鉄 鉱 石 の 還 元 速 度 に関 す る研 究 概観 1899
技
術
資
料
鉄鉱 石 の還 元速度 に関 す る研 究概 観*
徳 田
昌 則**・ 吉 越
英 之***・
大 谷
正 康**
Outline
for the Kinetics
of the Reduction
of Iron Ore
Masanori TOKUDA, Hideyuki YOSHIKOSHI,
and Masayasu OHTANI
1.緒 言 鉄鉱 石(あ るい は酸 化 鉄)の ガ ス還 元 反 応 は,近 年 に おける高炉 の 自動 制 御 を 目的 と した炉 内反 応 解 析 の主 要 因子 として,あ る い は新 しい還 元 反 応装 置 設 計 の基 礎 と して,な どの 実用 的 な 目的 ば か りで な く,気-固 反 応 の 代表的 な研 究 対 象 とし ての 意 味 か らも広 範 な 研究 が行 な われてい る.こ れ らの 研究 に よ り酸 化 鉄 の ガス還 元 反応 は 不均一 反 応 の 中で も,と くに複 雑 な気-固 反 応 の特 性 として種 々の要 因 に よ り影 響 され,反 応 の 機 構 も きわ め て複雑 で あ る こ とが 現 象 的 に よ うや く明 らか に され て き た段階 とい え る.そ れ らの 成 果 に立 ち,定 量 的 に還 元 速 度を表 わ さん とす る試 み もな され てい るが,現 在 で はか ならず しも普 遍的 な 速 度 式 の導 出 に は至 っ て お らず,還 元過程 の特徴 を示 す 一 つ の尺 度 に と どま っ て い る場 合 も 多い.む しろ,現 象 的 に は これ らの 式 の 導 出 の母 体 にな るモデ ルを よ り精 緻 に して い く過 程 で,還 元 機構 の よ り 詳細な 内容が 明 らが に され る場 合 の ほ うが 多 い. かか る観 点 か ら,こ こで は従 来 の還 元 に 関 し得 られ て いる現 象 を整 理 し,モ デ ル を立 て た 解 析法 を総 括 す る こ とに よ り,従 来 の方 法 の欠 陥 を整 理 し,今 後 の研 究 の 展 望を得 るた め の 一助 とし て,GMELIN1)に 記載 され て い る 酸化鉄還 元 の現 象論 に筆 者 らの 見 解 を加 え つ つ,総 括 を 行なつてみ た. 2.還 元 平 衡 状 態 図 還元反 応 に お け る酸 化 物 と還元 ガ ス との 平 衡 関 係 は他 書1)2)に詳 し く述 べ られ て い るの で,こ こで は そ の結 果 のみを述べ る. 2.1Fe-O系 酸化鉄 には α-FeO3(菱 面 体 型),γ-Fe2O3(立 方 晶), Fe304(逆 ス ピネ ル 型),FeO(岩 塩 型)の4種 類 が あ る.γ-Fe2O3は 準 安定 構造 で あ るが,α-Fe2O3→Fe3O4の 還元過程 に 出現 す る こ とを観 測 して い る例 が あ る.FeO は化学量 論 的 にFeと0が1対1で は な く,Feが 不 足 し た状態 にあ る 。 したが つ て厳 密 にはFeI-yOと 書 くべ き で,こ こでyはFeイ オ ンの 格子 欠 陥 濃度 を示 す.本 交 で は以 下簡 単 の た めFeOと 記 す こ とにす る.FeOの 安 定 領 域 は570℃ 以上 で あ る.こ れ ら酸 化物 と酸素 濃 度 の関 係 は 系統 的 に 研究 され て お り,そ の結 果 をFig.1 に示 した2). 2.2Fe-H-O系 還 元 ガ ス と してH2ま た はH2-H2O混 合 ガ ス を用 い た と きの還 元 反 応 は 各酸 化 物 につ い て,つ ぎの よ うに考 え られ る.
Fig.1. The temperature-composition phase diagram of the iron-oxygen system at a total pressure of one atmosphere.2)
*昭 和45年4月20日 受 付 **東 北 大 学 選鉱 製 錬 研 究 所 工 博 ***東 北 大 学 選 鉱製 錬 研 究 所
Fig.2. Diagram of Fe-O-H system3). 570C以 下 で はFe304+4H2二3Fe+4H念0 こ れ ら の 反 応 の 平 衡 分 圧 比 は 各 反 応 の 平 衡 定 数 κ=PH2o /PH2か ら 求 め ら れ る.す な わ ち 反 応 の 自 由 エ ネ ル ギF変 化 ΔG° が 与 え られ れ ば,」G°=-RTlnKに よ り算 出 で き る.こ こ でRは 気 体 定 数,Tは 反 応 温 度 で あ る.こ の よ う に し て 求 め たH2-H2Oガ ス と 酸 化 鉄 の 平 衡 関 係3)をFig.2に 示 す 。 2.3Fe-C-O系 COま た はCO-CO2混 合 ガ ス に よ る 酸 化 鉄 の 還 元 は そ れ ぞ れ つ ぎ の よ う に 考 え られ る.
Fig.3. Diagram of Fe-O-C system4),
3.酸 化 物 お よ び 還 元 生 成 物 の 形 態 前 に 述べ た 熱 力 学的 計 算 を用 い れ ば,与 え られ た還元 ガ ス に よ り生 成 し う る還 元 生 成 物 は判 定 で き る。 しか し そ れ か らは反 応 の 速度 論 的 な知 見 は得 られ な い.こ れ は 酸化 物 あ るい は 還元 生 成 物 の 物 理 的 形 態,還 元 ガス,温 度 な どの条 件 に よつ て影 響 され るか らであ る,こ こで は 考 え うる酸 化 物 の還 元 形 態 を現 象的 に列 挙 し,さ らにそ れ らの個 々 につ い て の還 元 速 度 に つ い て考 察 す る.固 体 の 酸 化 物 と還 元 ガ ス間 の反 応 は 不均 一反 応 と して進行す る.現 象論 的 に は 酸化 物 と還元 生 成 物 は一 般 に緻密 か, 多孔 質 の いず れ か の状 態 で あ り,そ れ に よつ て還元 反応 面 の大 き さが 決 定 され る.酸 化 物 と還 元 生 成 物の 関係 は 基本 的 につ ぎの よ うに分 類 で きる. 酸 化 物 還 元 生 成 物 1)緻 密 酸 化 物 緻 密 酸 化 物 2)"緻 密 金 属 3)"多 孔 質 金 属 4)多 孔 質 酸化 物 〃 5)緻 密 酸化 物 融 体 金 属 6)多 孔 質 酸化 物 〃 これ らの現 象 形態 は一 般 につ ぎの よ うな 条 件下 で観 察 さ れ る. 1)緻 密 な 酸化 物 を金 属鉄 ま て還 元 しな,で,低 次の 酸 化 物 へ 還元 した 場 合 は 一 般 に この 状 態 に な る(FeaO4 →FoOへ の還 元)の.た だ し,こ れ らの 段階 で ミク ロ気 孔 の 増 大す る こ とが,と くにFe203→Fe304の 段階 で観 測 され てお り,生 成 物層 内の 物 質 移 動 に は気 相 拡散 も関 与 し うるの. 2)酸 素 の 除去 反応 は生 成 した緻 密 な金 属 固 体層 を通 して の酸 素 の 拡散 に よつ て律 速 され,還 元 速 度 は非常 に 小 さ い7).還 元 生 成 層 が 多孔 質 で あ っ て も,そ の層 内に 緻 密 な金 属鉄 に か こ まれ た 酸 化 物 粒子 が認 め られ る場合 が あ り,そ の 個 々 の粒 子 の還 元 は 酸 素 拡 散律 速 に よつて 進行 す る8). 3)緻 密 な 酸 化 物 上 に 多孔 質 な 海 綿 鉄 が 形 成 され る と,そ れ 以 後 の 酸 素 除去 反 応 に関 与 す る還元 ガス の供給 あ るい は還 元 生 成 ガス の除 去 は気 孔 内拡 散 に よつ て保 証 され る.こ の例 と して,Fe0のCOに よ る 還元 が あ る9). ―114―
