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介護労働者としての女性の役割に関する国際比較 : デンマークと中国を事例として

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介護労働者としての女性の役割に関する国際比較

-デンマークと中国を事例として-

大塚 陽子・諶 齢彦

Who are Care Workers for the Elderly?

A Cross-national Study on the Roles of Women in Denmark and China

Yoko OTSUKA, Lingyan CHEN

Abstract

The purpose of this paper is to examine the role of women as professional caregivers in the transitional period of the policy for the care of the elderly in the welfare state by comparing the relationship between family caregivers and professional caregivers in Denmark and China from the perspective of social networks. In Denmark, women’s economic independence as professional caregivers is slightly at risk because municipalities expect families and communities to take function for the care of the elderly. In China, however, the community does not play an important role. Rather, the family burden for the care of the elderly has become severe, particularly for the one-child generation. In this situation, most care workers, including professional caregivers, are unskilled workers from farm districts burdened with poor work conditions. Thus, the role of women as caregivers for the elderly is ambiguous between the public and private spheres regardless of whether it is a developed or a developing welfare state.

キーワード: 福祉国家における女性の役割、介護労働者、デンマーク、中国

1.はじめに

高齢化は今や先進国だけの課題ではない。途上国においても高齢化は徐々にあるいは急速に 進行し、介護人材不足が懸念されている。高齢者の介護をおこなう人材として真っ先に期待さ れるのが、家族である。しかしながら、経済成長や都市化とともに家族規模が縮小し、家族機 能が脆弱となるなかで、社会全体で高齢者介護を担う必要性が出てくるようになった。

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介護労働が公的領域・私的領域に渡ってジェンダー化される点もまた、先進国・途上国共通 の課題といえるのではないだろうか。介護労働に携わるのは圧倒的に女性が多い。それが家庭 において無償で介護を担う主婦の立場であろうが、施設もしくは在宅の介護ヘルパーの立場で あろうが、あるいは、出稼ぎで国内・国外において住み込みで働く家政婦の立場であろうが、 女性の仕事であることに変わりないと思われる。つまり、高齢化社会における介護人材確保の 課題は、その国家が女性をどのように福祉体制のなかに位置づけているのかに関わる事項と なっているのである。 福祉国家とジェンダーに関しては、これまでフェミニストによる多くの研究蓄積がある。女 性とケア労働についての研究も同様である。しかしながら、介護労働が現実として女性の役割 となり、それによって高齢化する福祉国家が維持されていることを考えれば、福祉国家におけ る介護労働者としての女性の役割、すなわち、福祉国家が女性をどのような介護労働者として 位置づけているのかを議論することは、価値があるように思われる。 日本において、介護は家庭内における女性の役割として福祉国家体制のなかで位置づけられ てきた。しかし諸外国に目を転じてみれば、福祉国家における女性の役割は必ずしも固定化さ れてきたわけではない。国家・市場・家族を主な福祉供給アクターとする福祉レジーム論にお いて、女性は家族という福祉供給アクター内で介護を無償で担う存在として、主にコーポラティ スト的な福祉レジームのなかで現れるが、介護をめぐる福祉レジームのなかで、女性は国家も しくは市場で有償の介護労働者としても働いている。つまり、女性は実際に公的領域と私的領 域の狭間を移動しており、実態は流動的であると考えられる。このように女性という視点から みると、各国が直面している介護労働者(公的領域)の人材確保の問題は、実際には家族介護 者(私的領域)の負担量と表裏一体の側面があるといえよう。 したがって、本研究は、福祉レジームを動態的にとらえながら、高齢者介護政策をめぐって 福祉国家が女性の役割をどのように位置づけているのかを、諸外国の事例から検討することを 目的とする。本稿における事例としては、福祉先進国として高齢者介護が国家の役割となって いるデンマーク、および急速な高齢化・都市化が進展するなかで一人っ子政策による世代が家 族介護者となりつつある中国を検討する。

2.介護労働と福祉国家における女性の役割

福祉レジーム論もしくはウェルフェア・ミックス論の基本 3 類型において、介護労働がクロー ズアップされたのは、欧米の福祉モデルよりも、アジアの福祉モデルからであったといって も過言ではないであろう。欧米の福祉モデルのなかで、フェミニスト研究者は無償のケア労働 に早期から着目していたものの、それは概して子どもに対するケアであった。近年、東アジア における福祉は、東アジアモデル、家族主義レジーム、ケア・レジームと呼ばれてきた。東ア ジアに共通する「福祉モデル」であるかどうかという議論は別にしても、東アジアが欧米に比 べて家族頼みの高齢者介護政策の傾向にあることは確かであろう。実際に、国家・市場・家族

