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中学校における「書くこと」の言語活動の指導はどうあったらよいか

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中 学 校 に お け る 「 書 く こ と 」 の

言語活動の指導はどうあったらよいか

長 江 宏 は じめ に 「書 くこ と」の指 導 に当た っては、外 国語 科 の 目標 を分析 して、具体的 な内容 を設定す るこ とが必要 であ る。 す なわ ち、 (1)外国語 を理解 し、外国語 で表現す る基 礎 的 な能 力 を養 うこ とO (2)外 国語 で積極 的に コ ミュニ ケー シ ョン を図 ろ うとす る態度 を育て るこ と。 (3) 言語や 、文化 に対す る関心 を深め、国 際理解 の基礎 を培 うこ と。 これ らの要素 を 「書 くこ と」 の領域 にお い て具体 化す るこ とであ る。 「書 くこ と」の 各学年 の 目標 は、 いわば、 発達段 階 に応 じた達成 目標 とい うこ とが で き る。 これ らを旧学 習指 導要 領 で は、「言語 活 動」、 「言語材料 」及 び 「題材」 の三つの 内容 で達 成 しよ うとい うものであ った。 新 学習指導要領 では、 内容 を (1)言語活 動 と (2) 言語材料 で構 成 してい る。 この こ とは、英語 を理解 させ 英語 で表現す る能 力や 態度 を養 うため であ る。つ ま りは、 これが学 年 目標 を達成す る もの に なるか らである。 新学 習指導要領 では、特 に言B=吾材料 を弾 力 的に扱 えるよ うに して い る。 この こ とは、言 語 活動 の質 を高め るため に、文 ・文 型 ・文法 事項 な どを柔軟 に運用 で きるよ うに した i)の であ る。 そ こで ここでは 「書 くこ と」の 言語 活動 の あ リ万 につ いて探 ってみ たい。

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書 くこ と」の言語活動の とらえ方

コ ミュニ ケー シ ョン能 力 を高め るため には、 実際 に、耳や 口、 臼、 手 な どを用 いて聞 いた り、話 した り、読 んだ リ、善 いた りす る言語 活動 が必要 であ る。 さ しあたって、 「書 くこ と」の言語活動 を行 わせ るのに 当た って、具体 的 に指導すべ き事 項 は、 さ まざま考 え られ るわけ であ る。 その 一つ一つ につ いて、 どの よ うなね らいの もと に、 どの よ うに指 導 した らよいか とい うこ と が ポ イン トに な る。 例 えば、 第

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学年 では、初 め て英語 を教科 として学習 させ るこ とか ら、 言語活動 にお い て指 導す る事 項 は、基本 的 な もの を精選 して 与 え る必要 が あ る。 もちろん、 ア ル7 7ベ ッ トをiEし く書 くこ とか ら始 まって

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な ど文 を聞 いて書 き取 るこ とへ と移行 してい く。 第2学年 では、第 1学年の基礎 の上 に立 っ て、やや進 ん だ程 度 の英語 を用 いて、 あ るま とま りのあ る数個 の文や文章 を書かせ るこ と にな る。 この場 合 、主題や 話題 の設定が大 き な課題 に なって くる。 第3学年 では、第 1学年、第 2学年の学習 の上 に、 更に、文 章 を読ん で要約 した r上 あ る主題や話題 を基礎 として、 ま とまった文章 を善 くな ど、幅広 い言語 活動 が行 われ なけれ

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ごご 清 泉女学院触期 大半研究紀要 (第12i,J・1 ば な らない。 それ では、「書 くこ と」の言語 活動 は具体 的 には どの よ うなこ となの であ ろ うか。作業 と しては、 まず、「語」、「句」か ら始 まって、や がて文 まで進め、 それが次 に、数個 の文 とな r上 あ るま とまった内容 を表 す文章が書け る よ うにす るこ とであ る。 しか し、 この 「書 くこ と」 の 言語活動 が、 円滑 に行 われ るため には、語 、 句、文 、文章 を、十分 間 いた り、話 した り、読 んだ りす る 言語活動 が大切 で、単 に 「書 くこ と」 の言語 活動 だけ ではな くて、総 合的 な言語活動 を通 して達成 させ るこ とが必要 であ ろ う。

