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2020年度博物館学芸員養成課程講義にかかる動向1 : 博物館教育論を題材として

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実践報告

2020 年度博物館学芸員養成課程講義にかかる動向 1

―博物館教育論を題材として―

Trends in museum curator training course lectures 1

on the subject of museum education

橋本唯子

HASHIMOTO Yuiko

和歌山大学教養協働教育部門 准教授

Abstract

Of the museum curator training course offered by the author in the first semester of 2020, "Museum Education" was conducted as a distance lesson centered on on -demand lessons and group work. Among the lesson contents, we will show an example of the present ation of assignments, and show the results and assignments based on the results of questionnaires from students. Keywords: 博 物 館 学 芸 員 資 格 取 得 科 目 博 物 館 教 育 論 遠 隔 授 業 課 題 提 示 博 物 館における学びの意義 1. はじめに 2020 年度は、世界中において新型コロナウイルス感染症における対応が迫られる なかで、教育機関もそ の影響を大きく受けた。本学では特に前期に おいて原則として 遠隔授業が用いられ1、学生・教職員の多くが対応に苦慮した。 本 稿 で は 、 筆 者 が 和 歌 山 大 学 博 物 館 学 芸 員 資 格 取 得 に 関 す る 運 営 委 員 会 委 員 長 を 務め、当該資格取得に 必要な講義を多く担当していることがあり、特に博物館学芸員 資格取得における遠隔授業のメリットとデメリットについて検討する。なお、今年度 前期に博物館教育論を担当したため、当該科 目を 主な検討材料とし、それ以外の科目 については、別稿に譲ることとする。

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120 2-1. 博物館学芸員資格について 既 に 周 知 の こ と で は あ る が 、 学 芸 員 資 格 と は 博 物 館 法 に よ っ て 定 め ら れ た 資 格 で あり、本学では全 19 単位を取得し、学士の学位を有することによって得ることがで きる。本学では連携展開科目のうち資格科目(ミュージアム科目)と位置づけられ2 全学部学生が資格取得可能となっている。 既 述 の よ う に 今 年 度 前 期 は 原 則 遠 隔 授 業 と い う 方 針 が 決 ま り 、 最 も 進 行 が 困 難 で あったのは通年科目として開講している「博 物館実習Ⅱ」(館園実 習)である3。当該 科 目 に つ い て は 現 時 点 で は 講 義 が 終 了 し て い な い た め 、 改 め て 検 討 す る こ と に し た い。 ミュージアム科目のうち、前期開講を予定 していたのは、筆者担 当「博物館教育論」 と、別の教員が主担当である「博物館資料保存論」、同じく「生涯 学習概論」(教育学 部開講科目を全学部生に開放)であった。このうち、「博物館資料保存論」について は、一部実地授業が必 要であったため、和歌 山大学博物館学芸員資格取得に関する運 営委員会を開催し4、審議した 結果、後期開講とした。 2-2. 講義形式 このような経緯を経て 、博物館教育論を今 年度前期に 開講した。遠隔授業 にはさま ざまな手法があるが、どのような講義を行うべきか。本学遠隔授業 実施ワーキング・ グループが提示した「和歌山大学遠隔授業実施ガイドライン」によると、「 感染拡大 防止の観点から、全て の教員が導入可能な平易な方法を推奨するとともに、受講学生 の受信環境に配慮した配信方法を推奨する 」ことが基本方針として掲げられ、より具 体的には、本学学習支援システム(Moodle)を活用し、音声付きパワーポイントを公 開することが推奨モデルとして提示された。そのため、当該科目で は順次音声付きパ ワーポイントをオンデマンド型で 公開し、授業後半において Teams を活用したグル ープワークを実施した。 この点においては、「4. 受講学生からの反応」において示しているように、「 授業 の ス ラ イ ド が た ま に 勝 手 に 次 に 進 ん で し ま う よ う な こ と が あ っ た 」 と い う 声 が あ り (複数)、以後後期授 業においては、音声付きパワーポイントと、音声動画形式とを 選択できるように両方 アップすることで改善策とした。 2-3. 博物館教育論とは まず博物館教育論とは、改正博物館法の公布・施行(2008)に基づき、翌年『学芸 員養成の充実方策について』と題した報告書が作成されたことを契機として、2012 年 4 月から全面的に実施された新しい学芸員養成カリキュラムのうちのひとつである。 同上報告書に付された「(別紙 2) 大学における学芸員養成科目の改善(ねらい・ 内容)」によると、当 該科目のねらいは「博物館における教育活動の基盤となる理論