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の基本 3 類型のバランスをみれば、本稿でとりあげるデンマークのような社会民主主義福祉レ ジームでは、福祉供給アクターのうち国家の役割が強く、日本や韓国のような家族主義レジー ムでは、家族の役割が最大である。しかし、中国についてはどうであろうか。 女性をめぐる公私領域における介護の担い手の循環を検討するには、落合(2008)が実施し た福祉社会学のウェルフェア・ミックス論と家族社会学によるケアをめぐる社会的ネットワー ク分析を接合した研究が有用だと思われる。落合は高齢者のケアをめぐる社会的ネットワーク について、アジア 6 ヵ国において高齢者が得ている生活援助を、ケアの担い手あるいは供給主 体の主な種類として、子ども、子どもの配偶者、親族、コミュニティ、家事労働者、施設の 6 種類に分けて論じている。 落合は、アジア 6 カ国に共通していえるのは、施設介護がある程度定着しても、子どもが重 要な役割を果たしていることには変わりないが、親族ネットワークの構造は、相続制度の違い によってかなり異なっていると指摘する。東アジアのなかでも中国・台湾では、子どもたちが 全体で老親を扶養し、日本・韓国のように特定の子ども(特に長男)とその家族(特に嫁)に 同居やケア役割を集中させることはない。親族(非同居の子どもは含まない)の役割は、日本 のみ例外で、中国・台湾・韓国ではある程度効果的となっている。また、落合は、高齢者ケア におけるコミュニティの役割が最も顕著なのは中国であると述べている。中国では、職場中心 の「単位」からコミュニティ中心の「社区」への移行が 2000 年から進められており、住民ボ ランティアを動員して社会サービスの提供をおこなっているからである。家事・介護労働者に ついては、台湾では家庭による雇用が一般的であり、東南アジアからの外国人女性が一般家庭 に住み込んで家事・介護を 24 時間おこなうが、中国の場合は、農村部からの出稼ぎ女性が多い。 日本ではケア労働者の役割はほとんど効果的ではない。施設に関しては、日本以外の 5 ヵ国で は施設ケアは発達しておらず、入居費用は高額である(前掲書、pp.185-188)。 表1:高齢者ケアをめぐる社会的ネットワーク A:非常に効果的 B:ある程度効果的 C:存在するがあまり効果的でない D:ほとんど効果的でない 出典 : 落合(2008)p. 186 中国 子ども 子どもの配偶者 親族 コミュニティ ケア労働者 施設 タイ シンガ ポール 台湾 韓国 日本 A(全員) A(全員、特に女子) A(全員、特に男子) A(全員、特に男子) A(主に長男) A(主に長男) B B B B A A B B B B B C B C A A B D C D C C C B A ? ? ? B C

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介護労働をめぐる福祉国家における女性の役割が、介護労働者(公的領域)と家族介護者(私 的領域)の狭間にあることを考えると、欧米の高齢者ケアをめぐる社会的ネットワークはどの ように示されるのであろうか。たとえば、本稿で事例の一つとするデンマークを表 1 に組み入 れた場合、恐らく、子ども・子どもの配偶者・親族による高齢者介護は D(ほとんど効果的で ない)になり、コミュニティが C(存在するがあまり効果的でない)、ケア労働者が A(非常 に効果的)、施設が B(ある程度効果的)ということになるであろう。なぜならば、デンマー クにおいては、高齢者介護は行政の役割であると生活支援法によって明記されているために、 家族・親族に介護役割が期待されることはない。また、1990 年代の高齢者介護の脱施設化政 策により、施設介護よりも在宅介護がシステムとして普及しているからである(大塚 2014)。 注目すべきことは、子ども・子どもの配偶者とケア労働者・施設との関係である。デンマー クにおいて、子ども・子どもの配偶者が D(ほとんど効果的でない)であるならば、ケア労働 者が A(非常に効果的)、施設が B(ある程度効果的)であると推測される。日本においては、 表 1 にあるように、子ども・子どもの配偶者は A(非常に効果的)である一方、ケア労働者 は D(ほとんど効果的でない)、施設が B(ある程度効果的)となっている。中国については、 子ども・子どもの配偶者がそれぞれ A(非常に効果的)・B(ある程度効果的)である一方で、 ケア労働者は B(ある程度効果的)、施設が C(ほとんど効果的でない)となっている。デンマー クと日本から考えられるのは、家族介護者と介護労働者の対比が表裏一体の関係を形成してい るのではないかということである。中国については、家族介護者と介護労働者の対比はおよそ 半々だと思われるが、社会的ネットワークは決して静態的なものではないことを考えると、こ の対比は流動している可能性がある。また、落合の分析において中国ではコミュニティの役割 が A(非常に効果的)とあるが、これは制度レベルでの評価であって、実態レベルは異なる のではないかと思われるし、中国は地域によって大きな格差があることを考えれば、上海など の超大都市の事例だけでは国際比較はできないであろう。 以上のことから、福祉国家における介護労働者としての女性の役割を考えると、デンマーク は「公務員型」、すなわち、職業としての保障を高めることにより、経済的に自立した女性の 仕事(主に公務員)として定着させる類型であり、日本は「主婦型」、すなわち、夫の所得を 増やし(男女賃金格差)、夫に依存する主婦として、無償で介護を担わせる類型、中国は「地 域格差型」、すなわち、農村からの出稼ぎ女性に依存する類型、であるのではないかという仮 説がたてられる1)。デンマークについては、大塚(2014)が実施した文献調査・聞き取り調査 によって仮説が正しいことが検証されている。次章では、デンマークにおける介護労働者とし ての女性の役割について詳説する。