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言語材料 の扱 い方 言語 活動 を行 うにあたっては、言語材料 を 有効 に活用す るこ とが大切 であ る。新学 習指 導要領 では、言語 材料 の扱 いは どの よ うに な ってい るの であ ろ うかO指 導計画 の作成 と内 容 の取 り扱 いの ところで、次 の よ うに述べ て い る。 「言語材料 につ いては、学 習段 階 に応 じて 平 易な ものか ら難 しい ものへ と段 階的に指導 す る とと もに、理解 の段 階 に とどめ た り表現 の段 階 まで高め た りす るな ど して効果的に指 導す るこ と。 その際、学習 の基礎 の段階 では、 簡単 な構 造 の文 、 た とえば別表1、別表3及 び別表4の文や文型の

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に示 す事 項 を主 とし て取 り上 げ、発展 の段 階 では複雑 な構造 の文 、 た とえば、文型に示すbやCの事 項 を主 とし て取 り上 げ るよ うにす るこ と」 これは、言語 材料 の弾力的 な運用 につ いて、指導計画作成 の上 か ら、配慮 す る事項 につ いてふれ た もの であ る。 「学 習段 階 に応 じて平 易 な ものか ら難 しい 弾力的 な運用 とす るこ とか で きるので、扱 い につ いては、考 え方 を示 した もの であ る。 た とえば、第1学年 であれば、アルファベ ッ ト か ら始 まって、語、語句、文 とな ってい くO この場合 、平 易な ものか ら、難 度の高 い もの へ となってい くわけであ る。 「段 階的指 導」 は、学年 に よ る発達段階 も あ るが、習熟度別の指導 を検討 す るこ とが大 切であ る。 「理解 の段 階 に とどめ た り、表現 の段 階 ま で高め た りす るな ど して効果的 に指 導す るこ と」 は、生徒 の発達段 階や 習熟度 に よって、 理解 に とどめ る もの、表現 まで させ る もの と 多様 な指導 の あ り方 を示 してい る。 「その際 ---」の部分 は、具体 的 な別表の 文 ・文 型 な どにつ いて、扱 い方 を示 した もの であ る。つ ま りaに示す事 項 を主 として取 り 上 げ、b、 Cは発達 の段 階 で取 り扱 うとして い る。

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学年 の 「書 くこ と」の言語活動 新学習指 導要領 では、第1学年の 「書 くこ と」 の言語 活動 にお いて次 の事 項 につ いて指 導す るこ とに なってい るo エ 書 くこ と 主 として次の事項 につ いて指導す るこ と。 (ア)語句や文 を正 し く書 き写す こ と。 (イ)語 句や文 を聞 いて正 しく書 き取 るこ と。 (ウ)伝 えよ うとす るこ とを簡単 な文 で書 くこ と。

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長日 .中学校 におけ る 「書 くこ と」 の言語活動 の指導 は とうあった らよいか 23 第1学年 の 「書 くこ と」の 目標 は、「初歩的 な英語 を用 いて、身近 で簡単 なこ とにつ いて 書 くこ とが で きるよ うにす る とともに、英ま吾 で書 くこ とに親 しみ、英語 で書 くこ とに対す る興 味 を育 て る」 とあ る。 この言語活動 を具体 化す るのが、 言語活動 の(7)∼(ウ)の3つ の指 導事 項 であ る。 それ では、具体 的 に指導事 項 につ いて考 え てみ よ う。 (ア)語 句や文 を正 し く書 き写す こ と。 「語 句や文 を正 し く書 き写す こ と」の指導 には、 その前段 階 として語 句及 び文 を書 き写 す こ とが で きるよ うにな っていな くては な ら ない。 つ ま り、書写 の指導が基本的 な事 項 と な る。 外 国語 を初め て学 習す る入門期 においては、 音声指導 を重視 す る観 点か ら「聞 くこ と

