ;}. > l> lY. 雲. i G. 二. 3. +. 誓} 憂. + 票. 菱窪. {. + + …瑚. 雲i l/ チ l> ギ お u lil/ i lPX l> tl> <X< 匡 Y l> ガ." で = ー く A f6 * <ギ 5 チ n ル l> .慧岩 鼻 謎 IX { .メ. i ≡. i. l>. 図10 非ブラッシング群2過のWDSによる線分析結果 ∈. 還. P ヰ. l}甥 サソシfl}. i. l>* e H j + +. hX. 甥 那 l> 十. X 宣 藤 言. 竃 + ラ. +蕊. ft ヨ. ま ‡ + +. 捕 ギ > $ 、‡ 達窯 +4H+ +j. ;<r+. 義みン一 ノレン + +1 才 4 8H f房 ≠ +辛 極. + } r. m顛 皿 ガごコ ^義. 短. 票. 、. 拙 /. ∴. 蛋. ノノ + + 垂 戒. 千. lTX. a. +. +. 千 Xせ. X{LX<. l>$ +. +. +. ヨL/ 蛋. >l& ,ど. 臓 芦寒 雲;憲. "T. 漂 撫. 憲. +. + + i n. +. 磁 極. N で. +. i. ++. +. + ++. 蝣i. I. ++ + 塗 ^琶 }. ++. ノ. V .. B jX 毎 + + ソノ +. 前 +. +玩 I. 二. ゼミ{. + + ,XB. Z. {. liyh 短. 海 i. メ. 義. 血 +. ン. + 千 + メ.. +. 瑚 . ノー. +. ホ ち + i. +. +. + +. l> 千. ノン. ′ノ 匡. W}I コ ご. ま {l> ガ ま l>} L な ン ら挙 i. 雲. 賢. + + +. 玩 ノノ. 義. 誉. {. f l} ま i .X <. < *} iE ' &. jまAl"コ lll∼. + J:. とが示唆された(図12)。 CaっP元素濃度の低下した脱. c)透過電顕による超散構造の変化 ブラッシング群の1-8過のすべてで磨耗象牙質小片. よりむしろ高濃度を示していた(図12)。 -方, Ⅹ線透過. の表層の構造はいずれも牽似しており,最表層には結H BH 密度の低い薄層が認められ,この薄層は,厚い場合でも. 度の高い薄層が認められない表層の脱灰層とみられる. 0.5^mであった(図14a,c,e,図15a)cこの結晶密度. (図6h)部位においては,表層のCa, P元素濃度は低. の低い層は幅20-30nm,長さ約IOOnmの針状結晶と,. く,それより内層に向かうに従ってわずかに上昇しなが. 30-50nmの多角形の結晶より構成されていた(図14. ら健常部へと移行しているのがみられた(図13)。このよ. b,df,図15b)。それより深層の健常部はおおむね. うな表層ではMg元素はほとんど検出されなかった. 幅約IOnm,長さ約IOOnmの針状結晶より構成されてい. が, F元素は最表層においてのみ極めてわずかながら-. た(図2h)。また試料の-郭で表層直下に結BB密度の低. 層存在し,それより内層と健常部の間ではほとんど検出. い領域が出現するのが認められた(図14b)が,この部位 -. ++ " .X. , ') :<蝣. W X y/. されなかった(図13)c. -31. をニ. + + 嶺 l> W H * じ ガご + + ン ノ .. 慮 PX. の低い薄層部位はいわゆる再石灰化層を形成しているこ. な所見を示したが,さらにこの部分ではF元素が健常部. 燕. * < # まごま ID. 群4週のWDSによる線分析結果. 灰層ではMg元素はほとんど検出されないという特徴的. l> l} " + l}. Il l. + + +. ^Tb +. 哩. + + ′ +ノ 票. 叶`. ′. +. 管. 義. h. ピ. ′′ノ +. '蝣i. V. 千. b. *. + Z. Eが< fA ご} 醒 < P. ㌻. X. VJi + ノノ ー X*、 } g 菊 n JX. i. *. +. +. ++ #. モI,. ギ. +. f. + 五. >X<. 、衝 +. 型 >l} が f 補 辛 鼎 t 戟 9 L>Tm ' ・ ; :W .. ∴. ; 義 "^ X 前 X>. + + ++ ノア tケ l> 輿 ^憲. .3. +. u A /I } >. 慈 X f X* L/ ". 膏*. +. + + ++ + 慈. 辛. 二. r L* V E{ ソル +. 輿. J}房 義. h h{ 箪 R X 捕 ++ + + + N 砺 巧 くJ構j. Y. i. + + + + Y 響 $/*. ㍗.