3.デンマークにおける介護労働と福祉国家における女性の役割

3.1.デンマークにおける介護労働者の現状 デンマークでは女性の労働力率は世界の他の国々と比較しても極めて高い。16 才~ 64 才

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の労働力率は、2014 年現在で女性 70.5%、男性 76.9%である(Statistikbanken: AKU120)。部 門別では、2012 年における全雇用労働者のうち、公共部門労働者は 35.9%、民間部門労働者 は 64.1%であり、福祉先進国とみなされるだけあって、公共部門の大きさがよくわかる。男 女別では、公共部門労働者のうち女性が 68%を占めており、民間部門労働者のうち女性が占 める割合は 38%に過ぎない(Statistikbanken: RASOFF23)。公共部門労働者のうち、90%以 上が女性労働者によって占められている職種(地方自治体レベル)は、保育士、介護福祉士、 看護師、歯科衛生士といった社会福祉専門職となっている(Kommunernes og Regionernes Løndatakontor: Ligestillings-statistikken, 2013)。このように、一般労働者の数値からも、女性 の公共部門での雇用率の高さと女性の職種がケアサービス関連領域に偏っていることがわかる。 それでは、介護労働者の現状は統計によってどのように表されるのであろうか。デンマーク における保育・介護・看護などのケア関連業務に携わるフルタイム労働者は 2013 年現在で 15 万 1,437 人となっている。高齢者介護関連業務に携わるフルタイム労働者は 10 万 4,586 人で、 うち、事務管理、清掃・調理スタッフ、理学療法士、社会福祉士を除く介護労働者(介護ヘル パー、看護助手など)は 8 万 3,881 人となっている。 ケア関連業務従事者は、圧倒的に基礎自治体レベルにおける就労が多い。ケア関連業務従事 者数は 2000 年から年々増加して 2010 年には 15 万 9,812 人になったものの、2011 年に 15 万 3,707 人となり、減少傾向にある(Statistikbanken: RES10, 10X, 10XX)。 先にも述べたように、デンマークでは在宅介護が中心となっているために、ケアを必要とす る高齢者のおよそ 80% が訪問介護を受けている(Statistikbanken: AED05, AED06)。フルタ イムの訪問介護労働者の性別内訳をみると、2013 年では総数 3 万 4,939 人のうち女性が 3 万 2,503 人と 93%を占める(Statistikbanken: SLON21)。 就労形態について、ケア関連業務従事者のなかでは、全労働者の場合と同様に、女性のパー トタイム就労率は 3 分の 1 強である。2013 年における施設介護労働者の統計では、女性の 36%がパートタイムであった。しかし、男性も 34%であり、同業種におけるジェンダー差異 はそれほどみられない(Statistikbanken: RASOFF34)。 賃金に関しても同様で、2013 年における訪問介護労働者の賃金は標準で月額 DKK 3 万 534 であるが、性別内訳をみると、女性 DKK 3 万 544、男性 DKK 3 万 409 でほぼ同一賃金となっ ている(Statistikbanken: SLON21)。女性の占有率が極めて高い職種である保育士・介護福祉 士・看護師・歯科衛生士については、女性の賃金は男性よりも 1 ~ 7%ほど高いのが特徴的で あるといえる。しかしながら、地方自治体の介護福祉士の賃金は月額 DKK 2 万 8,628 と、保 育士(DKK 2 万 8,200)よりは高いが、地方公務員の平均賃金(DKK 3 万 5,684)よりは低くなっ ている(Kommunernes og Regionernes Løndatakontor, Ligestillings-statistikken, 2013)。

