ミツバ チ科学23(1):5- ll
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ミツバ チの糞 につ いて∼ ア ンケー ト調査 の結果 か ら
赤松
え り子,中村 純
安価な輸入生産物,蜂病,蜜源の減少,後継 者問題など養蜂を取 り巻 く環境 は厳 しい状況に ある. この中で,近年,近隣住民 との問で ミツ バチの糞 による車両や家屋,洗濯物などの汚損 に関する トラブルが増加す る傾向にある. これ は,国内外を問わず同様の傾向で,中古車店の 車両汚損 によって引 き起 こされた判例がアメ リ カ の養 蜂 雑 誌 に紹 介 さ れ た こ と もあ るが(
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, 趣味養蜂が盛んで一般の理 解を得やすいと考え られるヨーロッパで も裁判 沙汰が後を絶たないとい う. 昨年(
2001
年5
月),マスコミに 「空か ら街 を襲 う謎の物体大追跡」(日本 テレビ)とテ レビ で2回 にわた って大 きく取 り上 げ られた こと をきっかけに,国内で も車両や洗濯物の汚損が ミツバチの糞 によるものではないか という問い 合わせが増えてきている. また実際に ミツバチ 科学研究施設 に ミツバチの糞による汚損を防 ぐ 方法に関 しての一般か らのイ ンターネッ ト経由 での問い合わせ も急増 している.養蜂家の対応 も種 々で,裁判で係争中であるとか,実際に損 害賠償を した例,あるいは苦情をきっかけに規 模縮小,転地,挙げ句の果てに廃業 したという 例 もある.いずれ も養蜂経営に多大な影響を及 ぼす経緯をたどってお り,何 らかの本格的な対 応が求め られている状況 にあることは紛れ もな い事実である. 糞による汚損を防止す る対策を講 じるにあた って必要 な科学的な知見 は, しか しなが らほと んどといっていいはどない.腸管内での糞の形 成 については,花粉の消化吸収などの生理学的 な見地 か ら付随的 に扱 われた研究があ るもの の,巣の外で飛行中に糞 をする,などといった 記述 は多 くの養蜂書 にも見 られるが,実態 は必 ず しも明かにされていない. こうした事情を鑑みて,玉川大学で も ミツバ チの脱糞 に関 して基礎的な情報の集積および最 終的には糞 による汚損の防止対策を目標 として 研究を始めることになった.防止対策について は,今のところ成果が出ていないが,本稿では, 脱糞に関する基礎的な実態の把握状況 と養蜂家 の意識調査を目的 として行 ったアンケー ト調査 の結果を報告 し, この問題の実態がどのような ものであるのか読者の方 々に周知 したいと思う.
ア ンケ- ト調査20
00
年1
1月,社団法人 日本養蜂 はちみつ協 会 (以下 日蜂協)の協力を得て,全国の会員か ら無作為 に約400
名を抽出 し,作成 したアンケ ー トを郵送配布 し,回答を回収 した. アンケー トの内容 は,養蜂形態および規模,糞 に関す る 苦情の経験の有無,およびその内容,経緯, 日 頃の対策などである.2001
年6
月 には,神奈川県湘南家畜保健衛 生所の協力を得て,神奈川県内の養蜂家72人 を対象に,定例の腐姐病検査時に家畜保健衛生 所の職員 による上記 に若干 の追加項 目を加えた アンケー ト内容に関 して聞 き取 り調査および配 布回収を行 った. これ らのア ンケー トの集計結果か ら,問題の 発生傾向や,養蜂家が実際に行 っている対処法 などを解析,抽出 した.なおいずれかの結果に 基づいている場合 には図中では 「日蜂協」およ び 「神奈川」の表示でどちらのア ンケ- トの結 果であるかを示 した.図1 糞による汚損の認知は苦情を受けた経験のあ るなしにかかわらず高いものであった.(神奈川) 糞 に関する苦情への養蜂家の認知 1)糞 による汚損の認知 日蜂協会員 に対す るア ンケー トでは,郵送配 布 した406名 の うち193名 か ら回答 を回収で き,回収率 は48%に達 した.