(13) 306. 坂井:歯蟹部露出象牙費の趣致構造と元素分布について. の結晶は幅約20nmの多角形の結晶であった。この結晶. (図16d)c 非ブラッシング群の6過以降の場合,マイク. 密度の低い層が出場するのはごく一部の試料に限られ,. ロラジオグラムにより表層にⅩ線透過度の低い薄層がみ. その出場部位は表層下300-500nmの範囲に限られてい た。. の高い層がみられ,この層の直下に結。Ha密度の低い層が. -方,非ブラッシング群の1-2週では鼻表層の構造. 認められた。また霧出面の付着物中にも結 構造物が認. はブラッシング群との差異はほとんど認められず,表層. められた(図16e)<鼻表層の結晶密度の高い層と付着物. られる試料(図6 f)では,鼻表層に約).5jwmの結晶密度. にわずかに結晶密度の低い層が観察された(図16 a ,b)c. 中の結晶は同一形態をとり,幅約20nm,長さ約IOOnm. 4週では最表層にやや結晶密度の低い幅300-400nmの. の針状結晶であった(図16 f )。結BH密度の低い部位では. 棲域が認められ,それより内層の結晶密度は健常部と同. 幅20-30nm,長さ30-50nmの多角形の結晶により構. 程度であった(図16c)。この部位を詳細に観察すると結. 成されていた(図16g)< また義表層でⅩ線透過度の低い. 晶密度の低い部位の鼻外側すなわち露出最表層に幅 10-20nm,長さ約100nmの結晶が認められた. 薄層がみられない試料(図6h)では,最表層で結晶密度. -32. が最も低く,内層に向かうにつれて結晶密度は上昇して.
(14) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992). {r. =. 藤. パ u. 男P". 3. 義. た. き. i ら W <E Y t… IXl>. l. +. J/. 導 } 箪. + + + } ギ t l} C<A>. + *. l> ≡. ;. せ ま. l" ‡. 巨. l}. ∈. l‡. +、. ま 屈 n と. H締 甑. l". I" +). ソつ. + く. ‡. き V t‡. i. l/A. ーノ. >5g iは. どヅ l/^} ‡ ヅ. ;. { .. e. ∈. 雲. Vi. 崇 Xl". …. お. n m. n N l> <fX > B iP" PLVPy. ^ ∴. Y/+. + ∴. レ:. n+. 崇 ". V. 警. +. 辛. j. !.l>. ‡. 曇. 鐙. 等. 偶 ソノ 賑 *. + 蘭 I" .Lh. ぎ. :. ' +. :". X>. 甥. + +. ++ メ 義 + eHン. 響. 顛 埴. W n. 普. Z ノノ 与. 蛋. ( t摺. 憲. 辛 YT. 冨 ‡;. 5* l> # 斬. +. .. K{ * {R. W ^. ソソ. H j 華 て +. + + r/ { H C. 油 牙 + 悲. 。 ン. 城 豊 ラ. B. + &. チ 管. 屯 亜. 黛. 一 +. L{ 露 ,^ 豊. 義. 哩. +. 榔. 郡. :'. 頻. i. +. ロ 莞. 千. +. 害悪. +. 遠 *. 恵 .ふ く}. i 堀. 鮎 <. 芸. A ごL{ 遠 V. + + h丑 XlD メ.. u F^ ". + + 拳 All W .メ. 董. { 慧. ;. 伝. Y S l> ン 甥 3. 班 ノ ン. + XjB. +. +. 麗 尊. ソケ 旬. 肯. ヨ さく. eX <. 髄 オ. 潔. +. . P>. m. 液 + ノノ 還 V. 朔. } n V ち. ∵. 崇. nt< } + 斬 <. ^ 亘 潮. 華 千. + + 達 lh * l>N RVまV ま奉 ≧. 〕 窒. 〃M .ニ ヰ 十 { 「. く. }…. 導 董 FX 壁. 蟹. NPX強. 二. t + < 巨 婆. } ま. か。. m I/ 二. P". ま. l狐. Vl}. 尋. B. ま. ∈. ≡,ま. lE∃. ソは .ソ らシ 善 ま 蔓. 讐. ,X<. +. ;}. 輔. tボ怨 ∃. + h 善. + I.D. 窒. 塗. ;: 茸 lh. S. 芸. 票 >. +^ 蛋 ^ 達. LP ぬこ . ノノ Xl>u L" + ++ お. ttfA. <;. i ≡}. ‡ 雲. 薫. + X/ t. " l". ま〃. 藁. 307. と. ^ { L>. +. + { e B. B B 辛 知. 闇 猫. +. + ル. l". …誉 <、鍵 i,. l> t t. tl>. 霊. ll∼. i 達. XlX. l. lD ーX. %" m. + こ. + i. <} f lK/ t n t I/ メ.. I t 一. Yr t<PY l> l} il>t l} > L{l∼ { 義. ぢ キ ト 竃 <fX 、 PJ. IX. =+. +. + H { 薫. + +. ★. 埠. ごみ. +. ; 義. m. V ,. Y LHく. み城 +. iX< さl> +. + l". + ^ $ ノh. 蒸. 一. + 霊. {l/N i VY j. l /. y. 守 , i. Xめど +ソ+ン. F. 議. まXl>. 普 了. 坤. 置 デ. E. M. 二. 砺 %. 