介護教育機関で学ぶ学生は、準備課程から博士後期課程まで、2013 年において 3 万 9,058 人 であった。そのうち、女性が 77%の 3 万 197 人で、男性が 23%の 8,861 人を占めている。学 士以上レベルで学ぶ学生であっても、女性は 2,251 人中 1,623 人と 72%を占めているため、学 歴よりも専門領域にジェンダー偏倚があることがわかる(Statistikbanken: KRHFU2)。

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このように、介護労働者のおかれた状況だけではジェンダー問題は特にみられない。むしろ、 進路選択からつながる労働市場における職域分離そのものが、そのまま福祉国家における女性 の役割として定着している。パートタイムの多さと賃金の若干の低さは問題であろうと思われ るが、経済的に自立レベルにあることは確かである。 しかし、デンマークでは 2007 年を完成年度とする行政の大合併があり、高齢者福祉サービ スに関わる権限がさらに基礎自治体に移譲されることとなった。この場合、福祉国家における 女性の役割に変化はあるのだろうか。次節ではオーデンセ市における事例から実態を追究する。 3.2.オーデンセ市における介護労働者の現状 オーデンセ市は 2015 年現在で人口規模 19 万 8,972 人のデンマーク第 4 の地方都市であ る。総人口に対する 65 才以上人口の割合は 16.7%であり、デンマーク全体の平均よりは低い (Odense Kommune, 2015)。2007 年までの行政改革に合わせて、オーデンセ市では 2007 年 2 月に高齢者生活政策が成立している。 この高齢者生活政策によって、行政による高齢者生活支援の範囲の転換が生じた。要綱によ れば、市は、活動的な老後を送りたい高齢者には、文化的・社会的生活のための多様な可能性 - たとえば、他者のために働いて世代間交流を進めるボランティア活動などの支援 - を提供す る。また、要介護・介護の余地のある市民に対しては、サービス選択の自由と経験知を高める 可能性を尊重し、当事者の希望やニーズに応じてサービスを提供する。そして一方では、市民 に対する期待も明示されており、高齢者は文化・余暇活動に積極的に参加して経験知を高め、 ボランタリーな社会活動を通して積極的な努力を提供すべきであることも盛り込まれている。 そのなかには、保育所や学校への祖父母による支援制度なども含まれている。介護に関しても、 サービスは市民の自律を尊重し、社会的、精神的、身体的に最も可能な生活の質を達成するた めのリハビリテーションとして提供される。また、市民の家族・親族も関わることが求められ ている(Odense Kommune, 2007)。これらのことから、活動機会の提供といった介護予防と ともに、家族・親族も含めてコミュニティ・ケアを促進するような市の政策転換が伺える。す なわち、オーデンセ市の事例からみれば、デンマークでは、高齢者ケアをめぐる社会的ネット ワークのうち、子ども・子どもの配偶者・親族・コミュニティの役割に制度・政策レベルでは 期待がかけられているといえよう。 それでは、介護労働者はどうであろうか。オーデンセ市職員の数は 2013 年現在で 1 万 4,153 人と 2010 年(1 万 5,163 人)と比較すると 1,010 人減少している。うち介護福祉士は 2,418 人 である。性別内訳をみると、女性 87%、男性 13%となっている。市職員の平均賃金は DKK 3 万 3,013(女性 DKK 3 万 2,462、男性 DKK 3 万 4,630)と男性のほうが若干高い。介護福祉士 のうち外国人は 10.8%となっている(Odense Kommune, 2012)。 大塚が 2013 年 8 月 20 日に市の高齢者・障害者管理部 訓練課に対しておこなった聞き取り 調査によれば、デンマークの地方自治体全体ではおよそ 6,000 人分の介護人件費が削減され、 その分の費用は介護ロボットなどの機器の購入や重度のケア対象者への手厚い介護に重点的に

