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2 (cf. 1995) (1) (Call Externality) (2) (Network Externality) / 2 Leibenstein (1950) Rohlfs(1974) 1.1 Leibenstein(1950) (Morgenstern 1948) (Von Neuman

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『経済セミナー』(1999 年 10 月号) 00.3.8版 ネットワーク・エコノミックス (7)

ネットワーク外部性の経済理論

(前)

甲南大学経済学部 依田高典 はじめに  一体経済学は共感なき利己心のみを取り扱う学問であろうか。経済学の父ア ダム・スミスは 1767 年から 1773 年にかけて故郷で研究三昧の生活中に著しく 健康を害し、死に瀕している。スミスの体験はしばしば利他心の倫理学 (『道徳 情操論』)から利己心の経済学(『国富論』)までの生みの苦しみになぞらえられ る。確かに、スミスは分業や交換が利他心ではなく利己心によって遂行される ことを論じた。しかし、スミスの中にあって利己心と利他心は矛盾するもので はなかったようである。スミスの自己規制は自己否定ではなく自己肯定の傾向 が強いが、その自己規制は他人の共感を通じてこそ形成されるものであったか らである(cf. 水田 1997)。しかるに、現代の経済学では利他心や共感は非合理 で経済の法則にそぐわぬ日陰者扱いである。これはいかに「子供達」が「父」 の遺志をねじ曲げて解釈して来たかを表す一つの証左ではないか。 経済学を勉強する道程で、私はずっと利他心や共感のような倫理学的問題に 興味があった。だから自他の行動が直接的に作用し合う「ネットワーク外部性」 のモデルに触れた時、目から鱗が落ちるような思いがしたのだろう。ネットワ ーク外部性こそ、私にこの業界で飯を食っていく勇気と動機を与えてくれた記 念すべき道標ともいえる。今回から2回にわたって、ネットワーク外部性を取 り扱おう。ネットワーク外部性モデルは近年非常に沢山登場しているが、今号 ではその中で特に画期的であった6本の論文−Leibenstein (1950), Rohlfs (1974),

Katz & Shapiro(1985, 1986a), Farrell & Saloner (1985, 1986)−を選び出し、ネット

ワーク外部性の理論的解説にあてる。次号では、ネットワーク外部性にまつわ る理論的含意や政策的議論に進もう。

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一般にネットワーク産業には、2 つの外部性があることが知られている(cf.三 友 1995)。(1)「通話の外部性(Call Externality)」:基本料金のみを支払い、直接 的な対価を支払わずに、他の加入者からの通信すなわち受信によって便益を得 ることができる。 (2)「ネットワーク外部性 (Network Externality)」:加入者の需 要及び便益がシステムの加入者数や、だれが加入しているかあるいは加入する つもりかという点に依存する。特に重要なのは後者である。ネットワーク外部 性は、需要側の規模の経済性を表し、電話やソフト/ハードウェアのようなネッ トワーク産業を他の産業から著しく異なったものとしている。先ず本節では、 ネットワーク外部性を取り扱った 2 つの古典−Leibenstein (1950)の「バンドワ ゴン効果」と Rohlfs(1974)の「通信需要の相互依存性」−を解説しよう。 <図1挿入> 1.1  Leibenstein(1950)モデル モルゲンシュテルン(Morgenstern 1948)は市場需要関数が文字通りの意味で個 人需要関数の単純和とはならないような可能性を論じた。さらに、モルゲンシ ュテルンは彼とノイマン (Von Neumann)のゲーム理論がこのような需要の「非 加法性(Non-additivity)」問題を分析にするのに適していることも論じた。これ を受けて、ライベンシュタイン (Leibenstein 1950)は、モルゲンシュテルンの需 要の非加法性を効用の「外部効果 (External Effect)」として発展させた。効用の 外部効果とは、他者が同じ財を購入することによって、自分の効用が正ないし 負の直接的影響を受けることを指す。外部効果には上述の通り3種類ある。他 者が同じ財を購入することによって自分の効用が上昇する場合を「バンドワゴ ン効果(Bandwagon Effect)」と呼び、自分の効用が低下する場合を「スノブ効果 (Snob Effect)」と呼ぶ。また、価格が高ければ高いほど自分の効用が増すような

「顕示的消費(Conspicuous Consumption)」を「ヴェブレン効果(Veblen Effect)」 と呼ぶ。ライベンシュタインいうところのバンドワゴン効果は後にネットワー ク外部性と呼ばれるようになったものと実質的に等しい。 それでは、ライベンシュタインのバンドワゴン効果を説明しよう1。個人の需 1 ライベンシュタインはバンドワゴン効果の例を2つ挙げている。(1)ファッション。若者は今 流行しているファッションに容易に影響される。(2)社会的禁忌。他の人がやらないので、自分