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121 や実践に関する知識と方法を習得し、博物館の教育機能に関する基礎的能力を養う」 ものである。またその内容は、「学びの意義」「博物館教育の意義と理念」「博物館の 利用と学び」「博物館教育の実際」などとなっており、科目の重要性については「こ れからの博物館がどのようにあるべきかを考えた場合、「博 物館教育論」を避けては 通れない」といった指摘もなされている5 2-4. 博物館教育論を遠隔授業で行う際に検討すべきこととは 既 述 の よ う に 本 学 で は 音 声 付 き パ ワ ー ポ イ ン ト に よ る 授 業 の 公 開 が 推 奨 さ れ た た め、この形式に基づいて、なおかつ博物館教育論を教えるために上記ねらい・内容に 準拠しながらどのように 授業内容を伝えるべきかを検討した。 「(別紙 2) 大学における学芸員養成科目の改善(ねらい・内容)」では、「学び の意義」が内容として記されている。しかしそもそも 受講学生の多くは、博物館が社 会 教 育 施 設 で あ る と い う こ と に 対 し て 認 識 を 持 っ て い な い 。 学 生 た ち に と っ て 学 び の場とは限りなく「学校」にあり、それ以外 の場所やそれ以外の学び方について意識 はほとんどないのが現実である。 当該科目において重要な「学びの意義」とは、すなわち「博物館で学ぶことの意義」 であり、それは具体的 にどのようなものであるか、提示する課題の なか で受講学生た ちが自ら学ぶことによってその意義を見出すことを目的とした。そ のため、当該科目 において、授業内容は もちろんのこと、提出 させる課題の内容に重きを置くこととし た。 3-1. 課題内容 遠 隔 授 業 が 実 施 さ れ て 以 降 、 学 生 か ら 課 題 の 多 さ に つ い て の 意 見 が 散 見 さ れ る 状 況が度々報道 された6。 手探りで授業 を進める なか、これま で ほとん ど用いたことの な い 形 式 に よ る 課 題 提 示 を 検 討 す る う え で 、 さ ら に こ れ ら の 意 見 を 勘 案 す る こ と は 極 め て 困 難 で あ る 。 し か し 、 遠 隔 授 業 に お け る 課 題 に 対 す る 学 生 の 意 見 を 熟 読 す る と、単純な課題の量の多さ という点だけではなく、「フィードバッ クの少なさ」・「図 書館閉館に対応されない課題提示」・「課題 内 容への不満」に集約さ れるように 見受け られた。そこで特にこれら 3 点の改善に焦点を当てた課題提示を検討した。 3-2. 提示課題対策 1 フィードバック対応 この点については、当該講義のみならず担当科目全般において、また 対面授業時か ら常に検討を続けており、毎回 提出させるリ アクションペーパーを毎週確認し、一部 を 画 面 上 に 紹 介 し て 相 互 に 受 講 学 生 が 把 握 で き る 方 法 を 継 続 し た 。 授 業 内 容 へ の 質 問や学生間の意見交換などが行われ、「自分とは違う意見があることがわかり、参考 になった」といった声 を受けている。この点 は遠隔授業となって 以降手 書きからデー