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充てられたという。市においても訪問介護労働者の解雇は増加し、デンマークでは雇用の流動 性は高いものの、4 年間の失業手当が 2 年間に短縮された。彼女らの多くが市内在住であるが、 転居などで退職すると転居先での再就職が困難なことから、遠方から通勤するスタッフも増加 してきたという。介護労働者数の削減はおこっているのである。 また、大塚が 2013 年 8 月 23 日および 2014 年 8 月 21 日に、19 万 3,000 人の組合員と 42 の 地方支部をもつ、介護福祉士の労働組合としては最大規模の FOA(Fag og Arbejde: 職業と 労働)に対して実施した聞き取り調査によれば、オーデンセ支部でも介護労働者の失業は年々 増加している。解雇を恐れ、組合活動に積極的に関わることを躊躇する若年者が多い。労働 者の権利を考えれば、組合としてはフルタイムを推奨しているが、実際には多くの組合員が パートタイムとフルタイムの間を行き来する。介護労働者は男女に関わらず家庭生活優先であ る。しかし、高齢者ケアサービスは、人件費を削減するために最低限のことしかやらなくなっ た。そのため、自立のためのリハビリ訓練を速やかにおこなえない高齢者は、メンタル面を含 め、家族に頼らざるをえない。子どもが遠方に居住している場合は子どもにとっての負担にな ることもある。組合としても、ケアを必要とする高齢者に対しては可能な限り自立することを 啓発している。ケアを必要としてない高齢者に対しては地域ボランティアへの参加を促してい る。しかし、ボランティアには継続性がないため、専門的介護を補完する仕組みにはならない。 FOA が実施する介護労働者向けの職業訓練内容も変化してきた。昨今では、高齢者に自立し てもらうための心得に主眼がおかれている、とのことであった2) 3.3.考察 デンマークでは 高齢化の進行により、女性に介護労働者として経済的に自立した地位を与 え、デンマーク福祉国家はそれに依存してきた。しかし、高齢化がある時点を過ぎ、介護の需 要と供給のバランスが崩れると、高齢者介護政策が変革されるなかで、女性の自立した地位は 必ずしも安定しているとはいえないことが、2007 年の行政改革以降の現状から明らかになっ た。介護労働の合理化や専門化が進むと、女性労働(介護労働)の価値が高まる一方で、より 多くの女性が介護労働者としてのセーフティーネットから排除されてしまう可能性がみえてく る。介護労働者として、「そこそこの自立した生活」を保障されてきた多くの女性の状況は厳 しくなりつつある。介護人件費が削減されることにより、必要とされるはずの介護が本人や家 族に押し戻され、コミュニティのケア役割も期待されている。高齢者のケアをめぐる公私関係 が曖昧にされつつある実態が、オーデンセ市の事例からみてとれた。

4.中国における介護労働と福祉国家における女性の役割

4.1.中国における介護労働者の現状 中国において介護労働者についての公的機関による全国データは皆無である。しかし、研究 者による地域別の調査はいくつか存在する。まず、施設介護労働者についてであるが、上海市

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53 ヵ所の高齢者護理病院では、介護労働者 1,848 人のうち、男性は 244 人(13.2%)、女性は 1,606 人(86.8%)であり、40 代以上の女性の割合が最も高く(79.2%)、30 代以下の介護労働 者の割合はわずか 1.1%にすぎず、上海市外出身者が 69.1%を占めており、介護労働者の学歴 は小学校卒業以下の割合が 62.3%、社会保険加入者は 49.1%であったと述べられている(施、 2008)。浙江省 165 ヵ所の養老機関(公営 104 ヵ所、民営 61 ヵ所)においては、1,107 人の管 理者および介護労働者のうち、男性は 144 人(13.01%)、女性は 963 人(86.99%)であり、平 均年齢は 48.3 才、学歴は中学校卒業以下が 80.49%を占め、有資格者は 396 人(35.7%)であり、 離職率が高いことが示されている(陳他、2015)。また、遼寧省(大連市他)にある 30 ヵ所の 養老機関では、572 人の介護労働者のうち、男性は 48 人、女性は 524 人であり、平均年齢は 41 才、学歴は中学校卒業以下が 94.1%を占め、正規雇用が 315 人、非正規雇用が 257 人、有 資格者は 6.99%であった(黄他、2012)。さらに、山東省 8 市 83 ヵ所の養老機関では、648 人 の介護労働者のうち、男性は 108 人(16.7%)、女性は 540 人(83.3%)であり、平均年齢は 43 才、専門学校卒業以上は 47.2%であり、有資格者は 22.3%のみであった。 次に、訪問介護労働者についてであるが、中国における訪問介護労働者は主に家政婦(家政 服務員)である。家政婦は介護だけでなく、雇用主の希望に応じて家事や育児もこなす。雇用 主宅に住み込みで 24 時間介護に対応することも多い。研究としては、張ら(2011)が上海市 にある 100 ヵ所の家政婦派遣会社に登録する 650 人を対象に実施した調査がある。そのうち、 男性は 3 人しかおらず、36 才~ 55 才が 76%を占め、80%は上海市外出身であり、3 分の 2 は 農村戸籍保持者で、28%が社会保険加入者であった。 以上の実態から、中国における有償の介護労働は、低学歴で農村出身(農村戸籍)の中年女 性によって主に担われていることが確認された。いくつかの調査研究において有資格者の割合 について言及されているが、次に介護労働の資格制度について説明しておく。 中国における高齢者の扶養は家族の責任であると明示されている。しかし、高齢化の進展に 伴って介護の社会化への準備が必要になり、現状では介護労働者の専門性の認識が不十分であ ることから、介護労働の質を高めるために、介護労働者の資格化制度が 2002 年に民政部「養 老護理員国家職業標準」によってスタートした。高齢者の日常生活を介助・介護するサービス 従事者として、「養老護理員」(介護ヘルパー)という国家資格が定められている。2011 年の 改正により、養老護理員の資格は、初級(国家職業資格 5 級)、中級(国家職業資格 4 級)、高 級(国家職業資格 3 級)、技師(国家職業資格 2 級)の 4 つの等級で、学歴は中学校卒業程度 である(中華人民共和国民政部 2010)。しかし、13 年経った 2015 年、民政部の養老護理員職 業検定受験者はわずか 2 万 5,000 人であった。そのなかで、2 万 1,542 人が国家資格証明を取 得した。全国養老機関の職員は 60 万人未満である。民政部は 2020 年までに、護理学・看護学 などの専門知識を有する経験豊富な介護労働者の数を 600 万人まで達成する目標にしている が、現状ではニーズをとても満たすことができない。高齢者人口に対する介護人材割合は、中 国では日本を大幅に下回っており、焦眉の課題となっている(国家労働社会保障部 2016)。 中国における介護労働者の待遇は良好とはいえない。また、この問題には戸籍制度も関わっ