これは日蜂協 自身 が1997年 に配布回収 した 「養蜂 に関す るア ン ケー ト」の回収率をわずかに上回 っている. こ の回収率が高か ったこと自体,養蜂家が ミツバ チの糞 に関す る苦情 につ いて 日頃高 い意識 を持 っていることを示す ものであるといえ る. 一方,神奈川県養蜂家 に対す る同様のア ンケ ー ト(対象72人全員か ら回収)での設問 「ミツ バチの糞 による汚損 を知 っているか どうか」 に 対す る回答で,「知 ってい る」 (苦情経験 にかか わ らず) と答 えた養蜂家 は全体 の約86%を 占 めていた (図 1).実際の苦情 の経験 よ りもはる かに高 い比率で問題 と して捉 えているというこ とは,苦情の発生 に至 っていないものの, その ことが問題化す る可能性 については多 くの方が 正 しく認知 していることが うかがえた. 0 0 0 6 4 2 (% ) 櫛 番 麗 些 軸 九 州 四 国 中 国 近 畿 東 海 北 陸 甲 信 越 南 関 東 北 関 東 東 北 北 海 道 図2 地域 ごとの苦情経験率は多少のばらつきはあ るものの特に偏りはない.この問題が全国的な問題 であることをうかがわせる.(日蜂協)
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糞 に対する苦情の経験 糞 に関 して苦情を受 けたことがある養蜂家 は 日蜂協会員では,回答者193名中85名(44%) で, ほぼ半数 という高 い比率であ った.地域削 に見て特 に苦情 の発生 に偏 りはな く, この問題 は地域性 の低 い,養蜂 に普遍的な問題 とな って いることがわか る. 神奈川県内の養蜂家72名中18名 (25%)が 苦情経験者であ った (図 1).これは,神奈川県 では- ウス内の花粉媒介用 に ミツバチを飼養 し ている養蜂家が多 く, これ らの養蜂家 には苦情 経験者が少 ない傾向にあ る (図 3) ことがひと つの要因 といえ る. もっともア ンケー トを郵送回収 した 日蜂協会 員の場合,苦情経験者 ほど回答 に積極的であ っ た可能性が高 く,基本的 に全戸訪問調査で,冗 答回収率が100%であった神奈川県のア ンケー トでは,苦情の経験のない養蜂家 を含 めたより 平均的な数字 になっているといえる. したが って全国的に見 た場合,飼養 している ミツパテの糞が もとで近隣か ら苦情 を寄せ られ ている養蜂家の実際的な比率 としては,神奈川 県で得 られた25%程度 と見 なすのが妥 当であ ろう. しか し,それで も養蜂家の4人 に 1人 は 実際に苦情 を受 けたことがあるとい うことにな り, この問題がすでに全国的に広 く及んでいる ことは疑 いようがない. l苦情なし - 苦情あり ハチミツ ローヤル 花粉媒介 鑑賞 生産 ゼリー生産 図3 蜜蜂の飼養E]的によって苦情を受ける率には 若干の差が見られる.強群の集団維持になる生産蜂 群が苦情の原因となりやすいためであろう.「鑑賞」 は,趣味養蜂などを含む.(神奈川)昭和30年 31- 64 平成 1年 6年∼ 以前 年 ∼ 5年 12年 図4 予想通 り最近になって苦情の発生率が増加 し ている.養蜂家の多くが,住宅地が郊外-進出し始め た昭和後半からこの問題の発生を意識 していたよう である.(日蜂協十神奈川) 3)苦情の時期 苦 情 を 受 け た年 代 と して は,昭 和30年 (1955)以前 は少 な く, それ以降 と答えた回答 数が増えている (図 4).おそ らくその後の都市 化 の進行 に伴 って苦情 が増加 したためで あろ う.また平成6(1994)∼12年 (2000)と回答 した ものが最 も多 く,糞 に関す る苦情 は養蜂 に とって新 しい問題 とな って きて い ると もいえ る.