一. +. + +. +. NV. 竃. +. I. ノ ン. HY }. + +. さ. 図13 非ブラッシング群8過のWDSによる線分析結果 いた(図17a)。結H BB密度の低い脱灰層は幅約20nm,義 さ約IOOnmの針状結B BBと大きさ30-50nmの多角形の結 晶より構成されていた(図17b)c. 症と診断されることは臨床的および病理学的に知られて いるO しかしながら,これら歯薯の被状欠演によって霧 出した象牙質が知覚過敏の症状をほとんど項わさずに, かなり長期間口腔内の物理的・化学的刺激にさらされ,. *3^ ブラッシングや種々の機械的外来刺激が原因となって. 特にブラッシング操作による歯薯の磨耗を受けながらそ. 歯糞部歯賛が磨耗し,象牙薯が口腔内に露出すること. 抜髄処置やさらに悪化して抜歯されてしまうこともな. は,臨床上しばしば観察される現象であり,歯薯削除の. く,食 の摂取に当たっていることも事実である。そこ. 肉眼的形状から漢状欠損と呼んでいる。この楳状欠損は. でこのような経緯を経て楳状に霧出した象牙覚(露出象. 口腔清掃時のスクラブ法・横磨き法により惹起されやす. 牙薯)は如何なる組織構造を保有しているのか,殊に健. く,歯根部の斬蝕症と共に多くの関心が寄せられてい. 常部象牙薯との相異・変化の有無について検索すること. るO,さらに歯根部に露出した象牙寛面は口腔の種々な刺. は基礎学的には勿論のこと,臨床的にも甚だ重要なこと. 激に対して時には激烈な捧痛を惹起し,歯糞部知覚過敏. と考える。著者はこれらの点を解明するため,主として. の状態を保持しており,直ちに重篤な歯髄炎を惹起して. 33-.
(15) 坂井:歯頚部露出象牙質の超微構造と元素分布について. 図14 :ブラッシング群の透過電顕像 a: 2過の表層 b : 2週の鼻表層の拡大像 C : 4過の表層 d: 4週の最表層の拡大像 e : 6週の表層 f : 6過の最表層の拡大像. 34.
(16) 図15 ブラッシング群の透過電画像 a : 8週の表層 b : 8過の最表層下の拡大像 歯頚部に襖状およびこれに類似の形状の歯賛欠演を有す. 確認された。しかし,これは部位や欠損の状態により巽. るヒトの歯牙腰状欠抜歯)を求め,これらの欠損部位を. なった所見を皇し,高石灰化層の下層に脱灰層を持つ場. 光顕・電顕的に検索する一方,これとは別に,ヒトの新. 合と,高石灰化層も脱灰層も認められない場合に区分さ. 鮮な象牙酎\片を作製し,それを義歯に固定し口腔内に. れた。欠損部が浅く,皿状の曲面を呈する場合の大多数. 期間を定めて装着させ,通常の金品を摂取しながらこれ. は後者の高石灰化層も脱灰層も認められない場合であっ. らの表面にブラッシング操作を施すという歯覚に対する. たが,欠損部の形状が鋭角で深い場合には大多数が脱灰. -種の擬似的磨耗を来す実験を行い,それらの表層の組. 層を伴った高石灰化層が最表層に存在し, -般的にみら. 織学的変化を光顧および電由で観察し,両者の結果を総. れる初期の象牙賛商蝕像と類似の所見を示していたoこ. 合的に比較検討を行ったoさらに同様部位に明らかに顧. のような表層部での組織像の相異は,磨耗部位や欠損状. 触象牙薯の出現が認められる場合のその部の表層構造を. 態の差異による露出表面の口腔内暴露条件の相異によっ. 同様に観察し,これらと比較検討を行った。. て生ずるものと考えられるo石井ら28)はほうろう寛を用. a)歯蟹部襖状欠損郭象牙薯について. いて,脱灰による再石灰化実験をマイクロラジグラムの. 歯頚翻酎犬欠櫨部象牙薯の研磨標本を光顕観察する. 所見により経目的に観察を行っている。その結果,まず. と,歯ブラシによる清掃作用により,象牙質が口腔内に. 表層に一層の脱灰層が生じ・次いで最表層にはⅩ線透過. 露出しているのにも関わらず,明らかな透明象牙質や不. 度の低い層(高石灰化層)が出現し,その厚さは次第に増. 透明象牙宴の形成は認められなかった。これは嘆耗下切. すが,さらに脱灰を続けると,脱灰液の急激な流入によ. 端部の露出象牙嚢に高頻度に不透明象牙賛帯や透明象牙. り表面の薄層が機械的に剥酢再び表面に均-な脱灰項. 薯帯が出現するものとは明らかに異なっている。また・. 象が生じ,続いて同様なメカニズムによって再石灰化が. これまでの歯聖書腰状欠損部の象牙質では象牙細管中に. 開始することを報害している。この報吾は歯質がほうろ. 石灰沈着がみられるという報吾5)7)とは-致しないが・. ぅ薯と象牙質という相異はあるが,露出象牙質表層の部. 種々の換状欠払部の割断面を走査電顕を用いて観察した ところ,欠損部の形状とは無関係にほとんどの象牙細管. 位や欠損の状態によるマイクロラジオグラム所見の相異 について華掴するのに有意義な示唆を与えている。ブ. は閉鎖されず,しかも細管内には細胞繋突起が存在した. ラッシング操作によって歯費の磨耗を来たし,口腔に露. と報害しているZurcherら11)の所見と一致しているo マイクロラジオグラムによると,いわゆる露出象牙賛. 出した後短時間経過の象牙寛においては,表層に脱灰は. 黍表層にはⅩ線透過度の低い層(高石灰化層)がしばしば. さないであろうし,これに対し象牙薯の露出後充分にブ. 生じても高石灰化層は出現せず,著明な生態的変化を示. -35 -.