「話 す こ と」の言語 活動 を重点的 に行 うはず であ るが、や が て文字指導 を始め るこ とにな る。 同時 に、教科 書 を用 いて、文字 を読む こ と の指 導か ら、文 字 を書 く指導 に入 るこ とにな る。 書 くこ とが始 まる と、個 人差 に対応 した 指 導が必要 に なって くる。 したが って、書 く こ との指導 には、周到 な指 導計画 を立てて 当 た るこ とが大切 であ る。 そ こで、つ ぎの よ うな観 点か ら指導計画 を 立 て る とよい。 (1) 書 くこ とを始め る時期 を工 夫す る。 (2) 書 くこ との指導 内容 を明確 にす る。 (3) 書 くこ との指導時間 を生徒 の実態に合 わせ て設定す る。 (4) 誤 りや す い文字 を継続的に指導す る工 夫 をす る。 さて、正 し く書 き写す とい うこ とは どうい うこ とであ ろ うか。次 の よ うな こ とが 考 え ら れ る。 (1)語 または数語 をま とめ て書 き写す。

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文 を見て

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語書 き写す。 (3) 文全体 を見て書 き写す。 しか しここで留意す るこ とは、 入門期 には、 全 員の生徒 が楽 し く英語 を学 習 して いたはず であ るが、「書 くこ と」の指導 が始 まる と、生 徒 の学 力差が現 れ て くる。 その ため に、書写 の速度 も個 人差 が 出て くるよ うにな る。 した が って、習熟度 に よって、書 かせ る教 材 を準 備 す るこ とも大切 であ る。いずれ に して も「書 くこ と」 の成就感 を昧合 わせ るこ とが指 導過 程 では必要 な こ とであ る。 (イ)語句や文 を聞いて正 しく書 き写す こと。 語 句や文 を正 し く書 き写す こ とが で きるよ うに な る と次 に 「語句や文 を聞 いて正 し く書 き取 る」 こ とが、大切 な 「書 くこ と」 の指 導 とな って くる。 この こ とは音 声指 導 と大 いに かか わ りが あ る。つ ま り、現代 の標 準的 な英 語 の 発音 に慣 れ させ る指導が必要 に な って く るD これ は、 イギ リス またはア メ リカな どの 英語 を公用語 としてい る国の、教養 あ る人々 の一般 的 な発音 であ ろ う。 こ うい う人々の話 す文 の基本的 な音調 に も慣 れ させ るこ とが大 切 であ る。音声指導が十分 な され た上 で、初 め て「語句や文 を聞 いて正 し く書 き取 るこ と」 の指 導が で きるのではないだ ろ うか。 それ では、 どの よ うに指導 した らよいの で あ ろ うか。 まず、最初 の段 階 では、文 を構 成 してい る単語や語句 を書 き取 らせ るこ とか ら 始め る。 た とえば教 師が英文 を話 した とき、 その英文 を聞 いて、 その話題 に な って い る中 心 とな る語 を書 き取 らせ る。 次 に、語 句 を書

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24 清 泉 :j:学 院知期 大一半ilJf'妃紀要 (第12tl3-) き取 らせ 、や がて文全体 を聞 き取 って善 くと い う指 導 であ る。 前述 した語や語句 を書 き取 らせ るには、 ど の よ うな指導が必要 であろ うか。 まず、語 の 発 音 を十分 身につけ させ て、聞 いてわか らせ るこ とであ る。 この語 の発音 は、 オー ラルで 発 音 させ る とよ くで きるが、文字 を見せ る と なか なか正 しい発音が で きない こ とが あ る。 これ は、英語 の文字 と音声の違 い とい うか、 相 互 の関係 が、十分つかめ ていないため であ ろ う。 そ こで入 門期 の 口頭作業 を中心 とした指 導 か ら、「書 くこ と」の指導 に入 る ときに、生徒 に十分 に文字 と発音の関係 には注意 させ 、語 の綴 りと発音関係 を理解 させ 、十分 発 音で き るよ うに させ るこ とが ポイン トにな る。留意 点 を上 げてみ る と次の とう りであ る。 (1) つつ りと音声 (2)ローマ字 な どのつづ リの影響 (3)黙字の脱落 (4) 連続 したつづ り この よ うに語の発音やつづ r)を正 し く学 習 す るこ とが、や がて、文 を聞 き取 って、正 し く書 くこ とが で きるよ うに な るステ ップ であ る。 (ウ)伝 えよ うとす るこ とを簡単 な文 で書 くこ と。 「伝 え よ うとす るこ とを簡 単 な文 で書 くこ と」 とは、 どん な指導 をす るこ となのであ ろ うか。 これは、必要 な事 が らを、整理 して、 簡単 な文 で書 き表す こ とにはか な らない。 た とえば、「スポー ツにつ いて、何 で もよい か ら思 ったこ とを書 いてみ な さい」 と 「書 く こ と」 の指導 を した場合 を考 えてみ よ う。 こ の場合 、生徒 は、今 まで学 習 して きた,iJ吾、 句、 文 を用 いて、 スポー ツにつ いて、相手 に伝 わ るよ うに、書 くこ とにな る。 その場合、何 を 題材 として取 り上 げ