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要関数(di)はある財の価格 (p)のみならず市場の需要関数 (D=Σdi)にも依存して いる。従って、個人の需要関数は di(p, D)と表せる(∂di/∂D>0)。図 2 を用いて 説明しよう。個人需要 d1は小規模の市場需要 D1をもとに、個人需要 d2は大規 模の市場需要 D2をもとに引いたものである。バンドワゴン効果により、個人需 要 d2は d1よりも大きい。価格が p1から p2に低下した場合、個人需要量は q1(p1, D1) から q2(p2, D2)に増加する。個人需要量の増加分のうち、q1から q1’(p2, D1)は価格 効果、q1’から q2はバンドワゴン効果によるものである。均衡個人需要曲線は均 衡点 E1と E2を結んだ d12であり、バンドワゴン効果が存在することによって、 個人需要曲線はより価格弾力的(水平)になることが判る。 <図 2 挿入> 1.2  Rohlfs (1974)モデル  「通信需要の相互依存性」とは、ネット加入者が通信サービスから得る効用 はネット加入者の数が増えれば増えるほど増加する性質を指す。Artle & Averous

(1973)は、新しい加入者が参加する結果、サービスの増分効用が増加し、より 一層の加入者を招き、市場はさらなる拡大を続けて行くことを分析した。これ を受けて、ロールフズ (Rohlfs 1974)は次のようなモデルでネットワーク外部性 の動学化を図った2。ネット加入率を f、ネット加入率の増分効用を w、ネット 加入の価格を p で表す。この時、fw≧p ならばネットに加入、fw<p ならばネ ットに不加入ということになろう。最初の加入者ほど高い増分効用を持ち、増 分効用は漸次逓減するものと考えられるから、簡単に w を f の一次の減少関数 w=a(1-f)と仮定する。ネット加入・不加入が無差別な限界的加入者では、af(1-f)=p という式が成り立つ。この式は通信サービスに対する需要関数であり、原点を 通る下向き2次関数である(図 3 参照)。この需要関数は通常の需要関数とは異 なり、ある領域までは右上がり、ある領域から右下がりである。価格 p に対す る均衡加入率は 0 ・ fS・ fLの3点存在し、0 と fLは揺らぎに対して安定的な均 衡点であるが、fSは不安定な均衡点である。 ロールフズは、サービスの「生育可能性 (Viability)」と「立上がり (Start-up)」 もやらないという禁忌は負のバンドワゴン効果である。 2 Rohlfs(1974)モデルと類似のモデルは林(1992)にも見られるので、合わせて参照されたい。

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が異なることを明らかにした。ネットワークの普及期において、 fS以上の「臨

界的加入率(Critical Mass)」を獲得すれば、ネットワークは自動的に拡大して行 くだろう。しかし、このような発展可能性があるにもかかわらず、初期時点で のネット加入率が低いため、ネットワークが衰退することも有り得る。そこで、 「低廉な導入価格(Low Introductory Price)」のようなネットワーク育成策が有効 性を持つという含意が導かれる。

<図 3 挿入>

2 ネットワーク外部性の Katz & Shapiro モデル

ネットワーク外部性の事例には、例えば(1)加入者数に依存する電話サービス、

(2) ソフトウェアの充実が前提となるハードウェア産業、 (3)アフターサービス

が必要な耐久財が挙げられる。そこで、カッツとシャピロ (Katz & Shapiro:以 下 K&S)はそのような産業特有の二つの問題を取り上げている。 (1)「既得基盤 (Installed Base)」:ネットワーク外部性が存在する場合、需要側に規模の経済性 が発生する。もしも消費者がある企業規格やネットワークが優位になると予想 すれば、消費者はその規格やネットワークに対する支払意志額を高め、実際そ の規格やネットワークが優位になる。 (2)「互換性誘因」:ネットワーク外部性 が存在する場合、企業は規格やネットワーク間の互換性を設定するための適切 な誘因を持つか否かという問題が発生する。実際、互換性に対する企業の私的 誘因と社会的誘因との間では乖離が発生し、互換性は社会的に過少な水準しか 達成されない傾向を持つ。K&S はゲーム理論的モデル化を通じてネットワーク 外部性を分析することに成功したパイオニアである。ネットワーク外部性は 2 つに分類できる。一つはある一時点での消費者間で作用する「水平的ネットワ ーク外部性」、もう一つは異時点間での消費者間で作用する「垂直的ネットワ ーク外部性」。前者を取り扱ったのが K&S(1985) 、後者を取り扱ったのが K&S(1986b)である。彼らのモデルを大胆に簡単化しながら、その主旨が伝わる ように解説しよう。 <図 4 挿入>