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122 タ提出としたことで対応しやすくなった利点を得た。 3-3. 提示課題対策 2 図書館利用を前提としない課題 本学図書館は、新型 コロナウイルス感染が徐々に拡大する なかで、窓口対応者のマ スク着用やセミナールーム・自習室の使用不 可 など、状況に呼応し た対応を模索して きた。 2020 年 4 月 7 日の緊急事態宣言発出にともない、臨時休館を実施した(6 月 24 日 まで)。そのなかで事前申込による資料利用や学生向け郵送貸出サービス 、在宅でも 利用可能な教育・研究 用電子資料について の案内などに加え、開館 以降は 来館が困難 な学生向け郵送貸出サービスを実施 するなど、さまざまな対策を行って きた。10 月 12 日からはラーニング・アドバイザーの対面相談対応を再開するなど、利用条件も 徐々に制限を緩和しているが、依然昨年度と同様 ではないのが現実である。また、上 記 サ ー ビ ス の 提 供 な ど 図 書 館 の 対 応 に つ い て 都 度 周 知 さ れ て い た と は 言 い 難 か っ た ため、「図書館はずっと使えない」と認識している学生も多かった7。これらを鑑みる と、そもそも図書館利 用を前提としない課題の提示が必要であった。むしろこれを機 会として、IRDB や Google Scholar などを活用する方法を理解し、それらによって課 題を検討することを前提とした。 3-4. 提示課題対策 3 課題内容の検討 既述のように、図書 館による資料調査を前提としない課題とすると、今日ではイン タ ー ネ ッ ト 上 の 情 報 入 手 が 作 業 の ほ と ん ど を 占 め る こ と と な る 。 受 講 学 生 の 多 く が 同じように情報を検索することは容易に理解できる。 しかし、学芸員に求められる能力や知識は、来館者が 表層的に「 ググる」ことで把 握 で き る 内 容 に は と ど ま ら な い 。 む し ろ そ れ を 超 越 し た 説 明 が 加 え ら れ る こ と に よ って展示の奥深さを認識できるのである。そのため、課題では資料を提示し、そこに 含まれた情報をくみ取って、その資料の面白 さを如何に伝えることができるか、を問 う点を意識した。また次の回において、筆者からの回答例を示し、次回以降の参考と することを求めた。 具体的に提示した課題 の一例は以下のものである。 問 : こ の 絵 が 何 で あ る か ( わ か れ ば )、 と 、 こ の 絵 の 「 ど こ が 、 ど う 面 白 い か 」 を読者に伝わるように 400 字以内で説明してください。人(もしくは Internet) に尋ねずに自力で答えを探してください。(中略)作品理解の正確さよりも「見 た人が絵に関心を寄せ、更に知りたいと思わせる文章」に重点を置いてください。 文末に出典を記してください(出典は字数に含まれません)。

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123 筆者が評価するポイントは、「駿河屋」「菓子 所」などの表記から現在も 和歌山市内 に残る老舗菓子舗 総本家駿河屋を描いたものであること、「西浜 御殿」「御所殿御用」 な ど か ら 紀 州 徳 川 家 御 用 菓 子 司 で あ る こ と 、 頭 巾 や マ ス ク の よ う な 被 り も の に よ る 衛生管理、注連縄し め な わと結界・「女人無用」との関係性などを 指し示すこ とである。注連 縄が結界の意を示すことは、たとえば GoogleScholar を用いると、山際(2018)など 多くの文献か ら理解し 得るが8、残念ながら そ の点に言及し た 受講学 生 はほとんどい なかった9 また、この絵が何であるかをどのように探したかという点については、右上の「駿 河屋」から、「江戸時 代 駿河屋」などのキーワードを検索して総本家駿河屋のホー ム ペ ー ジ に た ど り 着 き 、 そ の ホ ー ム ペ ー ジ 上 に 同 じ 絵 が 掲 載 さ れ て い る こ と か ら 把 握したといった記述があった。 上記ポイントについては、一部指摘する受講学生もいたが、「 資料 から得ることが できる情報を見つけ出し解説を加える」とい うこと自体が難しく、総本家駿河屋のホ ー ム ペ ー ジ か ら 羊 羹 に つ い て の 説 明 を 行 う な ど 、 課 題 の 意 図 を 十 分 に 理 解 で き な い 受講学生も少なくなかった。 なお、描かれた人数の 多さを指摘するものや、庶民に向けた菓子と 御用菓子 との相 違、「火用心」に言及するもの など、筆者の意図を超えた指摘もあり、その点は興味 『 紀 伊 国 名 所 図 会 』 後 編 一 之 巻 駿 河 屋 ( 国 立 国 会 図 書 館 デ ジ タ ル コ レ ク シ ョ ン よ り )