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ている。陳ら(2009)や陳(2010)は、過酷な労働に見合わない賃金の低さにより、都市戸籍 の失業者は最低生活保障や失業保険金をもらうだけで労働意欲がなく、農村戸籍の出稼ぎ労働 者は、都市戸籍の労働者よりも長時間労働かつ低賃金あり、たとえば、月収 800 元未満の者は 週 41 時間以上労働である割合が高い。たとえ有資格の養老護理員であっても家政婦に転向す る者もいること、を指摘している。王ら(2015)は、民営養老施設には書面の労働契約がなく 口頭契約だけの場合が多いことを指摘している。また、張ら(2015)による家政婦調査では、 650 人のうち 80%が上海市外の出身で、3 分の 2 は農村戸籍者であり、サービス提供対象が家 族全員のケースは 61%、高齢者のみは 34%、58%の家政婦は複数の家庭で働いていることが 指摘され、上海出身世帯がワークライフバランスを可能にするのは家政婦を選択したことが主 因であると述べており、上海市の特殊性を指摘しているものと思われる。他の大都市の状況は どのようであるかを確かめるために、次節では大連市の事例をとりあげる。 4.2.大連市における高齢者ケアをめぐる社会的ネットワークの現状 大連市は東北地域・遼寧省の南部に位置する、中国では 14 番目の規模の特大都市3)であ る。人口は 699 万人で、貿易・情報産業・観光が主な産業となっている。市は 1987 年から高 齢化社会となり、2015 年の総人口に対する 60 才以上の人口比率は 22.9%で、遼寧省内では最 も高齢化が進んでいる。要介護高齢者数は 24 万人であるが、高齢者介護施設は不足しており 199 ヵ所・2 万 2,879 床しかない。大連市は近年、社会的ケアシステムを構築しようと試行し ているが、財政難により、生活困窮者を救済するのみに留まっている。市内における介護専門 学校は大連職業技術学院 1 ヵ所のみで、大連市の養老護理員資格者を 2014 年までに 2,830 人 輩出しているが、その多くが介護職を離職して他の職業に転職している(曹 2014)。 このような現状において女性たちはどのような社会的ネットワークで高齢者介護をおこなっ ているのだろうか。このような問題意識のもとで、大塚・諶らは 2016 年 11 月 17 日~ 19 日に 大連市において正規雇用と家族介護をおこなう女性たち 7 人に聞き取り調査をおこなった。中 国においては公共機関を通じた聞き取り調査の実施は困難なため、私的ネットワークを使って 東北財経大学に正規雇用で勤務する教員 6 名と職員 1 名に、1 人につき 30 分~ 1 時間ほどの 聞き取りに協力してもらった。7 名のうち、50 代が 4 人、30 代が 3 人であった。質問項目と しては、日常生活における仕事と介護の両立、高齢者ケアをめぐる社会的ネットワークを構成 するアクターとの関係を中心に語ってもらった。 その結果、調査対象者 7 人中 5 人が既にダブルケア、すなわち 2 人のケア依存者(たとえば、 実母と義母、実父と子ども)の世話をしている状況であった。ただし、7 人中 6 人は主たる家 族介護者ではなく、要介護高齢者の配偶者および兄弟姉妹と介護をシェアしていた。主たる家 族介護者である 1 名も、姉妹と半年交代で主たる家族介護者の役割を担っていた。長男など特 定の子どもおよびその配偶者に介護負担が集中する日本とはこの点が大きく異なり、確かに兄 弟姉妹ネットワークの強さはみられた。しかし、30 代の調査対象者のうち 2 名は一人っ子世 代である。調査対象者の老親の要介護レベルは日本の要介助 2 ~要介護 2 くらいであったが、