4)
養蜂形態 定飼養蜂 あ るいは転飼養蜂 で あ るか によ っ て,苦情 を経験 して いるか ど うか の比率 には 大 きな違 いがみ られ,苦情経験者 の内訳 におい て定飼養蜂を しているものの占める割合が大 き くなっている (図 5). 転飼養蜂の場合, ひと _ 苦情なし『『l苦情あり 定飼 転飼 混合 定飼 転飼 混合 日蜂協 神奈川県 図5 全国的には定飼養蜂家の方が苦情を受けてい る比率が高い.またいくつかの蜂場を持っている「混 合 (個々では定鋼と転飼双方を行っている養蜂家)」 場合は苦情を受ける率が高 くなっている. 7 つの蜂場での滞在期間が限 られているため苦情 が発生 しに くいことも考 え られ るが,一方で千 葉県 などでは逆 に転飼養蜂家に対す る苦情が多 発 してお り,神奈川県内養蜂家の場合 に も,定 飼養蜂家での苦情経験 は少 な く, 日蜂協会員の それ とは逆の結果を示 した. したが って苦情 を 受 けることについて養蜂形態だけが特定の要因 になることはないと考 え られる.定飼養蜂で苦 情が問題化す るのは近隣 に後か ら住宅地が進出 して きたケースがほとん どのよ うで,都市部 よ りも都市近郊 などや地方都市でそのような例が 見 られた.転飼養蜂で も同様で,特 に脱糞の集 中 しやすい早春期や梅雨期 に蜂群を置 く蜂場 の 周辺 の住宅の進出状況が関与 していると思 われ る. 5)養蜂規模 一方で,蜂場の規模 は苦情の発生傾向に密接 に関係 していた (図 6).蜂群数が10群以下 の ときには苦情を受 けた経験が最 も少 な く, それ 以上 の群数 になると苦情経験が増える傾向にあ り,50群以上 の蜂群 を有 す る養蜂家 は高 い比 率で糞 に関す る苦情を受 けている.ただ100群 以上 の場合,蜂場 にそれな り面積の土地が必要 とな り,蜂場 の設置場所 が人家などか ら遠 ざか ることが苦情を受 ける割合を制限す る要因にな っていると考え られた.もちろん100群以上 を 所有す る養蜂家で も,蜂場の設置場所 によって 0 0 4 2 ( % ) 櫛 番 廼 些 如 20 30 50 100 100 蜂群数 未満 以上 図6 蜂群数が多いほど苦情を受ける比率は高 くな る.規模が大きい場合(
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0群以上)は蜂場の設置場 所が関係 してくるので, 50群以上での苦情を受ける 比率の増加は見られない.(日蜂協+神奈川)8 80 60 # * 40 回 20 0
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0 市街地 田園地 林地 その他 市街地 田園地 林地 その他 図 7 定飼養蜂では峰場の設置場所は苦情の受けや すさには影響がないように見える (上)が,転飼養蜂 では市街地での苦情率が高い (下).(日蜂協+神奈 川) は苦情 を受 けやす く,蜂群数が多 いことは近隣 か らの苦情 を受 けやすい第一 の要因 と考え られ た . 6)蜂場の設置場所 蜂場 の設置場所 に関 して,定飼養蜂では転飼 養蜂 に比べ,市街地で も苦情 を受 けたとい う養 蜂家 は少 ない傾向にあ り,実際には苦情 を受 け に くいと思われ る林地 などに蜂場 を設置 してい る養蜂家 と苦情 を受 けた比率 には差が見 られな い (図7上).一方,転飼養蜂家の場合 は,市街 地 に蜂場 を設置 した養蜂家が苦情を受 けている 比率が高 い (図7下).これは,定飼養蜂では近 隣の住民が養蜂 その ものをよ く知 ってお り, そ れが原Eqで起 こる糞 の問題 にも長年 の ことで寛 容であるか,古 くか ら養蜂家 自身 との付 き合 い があるため,苦情 という形 で問題が表面化 しに くいのであろう.後述のよ うに養蜂家 自身 も生 産物,主 にハチ ミツを配布す るなど して近隣の 理解を得 るよ う努力を していることが多 いよ う である (図17参照).これに対 して転地養蜂で 車両 洗濯物 家屋 農作物 苦情主 60 蜜 40 両 20 0 個人 住民団体 企業 自治体 その他 図8 苦情の原因としては車両,洗濯物の汚損が圧倒 的に多い (上). このため苦情主としても個人が多い が,一部に車両販売会社などの企業が含まれる (下). (日蜂協+神奈川) は,設置す る蜂場周辺 に新興住宅地が拡大 して 接近 し,新 しい住民 との問で トラブルが発生 し やすい状況を招 いているよ うである. 7)苦情の原因 と苦情主 苦情の原因 となる糞 による汚損 は,車両や洗 濯物であ り (図8上), そのため苦情主 も多 く は個人であ った (図8下). 神奈川県内では企 業か らの苦情 が29%を 占めたが, この中 には 車両販売企業や蜂場周辺 に駐車場 を持つ企業 な どが含 まれている.汚損 の激 しい貸家 を所有す る家主か ら苦情が発生 した例 もある.