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2.2 Katz & Shapiro(1985)モデル K&S(1985)のモデルの基本的設定は次のようである。(1)モデルは 2 期間であ る。第 1 期に消費者はネットワークの規模の期待を形成する。第 2 期に企業は サービスの提供量と価格を決定し、また消費者はどのネットワークに加入する べきかどうかを決定する。 (2)消費者の効用関数はサービスそれ自体の価値(r)と ネットワークの規模 (y)から得る価値(V)の和である(r+V(y))と仮定する。V(y)が ネットワーク外部性を表す。(3)市場は寡占的であり、サービスは等質的とする。 企業の費用は2種類あり、一つはサービスの提供に掛かる費用であり、もう一 つは互換性を設定するための費用である。後者の互換性の費用がモデル上重要 になるわけだが、複数の企業が互換性を共同開発するケース (標準化)とある企 業が別の企業の規格に自ら合わせるケース (アダプター化)がある。(4)均衡概念 は「自己実現期待クールノー均衡(Fulfilled Expectations Cournot Equilibrium)」で ある。消費者のネットワーク規模の期待を所与として、企業はゲーム理論的な 相互依存関係を考慮に入れて利潤最大化生産量を求める。 FECE を採用するこ とによって、一意の対称的な寡占均衡解が得られる。 K&S(1985)モデルの基本的結論は次のようである。 (1)ネットワーク外部性に より、市場取引量 (Z)は互換性が存在するケースの方 (C)が互換性の存在しない ケース(I)よりも大きい(ZC>ZI )。図 5 を参照3。(2)企業利潤(Π)・消費者余剰(S)・ 社会厚生 (W=Π+S)ともに、互換性が存在するケースの方 (C)が互換性の存在し ないケース(I)よりも大きい(ΠC>ΠI , SC>SI , WC>WI )。(3)互換性の私的誘因(Δ Π=ΠC−ΠI )は互換性の社会的誘因(ΔW=WC−WI )よりも小さい(ΔΠ<ΔW)。 (4)標準化による互換性を考える。互換性の費用を F とおくと、その費用が私的 誘因を上回るが社会的誘因を下回るような場合(ΔΠ<F<ΔW)、標準化による 互換性が社会的に望ましいにもかかわらず、企業は互換性を推進しようとしな い。(5)アダプターによる互換性を考える。互換性の費用を一部の企業だけが負 担するので、「互換性の過少誘因」が発生する危険性は一層高くなる。 <図 5 挿入> 3

完全互換性の場合、FECE の均衡条件は Z/n = (A+V(Z))/(n+1)である。n は企業数、A はサービ スそれ自体の個別価値 r の最大値。互換性のある場合、V(Z)の項が大きくなるので右辺にあた