(17) 坂井:歯蟹部露出象牙質の超放構造と元素分布について. 図16 :非ブラッシング群の透過電顕像 a: 2過の表層 b : 2過の最表層の拡大像 C : 4週の表層 d: 4週の義表層の拡大像 e : 6週の表層 f : 6過の最表層の拡大像 g : 6過の表層下の結晶密度の低い部位の拡大像. 36 -.
(18) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992). 図17 非ブラッシング群の透過電顔像 a : 8週の表層 b : 8週の表層下の結。ea密度の低い部位の拡大像. ラッシングがなされず表面に歯垢などが付着している場. を低下させる効果をもち,アパタイト結晶の形成の開始. 合は,脱灰と共に再石灰化が生じ,表層に再石灰化層を. と進行に対し促進的に作用すると考えられている。索賀. もつことが考えられる。そしてこの再石灰化実験結果か. 25)はほうろう質斬蝕の際, F元素は再石灰化を促し脱灰. ら考案すると,再びブラッシングによって表層再石灰化. に対する抵抗性を高めると述べている。象牙葉蘭蝕の際. 層が機械的に取り除かれた時には,再び石灰化が始ま. にみられる高石灰化層のF元素についても,萩原22)は,. り,表層に再石灰化層が出現するものと考えることが出. ほうろう質舶蝕と同様に口腔から供給されたF元素がそ. 来る。すなわち換状欠損部の露出象牙薯表層では,磨耗. の部位を再石灰化へと導き,高石灰化層を形成すると述. と脱灰と再石灰化現象が交互に生じ,その霧出面がいか. べている。このような所見から露出象牙賛表層のF元素. なる状態にあるかによってマイクロラジオグラムの所見. の局在は,露出によって脱灰された象牙質茎葉へ口腔内. が決定されるものと考えられる。. のF元素が倭人し,再石灰化を促して表層石灰化層が形. .露出象牙嬰のWD Sによる分析結果では,表層に高石. 成されたことを示唆するものと考えられる。 高石灰化層,脱灰層にみられるアパタイト結晶に庄冒. 灰化層を持つ場合,ほとんどの例においてその表層に F元素の局在が認められ,象牙質歯離虫の表層と同様の傾. してみると,荻原22)は歯離虫病巣中の結BHは本来の象牙質. 向を示している.ほうろう薯では一般に表層がF元素濃. 結晶の2-3倍の大きさを示し,このような大型の結晶. 度が高く24)29)ほうろう質離蝕の表層高石灰化層におい. の出≠鋸まF元素によりひき起された30)と言われており,. てもF元素の著しい上昇を示すことが報害されており,. このためF元素を高濃度に含む再石灰化部では,大きな. この場合口腔内の唾液等に含まれたF元素が取り込まれ. 結晶形成がなされるものと考えられる。今回観察した露. たと考えられている24)。 F元素はハイドロキシアパタイ. 出象牙賛表層においても再石灰化層と脱灰層に,本来の. トに取り込まれることによって結。H度を高め,酸溶解性. 結晶の約2倍に相当する幅20-40nmの大型の結晶と 37.