鉄 鉱石 の還 元 速度 に 関 す る研 究 概観 1901 4)生 成 金 属 相 も 多孔 質 で あ り,反 応 界面 積 が 大 き く,ペ レ ッ ト,焼 結 鉱 あ るい は 気 孔率 の高 い鉱 石 の 還元 にたびた び現 われ る現 象 で あ る. 5)と6)は1150℃ 以 上 の温 度 でC0あ るい は 固 体炭素 還元 に よ り生 成 したFeが 還 元 剤 か らCを 吸 収 し て共 晶状態 とな り,溶 融 す る場 合 で あ る. 一般 に酸化 物 の 還元 はFe203→Fe304→FeO→Feの よ うに低級 酸化 物へ と段階 的 に進 行す る.そ の際,各 層 の 境界 に明 りような 反 応面 が観 察 され る こ とが あ る.こ の ような 酸 素除 去 過 程 は トホ 化 学 反 応 と よばれ て い る. FeO安 定 域以 下 の 温度(570℃)で は,Fe3O4はFoへ 直接還元 され る.こ の トポ化 学 反 応 は緻 密 な酸 化 物 の 還 元にたび た び 観 察 され9)岬16),還 元 試料 が 多孔 質 な 場 合 は還元 の トボ化 学状 況 は不 明 りよ うに な る.こ れ は 酸化 物内の気孔 に よ り反 応 面 が 非 常 に大 き くな るた め,反 応 が平面 で 進 行せ ず 一 定 の 幅 の 中 で 行 なわ れ る か らで あ る14), 極端 に気 孔 率が 高 い と,も はや トポ化 学 反 応 は 起 こ ら ず,試 料 全 体 にわ た っ て 還元 が 進 行 す る17),18).FeOの 球 状試料(半 径ra)を 還 元 し,ト ホ 化 学 的 に 反 応が 進 行 す れば,そ の還 元 率RとFeO/Fe界 面 まで の 半 径riの 間 には(1)式 の 関 係 が あ る19). (1) もし試料 がFe203,Fe304て あ っ て もFeと の 中 間 に で きるFe3O4 ,FeO層 が 薄 けれ ば あ る誤 差 範 囲 で この 式が 成立つ19). 4.反 応 素 過 程 の 分 類 前節で は酸 化 鉄 の 巨視 的 な 還 元 形 態 を分 類 した が,各 々の反 応現 象 は 一般 に い くつ か の 素 過 程が 組 み 合 わ さつ て進行 してい る.還 元 反 応 の 素 過 程 は つ ぎ の よ う に大 別 され る. 1)ガ ス 流 と試 料 表 面 間 の 物 質移 動 還元 ガス の ガス 境 膜 層 を通 して の試 料 表 面 へ の 移動 過 程お よび 反応 生 成 ガ ス の試 料 表 面 か ら ガス 流 中へ の移 動 過程. 2)試 料 表面 と内 部反 応 面 間 の 反 応生 成 物 層 を通 して の物質移 動. i)固 相 内拡 散 過 程 a)低 次 酸 化 鉄 層 の 場 合 b)金 属 鉄 層 の場 合 i i)気 孔 内 ガ ス拡 散 過 程. 3)界 面 反 応過 程 i)酸 素除 去 反 応 ii)金 属 鉄 核 の 生 成 お よび成 長 以下,こ れ ら個 々 の 素 過 程 の 速度 と反 応 条 件 との 関 連性 につい て概説 す る, 4.1ガ ス 境膜 層 を 通 しての ガス の移 動 過 程 試料 表面 へ の還 元 ガ ス の供 給 は ガ ス流 速 に よつ て 制御 され る.単 一 粒 の 場合 には 試料 表面 上 の ガ ス境 膜層 が 考 え られ.こ の 層 を通 る ガス 量が 還元 に要 す るガ ス量 よ り 少 な い場 合 は,ガ ス流 量 の増 大 と と もに反 応 速度 も上 昇 す る.一 方,境 膜 層 か ら試 料 表 面 に 達す るガ ス量 が 還元 に要 す る ガス 量 よ りも多 くな れ ば ,ガ ス 流 量 に関 係 な く 一 定 の 反 応 速度 で 還元 は進 行 す るはず で あ る.す な わ ち 限 界 流 量以 上 にな る と還 元 反 応速 度 に影 響 をお よぼ さな い.酸 化鉄 還 元 の 反応 速 度 論 的研 究 で は ガス 流 量 に よ る 還元 速度 へ の 影 響 を な くす るため,多 くの 場 合,こ の 限 界 値以 上 の 流 速 で還 元 が 行 なわ れ る.限 界 流 速 につ い て は 多 くの 研究 者 に よ り報 告 され てお り3).20)-24),さ らに 総 括 的 にま とめ た報 告 もあ る25).一 方,試 料 が 球 形 で あ れ ば ガス 境 膜 中 の物 質 移動 係 数kcは 次 式 か ら求 め られ る26). (2) こ こで4:試 料 の直 径,D:ガ ス の拡 散 係数,Re:レ イ ノル ズ数,Sc:シ ュ ミ ッ ト数 で あ る. 限 界流 速 以 上 の ガ スが 流れ てお れ ば ガス 境 膜 を無 視 で きる が,試 料 中 で の反 応 の 収支 は ガ ス流 速 に よつ て異 な り,そ れ に と もなつ て境 膜層 内の ガ ス濃 度 の 勾配 も変 化 す るの で,流 速 に よ る反 応収 支 は別 に考 慮 しな けれ ば な らな い. 4.2試 料 表面 と内 部 反 応面 の 間の 物 質 移 動過 程 酸 化 鉄 の表 面 に 形成 され る反 応生 成 物 の形 態 に よ り, 還元 ガ ス の移 動 過 程 は著 し く影 響 を 受 け る.生 成 物 と し て は 低級 酸 化 鉄 あ る いは 金 属鉄 が 考 え られ るが,と くに 金 属鉄 の場 合 それ が 緻 密 で あ るか,多 孔 質 で あ るか に よ りそれ 以 後 の 還元 過程 は 決定 的 に異 な る. 三)固 相 内 拡散 の 還元 生成 物 が 低 級 酸化 鉄 の場 合 還 元 ガス がFeま で 還元 せ ず,低 級 酸 化物 まで 還元 で きる還元 ポ テ ン シ ャル で あれ ば,一 般 に は反 応 界面 と試 料 表 面 間 の酸 素 イオ ン とFeイ オ ンの 移 動 に よつ て還 元 が 進 む.し たが つ て酸 素 の 除 去 は試 料 表面 で 行 な われ, Feイ オ ン はそ れ とは 逆 方 向 に格 子 欠 陥 に よ る 移 動 機構 に 従 つ て拡 散 し,こ の 過 程 が基 本 的 に律 速 とな るの.こ の場 合 の速 度 式 は(3)式 の よ うに あ らわ され る. (3) ここでx=生 成酸 化 物 層 の厚 さ 〔cm〕,DFe=生 成 酸化 物 層内 のFeイ オ ンの 拡徹 係 数[cm2sec],C=反 応 界 画 と試 料 表面 の間 の拡 散原 子(イ オ ン)の 濃 度差[mol cm3], V =金 属 イ オ ン の 移 動 に よ り 生 成 した 層 の モ ル 容 積 [cm3 mol]FE2O3 お よびFe3O4のFeOへ の還 元 で この 過 程が 確 か め られ て い るas).こ の場 合,還 元 剤 と して は 金 属鉄 が 用 い られ た,そ の結 果FeO相 の厚 さxは 時 間 ―115―
Fig.4. Parabolic growth of wilstite layer at the reduction of magnetite29).
に 対 し,(4)式 の よ うに 放 物 線 的 に 増 加 し た.こ の 関 係 をFig.4に 示 す. (4) この式 はdx/dtの 符号が 逆 に な っ た もの に等 しい.す な わ ちk=2DΔCV[cm2 sec]で あ る.こ の よ うに個 体 内の イ オ ン拡 散 に よつ て還 元 が 進 行 す る こ とは他 の 研究 者 に よ つ て も確 認 され て い る6).さ ら にFe2O3→Fe3O4の 還 元 に お い て も 同様 の 関係 が 成 立 つ こ とが 確 か め られ て お り29),Fig.5に これ を示 す. b)緻 密 なFe層 の形 成
FeOか らFeへ の 還元 でFeOの 上 に緻 密 なFe層 が で き る こ とが詳 し く研 究 され てい る7).こ の場 合,酸 素 除 去 反 応 は緻 密 なFe層 を通 しての 酸 素 の拡 散 に よつ て 律 速 され,基 本 的 に は(3)式 が 適 用 され る.Fig.6に こ の例 を示 す.た だ しDはFe中 の酸 素 の 拡散 係 数 で, ΔCはFeOと 平衡 に あ る α-あ るい は γ-Fe中 の酸 素 と 試 料 表 面 の 酸 素 の濃 度 差 を 意味 す る.し た が つ て んはつ ぎ の よ う にな る30). (5) こ こで,Cio,Caoは お の お のFe相 の 内側 と外 側 にお け る 酸 素 濃 度,yはFe1-yO中 の格 子 欠 陥 濃度,MFe,Mvは Feお よび0原 子 量 で あ り,ρFeはFeの 密 度 で あ る. ii)気 孔 内 ガス 拡 散 過 程 気 孔 率 の高 い 鉱 石,焼 結 鉱 で は 反 応 界 面が 大 き く,そ
Fig. 5. Reaction isotherms for formation of magnetite. Linear representation of parabolic data").