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124 深い結果となった。 3-5. その他 Teams によるグループワーク 博 物 館 教 育 論 に お け る グ ル ー プ ワ ー ク に つ い て は 、 遠 隔 授 業 開 始 時 か ら 暗 中 模 索 の末、Teams を活用したグループワークと、オンデマンド型による各班報告および受 講 学 生 に よ る 各 班 の 評 価 、 ま た 最 終 回 に は そ れ ら を 基 に し た フ ィ ー ド バ ッ ク と 総 括 を各班が行って終了することとした。また通 信環境の相違・プライ バシー保護の観点 から「マイク推奨・カ メラ任意」としたところ、全 受講学生がカメラなしでの参加と なった。この点については、次 章において賛否あったことを指摘しておきたい。 3-6. 小括 このように、遠隔授業を用いた博物館教育論 においては、「博物館で学ぶことの意 義」を、受講学生は自 ら提示された課題を解くことによって、より深く 理解すること を大きな目的とした。 そのことは、次 章で示 すアンケートにある、「 他の授業の課題とは 異なった課題で、 取り組むのが面白く、それだけでなく学んだり考えたりすることができた 」(7)や、 「答えがない問いだったため、難しくはあっ たが、次の週に皆の答 えを聞くことは楽 しかった」(8)などの意見によって、ある程度達したものと考えられる。 4. 受講 学生か らの 反 応 受 講 学 生 か ら の 反 応 は 毎 回 の リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー と 、 最 終 回 に お け る ア ン ケ ー ト調査において断片的ではあるが知ることができた。そのうちの一 部を記す。たとえ ば「意外とオンライン 授業の方が一人でじっくり考えたりできたので、普段の授業よ り自分の身になったように感じました」(19)に見られるように、授業への関心が強 まった傾向は明確に感じられた。これは 遠隔授業による利点であった といえよう。