(19) 312. 坂井:歯栗部露出象牙薯の超衡構造と元素分布について. 20-50nmの多角形の結晶の分布がみられたが,これも. 述べている。今回の所見においても深い脱灰層をもった. F元素による再石灰化のため出現したものと考えられ. 蘭蝕の試料では,象牙賛表層に高石灰化層の存在が確認. る。またこれらの大聖の結晶は高石灰化層の最表層にお. され,そこにCa,P元素以外にF元素のピークを認. いて,その長軸を表面に直角に分布する傾向を示した. め,荻原と全く同じ結果が待られている。また荻原は電. が,これは特に最表層においてのみ見られることから,. 子線回折の結果から再石灰化部の細い結晶はハイドロキ. 脱灰によってほとんどの基質線経が破壊され,その上に. シアパタイトであると述べている。しかし今回のⅩ線分. 再び結晶形成がなされたため線経とは無関係に配列し,. 析の結果から大型結晶のCa/P値からみると,その理. 再石灰化した結果石灰化層が生じたものと示唆された。. 論値1.67よりやや高い値を示す傾向がみられた。このハ. -方,Mg元素は脱灰層ではほとんど検出されず,表層. イドロキシアパタイトよりもP元素のカウント数が少な. の高石灰化層が存在する場合,そこにMg元素の局在が. いという結果には,二つの原図が考えられる。一つは-. 認められた。これはMg元素はアパタイト結晶の表面に. イドロキシアパタイトの一部のP0,-が他のイオンと. 存在することが知られており31)脱灰層は結晶密度が低. 置換したためと考えられる。交換されるイオンとして考. い層であることからMg元素濃度が減少し,WDSの検. えられるのはNeuman31らの所見からするとCO。. 出限界を越えたため検出されないものと思われた。-. とクエン酸があげられるが,結中に援大してPO,. 方,表層の再石灰化層では結晶密度は健常部と同等か,. と置き変わるのはCO,であることから,歯や骨の構. あるいは高いにもかかわらずMg元素濃度が低下してい. 成要素の-つでもある炭酸アパタイトの存在が考えられ. たが,この部位では結B BHのサイズが大きく,総括的にみ て結全体の表面積が少ないためMg元素付着部位が少. るo炭酸アパタイトはハイドロキシアパタイトに比べ,. なくなりMg元素濃度が低下したものと考えられる。. については分析を行わなかったが,荻原22)は商独象牙賛. ところで,これらの大型結晶は定量分析の結果,. 表層にNa元素の局在がみられると報吾している。この. Ca/Pが4.69で,ハイドロキシアパタイトの理論. ことからも表層高石灰化層に,-イドロキシアパタイ. 値1.67よりやや高い値をとっているが,歯薯を構成する. トと共に炭酸アパタイトの混在が考えられる。しかし. リン酸カルシウム(例えばリン酸オクタカルシウム. CO,とF元素とは逆の作用33)っまりアパタイト結. Ca/P-l.ブルシャイトCa/P-1.0,モネタイト. BHHの成長を阻害し,溶解度を増大させると言われてお. Ca/P-l.0,ウィトロカイトCa/P-l.5)の中では-イ. り,この機能と再石灰化との関連を考えると,炭酸アパ. ドロキシアパタイトに鼻も近似しており,その結形態. タイトの存在にも疑問点があり,断定するにはさらに検. が柱状であるものと恩われるEDSでは,F元素以下. 索が必要であろう.高いCa/P値のもう一つの原因に. の軽元素については,その機構上分析することが出来な. は,ハイドロキシアパタイトのP元素が分析の際に電子. い。従って高石灰化層の大型の結晶内にF元素の存在を. 線の熱により押し出されてP元素のカウント数が低下し. 確認することは出来ないが,おそらくここに分布するア. たとも考えられる。このような電子線也傷は元素の結合. パタイト結の中には,その結晶化にF元素が関与して. がヨ飢\場合に起こりやすいことが知られており34)これ. いる可能性が強いことから考えて,ハイドロキシアパタ. が高いCa/P値を示す原因となるものであるなら,再. イト以外にフッ化アパタイトが多く含まれていると思わ れる。また商蝕と同様の機構によって再石灰化が行われ. 石灰化層のアパタイト結a BHは通常のそれよりも結合の弱 いものが多いと考えられる。しかしいずれの原因にせよ. たものと考えるならば,Ca/Pの値から炭酸アパタイト. Ⅹ線分析の結果は再石灰化層では安定したハイドロキシ. を含む可能性もあり,この再石灰化層にみられるアパタ. アパタイトではなく,不安定なアパタイト結晶を多く含. イトは結合が,g射\ことが考えられる。. むことが示唆されたものといえよう。. 象牙質窮地については古くより多くの報吾があり14)15). b)実験的磨耗象牙質小片について. ia-20)特に春原21)はマイクロラジオグラムにより,ヒト. 襖状欠退部象牙質ではその露出表面の状況によって,. 象牙繋商宅蜘こおいて脱灰寛象の他に二次的石灰化寛象が. 象牙質表層の石灰化状態が異なることが明らかにされた. 起こることを報吾し,さらに荻原はⅩ線マイクロアナラ. が,具体的にいかなる条件下でどのような像を示すかは. イザー,電顔および電子線回折によって検索し,再石灰 化郭にF,Na元素の局在を認め,この部位は対照と比. 欠損部の位置,形状による推察にとどまっている。そこ. べてはるかに大きなアパタイト結晶で構成されていると. 比較して考察を試みた。再石灰化実験については,はう. Na元素の含量が高いと言われている32)今回,Na元素. で条件を設定した磨耗実験を行って,そこに現れる像を. oh-.