Fig.6. Reduction process of wastite with H2/H20-mixture at various tempe-ratures (H20 : 2 ' 5%, total pressure
:700 Torr)7). こで 生 成 したC02ま た はH2Oの 表面 へ の 拡 散が 問題 と な る.す な わ ち 気孔 内拡 散 が 律 速 過 程 とな る.気 孔 内拡 散 に関 し ては 古 くか ら研 究 が 行 な われ,定 量 的 な速度 式 も 与え られ て い る31),32).その結 果 は基 本 的 に は(3)式 と同 じで あ るが,こ の場 合Dは,ガ ス の気 孔 内 拡散係数 で あ る.拡 散 律 速 で あれ ば反 応 面 の 移動 速度 は 放物 線則 に 従 うはず で あ り,こ の こ とは800℃ に お け るFe203の H2に よ る還元33)や,31%気 孔 率 の 人工Fe2O3を700℃ ∼1200℃ でH2ま た はC0に よつ て還 元 した場 合34)に も確 か め られ た.そ の ほ か に も気孔 内拡 散 に よる還元速 度 式 は 多 くの 研究 者 に よ り研 究 され て い るの,35),36).気 孔 内拡 散 律 速 の 場 合,試 料 内 の還 元 ガ ス濃度 はFig.7 (b)の よ うに な り表面 と内部 に濃 度 差 を 生 ず る.球 状酸 ―116―
鉄 鉱 石 の還 元 速度 に 関す る研 究 概 観 1903
Fig. 7. Schematic sketch for reduction process of interface reaction control (a) and pore gas diffusion control4).
化物の気孔 内拡 散律 速 に よ る還 元 速度 は一般 につ ぎの よ うに表わ され る. (6) ここでk∼Deff(Co-Ce)でDeff=D・ ε・ξ の関 係 が あ り,迷 宮 度 ξは気孔 構 造 に よる ガス 拡 散抑 制 の程 度 を表 わす係数 で あ る.こ のDeffは 構成 粒 子,気 孔 率ε ・ 温 度,還 元 率 な どに よ り著 し く異 な るの で 統 一 的 な 差の値 を求め るこ とは非 常 に 困 難 で あ り,種 々 の 実 験 条 件 を変 えた場 合の 気孔 内拡 散 係数 が 求 め られ てい る,ε は還 元 層の厚 さ に よ り,す な わ ち還 元 率 の上 昇 に よつ て も増 加 するの. 実際 の還元 で は還 元 初 期 に は 原 子 イ オ ンの 授 受 やFe 核生成 に要 す る潜 伏 期 が あ るが,こ の潜 伏 期 を度 外 視す
Fig. 8. Diffusion mechanism for the reduction of wUstite to iron by CO. Wcistite is prepared from 2.8cm hematite sphere").
れ ば測 定 値 と(6)式 はFig.8に 示 す よ うにか な りよ く一 致 す る とい う34)35).FeO→Feへ の 還元 で42%の 気孔 率 に もかか わ らず,気 孔 内 拡 散 は成 立 た な い とい う結 果 もあ る87).こ の事 実 は気 孔率 の ほか に 開気 孔 の 割 合 な ど,気 孔 構 造 が 大 きな要 因 とな り うる こ とを示 す と考 え ら れ るが,そ の ほか 気孔 分 布 もガ ス拡 散 機構 を支 配 し,反 応 の圧 力 依存 性 に影 響 をお よぼ す こ と が 明 らか に され てい る38).一 方還 元 中 に生 ず る 割 れ も ガ ス 拡散 には 大 きな 影 響 を お よぼす15) 39).し か し どの よ うな 条 件 で割 れが 生 ず るか を 定 量 的 に把握 す る こ とは非 常 に 困難 で あ る, 4.3. i)酸 素除 去 反 応 2-ii)で 多孔 質 酸 化 物 の 還元 の 一 般 的 状 況 を 考 え たが,こ こでは 緻 密 な酸 化 物 を還 元 した と き に 多 孔 質 な 金 属 鉄 が 形 成 され る 場 合 を考 え る.緻 密 な 酸化 物 で は 酸化 物/金 属鉄 の反 応 界 面 は 多孔 質 酸 化 物 に比 しは るか に小 さ く,相 対 的 に.速 度 は還 元 ガス(あ るい は生 成 ガ ス)の 金 属 鉄 層 の気 孔 内拡 散速 度 よ りも遅 くな る.試 料 内 の還元 ガス 濃度 差 が 反 応 界面 で 急 激 に変 化 す る状 況(Fig.7a) が 実現 され る と,界 面 に お け る酸 素 除去 反 応 が 律速 過 程 とな る.界面反応 に お い て除去 され る酸素 量-dNo/dtは 反 応 界面,還 元 ガ ス分 圧 に 比例 す る こ とが 知 られ てい る31).還 元 ガス 分 圧 につ い ては厳 密 にはC0ま た はH念 の絶 対 分圧 で はな く,平 衡 値Peqと ガス 分圧Pと の差 に よつ て表示 され る鋤.す なわ ち 次式 で 表 わ され る.
(7)
こ こで 泥.二酸 素 量,F=反 応 界面 積,一 般 に幾 何学 的 な 反 応 界面 はFで 表 わ され るが,多 孔 質 な鉱石,焼 結 鉱 の 場 合 には 有効 界面 は は るか に これ よ り増 大 す るわ け で, Fま た は 傷 に補 正 的 な 因子 が 加 わ っ た状 況 と考 え る こ とが で き る.馬 還 元 の場 合,低 温 で はH20の 吸着 を 無 視 で きな い と して吸 着項 を考 慮 した式 も提 案 され て い る41).板状 酸化 物 を還 元 し,それ が.律 速 であ れ ば -dN0/dt は 単位 面 積 当 た り時 間 に無 関係 もこ一 定 とな る. この こ とは800∼1100℃ でC0に よ り緻 密 なFeOか らFeへ の還元 で確 か め られ た16),42),試料 の 形状 が 角, 球 いず れ で も反応 面 が 幾 何学 的 に求 まれ ば,各 還 元 時 に お け る 反 応 面 はF-F(t)と な り,単 位 反 応 面 当た り の還 元 速 度 は 一 定 とな る.こ の こ とは570℃ 以 下 で Fe304焼 結 鉱 を 還元 した 場 合 に認 め られ る43).Fig.9に この例 を示 す. 試 料 が 球 状 で あ れ ば還 元 率 は 還元 時 問`の 関数 と して (8)式 の よ うにあ らわ され る. (8) Fe2O3の 還 元 結 果 は よ く こ の 式 に 一 致 し た15),44)∼46).し ―117―Fig.9. Weight loss-time curves for sintered magnetite reduction to iron in various atmospheres of hydrogen and water vapor. Pressures have been corrected to a total pressure of 1.0 atm. Actual pressure is 0.86 atm43). か し低 還 元 率 で は 上 式 に従 うが,高 還 元 率 にな る と式 か らず れ る結 果 も報告 され て い る47).ま た種 々の 大 きさ の 酸化 物構 成 粒 子 に 対 して も(8)式 が成 立 す るか,否 か を確 か め るた め に500.∼1100℃ で緻 密 な球 状Fe203を H2で 還 元 した.そ の結 果 γ0≧30μmに お い ての み(8)式 の成 立 す る こ とが確 か め られ た20).し か しな が ら後述 す る よう に,こ れ らの結 果 には 気孔 内 ガス 拡 散 過 程 の影 響 も加 わ っ て い る こ とが 考 え られ粉,さ ら に還元 過 程 で還 元 生 成 物 の 物 理的 構 造*が 変化 す る こ とに よ り,反 応 の 律 速 過 程 が 変 わ る こ とが考 え られ る.界 面 反 応 律 速 が成 立 す る条 件 は ま だ定 量 的 に解 明 され てお らず,種 々 の実 験 条 件 で 行 な われ た 結 果 が 界 面反 応 律 速 と して 解 析 で き るか ど うか とい う現 象論 的 な 段階 が現 状 で あ り,本 質的 な 還元 機構 の解 明 は将 来 の 問 題 で あ る. ii)鉄 の核 生 成 お よび 成長 還元 の最 終 段 階 で あ るFeO→Feに お い て過 飽和 にな つ たFeがFeO中 に析 出 し成長 す る.一 般 に 温度 が 低 い 場合 に は還 元 の初 期 に還 元 速度 が 非 常 に 小 さ い時 期 が あ る が53)(Fig.10),金 属 鉄 核 が発 生 す る と急 速 に還 元 が 進 行 す る49). この い わ ゆ る還元 の 潜伏 期 に関 し てい くつ か の定 量 的 な研 究 が あ る49)∼52).こ の 潜伏 期 間 は 温度 の上 昇 とと も に短 縮 され,還 元 ホ テ ン シ ャル の低 下 と と もに著 しく現 わ れ る こ とが,350∼600◎ ℃ でH2/H乞0に よ りFe203を
Fig.10. Reduction-iof hematite with H2/H20 at 444•Ž and PH, 760 Torr.