養蜂場が 先 にあった場合,企業 などは地域 との関係か ら 苦情を申 し立 てに くい状況 にあるよ うだが,個 人の場合 は一時的な住民か らで も苦情が出やす い.個人か らの苦情 は,通常,役所 (環境衛生 課 など) などの公的機関が取 り扱 い, そ うした 機関か ら養蜂家へ申 し入れがあるというのが一 般的である.農産物の汚損が原因 となっている が,海外で も,花井栽培農家 などが苦情主 とな っている例がある.南 東 南東 南西 西 北 北東 北西 南西 1 2 3 4 5 6 7 8 910 ll12月 図9 ミツバチの活動が始まる3月から6月までが 苦情の多い時期になる.冬季を除けばほぼ年中苦情 が発生 している.(日蜂協+神奈川) 図10 苦情を受ける期間は平均的には2か月だが, 蜂群数が多 くなると,苦情期間も延長する傾向にあ る.(日蜂協+神奈川) 糞公害の実態 1)季節性 養蜂家が近隣か ら苦情 を受 けた時期 と回答 し たのは, ミツパテの育児が盛んな3月の早春か ら梅雨期までが多 く,盛夏 になると減少 し,秩 期 に若干増加 している (歯 9).これは ミツバチ の生理的な問題 (蜂児生産が盛んな時期が花粉 の消費が多 い-糞の形成量が多 い)および天候 要因 (雨や寒気 によって脱糞が制限 され る-特 定の 日に脱糞が集中 しやす い) ことによると考 え られ る. 苦情を受 けた月数 は,年間約2か月で,所有 蜂群数が増加す ると, この月数が増加す る傾向 にあった (図10).蜂場 の設置場所が市街地 に 近 いほど苦情 を受 ける月数が長 くなることが予 想 されたが, この点 につ いては必ず しも明確 な 傾向ではなか った. 図11 苦情は蜂場の南∼東側から寄せられる.巣箱 を設置する時の巣門の向きが関係 していると推測さ れる.(日蜂協+神奈川) 100 200 300 500 500超 苦情発生足巨離(m) 図12 苦情は蜂場の近 く (100m以内) から多く寄 せられるが,500mを超えて持ち込まれる苦情 もあ る.蜂場周辺の地形,植生や家屋の配置なども大きく 影響を与える要素になり得る.(日蜂協+神奈川) 2)方角 と距離 苦情が発生 したときの蜂場か らみた苦情主の 方角 (糞 によ る汚損 が発生 した方角) と して は,南 と答 え た ものが最 も多 く,次 に東 とな り,それ以外 の方角 には比較的少ない回答 とな った (図 11). 日本では ミツバチを飼育す ると きに一般 に巣箱 (巣門) の向 きを東か ら南向 き にす るので, これが糞 による汚損が起 きた方角 に影響 している可能性がある.対処 において巣 門の向 きを変え ることで多少の解決 をみたとい う回答 (図16参照)もあるので,巣門の向 きと 汚損の発生 との関係 は考慮すべ き点か も知れな
い.
また蜂場 か ら汚損場 所 までの距離 と して は 100m未 満 と答 え た ものが最 も多 か った (図 12).しか し,500mを超 え るケースもあ り,糞 による汚損 の範囲が広範囲 に及ぶ ことが示 され図13 市街地の蜂場では遠くからも苦情が来るよう になる.(日蜂協+神奈川)
(∈)出蓄
朝 鮮 堕 軸 10 20 30 蜂群数 50 100 100 未満 以上 図14 蜂群数が増えるほど苦情は遠 くもから来るよ うになる.市街地の蜂場でたくさんの蜂群を飼育す ることは,広範囲から糞に対する苦情を受ける可能 性が高いといえる.(目蜂協十神奈川) た.特 に市街地では田園地帯 よ り遠距離で も苦 情が発生 している (図13)が,これは市街地の 方が蜂場か ら遠距離 まで住宅地があ り,苦情 を 申 し立てる住民が多 いか らであろう. また蜂群 数が増加す るほど遠距離で も苦情が発生す る傾 向にあ った (図14). これ も ミツパテの飛行範 囲が拡大す ると考えるよ りは,蜂群が増えるこ とで糞 の量 も増 え,苦情 の発生 につなが ると考 え られる. 苦 情 へ の対 処 1)対処の実態 苦情を経験 した養蜂家の うち, 日蜂協会員で は80%,神奈川県内養蜂家では94%が,苦情 を放 置 せず,何 らか の形 で対処 して い る (図 15).対処方法 としては,蜂場移転(55%)す る か群数 を減 らす (27%)といった,養蜂経営 自 体 に影響 の大 きい方 法が選択 されて い る (図 神奈川県 図15 ほとんどの養蜂家が苦情に何らかの対処をし ている.冬になって糞の付着が見られなくなるため, 放置 しているうちに苦情が釆なくなったという回答 もあった. 図16 実際の対処法としては,蜂場の移転,蜂場規 模の縮小など,養蜂経営上,多大な影響を被るものが 80%を超えている.(日蜂協+神奈川) 16).一部 には苦情 を きっか けに廃業す る養蜂 家 もお り, ミツバチの糞への苦情 は,養蜂経営 にとって無視で きない影響 を与えている. 