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I I Simulation of the 2011 Tohoku Tsunami in Kuji Bay Using Three-Dimensional Non-Hydrostatic Numerical Model c Kenya TAKAHASHI and Takashi TOMITA Wav

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Academic year: 2021

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ここに,式(1)はテンソルの縮約規則により表記され ており,i, j=1, 2, 3 である.∆x, ∆y, ∆zはx, y, z方向の計算 格子サイズ,u は流速,Csはモデル係数で 0.20 である. また,計算負荷の低減のため,水表面位置ηの算出には 連続式を鉛直方向に積分した式(2)を用いており,砕 波のように水面形が鉛直方向に多価になる現象は再現で きない. ………(2) ここに,t は時間,h は水深,u, v は x, y 方向の流速,γx, γy, γzは x, y, z 方向の有効面透過率である.これらを基礎方程 式として,staggered 格子で空間を離散化し,leap-frog 法

3 次元非静水圧流動モデルを用いた久慈湾における

東北地方太平洋沖地震津波の再現計算

Simulation of the 2011 Tohoku Tsunami in Kuji Bay Using Three-Dimensional

Non-Hydrostatic Numerical Model

c橋研也

・富田孝史

Kenya TAKAHASHI and Takashi TOMITA

Wave deformation with fission of solitons and wave breaking of the dispersive tsunami was observed in the 2011 off the Pacific coast of Tohoku earthquake tsunami hitting Kuji Port. Estimation of impacts of such a deformed tsunami is necessary for estimation of damage induced by tsunamis, especially the maximum considered tsunami. A wave breaking model is incorporated in the mathematical model of STOC that is a hybrid model of a hydrostatic model (STOC-ML) and non-hydrostatic model (STOC-IC) for calculation of tsunami propagation and inundation. It is confirmed that the improved STOC-IC with the wave breaking model can estimate the tsunami with fission of solitons and wave breaking in comparison with physical model tests in a wave flume and the observed tsunami in Kuji Port.

1. はじめに 2011年東北地方太平洋沖地震津波は,岩手県久慈湾で は湾口防波堤通過後の水深約 20m の位置で波状段波を形 成し,約 15m の位置で砕波に至り久慈港諏訪下外防波堤 を越流した.さらに,越流水塊は防波堤背後に短周期波 を励起し,それらもまた砕波しながら埠頭を遡上した (写真-1).多数の構造物が存在する臨海部では,構造物 周辺で発生する津波の3 次元的な流動に加え,ソリトン分 裂やその砕波が及ぼす影響を考慮することが重要である. 本研究では,富田・柿沼 (2005) による波源域から 浸水域までを大規模かつ詳細に計算できる高潮津波シミ ュレータ STOC における 3 次元非静水圧流動モデルに砕 波モデルを導入し,久慈湾を対象とした断面模型実験の 再現計算および現地の再現計算を通して,流動モデルお よび砕波モデルの精度検証を行うことを目的とした. 2. 数値計算モデル STOCは,3 次元非静水圧流動モデル STOC-IC と準 3 次 元静水圧多層レベルモデル STOC-ML を必要に応じて接 続できるハイブリッドモデルであり,基礎方程式はポー ラスモデルを導入した連続式および RANS 方程式である. 乱流モデルには SGS タイプの 0 方程式モデルを使用して おり,乱流動粘性係数νtは式(1)のように示される. …(1) 1 正会員 修(工) 前(独法)港湾空港技術研究所アジア・太 平洋沿岸防災研究センター 2 正会員 博(工) (独法)港湾空港技術研究所アジア・太平 洋沿岸防災研究センター 写真-1 久慈湾での波状段波の砕波(http://www.youtube.com/)