The induction period is observed at the begining of reduction").
Feに 還元 した とき に確 か め られ た53).一 方,800∼1050 ℃ で のCO -CO2に よる還 元 で も潜 伏 期が 観 察 され ,金 属 鉄 析 出 後 の 還元 速 度 は急 激 に 増 大 した16).さ らに炭素 に よ るFe203,Fe304か らFeへ の還 元 でFe析 出前 に還 元 速 度 が 極 小 値 を とる こ と も観察 され てい る54).同 様 に FeOを グ ラフ ァイ トで 還元 した 場合 に も 潜 伏期 を認 め た が,Fe304→FeOへ の還 元 で は この よ うな 潜伏 期 は現 わ れ な か つ た9).FeO→Feの 核 生成 に 要す る時間 は初期 酸 素 量 と大 きな 関係 が あ り,初 期 酸素 量 が 多 い ほ ど,核 生 成 の段 階 で 除去 され る酸 素 量 は増 大 す るり.ま た発生 したFe核 のFeO表 面 上 で の 成長 速度 は時 間 に直線的 に比 例 す る こ とが確 認 され た55)(F五gい1).不 純物原 子 を 多 く含 ん だFeOのH2還 元 で はFe核 が不 純 物原子 を 核 と して生 成 し,緻 密 なFe層 を 形成 す るが,純 度 の高 いFeOで は核 が わ ずか しか 形 成 され ず,多 孔 質 なFe層 を形 成 す る66).さら にFeO格 子 の 欠 陥 や 内部 応 力 も核生 成 に影 響 を お よぼす こ とが 詳 し く研 究 され た57).本 質的 な 問 題 と して核 生 成 阻 害 作用 がFeO→Feに お いて のみ 起 こ り,Fe304,FeOが 生 成 す る と きに は起 こ らな い原 因 につ い て も研 究 され て い る鋤.そ れ に よ る とFesO4, FeOは いず れ も立 方 晶 で構造 的 に類 似 し てい る ために, この 還 元 段階 で は著 し い潜 伏 期 を 必要 とせ ず に移 行で き る と説 明 され て い る,一 方,Fe2O3→Fe304へ の移行 で は三 方 晶 あ るい は六 方 晶 か ら立 方 晶へ の移 行 で あ り,こ こ にFe203とFe304が 異 な つ た還 元 挙動 を示す 根拠 を 見 い 出 して い る58),さ らに500.℃ 以 下 のFe2O3→Fe3O4 の 還 元 で 核生 成前 に 著 し く長 い 潜 伏 期 が 認 め られ てい る59). 金 属 鉄 の核 の生 成 お よび 成 長 過 程 は生 成 した金 属鉄 の 気 孔 の 状 態 と関連 し,以 後 の 還 元 速 度 に大 き な影響 をお よぼ す. *あ ま り一般的でない表現 であ るが,こ こでは還元生成物の気孔の形態 や気孔率の変化 あるいは還元に伴 う割れ,容 積 などの物理的変化を含 んだ意味で用いた. ―118―
鉄 鉱 石 の 還 元 速度 に 関す る研 究 概観 1905
Fig.11. Linear growth of iron phase on the (230) plane of wilstite (at 800•Ž; Fe0.925 O; PHi=200 Torr; PH20=20 Torr)55). 5.各 素 過 程 の 相 互 関 係 還元反 応 は前節 で述 べ た よ うな 多 くの素 過 程 に よ り構 成 され,反 応 条 件 に よ りそ れ ら個 々 の 過 程 の総 括 的 還元 反応へ の寄与 の 仕方 が 異 な るた め,現 実 の還 元 反 応 を 単 純な表式 で記 述 す る こ とは 一 般 に 困 難 で あ る 。 しか し前 節に示 した 各素 過 程 が お のお の総 括 反 応 の 律 速過 程 にな る反応条 件下 で は,お の お の の速 度 式 を もつ て総 括 反 応 の速度 式 とす る こ とが で き る.ま た,あ る条 件下 で は特 定の2,3の 過 程 の み に着 目 して反 応 モ デ ル を構 成 す る ことに よ り,還 元 反 応 を 記述 す る こ とが 可 能 で あ る.一 般にい くつ か の素 過 程 が相 互 に関 係 す る場 合,直 列 的 な 関係 と,並 列的 な関 係 が考 え られ る。 拡 散 過 程 同志 の場 合は前 者 のみ を考 えれ ば よい が,拡 散 過 程 と界 面 に お け る酸素 除去 反 応 との 場 合 は両 者 が 考 え られ る。 す な わ ち マクロ的 に反 応 界面 が 明確 で あ り,い わ ゆ る マ ク ロ的 ト ポ化学 的 に反 応 が進 行 す る場 合 が 前 者 で あ り,反 応 帯が 試片全 体 に拡大,も し くは試 料 粒 径 に対 し て無 視 で き な いほ どの拡 が りを もつ 場 合 が,後 者 で あ る と考 え る こ と ができる. 本節 で は以上 の観 点 に立 ち,2,3の 過 程 の 組 み 合 わ せに よる反 応 モ デ ル を も とに した 解 析 例 につ い て 述べ る. 54境 膜層 ガ ス拡 散 と気 孔 内 ガ ス拡 散 の 組 み 合 わせ ガス境 膜 層 の ガ ス拡 散 は 境 膜 層 の厚 さ δ が せ い ぜ い 0.1 ∼0.5mmな ので 拡 散 速度 は大 き く,こ れ と 競 合 し うる速度 の 素 過程 は気 孔 内 拡 散 で あ る。 も し境 膜 層 の影 響が大 きけれ ば層 内 にCOま た はH2の 濃 度 勾 配 が生 ずる鋤 境 膜拡 散 の影 響 が あ れ ば(6)式 は(9)式 の ように書 き換 え られ る3の. 3r20([1-(1-R)2/3]_-2R/(1+δ/r0)}=kt…(9) すなわ ちr0≦ δ の場 合 に上 式 は成 り立 ち,r0》 δ な らば (6)式 に近 似 す る 。 δは ガス 流 量,試 料 の粒 径 に影 響 されガス流 量が 多 くな る と と もに 小 さ くな り,次 第 に境 膜拡散 の影 響が 少 な くなっ て く る60)・ 5.2界 面反 応 と気 孔 内拡 散 との 組 み 合 わせ 鉄 鉱 石 の還 元 で 多 くの場 合,未 還 元 の酸 化 鉄 は 還元 に よ り生 成 した多 孔 質 の 金 属 鉄 に よ り囲 まれ て い る.Fe/ 酸 化 鉄 界面 で さ らに 酸 素除 去 反 応が 進 行 す るに は,Fe/ 酸 化 鉄 とFe/ガ ス界 面 間 で還 元 ガス お よび 生成 ガス の移 動 が 必 要 で あ り,こ の場 合,総 括的 な 還元 反 応 は この両 過程 に よ り律 速 され る61).従 来,一 連 の 界面 反 応 モ デ ル に よ る解 析 がな され た が44),62),それ らのい ずれ の場合 で も気 孔 内 拡散 過 程 を無 視 で きな い 点が 指 摘 され 粉,現 時 点 で混 合 律 速 に よ る解 析が 多数 報 告 され てい る18),19),25). i)両 過 程 が並 列 的 に 進行 す る場合 反 応 が マ ク ロ的 に も トホ化 学 的 に進 行 しな い場 合 で, 気孔 内拡 散 抵抗 が圧 倒 的 に大 き けれ ば気 孔 内 拡散 律 速 に な るが,両 過程 が 並 列 に進 む場 合 は 気孔 内の ガ ス拡 散 に つ い てTHIELE63)お よびWICKE64)の 理 論が 応用 で きる18). す な わ ち気 孔 内拡 散抵 抗 と界面 反 応 抵抗 の相 対 比 を表 わ す パ ラ メータ ψを考 え る. (10) こ こでr0;ペ レ ッ トの 半 径,kr;反 応速 度 定数,Deff: 気 孔 内 の有 効 ガス 拡 散 係数 で あ る.こ の ψは さ らに反 応 有 効 係 数 η とつ ぎの 関係 に あ る. (11) ηが 速 度 定 数 の有 効 度 と してつ ぎの よ うに還 元 速 度 に入 つ て くる. (12) 試料 の構 成 酸 化 物粒 子 が 小 さ く非 常 に還 元 しに くい 場合 に はr20kr《Deffと な り,し た が つ て η∼1で (13) す な わ ち純 粋 な 界面 反応 律 速 とな る. 一 方 酸化 物 粒 子 が還 元 され や す く,大 きな場 合 は反 応 界面 が 大 き くな りr20kr》Deffと な る.こ の場 合 ηは3/η で,還 元 速度 式 は(14)式 の よ うにな り,明 らか に気 孔 内拡 散 の 影 響が 現 わ れ る. (14) この状 態 は 高還 元 率 にな った と きに ガス の 拡散 道 程 が長 くな り 拡 散 抵抗 が 増 大 した 場 合 に 現 わ れ る60).ま た Fe203ペ レ ッ トのH2還 元 で600℃ ∼900℃ に お け る種 々 のpH20下 の反 応 速 度 は 気孔 内拡 散係 数 の 勾配 に一致 し,拡 散 律 速 に従 う こ とが 報 告 され てい る17).しか し600 ℃ 以 下 にな る と反 応 の温 度 に よる依存 性 が 大 き くな り. 界面 反 応 が 大 き く関 与 して くる もの と考 え られ る(Fig. 12).こ の よ うに 温度 に よつ て も律 速 段 階が 変化 す る. ii)両 過 程 が 直列 的 に進 行 す る場 合 球 形試 料 の 還元 で,反 応 が マ ク ロ的 に トポ化 学 的 に進 ―119―