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今後要介護レベルが進行するなかで責任が集中することに不安を抱えていた。 一般労働者よりも高所得であるにもかかわらず、訪問介護労働者に老親のケアを任せている 調査対象者は 7 人中 2 人いた。しかしながら、彼女らのスキルの低さと老親への態度に非常に 不満があるものの、他に手段がないために、耐え忍んで雇用をしているようだった。7 人中、 姉妹と半年交代で主たる介護をおこなう 1 人は老親と同居しているが、他の 6 名は 2 名を除き 近居である。高齢者介護施設への入所は調査対象者・要介護高齢者ともにケアの質の低さから 拒絶していた。大連市が社会的ケアシステムの構築を試行しているにもかかわらず、公的サポー トの利用者はいなかった。隣人との付き合いはあるものの、コミュニティの役割に期待もしく は利用している者も皆無であった。 4.3.考察 格差拡大が著しい中国という大国を一括りにとらえることは不可能であるが、中国における 介護労働者は、農村からの出稼ぎばかりではなく、都市在住の失業者も含めた中年の女性であ ることが、調査から明らかにされた。介護労働者の多くは、低学歴・低収入・低待遇・低スキ ルである。国家資格はあっても有資格者は少なく、また有資格であることが特別な利点となっ ているわけではない4)。介護労働者の質の低さは、介護職の不安定さや人材不足をひきおこす。 ましてや大連市のような特大都市では、介護業務の質の低さゆえに、富裕層であっても介護労 働者への依存を躊躇し、施設の利用は対象外となっている。富裕層であっても家族介護者はダ ブルケアをおこなう女性が多いが、兄弟姉妹がいるうちは、経済的に豊かな者が介護における 経済面を支援し、そうでない者がケアを担うというように、男女に関わりなくとまでは言い切 れないであろうが、共同介護がまだ可能になっている。しかし、一人っ子世代には自身に集中 する介護が不安とともにストレスとなっている。 いずれにせよ大連市のような特大都市では公共・民間を合わせても介護サービスの質が低い がゆえに、介護の社会化は進んでいない。コミュニティによる支援の仕組みについて大連市は まだ試行中で、周知されていない様子が伺えた。女性介護労働者の専門性を高めていかない限 り、二人稼ぎ手が当たり前の中国社会においては、家族介護者の介護からの解放はないものと 思われる。

5.おわりに

本稿では、高齢者介護政策をめぐって福祉国家が女性の役割をどのように位置づけているの かを、介護労働者と家族介護者との関係からデンマークおよび中国について検討してきた。デ ンマークも中国も、日本とは異なり、二人稼ぎ手を基礎とする社会であるが、前者が質の高い ケアレベルを維持するため、女性に経済的に自立した公務員としての地位を介護労働者として 保障したのに対し、中国では、格差社会を反映して、農村戸籍の低学歴な女性の質の低い、安 価な労働となっている特徴は明らかになった。

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しかしながら、家族介護者の視点を組み入れてこの 2 ヵ国を分析していくと、デンマーク・ オーデンセ市の事例では、介護労働者である女性公務員の数が削減され、その分の負担が、コ ミュニティや家族のベクトルに向かっている。もちろん、高齢者ケアといっても、さまざまな レベルがあり、コミュニティや家族に期待されることは、アレンジメント、精神的なサポート や見守りになろうが、ここでも公私の境界が曖昧になりつつある。一方、中国・大連市の事例 では、兄弟姉妹の共同介護ネットワークは現時点では機能していることと、介護労働者および 施設の質の低さゆえに、家族・親族による選択の結果として、家族・親族の負担はそれほど軽 減されていないことがわかった。兄弟姉妹の間の介護負担に関してジェンダー偏倚があるのか については、今回の調査では明らかにできなかったが、男兄弟がケア負担をしているという話 は皆無であった。いずれにせよ、一人っ子世代にとって介護は男女に関わりのない課題となる ため、早急な介護の社会化の仕組みづくりとともに、介護労働者の質の向上が求められる。 本研究は 2 ヵ国とも 1 つの自治体における限られた人数の対象者にしか聞き取り調査をおこ なっていないため、各国の状況を一般化することは不可能である。しかし、福祉先進国・福祉 途上国のいずれであっても、政策的方向性と裏腹に女性の介護者としての役割は公私の間をさ まよっている実態は確認できた。高齢化問題は女性問題であるとよくいわれるが、介護問題に 女性のみが関与しない社会は果たして訪れるのであろうか。社会全体で老若男女が何らかの形 で高齢者ケアに少しずつ関わる仕組みを整えることが、公私に関わらず女性に期待される介護 役割を軽減することにつながると思われるが、どのようにその仕組みを整えるのかに関しては 各国とも試行錯誤中であり、一挙に社会が破綻しない程度のトータルかつフレキシブルな定常 的発展が求められるであろう。