何 を 言い表そ うとす る のか、要素 をひ ろい出すのか、 ポ イン トにな ろ う。 しか し、書 こ うとす るこ とが、整理 され て お り、 しか も題 材 とい うか、相手 に伝 えたい 要点が、 きち っ と書 き表 され てい るか ど うか とい うこ とが大切 であ るO また気 をつけ るこ とは、 日本語 を英語 で書 き表 す場合 であ る。 したが って、基本的 な

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」 な どの文 型 と、 日本文 と の違 いにつ いて、十分 指導 してお くこ とが必 要 であ る。 更 に数個 の文 を用 いて書 き表す こ とに な るの で、 まとま りのあ る文 の書 き方 を 指導す る場合 には、事 が らの順 序 をよ くとら えて、相手 に伝 わ るよ うに書 かせ る指導 をす るこ とが欠かせ ないわけ であ る0

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学年 の 「

書 くこ と」の言語活動

第2学年の 「書 くこ と」の 言語活動 におい ては、次の事 項 につ いて指 導す るこ とになっ てい る。 エ 書 くこ と 主 として次 の事項 につ いて指 導す る。 (ア)書 こ うとす るこ とを整理 して、大 事 なこ とを落 とさない よ うに書 くこ と。 第 1学年 の 「書 くこ と」 の言語活動 との違 いは何 であ ろ うか。 第2学年 の 「書 くこと

の指導事 項 は、与 え られ た題材 をあ るいは、 自分 の思 ってい るこ とを整理 して、相手 に伝

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上主ll 小学校 におけ る 「書 くこ と」の 言口語活動 の指導 は とうあ った らよいか 25 えたい と思 うこ とを、落 とさない よ うに書 く こ とを意味 してい る。 「吾 こ うとす るこ とを整理 す る」 とい うこ とは、具体 的 には どんな こ とであ ろ うか。 こ れ は次の よ うな こ とが考 え られ る。 (1) こ く身近 な こ とにつ いて書 くこ と。 (2)与 え られ た 日本文 を英語 で書 き表す こ と。 (3) 実際 に行 ったこ とを書 き表す こ と。 この三つ の こ とを総 合 して、文 を書かせ る 場合、 どうい うところに重点 を置 いて指導 し た らよいであ ろ うか。 新 学習指 導要領 では、 言語材料 の弾力的 な 運用 をす るこ とが で きるが、発達段 階 を考慮 せ ずに文 、文型、文法事 項 を必要 以上 に与 え るわけには いか ない ものであろ う。 しか し第

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学 年に な る と、習得 す る文 ・文 型 ・文法事 項 ・語 ・連語 ・な どの言語材料 も、 第1学年 まで学習 した言語材料 の上 に重 ね られ るの で、 第 1学年 の 内容 よ り、やや ま とまった内容 を 書 くこ とが で きるよ うにな るはず であ る。 やや ま とまった内容 とい って も、 第2学年 では、 あ ま り高度 なこ とは要求 す るわけには 行 か ない。 まず、第 1学年 の基礎 の上 に、一 つ一つの文 が書 け な くては な らない。 第2学年 では、教科書 な どの題材や 言語材 料 を参考に して、 自分 の 日常 生活に合 わせ て 語句 をさ しか え、あ るま とまった内容 を書 き 表す こ とが で きるはず であ る。 したが って、 次 の ような指導 が必要 にな る。 (1) 原文 を読 んで、 まず 自分 の 日常生活 と 比べ られ るよ うにす るD (2)最初 は、 1語 あ るいは2、 3語 を変 え て、原文 を書 き変 え られ るよ うにす るO (3)修正 す る語句 を更 に増や して、 内容 を、 た とえば 自分 の 日常生 活に合 わせ て、書 き換 えてい く作業 を多 く取 り入れ るよ う に させ る。 この基本 的 な指 導 は、次 の こ とを留意す る こ とに よって、定着す るこ とに なる。つ ま り (1)毎時 間、一定 の時 間書 くこ との指導 を