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125 受 講 学 生 に よ る ア ン ケ ー ト か ら 抜 粋 ( 2020 年 7 月 実 施 ) 質問事項 回答 1 聞き直しができるのが良かった。聞き直せることで、前の話と繋げることができる。 グループワークも過度な緊張もなくスムーズに話に入れた。 教員とのやりとりがしづらいが問題かなと思う。特に初対面の教授とは連絡が取りづらい。 2 今期のオンライン授業の中では授業のテンポもよく比較的受けやすいという印象をもった。 3 質問した際にすぐに返信が来ないという点については仕方ないかもしれないがそれはちょっ と課題をやるうえでは辛かった。 4 リアクションペーパーに書いたことを次の授業で反映してくださり、グループワークに積極 的に取り組めたので、十分だったと思います。 5 オンデマンド型ばかりだと疲れるので、少しグループワークがあって良かったです。 6 WEB上での提出であるため、質問や課題が本当に届いているのか、提出できているのかは不 安ではある。 7 他の授業の課題とは異なった課題で、取り組むのが面白く、それだけでなく学んだり考えた りすることができたので満足しています。 8 答えがない問いだったため、難しくはあったが、次の週に皆の答えを聞くことは楽しかっ た。 9 「マイク推奨カメラ任意」とすることで、緊張感や圧がなく、自然体でのグループワークを 行うことができた。結果、満足のいく内容となった。 10 満足。目を見て話すのが私は苦手だったので声だけで話し合うのは学生にとっては嬉しいこ とかもしれない。 11 もう少し仲良くなる時間が欲しいと思いました。カメラは任意だったので誰の顔も見ません でした。グループワークは対面でやるべきだと思います。 12 時間が短い気がする、もっと深い議論がしたい。 13 授業内容は理解できましたか?理 解が困難であったところがあると すると、どこでしたか? これまでのミュージアム科目と同じくらいの理解はできた。 14 授業を複数回視聴することはあり ましたか?あったとすると、なぜ 複数回視聴しましたか? 理解をもう一度深める。授業を進める内に前に言っていたことと関連付けができる。 15 課題する時間を含めて105分の間に収めてほしい。 16 授業を受ける側がやる意思を持っていれば、どのような形でもできると思う。 17 資料と音声による講義で、とても分かりやすかった。また丁度良い課題の量で、他の講義の 負担がおおきすぎる分、とても楽しく取り組むことができた。半年間、ありがとうございま した。 18 いきなり全てオンライン授業の自粛生活になりましたが、対面で人と話すこと、ネット環境 があることのありがたさがわかりました。気兼ねなく県外の博物館、動物園にいけるように なってほしいと思います。 19 意外とオンライン授業の方が一人でじっくり考えたりできたので、普段の授業より自分の身 になったように感じました。 20 授業のスライドがたまに勝手に次に進んでしまうようなことがあったため、同時双方型の授 業の方が受けやすいと感じた。 21 コロナの影響で予想よりも多くの博物館が変化、危機に陥っていることを知り、大変驚きま した。ただ、各博物館がこの状況をどう乗り切るのかに興味を持っている自分もいます。 人々が博物館に向ける「おもしれー」を博物館側は今後どう解消していくのか、注目してい たいと思います。半年間ありがとうございました。 22 学芸員の資格取得を目指しているのですが、何が面白いか、どう伝えるのか考えることがあ まりできていないなと思いました。伝えたいことをただ単に言うだけではだれでもできるの で…。おもしれーが伝わるためには、自分もおもしれーと思うことが何より大事なのではな いのかと思いました。 23 時間のかかるものもありましたが、自分で創造して、でも自分の考えを表すことができるよ うに回答する、今まであまり触れたことがない形式のテストだったので新鮮で面白かったで す。 授業を受けて考えたこと、その他 自由記述欄 この授業を履修して満足していま すか?不満があった場合はどこが 不満だったか教えてください この授業の形態(遠隔・オンデマ ンド型、グループワークのみ同時 双方向型)、教員とのやりとりは 十分でしたか? 各回の課題について、満足してい ますか?不満があった場合にはど こが不満だったか教えてください グループワークについて、満足し ていますか?不満があった場合に はどこが不満だったか教えてくだ さい、また「マイク推奨カメラ任 意」としましたが、それはどうで したか? 以後このような授業が実施される 場合、どのようなことを望みます

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126 5. 改善点および課題 ただし、課題 も顕在化されてきている。「質問した際にすぐに返信が来ないという 点 に つ い て は 仕 方 な い か も し れ な い が そ れ は ち ょ っ と 課 題 を や る う え で は 辛 か っ た。」(3)について、もちろん可能な限り早く返答を行うことを心がけていた。しか し 受 講 学 生 の 一 定 程 度 が 深 夜 に 履 修 ・ 課 題 に 取 り 組 む オ ン デ マ ン ド 型 授 業 に お い て 10、昼夜・休日問わず 絶えず送られる質問に即答できない状況もあった。また提出 期 限間近に示される質問も多い。この点につい ては、常に課題提出に 追われている 遠隔 授 業 に お け る 課 題 提 示 の あ り 方 全 般 に か か わ る 問 題 点 で も あ り 、 今 後 の 検 討 課 題 と したい。 ま た 特 に グ ル ー プ ワ ー ク に お け る 受 講 学 生 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ツ ー ル に か か わ る賛否について、「もう少し仲良くなる時間が欲しいと思いました。カメラは任意だ ったので誰の顔も見ませんでした。グループワークは対面でやるべきだと思います。」 (11)という意見もあり、そもそも「仲良くなる」ことを目的としてグループワーク を 行 っ て い る わ け で は な い 点 を 擱 く と し て 、 ま た カ メ ラ を 強 制 す る こ と が 正 解 で は ないことも指摘するとして、一定程度「顔が 見える」ことを希望する 受講学生がいる ことも考慮する必要がある。「任意」とした のはそのことを考えたためで、筆者は常 に カ メ ラ を 使 用 し て い た が 、 以 後 受 講 学 生 が カ メ ラ を 使 用 し や す く す る 方 法 を 模 索 したい。 さらに提示した課題に対してどれほど 調査・検討 した解答が示さ れたか、今年度の 受 講 学 生 の 解 答 は 必 ず し も 十 分 で は な か っ た こ と も 把 握 し な け れ ば な ら な い 。 課 題 提示は有効であるという 結果をもとに、対面 授業においても、受講 学生がさらに課題 内容への理解を深めて 解答できるよう、提示方法の検討を進める。 6. まとめ―受講学生 が当該講義を学ぶ意義 ― 博物館教育論の原点は、博物館における「学びの意義」への理解 、すなわち「博物 館 資 料 の プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル で あ る 学 芸 員 が 、 そ の 博 物 館 の コ レ ク シ ョ ン が い か に 面白いのかを必死で・ ・ ・語ること」である11。遠隔授業で あるか否かにかかわらず、当 該 科目において、その点 の理解を深めてもらうことを目的のひとつとしている。なお遠 隔授業という手法において、課題提示の内容 によっては、それらを 従来以上に進める ことができる点について新たな知見を得た。 このように、遠隔授 業という新たな取り組みにおいて、メリット と デメリットを概 観してきたが、ことに 博物館学芸員資格を取得するにあたって、対 面を必要とする実 習 が 不 可 欠 で あ る こ と も 指 摘 し て お き た い 。 こ の 点 に つ い て は 別 稿 に お い て 詳 細 に