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1) この類型は、2012 ~ 2015 年度科学研究費補助金(基盤研究 B)「グローバル化する介護労働と福祉国 家における女性の役割 : 国際比較調査からの考察」(杉本代表)によるものである。他に、アメリカ「移 民型」、韓国「混合型」がある。韓国の事例については、杉本(2015)を参照されたい。 2) オーデンセ市における聞き取り調査の詳細に関しては、大塚(2014)を参照されたい。 3) 中国における都市規模は 2014 年より「超大都市」(人口 1,000 万人以上)、「特大都市」(人口 500 万人~ 1,000 万人)、「大都市」(人口 100 万人~ 500 万人)、「中都市」(人口 50 万人~ 100 万人)、「小都市」(人 口 50 万人以下)の 5 区分となった。 4) 自治体によっては有資格者には手当が支給される。たとえば、台州市は資格等級に応じて月額 100元(初級)、 200元(中級)、300元(高級)となっている。北京市では高級資格試験受験者に対して 800元が支給され る。しかし、大連市を初めとする多くの地域では、このような特別支給はまだない(中国政府調達ネッ ト 2014 年)。 参考文献 王若维・杨庆爱・王桂云「山东省养老机构护理员现状调查」(山東省養老機関の介護労働者の現状調査)『护 理学杂志』(護理学雑誌)第 30 巻 2015 年 1 月 pp.81-83。 黄菲・张会君・尹姣「辽宁省养老机构护理人员培训现状及需求」(遼寧省の養老機関における護理人員の 教育の現状とニーズ)『中国老年学杂志』(中国老年学雑誌)第 32 巻 2012 年 2 月 pp.570-573。 王文艳「居家养老服务护理人员的职业困境分析-以西安市 R 非营利组织为例」(在宅介護員の職業問題分 析 ― 西安市 R 組織の事例から)『传播经纬』2015 年 2 月。 大塚陽子「デンマークにおける介護労働とジェンダー-高齢化と女性の役割に関する再考察」乙部・山口・ 伊里 編著『社会福祉とジェンダー』ミネルヴァ書房 2014 年。 落合恵美子編 『親密圏と公共圏の再編成-アジア近代からの問い』京都大学学術出版会 2013 年。 姜波「中国全土に推進される在宅介護サービス事業の現状と課題」『川崎医療福祉学会誌』No.1 2011 年 1 月。 杉本貴代栄「グローバル化する介護労働と福祉国家における女性の役割-韓国のケースから考察する」『金 城学院大学論集 社会科学編』2015 年 3 月。 中国政府采购网(中国政府調達ネット)「大连市养老机构服务人员力争年底全员持证上岗」(大連市養老機 関全員有資格を目指す) (http://www.ccgp.gov.cn/gpsr/gdtp/201411/t20141115_4733457.htm)2014 年 11 月 15 日。 中華人民共和国国家統計局「2014 年国民経済和社会発展統計公報」 (http://www.stats.gov.cn/tjsj/zxfb/201502/t20150226_685799.html. 2016 年 3 月 20 日アクセス)。 中華人民共和国民政部「養老護理員国家職業標準」 (http://jnjd.mca.gov.cn/article/zyjd/ylhly/201003/20100300063434.shtml)2010 年 3 月。 国家労働社会保障部『中国労働保障報』中国労働保障出版社 2016 年。 张亮・徐安琪「家政从业人员的权益保障及社会支持-以上海家政服务为例」(家政員の権益保障と社会支 援-上海家政サービスの例から)『社会科学』2011 年第 2 期。 陈惠芳・杨芬红・施永兴「上海市老年护理医院护工的服务现状」『中国全科医学』第 11 巻 2008 年 6 月 pp.929-930。 徐輝「中国上海市における高齢者介護意識に関する研究- 一人っ子政策の影響を探る」(日本語) (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I002533430-00)2014 年。

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