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2.2 Katz & Shapiro (1986a)モデル  K&S(1986a)のモデルの基本的設定は次のようである。(1)モデルは3期間であ る。第 0 期に企業は互換性の有無を決定する。第 1 期に企業は価格、消費者は 採用する技術を決定する。第 2 期も企業・消費者は同様の決定をする。(2)消費 者は 2 タイプ(第 1 期・第 2 期)存在し、それぞれ N 人とする。効用関数はネッ トワークの規模 Z に依存し、V(Z)-(価格)で表される。各期の技術間で互換性が あれば V(2N)、互換性がなければ V(N)、両者の差ΔV=V(2N)−V(N)を「ネット ワーク効果」と呼ぶ。(3)技術を開発する企業には A(先行型)と B(後発型)の二つ があり、高費用 CHと低費用 CLとして、両者の差ΔC=CH− CLを「費用格差」 と呼び、A の費用は第 1 期 CL・第 2 期 CH、B の費用は第 1 期 CH・第 2 期 CL と仮定する。  先ず互換性のあるケース(C)を考えよう。この時、消費者はただ低価格を申し 出る技術を購入するから、第 1 期は A ・第 2 期は B が採用される。各企業利潤 は NΔC であるから、生産者余剰はΠC =2NΔC、社会厚生は WC =2N(V(2N)-CL) となる4。次に互換性のないケース(I)を考えよう。ここでは、ネットワーク効果 と費用格差に応じて 2 つのケースに分類される。非互換性#1:Bが第 2 期に 必ず選択されるに十分な費用格差を持つ場合(ΔV<ΔC)5。この場合、さらに 2 つのケースに分けられる。#1.1:第 1 期に A が選択される場合「AB」6。A の 第 1 期の上限価格 p1は CH-3ΔV、A の第 1 期の利潤は N(ΔC-3ΔV)。B の第 2 期の上限価格 q2は CH-ΔV、Bの第 2 期の利潤は N(ΔC-ΔV)。#1.2:第 1 期に B が選択される場合「BB」7。B の第 1 期の上限価格 q 1は CL+ΔV、Bの第 1 期 る曲線が上方シフトし、均衡生産量が増加する(ZC>ZI)。 4 ここでは、ベルトラン型価格競争を考えているので、第 1 期 A ・第 2 期 B はそれぞれ価格を CHに設定し、利ざやΔC を稼ぐ。 5 B が必ず第 2 期で選ばれる条件は、「AB」と「AA」の第 2 期の効用均等式(V(N)-CL>V(2N)-CH ⇔ΔV<ΔC)から得られ、費用格差がネットワーク効果を上回ることである。 6先ず、 「BB」での B の総利潤は N(q1- CH+ΔV)+N(ΔC+ΔV)。第 1 期に B が採用される方が採 用されないよりも利潤が高くなる条件は、N(q1- CH+ΔV)+N(ΔC+ΔV)>N(ΔC-ΔV)⇔q1>CH-3 ΔV。故に、A の第 1 期の上限価格 p1は CH-3ΔV、A の第 1 期の利潤は N(ΔC-3ΔV)。次に、「BB」 と「AB」での第 2 期の効用均等式(V(2N)-CH=V(N)-q2)を解いて、q2=CH-ΔV。故にBの第 2 期 の利潤は N(q2-CL)=N(ΔC-ΔV)。 7「AB」と「BB」での第 1 期の効用均等式(V(N)-C L=V(2N)-q1)を解いて、q1=CL+ΔV。故にBの 第 1 期の利潤は N(q1-CH)=N(ΔV-ΔC)。「AB」と「BB」の第 2 期の効用均等式(V(N)-CH =V(2N)-q2)を解いて、q2=CH+ΔV。故にBの第 2 期の利潤は N(q2-CL)=N(ΔC+ΔV)。以上から、第 1 期 に B が採用された方が採用されないよりも利潤が高くなる条件は、N(ΔC-ΔV)<N(ΔV-Δ

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の利潤は N(ΔV-ΔC)。また、B の第 2 期の上限価格 q2は CH+ΔV、Bの第 2 期 の利潤は N(ΔC+ΔV)。以上から、B が第 1 期にも採用された方が利潤が高く なる条件はΔC<3ΔV である。非互換性#2:Bが第 2 期に必ず選択されるに 十分な費用格差を持たない場合(ΔV>ΔC)8。この場合、A と B は第 1 期に採 用されるように価格競争を行うが、その勝者がネットワーク効果を通じて第 2 期も採用される。A の第 1 期の下限価格 p1は CH-ΔV、B の第 1 期の下限価格 q1 は CL-ΔV なので p1>q1。故に、B が常に価格競争に勝つ(「BB」)。 非互換性の各ケースの B の利潤をΠBI、A と B の合計利潤をΠI、社会厚生を WIで表し、さらに互換性のための B の私的誘因をΔΠB、総私的誘因をΔΠ、 社会的誘因をΔW で表す。結果が表 1 と図 6 に掲載されている。主要な結論は 以下の通りである。(1)互換性が存在しない場合、費用格差がネットワーク効果 を大幅に上回らない限り(3ΔV>ΔC)、B が両期を通じて選択されるので、「後 発の利(Second Mover Advantage)」がある。(2)互換性の総私的誘因と社会的誘因 は常に正であるが、費用格差がネットワーク効果を相当に上回らない限り (2Δ V>ΔC)、B の私的誘因は作用しない(ΔΠB≦0)という意味で「互換性の過少誘 因」が存在する。 (3) 互換性の総私的誘因は、費用格差がネットワーク効果を 相当に上回る限り(2ΔV<ΔC)、社会的誘因を上回る(ΔW<ΔΠ)。(4)特に互換 性の費用 F がΔW<F<ΔΠのような場合、社会的には望ましくない互換性が 私的に達成されるという意味で、「互換性の過剰誘因」が存在する。 <表 1 ・図 6 挿入>

2.3 その他の Katz & Shapiro モデル

K&S (1986b)は、ネットワーク外部性の下での技術普及における「スポンサー (Sponsor)」の問題を取り扱っている。技術の所有権を持ち、技術の普及のため の戦略的活動 (ex.普及期における低価格戦略 )を行うような主体をスポンサーと 呼ぶが、技術普及はこのスポンサー形態に大きく依存するという。 K&S(1986b) C)+N(ΔC+ΔV)⇔ΔC<3ΔV。 8 仮に採用されたとすると、A の第 2 期の利潤は N(ΔV-ΔC)、B の第 2 期の利潤は N(ΔV+ΔC)。 もしも A が第 1 期の価格競争に勝った場合の A の総利潤は N (p1-CL) + N (ΔV-ΔC)。A の第 1 期の下限価格 p1は総利潤=0 を解くことから、p1=CH-ΔV。同様にして、B の第 1 期の下限価格 q1は CL-ΔV。