(20) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992) ろう賛35-39)象牙質26)40-42)またはアパタイトペレット26). 313. されるためにえられた結果と考えられる。また脱灰層を. を用いたinvivoあるいはinvitroの実験が多数みられ. ほとんど認めない部位において,その表層に再石灰化を. るが,これらは酸により一旦歯薯を脱灰し,その後口腔. 患わせるF元素濃度の上昇がみられることから,ブラッ. 内あるいは石灰化溶液中に置いて再石灰化について検索. シングにより脱灰塊象はほとんど進まず,再石灰化が進. したもので,顧蝕脱灰後の再石灰化の検索を目的とした. 行したものと考えられる。これらの所見について非ブ. ものである。しかし今回のブラッシング実験においては. ラッシング群では厚い歯垢をもち,深層への脱灰が続き. 無処理の象牙賛小片を用いたが,象牙薯を口腔内環境に. 幅の広い脱灰層を発fjL それにともなって,再石灰化現. 露出することによって通常の象牙葉蘭蝕と同様に,脱灰. 象も強く現れ,幅広い再石灰化層が出現するものと考え. 層と再石灰化層とが出現することが確かめられた。口腔. られる。. 内にそのまま放置した非ブラッシング群の場合には,. 以上実験的磨耗象牙薯小片の観察所見と前述した歯糞. 1, 2週では微綿構造上にほとんど変化が認められない. 部換状欠櫨部象牙質の表層構造との比較検討を行ったと. が, 4週後では表層石灰化層と直下の脱灰層の出現が電. ころ,前述の如く,歯頚部に生ずる襖状欠損に伴う露出. 鼻貢観察で確認された.これらの2層は過を迫って幅広く. 象牙質部分の光顕および電薗所見から,表層構造および. 明瞭になり 過経過すると,表層下の幅広い脱灰. 表層下象牙寛の教組構造変化が欠損部分の形状や深さに. 層の出現をみた。この結果から,露出象牙薯表層は脱灰. より異なることが示された。さらにそれらの徴綿構造の. により再石灰化が4じ,脱灰と再石灰化が交互に起こり. 変化が歯垢の沈着・象牙質商蝕の発動伏況の如何により. ながら進行するであろうと考えられる。田熊ら26)は,象. 局在する結晶の大きさ,形および結晶構成元素の相異に. 牙質片をpH4またはpH5の酢酸緩衡液中に置き, 6. より表層高石灰化層あるいは脱灰層の形成をもたらすこ. -8日で再石灰化層が出場したと報害しているo しかし. とが明らかにされた。すなわち,浅い楳状欠抜歯では象. 象牙薯小片を口腔内に装着した今回の実験では,ブラッ. 牙質の霧出面およびその直下層においてもほとんど微細. シングを行わずにそのまま放置すれば1週後には歯垢は. 構造変化を示さない,すなわち高石灰化層および脱灰層. 付着しているが, 6過後ではじめてマイクロラジオグラ. の存在もみない例が多数あった。これらの状況は実験的. ムで認められるような表層石灰化層が出現し,連続脱灰. 磨耗象牙質の表層構造の変化においてブラッシング露出. される人工商蝕の形成の条件下とは相当に翼なることが. 1, 2週に戴似し,露出時間の比較的短い条件下にある. 認められた。象牙質の露出商をブラッシングした場合. ため,未だ脱灰も再石灰化もきたしていない状態がもた. は,そのまま放置した場合と異なり,光顔観察ではほと. らされたものと考えられる。しかしながら比較的深い襖. んど歯垢の付着は認められないものの, Ⅹ線分析や竃顕. 状欠損を示す象牙質の場合には,欠損の深さと発現部位. 所見においては6過頃より歯塩付着が認められており,. の相異により高石灰化層と脱灰層を示す部位がみられ,. ブラッシングを行っても長時間露出したものでは,歯垢. これらの場合はいずれも歯垢の付着が多く認められた。. の付着する可能性が高いことが示された。また脱灰化層. その状況は磨耗象牙賛実験の非ブラッシング群の6-8. や再石灰層の出現時報は,非ブラッシング群ではマイク. 過に楽似するようにみられ,長時間にわたる歯垢付着と. ロラジオグラム, Ⅹ線分析で約4過頃から出場し,徐々. 除去作用との交互バランスの結果生ずるものと思考され. にその幅は広がる傾向を示した。ブラッシング群では6. る。. 過, 8週でも脱灰層の出現が認められない場合が多かっ 籍 諭. たが,一部の試料に脱灰層が確認された例が認められ た。これはブラッシング実施の全体的な状態の相異によ. ブラッシングなどの磨耗によって露出した象牙聾が観. るものであろうと考えられる。すなわち全体的に考慮す. 察される梗状欠櫨部象牙薯を対象として,その象牙質表. るならば, 1日1回前述の如くブラッシングを行ったも. 層を光顔,マイクロ'5ジオグラム, Ⅹ線マイクロアナラ. のでは,同じ過例の非ブラッシング群と比べて,脱灰層. イザー,透過電顕を用いて検索した。さらに実験的に象. がほとんど認められず,またたとえ確認された場合でも. 牙賛小片を口腔内環境に暴露させ,ブラッシングによる. その幅が狭く,小範囲に限局して出現する傾向が示され. 表面の刷撮の有無による象牙質表層の変化を1 - 8週に. た。これはブラッシングによる象牙質表面の歯垢除去と. わたり経目的に観察し,歯栗部襖状欠指部象牙質表層に. 歯質の微室な磨耗による霧出面の更新とが歯質表面にお. 見られる構造との比較検討を行った結果,以下の成績を. ける脱灰現象の発現・進行に要する時間より早期に惹起. 待た。. -39.