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127 検討したい。 博 物 館 に 来 館 者 を 呼 び 込 む こ と が で き な い と い う の は 、 博 物 館 に お い て 初 め て 体 験する難事といってよい。その なかで示され た、新たな多くの取り 組み について講義 を通して紹介しつつ12、それらが改めて「博物 館に行きたい」「博物 館は必要である」 といった思いを得てもらうためのものであることを伝え た。 そ し て そ れ ら は 筆 者 が 遠 隔 授 業 を 実 施 し な が ら 受 講 学 生 に 感 じ て も ら い た い 点 と 、 通底するものでもあった。学生ひとりひとりが、この難題と向き合うことで、大学と い う 空 間 の な か で ひ と と の 交 流 を 通 じ て 学 ぶ こ と の 重 要 性 、 ま た 大 学 で 学 ぶ こ と の 意義そのものに思索を深めてくれることを祈念せずにはいられない。 また今回の経験を通して 遠隔授業の方法論という点にとどまらず、最終的には「何 で・ 教えるか」ではなく、「何 を・教えるか」に教員自身が立ち戻ること の重みを不十分 ながら理解することができた 。以後更に改善を加えていきたい。 1 「【 重要 】 緊 急 事 態 宣 言 発 出に 伴 う 授 業 開 始 等 の 再変 更 に つ い て ( 3 月 31 日 より 更 新)」(2020 年 4 月 7 日 ) 〔http://www.wakayama-u.ac.jp/news/2020040800055/〕 ( 最 終検 索 日 :2020 年 12 月 29 日 ) 2 連 携 展 開 科 目と は 、「 学 習 者が 知 的 関 心 に 基 づ き 、教 養 教 育 科 目 で 得 た 知識 や ス キ ル を さ らに 進 化 、 発 展 さ せ る ため の 授 業 科 目 、 あ る いは 専 門 教 育 科 目 と 連 携さ せ る こ と で 学 習 者の も つ 知 識 や ス キ ル の適 応 範 囲 を 拡 大 さ せ るた め の 授 業 科 目 」 で ある (『 Course Guide2020 履 修手 引 き 』 より )。 3 『 博 物 館 実 習ガ イ ド ラ イ ン』( 文 部 科学 省 、2009) に よ る と、 博 物 館 実 習( 館 園 実 習 ) とは 、「 ・博 物 館 資 料 の 収集 、 保 管 、 展 示 、 整 理。 調 査 研 究 、 教 育 普 及等 の 学 芸 員 の 業 務と 博 物 館 運 営 の 実 態 を、 実 務 を 体 験 す る こ とに よ っ て 理 解 す る。・ 博 物 館 園で の 実 務 体験 に よ っ て 、 大 学 で 学ん で き た 博 物 館 像 を 確認 す る 」 と い う 2 項 目 が 主 たる 目 的 と され て い る 。 し か し 今 年度 は 、「「 令 和 2 年 度 にお け る 学 芸 員 養 成 課 程に 係 る 博 物 館 実 習 の実 施 に 当 た っ て の 留 意事 項 」 に つ い て ( 通 知)」( 文 化 庁 企 画 調 整 課、 2020 年 4 月 13 日 付 け ) に よ り 、 実 施時 期 、 期 間 、 内 容 等 の調 整 を 博 物 館 と 大 学 間で 行 い 、 実 施 時 期 を収 束 後 と す る こ と ・ 学内 実 習 へ の 振 り 替 え の検 討 な ど、「 受 け 入 れ 先の 博 物 館 と 相 談 しつ つ 弾 力 的 に 検 討 」 する こ と が 求 め ら れ た 。 4 2020 年 4 月 2 日 開催 ( メ ール 審 議 )。 5 柿 崎 博 孝 、 宇野 慶 『 博 物 館 教育 論 』(玉 川 大 学 出 版 部、 2016) 6 「「 緊急 ! 大 学 生 ・ 院 生 向 けア ン ケ ー ト 」 大 学 生 結果 速 報 、 全 国 大 学 生 活協 同 組 合 連 合 会」(2020) に よ る と、「 全 て の 授業 で 課 題 が 出 るた め 量 が あ ま り に も 多す ぎ て 生 活 習 慣 が乱 れ 体 調 が 崩 れ る ほ ど」 な ど と あ る 。