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により時間発展させる.粘性項は 2 次精度中心差分で離 散化し,対流項には 1 次精度風上差分と 2 次精度中心差 分をパラメータで結合した hybrid scheme を用いている. 3. 3次元非静水圧流動モデルへの砕波モデルの 導入 2. で述べたように,これまでの STOC-IC では砕波によ るエネルギーの減衰を考慮できなかった.本研究では, 鉛直構造を考えずにできるだけ簡単な方法で砕波の効果 を取り込むことを考え,Boussinesq モデルによる津波解 析への適用実績が高い Kennedy ら(2000)の時間発展型 Boreモデルを準用した.砕波による渦動粘性係数νbは式 (3)を用いて算出する. ………(3) ここに,ηtは水位の時間微分,δbは混合距離係数,B は 砕波が急激に発生して計算が不安定になることを抑える ために 0 ∼ 1 まで滑らかに変化するもので,式(4)で示 される. ………(4) ここに,ηt*は砕波の開始と終了を決定するパラメータで あり,式(5)∼(8)のように線形的に変化する. …(5) ………(6) ………(7) ………(8) ここに,g は重力加速度,ηt(I)は砕波開始条件,ηt(F)は砕 波終了条件,T*は遷移時間,t 0は砕波開始時刻,α, β, γは モデル係数である.砕波開始後は,砕波フロントの水表 面セルの流速からその移動方向を追跡し,t0をその方向 にある隣接セルにコピーすることで,砕波終了と判定さ れるまで砕波を継続させる. また,実務計算での安定化を図るため,式(9)のよ うな数値フィルターを使用するとともに,粘性項の安定 条件からνbを式(10)により上限値で制限する. ……(9) ………(10) ここに,i, jはx, y 方向のセル番号,∆tは時間刻み,Cは安 全率である.計算されたνbは簡易的に鉛直一様分布であ るものと仮定し,実効動粘性係数νeを式(11)で表わす. ………(11) ここに,νは分子動粘性係数である. 4. 久慈湾を対象とした断面模型実験の再現計算 (1)計算条件 本研究で適用した砕波モデルではパラメータα, β, γ, δb を決定する必要がある.そこで,加島・平山(2013)に よる久慈湾の代表断面地形において波状段波が砕波する 状況を確認した縮尺 1/200 の断面模型実験の再現計算を 行い,パラメータを決定する.なお,以下では現地との 比較を容易にするため,全て現地スケールで表記する. 図-1 に実験断面図を示す.実験では 1/60 勾配斜面部に おける局所地形の有無による 2 種類の断面地形と 5 種類 の入射津波諸元による合計 10 ケースが実施されている. また,防波堤壁面には波圧計も設置されている. 再現計算には砕波モデルを組み込んだ STOC-IC を用 い,図-1 と同一地形の数値水路において,造波装置前面 の波高計で計測された水位波形を造波境界として与えた. STOC-ICのソリトン分裂の再現性を検討した富田・c橋 (2012)に基づいて,空間格子サイズは ∆x, ∆y は 5m,∆z は最小 3m(15 層)の不等間隔格子とし,運動量保存式の 対流項の hybrid 差分 scheme の係数 V は 0.2(0.0 で 2 次精度 中心差分,1.0 で 1 次精度風上差分)とした.砕波モデル 中のパラメータは,STOC-IC が多層モデルであることを 考慮し,多層 Boussinesq モデルに適用した Lynett(2006) に倣い,α=0.5, β=0.05, γ=10, δb2=10を基本とした. (2)計算結果 再現計算を全ケース行い,パラメータスタディを行っ た.図-2 に局所地形がある場合において,(a)ソリトン 分裂するものの非砕波だったケースおよび(b)最もソ リトン分裂と砕波が顕著だったケースの最大水位の空間 分布を示す.ここに,Hinは入射津波高,Tinは 1/4 周期で ある.最大水位はソリトン分裂第 1 波が防波堤に到達す るまでの時間帯を対象に検出し,防波堤による反射波成 分は含まれていない.砕波・非砕波に関わらずソリトン 図-1 実験断面図(縮尺:1/200;加島・平山,2013)