Fig.12. Dependency of reduction rate v and diffusion coefficient D on temperature To). 行 す る場 合 は 過 両 程が 直列 的 に関 与す る と考 え る こ とが で き る.こ の よ うな 条 件 に対 す る 速度 式 につ い て は 多数 の研 究 者 が 検討 して い る19),25),65),66). 界面 反 応 に(8)式 が 適 用 で きる場 合 には,次 式が 導 出 され る. (15) こ こに,左 辺 第1項 は 界面 反 応 に 関 す る項,第2項 は気 孔 内 ガ ス拡 散 に関 す る項 で あ る. 還元 デ ー タが 界面 反 応 と気 孔 内 拡散 反 応 との混 合 律 速 で あ るか,否 か はつ ぎの よ うに し て判別 で き る.す な わ ち界面 反 応 律 速 で あ れ ば1-(1-R1/3)と 還 元 時 間 の 関係 は 直 線 とな り,気 孔 内 拡散 律 速 で あれ ば3{1-R)2/3}-2Rと 還元 時 問 の間 に直 線 関 係が 成 り立 つ.そ こで100 %還 元 に要 す る 時 間 θt各還 元 率 にお け る時 間 θ と し, 横 軸 に時 間 の比 を と り,拡 散 律 速 の デ ー タ を界 面 反 応律 速 で プ ロ ッ トす る とFig.13の(a)曲 線 とな る.(b) は 界 面 反 応 律速 の 場 合 で あ る.混 合 律 速 で あれ ばa,b 曲線 の 中間 点 に プ ロ ッ トされ る はず て,も し この範 囲 か らず れ 九 場 合は 界面,拡 散 反 応以 外 の反 応 過 程が 加 わ つ てい る こ とを意 味 す る, 混 合 律 速 で あ っ て も,そ れ ぞれ の 過程 が シ リー ズ に進
行すれ ば
θ/θt=0.5を
境 にして αか らb,あ
るいはb
か ら8曲 線 へ移 行 す る.ま た,混 合律 速 の デー タか ら直 接 速 度 係 数 ん と有 効 拡 散 係 数Deffを 求 め る解 析法 も 提 案 され て い る65),87).た とえば(15)式 の 両 辺 を 1-R)1/3で 割 れ ば 次 式 が得 られ る67). (16) た だ し,A=(1-ε)r20r0RT/bDeff(ρ-ρeq),B=(1-ε)r0 γoRT/kr(1+1/κ)(ρ-peq)し た が つ て 実 験 的 に 得 られFig. 13. Integrated reduction curves for the possible limiting cases of interface, shell-layer rate control. ƒÆ
: reduction time Į
t: time for complete reduction19)
たt/1-(1-R)を{t/1-(1-R)1/3}に 対 してプ ロッ ト す れ ば,直 線 の勾 配 よ りDeff,切 片 よ り 称 がお のお の 求 め られ る. 6.還 元 速 度 に お よ ぼ す 各 種 の 要 因 こ こで は酸 化 鉄 の 還 元 反 応 とい う現 象 を 詳細 に観 察す る と い う 立 場 か ら,還 元 速度 にお よぼ す ガ ス組 成,温 度,酸 化 物 の 物理 的 構 造 な どの 諸要 因 の 影 響 につ いて記 述 す る. 6.1ガ ス分 圧の 影 響 Fe203か らFeへH2-N2ガ ス で還 元 す る とき,dR/ dt は ガ ス 中の ρH2に 比 例 し62),ま たFeOのH2に よ る還 元 で も この 関係 が 成 立 した68).一 方,還 元 速 度は次 式 の 関係 にあ る とい う報 告 もあ る69). (17) こ れ は 気 孔 内 ガ ス 拡 散 が 還 元 速 度 に 関 与 し た も の と思 わ れ る.還 元 に よ り生 成 した ガ ス(H20,℃02),あ る い は H20-H2,CO-CO2混 合 ガ ス 中 の こ れ ら の 成 分 が 還 元 反 応 を 抑 制 す る 作 用 を 持 つ て い る こ と は よ く 知 られ て い る40)Fe2O3をFeま でH2-H2O-N2で 還 元 した と き, 還 元 速 度 式 がpH,とpH2Oの 関 数 と し て つ ぎ の よ う に表 わ さ れ て い る70).す な わ ち (18) こ こ で κ はFe/FeO平 衡 組 成 の ρH2O/ρH2,す な わ ち平 衡 定 数,左 は 速 度 定 数 で あ る.こ の 式 か ら ρH2O/pH2,が 一 定 で も,4R/dtは ρH2と 直 線 的 に 比 例 す る こ とが わか る.こ れ は 実 験 的 に も証 明 さ れ て い る(Fig.14).こ れ と 同 じ 現 象 はH2-H2Oに よ り8100℃ でFe2O3ペ レ ッ ―120―
鉄 鉱右 の還 元 速 度 に 関 す る研 究 概 観 1907
Fig. 14. Effect of hydrogen pressure on reduction rates at 500•Ž at a constant ratio of water vapor to hydrogen41).
Fig. 15. Relationship between reduction rate and hydrogen pressure74).
トを還 元 し た 場 合 に も 認 め ら れ た71).し か し,こ れ ら の 結 果 に従 わ な い 実 験 報 告 も な さ れ て い る53),72)一 方CO -CO2ガ ス でFe 203,Fe304を800℃ で 還 元 し た 場 合 も,dR/dtが ρcoと 共 に 直 線 的 に 増 加 す る こ とが 認 め られ た39).Fe3O4の 純H2に よ る 還 元 で ガ ス 圧 を40atm ま で 変 化 さ せ た 実 験73)と95∼760mmHgの 範 囲 で 還 元 し た 結 果 粉 が 報 告 さ れ て い る.そ れ に よ る と還 元 速 度 と ガ ス 圧 の 間 に は つ ぎ の よ う な 実 験 式 が 成 立 し た 、 (19) こ こ でk1はpH2O=1atmに お け る 反 応 速 度 定 数 ,ん2は 反 応 の 抑 制 定 数 で あ る.こ こ で(19)式 の 左 辺 の 逆 数 を 1/raと す る と, (19) こ れ を 図 示 し た も の がFig.15て,1/ra軸 の 切 片 が ん2偏 を 示 す.そ の 結 果,ガ ス 圧 の 減 少 に 伴 う反 応 速 度 の 減 少 は 試 料 表 面 の 水 蒸 気 に よ る 被 覆 効 果 と 考 え られ た.こ の 効 果 はH2-H2Oあ る い はH2-H2O-N2の 混 合 ガ ス に よ る還 元 で は さ ら に 著 し く,Fe304ペ レ ッ トの 還 元 に お け る 速 度 式 は つ ぎ の よ う に な つ た41). (20) こ こ で 左 辺 をR0と お き,K,K1,K2をKe,K0,Kpと お き か え る と (21) R0/KopH2に 対 して左 辺 を プ ロ ッ トす る と,Fig.16と な り直 線 の勾 配 がKPで,直 線 の切 片 が1/塩 を示 す 。 この 実験 か ら得 られ たKcは 熱 力学 デ ー タか ら計 算 した もの とよ く一 致 した. 6.2還 元 速 度の 温 度 依存 性 還 元 過 程 そ の ものは既 述 の よ うに い くつ か の素 過程 に よ り組 み 合 わ され,そ れ らの温 度 依存 性 は 各素過 程 ご と
Fig. 16. Calculation of constants Kp and 1/K, by equation-(21)41).
