この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
銘柄フラッシュ(海外企業概要)
ブッキング・ホールディングス
(Booking Holdings Inc.) ティッカー:BKNG(ナスダック)
STAGE コード:09197 セクター:一般消費財・サービス 業種:小売
世界最大のオンライン旅行代理店
ポイント
世界的なオンライン旅行予約へのシフトが追い風 成長著しい米国外市場の伸びが業績拡大をけん引 旅行関連予約サービスをグループ一体で提供、利便性向上に注力 企業概要
時価総額および売上高規模で世界最大のオンライン旅行代理店(OTA)。1997 年、米国を中心にオンライン 旅行予約事業を行うプライスライン・ドットコムとして設立。2005 年に現在の中核事業となるオランダのブッキ ング・ドットコムを買収、海外事業への進出を本格化。14 年、傘下にプライスライン・ドットコムを含む各子会社 を置くグループ形態に組織再編。そのほか、アジア事業のアゴダ・ドットコム、レンタカー予約のレンタルカー ズ・ドットコム、レストラン予約のオープンテーブル、メタサーチ(旅行予約サイト横断検索)のカヤック等のブラ ンドを擁する。18 年 2 月、社名を「プライスライン・グループ」から「ブッキング・ホールディングス」に変更。 業績推移
財務データ
17/12期(末) 売上高構成比
〈地域別〉(17/12期、%) 〈収入源別〉(17/12期、%) 2018 年 7 月 10 日 投資情報部 鈴木 弦騎 総資産 254.5 億ドル 有利子負債 95.2 億ドル 株主資本 112.6 億ドル 営業CF 46.6 億ドル ROE 22.2 % 出所:ブルームバーグ等のデータよりみずほ 証券作成 オランダ 75 米国 13 その他 12 出所:会社資料よりみずほ証券作成 仲介販売 77 直接販売 17 出所:会社資料よりみずほ証券作成 広告・その他 7 68 84 92 107 127 0 30 60 90 120 150 13/12 14/12 15/12 16/12 17/12 売上高 (年次:2013~2017) (億ドル) (年/月) 出所:ブルームバーグ等の データよりみ ずほ証券 作成 41.72 53.31 51.92 65.63 77.03 36.11 45.67 49.45 42.65 46.86 0 20 40 60 80 100 13/12 14/12 15/12 16/12 17/12 非GAAP GAAP EPS (年次:2013~2017) (年/月) (ドル) (注1)GAAP、非GAAPについては6ページ参照 (注2)GAAPは継続事業ベース 出所:ブルームバーグ等の データよりみ ずほ証券 作成銘柄フラッシュ(海外企業概要)
ブッキング・ホールディングス(BKNG)
事業紹介
同社の主な事業は、①ブッキング・ドットコム、②プライスライン・ドットコム、③レンタル カーズ・ドットコム、④アゴダ・ドットコム、⑤オープンテーブル、⑥カヤック、という世界 各国で事業を展開する 6 つのブランドを通じて運営されている(図表 1)。 同社が上記の事業から得る収入は、エージェンシー・モデルと呼ばれる仲介販売に よる収入、マーチャント・モデルと呼ばれる直接販売による収入、広告・その他収入に 大別される。エージェンシー・モデルでは、旅行客が料金を宿泊施設等に直接支払 い、同社は宿泊施設側から手数料を受け取る。マーチャント・モデルでは、同社が旅 客から受け取る料金と、同社が宿泊施設に支払う仕入れ値との差額が主な収入とな る。広告・その他収入は主にカヤック、オープンテーブルにおける紹介手数料、広告 収入等による。 図表 1:ブッキング・ホールディングスの主な事業概要 出所:会社資料よりみずほ証券作成 0 200 400 600 800 1,000 11 12 13 14 15 16 17 図表2:予約総額の推移 (年次:2011~2017) 出所:会社資料よりみずほ証券作成 (年) (億ドル) 0 2 4 6 8 11 12 13 14 15 16 17 図表3:予約客室総数の推移 (年次:2011~2017) 出所:会社資料よりみずほ証券作成 (年) (億室) 事業 概要 ①ブッキング・ドットコム 同社の中核事業。2005年に買収、オラ ンダに本社を置く。宿泊予約サイト 「Booking.com」は世界の40以上の言語に対応しており、同サイト を通して 220以上の国と地域で約160万軒におよぶ宿泊施設の予約が可能。うち、約 40万軒がホテル・リゾート、約120万軒がバケーションレンタル(民泊)施設 ②プライスライン・ドットコム 主に米国の消費者向けにディスカウント価格での宿泊施設、レンタカー 、航 空券予約を行うほか、パッケージ販売やクルーズ予約を手掛ける ③レンタルカーズ・ドットコム 2010年に買収、英国に本社を置く。約160ヵ 国においてレンタカー 予約サー ビスを提供、カスタマーサポートは42言語に対応している ④アゴダ・ドットコム 2007年に買収、シンガポールに本社を置く。東南アジアを中心にア ジア・太 平 洋 地 域 の 消 費 者 向 け に 宿 泊 施 設 予 約 を 行 う 。 