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分裂波高の再現性は良好であり,砕波点の位置もほぼ一 致している.しかし,図-2(b)を見ると,γ=10の場合は 砕波減衰が過小評価となっている.これは,γ は砕波の 影響時間を設定するパラメータであるので,写真-1 のよ うな Plunging 砕波による急激な砕波減衰に追随できてい ないことを示している.一方,γ=1まで小さくすると砕 波減衰に追随できるようにはなるものの,砕波終了後の 水位が 1m 程度過大となっている.これは,νbが式(10) により上限値に達したためであるが,次章で行う現地計 算の安定性と ∆t を考えるとこの制限を外すことは実務的 ではないため,本研究では式(10)を用いて計算を進め ることとした.なお,砕波モデルを使用しない場合は実 験値よりも過大な津波が防波堤に作用している. 図-3 に図-2 と同一ケースにおける水位,水平流速およ び圧力の変動時系列を示す.水位は図-2(b)における砕 波点近傍(防波堤から 490m 沖側)での,水平流速およ び圧力は防波堤直前(静水面下 8.0m および 6.1m)での値 である.防波堤直前における水平流速は,staggered 格子 で定義される流速を格子中心における値に平均している ことからやや過小評価であるが,水位についてはソリト ン分裂第 1 波のみならず第 2 波や反射波までも良好に再 現されている.圧力についても,衝撃的な砕波圧を除け ば良好に再現されている.ただし,位相は差分 scheme に よる数値粘性や底面摩擦等の影響により,伝播につれて 計算結果の方がやや速まるという課題がある. 以上より,STOC-IC に時間発展型 Bore モデルとそれに (a)Tin=110.3s, Hin=4.0m(非砕波) (b)Tin=67.9s, Hin=5.0m(砕波) 図-2 局所地形がある場合における最大水位の空間分布(ソリトン分裂第1波が防波堤に到達するまでで図化) (a)Tin=110.3s, Hin=4.0m(非砕波) 図-3 局所地形がある場合における水位・水平流速・圧力の変動時系列 (b)Tin=67.9s, Hin=5.0m(砕波)

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内在するパラメータα=0.5, β=0.05, γ=1およびδb2=10を用 いることにより,実務に耐え得る精度で津波のソリトン 分裂とその砕波現象を再現することが可能になった. 5. 現地計算への適用 (1)計算条件 4. で決定した砕波モデルを現地計算に適用した.図-4 に計算領域を示す.水平格子サイズが 600m, 200m, 100m, 50m, 25m, 5m(以上,単層),5m(鉛直格子サイズが最 小 3m で 11 層)の 7 領域を接続し,最内側領域に STOC-IC を,その外側の全ての領域に STOC-ML を適用した.富 田・c橋(2012)は津波観測波形の逆解析によって推定 された Takagawa ・ Tomita(2012)の波源を用いたが,久 慈湾へ入射する津波高がやや過小となること,水面勾配 が実際より緩くなることにより,ソリトン分裂波の発達 が弱く砕波が生じにくい計算となっていた.そこで,本 研究では,東側境界から岩手県北部沖 GPS 波浪計の観測 波形を入射し,全周を透過境界として多重反射を防いで3 時間分の計算を実施した.なお,入射角度について犬 飼・永沢 (2012) は縦 600 格子に対し横 5 格子として計 算しているが,その影響は小さいと判断し直入射とした. 砕波モデル中のパラメータは 4. で決定した値とした が,砕波開始条件ηt(I)を決定するパラメータαは,湾外領 域が粗格子であることや,湾内が湾口防波堤や局所地形 の存在などにより複雑地形であることを考慮し,Chen ら (2000)に倣い 0.5 から 0.3 を減じて 0.2 に変更した. (2)計算結果 図-5 に久慈港沖波高計における水位変動時系列を示 す.観測値は地震発生後約 2,500s 以降で欠測となってい るが,少なくとも津波第 1 波のピークまでは捉えられて いる.計算結果はこれを良好に再現していることから, 久慈湾に来襲した津波第 1 波の計算結果の信頼性は高い と考えられる.図-6 に写真-1 に対応する時間における計 算水位分布を,図-7 に図-6(a)中の出力点における水位 変動時系列を示す.湾内で波状段波を形成し,砕波しな がら久慈港諏訪下外防波堤を越流するとともに分裂波が 埠頭に押し寄せる様子や,海岸を遡上する様子が再現さ れた. 図-8 に最大津波高分布を,表-1 に相田の幾何平均 K と 幾何標準偏差κを示す.砕波モデルありの場合の浸水範 囲は原口・岩松(2011)による測量結果とほぼ一致し, Kκも適用範囲内(0.95<K<1.05,κ<1.45)になっ た.一方,砕波モデルなしの場合は図-7 に示すように砕 波の影響を考慮できずに過大な分裂波が遡上するため, 浸水範囲や浸水高が過大となったものと判断される. 図-4 計算領域 図-5 久慈港沖波高計における水位変動時系列 (a)地震発生後 2690s (b)地震発生後 2770s 図-6 計算水位分布(STOC-IC,砕波あり)