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128 7 た と え ば、「 卒 論 執 筆 に 必 要な 図 書 館 が 使 え な い」(「 学 費 半 額 学 生 ら 懇願 」『 朝日 新 聞 』2020 年 9 月 16 日 付 け 記事 ) と い っ た 内 容 で ある 。 た だ し 記 事 掲 載 時点 で は 本 学 図 書 館 は 9 時 か ら 17 時 の 間 開館 し て お り 、 資 料 利 用も 可 能 と な っ て い た 。学 生 向 け 郵 送 貸 出 サー ビ ス も 行 っ て お り 、周 知 を 徹 底 す る こ と で理 解 を 得 る こ と は で きた 可 能 性 が 高 い 。 8 山 際 彰 「 時 間的 意 味 か ら 空 間的 意 味 へ の 意 味 変 化 の可 能 性 :「 端 境 」 の 変 遷を 通 し て」(『国 立 国 語 研 究 所 論 集 』 16 所 収)、 金 菱 清 「 伝承 世 界 を 生 き る 人 々 の 遠 野 物 語 100 年 間 の 受 容 と 抵抗 」(『 東 北 学 院 大学 教 養 学 部 論 集』 165 所 収 )な ど 。 9 注 連 縄 の 民 俗学 的 背 景 を 想 像す る と 一 層 面 白 く な るだ ろ う 、 と 記 述 し た 学生 が か ろ う じ て 近い と い え よ う か 。 10 「( wi t h コ ロ ナ ) 大 学 オン ラ イ ン 授 業 、 維 持 宮 城 県 」(『 朝 日 新 聞 』2020 年 6 月 19 日 付 け 記 事 ) に よ る と、「 好 きな 時 間 に 見 ら れる オ ン デ マ ン ド 型 の 授業 だ と 、 深 夜 に 視聴 す る 学 生 が 一 定 数 いる こ と が 分 か っ た 。 昼夜 が 逆 転 す る た め 生 活リ ズ ム に 乱 れ が 起 きる と 懸 念 す る 声 も あ った 。」 とあ る 。 本 学 学 習支 援 シ ス テ ム ( Moodle) によ る ロ グ イ ン記 録 を 概 観 し て も 、 この 傾 向 が あ る こ と は 理解 で き る 。 11 黒 沢 浩 『 博 物館 教 育 論 = Museum Education』( 講 談社 、2015)、 P153 よ り 。 傍 点マ マ 。 12 Twitter を 活 用 し た、「#curatorbattle」(博 物 館 のコ レ ク シ ョ ン 紹 介 の 一種 ) な ど 。

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