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は 2 つの技術の 2 期間の産業構造の進化をモデル化した。主要な結論は以下の 通りである。(1)スポンサーが不在の場合、現在優位な技術が戦略上優位になる という「先行者の利得」が存在する。(2)片方の技術だけがスポンサーを持つ場 合、「スポンサーの利得」が存在する。(3)両方の技術がスポンサーを持つ場合、 将来有望な技術が戦略上優位になるという「後発者の利得」が存在する。  K&S (1992)は、技術進歩とネットワーク外部性の下での技術普及における「過 少摩擦(Insufficient Friction)」の問題を取り扱っている。一般に既得基盤が存在 する技術の方へ「過剰慣性」が存在すると考えられているが、逆のバイアス「過 剰転移」の発生する可能性を論じている。主要な結論は以下の通りである。 (1) 既得基盤が決定的ではないような市場の大きな成長が望まれる場合、互換性の ない社会的に非効率な新技術が収益を挙げることができる。 (2)この場合、新技 術の市場導入の時期は社会的にみて非効率に早い。 (3)ただし、互換性の私的誘 因はライセンシング契約の形態に大きく依存する。

3 ネットワーク外部性の Farrell & Saloner モデル

ファレルとサロナー(Farrell & Saloner:以下 F&S)は、ネットワークの外部性 が存在する場合の 2 つの市場の失敗を取り上げた。 (1)「過剰慣性 (Excess Inertia)」:非効率的な旧技術が既得基盤を持つために、効率的な新技術の採用 が阻害される場合。(2)「過剰転移(Excess Momentum)」:非効率的な新技術が将 来普及すると予想されるために、効率的な旧技術を駆逐してしまう場合。過剰 慣性・転移もまた 2 つに分類できるだろう。一つはある一時点での企業間で作 用する「水平的過剰慣性・転移」、もう一つは異時点間での企業間で作用する 「垂直的過剰慣性・転移」。前者を取り扱ったのが F&S(1985)、後者を取り扱っ たのが F&S(1986)である。彼らのモデルを大胆に簡単化しながら、その主旨が 伝わるように解説しよう。 <図 7 挿入>

3.1  Farrell & Saloner (1985)モデル

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技術を考える。両企業とも最初は旧技術を採用している。ここで問題となるの は、旧技術から新技術へ乗り換えるべきかどうかということである。よく言わ れるように、新技術の採用をめぐって企業のタイプは「保守派」と「革新派」 に分けられる。表 2 のように、保守派にとっては旧技術に留まる方が、革新派 にとっては新技術に乗り換える方が (相手の戦略に関係なく有利という意味で ) 支配的な戦略と仮定する。企業タイプが共有知識の場合、 (1)両企業とも保守派 ならば「旧技術, 旧技術」、(2)両企業とも革新派ならば「新技術 , 新技術」、(3) 一方が保守派・他方が革新派ならば「旧技術, 新技術」がナッシュ均衡となる。 つまり、完全情報下では両企業とも新技術によって利得が高まるような場合の み、新技術が業界標準となる。 ここで F&S にならい、3 つの拡張を行おう。(1)情報の不完全性。企業タイ プの情報が私的情報であり、また保守派(i=0)と革新派(i=1)を両極として図 8 の ように中間的タイプを仮定する。企業の利得をΠ (同じ技術を採用する企業数 , 採用する技術 )で表す9。(2)ネットワークの外部性。新旧どちらの技術を採用す るにせよ、両企業が同一の技術を採用した方が利得が高まる。つまり、Π(2, 新) >Π(1, 新)&Π(2, 旧)>Π(1, 旧)。(3)バンドワゴン戦略。企業が採用出来る戦 略は 3 つある。A1:常に新技術を採用する。A2:相手が新技術を採用するな らば、新技術を採用する。 A3:常に旧技術に留まる。以上の設定のもと、「自 分のタイプ(i)が保守的(i<i1 )な場合には戦略 A3 ・中間的(i1 <i<i2 )な場合には戦略 A2 ・革新的(i2 <i)な場合には戦略 A1」を採用することが一意対称均衡となる10 i1は戦略 A2 と A3 が無差別になるような臨界点であり、ここでは i1 =0.25。i2 戦略 A1 と A2 が無差別になるような臨界点であり、ここでは i2 =0.6。以上から、 0.5<i<0.6 の領域では「過剰慣性」が発生していることが判る。つまり、新技 術が採用されるのは、少なくとも一方のタイプが 0.6 以上でなければならない。 しかし、実際には両方のタイプが 0.5 以上であるならば、両企業とも利得は改 善され得るわけであり、パレート効率的な新技術の採用が阻害されている11 9 企業タイプ i の利得はΠ(2, 旧)=0、Π(1, 旧)=-1、Π(2, 新)=-2+4i、Π(1, 新)=-3+4i と仮定し ている。また、タイプ i は 0 から 1 まで一様に分布していると仮定している。 10 戦略 A1 を採る時の期待利得は i1Π(1, 新)+(1- i1 )Π(2, 新)、戦略 A2 を採る時の期待利得は i2 Π(2, 旧)+(1- i2 )Π(2, 新)、戦略 A3 を採る時の期待利得は i2Π(2, 旧)+(1- i2 )Π(1, 旧)である。先 ず A2 と A3 の均等化より i1 =0.25、次に A1 と A2 の均等化より i2 =0.6 が求まる。 11