巣箱 の向 きを変えたことで解決 をみたという 回答が, 日蜂協会員,神奈川県内養蜂家の両調 査 ともそれぞれ 1件 あった.比率的には小 さい ものの効果のある可能性 は高 い.ただ,巣門の 方向を変えた場合,新 たな苦情の発生 につなが る可能性 もあるので注意が必要である. 「その他 の対処」と して は,生産物配布 など養 蜂家 らしい解決方法が含 まれ, ミツパテの有用 性を訴え ることで近隣の理解 を得ているという もの もあ った (図17). 2)対処後の経過 何 らかの対処後,約60%以上 が和解 した と 回答 している.蜂群 を移動 し,あるいは群数 を 減 らす ことによって,糞の付着が減少,あるい は見 られな くなった こと,相応の対策を講 じた図17 神奈川県内の養蜂家に糞の汚損の対応あるい は養蜂への理解を得るために日頃行 っていることを あげてもらったところ,30%を超す養蜂家が生産物 の配布をしていた.(神奈川) ことへの苦情主側か らの評価が和解 の主 な理 由 となっている (図18).一部 には裁判で係争中 とな っているものや新 たな苦情が発生 し,問題 が終結 していない養蜂家 もいた.根本的な解決 法や防止策がないため,和解 の比率が予想以上 に低 いといえる.
おわ Uに
ア ンケー トの集計結果 を見てみると, ミツパ テの糞 によるいわゆる 「糞公害」が,事実上, 今 日の養蜂 にとって負担 の大 きい問題 と化 して いるのは明 らかであ った. 防止策がない現状では,蜂群を移動 したとき や,雨天の続 いた後 など,糞 による汚損の可能 性 について近隣に周知 してお くことも事前 に ト ラブルを防 ぐ一助 にはなるだろう.養蜂経営 に 大 きな影響を与 える転地や規模縮小 などではな 図18 対処後の経緯の多くは和解 し, あるいは糞の 付着が見られなくなったことで苦情が出なくなると いうものであった.比率的には小さいが解決に至 ら ないという事例もある.(日蜂協) ll い解決策が望 まれるが,一方で市街地での飼育 許容群数 はある程度制限 されるものと考える必 要 もある (海外ではそ ういった条例が制定 され て いるところ もあるとい う).野外 で活動す る ミツパテの飛行中にお こる脱糞 を制限するのは 難 しいことだが,一方で何 らかの物体 (洗濯物, 墓石,壁面など) にとま って糞をす るところが 目撃 されてお り, これに代わる何かを用意 して 集中的 に糞をさせ ることが可能か も知れない. いずれに して も ミツバチを飼育す る側か らで き ることを模索 してい く必要 はある. 現状では防止策 に関す る研究が遅れていると いえ る.今後 と もこの問題 を真筆 に受 け止 め て,個 々の養蜂家 による工夫 も取 り込んだ形 で 防止策の開発が進む ことを願 っている. 最後 に, ア ンケー トに ご協力 いただいた日蜂 協会員 な らびに神奈川県 の養蜂家の方 々,訪問 調査を担当 していただいた神奈川県湘南家畜保 健衛生所 の菊池知美技師をは じめとす る各家畜 保健衛生所 の職員 の方 々 に深 く御礼 申 し上 げ る. (〒194-8610町田市玉川学園6-1-1 玉川大学 ミツバチ科学研究施設) 引用文献 Lorlng,M,1984.Am.BeeJ.ll:773-774.ERIKO AKAMATSU and JuN NAKAMURA.Ques -tionnairesurvey on "fecaldropsofbees"asa new problem ofbeekeepinginJapan.Honeybee Science(2002)23(1):5-ll.HoneybeeScienceRe -search Center,TamagawaUnlVerSlty,maChida,
Tokyo,194-8610Japan.
Yellow soilageoncars,roundly,housewalls,
etc.by fecaldropsofhoneybeeskeptby bee -keepersisnow in trouble,and to survey the actualstatusoftheproblem,weconductedbee -keepercenteredquestionnaires.
Almostofbeekeeperscorrectlyrecognizethe problem and 25% ofthem areactually experi -enced any grievances agalnStthe feces Bee -keeperswhohaveaplariesln Cityareawltha largenumberofcolonywillcausetheprobelm. TomoveaparleSOrtOreducecoloniesareonly way to solve it.butltCause Serious loss in beekeepingbusiness.