行う。

(2)書 くこ との指 導 は、短 い時間 とす る。 (3) デ ィクテー シ ョン として、喜吾、語句、 文、数個 の文 な どを必ず書 かせ るよ うに す る。 (4) 評価 す るこ とに よって、誤 りを指摘す る。 な どの こ とであ る。 この 「書 くこ と」 の指 導 は、 そん なに長 い時間 をかけ るわけ にはい か ない。単位 時 間の 中では、 わずか な時間に な るこ とが考 え られ るの で、必要 に応 じて、 家庭学習 として対応す るこ とも大切 なこ とで あ る。 とい って、家庭学 習 に頼 りす ぎる と、 「書 くこ と」 の能力 は育 たない。 む しろ前 も って、課題 を出 しておいて、授 業 の 中で、課 題 につ いて書 かせ る とい う作業 が必要 に なろ う。課題 を出す場合 の留 意事 項 は次の3点 で あ る。 (1) 身近 な事 が らにつ いて文 を書かせ る。 (2)あ る題 材 につ いて書 き表 されてい る 日 本文 を英文 に させ る。 (3) 自分 が行 った こ とな どを、 あ る程 度 ま とまった英文 として書かせ る。 さて、「書 こ うとす るこ と」とは、具体 的に は、 どんな内容 をさす のであ ろ うか。 これは 題材 と大 いにかかわ りが あ る。 つ ま り、書 き たい と思 う題材 であ る。 た とえば、学校 生活 に関す るこ と、家庭生 活 に関す るこ と、風俗 や 習慣、 これ につ いては、 内外 の題材 が考 え られ る。総 じて、第 1学年 よ りやや進 んだ内 容 で、 引続 いて身近 なこ とが 中心 にな るこ と

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26 清泉 女学 院 知期 大学 研 究 紀要 (第127uJ-) は確 か であ る。 「整理 す る」 とは、何 を、 どの よ うに、 ど の くらい書 き表すのか、題材 の形式 を考 える こ とであ ろ う。 また 「大事 な こ とを落 とさな い よ うに書 く」 とは、 第 1学年 に引 き続 いて 文や数個 の文 な どか ら、書 くこ とにつ いて練 習 させ るこ とであ ろ う。 す なわ ち、暗記 した 文 、文 型 な どを書かせ る、語や 語句 を入れ替 えて文 を書かせ る、数個 の文 を書 き加 え る、 行 った こ とや 考 えた こ とにつ いて書 き表せ る よ うにす るな どの こ とであろ う。 この場合 、 題 材 につ いては、一 日の生活、学校 の クラブ 活動、 スポー ツ全般 、将 来の希望 な どが考 え られ る。 なお、物語文や 説明文 を読 んで、 そ の感想や感 じた こ とな どを書 くこ とに な る と 第

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学年 では、 言語材料 が十分 とは言 えない。 この点 に留意す るこ とが必要 であ ろ う。

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学年 の 「

書 くこ と」の言語 活動

第3学年 の 「書 くこ と」 の言語 活動 におい ては、次の事項 につ いて指 導す るこ とに なっ て い る。 エ 書 くこ と 主 として次 の事 項 につ いて指導す る○ (ア)聞 いた り読 ん だ りしたこ とにつ い 第3学年 では、 「書 くこ と」 の 目標 が、「初 歩的 な英文 の文章 を用 いて、 自分 の考 えな ど を書 くこ とが で きるよ うにす る」 とい うこ と を示 唆 してお り、更 に 「英語 で書 くこ とに習 熟 し、英語 で書 こ うとす る積極 的 な態度 を育 て る」として、 「書 くこ と」の言語活動 を積極 的 に進 め るよ う到達 目標 を示 してい る。 した が って、次 の よ うな言語 活動 が考 え られ るn (1) 文 を聞 いて正 し く聞 き取 る。 (2)書 かれ てい る内容 を読 み とって、 それ につ いて概要や要 点 を書 き取 る。 (3) 聞 いた り、読 んだ リした内容 を理解 し て、 その内答 の概要や要 点が伝 わ るよ う に書 く。 (1)の 「文 を聞いて正 し く書 き取 る」 は、 第 1学年、第 2学年 で指導 して きた「書 くこ と」 の言語 活動 の上 に更 に積 み重 ね てい くもの で あ る。 第3学年 では、 「文 を聞 いて」といって も、第1学年、第 2学年 の語、語句、文、文 型、文 法事 項 は、程 度が高 くな り複雑 な もの となって くる。 したが って「文 を正 し く聞 く」 とな る と、語、語句、文 型 な ど、 その意味 を 理解 してつづ りや語順 な どを正 し く書かけれ ば な らない。 文 を聞 いて書 き取 るため には、第