の 中間 相 中のFeイ オ ン拡 散 が 律 速 に な る こ とは す で に 述べ た とお りで あ る.Fe304を600∼1100℃ の 範 囲 で Feに よ り還元 した場 合,FeOの 成長 速度 に関 す る活性 化 エ ネ ル ギ α は33Kcal/molで,他 の研 究 者 に よつ て 測定 され たFeO中 のFeイ オ ンの 自 己拡 散 係 数 のQ に よ く一 致 して い る75),76).一 方,Fe2O3をFeOに よ り 600∼1200℃ で 還元 した 場 合,Fe3O4の 成 長 速度 に 関 す るQと して37Kcal/molが 得 られ だ9).こ の 値 は Fe304内 にお け るFeイ オ ン の拡 散係 数 の測 定 結 果?5)か らはず れ た が,FeOを 酸化 ガ スで 反 応 させ てFe304を 生 成 させ た と きに得 られ た 値 に よ く一 致 した77),FeOを
FeO領 域 内 でCO-CO2に よ り還 元 した と きに はFeO の 格 子 欠 陥 濃 度 に よ り 反 応 速 度 は 異 な るが,お お むね Q ∼30Kcal/mo1と な り自 己拡 散係 数 のQと よい一 致 を み て い る78).FeO層 上 に緻 密 なFeが 形成 され る場合 も 同 様 に,酸 素 の 金 属固 相 内 拡 散 係数 の温 度 依 存 性 に一 致 した7)。 ii)気 孔 内 拡 散過 程 の 温 度 依 存性 還元 生 成 物 層 中の ガ ス の気 孔 内 拡 散律 速 の場 合,還 元 へ の 温度 依 存 性 は 本 質的 に小 さ く,Dgas(T)は 丁3/2∼ T2 で 表 わせ る34),59).した が つ て温 度 上 昇 と共 にdR/dt は ゆ るやか に上 昇 す るが,こ の 場 合 の 温 度 依 存 性 を 指 数 函 数 的 に 表 現 す れ ば α は お お よ そ1∼2Kca1/molの オ ー ダ で あ る.ゆ え に5.2で ふ れ た よ う に 混 合 律 速 過 程 を 界 面 反 応 で 解 析 す る と小 さ な 温 度 依 存 性 が 求 め られ る. iii)界 面 反 応 の 温 度 依 存 性 FeOか らFeへ のCOま た はH2に よ る 還 元 で,Feが 存 在 す る 条 件 の も とで の 活 性 化 エ ネ ル ギ(Qは ∼15Kcal/mol に な る と す る 報 告 が 非 常 に 多 い16)87),68),79),80),81).一 方, FeO領 域 内 で の 還 元 粉, Fe3O4→FeO5),Fe2O3→ Fe3O450)へ の 還 元 で は 金 属 鉄 い16),62),73).前述 の ご と くFeOのH2還 元 で 多 くの報告 で はQは ∼15Kcal/molで あ り,こ の値 は界 面反 応の 活性 化 エネ ル ギ と して現 在 一 般 に認 め られ てい る.し か し これ よ り高 い値 が 得 られ て い る結 果82)もあ り,純 粋な 界面 反 応 の み取 り出 し てい るか ど うか につ い て,実 験 条 件 を再 検討 す る余 地 が あ る よ うに思 わ れ る.さ らに一般 の還 元 過 程 で は拡 散 過 程 の 関 与 は必 然 とみ られ,実 際 の 反 応 を論 ず る場 合 に は単 一 の 素 過程 だ け に着 目した解析 は危 険 で あ る. COに よ るFeOの 還 元 で 活 性化 エ ネ ルギ がH2に よ る よ りもや や高 い値 が 報 告 され てお り83),還 元 ガス によ る反 応 機 構 の 違 い が考 え られ る. iv)還 元 速 度 の 温度 依 存 性 に お け る異 常 現 象 還 元 反 応 を 定 量的 に表 式化 す る上 で反 応 条 件 に よ り素 過 程 の 寄 与 が 異 な る こ との 端 的 な例 とし て,特 定 の温度 で還 元 速 度 が著 し く遅 滞 す る現 象が 挙 げ られ る.こ のよ うな 温 度 依存 性 にお け る 異 常現 象 は650∼750。 ℃ 付近 (Fig.17)お よび9200℃ 付 近 に お い て 多 く観 察 され てい る。 前 者 の例 とし ては 人 工 酸化 鉄 のH2還 元 で750℃ に31),84),86),天然Fe3O4の 高 炉 ガス に よる還 元 で は700 ℃ 付 近 に,お のお の還 元 速 度 の極 小 点が 観 察 された こ
Fig. 17. Effect of temperature on reduction of (a) magnetite, and (b) hemetite, with H2 and CO24).
鉄 鉱 石 の 還 元 速度 に 関す る研 究 概 観 1909 とな どが報告 され て い る86).こ の還 元 反 応 の遅 滞原 因 と して粒子 同士 が 焼結 し,還 元 ガ スの 透 過 が 阻害 され る と いう見 解8の.お よびFe3O4の 単結 晶 の還 元 実 験 か ら,こ の温度付近 で緻 密 な 難還 元 性 のFeOが 形 成 され る こ と などが考 え られ てい る24).あ る い は粉 状 の天 然Fe203を 還元 した場 合,還 元 鉄 の 焼 結 に よ り生 成水 蒸気 の 通 気 性 の悪化を原 因 と した 報 告87)も見 られ るが,人 工Fe203で は還元の遅 れ は認 め られ ては い な い 粉.さ らに こ の遅 れ を緻密なFeO層 の形 成 と還 元 鉄 の焼 結 の 両 方 に よつ て 説明 した報 告 もあ る89).一方Fe203ペ レ ッ トのCO-CO2 ガスによ るFe3O4へ の 還 元 で も,675℃ に還 元 の遅 れ が認 め られ て お り59),そ の 原 因 と し て この 温度 付 近 で Fe3O4粒 子 同士 の結 合 反 応 が 起 こ り,そ の た め に 酸化 物 中の気孔 が 閉寒 され,還 元 ガ ス の試 料 内 へ の 透 過 が 悪化 する と考 えた.そ の ほ か に も試 料 中 に含 まれ て い るSio盆 成分に よ り難還 元 性 の 酸化 鉄 の形 成 が 考 え られ,そ れ に より還元 の遅 滞 を説 明 して い る報告 もあ る鋤. 920℃ 付 近 に も還 元 速 度 が遅 滞す る ど いう 報 告 は い く つかあ るが84),85).91),92),その原 因 に 対 す る見 解 は 一 致 し ていない.原 因 の一 例 と して 個 々 の 酸化 鉄 粒 子 を覆 っ た 還元 鉄が920℃ 付 近 で 酸 化 鉄 に 吸着 し,ガ スの 透 過性 を悪化 させ る と 考 え られ て い る554)さ らに 高 温 て 天 然 Fe203をCO還 元 した 場 合1200。 ℃ 以 上 で酸 化 鉄 が 軟 化溶融 し,還 元 ガス の 試料 内 へ の侵 入が 困 難 とな り,還 元速度が著 し く低 下 す るが93),こ の よ うな高 温 にお け る 天然鉱石 の還元 で は酸 化 鉄 以 外 の成 分 の影 響 が 大 きな 役 割を果た して い る.酸 化 鉄 以 外 の成 分が 加 わ つ た 場 合 の 還元 につ いて は後 述 す る. 以上 の よ うに還 元 速 度 の 温 度 依存 性 にお け る異 常 に 関 し多数 の現 象が 報告 され て い るが,そ の原 因 に対 す る見 解はお のお の異 なつ て い る.従 来 の研 究 報 告 の 結 果 か ら 考えて この異 常 現 象 が 現 わ れ るか,否 か は実 験 試 料 に よ るもの とも思 われ る.こ の現 象 が還 元 反 応 にお け る酸 化 鉄本来 の性 質 な のか,あ るい は 酸化 鉄以 外 の成 分 に よ る ものなのか を明 らか にす る こ とは酸 化 鉄 の還 元 機 構 を解 明す る うえ に重 要 で あ る. 6.3物 理 的構 造 の 影 響* すで に述べ た ご と く,酸 化 物 あ る い は還 元 生 成 物 層 の 物理的構 造 に よつ て 還元 過 程 は大 き な影 響 を受 け る。 物 理的構造 の影 響 と して は,被 還 元 酸 化 物 自身 に由 来 す る もの と,還 元 に よ り生 成 す る 中間 酸 化 物 も しくは 金 属 鉄 層の性 質 に帰 因 す る もの が考 え られ る ので,こ こで は そ れらを区別 して 記 述す る. i)酸 化 物 の 物理 的 構 造 粒子径 二酸化 物 粒 子 径 の還 元 速 度 へ の 影 響 は一 般 に き わめ て大 きい と考 え られ るが 鋤,そ の 依 存性 に つ い ては まち まちの 報告 が な され て い る.