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以上より,砕波モデルを組み込んだ STOC-IC により津 波の 3 次元的な流れや分裂・砕波を実務的に解析できる. 一方,砕波モデル中の係数はさらに検討の余地がある. 6. おわりに 本論文の主要な結論は以下のようである. (1)砕波モデルを組み込んだ 3 次元非静水圧流動モデル STOC-ICにより,ソリトン分裂やその砕波を含めた津 波の実務計算を安定して行えることを示した. (2)模型実験の再現計算から砕波モデル中のパラメータ を決定し,水位・流速・圧力の計算精度を確認した. (3)STOC を用いた現地計算により,沖合から伝播して きた津波がソリトン分裂・砕波し,遡上するという一 連の過程を高精度で計算できることを示した. 謝辞:実験データの提供に関して(独法)港湾空港技術 研究所海洋研究領域波浪研究チームに謝意を表する.本 研究の一部は JST/JICA の SATREPS「津波に強い地域づ くり技術の向上に関する研究」によるものである. 参 考 文 献 犬飼直之・永沢 薫(2012):数値計算による東北地方太平洋 沖地震津波による岩手県北部での構造物被災状況の把握, 土木学会論文集 B2(海岸工学),Vol. 68,No. 2,pp. Ⅰ _306-Ⅰ _310. 加島寛章・平山克也(2013):現地津波のソリトン分裂特性に 関する実験的検討とその再現計算,土木学会論文集 B3 (海洋開発),Vol. 69,No. 2(投稿中). 東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ:東北地方太平 洋沖地震津波情報(オンライン),http://www.coastal.jp/ttjt/, 参照 2012-12-29. 富田孝史・柿沼太郎(2005):海水流動の3 次元性を考慮した高 潮・津波数値シミュレータ STOC の開発と津波解析への適 用,港湾空港技術研究所報告,第 44 巻,第 2 号,pp. 83-98. 富田孝史・c橋研也(2012):2011年東北地方太平洋沖地震津 波の再現を目指した実務計算手法の提案,土木学会論文 集 B2(海岸工学),Vol. 68,No. 2,pp. Ⅰ _191-Ⅰ _195. 原口 強・岩松 暉(2011):東日本大震災津波詳細地図〈上 巻〉青森・岩手・宮城,古今書院,167 p.

Chen, Q., J. T. Kirby, R. A. Dalrymple, A. B. Kennedy and A. Chawla (2000) : Boussinesq Modeling of Wave Transformation, Breaking, and Runup. Ⅱ: 2D, Journal of Waterway, Port, Coastal, and Ocean Engineering, Vol. 126, No. 1, pp. 48-56. Kennedy, A. B., Q. Chen, J. T. Kirby and R. A. Dalrymple (2000)

:Boussinesq Modeling of Wave Transformation, Breaking, and Runup. Ⅰ: 1D, Journal of Waterway, Port, Coastal, and Ocean Engineering, Vol. 126, No. 1, pp. 39-47.

Lynett, P. J. (2006) : Nearshore Wave Modeling with High-Order Boussinesq-Type Equations, Journal of Waterway, Port, Coastal, and Ocean Engineering, Vol. 132, No. 5, pp. 348-357. Takagawa, T. and T. Tomita (2012) : Effects of rupture processes in

an inverse analysis on the tsunami source of the 2011 off the Pacific coast of Tohoku earthquake, Proc. 22nd ISOPE, Vol. 3, pp. 14-19. 図-7 砕波後における水位変動時系列 (a)STOC-IC,砕波あり (b)STOC-IC,砕波なし 図-8 最大津波高分布 モデル STOC-IC(砕波あり) STOC-IC(砕波なし) K 1.04 0.84 1.25 1.32 表-1 相田の幾何平均 K と幾何標準偏差κ(東北地方太平洋沖 地震津波合同調査グループによる 71 地点の浸水高・遡 上高データを使用)

参照

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