Farrell & Saloner は、情報の不完全性を克服するための手段として新技術に賛成か反対か表明

出来るような「コミュニケーション」を検討しているが、その結果むしろ全体の利得の増加が 阻害される可能性があることを指摘している。

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<表 2 ・図 8 挿入>

3.2  Farrell & Saloner (1986)モデル

F&S(1986)のモデルの基本的設定は次のようである。互換性のない二つの技 術(旧技術 U、新技術 V)がある市場で、絶えず新しいユーザーが参入している と仮定する。ここでは、線形モデルを用いて、ユーザー増加率を n(t)=1、ユー ザー数 N(t)=t とする。効用関数はユーザー数 x に比例し、U(x)=bx、V(x)=dx(た だし b<d)と仮定する。つまり、時間と共に次々とユーザーが生れ、彼らは新 技術が導入されるまで (t<T*)は旧技術を採用し、新技術導入以後(t≧T*)旧技術 か新技術かの選択を迫られることになる。ここで重要なのは「既得基盤」であ る。ネットワーク外部性下では、既に旧技術採用者が多数居るので、旧技術は 新技術よりも有利性を持っているのである。この旧技術の有利性は新技術の導 入が遅れれば遅れるほど自己強化傾向を持つであろう。 各ケースの T 時点に参入するユーザーの割引効用(r は割引率)は以下の通りで ある12。新技術の採用がない場合、旧技術の割引効用 U(T)は bT/r+b/r2 である。 第 1 項は既に市場に存在しているユーザーから得る効用であり、第 2 項はこれ から参入して来るユーザーから得る効用である。直後に新技術の採用が起り、 自分が最後の旧技術ユーザーになる場合の割引効用は U0 (T)は bT/r である。新 技術導入以後全てのユーザーが新技術に転じる場合の割引効用 V(T)は d(T-T*)/r+d/r2である。新技術導入以後、自分までが新技術ユーザーで、後続ユーザ ーが再び旧技術に戻る場合の割引効用は V0 (T)は d(T-T*)/r である。 モデルには、2 つの完全ナッシュ均衡が存在する。(1)V(T*)≧U0 (T*)⇔d/b≧T*r ならば、「新技術を採用」することが均衡戦略となる。(2)U(T*)≧V0 (T*)⇔T*r+1 ≧0 ならば、そしてこの条件は常に成立するのだが、「旧技術を採用」すること が均衡戦略となる。2 つの均衡は排他的ではなく、d/b≧T*r の場合、両方の均 衡が存在する。また、新旧技術の社会厚生の差を G とすると、G≧0⇔d/b≧1+T*r である13。図 9 を参照。以上から、次のような結論が得られる14。 (1)「過剰転 12 正確には、各割引効用は次の式から得られる。U(T)=∫T ∞ U(N(t))exp(-r(t-T))dt、U0 (T)= U(N(T)) ∫T ∞ exp(-r(t-T))dt、V(T)=∫T ∞ U(N(t)-N(T*))exp(-r(t-T))dt、V0 (T)= U(N(T)-N(T*))∫T ∞ exp(-r(t-T))dt。 13 G=∫T*∞ (V(t)-U(t))exp(-r(t-T))dt-bT*/ r2=(2(d-b)-2rbT*)/r3として定義される。第 1 項は T* 以降新技術に乗り換えることによる利得であり、第 2 項は新技術に乗り換えることにより今ま

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移」:新技術が採用される場合でも、旧技術の社会厚生の方が高い場合(T*r≦d/b ≦1+T*r)がある。(2)「過剰慣性」:旧技術が採用される場合でも、新技術の社 会厚生の方が高い場合(1+T*r≦d/b)がある。