そ れ は 一 つ に は実 験 者 によ り反 応条 件 の相 違 に よ る律 速 過 程 の 寄 与 の相 違 が あ るが,粒 子径 自身 の変 化 に よつ て も律 速 過 程 が異 な るた め で あ ろ う. 与 え られ た 反 応 条 件 の下 で 粒子 径 の 依存 性 を検討 す る 場 合.一 定 還 元 率(80%以 下)に 達 す るま での 時 間 鞭 との 関 係 で整 理 す る場 合 が 多い.そ の例 と して (22) (23) (24) な どの 報告 が あ る.さ ら に粒子 径 の範 囲 に よ り 鞭 の4 依 存性 の異 な る こ とを指 摘 して い る報 告 もあ る97).す な わ ち.あ る限 界 値以 下 の粒 径 で は粒 子 全体 で反 応 が 起 こ るた め4依 存 性 は な いが,大 塊 で はtR∼42と な りガ ス 拡 散 律 速 を示 す こ とに な る.し た がつ て,そ の 中間 領域 ては 一 般 に で 示 さ れ る3の. 気 孔 率:硬 と 気 孔 率eoと の 関 係 式 と し て は (25) (26) (27) が報 告 され て い る.(26)式 は実 験 式 で気 孔 内拡 散 律 速 の とき に成 立 す る と考 え られ る(Fig.18).一 方(27)は 界面 反 応 律 速 の場 合 の 理 論式 よ り導か れ る関 係 で,実 験 的 に満 足 され る場 合 もあ るが,い ずれ も気 孔 率 が著 し く 異 な る場 合 に は 界面 反 応 と気 孔 内 拡 散 の寄 与 が大 き く変 化 す る のて,統 一 的 に表 わす こ とは で きない 。気 孔 分 布 も一 つ の因子 と考 え られ るが,Fe2O3の600℃ 以 上 の 加熱 に よ り ミク ロ気 孔 が 消 滅 す る こ と11).玉2),Fe3O4ペ レ ッ トで 気 孔構造 の 著 しい変 化 の 生 ず る低 温限 界 を700 ℃ とす る報 告 鋤 な どか ら考 え る と人工 鉱 石 で は1000 ℃ 以 上 の 焼 成過 程 を経 て い る ため ミクロな 気 孔 は消 滅 してお り,初 期構 造 と して は と くに 重要 では な い. そ の 他,酸 化 物 粒 子 の結 晶 粒 度 の 影響 につ い て も報 告 され てい る.Fe3O4,Fe2O3の600℃ 以下 の 還元 実 験 に よれ ば53).72),還元 が 粒 界 に 沿 っ て 進 行す る こ とが 認 め られ た.し た が つ て,結 晶粒 の平 均 粒度 に よ り還 元 速
Fig.18. Effect of the characteristics of pore system on reducibility").
*P.1904の 注 参 照
Fig. 19. Effect of grain size on the reduction of hematite at 420•Ž and 760 Torr").
度 は 明 らか に異 な つ て い た(Fig.19).こ こで は粒 子 の 平 均 直径4と 還元 速度dR/dtは 実 験的 に 次式 で表 わ され る. (28) こ こ にFκ:結 晶 粒 の表 面 積,κ:粒 子 表 面 か ら反 応 界面 まで の 距 離 δ に比 例 す る係数,ん:反 応 速度 定 数 実 験 の結 果,Fe203で は κ=4δ,Fe304で4δ ≦ κ≦6δで あつ た. また,結 晶学 的 に指 数 の低 い結 晶 面 にお け る ほ うが, 晶 癖 面 を もた な い指 数 の 高 い結 晶面 にお け る よ りも,還 元 の進 行 が緩 慢 で あ る こ とが顕 微 鏡 観 察 に よ り認 め られ て い る101).こ れ は 指数 の 高 い結 晶面 ほ ど,多 くの 活 性 点 を有 す るた め と され て い る.多 結 晶 の 微 粒 の 場 合 で も,熱 処 理 条 件 の相 違 の み で還 元 速 度 の 異 な る こ とが 認 め られ てお り,ミ ク ロ気 孔 の 消 滅 な どの効 果 も考 え られ るが,む し ろ この場 合 も表 面 活 性 点(表 面 エ ネ ル ギ)の 温度 効 果 に帰 因す る と解 釈 す る方 が 妥 当で あ ろ う. ii)還 元 生 成 物 の物 理 的構 造 結 晶型:赤 鉄 鉱 と磁 鉄 鉱 の 被 還元 性 の相 違 の主 因 は還 元 途上 に生 成 す るFeO相 の 物 理構 造 の相 違 に基 づ く と さて い る24),54),102)∼104). す な わ ち六 方 晶 のFe2O3か ら立方 晶 のFe3O4へ の移 行 は 不可 逆 的 で結 晶 格子 が 強 く破 壊 され,続 い て生 成す るFeO相 が 多 孔層 とな るた め,反 応 界面 が 拡 大 して大 きな反 応 速 度 を可 能 にす るが,Fe3O4か らFeOへ の移 行 は格 子 の類 似 性 の た め 可 逆 的 に進 行 し,緻 密 なFeO 相 が 形 成 され るた め 反 応 速度 も 小 さい と 考 え られ る. Fe304を 予備 酸 化 す る こ とに よ り,酸 素 含有 量の 増 加 に もか か わ らず,還 元 速度 が増 大 す る現 象 も この よ うな考 え方 で説 明 て き る24)(Fig.20). しか し,FeOか らFeへ の段 階 も反 応 条 件 に よ り種 々 の形 で進 行 す る.FeO相 の格 子 不 整,空 孔 濃 度 な どの格 子 欠 陥 や,不 純 物 の存 在 に よ りあ るい は還 元 ガス の 種 類 や 還元 ポ テ ン シ ャル に よつ て も生 成 金 属相 の状 態 が 著 し with CO at 1 000•Ž24). く変 化 し,反 応機 構 も変 化 す る こ とが報 告 され てい る7)・ 42)55),83).た とえば,緻 密 なFeOをH2で 還元 した とき, 不 純 物 の存 在 す る場 合,あ るい はFeの 空 格子 点濃度 が 小 さい場 合 に は緻 密 なFe層 が 生 成 す るが,純 粋 なFeO 場 合 は一 般 に海 綿 状 のFcが 形 成 され る?).ま たCO2が 20%以 下 のCO-CO2ガ ス で還 元 した 場 合,つ ね に海 綿 状 のFeが 形 成 され た が79),CO2が 高 くな る と緻 密 なFeが 形 成 され る よ うにな る. 海 綿状 鉄 中の 気 孔 の 状態 は温 度 に よつ て著 しく影 響 さ れ,H2還 元 の 場合 に 平均 気 孔 半 径rと 還 元 温 度 の間 に は 次 の 関係 が 成 立 つ8),15). r =0.05exp(17600/RT) 気 孔 径 に 対 す る温 度 の影 響 は 一 般 に は焼 結 現 象 と関連 させ て論 じ られ る傾向 が 多い が,た とえ ば小 粒 酸化鉄 の Ha還 元 で は反 応 が きわ め て 急速 に進 み,焼 結 過程 が認 め られ る 以 前 に 還 元 は 終 了 し て しま う40).粒 径8.5∼ 17.5mmのFe2O3ペ レ ッ トの750∼900℃ におけ る H2還 元 で も焼 結 過 程 は 反 応 の 末 期 に お い て 明 りよ うに 表 われ,界 面 反 応 や気 孔 内拡 散 過 程 は あ ま り影 響 を受け な い こ とが 指 摘 され て い る36)。上 式 の 活 性 化 エ ネルギ に 相 当す る値 は,焼 結 を支 配 す る一 般 の 内部 固 相拡散 の 活性 化 エ ネ ルギ よ りか な り小 さい こ とか ら考 えて も,気 孔 半径 と温 度 との 関係 は 反応 機 構 に固 有 の関 係 とみ なす べ きで あ ろ う. この よ うな 観 点 を 裏 づ け る 研 究 が 最 近 報告 され てい る.た と えばFeOのCO還 元 に よ る金 属 鉄 の気 孔 はH2 還 元 鉄 中の気 孔 に比 べ 大 き く,形 状 も亀 裂 状 に発 達 して 粗 い83).し た が つ て,還 元 鉄 中 の有 効 ガス 拡 散係 数 を求 め る場 合,H2還 元 の結 果 を そ の ま まCO還 元 の場合 に 適 用 す る こ とは危 険 で あ る.一 方,同 じFeOの 恥 還 元 でH2O含 有 量 を制 御 し て ガス の 還元 ポ テ ン シ ャルを 変 化 させ た 場 合,平 均 気 孔 が 変化 す る こ とが 見 い 出され る鋤.す な わ ち,還 元 ポ テ ン シ ャル が低 く還 元 速度 が小 さ い場 合 には 生 成気 孔 が 大 き く,還 元 速度 自身 と生 成気 孔 の 大 き さの 間 に密 接 な 関 係 の あ る こ とが 予想 され る. 還 元 過 程 に伴 う体 積 変 化 に も種 々 の 形態 が あ り,焼 結 に よ り収 縮 す る場 合 がH2還 元 で は しば しば認 め られ る ―124―