(21) 坂井:歯頚部露出象牙寛の超微構造と元素分布について. 314. ①歯肇部襖状欠損部のいわゆる露出象牙寛表層の放綿 構造は,欠損部の形状が浅く曲面を呈している場合には ほとんど変化が見られなかった。それらの表層象牙寛で. 稿を終えるにあたり,ご指導とご校閲を賜った組織学教室見 明 活主任教授ならびに山田まりえ助教授に感謝し,また種々 のご協力を下された上松博子講師,森口美津子講師,平山明彦 助手に謹んで深謝いたします.. は,Ca,P,Mg,F元素濃度も健常部とほぼ同一であ り,構成する結晶は主として針状結a BBであり,健常部象 牙質と同様の形態を呈した。ただし,鼻表層の薄層には 針状結晶に混在して多角形を示す結E3が認められた。 ②欠損部の形状が深く杖状を呈する場合には脱灰層が 譜められ,その表層に再石灰化層を伴うものが観察され たoこれらの微糸田構造は概して歯暫部象牙賛商蝕のそれ とはヾ同様であったが,両層ともその幅は離蝕の場合よ りも極めて狭いものが多かった。Ca。P,Mg元素濃度 は脱灰層で低下していた。F元素濃度は義表層の再石灰 化層では健常部と同程度と高いが,脱灰層では低下して いた。 ③実験的象牙賛磨寺毛実験では,表面での継続的ブラッ シングにより,斬蝕病変へ移行することは抑制され,義 薗構造には光顕およびマイクロラジオグラムの観察結果 からはほとんど変化がなかったWDS分析の結果, Ca,P,Mg元素濃度は全実験期問を通じて表層部と健 常部ではほぼ同一レベルにあったが,F元素は6週以降 のもので表層でわずかにその濃度が上昇していた。透過 電顕観察では,表層より約0.3iMnの範園で結BH密度のや や低い層が認められた。またわずかな限られた範園で表 層にCa,P元素濃度の低下がみられる脱灰層が観察さ れるものもあった。この脱灰層ではMg元素濃度は低 下していたが,F元素濃度は上昇していた。 非ブラッシング群では,光顕およびマイクロラジオグ ラムの観察結果から,4過以降で表層に脱灰層が出現 し,その幅は経目的に増大した。また脱灰層の外側の表 層に再石灰化層が認められるものもみられた。WDSに よると2週まではCa,P,Mg,F元素濃度は健常部と 同一であったが,4週でCa,P元素濃度の低い脱灰層 が観察され,この脱灰層の幅は経目的に増大した。また 再石灰化層のCa,P元素濃度は健常部のものより高い. 文 献 1)栃原 博(1957) :日本人歯牙の唆耗に閑する研究, 熊本医学会誌, 31(補冊4) : 607-656. 2)中西秀和(1974) :現代日本人の歯の唆耗に関する形 態学的研究,九州歯会誌 27 : 454-510. 3)見明 活(1975) :増齢に伴う歯牙の変化,臼歯評 387 : 73-. 4)見明 活(1978) :歯の局所放細構造について一老化 に対する超放綿構造的変化,歯科学報, 78 : 353-367. 5)見明 清(1979) :増齢に伴う歯牙の変化一硬組織と 歯髄について,臼歯評論, 440 : 34-44. 6) Mendis,B. R. R. N.andDarling,A. I. (1979) : Distribution with age and attrition of pentubular dentine in the crowns of human teeth, Archs. oral Biol., 24 : 131-139.. 7)枝 重夫(1980) :歯牙硬組織の増麻的変化,歯界展 望, 56: 893-903. 8)山崎喜之(1981) :高麻者の歯牙による歯冠および歯 板の硬化象牙嚢に関する電子束微鏡的研究,松本歯 学, 7 :16-49. 9)平山明彦,山田まりえ,見明 清(1986) :乳歯象牙 細管の電子項数鏡的研究,歯科学報, 86 : 1021-1031. 10) Jaenisch, V. A., Jaenisch, U. und Grahn, G. (1989) : Rasterelektronenmikroskopische Untersuchung der Oberflache keilformiger Defekte an extrahierten Z且hnen und unter in-vivo Bedmgungen, Zahn-Mund-Kieferheilkdっ77 : 549-554. ll) Zurcher, D. and Holz, J. (1990) : Lacunes cuneiformes cervicales et hypersensibilite dentmaire-etude histologique et au meb, Rev Mens Suisse Odontostomatol., 100 : 937-949. 12) Weber, D. F. (1974) : Human dentine sclerosis ; A microradiographic survey, Archs. oral Biolっ19 : 163-169. 13)森口美津子,上松博子,坂井 剛,見明 活,松井. 隆弘,東 昇平(1975) :唆耗,歯ぎん嚢および歯根透 明象牙寛の増齢的変化,歯科学報, 75 : 1870-1879. 14) Mendis,B. R.R.N. and Darling, A.I.(1979) :. ものはなかった。Mg元素濃度は脱灰層で健常部より高. A scanning electron microscope and microra-. く,特に再石灰化層で最も高かったo結晶密度は脱灰層. diographic study of closure of human coronal dentinal tubules related to occlusal attrition and. で低く,その部は多角形の結Skより構成されていたO ④歯蟹郭襖状欠損部露出象牙寛と実験的磨耗象牙賛小. caries, Archs. oral Biolっ24 : 725-733. 15) Takuma, S., Sunohara, H., Watanabe, H.,. 片の表層構造の比較検討を行った結果,浅い皿状の欠演. and Yama, K. (1969) : Some structural aspects. を示す露出象牙寛では今回の実験条件の1-2週例に類. of carious lesions in human dentin, Bull. Tokyo dent. Collっ10 : 173-181.. 似し,深い梗状の欠損を皇する象牙宴では露出時間の長 い,しかも非ブラッシング群6-8週例に戴似するもの と考えられた。 -40. 16) Tronstad, L. (1973) : Scanning electron microscopy of attrited dentinal surfaces and subjacent dentin in human teeth, Scand. J. dent. Res.,.