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学年や 第2学年 と同 じように、書写 が大切 なこ とに な る。 第3学年 に な る と言語材料 が 多 くな り かつ複雑 になって くるの で、更 に正 し く書 く こ とが要 求 され る。 しか し第3学年 に な る と、 能 力差 が 出て くる。 この こ とを考慮 に入れ て 指導す るこ とが大切 なこ とであ る。 そこで、 あ らか じめ、書 き取 らせ る内容 を知 らせ 、 そ れ ぞれの生徒 の習熟度 に合 わせ て、学 習す る 機会 を与 えるこ とが必要 であ ろ う。 それには 継続 して 「書 くこ と」 の指導 をす るこ とが ポ イン トであ る。具体 的 には、書 き取 らせ る分 量 は 多 くしない よ うに心 がけ る。 また個 人で チ ェ ックさせ るのには限界が あ るの で、ペ ア ワー ク、 あ るいは グルー プ ワー クで作業 させ 、 生徒 自身が誤 りに気づ くよ うな指 導が必要 で あ る。 文 を聞 いて書 き取 らせ る とな る と、音声 に つ いて徹底 して指導 をす る必要 が あ る。す な

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i=ZLi 中学校 におけ る 「書 くこ と」 の言呂lLf活動 の指導 は と うあ った らよいか 27 わ ち、現代 の標 準的 な発音、語 のア クセ ン ト、 文 の基本的 な音調 、基本的 な区切 り、基本的 な強勢 な どに習熟 させ 、聞 き取 る力 をつけ る こ とが まず考 え られ る。 次 に、語葉 を第1学年、第 2学年の基礎 の 上 に積 み重 ね るこ とであ る。別 表2に示 され てい る基本語葉 は、507語 であ るが、1000語程 度 とい う弾力的 な運用 の なか で、指導 して い くこ とが重要 であ る。 文 、文 型、文法事項 につ いては、基本的 な もの を徹 底 して理解 させ 、聞 き取 りやす い よ うに なれ させ るこ とが必要 であ ろ う。 しか し、 音声指 導が十分 な され ていない場合 には、吉吾 桑や文 、文 型 な どの言語材料 が理解 で きて い て も文 を正 し く聞 き取 るこ とは で きない。 同 時 に、正 し く聞 き取 るため には、 聞 き取 った こ とを文字 に正 し く再 現す る必要 が あ る。 そ のため には、 日頃の書写や 書 き取 りの指 導が 大切 な もの となろ う。