鉄 鉱 石 の還 元速 度 に関 す る研 究 概観 1911
Fig. 21. Effect of reduction temperature on apparent volume increase of haem-atitem). が,一 般 に は 膨 張 が 認 め られ る粟3),24),105).たとえ ば, Fe203を1000℃ でCOま た はH2で 還 元 した場 合 , Fe304お よびFeOの 形 成 過 程 で25∼40%の 膨 張 が あ った24).一 方Fe804か らFeOへ の 過 程 で は容 積 の変 化 は認め られ な か つ た.ま たFeの 針 金 に つ い て再 三 酸 化, 還元を く り返 した場 合,約200%の 体 積増 加 が観 察 され た106).これ は 酸 化 に よ る 容 積 増加 よ りは るか に大 きな 櫨である.顕 微 鏡 観 察 に よ りFe2O3→Fe8O4のH2-H2O 還元時 の体 積 膨張 は15∼25%範 囲 で あ り,温 度 に 依存 し800℃ 付 近 で 最 低 に な る107)(Fig.21).と くに近 年 酸 化鉄ペ レ ッ トの 還 元 に よる過 程 てペ レ ッ トの 異 常膨 張 に より実際操 業 に支 障 を き たす こ とが 問 題 とな つ て い る. その現 象 の詳 細 な観 察 に よれ ば,金 属 鉄 が そ の生 成 時 に 繊維状に成長 し,見 掛 上 の 体 積 膨 張 に な る といわ れ108), 膨張割 合は 酸化 物 中の 不 純 物 や 酸化 物構 成 粒 子 の粒 度, 格子不 整の 程度 な どに よ り大 き く左 右 され る と考 え られ ている. iii)混 合 酸化 鉄 の 還元 酸化鉄 に鉄 以 外 の 酸 化 物 が加 わ る場 台,そ の 形 態 と し て酸化鉄 相 内 に固 溶 す る場 合 と酸 化 鉄 相 とは 独 立 の化 合 物相を形成 す る場 合 とが あ る.前 者 の 例 と してKHALA-FALLAら109)は ウス タイ トに ア ル カ リ金 属 お よび ア ル カ リ土類金 属 の 酸化 物 を微 量固 溶 せ しめ,い ず れ も還 元 が 促進 され る こ とを認 めた(Fig.22).ほ か に 同様 の現 象 が報告 され て い る110).こ の 促 進 効 果 は イオ ン半径 に対 して直線 関係 に あ り,鉄 触 媒 に ア ル カ リ金 属 を添 加 した 時の効 果111)と同種 の もの で あ る と考 え られ る.
Fig. 22. Acceleration of reduction rate of wustite as a function of the additive ionic radius. Ratio of additive atoms to iron atoms are maintained constant at 0.69 at pct109). 後 者 の例 で 酸化 鉄 を含 ま な い独 立 の化 合 物 相 が酸 化 鉄 内 部 に細 か く分散 し てい る と,還 元 の際 の核生 成,成 長 の 過程 に影 響 を受 け,気 孔 が 微細 に な る112).極端 な場 合 に は,気 孔 の な い緻 密 な金 属 鉄 が 生成 し,以 後 の還 元 過 程 の進 行 に 重 大 な障 害 を もた らす7). 酸 化 鉄 を含 む 化 合 物 とし ては,工 業 的 に はCaO,Sio黛, TiO2な ど との 化合 物 の還 元 が 重要 であ る.CaOに 関 し ては 固 溶 の場 合 も 含 め 多 くの 研究 が あ る.一般 にCaOが 酸 化 鉄 に加 わ る こ とに よ り,平 衡 論 的 に は純 酸 化 鉄 よ り も高 い還 元 ポテ ン シ ァル を必要 とす る,CaO/Fe203の 比が 大 き くな る といわ ゆ る トホ化 学 的 な還 元 が 観察 され に く くな る.こ の場 合 中間 生 成 相 と して(Fe,Ca)O相 の 生 成 が 考 え られ るが113),一 方,金 属鉄 は そ の よ うな 中間 相 な しに直 接 生 成 し うる こ と も 報告 され て い る鋤 。 上 述 の ご と く平 衡 論的 には 高 い還 元 ポテ ン シァル を要 す るに もか か わ らず,速 度 論 的 に はCaOの 添 加 は還 元 速 度 促進 の効 果 を持 つ.2∼10%CaOとFe20$の 焼結 体 を550∼700℃ でH2に よ り還 元 し,80%還 元 に 要す る時間 を調 べ た 結 果 に よれ ば,還 元 が 促 進 され,と くに 2%CaO添 加 の場 合 が 最 も著 しい115).同 様 の 結 果 は 多 数 報告 され てい る川)層119).こ の よ うなCaO添 加 の有 利 な効 果 は前 述 のVol'kenstein効 果 に よるFeO還 元 の 促 進 あ る いはFeO段 階 を通 らな い よ うな 反応 機構 の変 化11のな ど表面 反 応 過 程 に 対す る 効 果 と して 説 明 され る が,一 方 焼 結 ペ レ ッ トの 気 孔 率 がCaO量 の増 加 と と も に高 くな る(Fig.23)こ とか ら気孔 内拡 散 過 程 に対 して も有 効 で あ る と考 え られ る鋤). 酸 化 鉄 にSiO2が 添 加 され る と これ が シ リケ ー トを形 ―125―
Fig. 23. Relationship between apparent density change by CaO-addition and tern-perature.,20)
Fig. 24. Effect of SiO2 and CaO-addition to Fe203 at reduction by CO-CO2-mixture1). 成 す るた め被 還 元 性 は 著 し く低 下 す る(Fig.24)121),122). シ リケ ー トは気 孔 率 の 低 下 を もた ら し,こ の 点 か ら も被 還 元性 に 悪影 響 をお よぼ す122).CaOの 添加 は酸 化 鉄 の シ リケ ー ト化 を 防 止 す る 点 か ら も 有 効 で あ り,と くに Ca O/SiO2が1以 上 の場 合 に著 しい 効 果 を あ らわ す123). い る速 度 式 の 根 拠 とな る反 応 モデ ル の 多 くは単純 す ぎ現 象 を統 一 的 に 記 述す る こ とは 非 常 に 困 難で あ る.ま た実 験 条件 も モデ ル に そ く した 単 純 化 が 実現 で き てい るか ど うか に は検 討 の 余地 が あ りそ うで あ る.む し ろその よ う な 速度 式 に はあ る程度 限 られ た 反 応 条 件 と試 料 に対 し, 還元 特 性 な どの 相 対 尺度 を定 量 的 に 表 示す る手段 として の 意 義 が認 め られ るが,そ の場 合 で も現時 点 では現 象の よ り詳細 な観 察 が 必 要 と思 われ る.と くに高 炉 の炉 内反 応 の 解 析 な ど具 体 的 な現 象 に適 用 す るに は,た とえばH2
とCOに よる還 元 状 態 の 比 較,FeOま での還 元 とFeO 以 後 の 還元 の 関係,そ れ と関連 し てH20,CO2の 高 濃度 下 での 還 元 進行 状 態,随 伴元 素 の影 響 な ど従来 あ ま り検 討 され てい な い現 象 の 観 察 が 重要 で あ ろ う. 本 稿 で は か か る観 点 か ら還 元 反 応 の複 雑 さ,統 一 的表 示 の 困難 な 現 象 を意 識 的 に強 調 してみ た.こ ん ご還 元に 関 す る研 究 を進 め る うえ に,多 少 な り とも問 題提 起 とし て参 考 に なれ ば 幸 い で あ る. お わ りに本 資 料作 成 に あた り協 力 いた だ い たか つての 研 究 室 員,現 株 式 会 社 神 戸製 鋼 所 中央 研究 所 小 野 田 守. 現 川 崎 製鉄 株 式 会 社 技術 研 究 所 佐 々 木 晃,現 日本軽金 属 株 式 会 社 嶺 浩 紀 の 諸 氏 に感 謝 の意 を表 す. 文 献
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