<図 9 挿入>

3.3 その他の Farrell & Saloner モデル

 F&S (1988)は互換性・標準化が達成されるための 3 方式の経済効果を分析し た。彼らは協調ゲーム(Coordination Game)における事前交渉(Cheap Talk と呼ば れる)を取り上げている。 (1)事前交渉に基づく「委員会方式」と事前交渉を持 たない「市場主導方式」との間では、協調効果という点で前者が優れ、速効性 という点で後者が優れるが、概して前者の方が望ましい。 (2)「委員会方式」と 「市場主導方式」との混在型は純粋な「委員会方式」よりさらに望ましい。  F&S (1992)は「コンバーター」の経済効果を分析した。ネットワーク外部性 下では、標準化による互換性の向上と多様性の喪失というトレードオフがある。 そこで、多様性を喪失することなく部分的な互換性を達成するようなコンバー ターという中間的形態を考えることができる。 F&S (1992)はコンバーターが均 衡となる条件が、(1)コンバーターの不完全性が小さいこと、(2)コンバーターの 費用が安いこと、(3)ネットワーク外部性の効果が中間的であることを論じた。 さらに、F&S (1992)は、コンバーターの採用者の数が社会的に過剰であり、コ ンバーターによって社会厚生が悪化する可能性を論じた。 4 ネットワーク外部性のジレンマ

ネットワーク外部性は、 Journal of Industrial Organization (1992)/ Journal of

Economic Perspectives (1994)/ International Journal of Industrial Organization (1996)

のような経済学の専門雑誌で繰返し特集されている現代のホット・トピックで ある。本論と合わせて参照されたい。さて、結びに変えて、「ネットワークの

での既得基盤の利得の損失である。

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この結論は新技術が予期されないという仮定に依存しているが、Farrell & Saloner (1986)は新

技術が「事前予告(Preannouncement)」されることによって社会厚生が必ずしも向上しないこと も論じている。

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外部性のジレンマ」とも呼ぶべき企業と消費者の利害相反について触れよう。 ネットワーク外部性が存在する場合、互換性・標準化さえ達成されるならば、 ネットワークの規模が拡大し、当然消費者余剰は大きく増大する。問題は、ネ ットワーク外部性の負担者(企業)と受益者(消費者)とが異なり、それが故に互換 性・標準化の私的誘因と社会的誘因に乖離が生じることである。この時、市場 支配力を持った企業は価格差別化や抱合せ販売のような各種経営戦略を用いて 消費者余剰を企業利潤に転嫁し、互換性の私的誘因を社会的誘因と一致させる ことが可能である。畢竟、次のような「ネットワーク外部性のジレンマ」が存 在することになる(cf. 依田 1996, Ida 1999)。もしも企業がネットワーク外部性 の便益を全て搾取してしまえば、互換性の過少誘因という市場の失敗(配分の非 効率性)は避けられようが、消費者側にネットワーク外部性の便益は残らなくな ってしまう(分配の不公平性)。詰まる所、ネットワーク外部性の問題は、「生産 者主権の効率性」と「消費者主権の公平性」との間の緊張関係とも言い換えら れる。この関係は、高度情報通信があまねく公平に提供されるべきであるとい う「ユニバーサル・サービス(Universal Service)」と関連付けて論じられる場合、 一層明らかになるだろう。従来政府が公益事業規制をする根拠は生産側の条件 (自然独占性 )に置かれて来たが、今後はいかにネットワーク外部性を発揮させ るべきか、あるいはユニバーサル・サービスをどう確保するべきかという需要 側の条件(必需性)も考慮される必要があるのではないか。 <次回は「ネットワークの外部性の経済理論(後)」です。>

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参照文献 依田高典・広瀬弘毅・江頭進(1995)「ネットワーク外部性とシステム互換性」京都大学経 済論叢 156.5: 395-415. 依田高典(1996)「ネットワーク外部性のジレンマ、価格差別化、ならびにユニバーサル・ サービス」甲南経済学論集 37.1:31-81. 林敏彦(1992)「ネットワークの構造」林敏彦・松浦克己編『テレコミュニケーションの経 済学』東洋経済新報社. 水田洋(1997)『アダム・スミス』講談社学術文庫. 三友仁志(1995)『通話の経済分析』日本評論社.

Artle, R. and C. Averous (1973), “The Telephone System as a Public Good: Static and Dynamic Aspects,” Bell Journal of Economics and Management Science 4: 89-100.

Farrell, J. and G. Saloner (1985), “Standardization, Compatibility, and Innovation,” Rand Journal of Economics 16.1: 70-83.

Farrell, J. and G. Saloner (1986), “Installed Base and Compatibility: Innovation, Product Preannouncements, and Predation,” American Economic Review 76.5: 940-955.