旅 行 予 約 サ イ ト 「agoda.com」は38の言語に対応しており、同サイト を通して世界各国の190 万軒以上の宿泊施設の予約が可能 ⑤オープンテーブル 2014年に買収。米国を中心に世界各国でレスト ラン予約サー ビスを提供す るほか、飲食店向けに予約管理サービスも提供。海外事業の強化を図って いる ⑥カヤック 2013年に買収。メタサーチと呼ばれる旅行予約サイト横断検索サービスを 提供する。同サービスの利用により、ユー ザー は複数の旅行予約サイトに 掲載されている宿泊施設、航空券、レンタカー 等の予約価格を一度に比較 し、最も条件の良いサイトで申し込みす るこ とができる。同サービスは60以 上の国と地域で提供されており、20以上の言語に対応している銘柄フラッシュ(海外企業概要)
ブッキング・ホールディングス(BKNG)
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する ポイント解説
世界的なオンライ ン 旅 行 予 約 へ の シフトが追い風 同社の急速な業績拡大の背景として、世界的なインターネット普及にともなうオンライ ン旅行予約へのシフトが挙げられる(図表 4、5)。 OTA を利用したオンライン旅行予約における、消費者側のメリットとしては、わざわざ 店舗に行く必要がなく、都合の良い時間に予約を行うことが可能、複数のサイトに掲 載されている多数の旅行商品の比較検討が可能、といった利便性の高さが挙げられ る。また、宿泊施設等のサービス提供側は、広範なマーケティング力を持つ OTA と の提携により、サービス提供側単体ではアプローチが困難な幅広い顧客層の獲得が 可能となる。これらのことも、オンライン旅行予約市場の成長を後押しする要因の 1 つ であると考えられる。加えて、世界的なオンラインシフトの担い手でもあるミレニアル世代*は、商品・サービ スの消費に際して、自動車や住宅といった「モノ」よりも、旅行、外食、娯楽といった 「コト(体験)」を重視する傾向がある。同世代が、消費を増加させる年齢層を迎えるに つれ、今後の旅行市場自体の拡大も期待される(P.4 図表 6)。 *ミレニアル世代:ベビーブーマー世代の子供世代に当たる、1980 年から 2000 年代初頭までに生まれた世代。同世 代は、幼い頃からインターネットやデジタル端末に慣れ親しんでおり、旅行予約市場における世界的なオンラインシ フトの一端を担っていると考えられる 0 25 50 75 100 0 10 20 30 40 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17予 インターネット利 用者数(左目盛) インターネット普 及率(右目盛) 図表4:世界のインターネット利用者数の推移 (年次:2005~2017)
(注)予想はITU World Telecommunication
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators database よりみずほ証券作成 (年) (億人) (%) 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 14 15 16 17 18 19 20 図表5:世界のオンライン旅行予約額の推移と見通し (年次:2014~2020) 出所:Statistaのデータ(https://www.statista.com/statistics/499694/forecast-of-online- travel-sales-worldwide/)よりみずほ証券作成 (年) (億ドル) 見通し
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ブッキング・ホールディングス(BKNG)
成長著しい米国外 市 場 の 伸 び が 業 績拡大をけん引 同社は、世界の 40 以上の言語に対応し、220 以上の国と地域で約 160 万軒におよ ぶ宿泊施設の予約が可能な宿泊予約サイト「Booking.com」を運営するブッキング・ ドットコムや、アジアの消費者向けに宿泊施設予約サービスを提供するアゴダ・ドット コム等を通じて世界中で事業を展開。同社の売上高の大部分を占める米国外の売 上高は、前年比 2 ケタの成長を続けており、同社の業績拡大をけん引している(図表 7)。会社側は、特にアジア・太平洋や中南米といった新興地域における成長が寄与 しているとしており、これらの地域を含め、オンライン旅行予約の普及余地が大きい米 国外市場における伸びが今後も続くことが予想される(図表 8)。また、アジアや欧州 における宿泊施設業界は、大手ホテル・リゾートチェーンが大きなシェアを占める米 国と比べて断片化しているため、単独ではマーケティング能力で劣る宿泊施設の多く が、OTA を通じた予約客の獲得を必要としているとされる。 50% オンライン オフライン 図表 8:世界地域別の旅行予約オンライン比率(2016 年) 34% 37% 67% 北米 欧州・中東 ・アフリカ アジア・ 太平洋 中南米 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 00 03 06 09 12 15 18 21 24 27(年) (億ドル) 図表6:世界の旅行市場規模の推移と見通し (年次:2000~2027) 出所:世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のデータよりみずほ証券作成 WTTC に よる予想 0 20 40 60 80 100 0 30 60 90 120 150 11 12 13 14 15 16 17 米国(左目盛) 米国外(左目盛) 前年比(米国外) (右目盛) (年) (億ドル) (%) 図表7:同社の地域別売上高の推移 (年次:2011~2017) 出所:会社資料より みずほ証券作成銘柄フラッシュ(海外企業概要)