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(23) 坂井:歯暫部露出象牙寛の超微構造と元素分布について. 316. Takeshi Sakai : Ultrastructural and Elemental-analysis Studies of Cervical Exposed Dentin, Shikwa Gakuho, 92 : 295-317, 1992. (Department of Histology, Tokyo Dental College, Chiba 260, Japan) Key words : wedge-shaped defect-cervical exposed dentin-elemental analysis -ultrastructure. Brushing results in wedge-shaped defects in the substance of the dentinal cervical region, thus exposing part of the dentin to the oral-cavity environment. Whether surfaces exposed in this way bring about dental caries and whether degree of caries intensity increases with the passing of time remain unclear. In the hope of shedding light on these questions, the author conducted an experiment entailing brushing of fragments of normal human dentin in the oral cavity. Comparative studies were them made of the surfaces of human dentin exposed by wedge-shaped defects and of the experimentally abraded fragments. These studies included ultrastructural observations by means of light microscopy, contact microradiogram (CMR) wave dispersive X-ray spectrometer (WDS), energy dispersive X-ray spectrometer (EDS) and analytical electron microscopy and comparisons of elements contained in the fragments. Results (1) When the wedge-shaped defect exposing the surface of cervical dentin was shallow and curved, ultrastructures observed in it were about the same as those found in normal dentin. Such surface dentin was composed mainly of needle-shaped crystals, although polygonal crystals were observed in the superficial layer. Concentrations of Ca, P, Mg and F were approximately the same as those observed in normal dentin. (2) When the wedge-shaped defect was deep, however, a demineralized layer was observed below the surface layer. In some distances, remineralization had occurred in the demineralized layer. Ultrastructures in the layer were approximately the same as those in cervical-dentin caries. But both layers were narrower than those occurring in carious material. Concentrations of Ca, P and Mg were lower in the demineralized layer. Concentration of F in the remineralized zone of the superficial layer was close to normal, though it was lower in the demineralized layer. (3) Intermittent brushing tendedto restrain carious alterations in the dentin surface layer. Light microscopic and CMR observations revealed practically no changes in the surface structure. WDS analysis showed that, throughout the entire 1 to 8 weeks of the experimental period, there were no differences between the surface layer and normal dentin in terms of concentrations of Ca and P. Concentrations of F, however, increased slightly in materials older than 6 weeks. Within the limits of 0.3/zm below the surface, transmission electron microscopy revealed a layer in which crystal density was slightly low. In addition, small zones of decreased concentrations of Ca and P were observed. In these regions, concentrations of Mg were lowered, whereas F concentration rose. (4) A demineralized layer manifested itself in the surface after 4 weeks in subjects that did not brush. As was made clear by light microscopic and CMR observations, this layer widens with the passing of time. In some instances, remineralization was observed in the uppermost region of the demineralized layer. WDS analysis showed that, until 2 weeks had passed, concentrations of Ca, P, Mg and F were the same as in normal dentin. After 4 weeks, 42.
(24) 歯科学報 Vol. 92, No. 2 (1992) however, a demineralized layer with low P concentration was observed. The mineralized layer grew wider with the passing of time. No concentrations of Ca and P in the remineralized layer were lower than normal. Concentrations of Mg in the demineralized layer were higher than normal, the highest concentrations occurring in the remineralized layer. Crystal density was low in the demineralized layer, which was composed of polygonal crystals. (5) The following was learned as a result of a comparison between the surface-layer structures of cervical dentin exposed by wedge-shaped defects and experimentally abraded fragments of dentin. Dentin exposed in shallow dish-shaped defects corresponded to dentm exposed to the oral cavity for from 1 to 2 weeks under the conditions set forth in this experiment. Dentin in deep, wedge-shaped defects, on the other hand, corresponded to dentm exposed for as long as from 6 to 8 weeks without brushing.. -43. 317.
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