Farrell, J. and G. Saloner (1988), “Coordination through Committees and Markets,” Rand Journal of Economics 19.2: 235-252.

Farrell, J. and G. Saloner (1992), “Converters, Compatibility, and the Control of Interface,” Journal of Industrial Economics XL: 9-35.

Ida, T. (1999), “Network Externality and Monopolistic Pricing,” Konan University and University of Illinois Working Paper.

Katz, M.L. and C. Shapiro (1985), “Network Externalities, Competition, and Compatibility,” American Economic Review 75.3: 424-440.

Katz, M.L. and C. Shapiro (1986a), “Product Compatibility Choice in a Market with Technological Progress,” Oxford Economic Papers Special Issue on the New Industrial Economics:146-165.

Katz, M.L. and C. Shapiro (1986b), “Technology Adoption in the Presence of Network Externality,” Journal of Political Economy 94.4: 822-841.

Katz, M.L. and C. Shapiro (1992), “Product Introduction with Network Externalities,” Journal of Industrial Economics XL: 55-83.

Leibenstein, H. (1950), “Bandwagon, Snob, and Veblen Effects in the Theory of Consumers’ Demand,” Quarterly Journal of Economics 64: 183-207.

Morgenstern, O. (1948), “Demand Theory Reconsidered,” Quarterly Journal of Economics 62: 165-201.

Rohlfs, J. (1974), “A Theory of Interdependent demand for a Communications Service,” Bell Journal of Economics and Management Science 5: 16-37.

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図 1:ネットワーク外部性の古典モデル 図 2:バンドワゴン効果と弾力的需要曲線 E2 E1 d12 d2 d1 q1’ q2 q1 p1 p2 0 p q ・ Leibenstein(1950)モデル バンドワゴン効果 ・ Rohlfs(1974)モデル  通信需要の相互依存性

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図 3:ネットワーク外部性と複数均衡

図 4:ネットワーク外部性の    Katz & Shapiro モデル

0 fS fL f p ・二つの問題  既得基盤 互換性の過少誘因 ・二つのネットワーク外部性 水平的:Katz & Shapiro(1985) 垂直的:Katz & Shapiro(1986a)

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図 5:Katz & Shapiro(1985)モデル

表 1:Katz & Shapiro(1986a)モデル

#2:「BB」 ΔV>ΔC #1.2:「BB」 ΔV<ΔC<3ΔV #1.1:「AB」 3ΔV<ΔC ΠBI NΔC 2NΔV N(ΔC-ΔV) ΔΠB 0 N(ΔC-2ΔV) NΔV ΠI NΔC 2NΔV 2N(ΔC-2ΔV) ΔΠ NΔC 2N(ΔC-ΔV) 4NΔV WI N(2V(2N)-C H-CL) N(2V(2N)-CH-CL) 2N(V(N) -CL) ΔW NΔC NΔC 2NΔV nA $ (n+1) Z 完全互換性 nA+nV(Z) 不完全互換性 nA+ΣV(yi) ZI    ZC Z

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図 6:Katz & Shapiro(1986a)モデル

図 7:ネットワーク外部性の    Farrell & Saloner モデル

表 2:Farrell & Saloner(1985)モデル

保守派(i=0) 革新派(i=1) 相手企業 相手企業 新技術 旧技術 新技術 旧技術 新技術 -2 -3 新技術 2 1 自企業 旧技術 -1 0 自企業 旧技術 -1 0 − + 0 ΔΠB 3ΔV 2ΔV ΔV ΔC 均衡パターン BB BB AB ΔΠ, ΔW + ・二つの問題  過剰慣性:非効率な旧技術 過剰転移:非効率な新技術 ・二つのネットワーク外部性

水平的:Farrell & Saloner(1985) 垂直的:Farrell & Saloner (1986)

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図 8:Farrell & Saloner(1985)モデル

図 9:Farrell & Saloner(1986)モデル

Π(2, 新) Π(1, 新) Π(2, 旧) Π(1, 旧) 0 1 2 -1 A3 A2 A1 0. 5 i2=0.6 i1=0.25 0.75 0 1 0 -1 -3 -2 旧技術採用が均衡 新技術採用が均衡 社会厚生が増加 d/b rT* 1+rT*

図 1:ネットワーク外部性の古典モデル 図 2:バンドワゴン効果と弾力的需要曲線 E 2E1 d 12d2d1 q 1 ’ q 2q1p1p20p q・ Leibenstein(1950)モデルバンドワゴン効果・ Rohlfs(1974)モデル 通信需要の相互依存性
図 3:ネットワーク外部性と複数均衡
図 5:Katz &amp; Shapiro(1985)モデル
図 7:ネットワーク外部性の    Farrell &amp; Saloner モデル
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