ブッキング・ホールディングス(BKNG)
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 旅 行 関 連 予 約 サービスをグルー プ一体で提供、利 便性向上に注力 同社が提供するオンライン旅行関連予約サービスは、宿泊施設予約にとどまらず、 世界約 160 ヵ国でレンタカー予約サービスを展開するレンタルカーズ・ドットコムや、 2014 年に買収したレストラン予約のオープンテーブル等も含まれる。これらのサービ スを通じて、旅行客が必要とする関連サービスをグループ一体で提供することによ り、消費者の利便性、満足度の向上を図っている。例えば、2018 年 1 月よりレンタル カ ー ズ ・ ド ッ ト コ ム と ブ ッ キ ン グ ・ ド ッ ト コ ム の 事 業 を 統 合 し 、 宿 泊 予 約 サ イ ト 「Booking.com」上でレンタカーや空港発着タクシーの予約が行えるようになっている ほか、メタサーチのカヤックを通じて航空券の予約等も同サイト上でまとめて行うこと が出来る。 同業比較
世 界 的 OTA グ ループ2社の比較 世界のオンライン旅行予約市場で大きな存在感を持っているのがブッキング・ホール ディングスとエクスペディア(EXPE)の 2 社である。両社は、度重なる同業他社の買収 の結果、旅行予約総額や予約客室総数等の点で、圧倒的な規模を誇る OTA グ ループへと成長を遂げた。また、どちらも傘下企業を通じて世界的に事業を展開して いるものの、エクスペディアが売上高の半分以上を米国市場で得ているのに対して、 ブッキング・ドットコムの買収により、早期から海外事業への進出を本格化させた同社 は、売上高の大部分を米国外市場から得ている点が対照的である。 ブッキング・ホールディングス(BKNG) エクスペディア(EXPE) 総合旅行予約 プライスライン・ドットコム エクスペディア・ドットコム トラベロシティ オービッツ・ワールドワイド ホットワイヤー 宿泊施設予約 ブッキング・ドットコム アゴダ・ドットコム ホテルズ・ドットコム バケーションレンタル (民泊) ブッキング・ドットコムで民泊物件を扱う ホームアウェイ レンタカー予約 レンタルカーズ・ドットコム カーレンタルズ・ドットコム メタサーチ (旅行予約サイト横断検索) カヤック トリバゴ その他 オープンテーブル(レストラン予約) Egencia(ビジネス旅行管理) 予約総額(2017年) 812億ドル 884億ドル 予約客室総数(2017年) 6.7億室 3.1億室 図表 9:ブッキング・ホールディングスとエクスペディア傘下の主なブランド 出所:各種資料よりみずほ証券作成銘柄フラッシュ(海外企業概要)
ブッキング・ホールディングス(BKNG)
リスク・留意
事項
同業他社との競争激化、市場への新規参入 同社が展開するオンライン旅行予約サービスやレストラン予約等関連サービス業界 は同業他社との競争が激しく、今後もその傾向が続くことが予想され、既存の大手 IT 企業等による新規参入の脅威もある。また、競争激化による広告・マーケティング費 用の増加が利益率を圧迫する可能性がある。 新規事業への投資、買収の失敗 同社は、サービス拡充、事業拡大のための戦略的投資や企業買収を積極的に行っ ており、今後もその傾向が続くことが予想される。新規投資事業や買収企業の経営 が当初の想定通りにいかず、不振に終わる可能性がある。 地政学的リスクによる脅威 特定地域における、テロの勃発、自然災害の発生、感染症の流行、政治的・軍事的 緊張の高まり、政策の変更等の予測困難な地政学リスクにより、世界的な旅行需要 が減退し、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。 GAAP と非 GAAP の差異GAAP:Generally Accepted Accounting Principles、一般に公正妥当と認められた会計原則。各国で定められており、米 国会計基準(US-GAAP)、日本版 GAAP 等がある。 非 GAAP:実質的な業績動向を示すために、企業が独自に定めた会計原則。リストラ費用、株式報酬費用等の特別項目 が調整されることがある。 銘柄フラッシュ(海外企業概要)は企業の沿革、概要、事業、中長期的な競争優位性等の紹介に重点を置い たレポートです。当該企業の最新の決算情報、ニュース、トピックに関しては、銘柄フラッシュをご参照くださ い。