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の 「書かれ てい る内容 を読 み とって、 そ れにつ いて概要や要 点 を書 き取 る」 は、第1 学年や 第2学年 の 「書 くこ と」の言語活動 を 更 に進 め た もの であ る。 ここで い う 「書かれ てい る内容 」 は、題材 を指す もの で、説明文 、 対話文 、物語 り、 日記、手紙文 な どの形式の あ るま とまった文章 を指 す もの であ る。 この よ うなあ るま とまった文章 を読 み取 る とは、具体 的 には どうす るこ とであろ うか。 これは、 いろい ろの題材 につ いての文章 を読 んで、 それにつ いて感 じた こ と、考 えた こ と な どを書 きしる した り、 その概要や要点つ ま りあ らま しであ る とか ポ イン トにな る ところ を、 わか るよ うに書 くこ とであ る。 書か れ た ものにつ いて感想 を書 いた り、 そ の概要や要点 を書 くこ とが で きるよ うにす る には、書かれ てい る文章 を理解 し、 その概要 や要 点が わか るよ うに内容 を理解 させ なけれ ば な らない。 それ には一文一文 の意味 を とら え、文 と文 の関係や 、流れ をつか んで、何 を 述べ よ うとして い るのか わか らせ る指 導 が必 要 であ る。 た とえば、 あ るま とまった文 章 につ いて、 その 内容 につ いて、数個 の質 問 を与 え、 その 質 問 に答 えさせ る。 その数個 の質 問の答 が、 す なわ ち、概 要や要 点 に な る。 また、情報 を 新 しい ものか ら、古 い ものの順 に とらえ させ る過程 か ら、 あ らま しを把握 させ る。 つ ま り scanningやskimmingをす る中 で概 要 や 要 点 をつ か ませ る。また、paragraphreadingを させ る中で、topicsentenceを理解 させ 、概 要 ・要 点 を確実 に理解 させ るこ とな どで あ ろ う。この こ とは また、summarizeが容易 に行 え るよ うに な るわけであ る。 第3学年 におい ては、 この よ うな指 導が必要 であ る。 (3)の 「聞 いた り、読 んだ りした内容 を理解 して、 その 内容 の概要や要 点が伝 わ るよ うに 書 く」 とは、 どんな言語活動 であ ろ うか。 こ れ は、(2)で前述 した こ とに加 えて、 聞 いた り 読 んだ りした内容 の概要や要点 が、読 み手、 つ ま り相 手 に伝 わ るよ うに書 くこ とであ る。 この場合 、 聞 き取 った り、読 み取 った りし た内容 につ いて何 を書 くか とい うこ とは、 そ の 内容 に よって様 々 であ る。 た とえば、 聞 き 取 った り、読 み取 った りした内容 の感想 であ った り、意 見であ った り、返事 であ った り、 あ るいは提案 で あ った りして、 その時 々 に よ って異 な って くる。 それ らを書 き表す際 に概 要や要 点が相 手 に伝 わ るよ うに書 くこ とが求 め られ るわけであ る。 これ らの指 導 は、生徒 個 人の能 力差 が伴 うだけに、 きめ細か い 「書 くこ と」 の指 導が望 まれ る。

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28 清 泉女学 院短期 大学 研 究紀要 (第12FIJ)

おわ りに

これ まで、「書 くこ と」の言語活動 は どうあ った らよいか とい うこ とにつ いて述べ て きた が、英語 で表現 す る能 力 を養 うため には、実 際 に英語 を聞 いた り、話 した り、読 んだ りす る活動 を十分 に行 う必要 が あ る。 その ため に は、生徒 の発達段 階 に応 じて、前述 の よ うに 指 導事 項 をよ り具体化す るこ とが肝要 であ る。 しか し、 これ らの指導事 項が 、適切 に生か され るよ うにす るため には、教 師の創 意工 夫 が大切 なこ とに な る。 更 に、生徒 一 人一 人が 十分 言語活動 が で きるよ うに配慮 す る ととも に、生徒 の個性 ・発達段 階 に応 じて きめ細か い指導が なされ なければ な らない。 また、英語 を学 ぶ こ とに対す る興味や 関心 を育 て、 第1学年 か ら第3学年 までの3年 間 を通 して、偏 りの ない言語 活動 が展 開 され る よ うに配慮す るこ とが大切 であ る。 と りわけ、「書 くこ と」 の言語 活動 は、「聞 くこ と」、「話す こ と」及 び 「読 む こ と」 の言 語 活動 と密接 な関係 が あ るの で、指導に当た っては、 「書 くこ と」の領域 を独立 して扱 うの では な く、他 の領域 の言語活動 との関連 にお いて指導す るこ とが必要 であ る。特 に 日本語 と違 う英語 の発想や表現 の方法 を知 って、的 確 に書かせ るため には、言語材料 とのかか わ りもあ るわけ で、 あ らため て、題材や 言語 材 料 の組立 な どに留意す るこ とか期待 され る。 参考文献 1 H.D.Widdowson (1978)Teaching La n-guqeasCommunication

OxfordUniversityPress 2 Jane Willis (1981) Teaching English throughEnglish Longman 3 原田昌明 (1990)『英語の言語活動

大修館書店 4 文部 省 (1989)『中学校学習指導要領

文部省 5 I/ 『中学校指導書外国語編

開隆堂 出版 6 荒木秀二・長江宏(1989)『中学校学習指導要 領の解説 と展開

教育 出版 7 和円実 ・羽鳥博愛編(1989)『中学校学習指導 要領の展開』 明治図書

参照

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